● 夏と言えば海水浴。 そんなイメージに突き動かされた人々が海岸へと集まり混雑し、結局海に泳ぎに来たのか人を見に来たのかわからなくなるのも一種の風物詩である。 シーズン中は水着のお姉さんやナンパ目的のお兄さん、元気よく走り回る子供に子供を見守る親、そして水着のお姉さんであふれるはずの海岸は。 今、謎の生物によって占拠されつつあった……。 浜辺にあるDホールからもろもろとこぼれ出る、つるつるふにふに半透明の生き物達。その姿はまるで水まんじゅうだ。水まんじゅう達は浅瀬に移動し、そしてそのまま動かなくなった。 押しては引いていく波の中にぽこぽこと とても涼しげな光景だ。 ……どうにかした方がいいけど。 ● 「簡単に言ってしまうと海岸掃除です」 天原和泉(nBNE000024)は穏やかな表情でリべりスタ達に告げた。どうやらあまり危険性のない依頼のようだ。 「D・ホールからあふれ出した半透明の生き物が海岸を占拠しています。わかりやすく言うのならスライムでしょうか。表向きには海岸で不発弾が大量に発見された、ということになっています」 人避けはすでにすんでいるらしい。 「大人しい性質のようで持ち上げても抵抗しません。さすがにいじめすぎれば反撃もしてくるでしょうが。それでもあまり強くありませんので脅威ではないでしょう」 和泉はにこりと微笑み、こう告げた。 「後片付けが面倒ですので全部D・ホールの中に放り込んでください」 なぜだろう、当たり前のことを言っているはずなのにどこか怖い。 和泉は手に持っている書類を軽く確かめた。 「まず、重機を持ち込んだり、攻撃力の高いスキルを使って海岸が汚れるようなことはしないでください。何も持ってこなくても皆さんが力を合わせれば数時間ほどで片付くと思います」 しかし現場は海だ。しかもスライム達は浅瀬に沈んでいるという。作業すれば濡れてしまうのは確実だ。 「着替える場所は確保していますので各自水着等、濡れてもいい服装に着替えてから作業に移ってください。余裕があれば海岸で遊んでもらっても構いませんよ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:桐刻 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年08月05日(月)22:36 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 夏らしい濃い青色の空と白く大きな入道雲。 今日は絶好のバカンス日和とも言える。 「うみー!」 今年買ったばかりの水着を着て五十嵐 真独楽(BNE000967)は海の家の更衣室から白い砂浜へと飛び出した。 「とても広い湖なんですね。向こう岸が見えません」 シェラザード・ミストール(BNE004427)はため息をほぉっと吐いた。ワンピースタイプの水着にパレオを巻き、麦藁帽子で直射日光を防ぐという海を満喫するには完璧な姿だ。だがこれは依頼の前にアークの女性職員に相談したところ、揉みくちゃにされたあげくに着替えさせられた姿だったりもする。 「おー、海だ~! 久しぶり♪ ビーチ独占で贅沢だねー」 月杜・とら(BNE002285)は海岸をぐるりと眺めた。他と違って普段からえっちな水着を着ている彼女の姿は、小物を外したくらいであまり変わっていなかった。 「お話に聞いていたとおり一般の方はいないようですねぇ」 桜色のビキニにパレオを巻きつけた、可愛らしい姿の神谷 小夜(BNE001462)も同じように海岸を見渡した。 小さな海岸だが普段はそこそこに賑わっているらしい。しかし今は誰もいない。海岸の端っこにある海の家さえも今はアークが借り切っている。 その代わりと言うわけでもないのだが現在海岸を占拠しているのは半透明のスライム達だ。 見上げるほどに大きな水まんじゅうのような物体が浅瀬にずっしりと居座っていた。しかも複数。話によれば手のひらサイズのスライムも沈んでいるはずだ。 「でも、念のためです」 小夜は結界を張ることで万が一のために備えた。 そして少し離れた砂浜の方では。 「どっこいしょっと。あー、めんどくせぇな。もう休んでもいいか?」 砂浜にざっくりとビーチパラソルを突き立てながら、上沢 翔太(BNE000943)はそんなことを言っていた。 「まだ来たばかりじゃないのよ」 そばにシートを広げながらも蔵守 さざみ(BNE004240)は呆れていた。 「冗談だよ。ネット設置くらいまでなら手伝うさ。……おーい、重いのは俺が持っていくから」 翔太は砂浜のそばに停めている軽トラの方に向かって声をかけた。そこでは荷台からクーラーボックスを運ぼうとしている荒苦那・まお(BNE003202)がいた。まおは素直にうなずき、軽い折りたたみ椅子を手に取った。 「男は俺一人だから重いのは俺が持っていかなきゃな」 男は翔太一人? 「え、まこちゃん? まこちゃんはまこちゃんだから良いんだ」 真独楽の性別は真独楽。これは真理なり。 キンバレイ・ハルゼー(BNE004455)は空気が抜かれて折りたたまれた状態のビニールプールを抱え、小学生らしくにこにこと笑っていた。 「スライムいっぱいで楽しそうです! たくさん遊びますよ!」 ● まおは白い大きなストライプが入った水着を着て、頭に水泳帽を被った。 「……スライム様はあそこからあそこまでいます。あまり遠くには行ってないようです、とまおは思いました」 あそこからあそこ、とイーグルアイを使ったまおは指差しながら皆に教えた。 リベリスタ達は小夜から翼の加護をかけてもらい、波やスライムに足を取られることなくネットを設置することができた。 ちなみにネットや支柱はまおがホームセンターで買ってきた。 「よーし、これでちび達が流されることもなくなったねっ」 とらは身を屈め、海面をじぃっと見つめた。太陽の光を反射してキラキラと光る海面の向こうに……いた。とらは半透明の手のひらサイズのスライムを掬い上げた。 「ぷるぷる~おもろい☆」 手の上に載せられ軽く揺すられてもスライムはじっと大人しくしていた。 「本当に大人しくて助かります」 シェラザードは少しだけしゃがみこみ、浅瀬に沈んでいるスライムを手に取った。 「ねーねー、海見たことなかったってほんと?」 スライム片手にとらはシェラザードに尋ねた。 「はい。こんな広い湖を見たのは生まれて初めてです」 「へぇ~……」 とらは少しだけ考え込み、何かを思いついたのか少年のようににんまりと笑った。 「海の水ってすっごい甘いんだよ♪」 「あらまぁ、そうなんですか。では一口……」 シェラザードは両手に海の水をすくい、ごくんと飲んだ。そしてお約束どおりにむせた。 「けほけほけほっ! しょ、しょっぱいです、甘くありません……」 「ふふふ、ごめんねー。海に来たら一度は飲まなきゃいけないんだ。義務なんだよ」 とらはものすごく適当なことを言っていた。 「……いろんな決まりごとがあるんですね……」 半分涙目になりながらもシェラザードは納得してしまった。 ● 海岸の端の方では捕まえたばかりのスライムに頬ずりする小夜がいた。 「……ひんやり気持ちいいです……」 つるつるふにふにの表面は夏の日差しに晒された小夜の肌をひんやりと冷やしてくれた。 「スライムが流されちゃう前にさっさとやってしまいましょ」 手のひらサイズのスライムを持ちながらさざみは小夜に言った。シンプルなビキニの上から羽織ったパーカーは海水に濡れたせいで少し透けていた。 「でも~」 「……そうね、確かにこの弾力は結構気持ちがいいわね」 さざみは片手にスライムを載せ、指でつんつんとつついた。つつかれるたびにスライムの体はぷるぷると揺れた。面白い。 つん、つんつん、つんつんつん、つんつんつんつん……。 最初は大人しくしていたスライムもさすがに怒ったらしい。さざみの顔に向かってぽよんと飛び上がった。しかしその体当たりは片手で簡単に止められてしまった。 「……あら、ごめんなさい。つつきすぎたわ」 スライムは浅瀬でぽちゃんぽちゃんと跳ねまくり、全身で怒りを表現していた。 「はぁ~怒ってる姿もかわいいですね~。持ち帰って一匹か二匹飼いたいんですけど、ダメでしょうか?」 「それはさすがにダメよ。仕事だもの、帰してあげないと」 「でもですねー、神社って暑いんですよ? エアコンなんて無いですし、扇風機すら調子悪いんですから。弱冷気魔法取るまでは本当にもう地獄のような日々で……はぁ~~冷たくて気持ちいいですぅ~」 小夜は再びスライムへの頬ずりをくり返した。 二人の脳裏に浮かぶスライムがいる日常……。 洗面器の中にスライムを飼い、気が向いたときにつつき頬ずりできる生活。 すっかり人懐っこくなったスライムが自分から頭を擦りつけてくる生活……。 「気持ちはわかるけど本当にダメなんだから、ね」 「……ですよねー」 小夜はしょんぼりと肩を落とした。 ● 浜辺では白スク水を着たキンバレイがスライム達を積み上げていた。 「ふぁいや~あいすすと~……スライムさんかわいいです! くっつけたら18連鎖とか出来るでしょうか?」 「荷物も運んだしネットも設置したし、そろそろ本当に休んでも……ん?」 休むつもりで浜辺にあがってきた翔太がそこを通りがかった。海パンの上から羽織った白パーカーからは水滴がポタポタと落ちて浜辺に染みを作っていた。 「こいつらって積んだら消えそうな姿してるよな。四つくらいくっつけてみるか」 キンバレイの隣に翔太は座り込んだ。 「んー、でもゲームと同じなら別の場所に落ちてきて、すらいむ大増殖ですよね?」 「黒かったり硬かったりトゲトゲしてるんだな」 キンバレイは目つきが悪そうなスライム達がどちゃっと落ちてくるところを妄想した。深く描写することはやめておこう。 「待て。合体して大きくなるってことも考えられるぞ」 「と、ということは……!」 不意にキンバレイはきょろきょろと何かを探し始めた。しかし何も見つからない。いったい何を探していると言うのか。 「……メタルでできてるものを倒せばレベルがあがるような気がしたんですけどー」 「なるほど。いたら面白かったのにな」 残念なことにスライム達は合体も連鎖もしないし、金属製のレアそうなのも存在しない。しないったらしない。 ● ネットの近くではまおが釣り用タモを海面へ、がばーっと突っ込んでいた。 「んしょ、と」 持ち上げれば網の中にずっしりとした重さを感じる。まおはそのままD・ホールに向かってよたよたと歩き、スライム達をホールの中へとぽーいと放り込んだ。 「ふぅ、お水を吸ってるみたいに重いってまおは思いました」 その横では真独楽がスライム達を拾い上げ、金だらいの中へと放り込んでいる。たらいの中ではスライム達が窮屈そうにぷるぷると震えていた。 「スライム様達、いっぱいです」 真独楽の持っている金だらいを、まおはのぞきこんだ。 「うん、そろそろD・ホールまで運んであげるよー」 金だらいの中のスライムは押しつぶされたり重なったりしないように並べてあった。そう、それはまるで箱詰めされたお土産の水まんじゅうのようで……。 「…………」 ごくり。 二人は同時にツバを飲み込んだ。 「ひ、一口くらい食べちゃってもいいかな……」 「……おいしそうだとまおも思います。でもダメです、スライム様が痛いとまおは思います」 「……だよねー。よっし、これ運んだら休憩して何か食べよっ」 ちなみにスライムは食用ではありません。 ● 「暑いとすぐに喉乾くわね。あ、飲み物はいろいろ持ってきているから好きにとっていいわよ」 さざみは自分が持ってきたクーラーボックスの中からスポーツドリンクを取り出した。ボックスの中にはジュースや栄養補給のためのゼリーが入っていた。 「あ、一緒に入れてもらった水筒、取ってくれますかぁ?」 「はいどうぞ」 さざみは小夜に水筒を手渡した。小夜はうれしそうに水筒を受け取り、フタを開けた。それはキンキンに冷えた日本酒だった。 「やっぱり暑いときはよく冷えた日本酒に限りますねぇ」 「それはわかるわ……」 呟くさざみは二十歳。飲酒は二十歳からです。 「あ、大丈夫ですよ? お酒強いですから。仕事に支障はありません」 まるで水でも飲むかのように小夜は日本酒をくぴくぴと飲んだ。 「かっきごおり~☆」 いつの間にか海の家に行っていたとらが、カキ氷片手に戻ってきた。 「今はお店の人はいないから勝手に作らせてもらっちゃったよ。あ、だいじょぶだいじょぶ、ちゃんとお代は置いてきたから。売り上げに貢献してるんだよ」 このリベリスタ達、かなりのフリーダムである。 「焼きかけのトウモロコシとかホタテとかあったらよかったのになぁ。……う、売り物にならないものを食べてあげようって思っただけだよ?」 「焼きかけじゃないけど、あるぞ」 翔太は自分が持ってきたぶんのクーラーボックスを開けた。中にはトウモロコシやホタテ、野菜などが入っていた。 「できるだけリクエストには答えようと思って。ちなみにお菓子もある。好きなだけ食っていいから」 お菓子に反応したのは真独楽とまおだった。 「おやつ~♪ 翔太超出来る男、えらーいっ!」 「まおもお菓子をいただきます」 二人は翔太が持ってきたお菓子にそれぞれ飛びついた。 「お菓子を見せて子供達に声をかける事案が発生中ですねぇ」 「人聞きの悪いことを言うな、酔っ払い!」 他に誰もいないとはいえ、聞かれたら他人に誤解されそうなことを呟く小夜に翔太は突っ込みを入れた。 ● 一方その頃。 キンバレイは持ってきたビニールプールを膨らませ、手頃なサイズのスライム達を放り込んでスライム風呂を作っていた。 「この子達は運ばなくてもいいのですか?」 ビニールプールを覗き込みながらシェラザードは聞いた。 「心配いりませんよ! このままD・ホールまで持って行けばすぐに片付きますから! よいしょっと」 スライムが詰まったビニールプールの中へゆっくりと横たわるキンバレイ。足と手を伸ばしてセクシーなポーズをとるが、漫画で見たものの真似だから意味はちょっとわかっていない。 「とっても冷たくて楽しいですよー! 貴方も一緒に入りませんか?」 「私も、ですか? ……それでは少しだけ」 キンバレイが体を動かして作ってくれたスペースに、シェラザードはゆっくりと足を伸ばして腰を下ろした。 ……しかし二人は忘れている。 スライムだって生きているということを。いじめすぎたら反撃くらいするということを。 二人ぶんの質量に押し潰されかけたスライム達はビニールプールから慌てて逃げ出そうとした。そして一部のスライム達は二人の水着の間へと侵入してきた。 「「きゃーーっ!?」」 二人の悲鳴が海岸に響いた。 「おいっ、大丈夫か!?」 悲鳴を聞きつけた翔太は慌てて二人へと駆け寄った。 「そっ、そんなとこ入ったら、んっ、……だっ、ダメなんですから……ねっ、……んんっ」 シェラザードは不意打ちに驚きながらもビニールプールから脱出していた。そして胸の間に潜り込もうとしているスライムを引っ張り出した。 「……はぁ、びっくりしました」 胸を押さえて深呼吸をくり返しているシェラザードの隣で。 「お、奥まで入り込んじゃいましたぁ~、ふぇぇ」 取ってください、と涙目のキンバレイが翔太に訴えていた。 「……く……っ!?」 しかし頭や背中に引っ付いているのならともかく忍び込んでいるのはスク水の中。このままではロリ巨乳の水着に手を突っ込む事案が本当に発生してしまう。 たとえどんな批難を受けることになっても男にはやらなければいけないときがあるのか……!? にゅるん。 奥に進んでも出られないと思ったのか、スライムはキンバレイの胸の谷間から飛び出てきた。 「……よかった……」 いろんな意味で安心した翔太はこっそりと安堵のため息を吐いた。 「しかし、あれね。元気なことだわ」 そんな光景を見ながらさざみは小夜からもらった日本酒を飲み、焼きたてのイカを食べていた。 「焼きたてのイカには日本酒がとっても合いますねぇ」 大人組のリベリスタは真昼間の海岸で軽い飲み会を始めていた。 ● 「ヒャッハー☆ 滑り台だぁー」 3メートル級のスライムの頂上からとらは滑り落ちた。バシャーンと大きな水音が響き、浅瀬の中にとらは着地した。 小さなスライムはつつきすぎたり潰したりすれば怒ることもあったが、大きなスライムはぎゅうぎゅうに押しつぶしても襲い掛かってくるようなことはなかった。ただ気持ちよさそうに浅瀬に沈んでいた。 「……ぷるぷるひやひやします……」 最初はとらと一緒に滑り台で遊んでいたまおだったが、今はスライムの体にぴったりと張り付いていた。 「……このままお昼寝したいと、まおは、思いまし……」 ぐぅー。 スライムをベッドにしてあお向けになったまま、まおは本当に眠り込んでしまった。その背中をじりじりと太陽が焼いていく……。 「えへへ、気持ちいい~♪」 浜辺では一抱えほどもあるスライムをクッションにしながら真独楽がお菓子を食べていた。ふと真独楽はスライムから腰を下ろし、お菓子をスライムへと差し出した。 「スライムちゃんも、おやつ、たべる? ……む、でも、お口ついてるのかなぁ?」 つぶらな瞳は見えるが口はどこにも見えない。そもそも人間が食べるものを口にすることはできるのか。スライムは答えることなくぷるぷると揺れていた。 「取りこぼしがないようにしませんと」 浅瀬を慎重に探りながらシェラザードは呟いた。ネットのおかげで小さなスライムはほとんど取り除かれたようだ。しかし念のためにシェラザードは感覚を強化させながらゆっくりと歩いた。 ザァ……ザザ……。 強化された耳に寄せる水音が響いて心地いい。 「……海とは、とてもいいものなのですね」 時には塩辛いこともあるが。 ● 「……そろそろやっておいた方がいいわね」 定期的に時間を確認していたさざみは広げていたシートやパラソルを片付け始めた。結界を使って周囲に気を配っていた小夜は軽く背伸びをした。 少しだけ涼しくなり潮が満ち始めた頃、リベリスタ達は残っていた大きなスライム達を力を合わせて運んだ。 「もぉこんな危ないところに来ちゃダメだよ? ……でも、一緒に遊んで楽しかったな! ありがとぉね♪」 D・ホールへと押し込む直前、真独楽は大きなスライムにキスをした。表情はわからないが返事のようにスライムの体はぷるんと揺れた。 「……大丈夫です、スライム様はもういないようです」 海岸をぐるりと確認してきたまおが皆に告げた。 「それじゃっ、ブレイクゲート、だねっ!」 D・ホールはとらの手によって壊された。 こうしてリベリスタ達の活躍により、海岸は何の変哲もない普通の海岸へと戻った。既にネットの方も回収されている。 「荷物は全部良しだな。そんじゃま帰りますか、帰るまでが遠足だからな」 ぐぅっと背伸びをする翔太の肌はこんがりと焼け、見た目だけはすっかり健康的な男子になっていた。 「まあ、たまにはこんな日があってもいいわね」 とても穏やかな顔でさざみは呟いた。彼女を昔から知る人間が見ればきっと驚くだろう、珍しい表情でもあった。 突然の異世界からの涼しげな来訪者達は戦いに明け暮れるリベリスタ達へのプレゼントだったのかもしれない。 ……余談ではあるが日焼け止めの塗り忘れがあったために苦しんだリベリスタがいたという。 「ぴやぁぁぁぁ、背中がぴりぴりしますっ」 (>非<) |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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