● 『ドリルユニコォォォン!』×2 『ウィングイィィィグル!』 何やらメカなフォルムの馬(ユニコーン)2体と鳥(イーグル)が走る、飛ぶ! 『ビッグエレファァァァント!』 ずしんずしんと大地を歩く象(象以外の何物でもないが、同じくロボ)は『ぱおーん』と啼いた! 『ソォォォドウォォォォリアァァァ!』 剣と盾を装備した人型ロボは(演出上)落ちてきた雷を剣に受け、エネルギーを重点している! どう見てもアニメに出てくる合体しそうなロボだ。 ――ただしサイズは劇中に出てくるようなソレではなく、エレファントですら3mほど。 「かっけぇぇぇぇ! ロボだ! 合体すんの? ねぇ、すんの!?」 変形はせずとも、合体しそうな雰囲気のある彼等を目にした少年は、目をキラキラ輝かせて問う。 『するのはするが、悪がいないからな』 しかしこのロボ達はこの言葉を理由に合体しようとはしなかった。 立ち向かうべき巨大な悪が存在しなければ、普段は休んでいるのが彼等の務めなのだろうか? 「じゃあ、なんで基地で待機してないの?」 少年の言葉はもっともだった。 『基地なんて、我々にはない』 『ぱおーん』 『ひひーん』 だけど無いものは仕方ない。 それでも、登場してしまったんだ。 「じゃあそこらの洞窟とか森にでも隠れてるとかさ。ところで、なんかカッコイイ技見せてよ!」 『しょうがないな。じゃあそこの木をこの剣で華麗に切り倒して見せよう』 ともすれば、目の前にある非現実なロボットヒーローに期待する少年には応えてみせねばなるまい。 勇者パースに剣を構えた人型ロボが、ブースターを吹かせて木に突き進んでいく。 一刀両断。 まさしくこの言葉が相応しいほどに、綺麗に切り倒される木。 「うわ、すっげ! って、え?」 ここで本来なら少年の拍手が向けられたことだろう。 倒れた木が、彼を下敷きにさえしなければ――。 ● 「合体ロボ……ねぇ」 正義だ正義だと言ってはいるが、やはりエリューションならば倒さねばならないのだと桜花 美咲 (nBNE000239)は言う。 未来視の限りでは、言語は通じるようではあるらしい。 明確な悪がいれば味方になりそうな存在でもある。が、やはり放置すれば崩界を加速させてしまう存在。 「少年が被害に遭うのは先の話。今から行けば、何の問題もなく戦う事が出来るわ」 時刻は夜になるものの、月明りが大地を照らしているためにたいした問題もない。 加えて戦場は山の奥。 キャンプにやってきていた少年が来るのはもう少し先の話であり、現時点では誰も現場にいないようだ。 「ええと……2匹の馬が足で、象がボディと腕。鳥が翼になって、人型ロボは中央に据えられる?」 そう言った類のアニメを想像すれば、合体機構は想像できるだろうか。 見たことのない美咲からすれば、ちんぷんかんぷんな話となっているのはしょうがない。 「まぁとりあえず、倒してきてね?」 あぁうん、すごいシンプルな結論だ。 問題は合体の条件ではあるが、 「破損が大きくなってきたら合体するみたいよ」 ピンチの時にこそ、ロボット達は全力を発揮するのだ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:雪乃静流 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年08月06日(火)22:36 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●勇者の心 「……動きはないか。何もなければ休んでるってとこか?」 手にした双眼鏡から見える遠い景色の中に、目的のエリューションを発見した『遊び人』鹿島 剛(BNE004534)がぽつりと呟く。 ロボ達は何かをしているわけでもなく、ただそこに佇んでいるだけだ。何かを待つように、ただじっとしているだけだ。 「にしても。正義、悪かァ。よくわッかんねェな」 自らを正義と称するロボ達だが、そういった善悪観念は人それぞれ。『きょうけん』コヨーテ・バッドフェロー(BNE004561)が疑問符を浮かべるのもしかたがない。 悪事を働く者を悪、逆を正義とするならシンプルな話ではあるものの、そんなものは立場ひとつで様々である。 「イイ奴でも悪ィ奴でも、弱けりゃ負けるし、強けりゃ勝つだろ?」 コヨーテの考え方はその善悪を超越した、『戦うならば勝つ』という考えのみ。 故に彼は言う。 「オレは死んでも負けたくねェ。だから勝ちたいッ!」 ――と。 他のリベリスタ達の思いも、先述の『それぞれの正義』と同様に様々だ。 「合体ロボか……懐かしいな」 子供の頃を思い出している三影 久(BNE004524)は幼かった当時を振り返り、必要があるならば汚れ仕事も行う今の自分は、ヒーローとは呼べないと彼は考えている。 「同じヒーローとしては今回は少々複雑です」 「だな。正義感の強いエリューションか。崩界を招く正義感とは、なんとも因果なもんだぜ」 一方ではヒーロー、否、この場合はヒロインか。の道を突き進む『スーパーサトミ』御剣・カーラ・慧美(BNE001056)や、彼女の言葉に頷いた『影の継承者』斜堂・影継(BNE000955)は、思いと運命が相反するエリューション達の存在に複雑な表情を浮かべていた。 悪を許さない思いにはリベリスタ達も共感は出来る。 しかしロボ達は運命に愛された存在ではなく、存在していてはいけない存在。 「どっから出てきたのかは知んないけど、アザーバイドって訳でもないみたいだし、しっかりがっちり、退治さしてもらっちゃうかんねっ!」 そんな相手に対してリベリスタ達が出来ることは、ただひとつ。『ムエタイ戦士』滝沢 美虎(BNE003973)が言う、倒す事だけだ。 『――来訪者か?』 近づいてくる足音を察知したのだろう、ソードウォリアーの顔がその方向へと向く。 「喋れンの? うお、すげっッ! 乗れたりしねェの!?」 『なんだ、来訪者か。残念だがコクピットは存在しないんだ』 現れるなり興味深そうに視線を移すコヨーテに対し、攻撃もせずに丁寧に応対するところを見る限りでは、ロボ達は運命に愛されなかっただけの存在であり、やはり人に害悪を成す事はしないらしい。 「へぇ、それは残念だな……っと」 「闇よりなお昏き影の戦士、シャドウブレイダー見参! 虚ろなる正義の使者よ。世界を危機に追いやる己が運命を理解しているのか!」 そして会話を続けようとするコヨーテを制し、続いて現れ口上を述べたのは影継だ。 彼の口上こそがリベリスタ達がロボを倒す理由そのものであるのだが、当のロボにとっては理解できる話では決して無い。 「ロボが相手でも負けません! 超正義スーパーサトミだだ今参上! あなた達は私達が倒します!」 『我々が世界を危機に追いやるだと?』 さらには正義のヒーローを名乗る慧美の姿が、ロボ達の目を引く。 誰によって作られたのかはわからない。なぜ意思を持って動いているのかもわからない。 正義として悪を討つ、その気持ちだけが彼等のアイデンティティ。だが現れた彼等は正義を名乗り、自分達を討つと言う。 『我々にそのつもりはないのだがな。君達の目的は何だ?』 だからこそソードウォリアーはリベリスタに問う。敢えて問う、真意を。 「世界のためにお前達を倒すことだ」 剛が言った。 見渡せばリベリスタ達は武器を構え、今にも攻撃を仕掛けてきそうな気配を見せている。 『悪ではないならば戦う必要を感じないが、戦うつもりならば我々もただやられるわけにはいかない。反撃はさせてもらおう』 ならば仕方が無い。 そう言いたげな仕草をもって、ロボ達も戦闘態勢を取った。 ●ぶつかり合う正義 「この世界は緩やかに崩れている。お前達がこうして意思を得た事も、この世界の綻びを示す一つの材料だ」 『ならば俺達は悪なのか? いや、違う。俺達は平和を望んでいる。そのためにも、ここで倒されるわけにはいかない』 ガトリングの弾をばら撒く久の言葉が、ロボ達の心をじわりと抉る。 我々は正義だ。その心がある。ならば、何故世界を壊してしまうのだ? 「そして、その存在は更に世界の綻びを促進する……が、それを嘘か真か判断できる材料はお前達には無いだろう」 久の言う通り、ロボ達は彼の言葉の真贋を把握する材料を持ってはいない。 「はっきりしているのは、俺達はお前達の正義を阻む存在だ。……全力で来い」 『言われなくても、そのつもりだ!』 戦う理由が必要だというのなら、自分達は敵対する存在だと久は告げる。 倒すべき悪であろうがなかろうが、攻撃してくるならば応戦する。ロボ達にとっての戦う理由は、今はこれだけで十分だった。 「4体の攻撃は確かに強いな。これが通じると良いんだが」 放たれるロボ達の砲火に耐える『てるてる坊主』のサングラスの下の瞳は、巻き起こる着弾の煙に遮られてもしっかりと相手を捉えている。 補足している以上、直撃するかは別として攻撃をかける事自体は難しい話ではない。 「頼むぜ」 「あぁ、任せてくれ」 ソードウォリアーと剣を交える『合縁奇縁』結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)の声に頷き、フツが放つは相手の動きを鈍化させる強力な結界。 あまり素早くない部分も起因したのだろう、ソードウォリアーとエレファントの動きが目に見えて鈍くなった瞬間を、竜一は見逃しはしなかった。 「不運だな。鈍った瞬間に土に足を取られるとは。だが戦う以上、遠慮はしない」 『その通りだ。お前達は我々を破壊しに来ている。それは決して遊びではやれないだろう』 どんなに不利な状況に陥っても、その正義が世界のためにはならないと告げられても、決して折れずに立ち向かう心こそがソードウォリアーの、ロボ達の武器。 「同感だ。どんな不利も勇気で全部補えって俺の心の勇者が叫んでいる。勇気があるからこそ、勇者なんだ! そして勇者は正義なのだ!」 『お前達も勇者を名乗るか。なら――どちらが世界を守るに相応しいか、かかってこい!』 善や悪。敵同士。そんな垣根を越えた2人の『勇者』の剣が激しくぶつかり合っていく。 この会話でロボ達はリベリスタ達が悪ではなく、似た考えを持った存在だと認識したようだ。 「とらぁ……じぇーのさいっ! ……って、攻撃の流れが変わった?」 互いに譲れない正義を竜一とソードウォリアーが語り合った後、対峙するユニコーンの片割れを攻め立てていた美虎は、どことなくロボ達の攻撃が変化したような感覚を受ける。 まるで粉砕するための攻撃から、試すための試練の攻撃に変わったような、そんな感覚。 事実、突っ込んでくる者から倒そうと攻撃を集中させていた攻撃とは変わり、反撃するユニコーンの目は美虎だけを狙ってはいない。 「……まったく。世界を破壊すると教えても、やる気が削がれてないな」 その様子を静かに見守っていた影継は敵の状態を解析すると同時に、テレパスを持って再びロボ達へと言葉を投げた。 (お前達の正義は誰のためのものだ!) 世界を壊すと教えて尚、戦いをやめない正義は何のためのモノか。彼はロボ達に問う。答が得られるとするなら、それは攻撃スタイルの変化の理由となるだろう。 『もちろん、世界のためだ。俺達が世界を壊すというのなら、お前達の正義で俺達を乗り越えていけ!』 答えるソードウォリアーが望むのは、自分達を乗り越える事。 世界を破壊する自分達に敗北するようならば、世界を守る事など叶わないとロボ達は言っているのだ。 「俺等を試すってのか? 良いぜ、その目にしっかりと焼付けな!」 ならば強さを見せつけ、乗り越えるまで。コヨーテの放つ風を裂く蹴りに一層の力が篭る。 鉄で出来たロボのボディは確かに頑強だが、その蹴りは極縛陣に囚われたエレファントに深い傷をくっきりと残すほどに強烈なもの。 (覚醒したのは楽団の時か。あれから色々あったな……) 一方で援護を担当する剛は、なにやら過去を思い出しながら冷静に弾丸を放っていく。 「OK、自衛隊に居た頃より自衛隊っぽいことしてるじゃねーか、フィクション的な意味でだけど」 目の前のロボ達を倒す事は、世界の安定につながる。元いた組織以上に何かを守る戦いに従事する事に、剛の心はどこか高揚しているようにも見える。 が、無作為に攻撃をかけるだけが彼等の戦いではない。 「1つに集中しないで、万遍なく頼むぜ」 ロボ達を暗黒に包みながら解析を行っていた影継が注意をかけるように、リベリスタ達が望むのは合体したフェイトブレイカーとの戦い。 「わかってます! スーパーサトミぱぁーんち!」 唯一低空を飛ぶイーグルの相手を買って出た慧美の拳が、イーグルの横っ面に叩き込まれれば、 『ウィングカッター!』 殴られたイーグルも負けじと羽の刃を彼女に向けて放つ。 時にはお互いが高速で移動しながら、時には動きを止めて守りながら。 「どうやらちゃんと削っていけているようだな。少し目では追いにくいが……」 繰り広げられる空中戦は、影継の目を持ってしても捉えるのには手間がかかるスピーディーさがあった。 「なかなかにやりますね。では、これならどうでしょう!」 ふと、慧美の動きが止まる。 彼女の視線が映していたのは眼前のイーグルではなく、そのすぐ後方にある木。 「今だ、行け」 「外すなよ」 どうやら慧美の狙いを察知したらしい剛と久が、ほぼ同時にガトリングで援護した事はいい目眩ましとなった事は言うまでも無い。 「スーパーサトミきーっく!」 木を足場にして放たれた力強い蹴りが、空中戦に終止符を打つ。 「こっちも負けてらんないねっ!」 ならばと次に攻撃を仕掛けたのは、ユニコーンのドリルを膝を使ったブロックで手際よく捌いた美虎だ。 「ドリルは当たると痛そうだけど、まっすぐ突っ込んできたらバレバレだっての!」 離れ際に膝蹴りを一発。軽いステップと共にさらに回し蹴りを一発。 だがこれは、次に叩き込まれる攻撃の布石でしかない。 「はぁあああ……! とらぁ……じぇーのさいっ!」 地を蹴り、その反動すらも力に変えた美虎の強烈なキックに、大地を舐めるユニコーン。 『くそ……合体だ!』 明らかなる劣勢の中、それでもロボ達は諦めない。 彼等は最後の手段、即ち合体を切り札として残していたのだから――。 ●最強合体フェイトブレイカー! 『いくぞ、最強合体!』 その掛け声と共に、集まっていくロボ達。 ユニコーンは頭の部分が膝に変形×2。 エレファントは頭部を切り離し変形し、ボディは形を変えつつユニコーンを足に装着。 胸の部分にはソードウォリアーが収まり、背部にイーグルが合体するという合体構造。 「合体ッ! うおォ! やっぱテンション上がンなッ! すげェ! オレも合体してェ!」 眺めていたコヨーテのテンションはMAX! 「この時は攻撃しない。お約束だな」 言った久も、誰もこの瞬間に攻撃しようとはしない。だってお約束だもの。 『フェイトブレイカー!』 最後にイーグルが内蔵していたヘルメットで頭の大きさを調整し、エレファントの顔を盾に、どういうわけかウォリアーのソードが巨大化すれば合体は完了。 『お前達の正義、試させてもらう!』 「出会いが違えば友になれただろうに……。ならばせめて俺の手でお前たちを倒す!」 勇者パースに構えたフェイトブレイカーと、対峙する竜一の視線が僅かに交錯する。 確かにE・ゴーレムという存在でさえなければ、友となる未来もあっただろう。 しかしそんな未来が訪れる事は決して無い。無いが故に。 「よーやく本領発揮ってやつだな! よーし、わたしもとっておきの必殺技を使ってねじ伏せちゃる!!」 倒すという気持ちを込めて真っ先に仕掛けたのは、美虎だ。 「右足を狙わせてもらう」 「OK、じゃあ俺は左足だ」 同時に久と剛がそれぞれ両足を狙い、合体したつなぎ目の部分を狙う。 『この程度で崩れる合体ではっ!』 当然ながら、つなぎ目を狙ったとしても合体はそう簡単に解除される程に柔なものではない。 ――しかし。 「喰らえ、必殺! とらぁ……アッパー!」 攻撃に気をとられた一瞬は、美虎が拳を叩き込むのに十分な隙だったと言えよう。 激しい殴打を食らったフェイトブレイカーの顔が、僅かにへこむ。 「じゃあ俺も続くぜ! とっととケリつけたいしな!」 続いたコヨーテの真空の蹴りはシールドに防がれてしまったものの、 「スーパーサトミパワージャスティススマッシュ!」 盾は1つだけなのだ。防ぎ無防備になったところに襲い掛かる、慧美の鉄槌にフェイトブレイカーがよろめく。 『こちらも大技で勝負するしかないか』 合体したとしても、形勢はやはりフェイトブレイカーの優位に動く事はないらしい。 せめて一太刀を。 渾身の力を込めて放つは、ファイナルフェイトブレイク。 「必殺技など使わせるものか! アンタの雷と俺の雷、どっちが強いか試してみようぜ!」 だがこの時は阻むように動いた影継の働きもあり、剣に纏った雷を放出して周囲を薙ぎ払うだけに留まってしまっていた。 雷を操るフェイトブレイカーに合わせるかの如く打ち込まれた彼のギガクラッシュは、それだけではなくその装甲を砕くほどの一撃。 『まだ我々は折れない!』 例え体が砕けても、胸に秘めた正義の心は折れず。 立ち続けるフェイトブレイカーを、リベリスタ達の苛烈な攻撃が襲う。 「お前たちに世界を崩界させないために! 友達であるが故にだ! 友だと思うからこそ、すべきことがある!」 そして逆にフェイトブレイカーの攻撃を受ける中、竜一の剣が『友』と認めた相手の身を裂く。 ――果敢に攻め立てるリベリスタ達。 「ヒーローは! 正義の味方は! 決して負けないのです! これしきのことではやられません!」 いかにフェイトブレイカーが雷を纏った攻撃で足を止めにかかっても、慧美の邪気を祓う光がそれを許しはしない。 そして、その攻撃に耐えながらも攻撃の手を止めないフェイトブレイカー。 『見事な連携だ。だが……こちらのチャージは終わった!』 ここまでの動作は、全てが必殺の名を冠した一撃のため。 『機は熟した! 我を友と呼びし者よ、この一撃に耐えて見せよ!』 狙いを定めた先に存在するのは竜一。 これまでの戦いの中で共感しあった彼に、フェイトブレイカーは最後の試練を与える。 が。 『仲間の影に隠れるか!』 「これがチームワークってやつだ! お前らみたいにそんなカッコにならなくてもな……俺たちは1つにはなれるんだよ! なあ、そうだろ? フツ!」 さっと竜一がフツや剛の後ろに逃げてしまえば、必殺技の的にする事はほぼ不可能に近かった。 頼れるものは、仲間。 「ああ! 1つになるってのは、何も体と体だけじゃない。心と心、音楽と音楽、生き様と生き様……ライブ・と・ライブ!」 通じ合う2人は言葉を交わさなくても、互いの成すべき事を理解することが出来る。 竜一が剣であるならば、フツは盾というように。 「そしてその剣、俺の刃が打ち砕く!」 『ぬぁぁぁぁ! ファイナルフェイトブレイク!』 剣の破壊を破壊を狙い飛び込んできた影継の攻撃を、すんでの所で捌いたフェイトブレイカーはそのままフツを狙い、 「数が多けりゃいいってもんじゃねえぜ。いくぞ深緋! こっちは2人で合体技だ!」 対するフツもカウンターの一撃を狙う。 ――バキン! その時だ、フェイトブレイカーの足が砕けたのは。 「同じところに何度も弾丸を受ければ、さすがにそうなるだろうよ」 銃口から立ち上る硝煙をふっと吹き消した剛が、必殺の一撃の態勢を崩したのだ。 「日にして緋! 僧にして槍! うおおおおッ!」 そして振り下ろされる剣が横切った直後、フツの槍がフェイトブレイカーに突き立つ。 「僧技にして槍技……いや、"双技"ってところか」 くるりと後ろを向いたフツは、その一撃でもフェイトブレイカーが倒れなかったことをさして気にしてもいない。 「……後は頼んだぜ、相棒!」 「任せろ!」 なぜなら後ろに下がった竜一が、トドメをさすべく構えていたのだ。 『フッ……見事!』 竜一の攻撃を受け、爆裂し四散するフェイトブレイカー。 だが最期の時のその顔には、決して怨念や憎悪といった感情は浮かんでいなかった。 「お前達と戦い、得た経験……そして、お前達の意思が俺達の力になる。後は俺達が戦う。……だから、もう休むと良い」 戦ったリベリスタ達は、己を乗り越える程の強き者達だったからだ。 消え行く彼等を見送った久のように、彼等は大半が跡を継いでくれる者達だったからだ。 「……世界の理が異なっていれば、仲良くなれたかもな」 「お前達のライブ(生き様)、忘れないぜ」 力強い瞳で天を仰いだ久とフツは、リベリスタ達は。 きっとフェイトブレイカーの正義の心を受け継ぎ、これからも戦っていくのだろう。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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