●三高平学園祭! 三高平市中央部に存在する三高平大学。 ここは小中高の付属校を持つ一貫教育機関であり、三高平市に住むリベリスタ達のための学び舎だ。 教育機関である以上、今までにもいくつか小規模のイベントが開催されてきた。 その中で、リベリスタの数が増えてきたのを受けて、いよいよ学園を挙げての学園祭が企画されたのだった。 「学園祭?」 「そうそう。小中高全部あわせて一気にやるらしいよ」 「えー、いまさらガキと一緒にお祭りとか萎えるわー」 「馬鹿野郎! 革醒者を年齢で判断すると後悔するぞ。これ見ろ!」 「なん……だと……!? 俺やる気出てきた!」 どういう理由であれ生徒全員やる気が出ているようだ。いやむしろ、 「学園祭? ならば我等OBが手を貸そうではないか!」 「祭りとあらば呼ばれずとも登場! 嫌な顔されても厚顔無恥! 三高平大学OBここに参上!」 「……あ、嫌な顔されてるのは知ってたんですね。先輩」 「うむ、俺たちも嫌だったし。だからやり返す!」 「酷ぇ!」 「ふ、ここに『一般参加者でも企画可能の区域あります』と書かれているからな」 「カオスだなー」 学生以外のやる気も高かった。 広い学園の敷地を一般解放し、三高平市民なら学園外部の者でも企画を立てることができるという。カフェ系、オバケ屋敷系、展示物系、演劇系……思いつくことなら何でも許す。だけど危険物だけは勘弁な。参加者は革醒者のみなので幻視の必要も神秘秘匿の必要もなし。 「あまりに酷い騒ぎを起こしたお方には特別警備員九条さんが窓外放擲してくれます!」 「やんちゃするのはいい経験だと思うんだけどなぁ」 『菊に杯』九条・徹(nBNE000200)はいつもの和服で腕を組む。安全性を確保した上で事前許可さえ取っていれば爆発物やレース、格闘戦まで許されるのだ。取り締まるのはよほどのコトといってもいい。 ●クノイチフュリエ参上でござる! そして学園祭当日。様々な来客が大学の門を通る。 そんな来客の中に一人のアザーバイドがいた。完全世界ラ・ル・カーナの住人で漫画とかアニメとかゲームの影響で忍者にはまったフュリエが。 「今日の任務は三高平大学の隠密潜入捜査でござる!」 『クノイチフュリエ』リシェナ・ミスカルフォ(nBNE000256)はいつもの眼帯シノビルックで門の前で自分の任務を叫ぶ。すこしは忍べやクノイチ。 「あ、リシェナちゃん。チケットある? ないとは入れないけど」 「はーい。これでござるね」 すでに隠密ですらないのだが、もうどうでもいい。 今日は楽しい学園祭。 どんな企画があるのだろうか。リシェナは未知の祭りを―― 「学園祭のパンフレットによるとこっちから回ったほうがいいでござるね」 ……未知ですらなくなったけど、ともあれ祭りの企画に心躍らせるのであった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年07月06日(土)22:51 |
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■メイン参加者 25人■ | |||||
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● 拙者、リシェナ・ミスカルフォ。生まれは異世界『ラ・ル・カーナ』。フュリエと呼ばれるアザーバイドでござる。 『ラ・ル・カーナ』の異変から半年、ボトム・チャンネルに来ていろんなことを学びました。 今日は三高平学園の学園祭のことを書こうと筆を取りました。 ● 「九条的にはどうよ? ほれあっこにいる女子だよ」 「大学生か。年齢的に親と娘だからなぁ。四年後にいい女にはなってると思うぜ」 「いい尻してると思うけどな」 「ナイスバディなのは認めるぜ。目の保養になるねぇ」 警備の徹殿が火車殿がそんなお話をしていました。わー、男の会話だー。遠くのほうではロイヤーさんが走り回ってるのに徹殿はどこ吹く風で大丈夫なのでござろうか? 「あっちはあっちで楽しくやってるさ。多少トラブルがあるほうが祭りっぽくていいもんだ」 「ヤンチャするにはもってこいだと俺も思うぜ」 「だよなぁ。せっかくの祭りなのにな」 「そういう悪ふざけみたいのも良い思い出になってだな」 「馬鹿やったなぁ、って酒の肴になるんだよなぁ」 「いや、俺まだ酒呑めねぇから」 大らかなのか、だめな大人なのか。まだボトムの常識に疎い拙者にはよくわかりませぬ。 ● 学園の門を超えると、あっちもこっちも大騒ぎでした。露天に音楽にゲームに。聞いてはいましたが実際目にすると感動もひとしおです。あれ、一押しだっけ? 「リシェナさんだっけ、こんにちは」 「あ、エルヴィン殿。子供を沢山つれてどうしたでござるか?」 声をかけてきたのはエルヴィン殿。大学部で先生になるために勉強をしている人だ。沢山つれているのは……そういえばこの人ナンパが趣味とか言っていたでござるよ。まさかロリなんとか? 「ちがうちがう! この子達は実習で知り合った子達! そういうのじゃないから!」 拙者の視線に気づいたか取り繕うエルヴィン殿。聞けば何度か学校に教育実習にいって知り合ったとか。 「そうだ、面白そうな企画あったら教えてもらって良いかな? この子らに良さそうなの探しててさ」 「あっちで金魚すくいとかやってたでござるよ」 「サンキュ、行ってみるよ」 手を振ってエルヴィン殿と別れる。改めて見回せばアークビル内で顔を合わせる人たちがちらほら見られた。リンシード殿だ。 「いらっしゃい、おっぱいさん……今日も大きいですね」 「のっけから扱いが酷いでござる!」 「あらリシェナさん。こんにちわ」 糾華殿とリンシード殿の出店だ。糾華殿の個人でやっている店の出張のようなもので、小物やアクセサリーを売っていた。リンシード殿はその手伝いだ。 「あ、チョコバナナ、どうですか……胸に挟みながら食べるとポイント高、だそうですよ」 「じゃあリンシード殿も一緒に食べるでござるよー」 「……今日の帰り、夜道に気をつけてくださいね」 「あれ、拙者地雷踏んだ?」 なんかリンシード殿から殺意を感じるんですけどー? 「あらまぁ」 そんな様子を糾華殿が見て笑っていた。いや拙者割と追い込まれてるんですけど。 「この子ったらさっきまで――」 「お姉さま……」 何か言いかける糾華殿を、リンシード殿が服の裾をつかんで首を横に振っていた。そこから先は言ってほしくないらしい。それを察したのか糾華殿は言葉を止める。その代わりにリンシード殿の頬をつつく。 「慌てなくて良いわよ。そう真面目なお店ってわけじゃないんだから」 「う……。はい」 よくわからないけどこれ以上は立ち入り禁止のようでござる。そんな空気を察して拙者は店を離れる。 「学校というのも、悪くない……かもしれません」 「じゃあとで見学にいきましょう」 そんな会話を背中で聞きながら次の店へと―― 「ちーっす。その忍者服は何処で覚えたの? そのあざとい胸元が高校生男子にはご褒美だよね!」 「またかー!」 「ほぶぅ!」 せくはらぱーんち、とばかりに放ったツッコミパンチ。当たってないけど当たった風にのけぞる夏栖斗殿。 「わははは。いつも妹が世話になってるからそのお礼を兼ねて案内するよ」 「わーい。じゃあわた飴ほしいでござる」 「おう! やっぱりボトムのものには興味津々?」 「うむり。世界は広いでござると認識したでござる。あ、たこ焼きもー」 「うは。でもたまにはラルカーナに帰りたいとかある?」 なんだかんだといって夏栖斗殿は色々と心配してくれているのだ。その気遣いがちょっと嬉しい。 「皆とはいつでもあえるから大丈夫でござるよ」 笑顔に答えるように夏栖斗殿はにかっ、と微笑んだ。 ● ボトムチャンネルの文化は多種多様。身を纏う『服』一つにしてもいろんなものがある。学園祭には色々な服を着た人たちがいた。こすぷれとかそういうのらしい。 変なの――っていったら『リシェナがいうな。この忍者コスプレ』とか言われた。あれ? 「やあ、迷子のアリス。1日限りのティーパーティへようこそ!」 旭殿が帽子にうさみみはやした黒スーツでで迎えてくれる。『不思議な国のアリス喫茶』という看板の喫茶店。飛び出す絵本のようなメニューと、突如テーブルに用意される薔薇の花(後で聞いたら旭殿の手品だった)。 「永遠に終らない1日を、どうか存分に楽しんで」 落ち着いた物腰。ゆったりとした旭殿の口調と声。そしておいしい紅茶とお菓子。童話とかよく知らないけど、こんな感じなのかもしれないでござる。 「いらっしゃいいらっしゃい! 三高平バーガーを食べていきな!」 富江殿が作っているのはパンと具をはさんだハンバーガーだ。ふっくらとしたパンの食感とポリリと舌に響く味、何より野菜のシャキシャキ感とお肉とその汁がすごく美味しい。 「むぅ、これは! パンはふっくら蒸しあげた白パン! パティは牛豚7:3の黄金比! そしてこのソースは……見事なテリヤキ風味! レタスは朝採りの新鮮なヤツでマヨネーズは酢を使ってない自家製マヨっ!」 「だれ?」 「あ、通りすがりのゴットタン革醒者です」 「さぁさ食べとくれっ! お・い・し・い・よっ!」 富江殿の宣伝もあって、三高平バーガーは大盛況でござる。 「紅茶かき氷なのだ」 「陰ト陽の出張店舗でござる!」 雷音殿と虎鐵殿がかき氷を売っていた。二人とも学園の制服を着て、一生懸命動き回ってる。 作っているのは紅茶を凍らせたものを削って、練乳とイチゴをかけたものだ。後ろのほうで虎鐵殿が一生懸命カキ氷器のハンドルを回していた。熱いのに汗まみれで大変でござる。 「折角の学園祭でござるから、氷はいい氷を仕入れたでござる」 「リシェナも一つどうなのだ」 「いただきまーす!」 一口食べて、つーんと頭が痛くなる。でもひんやりとして美味しいでござる。 「お疲れ様なのだ。騒がしいところは苦手だが、こんなふうに皆で馬鹿騒ぎするのも悪くないな」 「ふむ、拙者も始めてでござるが中々楽しいでござる」 一段楽したところで雷音殿が虎鐵殿にハーブティを渡す。一旦休憩とそれを呑む虎鐵殿。 「来年も、学園祭ができるといいな」 雷音殿が馬鹿騒ぎを見ながらなんとはなく呟く。 ――リベリスタは死と隣りあわせだ。来年が今と同じとは限らない。そもそも命があるかどうかの保障もない。この言葉は日常の重さを知る非日常の戦士ゆえの重さがあった。 「なんてことをどくどくは言うんだろうけど、ところがどっこい今回は拙者の一人称なのでしたー」 「リシェナは何を言っているのだ?」 「この馬鹿騒ぎの熱にあてられたのでござろう。大丈夫、来年も学園祭はできるでござるよ」 そんな義父娘の平和な日常。それを素晴らしいと思えたのもボトムに来てからでござる。 「くじびきコスプレゲーム喫茶! ちょっと意味分かんないけど熱意は一杯感じるね!」 ピンクのカンフー服を着た美月殿が客引きをしていた。式神に何か罵られている通常業務で。 「いらっしゃいませ、ヒャッフー!」 赤い服と帽子、付けヒゲをつけた風斗殿が無意味にジャンプしながら叫んでた。周りの人がキノコを差し出してた。 「……なぜこうなった……!」 頭に羽飾りをつけた兜を被り、薄布の戦士風の姿をしたアンナ殿が頭を抱えていた。 「なにこれひどい。企画考えた奴出て来い! ワタシだ!」 「おまえかー!」 王冠を被って桃色の姫様の服(動きやすいようにスカートを短くしてる)を着た明奈殿が胸を張り、アンナ殿に首を絞められていた。 「……まんざいきっさでござるか?」 「違う。くじびきコスプレゲーム喫茶。くじ引きしたりゲームをして楽しむ喫茶店だよ」 『ゲームはクソゲーばかりですよ。この惰主人』 「だしゅじん!?」 式神にツッコミをいれられながら美月殿は景品を見せてくれる。なんか古いゲームとか木彫りの般若面とかたこ焼きを焼く鉄板とか。 「あ、それは俺の……イッツミー・フート!」 風斗殿が無理やりラテンぽく言い直した。それ僕の。ふーとのだよ、といいたいらしい。 「そこの配管工事、景品にたこ焼き器はないわー」 「マンマミーア!」 明奈殿の言葉に小さくなって店の奥に引っ込む風斗殿。あ、比喩的表現でござるよ。 「懐かしの8bitゲームで店員と勝負も可能! 勝ったらマニア垂涎の懐かしゲームグッズプレゼント!」 「さあ来い挑戦者たちよ……8bitの世界を教育してやるわ!」 明奈殿とアンナ殿が燃えていた。さながら敵を前にした修羅の如く。 「あの、君らが生まれたころは8bitとかすでに――」 「「256ぱんち!」」 何かを言いかけた客は修羅と化した二人にノックアウトされた。なむー。ともあれゲー研の……くじ引きコスプレ喫茶は一部の趣味をもつ人により大盛況でござった。 「リシェナさん、大きなガマ蛙に乗る気ありませんか?」 美月殿がダンボールで作った大きなカエルを運んでくる。 「なんで?」 「にんじゃだし。じゃじゃm……もぐぅ!」 『黙れこのバカ』 式神がワンパンチで美月殿を黙らせる。倒れた美月殿を見て『ゲームオーバー』と式神が呟いた。 「本当にボトムチャンネルの文化は多種多様でござる」 「待って!? これを基準にしないで!」 アンナ殿が拙者のセリフに慌てて叫んだ。 ● ボトムチャンネルは服だけではなく、音の文化もラ・ル・カーナとは異なっていた。 「折角の機会、ワタシもひとつ声(うた)わせていただくとしよう」 セッツァー殿が燕尾服を着て、声を出す。顎を引き、お腹から声を出す唄い方で校庭に声を響かせる。オペラ歌手独特の声の出し方は、マイクなしで遠くまで声を響かせる。 「では開演しよう。たったいっときの安らぎの時間を」 声(うた)は一瞬で消えるもの。 「心から安心できる時間を」 響いた声(うた)は音楽となり、心に残る。 「これからの激戦を戦い続けるアークの仲間へ最大限のエールを!」 だから人は歌うのだ。誰かに何かを伝えるために。 「せやで! 歌の力は偉大なんや!」 珠緒殿が音楽愛好会の人を引き連れて走ってくるでござる。派手でフリフリのメイド服集団が、楽器を手に空き地を占拠する。――警備の人がなにも言わないのは、事前申請していたのでござろう。 「あげていくでー!」 珠緒殿がテレビかで流れてる音楽を歌いながらギターを引き、メイド服着た人たちがそれにあわせて踊ってる。 「ありがとー! 三高平学園音楽愛好会は、ライブ喫茶やります! よかったら聞きにきてなー!」 と、宣伝して走っていったでござる。元気でござるな、珠緒殿。 「学園祭? いいや、楽演祭だ!」 「ただ戦うだけがリベリスタなんかじゃねえ! 歌で救える世界もあるはずだ!」 「まさに我々の為にある様な催し。崩界を食い止める為の活動がまさかこんなにも楽しめるモノだったとは」 「然り、我らの活動が実を結び始めたな。喜ばしいことだ」 そしてフツ殿、竜一殿、雷慈慟殿、伊吹殿の四人組バンド『BoZ』がライブを行っていた。 「争いなんかくだらねえぜ! フツの歌を聞けえええ!」 竜一殿のギターが唸りを上げる。プラスワンされたメンバー用に作り直した今までの曲が青空の下、響き渡る。 『モヤモヤするよな世情だから 袈裟を噛んで戦って なんかオレ等に期待過剰なんじゃないの』 フツ殿がマイクスタンド――どう見ても槍だけど――を振り回して唄い続ける。 『NOBU me ケガしてないぜ! オレはきっと依頼もっと行ける!』 (しかしてなんという事か……! Buddhaの熱量に引っ張られるか!) 雷慈慟殿がドラムを叩きながら笑みを浮かべる。技術が歌に引き上げられていく。これが徳の力かとビートが加速する。 (良いだろう! 心のままにやってくれ! この臨場感こそが生演奏というモノなのだろう!) 『殺したくない事ばかりが次々と出てくるけれど 調伏法で滅ることもあるらしい そのうちなら、なんとかする HEY! 僧だろ!』 (正直音楽のことはよくわからないのだ。だがこの響きが心地良いものだというのはわかるぞ) 伊吹殿がベースを弾く。聞くところによると楽器の経験浅い素人なのだが、音楽にひきずられるように動きが加速していく。 (腹に響く音が心まで震わせる……これが音楽の力というものか!) 『Bottom LOVE! 自分High(廃)だから! 崩界防ぐから依頼出してー!』 最後のシャウトと共に大歓声。 「俺たちのロックは、東西南北中央において不動さ!」 ――TシャツとかCDとかも販売してました。『BoZ』の活動はまだまだ続くそうです。 ● 「皆さん色々思いつくものなんですね」 学園祭実行委員会の和泉殿が、いろんな企画を見回ってチェックしていた。五段階評価で企画を見て回り、食べ物などに関しては実際に食べてる。 「どけどけー! ソードミラージュ暴走族『素怒三羅(そどみら)』の暴走タイムだぁ!」 「企画書にないパフォーマンスですね」 和泉殿が懐に手を入れると、乾いた音が響き突如走り出した輩を地に伏した。この間わずかコンマ六秒。 「ルール違反はいけませんよ」 倒れた生徒を前ににっこり笑う和泉殿。うん、この人の前ではわがまま言わないでおこう。 「まぁ実際のところは和泉殿のゴム弾で、興奮状態から我に返っただけなのだがな!」 だからゴム弾で革醒者が倒れたんじゃないよ、とベルカ殿が誰かに説明していた。「サーセン」と頭をかきながら『素怒三羅』の人たちは頭をかいて謝ってる。 「ベルカ殿は何をしているのでござるか?」 「うむ、私は学園祭実行委員会をしているのだ! 委員会……何と言う良い響きである事か」 委員会、の言葉にうっとりとするベルカ殿。この人基本犬気質でござる。 「ところでお前らは何がしたかったのだ? ……ふむ、メンバー遅刻のための間繋ぎ? ええ、ならば私も一肌脱ごう!」 そしてお祭り気質でござる。ノリノリになって間繋ぎの座興に付き合うベルカ殿。露天から食べ物を買って、それを美味しく食べるパフォーマンスで間をつないでいた。 「なるほどー。ああいう風に間をつないだりするのも委員会の役目なんですね」 三郎太殿が感心したように頷く。トラブル回避とは規律で縛るだけではない。トラブルの元を解決するものなんだ、と頷いていた。 三郎太殿も和泉殿と同じく企画の確認をしていた。こういう仕事は始めてらしく、 「こういうことはとても勉強になりますね。しっかりとこの経験を活かせるようにならないとっ。 それにしてもさすがは幼小中高大の総合学園ですね。まるで町全体がお祭りのような……」 言いながら三郎太殿は祭りの雰囲気に心躍らせていた。箱舟で戦う戦士とはいえ、やはりまだまだ十三歳。祭りに心躍らせる少年なのだ。 ――てなことを言うと『リシェナは十八歳なのにシノビコスプレはどうなんだ』と言われるのでござる。失礼な、拙者は年相応でござるよ。ぷんぷん。 ● 日も暮れて出店や出し物があらかた終わったでござる。でも祭りはまだ終わらない。 「こっちが燃えるゴミで、これが燃えねぇゴミで……」 そんな中、ケイティー殿がごみ拾いをしていた。楽しいお祭りのためにはこんな縁の下の力持ちも重要なのだ。今日はそんな所も学べたでござる。 「あー、燃えるゴミと燃えねぇゴミの定義忘れかけてるんで、まあごっちゃになるかも知れねぇっす」 はい? 「リベリスタなら無理矢理燃やしてくれるって信じるっす」 言って大きなゴミ袋にポイポイ投げ込むケイティ殿。うわ、誰だよあの忘れんぼフュリエ実行委員にしたの! 「実行委員は志願制よ。やりたい人が集まってやるの」 ソラ先生が欠伸をしながらやってくる。疲労でふらつく足取り。学園祭において教員サイドのお仕事は大変だったのでござろう。 「え? うん、疲れたわ。ずっとゲームしてたし。空調効いてるのはいいけど、おかげでだるい」 「まてせんせい」 思わずはいるツッコミの手。それを受けてからソラ先生は答えた。 「サボってるわけじゃないのよ? 学園祭の主役は生徒。私たち教師はちょっと手を貸すだけ」 なるほど。だから一歩引いたところで生徒達を見守る。これが大人というものなのでござるな! 拙者感動したでござる! 「おお、空調の効いた部屋でゲームして生徒に犯しパシらせてサボってるように見せかけて、実はそのような深い考えがあったとは!」 「……見てたの? まぁとにかく私は悪くないわ」 「常に気を張っているよりは、適度に弛緩したほうがいい結果が出るというしね」 ソラ先生のフォローをするように快殿が口を挟んでくる。 「リシェナさん、学園祭は楽しかったかい?」 「とても楽しかったでござる!」 拙者の答えを聞くと満足した笑みを浮かべる快殿。そのままマイクを手にした。校内放送がONになり、快殿の声が学園中に響く。 「学園祭に、学園祭を楽しんでくれた皆に、ありがとうを言わせて下さい」 静かな音楽とともに流れる快殿の声。 「もし戦う意味に迷った時。この街に疲れた時。その時は、皆でこの日を思い出そう。 そして、戦いに赴く人はもう一度この笑顔に会うために。暮らしを守る人は、もう一度笑い合えるように」 それは一人のリベリスタとしての言葉。平和な一日を守る戦士の願い。 「何の為に戦うのか、答えは何時も遠いけど。今日この日の笑顔は、護るべきモノだって確信できる。 だから今日という日に、ありがとう」 ありがとう。その言葉が心に染み入り、そして万雷の拍手が学園中で沸き起こった。 「堅い話は以上! 後夜祭だ!」 快殿の言葉とともに歓声が上がり、祭りの第二ステージが始まる。 祭りは終わらない。今日というお祭りが終わっても、三高平学園に人がいる限り、またいつか―― |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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