●ロボとドラキュラ 「名古屋様。実は私……悩みがあるのです」 珍しく、元六道フィクサードの吸血鬼がアーク本部に現れたかと思いきや。告げられたのはそんな言葉だった。 「悩み、ですか?」 アーク本部の廊下、長椅子に腰掛けて。メルクリィは横に座るスタンリーを見やった。医療用の輸血パックに刺したストローから血を飲みながら、吸血鬼は丸眼鏡の奥の淀んだ視線を向け返す。 「えぇ……この度アーク管轄下に置かれ、最前線に赴かなくなって久しいのですが。あぁ、私自身としては嬉しいのですよ、何十時間惰眠を貪っても何も言われませんから。 ですが……その所為でですね。こう……要は、随分と鈍ってしまったような気がして」 浅い溜息。スタンリーの生来は面倒臭がりで出不精で事勿れ主義故に、何もしなくてもいいのなら本当に『何もしない』のだ。 アザーバイド『混沌』に汚染された精神状態を鑑みればそれが一番である事は理解している。実際、何もしなくていいのは幸せ過ぎる。だが。だがしかし。 「……ああ、リベリスタの皆々様に助けて貰ってばかりだから、いつでも恩返し出来るようにしておきたい、という事ですな?」 「……」 黙すスタンリーにメルクリィは苦笑を浮かべた。咬兵もそうだが、彼は不器用だ。そして本心を見透かされる事を好まない。 「承知致しました。お任せ下さいな、スタンリー様! それから、アレですぞ。血ばっか飲んでないで、ちゃんと野菜とか固形物も食べて下さいね」 「夏バテで固形物が喉を通らないのですが……日本の夏は暑すぎます。イギリスに行きたいです」 「あぁ、イギリス。良いですねぇ。いつか皆で行きたいですな!」 ●とまぁ、そんなこんなで 「こんにちは皆々様! 今日も今日とて暑いですな。そして今日も今日とてエリューション事件ですぞ!」 事務椅子をくるんと回し、『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)は一息にニコヤカにそう告げた。 「皆々様に課せられたオーダーは『敵性エリューションの殲滅』。そして件の敵性エリューションはこの夏の熱気が革醒したもののようでして……えぇ、常日頃から『暑さ滅びろ!』と思っている方には正にうってつけですな」 親衛隊事件で慌ただしいが、リベリスタとしての務めもキチンと果たさねばならぬ。世の秩序を保つのが『正義の味方』たるリベリスタの役割なのだから。 そして今回の任務には助っ人が一人、居るのだと言う。メルクリィが手で示した、その先。気配無く佇んでいたのは一人の男。 「……こんにちはリベリスタの皆様。スタンリー・マツダと申します」 此度はどうぞ宜しく。丁寧な礼と共に、男は告げた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年07月27日(土)23:18 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
●真夏の夜のナントカ 夜の街。湿った路地裏。存在しているだけで汗が流れる気温だった。 「あっつい!!」 思わず『リコール』ヘルマン・バルシュミーデ(BNE000166)は茹だる様な空を仰いで声を張った。しかしリーツェ・F・ゲシュロート(BNE004461)は冷静に、 「熱いのに更に熱くしてくるとは、嫌いじゃない」 「やめて! 機械化部分熱暴走しちゃう! あつい! 熱持ってる! 焼肉焼けちゃいますよマジで!!」 汗だくのヘルマンの言葉に。リベリスタに同行していたスタンリーがふとその腕に指先で触れてみて、じゅう。 「 」 「ス スタンリーさん!?」 「あまり無理はするな、メガネの紐長……スタンリーさん」 「……私の名前はスタンリーです、間違えないで下さいませ」 「紐長いマン……じゃなかったスタンリーのおっさん」 二人にジトリと目をやった彼を次いで呼んだのは眩しい笑顔の『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)。何でもリハビリだそうで。胸を張る。 「前回に引き続き、ワタシ達にお任せ! だぜ! まあ、余り焦らずにやってくといいと思うよ?」 「スタンリーマツダ! 貴様の運動不足の解消にこの天才が付き合ってやるのだ! ありがたく思うがイイ!」 明奈の横で更にムンと『ジーニアス』神葬 陸駆(BNE004022)が胸を張る。 「貴様は暑いのが苦手か。弱冷気魔法というのがあるらしいぞ!」 弱冷気魔法? と己の周りをちょろちょろする陸駆に聞き返したスタンリーへ、『箱舟かんれき水着部隊!』レイライン・エレアニック(BNE002137)が汗を脱ぐいつ苦笑を浮かべた。しってる? ゴスロリとかああいう凝ってる服って暑いんだよ。マジで。 「スタンリーの気持ち……分かる、分かるぞよ。わらわもこの暑い時期は冷房効いた部屋で一日ごろごろしたいのじゃー」 「あぁ、同感で――」 「恩返しとか中々慎ましやかだな?」 彼の言葉が終わる前に、『消せない炎』宮部乃宮 火車(BNE001845)がその尻にヤクザキック。死なない程度に。 「ヤり損ねといて何だが、キチ女の打倒も済んでねぇのに穏やかなモンだ。その為のリハビリってなら、何時でも付き合ってやらん事もねぇぞ」 「……どうぞ宜しく。死に果てるまで」 表情こそ変わらぬが『ヤル気』は相当。面倒臭がりだが有言実行。上等だ。火車は応える様に鬼暴で武装した拳を搗ち合わせた。 そんな最中に胡乱な気配。じりっと肌を焼く熱気。 見遣った。凶暴を剥き出しにした、エリューション。 「そこまでです! 灼熱ハウンド! スーパーサトミ只今参上! 私が来たからには成敗しちゃいます!」 ヒーローマントをばっさばさ、世の悪を倒し正義を成す為、『スーパーサトミ』御剣・カーラ・慧美(BNE001056)只今参上。 「ドラマテックでサイコダウナーな戦いを見せてやるぜ」 「今日は心強い味方も普段より多くいることですし、ぶっ飛ばしてクールな夏にしてさしあげる! 覚悟!」 ヒーローショーのノリを思い出す。リーツェとヘルマンがドヤーッとキメる。最中、ヘルマンは我知らず口元が緩んでいた。 味方かあ。 ……味方なんだなあ。 視界の端、傍らの気配。構えられた巨大メスは今、自分にではなく『自分と同じ方向』を向いているのだ。 ハッ、しゃきっとしなくては。意識を集中させ、一気に地を蹴る―― ●ドラマティック俺達 飛び出したヘルマンとレイライン。けれどその突撃は攻撃を仕掛ける為ではなくて。 「変な所触ったら……分かっておるの?」 「変なところ……えっレイラインさんには変なところが」 「もうええわい! 行くぞえ!」 そんな茶番もそこそこに。ヘルマンはレイラインを小脇に抱えると壁へ駆け上がった。接着の技能を使い、駆ける。駆ける。向こう側へ。「ジュワッ!」と飛行能力でそれと並走するのは慧美だ。 灼熱ハウンドがそちらに気を引かれた。放つ熱気が戦場を包む――轟。熱い。熱い。 されど絶対者たるルー・ガルー(BNE003931)にそれは効かない。氷の爪に冷気を纏い、灼熱ハウンドに突撃する。 「ルー、ツメ、ヒェヒェ! カチコチ!」 ざくり。それは灼熱ハウンドには手痛い一撃だ。異形が不愉快げな呻きを漏らしつ口から熱気を放射すれば、応える様に熱球もゆらゆら襲い掛かってくる。 「させないのだ! 天才FB!」 FBとは即ちフラッシュバンである。陸駆が放った神秘の閃光弾が炸裂し、数体の熱球の動きが怯まされた。 今だ。アイコンタクト。頷き、一歩前に出るのは火車とスタンリー。 「よぉ病弱 リハビリつき合ってやってんだ 術後の経過 見せてみろぉ!」 「仰せの儘に、宮部乃宮様」 ざん。地を蹴り。懐刀のメスが敵を八つ裂き、開かれた道を火車が往く。灼熱ハウンドの横っ面に熱いの一発プレゼント。物理。返って来るのもまた炎。熱。熱いのはいいねえ。素敵な夏だ。 そんな夏に相応しく、景気良いのがドカンと一発ぶっ放されるそうで。 「舞台は整えてやったぜ やるならとっととやっちまえ、思い切りな!」 「宮部乃宮先輩ありがとー!」 元気良く手を上げたのは明奈。 準備は完了。ニッと笑んで、思いっ切り踏み出した。 さぁショータイム。 それでは行ってみましょー! 「魔女が授けし脅威のチカラ! 唸れドラマ! 響けアイドル! 今、ワタシが夏空に輝くスターオブスター!」 駆けるステップに星が舞う。掲げる盾に光<ドラマ>が宿る。 「全 力 全 開 アキナ・ドラマティカぁぁぁああああああああっ!!」 それはドラマーのドラマーによるドラマーの為のドラマチックな超絶奥義。 信じるは自らの運命<あいどるぢから>。集中されし全身全霊。猛烈な閃光となった明奈のドラマが灼熱ハウンドを真正面から殴り飛ばす! ドラマを上げて物理で殴る! 「――!」 正に劇的な一撃。凄まじい一撃。強烈無比な一撃。灼熱ハウンドがタタラを踏む。 だが同時に反動が明奈の身体を焼いた。それでも笑い、拳を突き付け。 「ワタシは自分のドラマチックさを信じてるのさ!」 その笑みは真夏の太陽よりも眩しくて。 はっ、かっこいーってしている場合じゃなかった。 そうまだ戦いは始まったばかり。無事に挟撃の陣も敷けた事だ。ヘルマンは明奈から敵へ目を向け直すと鋭い蹴撃を撃ち放った。それは空を裂き熱を裂き灼熱ハウンドを裂く。暑くて熱くて熱中症になりそうだから、兎に角攻撃。それが自分の成すべき事だ。 全力全身、全速前進。 「ただでさえこの季節は毛皮持ちにキツいと言うのに……これ以上暑苦しくされてたまるもんかえ!」 長い猫又尻尾を靡かせ、レイラインが灼熱ハウンドに迫る。消火してやるのじゃ、と双扇『歌聖万華鏡』に時刻みの氷を乗せて。絶対零度と氷点下。冷たい氷は愛しい彼氏を髣髴とさせる。 閃く、歌う、華麗なる一撃。凍り付かせる。有象無象を。 「スーパーサトミぱぁーんちきーっく!」 灼熱。慧美の身体は火傷だらけの血だらけで、運命も焼き捨てていて。だがこれしきでスーパーサトミは倒れない。叩かれても殴られても吹っ飛ばされてもピンチになっても決してめげない。勇猛果敢。やる気満々。 「絶対に負けません! このスーパーサトミが倒せるとお思いですか! 正義は勝つのです! 覚悟してください! ――スーパーサトミパワージャスティススマッシュ!」 構える鉄槌、放つ剛撃。 そんな仲間を支えるように、リーツェと明奈が破魔の光で炎を払う。都度与えられんとする炎は確かに厄介だが、厄介な分、打ち消してしまえばこっちのもの。熱球も陸駆がその動きを縫い止めんと奔走する。 されどその内の一体が慧美に張り付き――熱で強かに焼かれた彼女がどうと頽れてしまった。立て続けに灼熱ハウンドが強く地を蹴る。火を纏う突進。跳ね飛ばされたリーツェ、ルーが勢いのまま壁に思い切り叩きつけられ、悲鳴すらなく意識をブツリと途切れさせてしまう。 半数近い味方が倒れ。絶体絶命。だが、リベリスタの作戦勝ちだった。最初から集中狙いしていた灼熱ハウンドは、レイラインの氷刃に、ヘルマンの蹴撃に、火車の業炎撃に、そしてなにより開幕ぶっぱされたアキナ・ドラマティカに体力を削られ瀕死とも言える状態。あと一歩。それで決めねば後がない。『じわじわ』と攻めていてはこちらが押し負ける。何か、何か決定打。 陸駆は素早く、同じ中衛陣の明奈へ視線を遣った。頷いた瞬間の明奈の流れるようなDOGETHER。 「インチャを頂けると嬉しいです!」 「僕はしんしで天才だから土下座などしなくてもかまわん、頭をあげるのだ。フォローができるのがしんしなのだ」 任せておけ。ふふんと笑い、重ねるのは心。満たすのは力。友情のインスタントチャージ。 「よし! 白石明奈! もう一度あの技を見せてみろ!」 「オーケイ! 一度でダメなら二度殴る! 二度でダメなら何度でもッ! それがワタシ!」 準備完了、覚悟オーライ、アイドルとは常にドラマティックでいなくては。アイドルが『一発屋』だなんて笑えない! 「再び集え、ワタシのドラマ! 愛されて二回目! 光り輝け、アキナ・ドラマティカぁあああああ!」 燦然。圧倒。何度でもドラマティック。 反動なども恐れない。反動で倒れそうになっても! ワタシにはドラマが! ある! 「いっけぇええええええええええ!!!」 力の限り。ドラマの限り。 斯くして――灼熱ハウンドの断末魔が、明奈のドラマに飲み込まれて霧散した。 リベリスタ側も被害が出ているが、残す相手はフェーズ1。それも複数攻撃に巻き込まれ手負い状態。 決着が見え始めていた。 だが、最中。火車はふと視界の端で気が付く。 スタンリー。元々顔色が悪いが更に悪い。動きが完全に止まっている。アレか。アレだな。盛大に溜息一つ。 「病弱ゥ! まーだ狂気に苛まれてんのか? そんで? まだフィクサードやってんのか? 塩摂ったか? 水分補給甘く見てっと痛い目みっぞ? んで病弱 お前は一体何者よ? フィクサードか、それ以外か。答えは出たか?」 髪を引っ掴んで顔を上げさせて。睨め付ける。スタンリーは視線を逸らす。 「私は、……」 「答えらんねーなら邪魔だわ 泣くなら後ろで泣いてろガリ!」 頭突き。ガツン。から、火車は男を蹴り飛ばそうとして――躱され、真正面から鋭く視線を突き付けられて。 「俺は俺だ! 『区分』なんぞに縛られない人間だ! 俺は俺の信じるものの為に戦う! それが俺の生き方だッ!」 飾る事の無い紛れも無いスタンリー自身の言葉だった。もう視線は逸らさない。逃げる事も言い訳もしない。立ち向かう。命ある限り。その為にきっと、自分は生き延びたのだから。 あぁそ。素っ気無く、けれど口角を吊り上げて、火車は笑った。 「飯奢んのも近いってかぁ!?」 「……その前にこの鬱陶しい暑さを排除しましょう」 「暑いだぁ? 夏の熱気にしちゃあ……火力が足んねぇ! 熱意が足んねぇ! バカンス感もレジャー感も足んねぇよ!」 夏ナメんな。燃える拳を搗ち合わせ。 一歩。 反対側からスタンリーを気にかけていたヘルマンは一先ず安堵の息を吐き、攻撃をしながらも彼へ声を張った。 「しっかりしてくださいよスタンリーさん! たよりにしてるんですからね!」 そう、頼りにしているのだ。一つ、息を吸い込んで。 「――あなたはもう、アークのリベリスタなんですからね!」 「それ以前に。私は貴方の『友達』ですから」 薄く微笑み。踏み出して、放つのはあらゆる気力を削ぐ波動。陸駆の視線の先で、それが熱球の動きを鈍らせる。好機。 「次は僕の番だな! 天才のかれいな技をみせてやるのだ」 突き付ける指先。奪い取るエナジー。さて、頃合いだ。 「花火! 打ち上げますよー!」 ヘルマンが声を張ると共にドンと地を踏み締める音を響かせた。狙いは恐らく一番消耗しているだろう熱球へ。詰める間合い。ふよふよしているその『下』へ。しゃがみ込んで。バネの様に。思い切り。有りっ丈の気を込めた脚で。蹴り上げた。 ブッ飛ばす。真上。その彼方で。ドカーンと炸裂、汚い花火。 「たーまやー! ……じゃっけ? もうちょい綺麗な花火なら風情もあるんじゃがのう」 「夏といえば花火だな! 汚くても花火は花火だ!」 肩を竦めるレイラインに、「オツなモン用意すんじゃねぇか」とカラカラ笑う火車。見上げたそれから、残りの熱球に視線を戻し。レイラインは身体のギアを強烈に高めた。さっさと汚い花火になって貰おうか――飛び越える刹那。壁を蹴り地を蹴り『万華鏡』を歌わせて。翻すドレス。靡かせる尾。認識を掻き乱す強襲を仕掛ける。打ち据える。 直後に力尽きる熱球が爆発を起こした。どわぉ。爆風。爆煙。ここで「やったか?」と言うとやってない罠。言う者はいないけれど、斯くしてその通りだった。 くるくるくる。煙の中から飛び出して軽やかに着地したレイライン。なに簡単な事だ、爆発に巻き込まれそうなら『回避すればいい』のだ。口角を吊る。 「最大戦速モードのわらわを捕まえようなんぞ100年早いわい!」 残り僅か。その内の熱球が火車に取り憑いた。激しい熱で彼の精神力と体力を奪わんと試みる。が、彼はニヤァ~っと笑って見せて。 「居心地良いか? だが残念!」 チャンスだ。燃えろドラマ。全力で引っ剥がし。鷲掴んだまま。叫んだ。近い奴ぁ離れろと。そしてぶん投げる、呻れ右肩。夏の空に全力投球。ぶん投げたフォーム。から、その分ぐんっと力を込めて。 「雑魚共全部! 仕掛け花火に華ぁ添えやがれぇえええ!!」 天に突き付ける拳。吹き上がるのは地獄すらも生温い灼熱劫火。轟く紅蓮。赤々と『爆』の文字。暴力的な火力が有象無象を飲み込んで。 さぁ皆で声を合わせよう。 「「「……きたねえ花火だぜ!」」」 どかん。 ●ギリチョンも華 もし、熱球から順番に倒していたら――リベリスタは灼熱ハウンドを倒し切れていなかったかもしれない。しかし辛勝は事実、あと一歩、どこかで何かを踏み外していたら。どうなっていた事やら。やれやれと安堵の息を零す。 巧みな作戦捌き、そして心と『ドラマティック』が成した結果だろう。精神力とは大切だ。『想い』があるから人は強くなれるのだから。 「スタンリー、僕の天才アシスタントはどうだった? えらいか? えらいならなでることを許すぞ」 ぐいぐい、スタンリーの手を引く陸駆。振り返った男がドヤ顔の少年に微かに表情を緩め。「仰せの儘に」とその髪を撫でる。 しかし、その背。細い。ガリガリ。 「ちゃんと食べ」てます?」とるのかえ?」 思わずヘルマンとレイラインの声が重なった。 「……食べてますよ、一日三食。輸血パックの血を」 「そんなんじゃだめですよおー! 夏バテ対策に納豆とかいいですよ!」 畑の肉は万能なのだ。肉を食え。NATTOU……眉根を寄せた4分の3イギリス人が実物の納豆を見て真顔になるのはまた別のお話かもしれないしそうでもないかもしれない。 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|