●憂鬱 「…………」 ひどくげんなりした顔で目の前に現れたのは、将門伸暁(nBNE000006)であった。 まるでこの世の深淵でも垣間見たかのような顔は疲れの現れか。 「あぁ、来てるな。あぁ、来てる」 ふと、元の冷静な姿に戻そうとしても疲れは残っている。 けれども言わねば始まらない、見たのは紛れもなく自分だ。 「あまり繰り返したくはないから一度で覚えてくれ。いろんな意味でBadだこれは……」 ● 時刻は夜の丑三つ時間際だろうか、街の明かりも大部分が消えて人の気配もなくなった市街地。 そんな街を街灯を頼りにあくせくと家路を急ぐ人影が一つ。 「早く帰らないと、怖いのはうちにいるのだけで十分」 今日もかなり遅くまで働いてたのだろう、この者は出来る限り急いで帰ろうと焦っていた。 そう、しばらく歩いた先に、普段とは異なる恐怖と出会うとも知れず―― 「……」 ふと、電柱の影から男らしき影がさっと飛び出す。 単なる思い過ごしかと思ったものの、その影はコートらしきものを翻して尚も追ってくる。 「まだ追っかけてくるか。なら!」 歩調を早めつつ振り切ろうとするも、それと同じ足取りで追う男。 この道には交番がなく、治安的にも懸念されている地域だ。 出来れば無視をするか、さもなくば―― だが考えるのもつかの間、突如立ち塞がるように別の男が現れる。 「……えっ」 2人だけではない。3人、4人と増え、突破しようにもついに囲まれてしまう。 ふと、背後の男が肩に手が触れた。 「ちょっと、いい加減にしないと警察を呼びますよ」 だが、明らかにその顔は明らかに正気ではなかった。 変質者とも違う、何か異質な――狂人じみたものであった。 「な、なに? 離しなさい! 離さないと警察を――」 抵抗するも一切の言葉を跳ね除け、男達がその手を伸ばし始める。 3対の両手は彼の服を、ズボンを鷲掴みにし、そして―― ビリィーーッ!! 「ぎやあぁーーっ!!?」 服を破かれた40代中年男性の悲鳴が、夜の街に響いた。 ●増殖性革醒現象? 「……それで、その男性は?」 「無事だ、服を剥かれただけだからな」 力ない声のまま、伸暁は頭を抑える。 「今回のノーフェイスはな、服を剥ぐんだ。あと下着もだ」 念を押すようにもう一度細かく言う。 大事なことなので、2度言う必要はある。 「奴らは6人居て全員男性体、6人纏めてフェーズ2。 ノーモラルとでも名付けようか……コートの下は全裸だ」 どう見ても典型的な露出型変質者スタイルである。 「奴らはエリューションの法則に従って、同族を増やしたいのだろう。服をひっペがしたら後は何もしてこない。 そして全員剥ぎ終えたら新たな獲物を求めて逃げる。それだけだ」 だが、これもまたエリューションの起こす事象。易々と見過ごす訳には行かない。 それに、剥がれた姿を見られようものなら、立派な社会的ダメージに繋がる。 「服を身につけてないからOKって訳じゃないからそこは気をつけてくれ、別の意味でまずい。 ロックかつスピーディーに頼むぜ?」 今回ばかりは伸暁も疲れたのだろう。 再び頭を抑え、戦いに赴く彼らを見送るのであった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:カッツェ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年07月19日(火)22:35 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●馬鹿がコートで――と思いきやこちらは全裸だった。 「着けてると剥がれるし、捕まれば麻痺してしまう」 「やっている事はともかく、相当の連中ですね」 「だろ? だからつまりあれだ。最初から着なきゃいいんだろ?」 「いや、その理屈はおかしい(ですって)!」 出発前日、このようなやり取りがアーク内にて行われていた。 この何とも言えぬ流れを、まずありえないだろうと考えながら合いの手を入れていた『飛刀三幻色』桜場・モレノ(BNE001915)であったが―― 「……え、その、え、シルキィさん……?」 「いくら期待しているとは言え、その格好は」 「お仕事が変態撲滅なのに、何でもう変態がいるの!?」 目の前にいるのはそう、裸体な『Steam dynamo Ⅸ』シルキィ・スチーマー(BNE001706)である。 「細けぇことはいいんだよ! これなら狙われずに回復が撒けるって寸法さ」 ロケットバストを魅せつけたまま、スケボーを建てるシルキィ。 胸元の計器類とスケボーでギリギリ隠れているが、世が世なら描写不可能であろうその姿に驚かないわけがない。 「もう、万が一ここに一般人が居たら大変ですわ」 結界を張って人を払う『高嶺の鋼鉄令嬢』大御堂 彩花(BNE000609)。 この上に幻視で戦闘服を隠しているが、あまりいい気分ではない 「それに一般人の前でこんな恰好、幕張にでも行くのかと勘違いされかねませんわ」 シルキィはさておき、彩花もまたSFチックな戦闘服である。時期的にやや早いが見られて好印象かは解らない。 と、騒いでいると何処からともなく木々ががさがさと音が聞こえ出す。 「全裸が全裸を呼び世界は全裸に包まれるとはあるが……全裸同士引き合ったか」 『自称アカシャ年代記』アーゼルハイド・R・ウラジミア( BNE002018)が呟き、街路樹に視線を合わせた。 ●馬鹿がコートでやって来る Take2 感づかれたか、木の上からその様子を見ていただろう全裸コートの男が2人。 「早速出たのぅ。所で、この手のタイプは男性がほとんどなのは何故じゃろうか」 さらに、『眼鏡っ虎』岩月 虎吾郎(BNE000686)の睨んでいた電柱から、さらに電柱の影からもう4人、リベリスタの前に姿を現す。 まさか、あのやりとりの間ずっと隠れていたのだろうか。 「う~ん、頭がのぼせて奇行に走りやすいとかですか~?」 虎吾郎の疑問にユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)がのほほんと答える。 夏の暑さに任せてアレコレ滾りたくなるのは万物の性か。だがそんな事など露知らず、彼らはシルキィを除いた他のメンバーへとそれぞれ狙いを定めていく。 「――――ッ!」 「やっぱり裸相手だと狙ってきませんわね」 ここまでは彩香の予想通りだ。男性としてどうかと思うが、エリューション故問題ない。 そう、彼らはエリューション。その本能的な特性のまま、同類を増やそうと襲い掛かるのみ! 「さあ、ショータイムの始まりだぜ?」 彼女が天を仰ぎ指す月は、どこかきらびやかに輝き、まるで彼らを疎らに照らし出すよう―― どう見てもミラーボールです本当にありがとうございました。 かくして大惨事は幕を開けた! ●フラグと健全性は確保しておけ! 「人様の服を剥ぎ取るなんて、破廉恥にも程がありますわ!」 早速襲いかかってきたノーモラルに喚きながらも、構えをとった彩花は流れる水のようにスルリと腕を避け、そして叩き落す。 彼らも2人がかりで掴みかかるも、体型にフィットした戦闘服の形状も相まってなかなか剥くことが出来ないままでいた 「貴方がたはノーモラルではなくノーフューチャー。 何故なら、わたくしがここで引導を渡して差し上げるからです!」 がしっ 「え?」 ――指をビシッと向け、宣言した瞬間であった。 背後からホールドしたのは3体目のノーモラルであった。 拘束された彩花に取り囲むノーモラル。これこそ正しいノーフューチャー。 「ちょ、ちょっとさっきは言いすぎましたから、ひ――」 常識の範疇を超えた力を使える者はリベリスタではない。 戦闘服が乱暴に破り取られるまでの間、彩花はそれを再認識するのであった。 「あっぶなーい!」 符の鴉がノーモラルを襲うも怒りを買って狙いを変えることまでは出来ない。 強引に引き裂き、剥かれ、顕になる素肌。ブラジャーやパンツすらも彼らは容認しない。 「おぉ、こりゃいかん!」 ちぎっては投げ、ちぎっては投げていた虎吾郎が彩花の様を見て、慌てて尻尾を伸ばす。 長いしっぽは彼女の胸元をぎりぎりで隠し、一応の難は逃れる。 「このっ! ありがとうございましたわ」 強烈な肘打ちで3人目を振り払い、その尻尾によって隠れていた胸を改めて腕で隠す。 「ある程度固まっているのぅ。ほれ、いつまでも裸じゃ目に悪い」 どすっと重い音を立てたリュックには、沢山の着替えが詰め込まれていた。 「お気持ちはありがたいですけど、着替えるのはこいつらを倒してからにしますわ!」 拒否した後、彩花は炎を纏った一撃をノーモラルの鳩尾に叩き込む! 「!!!」 その威力は羞恥から来る爆発力か。強烈な一撃にノーモラルは燃え盛る体のまま、膝から崩れ落ちる。 「まだまだ行きますわよ!」 「ならわしも加担するかのぅ。ほーれほーれ、捕まえてご覧なさーい! がおー!」 彩花の攻撃に合わせるように鋭い蹴りで後方支援に徹する虎吾郎。 その筋肉隆々のボディから繰り出される剛撃はノーモラルに隙を与え、怯ませる。 「灰白の戟陣、そして……漆黒のワタリガラス!」 さらに追い打ちとばかりに、刀儀陣の力によって力強く飛翔する鴉がノーモラルの顔に一撃を見舞う。 「さ、こんな破廉恥な連中、さっくりと倒しちゃいますよ~!」 「1人頼みまし……っ!」 「あっ」 彩花の気づきに思わず目を覆うモレノ。 敵を引き寄せてしまったものの、援護して引き寄せに失敗した所を見るという様は、全て計画通りであった。 (役得~役得~) 見た目以上にこの青年、頭が回る。 だがいつまでもその役得が得られるわけもない。引き寄せたノーモラルは服のないモレノに狙いを定めて向かってくる。 「うわこっちきちゃっ、わ、わ、あ、あーっ!」 スローイングダガーを構えて迎撃を保つ間もなく、モレノのブレザーは細切りに引き裂かれ、その幼げのある裸体を逆に晒すこととなる。 「こりゃ厄介じゃのぅ。ほれおぬし、これに着替えるのじゃ」 「うぅありがとう……」 涙目で服を借りるモレノだが、ノーモラルはボロボロながらもまだ動く。 狙うはもちろん―― 「ぬおっ、ぬかった!」 通り過ぎた瞬間弾ける虎吾郎の服と思わず丸めて局部を隠す尻尾。 この炸裂は彼の筋肉によるものではない。通りかかった瞬間にノーモラルの放った一撃が真空を巻き起こすことで、彼とモレノの纏っていた服だけを見事に引き裂いたのだ。 「流石に見せびらかすのは毒じゃのぅ」 「は、はい鼻血が――」 慌てて服を着替える虎吾郎と鼻血を抑えながら同じく着替えるモレノ。 「これで2人目! 2人とも大丈夫で……」 彩花の斬風脚によって首を刈られた2体目が倒れると、そこには真正面だけ見事に破り取られ、隠す物すらない彩花の姿。 「「「きゃーっ!!??」」」 これには思わず、3人共に悲鳴と鼻血が上がったという。 (こ、これも役得ですね!) モレノがそう内心思っていた頃、もう一体は服のないことを見るや別の相手を探し、ふらふらと別のところへとさまよい始めた。 ●生き延びたければ他人を踏んで先にいけ! 陣を組んでいても容赦無いのがこのノーモラルの厄介なところ。 比較的後方に陣取っていた『なのなのお嬢様なの』ルーメリア・ブラン・リュミエール(BNE001611)も例外ではない。 「ひゃあ! こっちくるなーなの!?」 流れ出る鼻血を拭いながらも目一杯マジックアローを撒き散らすルーメリアであったが、その魔の手は2本、4本と彼女へと向けられていく。 このままでは剥かれるのも時間の問題。彼女の服にノーモラル共の手がかかろうとした瞬間、彼女はとっさに走った! 走って、そして―― 「必殺、神城さんバリアーなのっ!」 「よっしゃぁやって、はぁ!?」 ルーメリアは『冥滅騎』神城・涼(BNE001343)の腕をつかみ、奴らに向かってスローイン! 「ちょとま、ぎゃあぁぁ!!」 先程まですごい勢いで覚悟完了し、女の子の為なら自分の身を呈して庇う覚悟をしつつも向こうで剥がされた彩花に目が行っていた涼ではあったが、これは予想外であった。 果たして、ノーモラル2人によって彼は剥かれていくのである。 びりびり、ばりばりと。 「あ、神城さんが剥かれた! だ、だいじょぶ、見てない見てないの!」 その光景に目を覆い隠すルーメリアだが思いっきり間からその蹂躙的な光景を覗いている。彼女もそういうお年頃だろうか。 「ほらルーメリア、目を塞いでると次はそっちだぜ」 「ハッ、そうなの、バスタオル、バスタオル……!」 思わず見入っていたルーメリアだが、シルキィの言うとおり涼が剥かれたら次はこちらの番。 そうならない為にも、慌ててバスタオルをスクラムの中にいる涼へと放り投げる。 「恥ずかしいけども、イケメンには譲れない事もある……!」 引き込まれるタオルすらも毟り取ろうとするノーモラルに対し、剣戟の数々によって纏めて切り揃える涼。 真のイケメン(自称)の面目躍如となるか、伸ばす腕は容赦なくバスタオルを剥がしにかかるもスピードで撹乱を図る! 「これでも……わっ!?」 それを許さないのがノーモラル、そのバスタオルを剥ぐ! 「とっちゃ駄目なの!」 慌てて投げるルーメリア。 「悪い! って、こいつら――」 「乱暴されるところもそそるねェ」 「いいから手伝ってくれ!」 ボール片手に踊りながらインスタントチャージしていたシルキィもこれには思わず踊るように接近し、気糸でその腕を縛り上げる。 尚、インスタントチャージは相手の意識と同調することで自身の力を分け与えるアビリティであり、疚しい意味ではないことを付け加えておく。 「これで、あと1人!」 残影剣が縛り上げていたノーモラルを砕き、続く連撃に翻弄されたもう一体も深手を追う。 「よし、これで終わらせてやるぜ」 涼を剥こうとした最後の1体の前に滑りこみ、返しとばかりにドンと突き飛ばす。 「――!!!」 何かが張り付いたようにも思えたが、次の瞬間それは爆音と爆風を伴って炸裂する! 「おぉぉー!?」 「これでOKだな」 バスタオルが爆風と共に飛んでいく。 その一撃こそ、彼らに対する敬意を持った強烈な一撃であった。 「って、やり過ぎだろシルキィ!俺のバスタオルまで吹き飛んで……」 「…………」 向きあう視線、ガン見するシルキィと、ガン見してしまう涼。 「……シルキィ?」 「ヘヘ、眼福! 満足!」 しかと目を見て笑みを浮かべるシルキィ、胸のメーターもぐんぐん上昇する。 「なっ……!?」 その様子にコーポの仲間とは言え、思わず涼も恥ずかしさと怒りで顔を真赤にして怒りそうになった――その時だった。 「いやぁーっ!!」 悲鳴の主はルーメリアだった。思わず2人が振り向くとなんとノーモラルが彼女を組み伏せて脱がしにかかっているではないか! 先程まで相手が居なくてふらついていたノーモラルだろうか。丁寧にルーメリアの身につけているネクタイを外し、ボタンを外しては彼女を丹念に剥いていく。 「ちょ、待って、ルメはまだ10歳なの。 剥いたら、色々な人が黙ってないの、考え直してほしいの!」 じたばたもがいて抵抗するも、止まる気配のないまま上半身の衣服をまず剥ぎ捨てる。 剥き方に個人差があるのは革醒前の癖かもしれないが、今はそれを論じている場合ではない。 「いいもの見せてもらったんだ、援護するぜ。黒丸かハート――」 「何でもいい。ルーメリア、今助けてやるぜ!」 シルキィが生み出した幻影ことキラキラオーラを纏いながら、ノーモラルへと突貫する涼。 すかさず一撃、ニ撃と打撃を加えるも裸の者には興味がないのか、そのままルーメリアのスカートの中にある物へと手を伸ばす。 「ひゃ、やめ……」 彼女にとって忌まわしき記憶が蘇る中、涼の放った3発目の打撃。 「――――」 大きく息を吐くような音と共に、事切れるノーモラル。 「大丈夫――」 「いやぁー!?」 「ぐあ!?」 ノーモラルごと突き飛ばされ、そのままノーモラルの下敷きになる涼。 幻影はリベリスタには効かない。故にルーメリアから見ると涼は全裸であった。 「うぅ、バスタオル、バスタオル……!」 上半身裸のまま、バスタオルを探すルーメリア。 かくして彼女の純潔は何とか守られたわけだが――何か別のものを失った気がしなくもない気がするのであった。 ●それでも駄目ならやってやれ! 「あらま~、こっちも頑張らないといけませんね」 剥かれ、鼻から噴血していく者が続出する中、ユーフォリアもまた例外ではなかった。 鼻血を堪えながらも、片手を頬に寄せながら彼女は状況を把握しながら戦っていく。 そう、彼女もまた例外ではない。ノーモラルは組み拉がんと彼女に襲いかかる。 「あらあら~、でもお痛は無しですよ」 その攻撃を速度の乗った動きで切り抜け、そして幻影剣で急所を狙い打つ。 「――!!」 「まぁ、結構タフですね」 深々とチャクラムがめり込んだにも拘らず、ノーモラルは腕を回し、きつくユーフォリアの体をホールドする。 「あらあら」 狼狽えることもなくそれを受け入れるユーフォリア。よほど肝が座っているのか、はたまたただの天然か。 密着し、彼女の服に手をかけようとするノーモラルに対し、4本の魔光が突き刺さる。 「さて、裸コート諸君。君達には二つの道がある。全部脱いで滅ぶか、そのまま滅ぶかだ。 好きなほうを選びたまえ。何、選択の余地はあげている。遠慮はいらない」 言葉を紡いだのはアーゼルハイド。彼はアクセス・ファンタズムから生み出した分厚いグリモワールを片手に悠々と語り、そしてメガネを上げる。 元々脱がされる気は皆目無いアーゼルハイドである。好奇心が猫を殺す前に、仕留めておいて然りと判断したか遠慮無く攻撃を共に仕掛けていく。 「オォッ!」 それでもノーモラルは加減を知らない。己の仲間を増やす為に、『服』という不要なものを纏う者を減らす為に――エリューションはホールドした腕に力を込め、一気に引っ張る。 繊維が引きちぎれる音と共に彼女の、すいかと喩えて差し支えない巨大な胸が闇夜に移り、そのまま下着すらも剥ぎ取っていく。 だが、ユーフォリアは至ってマイペースなまま、再び幻影の一撃をノーモラルに突き立てる。 「!!!」 「別に見られて減るものでもないですし、気にしません~」 何も気にしないというものは、羞恥心のある者にとっては難しいものである。 しかし彼女の性格はそれをも許容し、チャクラムを構えたまま次の攻撃に備える。 「先程の答えは見つかったか? 声に出さなくても行動で答えてくれても構わない」 答えはどちらも同じであり、逃げ場はないというのに―― だが、破き終えて生まれた身のままになったユーフォリアも含めあと1人。 あと1人残った、アーゼルハイドに向かい、ノーモラルは獣のように襲いかかる! 「ならば見るがいい、俺の完成された肉体を穴が開くほどな」 アーゼルハイドは指を指し示し――そのまま魔力を炸裂させる! 袈裟切りのように振りかぶり、強引に剥かれたアーゼルハイドの服。 そして、カウンターという形で四重に紡がれた魔力がノーモラルの腹に直撃する。 「ただし、穴が開くのはお前の体だ」 その言葉通り、しばらくするとノーモラルの腹に大穴が開き、そのまま崩れ落ちた。 「脱がされ、自らの肉体を隠すのは自分に自身のない証拠だな」 AFからマントを取り出し、身に纏うアーゼルハイド。 威風堂々、ダビデ像も裸足で逃げるばかりの細マッチョな上半身を見せつけながらも、戦いはようやく終わりを迎えたのであった。 ●やってやった。 戦いが終わり、持っていた着替えに慌てて着替える各リベリスタ。 着替えの心配が危惧されたが、持ってきた着替えに加えて裸でも恥ずかしがらずに戦うその行動力によって、迅速かつ後に困らない勝利がもたらされた。 ただ―― 「ごめんなさい思いっきりガン見しました」 「何で俺まで……あ、その……ごめんなさい」 「呆れてものが言えませんわ……」 「ルメ、もうお嫁にいけないの。 うぅ、アークの馬鹿ぁ。こんな依頼ばっかり出さなくても……」 土下座するモレノ・涼の両名に、怒りを超えてげんなりする彩花。 そして、すっかり憔悴しきった表情をみせるルーメリアと、それぞれの心に痛いものが残った戦いであったのかもしれない。 「まぁまぁ許してやりなって。よーしごっそさん。帰って幸せな眠りに着くぜ!」 ただし、シルキィのように実に満足そうな表情を見せていた者もいれば―― 「何、気にしなくていい。問題はないさ」 アーゼルハイドのように意図もせず、そのまま帰るものも居たという。 リベリスタもまた多様といったところか―― 夏も真っ盛り。願わくは、このようなエリューションが増えませんように。 終われ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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