●びーえぬいー翻訳を開始します。 ――ちゅう! ――ちゅちゅうーちゅうちゅうー! ――ちゅうーちゅうー! ――ちゅちゅうーちゅ、ちゅちゅー! ――ちゅちゅう、ちゅちゅうちゅ! ――ちゅー! ちゅちゅ! ――ちゅ、ちゅー! ●まずはペアを作れ。話はそれからだ。 ホワイトボードに描かれた大きな四角形。各四隅からは棒線が伸び、それぞれが小さな円の図形へと繋がっている。 それらを書き終わり、『廃テンション↑↑Girl』ロイヤー・東谷山(nBNE000227)がくるりとリベリスタたちを振り返った。 「これが問題の地下水道における皆さんのお掃除区域デースよ」 ホワイトボードの上には『三高平防疫強化施策』の文字。夏場の衛生環境の悪化に伴う緊急性の高い清掃業務である。この場合の清掃は勿論モップと雑巾で拭き拭きできる範囲を超えたものを表すのだが。 ロイヤーは8人のリベリスタをそれぞれ見やり、ついで4つの円形を示し。 「4つのペアを作って地下水道のそれぞれの入り口から入り、4つの円の部屋からお掃除開始デース」 それぞれの部屋を片付けたら、そのままここを通って――と棒線をなぞり。最後に中央の大きな四角形を叩いて。 「ここで最後の大掃除デース。大変だろうケドしっかりネ」 ウィンク一つ。と、ここでモニターに翻訳終了の文字が表示され。 ●翻訳が終了しました。 ――時は来た! ――地上を我が物顔で支配する害獣共め! ――人間共よ審判の刻だ! ――我ら一丸となって戦い、奴らを追い払え! ――覇権を握るのは、我らラットマンである! ――集結せよ! 勝利のために! ――作戦、開始ー! ●だってよ。 「というわけデーシて、この鼠の変異的なエリューションビースト、ラットマン退治が主任務デース」 体長約1m。汚れの多い場所では能力が上がるとはいえ、個体はさほど強くはない。エリューション能力者ならば駆け出しでも討伐できるだろう。……が。 「その数160体」 半端なかったりする。 「放置して文字通り鼠算式に増えちゃっても困りマースし、汚れも鼠もこの三高平防疫強化施策のうちに除外しちゃいまショー」 8種のラットマンが20体ずつ。それぞれ特徴があり、2種類ずつ四方の部屋にいるわけで。中央へと向かう彼らが合流する前に叩けるだけ叩く必要がある。なぜなら。 「中央に集まったラットマンは合体するヨ」 まぢですか。 「集まれば集まるだけ超強くなりマース。合流前は範囲や全体攻撃が、合流後は強力な単体攻撃が相性抜群デースね」 ラットマンの特徴の書かれた資料を手渡して。大掃除はごみが溜まる前に早目がいいよねとウィンクした。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:BRN-D | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年07月29日(月)00:23 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●大作戦! 「今年も来たわね三防強。でも去年より件数が少なくなってるところを見ると、少しは街がきれいになってきてるのかな」 「私達の住む三高平だもんね。頑張って綺麗にしよう! ふぁいとー、おー!」 ――拾えば街が好きになる、三防強。 以上、『蜜月』日野原 M 祥子(BNE003389)、『先祖返り』纏向 瑞樹(BNE004308)による三防強のCMでした。 「下水掃除なんて気が進むものではないけれど」 地下に広がる大水道。汚水の流れた後は当然じめりとしたぬるぬるの道で。長く居たいと思わないからこそ、『禍を斬る緋き剣』衣通姫・霧音(BNE004298)はやることはやらないとねと口にして。 そのためにもまずは邪魔な鼠退治……なんだけれど。 「これ……要るの?」 「示威行動、って聞いたよ」 自分の頭に手を置いて霧音が問えば、『夜明けの光裂く』アルシェイラ・クヴォイトゥル(BNE004365)もまた同じポーズでそれに答える。その手に触れる物は……そう、猫耳。 地下水道の掃除ということで、多くの者は安全靴を履き、動きやすく汚れても構わない格好で参加した今回。しかしそれ以上に今回数を揃えた物は猫耳であった。 「大掃除するにもまずはねずみさん退治、ですものね」 綺麗にさせて頂きますわねとはにかんだ、『陽だまりの小さな花』アガーテ・イェルダール(BNE004397)もまた猫耳を着用している。 「私もみなさんにならって……どうでしょうか、似合いますでしょうか?」 もじもじと愛らしく顔を赤くして告げるアガーテに仲間たちが可愛いよと声をかけ―― その横にずいっと歩を進めた本日の最年長、『ヴァルプルギスナハト』海依音・レヒニッツ・神裂(BNE004230)、猫耳仕様。 「猫耳ですよ、喜んでいいのよ! だれ、むりすんなBBAとか言うの!」 「……」 「何か言いなさいよ!?」 落ち着け。ぼいんぼいんえんじぇるの略かも知れん。 「ラットマンか。貴様等のその意気込みや良し……だが好きにはさせん!」 突如何の脈絡もなく少年誌の流れに引き込んだ『紅蓮の意思』焔 優希(BNE002561)。燃える瞳は闘志をたたえ―― 「俺達キャットマンが相手してくれる!」 あ、やっぱり流れ変わってなかった。 「お前もか優希……俺は猫耳はつけんぞ?」 8人中7人が猫耳という異例の事態にも曲がらない『やる気のない男』上沢 翔太(BNE000943)。称号の意味がちょっと違って聞こえます。 「地下水道の地図貰ってきたよ」 「お、サンキュー」 人数分のコピーを配る瑞樹から受け取って頭に叩き込んでいく翔太。 「つか、地下から進入防ぐ為の大迷宮ってとこかこの街は」 新造都市であり、増え続けるリベリスタ、事件の関係者などの移住を受け入れていく結果、進んでしまった地下水道の複雑化。それにラットマンの進軍経路まで考えれば迷宮の体を成し。期せずして地下からの進入すら防ごうこの水路に「地図がないと掃除もままならないな」とため息をつく。 同じくルートを叩き込んだ頭に、スチャッと装着させた黒の猫耳。 「よっし! それじゃ皆、頑張ろうにゃ!」 ……ちょっと恥ずかしかったかも。 赤くなった頬を隠して、「行こう日野原さん」と瑞樹は威勢よく駆け出して。 その背中を見送りつつ。 「……で、お前は何顔赤くしてんの?」 「き、気のせいだ!」 そんな会話を残して2人ペアでそれぞれが進むルートへと別れていった。 ●地下水道! 【北西】 「ん……こっちみたいね」 暗視ゴーグル越しに祥子が自慢の観察眼を行使すれば。 「沢山の熱があっちに向かってるみたいだよ」 多量の熱を感知して瑞樹がその動きを指摘する。滑りやすい道もバランス感覚と安全靴でなんのその。なんて安定感のあるペアだ。 「近いよ、急ごう!」 叫び曲がり角に飛び出す瑞樹。その肩を強く掴まれ――引き寄せられ下がった瑞樹の眼前で空を切る爪閃。汚泥に塗れた隅からの奇襲を祥子は持ち前の勘の良さで反応を見せ。 キキッと喉を鳴らし再び迫る牙――は動きを止める。その視線は2人の頭部に注がれて。 「あら、猫耳は正解だったみたいね」 笑い混じりに祥子が盾を揃え、合わさった満月が神秘をたたえてラットマンに叩きつけられる! 「え」 気の抜けた声は祥子のもの。一撃で動かなくなったラットマンを見て声を漏らした。 「駆け出しでも討伐できるってそういうこと」 力の無駄遣いしちゃったと苦笑する祥子の横を抜け、純白の短刀を抜き放ち。 瑞樹の視界には3体のラットマン。水場を避け一挙に距離を詰めるそのバランス感覚。踏み込み、振りかざすその動作の全てが呪術の生成! 「呑み込め白妖! にゃーん!」 形成された赤の月が呑み喰らえば後には何も残らない。神秘がラットマンを傷つけた2人に傷を負わせるが、この辺りに敵の姿はすでになく。 熱量を感じ取れば、周囲のあちこちで反応を見せて…… 「固まってるわけじゃないんだね。各個潰して回らなきゃ」 「でも少数ずつなら反射の傷も途中で回復を交えればなんでもなさそうよね」 瑞樹と祥子、2人掛け合って。 「よーし、それなら遠慮せず全開でいくよ! 中央に向かう鼠からやっつけよう!」 ゴールなんてさせないんだからと意気込み駆け出す瑞樹に。 「ネズミが大きくなっても、カピバラさんにはならないのねー」 呑気に呟いて祥子が後を追いかけた。 【北東】 「翔太、腕は鈍っておらんよな?」 「言ったな。まぁ見てろ」 自他共に認める親友同士。優希と翔太、笑い合い駆け出して。 絶妙の身のこなしでぬめりを避け音もなく進む翔太、安全靴で物ともせず最短を駆け抜ける優希。相対的な2人はどちらも暗闇を見通し――そこに潜む者どもを確実に捉えて。 長剣を、鉄甲を、閃きかち鳴らせば瞬時に飛び掛かる! 「さぁて、行こうぜ優希」 「一匹残らず駆逐してくれる!」 優希に先んじて長剣を振る。連続して空を斬るその一振りごとに空間は凍りつき、生み出された氷刃の霧が音もなくラットマンを掻き消せば。 「む、う」 拳のやり場を失って沈黙する男が1人。 「早い者勝ちってな。数の多いところを探ればいいじゃないか」 「むぅ、そうする」 優希が耳を澄ませる。全身で地下水道の音を拾い上げ、ラットマンたちの数、位置を読み取って――向こうだと指し示せば、途端に駆け出した相棒の背中が見えた。 「おい! ずるいぞ!」 「ははっ。チーム戦、だろ」 久々のコンビ戦、けれど不安は感じない。相互の信頼を感じればこそ、いつも通りに頼りにすることを恐れはしない。前方に集団を見れば自然な動きで互いの狙いを分け、その動きを当然というようにコンビネーションを生み出す。 ラットマンを弱体化せしめる水の力を振るう翔太と違い、優希の拳はラットマンを打てばその神秘に自身をも傷つける。が、鍛え抜かれた肉体がその程度で怯むこともなく。 ゆえに殲滅。遠くに音を聞き分ければ全力で距離を詰め。 「逃がしてなるものか!」 優希の咆哮が、駆け抜け纏う雷撃が、この場でラットマンを全滅させる心算で振るわれて。 キキと悲鳴を上げ背中を向けたラットマン。その横を駆け抜けた一陣の風。 踏み込みは一瞬。地を蹴れば横に並び壁を蹴れば前に立つ。翔太はすでにそこにあり――振りかざす長剣がラットマンを切り裂いた。 【南西】 「ねずみが病気を運ぶって話は聞いたけど、それとは関係なく危ないんじゃないかな……」 鼠の発生は衛生面の低下を表し。三高平防疫強化施策、通称『三防強』としては見過ごせない状況ではある。が、現状審判だ覇権だ言っている鼠はそれ以前の問題な気もする。 カンテラの明かりが場を灯す。揺れる明かりに影が映れば、照らす電灯の光がラットマンを捉え。 飛び出した霧音の足さばきは不安定な足場を物ともせず。一度身を低くして、構えから放たれた斬撃がラットマンを斬り捨てる! 「全く、ちょこまかと……」 小刻みに飛び出すラットマンの相手は面倒なもの。遠くのラットマンを捕捉する術を持たない2人にとっては特に。 「あっちに向かってるのは確かだと思うの」 アルシェイラが足元を観察すればラットマンたちの通ったルートを読み取って。後はサーチの後の撃破に集中するしかない。「急ぐわよ」と口にする霧音も、頷いて安全靴でしっかりと踏み込んだアルシェイラも、その頭部に違和感がある。 猫耳である。 白い猫耳を付けて少し楽しそうなアルシェイラと、黒い猫耳を付けて少し恥ずかしげな霧音。対照的な猫たちが鼠たちを追い詰めて。 「逃げ回ってないで、窮鼠は猫を噛みにでも来なさいにゃ!」 「……霧音さん、今にゃって言った?」 逃げるラットマンを斬り捨てて走る2人。角を曲がり――途端に押し寄せた複数のラットマン! 「本当に噛みに来たよ!?」 やったろうじゃないかと言わんばかりに牙を剥くラットマン! その数でアルシェイラを取り囲み――どの牙もその身には届かない。空間を歪ませる力場がその牙を無力と化していて。 「対策は万全だよ」 微笑んで。ついで自身のフィアキィと疎通を交わせば、舞い踊り振り撒く冷気が周囲のラットマンを凍らせ砕き散らせた。 「霧音さん、傷は大丈夫?」 「これくらいの数なら問題ないわよ」 神秘による反射の傷はあるものの、霧音の体力から見れば大したものではなく。また、個体としては非常に弱いラットマンはアルシェイラの放つ冷気に簡単に凍りづき、結果神秘の発露を防がれて。 傷と精神を癒すアルシェイラの献身もあれば、力を枯渇させることもない。あとはどれだけ倒せるか、それに尽きるのだ。 故に。霧音の斬撃が敵を討つ。 「纏めて斬り捨てさせてもらうにゃ」 「……またにゃって言った」 2人は中央へと―― 【南東】 「こんな暑い日に、地下水道なんて憂鬱です……」 熱気がこもって暑くないかって? 当然蒸し風呂ですよこんなとこ。 スカートを横で結べば裾は汚れず暑さもまし。そう思っていた時期が海依音にもありました。伝う汗に服も張り付き蕩けた表情を見せる年上の女性に、アガーテがまぁまぁと笑みを見せ。 「一緒に頑張りましょう。海依音さん、よろしくお願いしますわ」 「アガーテ君頑張りましょう、貴方のフリーズ期待してます」 キリッと伝えた言葉は攻撃の意味か避暑の意味か。 2人の視界は地下の暗闇を見通すもの。足場は任せてと口にすれば、海依音の信仰なき祈りが2人に翼を与える。ふわりと浮き上がればぬかるんだ足元から開放され―― ざりっと翼が天井のぬめりを削り取った。 「いやああぁぁ! 今ざりっていいましたよ! きっと翼がぬめってしてますよ!」 「落ち着いて海依音さん! 本物の翼じゃないんで大丈夫です!」 泣きながら高度を下げる海依音を尻目に、アガーテは集中し地下水道内の熱を探っていく。感じ取った複数の気配、ラットマンはばらばらに中央を目指している―― 「アガーテ君の感知が頼りですからね。道はお任せしますよ」 笑顔の海依音に微笑みで返し、アガーテは多量の熱を感知した方角へと向かっていく。 「熱が近いですわ」 アガーテに頷いて体内の魔力を活性化し。全身から意思を、気を練り上げて。海依音の様子を心強く見つめて、アガーテが先へと飛び出した! 「に、にゃーん。猫さんですわよ!」 途端飛び出したラットマンたち。アガーテの周囲を取り囲んだ獣たちが包囲を狭め――天の雷撃がその身を焼き穿つ! アガーテになんら影響を与えず周囲を焼き焦がした閃光を放ち、海依音は満足げに頷いている。 その身は神秘の傷を受けてはいない。裁きの閃光が反射の効果を打ち消したのだろう。実際は汚れがある限り次のタイミングにはその神秘の力を回復させていたのだが、合体前の脆いラットマンでは意味のない話。 「信じておりました」 アガーテはにっこりとお礼を言って、さあ進みましょうと口にする決意。 傷を受けず精神を癒す術を持つならば道程は安定し。迫るラットマンの群れに、フィアキィと共に冷気を紡いで。 ●大迷宮! 「抜けた! ここが中央ね」 一目散に走るラットマンを追いかけて、狭い通路を抜けた祥子が目線をあげた先。 各方面から同時に中央へと集まるラットマンの姿! 「瑞樹! 無事か!」 駆け寄る優希たちの方面から抜け出したラットマンの数はなんと『青』が2匹のみ。 「わ、すごいよ優希さん! さすがだね」 「う、ああ……」 瑞樹の賞賛に言葉を濁す。撃破数で翔太に届かなかった今、その笑顔が心に刺さる。実は瑞樹に撃破数で負けてると知ったらどう思うだろうか。 「こっちは『赤』が2匹、『橙』が10匹ね」 祥子が数える間に他の組も合流を果たし。 「頑張ったんだけど……『黄』13匹と『茶』6匹が残っちゃったの」 ここまでラットマンを追い立てて息を切らしながらアルシェイラが口にすれば、えーととアガーテが指差し確認。 「『緑』が11匹、『灰』が2匹ですわね」 「となると……体力と精神、速度が非常に高く、命中がそれなりにあるが」 翔太の言葉に頷いて。 「それ以外は大したことないってことね」 視線の先で、生き残った46匹のラットマンがひとつの巨大な個体へと変貌を遂げていた。が、倒せない敵じゃないわと霧音が笑い、風の妖刀をそれに向けて。 「さて、ここからが本番ですね、気合をいれなおしちゃいましょう!」 海依音の言葉と同時に8人の背に翼が生えて――羽ばたかせ周囲を舞えば、迷宮の決戦が始まった。 ラットマンが雄叫びあげて剥いた牙。翔太が紙一重でそれを避ける。 「俺でぎりぎりか……気をつけろ!」 視線の先の祥子はけれど微笑んで。 「うーん確かにあたしじゃ避けれないけど……」 その巨体の突進を両の盾で捻じ伏せて! 「これくらいなら痛くもないわ」 素早さを生かした連撃もなんのその。聖句を唱えれば全ての仲間に戦う意思を授けて、自身の身は打たれ弱い仲間の盾と定め。 更に進もうとしたラットマンの眼前に浮き出た魔法陣。白い杖が中心を叩けば、突き出た光の矢がラットマンの喉元を穿つ! 「一張羅がどろどろです! まったくもって、ワタシの服を汚した代償は重いのですよ」 絶叫を聞き流して海依音が言い放てば。 「貴方の汚れ、落とさせてもらうよ!」 「一切の容赦は要らん。ここで決めるとするぞ、瑞樹」 頭上から振る強い声に、反応を返す足元の声。瑞樹の初手でラットマンの身体にはすでに霜が纏わりつき……弱体を見せるその敵に最早小技は不要のもの。 従えるは大蛇の影。翼を羽ばたかせ上から白妖を構える瑞樹。 低空より回り込み、闘気を練り固めた鉄甲を突き出した優希。 ――ラットマンが君臨する世界だと? 許すわけにはいかんな。 「悪いが全力でもって阻止させて貰う……不衛生な世界は見るに堪えんのでな!」 気合の叫びを載せて、2人の全力が合わせ打つ。 個体として強力。けれど単身、巨体は的でしかない。 「こっちの方が私は得意なのよ」 居合いの型から放たれる霧音の斬閃。確かに体力は豊富、しかし防御のない身体はリベリスタの連撃に派手に穿たれて。 遠距離から放たれた斬閃に続き、アルシェイラとアガーテがそれぞれの獲物を握り狙いをつけて。 「今回は完全にこっちからあなたたちの生活圏に殴りこんだけど、運がなかったと諦めてほしいの」 「危険な思想を見逃すわけにはいかないのですもの」 生み出された光弾、纏わる冷気。貫く力がラットマンの身体を弾き飛ばす! その戦いぶりを眺めて。 「なるほどね」 翔太が小さく笑みを漏らした。確かに時間はかかるだろう。だが、俺等の敵じゃない。 「俺も行くとするか。終わった時にヘトヘトになってても良いわ」 全力で行こう――そう、お掃除をな。 数分後に響く鬨の声が誰のものかは―― ●記念写真! 「すべてが終わったら、大掃除ですわね。綺麗になると、心も綺麗になる気がしますわ」 アガーテの言葉に頷いて、祥子が通信で給水車に指示を出し。デッキブラシを元気よく握ればアルシェイラもそれに続いた。 「また不幸な鼠が産まれないようにしっかりと掃除してから帰るの」 三防強として同じ不衛生を繰り返さないことが重要と汚れを落とす。 一方で。 「ああ、もう折角スカート結んだのにヨゴレちゃうじゃないですか、ホントに憂鬱です! ロイヤー君に何か奢ってもらわないと割にあいませんよ!」 海依音さん、日給200GPの人間に奢らすな(メタ) 「さて、掃除で汚れる前に写真撮るぞ」 せっかくの猫耳な一同を残さないのも勿体無い。全員並びなと翔太が笑えばアガーテは喜びの声を上げ。 「素敵な思い出になると嬉しいですわね。お写真、できあがったら一枚頂けますかしら」 「写真……まあ、他の女の子の猫耳姿は悪くないものだし」 照れる霧音が、横から物言いたげに覗き込むアルシェイラに気付いた。 「……にゃ、なんて言わないわよ?」 「さ、撮るぞー」 翔太の合図で一同が笑顔で並べば、1人そっぽ向く優希の姿が目立つこと。 硬い表情で腕を組む優希――その肩が強く引き寄せられれば慌てて振り返り。 ――シャッター音。 「ふふ、優希さんの猫耳姿だなんて新鮮だね」 瑞樹のいたずらな笑顔に、優希は何も言えなかった。 「他の皆も可愛いし、是非、焼き増しをお願いしないとね♪」 わいわいと賑やかな一同。その姿をにっこり見つめ祥子は言うのだ。 「さーこれでまた一つ三高平が好きになったわね」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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