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恐怖(?)のねこねこハリケーン23号

●変態科学者の愛したロボ子
「よぉぉぉぉし! ついに完成したぞ我が傑作!」
 とある倉庫にて白衣の男が叫ぶ。
 その傍らには猫耳と尻尾の付いた裸体。もとい人型ロボットの姿。
 だが、球体関節にロボらしい継ぎ接ぎ外見はロボットそのもの。
 それでも、彼にとってはこれこそが集大成だと言わんばかりの興奮っぷりが見て取れる。
「後はこのメイド服を着せて人格をインストールすれば最早完璧究極至高の逸品。
 さぁお着替えしましょうねぇー」
 気持ち悪いぐらいの笑みを浮かべつつメイド服(ショート)を手に取る白衣の男。
 まさにその時だった。
 
 ビコーンッ!

 妙な音と共に彼女の目が赤く光り、男のほうを向く。
「おや、まだスイッチすら入れてないのだが」
 不思議に思い、科学者が確認するもスイッチはOFFのまま。
「ギギ、ガガ、が……」
「――人格インストールすらしてないのに喋りだすとは流石我が娘マイドーター!」
 それに対し、自分の腕と共にロボ子の出来を自画自賛する男。
「……セ」
「セ! 初めての言葉が『セ』だよカメラの前の皆さん!
 いやぁめでたいねぇ人格OSをまだインストールしてないけど」
 防犯カメラに向かってまくし立てる白衣男。
 解りましたから落ち着いてください。
「セカイ」
「世界! 世界ってまたビジョン広いなぁまぁ私の娘なんだから当然だね。
 いずれ世界に羽ばたくべきそんざ、ぶげらっ!?」
 まるで『黙れ』とでも言わんばかりの鉄拳。
 そして、綺麗な空中5回転半ひねりを決めた後、男は地に激突した。
「……」
「……」
 沈黙したままの博士を、まるで豚を見るような無機質な目で見つめるロボ子。
 それを済ませ、ロボ子はキョロキョロと辺りを見回した後メイド服(ショート)と男の身に付けていた白衣を奪いとる。
「セカイ、ハカイ、するのだ」
 着替え終えた後、ロボ子はそう呟くと手始めに倉庫の壁を破壊し、外へと出て行った。

●彼女の名は
「早速だが、頼みたいことが出来た」
 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)がそう言うと、画面にかろうじて女性型だと分かるロボットの姿が現れる。
 メイド服と白衣を身に纏い、おまけに猫耳と尻尾も付いている。
 顔も10代前半の美少女を彷彿……させているつもりだがどこかツギハギだ。
「名前はねこねこハリケーン23号、フェーズ2のE・ゴーレムだ」
 やや呆れた様子で話しだす伸暁。
 ねこねこハリケーン23号は各種機能を搭載し、万能さをモットーとする美少女メイドロボとしてある科学者が自主制作していた作品。
 完成の暁には万能メイドロボとして自らの手元に置かれ、使役されるはずであった。
 しかし、そのトンデモ仕様からして動く訳がなく、スイッチを入れれば間違いなく火を噴く代物。
 革醒して製作者を病院送りにした後、現在も市街地へ向かいゆっくりと進行している。
 容姿か使用目的か、はたまたその状況を話している自分に対してか。
 彼が何故呆れているのかは触れないでおこう。

「状況があまり良くない上に、防犯機能とは到底言えないほど武装も施されている。例えば……」
 窓から入ってきた侵入者を窓ごと破壊する『口からミサイル』。
「窓ごと!?」
 加えて、素早い相手を周辺ごと駆逐する『指からマイクロミサイル』。
「周辺ごと!!??」
「全ておもちゃだが、発射用の火薬は詰まっているからな」
 威力はともかく、そのような無差別兵器を防犯システムと言っていいのやら。
「それと、近距離用のドリルアームにお約束として自爆機能も付いている。
 こちらもおもちゃと言いたいが、立派な本物だ」
 彼女のパワーの方はというと、一撃もらえば一般人が生死の境をさまよう程。
 リベリスタでも下手に抱きつかれたりされようものなら、結構な痛手になりかねない。
 ――尤も、そうされる事が本望というのなら止めはしない。と、伸暁は最後に付け加える。
「市街地に入られたらどんな被害が出るかも分からない、対処の方は任せた」
 そう君達に告げ、早速作戦に入るのであった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:カッツェ  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年04月19日(火)23:44
私はメイドが怖くてしょうがないです。
取り分け貧乳のロリっぽいメイドなんてものを見ると泡を吹いて倒れそうです。
と、そんな余談はさておき今回はネタバトルです。


●エネミー
・ねこねこハリケーン23号(フェーズ2)
とある科学者が秘密裏につくっていたメイドロボ。
外見は10代前半、胸はなし。メイド服はショートタイプ。
完成した暁には私用品として使われる予定だったが、革醒しE・ゴーレムに。

指と口から放たれる痛いおもちゃのミサイル。
(遠距離射撃、マイクロミサイルは全体微ダメージ)
手を振りあげれば人を吹き飛ばす強烈なパンチ!
(飛付き近距離攻撃)
ロマンらしいよドリルアーム!
(出血付き近距離攻撃)
何も無いところでたまに転ぶドジっ子機能。
(こけます)
さらにリベリスタといえどただでは済まない自爆機能まで!!
(業炎近距離攻撃)
余談ですが、自爆機能の効果範囲は周辺1m。
抱きつかれたり抱きついたり、お持ち帰りでもしない限りはまず避けられます。


●科学者
つくってしまわれた方。
病院に搬送され、命の別状はないとのこと。

真剣に戦ってもいいし、自分の意思を貫いたプレイングもまたよし!
参加と同時にプレイングの方、楽しみに待ってます。

参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
クロスイージス
ミルフィ・リア・ラヴィット(BNE000132)
プロアデプト
氷雨・那雪(BNE000463)
ソードミラージュ
仁科 孝平(BNE000933)
スターサジタリー
★MVP
モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)
スターサジタリー
織田 あらた(BNE001712)
スターサジタリー
ウルフ・フォン・ハスラー(BNE001877)
インヤンマスター
桜場・モレノ(BNE001915)
インヤンマスター
イルゼ・ユングフラウ(BNE002261)

●夢とか希望とかそういうもの大暴走
「……まぁ、あからさまに目立つ物とは思っていましたが、ここまで酷いとすぐ見つかりますわね」
「おお、あたり?」
 現場を捜索していた『アリスを護る白騎士』ミルフィ・リア・ラヴィット(BNE000132)と『微睡みの眠り姫』氷雨・那雪(BNE000463)が見た物。
 それは大きな穴の開いた塀であった。
 それもこの塀一つだけではなく、『奇人変人…でも善人』ウルフ・フォン・ハスラー(BNE001877)の連絡から、いくつもの塀が同じような大穴が開けられていることが判り、これには捜索していた一同も唖然とするばかり。
「全く、同業者として恥ずかしいデース」
 彼もまた奇人変人と言われる部類ではあるが、出すべきではない理想をぶちまけた挙句、それにぶっ飛ばされるほどの愚行には呆れるばかり。
 さぞかしその外見は目立つかと思い、スクーターで捜索した結果がこれであった。
「急いで市街地の近くも探してみまショーウ、ミーにとってはロボの自爆も怖いデース」
 見たところ、思ったより速いペースで進んでいる様子。このまま市街地の真近くで自爆された際の被害をウルフは懸念していた。
「ですわね、市街地に入られる前に見つけて叩きませんと」
 こうして、各々が捜索の手を広める。
「うー、怪我人が、出る前に……」
 途中、寝ぼけていた那雪が電柱に激突すること3回。先に彼女が怪我人になりそうな勢いだ。

「うっわー、これは早く見つけることができて正解でしたね」
 響く轟音を頼りに一足先に駆けつけた『飛刀三幻色』桜場・モレノ(BNE001915)は思わず声を漏らし、『月光花』イルゼ・ユングフラウ(BNE002261)は胸を張る。
「あー、アレだったら私の方が萌えるわね。 ……冗談のつもりだったけど、ちょっとね」
 巫女装束をひらりと舞わすイルゼの姿は実に様になるが、容姿も伴ってどこかコスプレじみた格好になってしまう所が玉に瑕。
「それじゃ、見つけたしお仕事開始~。にゃんにゃんサイクロン79号を止めに行こうか」
「ねこねこハリケーン16号だったような……とにかく、このまま合流しちゃいましょう」
 イルゼとモレノ、双方共に言う名前は違うが大体それであっている。
 各々に連絡を入れた後、彼らも先に向かったリベリスタらと合流していく。

 その待っている方はというと、音を察知して広い道路に面した場所に待ち伏せしていた。
『宵闇に紛れる狩人』仁科 孝平(BNE000933)の読みとは違い、塀をぶち破っての移動で思った以上に来るペースが早い。
 とはいえ、その際に生じる破壊音はこちらにもしっかり届いており、目的を同じとする『二重剣標』織田 あらた(BNE001712)と共に塀の近くで姿を隠していた。
「少々早めですけど、おおよそ予想通りですね。あとは……」
「ここを破って出てきたのを叩く訳だね。市街地まで壊滅させられるなんてまっぴらだ」
 前衛は任せたとばかりに頼りにするあらたと、眼鏡を上げて気配を殺し、待ち構える孝平。

 不気味に響くエンジン音と、コンクリートを砕く音。
 塀を打ち破り現れたのは――

「場合によっては生産ラインを2つ開けておく必要もありますね。オタク産業を侮っては時代に乗り遅れます」
 現場に向かう『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)には大きな理想があった。
 あわよくば自ら指揮を任されている重工内で量産すら考えるほど大きく、そして遠大な理想。
 偉い人にはわかるまい、目指せ同系統メイドロボによるメイド独立部隊。
 容姿見たさや目的遂行の為に一同が現場に向かう中、彼女一人はまだ見ぬメイドロボの姿に期待を馳せるのであった。

●…………
「あ、やっぱり要りませんねこれ」
 行数にしておよそ4行、その期待はビックリするほどあっさり崩れ去った。
 無理もない、その容姿の酷さはまさに前世紀的。
 猫耳尻尾にメイド服はモチロンのこと、そのフェイスは実にメカメカしい灰色な上、目も車のライトっぽい。
 極めつけは背中に載せた動力部、6本の気筒がデンと伸びている。
「『メイド』に対してどんな認識を持ったら、このような酷いシロモノになるのでしょうね……」
 よくもまぁこれで動いたものだと驚かされると同時に、その容姿の酷さに何を夢見たか。
 一同は理解にひたすら困った。
 困ったが……それでも言えることは一つ。モニカがその言葉を代弁した。
「黒歴史として存在自体許されないレベルです。跡形もなく破壊しましょう」
「ピーッ!?」
 その言葉に、全員同意したのは言うまでもなかった。

 ねこねこハリケーン28号……以降は猫耳ロボと呼称しよう。
 エンジン唸らせ動き出した猫耳ロボに対し、すかさず飛び出した孝平がを引きつける。
「イルゼさん、今のうちに結界を!」
 その間に皆が体制を整える。
「私が、君達を守るから……頑張って!」
「こっちも頑張りますよ~!」
 強結界を張るイルゼと、守護結界を合わせて展開するモレノ。
 祈るように手を組めば、それによってスタイルのよい胸が押し上げられ、どことなく強調される。
「お仕事が終わった後でたっぷり、ね……」
 思った以上のあざとさにイルゼは思わず自己嫌悪を催しかけたが、自分に言い聞かせて意識を切り替える。
「そこまでだよ。ここから先へは進ませない」
 すかさず牽制の一撃を猫耳ロボの足元に打ち込むあらた。
「なんだなん……へ、塀に大穴が!?」「バイクでもぶつかったのか?」
 周辺では一連の塀破壊に対して近隣住民が騒ぎ出し始めるものの、戦闘を察知される気配は一向に見えない。まるでこの一帯を感づかないようにしてる気さえ感じる。
 強結界の効果を十二分に感じる瞬間でもあるが、これに甘んじる訳には行かない。
「長々と戦っていてはこちらが不利ですわ」
 そういい、ミルフィは打刀を構える。
 猫耳ロボがリベリスタ達の攻撃でまごついている間に、早急に処理しなければ。
「……ようやく頭がクリアになったな。全く――」
 製作者は実に酔狂な男だ。そう呟いたのは、先程まで電柱にぶつかり続けていた那雪。
 コンセントレーションによって思考を戦闘モードに切り変えて事にとりかかる。
 決して、頭をぶつけすぎておかしくなった訳ではない。
 とあれ、普段から面倒くさがりな彼女にとっては、この姿が本領発揮といった所だろうか。
「これでもくらいやがれですわ……!」
 初撃を加えたのはミルフィの一撃。
 振り払われる一撃にメイド服に隠れたすいかな胸が揺れ、一方でアタフタしていた猫耳ロボのメイド服がはだけて手で抑える。
 ありがたいのとありがたくないのが見事に相殺しあう。
「ハカイ! ハカイ!」
「破壊するのはともかく、されるのは困りますね」
 メイドロボもすかさず細腕で殴りかかるも、孝平の回避力の前に易々とかわされる。
 細腕といえ、それは鉄棒となんら大差なく、打たれたら痛いでは済まされない。
「早速脆そうな所から狙いましょう、どこ狙っても崩れそうですが」
 右腕を換装したモニカが容赦なく足元を狙う。
「ピーッ!?」
 これには思わずすっ転ぶ猫耳ロボ、そして――
「……」
 目を潤ませるように、チカチカとアイライトを光らせる猫耳ロボ。
「…………」
 それを見つめるモニカ。
 次の瞬間、ロボの額に強烈な一撃が見舞われたのは言うまでもなかった。

●「時代が追いついてないのだ!」って便利な言葉だよね
「この糸から、逃れられるかな?」
「ダブルメイド緊縛……いえ、なんでも。ほら、これでやりやすくなったわよ」
 那雪のトラップネストにダメ押す形でイルゼの呪印封縛が飛び、猫耳ロボはすっかり囚われの身。
「ギ、ギギィー!」
 必死で振りほどこうとするも、糸は余計に絡まってはあられもない姿となり、モニカの腕から打ち出される一撃はさらにロボをボロボロにしていく。
 ……これがまともな姿だったらどれだけ眼福だろうかはここでは流す。
「こうして見ると、一方的にいたぶってるような気がするね」
「デスガ、こうしなければならないのもリベリスタの仕事デース。理不尽なミー達を許してくだサーイ」
 あらたとウルフも少し感傷に浸りながらも、改めてそれに続けとバシバシナイフと銃弾を打ち込む。
 望んでこのような革醒をしたかは語られぬまま、那雪とイルゼのもたらした罠と呪は確実にロボの動きを封じ、蝕んでいく。
「お前の弱いところは、ここかな?」
 そこに、那雪は容赦なく周囲に気糸を張り巡らせ、追い打ちをかける。
 ただでさえ解けにくい状態異常が、イルゼの放った呪印によってさらにそれを困難にしていたのが、傍目から見ても明らかであった。
 だが、そのような一方的なフルボッコが何時までも続く訳がない。
 次第にロボの抵抗は激しさを増していき、そして――
「障害物、カタヅケクリア!」
 呪印を弾き、罠を尽く破り、背中の気筒が唸りを響かせ付属の尻尾がピンと立つ。
 およそ40秒に渡る彼女の拘束はついに破られてしまった!

「テキ、タスウ、センメツ、ドリル、デストロイ!」
 その言葉に後方にて再度張り直す構えを見せる那雪とイルゼ。
 目を真っ赤に輝かせ、腕を変形させてドリルに変える猫耳ロボ。
 すかさずミルフィは防御用短刀で迎え撃つも、その腕を容赦なく回転する衝角によって抉っていく。
 出血まで行かなかったのは 幸いか。
「おっと、大丈夫~?」
 怒涛の流れに合わせて鴉の式符をけしかけていたモレノも、これにはすかさず前に飛び出し、ミルフィへの傷癒術に切り替える。
 口調はマイペースだが、しっかり自分の仕事はする。
 切り傷に当てられた符は完全とは言えないものの、彼女の痛みを緩和させていく。
「いたた……油断していたらとんでもないですわね」
「まったくです。だから、その分守ってくださいね」
 ただし、傷癒術を使う為に前に出てしまった以上は猫耳ロボの攻撃に晒される恐れは出てくる。
「えぇ、受けた恩はしっかり返しますわ」
 その言葉に気合を入れ直すミルフィ。だが、一度暴れだした狂えるメイドロボは留まる所を知らない。
「ミサイルミサイル、オールオールゼムオールルル!!」
 十指を前に突き出し、今度は容赦なくミサイルを乱射しだす猫耳ロボ。
 塀にポコポコと当たるものの、人体に当たればこれがかなり痛い。
「アウチ! オーノォー! 何でミーばかりに!?」
「キャンッ! そっちは大丈夫?」
 ウルフに関しては弾幕が厚く、逆にイルゼはその分薄いおもちゃミサイルの弾幕。
 甚大とは言えないが、その痛みと衝撃にジリジリと削られていく中、モニカが構える。
「制圧射撃の要は弾数と火力、それを教えて差し上げましょう」
 ミサイルの雨が止み、その後、報復とばかりに返されたのは幾重もの光弾。
 弾数こそ猫耳ロボの攻撃に比べ劣るものの、その威力、精度共に容赦の欠片もない。
「……ハカイ、ハカイ」
 その目に宿るは革醒の意思、世界をも虐げて変えようとする力。
 だが、例え理不尽だろうと、この世界を守る為には倒さねばなるまい。
 何よりも――『「このような物が世に出た」という事実自体をなかった事にしたい』
 そんな気持ちもチラホラと浮かんでは消えていたのもまた、事実だった。

「……!」
「これで……どうです!」
 神に祈るような面持ちのまま放たれたあらたの二連射。
 それが猫耳ロボの両足を居抜き、倒れた所を孝平の鋭き一撃が的確に胴部を貫く。
「このような危険な『紛い物』は、破壊させて頂きますわ……
 速やかに、冥土に堕ちやがれですわ……!」
 さらにダメ押しとばかりにミルフィの打刀による強撃がロボを捉える。
 刹那――

「ビコーン! ビコーン! シナバ、モロトモ!」

 アイライトを明滅させ、アラームを鳴らしながらジリジリとミルフィへ近寄り出すロボ。
 ここまで来ると執念的なものすら感じる。
「オーノォー! 全員退くのデース!」
「……その位置は、危険。でもこれが最後」
 幾度と無く攻撃を受け続けた脚部は当然のこと、猛攻に晒され続けたそのボディも満身創痍。
 そして、そのような状態で自爆するということは、同時に自壊をも意味する。
「こちらも冥土落ちはごめんですわ」
 アラームが響く中、前に居た4人は一斉にその場を離れる。
 そして、後衛がそれをフォローするように一斉射撃を行い、被害を最小限に抑えようと善処する。
「ビコーン……ビコーン………… ビー――――」
 アラームは攻撃に晒される度に徐々に勢いを弱め、前衛が被害範囲から離れた時――
 
 閃光と共に爆音が辺りに響く。
 立ち上がる一本の火柱。それは作り手の妄執だろうか。
 はたまたエリューションの断末魔か。
 それは戦いの終わりを告げる、激しく、大きな篝火のようでもあった。

●夢とはなんだろうか
 音と光が収まり、その場に残った黒焦げの残骸。
 それはねこねこハリケーン28号と呼ばれていたロボの成れの果てであった。
「理不尽に作られ理不尽に壊される、あんまりデース。せめて安らかに眠ってくだサーイ」
 黒焦げのそれを憐れむように拾い上げるウルフ。
 その残骸は作った科学者から、それを壊した理解ある者へと渡り、適切に処理される。
 その背中を纏う白衣は煤け、悲しげな雰囲気すら感じる。
「今時ドジっ娘キャラなんて流行りませんね。
 二次元と違い、リアルのドジなんてただ鬱陶しいだけです」
 その残骸に吐き捨て、その場を離れ行くモニカ。
「ですが、その夢と志は大御堂重工が引き継ぎますのでご安心を」
 そう呟いたのを聞いた者は、果たしてどれ程いただろうか。

「あー……私は何やっていたのかしら」
 結界が解け、事態が大きくなる前にリベリスタ達がそれぞれ撤退していく。
 そんな中、イルゼは自己嫌悪のあまり真っ白になったまま、しばしその場にへたり込んでいた。
「ふぁ、これで安心して……お昼寝が、できるの」
 そんなイルゼに寄るように、眠りかかる那雪。
 どうやら、彼女にはまだ那雪を連れ帰るという一仕事があるようだ。


 さて、ここからは後日談となる。
 ロボ暴走事件から数日後、あらたはアークの許可をもらい、科学者の見舞いに行くことにした。
 今も入院中とのことで、早速あらたは指定された病室へと入ろうとする。
「今度は、人の為になるロボットを作ってもらい――」
 と、その時。
「ウオォー!? ねこねこハリケーン28号が自爆だとおおおおお!!?」
 あらたの犬耳を揺らすかのような咆哮に、思わず扉を開ける手が止まる。
「なぜだ、なぜ。そうか! 今度は動力原を抑えめにすれば、よーしよしよしよし」
「……」
 病室から聞こえる叫びに、反省の欠片は見いだせない。
 立ち尽くす中、しばらくして矢継ぎ早に医師達が、科学者の居る病室に駆け込んでいく。

「――たいな。って、言っても聞かないかもしれない」
 あらたはその様子にどこか、一抹の不安を覚えるのであった。
 めでたしめでたくもなし。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
おぉ、メイドこわいこわい。
と、ネタを盛り込みつつ最後は少ししんみり(?)プラス伏線風味な今回のリプレイでした。
彼女は適切に処分されるとして、科学者がこの後どうなるかは……
その後おとなしくしてなければ、またいずれ出るかも知れません。

しかし、BSTがなかなか解除されずにフルボッコ状態ってあるんですね。
恐ろしいったらありゃしない。

と、叉の機会があったらよろしくお願いします。カッツェでした。