●必要なもの:まわし 「相撲です」 作戦司令部第三会議室。 フォーチュナー『悪狐』九品寺 佐幽(nBNE000247)は行司の軍配団扇を手に嫌々と語る。 「古来より相撲は神道において神々への奉納神事として執り行われてきました。それは何も無意味な行為ではなく、我々の状況に置き換えますと、アザーバイド達をもてなし平穏無事に帰参させるための、つまりは神聖公明な儀式でありまして」 佐幽はすらすら喋るが心は欠片も篭ってない。 「とある町の夏祭りにて恒例の神事、奉納相撲が催されるのでご参加ください」 貴方たちに淡々と佐幽は告げる。 が、だ。 『SUMOUってなんデス?』 『ジャパニーズスモウレスリング、オウイェイッ!』 と千差万別すぎる貴方たちリベリスタの出自が仇となり、しちめんどーな知識ゼロの面子に佐幽は質問攻めにされたり、あるいは素っ頓狂な無知ボケを連発されてしまうに違いない。 ――めどい。 「では、失礼します」 「待て!」 さっさと帰ろうとする佐幽の尻尾を、誰かがぎゅっと掴まえて引きとめようとした。 すっぽん。 狐の尾が――もげた。 「う、うわぁぁぁぁぁぁっ! すまぬぅぅぅっ! わざとだ! いやうっかりだ!」 「……贋物ですよ、お気遣いなく」 ハッと我に返ってみれば、それは単なるもふもふのしっぽ飾りでしかない。 「おのれ謀ったな駄フォックス!」 「では、ごきげんよう」 本物の尻尾を翻すと佐幽はまんまと逃げ遂せ、会議室には資料のみが残っていた――。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:カモメのジョナサン | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年08月05日(月)22:35 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●迅雷 「発気揚々、残ったッ!」 行司の軍配と発破に睨み合っていた両雄が激突した。 篝火の焚かれる宵の土俵、電雷が光迸る。 稲妻を纏った張り手が相手の外側から膝を払い、電光石火のうちに差し手を抱えて捻り倒した。 決まり手、外無双。 土俵の上を転がされた少年リベリスタが唖然と、花火咲く夜空を背負った勝者を見上げる。 『相撲最強』と白文字で達筆に描かれた勝利者の赤いTシャツが、どこの土産物屋で売っているのか問いたくなる微妙なセンスだというのに、なぜだか格好よく見えた。 『紅蓮の意思』焔 優希(BNE002561)。 その背中には『茄子』『鷹』『富士』が燦然と輝く。 後に、少年リベリスタはこう述懐する。 ――やっぱりアークの精鋭陣は凄かった。 実力も、センスも。 ●ガールズトーク 夏山が夕陽に暮れなずむ。 そろそろ奉納相撲の支度をせねばなるまい。しかし山奥の神社に更衣室なんてある筈もない。それどころかこの神社には社務所や厠さえない。仕方なく女性陣は本殿を借りて、複数のバスタオルをカーテン代わりにした簡易更衣室を用意した。 「……久しぶり」 『無軌道の戦姫(ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)は最後の砦として大事なところに絆創膏を張り、サラシを巻く。 まわしは通常着用に際して補助者を必要とする。不完全なゆるいまわしは「ゆるふん」として技が決めづらくなる等、相撲道では卑劣な反則行為だそうだ。こだわる天乃は当然きちんと締める為に人手を借りねばならなかった。 「誰か、手、貸して」 「任されて!」 『ムエタイ戦士』滝沢 美虎(BNE003973)が無い胸をドンと叩く。格闘技用品店を営み、その道に精通する美虎ならばまわし締めの補佐も万全だ。 天乃と美虎は一呼吸さえ気安くできない集中ぶりで粛々と廻しを締め、すべて終えたところで爆弾解体でも終えたかのように額の汗を拭った。 「ふぃー、あまのん次わたしのやってねー!」 「勿論」 一方、外国勢。 キンバレイ・ハルゼー(BNE004455)はいつもの服装から下だけを脱ぐ。肉鞠に張りつくピチTは“無い方がまだマシ”なほど肉々しさを強調する。ぱちん、ぱちんとサスペンダーを外して下を脱ぐ所作は幼いながらに妙にセクシーだ。 「しょくしゅさんにスライムさん、最近そういうのばかり、久々に普通の依頼なのですー! おうち帰ったらおとーさんと一緒にお風呂入るんだ……」」 ※痴女ロリじゃねーです、ファザコンなだけです。 「!」 ピンと犬耳が立つ。 『リング・ア・ベル』ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)は感慨深げに豊かな胸元で腕を組み、赤裸々な姿のままビスハ奥義、尻尾隠しの術を実践している。 「風呂か、私もよく家族団欒の場としていたな――ああ、思い出す。極寒の氷河へ突き落とされての寒中水泳、暖を求めて抱きついた白熊とのレスリング、その後の風呂は生き返る心地だったよ」 「……死んでたんだと思います」 「はっはっはっ! 自分の思い出の良し悪しなんて自分次第ってことだ、同志パパンスキー」 「?」 怪訝な顔つきでキンバレイは髪を撫ぜる。じつに艶やかで芳しい銀髪だ。手入れが悪ければ、覚醒者だからといって無条件にこう綺麗な髪質は保てない。父親との入浴が楽しみ、か。 「ところで同志キンバレイ、ちょっと私のサラシ巻きを手伝ってくれないか」 「はい」 ぎゅぅぅぅっ。 「ぐ! こ、この圧迫感ぐるじいが我慢だ……!」 「もっと強く」 「はうっ!」 ぜぇはぁハァハァと涎をたらしてベルカはサラシの固定を耐え忍ぶ。 が、お次の廻しはふたりとも素人だけに大苦戦だ。 「尻尾が! 尻尾があらぬ形に!」 「?」 指南書に尻尾つきの場合どうするかは書いてねーです。 「はっ」 ニューなタイプの電流が走る。 世界迷作劇場『将校女ベルカ』はじまり、はじまり。 ダイナマイト鉱山のダイヤモンド事故で軍人の父親を失った幼き将校女ベルカは路頭に迷い、通っていた士官学院の生徒から下働きに身を落として犬のような仕打ちを受けていました。 院長のクホンジ先生のイジメに耐え、ベルカは懸命に生きるのです。 前回「必要なもの:いわし」というお使いに出向いたベルカはペンギン一家に怒られました。 「実はタイトルから既に罠だったさゆ~(暗黒語尾」 「でも院長先生!」 「反抗はウォッカ没収さゆ~(暗黒奪取」 「殺生なっ!」 北国の屋根裏部屋で暮らすベルカはウォッカがないと寒くて眠れないのです。 今回「必要なもの:まわし」という仕事を強制されたベルカはサラシがきつくて惨敗しました。 「夕飯のピロシキ没収さゆ。サラシを巻かない事こそが勝利の鍵…さ~ゆさゆさゆ~(暗黒狐笑」 よだれをだらだらこぼすベルカを足蹴にしてクホンジ先生はピロシキをほうばります。 次回 将校女ベルカ「消えそうな運命」おたのしみに! 「――と言う事なのか!?」 「おとーさん亡くなってかわいそーなのです……」 同情なでぽふ、されました。 ●男子大会 夕陽も沈んだ宵闇の頃、大会関係者は一同に土俵を囲んでいた。 男子大会。 まずは快勝を決めた優希がベスト4に駒を進める。観客は口々に優希の強さを賞賛する。アークの精鋭陣ともなれば、その実力と名声は大関、横綱級だ。 「優希さーん! 一気呵成にぶっちぎれー!」 「ああ、これからお前達も死力を尽くして戦うんだ。ここで俺が負ける訳にもいかん」 『先祖返り』纏向 瑞樹(BNE004308)の声援を受け、優希の快進撃はつづく。けして地元リベリスタ達もからっきし弱い訳でもないのだが、所詮は幕下力士、横綱が負ける道理もない。 「実質、一騎打ちってとこか」 『輝く蜜色の毛並』虎 牙緑(BNE002333)は優希の戦いぶりを冷静に観察するがいざ敵に回すといかにアークのエース級が脅威か痛感させられる。が、これは相撲だ。 やる前から勝負をあきらめるなんざ、男じゃねえ。そうして懸命に戦い、決勝へ辿り着く。 「東ぃぃぃっ、焔花山(ほむらはなやま)」 双眸に静かなる紅蓮の炎を滾らせ、勇ましく優希は土俵入りする。 「西ぃぃぃっ、虎王牙(とらおうぎば)」 牙緑は神主に即席で強引に名づけられてしまった四股名の大仰さに内心苦笑しつつ、名前負けせぬ立派な戦いぶりを見せてやろうと意を決して、土俵入りした。 本業力士ほど剛健で恰幅のよい体躯でなくとも、細く引き締まった牙緑は十分に土俵映えする。 今更、無駄口を叩く局面ではない。 両者位置につき、両手を土俵につけ、睨み合う。相撲の立会いに、じつは開始の合図というものはない。「はっきょい」は静的な場面での行司の掛け声、「のこった」は動的な場面での掛け声に過ぎないのだ。両者の呼吸が重なり、気合が最高潮に達して「今」という時それが開始だ。 「発気揚々」 今か。 今だ。 今! かわした。牙緑の超反射神経が、電光石火の迅雷張り手をかわした。しかし直後、二打目が掠り、三打目が胸襟を突く。浅い当たりだが、文字通り痺れる一撃だ。 優希はリズミカルに土俵を駆け、錯乱を図りつつ再度の迅雷張り手を狙ってくる。 虎眼一矢。無言のアッパーユアハートによる牙緑の挑発が、そうと気づかぬうちに優希の精神を揺さぶる。 「覇ッ!」 土砕掌による重き張り手を、かろうじて直撃を避け耐え凌いだ。即座、爆裂する闘気を滾らせ大外刈を仕掛けるが今一歩のところで優希のハイバランサーが奇跡的な足運びで転倒を防いだ。 長期戦、順当な体力の削り合いになれば優希が勝つだろう。逆転の一手、それしかない。 ジリジリと土俵際に追い詰められつつある牙緑。優希の大雪崩が豪快に炸裂した。 牙緑、姿勢を崩しかけたところを面接着で仕切り縄に張りつき、ハイバランサーで強引にメガクラッシュ突き出しで起死回生を計るがしかし押し切れない。 ならばと牙緑が大技を決めるべく掴み合った時、ふわりと暖簾を押すように手ごたえがなくなった。刹那、優希が全身のバネを使って反動をつけて押し返し、踏ん張れない牙緑をほんの少々空に浮かせ、そして旋回する龍の如く、猛虎を大地へ捻り倒したのだった。 呼び戻し。 力と技、双方を極めた力士のみが用いた幻の技だ。 勝敗が決まり、土俵へと座布団の雨が降る。 清々しい気分だ。勝とうが負けようが、全力の勝負をやり遂げたのだ。 優希と牙緑はお互いに土俵での礼に則り、敬意を以ってお互いの健闘を称えたのだった。 ●和やか場所 「みんなー! 頑張るから応援してねー!」 『先祖返り』纏向 瑞樹(BNE004308)はユニタードにまわしとかなり控えめな姿で土俵へ登る。 男子大会と一転、女子大会は華やかで少々緊張感に欠けてもいる。手を振りながら入場する瑞樹への声援など一気にお祭りっぽくなってきた。 「がんばれですー」 『瑞樹ちゃーんがんばれゾヨー』 人気の秘密は“加護”だ。なんとなーく神様の加護を得やすくなる、のかもしんない。たとえ気分だけでもいいのです。勝負は気合が決めるのだ。 一方、初戦の相手はキンバレイだ。 「きんばれいがんばりますっ」 ふにゅんっ。ピチTまわしロリ巨乳小学生の肉感溢れる躍動。 うおぉぉぉぉぉっ! と観客の一部層が大いに熱狂した。 「神様ありがとう! あ、俺神様だわ!」 「ひゃっほぉぉぉうっ!」 魔乳、恐るべし。いつの間にか瑞樹の声援をがっつりもっていかれた。 「なにこれ理不尽」 「東ぃぃぃぃ、竜瑞樹(たつみずき)」 「西ぃぃぃぃ、金馬札(きんばれい)」 発気揚々、残った! パンッ! 開始早々、猫だまし炸裂! しかし絶対者たるキンバレイは虚を突かれることなく、両者お互いにがっぷりよつに組み合う形に。 胸。 乳。 キンバレイのやわらかクッションにどこそこ押し潰されそうになる度、瑞樹の中に眠る大蛇が鼓動する。相性はお互いに悪い。決め手に欠けるまま膠着状態に入り、否応がなしに血が騒ぐ。 そこへ観客の、一応神々であらせられる連中の軽薄なセクハラ応援が雨あられ。 憎い。 きょぬーが憎い。 「女には――」 化身だ。瑞樹の内なる竜の力が、八岐大蛇のオーラを幻出させる。 それは暴れ狂う大洪水と化して瑞樹に力を貸し与えて、渾身の浴びせ倒しを繰り出させた。 「負けられない戦いがあるのよ!」 のしかかり、真下へ潰し倒す。強烈なプレスが勝負を決めた。 ジュララララッ! いつまでも消えぬ八岐大蛇のオーラが観客席を蛇睨みする――。 ●自由人 登場、満を辞して。 『まだ本気を出す時じゃない』春津見・小梢(BNE000805)は自由人である。 「そぉーれぇーっ」 世界初、土俵にカレー粉を撒く人。 「……」 行司の神主がこっちを見ている。 春津見は真夏のインドネシア諸島の海と太陽みたいに晴れやかに笑ってみせた。 「ダメかな?」 「ダメじゃよ」 即、失格。 「(´・ω・`) ショホ゛ーン」 天乃との準決勝、奮戦あえなく負けてしまった瑞樹は体育座り中だ。 大蛇の怒りが鎮まったら急に気力が尽きた。というか、今頃になって気恥ずかしくて悶絶した。 春津見に「ナンカレー食べる?」と慰められる中、ベルカと美虎の立会いがはじまった。 ●狼虎相打つ 「お祭り! おすもう! やっほーい! この大一番、勝って三高平に五穀豊穣をもたらします!」 と当初は大はしゃぎしてた美虎だが、こと勝負に至っては礼儀作法を尊び、真剣に望む。 サラシにまわし、鼻息荒く気合や十分。カレー粉を除くために一時清掃していた土俵はまっさら。塩を撒き、場を清めて蹲踞、四股、陣切りと見事な土俵作法を齢十三にしてこなしてみせる。 ベルカも完全とはいえないが見よう見まねで美虎につづき、拍手を打つ。 「東ぃぃぃぃ」 「ちっがーう!」 行司に詰め寄りベルカは猛抗議する。 「北! 北だ!」 「う、うむ」 仕切りなおして。 「北ぁぁぁぁ、犬見盛」 「西ぃぃぃぃ、虎滝沢」 狼虎相対す。 「発気揚々、残った!」 美虎はすかさず懐に潜り込み、まわしを掴み、密着を計る。半ば王手に近い。 「見える!」 が、ベルカはすべてを予期していた。美虎は角力の使い手、下方に回り込まれて投げられる危険性が高い。ならば高低差を利用して押し潰すのが上策だ。 「我が祖国が柔術より生み出せしコマンドサンボ! その裏技“三年殺し”を知っているか!」 「ま、まさか! その技を喰らった者には、三年の命しか残されないというあの伝説の!」 「これは三年殺しと相撲のハイブリッド必殺技……!」 白銀の大地にて、高身長のベルカはあたかも高所よりの一斉砲撃のように次々と美虎を蹂躙する。 さらに事前に特別出演を依頼したインペンリアル一家がシベリアの極寒でブレイクダンスを踊る。 三年殺しの衝撃に、格闘マニアゆえに気圧された美虎は反撃できず、されるがまま。ものの十数秒で計203発の張り手が美虎を打ちのめした。が、サラシが必殺技の激しさに解けてゆき――。 「い、いったいわたしはどうなる……!?」 いや、痛くない。三年殺しは即座にはダメージがないのだ。ゆえに恐ろしい。 「はっはっはっ! この必殺技は一撃ごとに美虎の寿命を3年ずつ延ばしていくぞー! 3×203=609年だ!!」 「……」 「どうだ、怖くて声も出せまい!」 その時、ゆるゆるのサラシが夜風にぴゅーっと連れ去られた。 「……ん、なにか涼しいな」 「わーわーわーっ!!」 ポロリはアウトー! ベルカ、不浄負け。 ●奉納試合、おしまい 女子大会、決勝戦。美虎と相対するは天乃だ。双方ともに本格志向、熱戦であった。 推移は互角。どちらが勝っても不思議でない。 天乃のブラッドエンドデッドが閃く。その一撃が勝負を決した。 はらり。 美虎のサラシが千切れ落ちる。 「ちょっ!」 勝利を確信した天乃。流石ナイトクリーク絡め手はお手の物だ。 が、軍配は美虎にあがる。 「え」 「反則負けだよーっ!」 真っ赤な美虎にぽかぽか叩かれる天乃。もっぱら正々堂々と試合を意識する破界闘士と卑怯でなんぼの暗殺者たるナイトクリークの職業的なクセが出てしまった形だ。 最後は笑い話になってしまったがしかしギャラリーは大変満足してくれたようだ。白熱する試合も多く、サービス満点のトラブルも山盛り。結果オーライである。 その証拠に、神々はアーク一行と暫し楽しく語り合い、来年が楽しみだと口々に述べていた。 ●おかえり 「――で、河童に挑んでことごとく返り討ちになったと」 帰還した一同の報告をまとめていた佐幽は会議室の机を見渡す。 牙緑と天乃と春津見、三人ともふにゃ~っと魂の抜けた様子で机に突っ伏している。――あ、最後の一名いつもそーですね。 「キュウリはもう見たくねぇ~でございますです」 牙緑、キャラ崩壊。 「河童に、なんて、絶対に、負けない。……、河童には、勝てなかった、よ……」 天乃、いつも通り? 「大変さゆさゆ! 天乃パンツ履いてる!」 「……ある意味で重症だな、無茶しやがって」 美虎と優希の驚きっぷり、なにか根底のとこ間違ってませんかね? 「写真、できたのです」 キンバレイは神社で撮影した罰当たりなえっちぃ巫女グラビア写真などを無邪気に配る。 「同志キンバレイ! こ、この写真は!」 「わっ、わーっ!」 サラシブレイクの証拠写真、である。 「おとーさんが、ネガがほしかったらお電話してくださいって」 「行くぞ美虎!」 「おー!」 外へ飛び出してった二人をよそに、瑞樹はすりすりと蛇の抜け殻に頬ずり中だ。 「にふふー、蛇さんキュートだったねー」 「あー、白魂ウサギまるのみしようとしてた白蛇だっけ」 「春津見さん、報告書にほとんど何も書いてないのですが、なにしてたんですか?」 「あー、ソレね、じつは――」 佐幽の問いに、春津見はある後日談を語りはじめた。 惨敗した牙緑の尻子玉(詳細不明)を抜かれた惨状、春津見みたいなふにゃふにゃな言動に誰もが戦慄した。 唯一、河童と縁のあった天乃は勇気を出して謎の河童Xへ挑戦した。 ハイバランサーを主軸に動き、卓越した五感を駆使して河童Xの動作の予兆をつぶさに感じ取って先読みする。繊細な暗技も冴え渡っていた。 しかし河童Xは強かった。力と技どちらも抜群に高く、天乃はそのパワフルさに押し切られる。 誰もが絶望しかけた時、ついに春津見が出陣する。 穏やかなる食欲を持ちながら激しい空腹によって目覚めたスーパーインド人、春津見。彼女がやらねば誰がやる! ググってきた付け焼刃の自他ともによくわからないインド相撲「クシュティ」を駆使――するのは無理だったので普段どーりゆるゆる土俵へ。 3分後、そこには土俵上で“皿が乾いて”弱りきった河童Xと余力を残した春津見が! 彼女の超ウルトラHP物理防御特化がここで真価を発揮する。 「河童の弱点はスタミナ切れ、夏バテはカレーを食べて乗り切ろー!」 青白いオーラを纏い、春津見のヘビースマッシュが河童Xをついに押し出した。 奇跡の大勝! 「いえーい」 そうして春津見は弱りきった河童Xの皿にカレーを盛ると、河童は水を得た魚、いやカレーを得た鰯のように元気になりお礼を述べた。 最後の別れ際、ゲートを閉じる時に何かをもらったとか――。 「……で、その戦利品とは」 「河童のカレー皿」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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