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【三防強】糸引き意図結び

●三防強
『三高平防疫強化施策』。
 夏に向け頻発する神秘事件、こと衛生環境の悪化に絡むそれらは、リベリスタ達の精神衛生上迅速に排除されるべき案件である。
 故に、三高平は毎年初夏から初秋にかけ、防疫関係の強化を図る。
 それが、三防強というやつだ。

●腐れる闇の姫君
 闇に質感はありや? という問いがある。
 明確な答えは未だ出ていない。そうと感じる知性と感性があれば、それは確かに粘ついたりゆったりとしていたりするのだろうか。
 或いは、闇の中にあるものがどんなものであるか、というのもある。
 物理的な嗅覚を刺激する構成要素とは別に、『闇の匂い』があるならば。

 それはとても退屈な匂いなのだろう。

 少女はぺろりと掌を舐めた。人の肌を持つそれは舌の這った跡に沿って泡立ち、ぐずぐずと溶けていく。
 ずるりと骨が見えることも気にしない。程なくして、それは周囲の肉から延びた糸に絡まり見えなくなってしまうから。
 少女は足下を見る。水が流れ、コンクリートに覆われている……下水だ。
 下水の端々に引っかかった衣類を持ち上げる。退屈そうに眺めた少女は、しかしその衣類に付着した有機物を見てにたりと口の端を歪ませた。
 これもまた『腐らせて』しまおうか。

 水の音は、そんな惨状を匂いごと流してしまう。やがて『糸』で見えなくなるのだから。

●腐れる繭
「一般的に、腐敗したものが糸を引く原理は糖分と菌類の結びつき……謂わば菌糸の作用、或いはグルコースの変質から来るのが一般的です。多糖類が数珠つなぎになるってやつですね」
「うん分かった、取り敢えず腐らせるわけな」
 リベリスタは『無貌の予見士』月ヶ瀬 夜倉(nBNE000202)の退屈な授業を聞きに来たのではない。事件解決に呼び出されたのだ。
 背後のモニターに映しだされた映像からすれば、既に被害者が何名か出たあとのそれである。
「大丈夫、これは未来です。ノーフェイスフェーズ2、『腐蘭姫フラデルプ』が下水作業員数名を腐敗させ、捕食……というか。面白半分で殺してしまった? まあ、そういう状況の様です。
 彼女自身はその行動の多くに腐敗をベースにした能力を持っているらしく、例えば触れたものを腐敗させることから始まり、腐敗で発生する糸、あれを用いた戦闘行動も行えるようです。
 また、対象に『腐り落ちたイメージ』の投射を行うことで混乱させる他、配下を生み出すことも可能なようです。言葉は解しますがまともな話は出来ないでしょう。コンタクトを取ることはよい選択ではありませんね」
「……なあ」
 リベリスタが問う。何をというわけでもない。それについて、夜倉は適切な解答を知っているはずだ。
「でしょうね。幸福な人間が腐敗をベースにした革醒に身をおくわけがないでしょう……ただ、それは僕達にとって重要ごとですか?」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:風見鶏  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年06月26日(水)23:08
 三防強謎のガチ枠。

●『腐蘭姫フラデルプ』
 ノーフェイス、フェーズ2。
 腐乱に関わる能力を多数所持し、同時に精神汚濁・精神共感に関わる能力を多数持つ。全ての攻撃、能力に『猛毒』を追加する。
・腐れ舌(物近単・死毒・[連])
・腐れ糸(物遠2複・麻痺)
・デルプブランテ(召喚2~3)
・精神腐乱(神遠単・魅了・Mアタック)
・腐乱糸結界(冷気・態勢無効)

●プランテ
『腐蘭姫フラデルプ』の召喚ユニット。植物型。初期4体。すべての攻撃に「ショック」を持つ。
・腐腫斬撃(物近単・出血)
・精神腐乱(弱)(神遠単・隙)

●戦場
 主要都市の下水道。
 3名が横に並んで戦える程度の広さがありますが、下水の流れは決して遅くはありません。足場の対策をとらないと思わぬ不利を招きます。
 あと、とても暗いです。

 ご縁があれば、よろしくお願いします。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ソードミラージュ
須賀 義衛郎(BNE000465)
ホーリーメイガス
神谷 小夜(BNE001462)
ナイトクリーク
月杜・とら(BNE002285)
ホーリーメイガス
リサリサ・J・丸田(BNE002558)
ホーリーメイガス
綿谷 光介(BNE003658)
ホーリーメイガス
雛宮 ひより(BNE004270)
ミステラン
ファウナ・エイフェル(BNE004332)
インヤンマスター
赤禰 諭(BNE004571)

●昏きに儚くずれ落ちる
「また下水か……」
『仕方ないですよ、下水の衛生状態が良いのは寧ろ奇特な例です。ご迷惑をお掛けしますがお願いします』
 ベレヌスが照らす光に視線を向け、『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)のぼそりと口にしたぼやきに、幻想纏いの向こうからフォーチュナの声が響く。何故通信状態なのかは……まあ、ブリーフィングルームでの補足という意味もある。
「夜倉さんが出てきて三防強とか言うから、てっきり『彼』絡みだと思っちゃったじゃないですか! せっかく気合い込めてメイクもしたし、勝負下着だし、回収した生首を入れる袋と防腐剤も用意してきたのに……人騒がせな話です!」
『知りませんよそんなもん! っていうか何恐ろしいモン用意してんですかさらっと言うんじゃありませんよ貴女本当に神職者ですか!?』
 三防強。防疫の名を借りつつも、通常では遭遇しようもない衛生上芳しくない存在への対応策として勘案された行動の一つだが……『Dreamer』神谷 小夜(BNE001462)にとってはまた違う意味になるのだ。
 詳しくはここで語るべくもないが……彼女の謂わば『病んだ』行為を見ればどんなものかはお分かりいただけるだろう。
(彼女のガス抜きという観点もあるのでお察しいただきたい)
「元は人である彼女が、何故こんな所に居るのか……ですか?」
『……あー、まあそれもあるんですが。諸君らがボトムに来る前から掃いて捨てるほどありましたが、特性が特性ですからねぇ……』
 腐り落ちた魂と肉体と特性と、在り処。『風詠み』ファウナ・エイフェル(BNE004332)にとって、それらの意味が無くなっているというのは理解できる。然し、それを口にした以上何らかの関連がありや、と感じるのは当然とも言えただろう。言葉を濁したのは、口にすべきではないからか。
「口をつぐんだのは、暴くことを良しとしないからだとおもうの」
 徐々に闇が濃くなっていく。闇の匂いが満ちていく。そんな下水の向こうに視線を向け『Wiegenlied』雛宮 ひより(BNE004270)は彼の言葉に対する明瞭な解答を持っていた。飽くまで推測だが、強ち間違いではないのだろう。
『……目標ポイント近くですね。通信を終了します、ご武運を』
 返答を避け、通信を切ったその心中が如何様なものかは、リベリスタ達には関係なかった。寧ろ、重要なのは『自分達が何を思い戦うか』である。
(人と人の間を繋ぐものなんて、目の前にいる互いが、今どうかということで、過去がどうとかきっと関係ない……だから境遇に、今は同情とかしない)
 腐乱から来るであろう糸が足下に這いまわるのを見咎め、しかし『箱庭のクローバー』月杜・とら(BNE002285)の感傷は無い。結論は未だ出ない。これから築きあげるものだ。
 まだ間に合うと思いたい。未来を歩めると願いたい。
 誰よりも『護る』ことを是とする『その心』は、誰に口を開くでもなくその意志を確かなものとして認識していた。

 くす、くすくす。
 白い糸のようなものがゆるゆるとコンクリートを這いまわり、水音すらも帳の向こうへ追いやっていく。
 少女が立っている。ロリータファッションが原型だったろうそれは、既にぼろぼろになって久しい。虚ろな瞳には感情がない。
「ハーイ☆ 彼女、名前なんてーの?」
 とらの言葉に、しかし少女は首を振る。続いて足下から伸び上がる影が、とらの神経に食らいつくように意識を奪いにかかるが、皮一枚の間合いでそれを回避。
「きっとその行いを悔いる事になるでしょう……」
 双鉄扇を構え、続けて襲い掛かろうとしたプランテの攻撃を次々と弾き、『青い目のヤマトナデシコ』リサリサ・J・丸田(BNE002558)が前へ出る。
 それに伴う様にしてとら、そして義衛郎が脇を固め、現れたプランテをブロックし、正面からの戦闘態勢を整えた。
「もし彼女が、『心はあり様を定める』というのを体現してしまったのだとしたら……」
 それは、とても哀しいことなのだろう。『贖いの仔羊』綿谷 光介(BNE003658)の目元を覆うリュネットが、魔力を灯す。
 視線の先、既に運命の命脈を得ずして革醒してしまった存在が笑っている。
 倒すしか無いのだろうか。少なくとも、今はそうだ。
 救いはないのだろうか。有り様に従った彼女の心だけでも。
「腐りかけで処分するか、腐りきって処分するかの違いです」
 ふぅ、と息を吐き『落ち零れ』赤禰 諭(BNE004571)は光介の逡巡を吹き飛ばす。
 文字通りのそれを拝めると勇んできてみればこのザマで、それの元も先も彼には一切関係ない。
 ……発酵と腐敗では何もかも違う。そのあり方さえ腐ってしまっている相手が何に昇華するでもない。

 少女は笑う。毒々しい舌をちろりと出し、狂気を携えて。

●腐り落ちた過去
「……哀しい事ですね」
 ルールとは平等無差別。決して誰かを贔屓することはない。
 それはたとえば、ボトムでの運命を手にした自分とて同じとファウナは感じた。
 同時に、布陣を鑑みれば前線の戦闘ラインより踏み込まれない、という希望的観測に基づく安堵感もあった。
 ……無論。自らを巡る魔力に確かな感触を覚え、それの詠唱を始めたところで、彼女はその違和感に気付くべきだったのだ。
 ひたりと、殺気が貼り付く。怖気が走る。人の心の最も汚れた感情が汚れた形で腐り落ちてこぼれおちてくずれてこわれてただれてくだけてころすころされるくさりおちてしんでいく。
「~~~~っ!?」
 精神が腐り落ちるという異常を肌で感じる。言葉も無く、しかしそれが致命的なものだということはファウナは理解した。同時に、戦場に立つに余りに『安い』心構えだったことを。
 距離を置いた戦いを主に置く故に出来た空虚を見逃さなかった相手にどうしようもなく、心が、惹かれ

 気づけば魔力が呼び出した火炎弾は、リベリスタを遍く打ち据えにかかっていた。
 自らが好きにされているという自覚はない。己の判断ひとつで仲間を打ち据えたのだという感覚が支配する。それは正しく恍惚に感じることこそが腐敗であると、彼女は気付けない。

 嗚呼素敵、とひよりは感じる。
 命の循環。腐り落ち地を肥やし新たな生命の糧となるそのサイクルを、しかしその存在は単独でなし得るのだという事実。
 ちりと肌を焦がす熱などどうでもよく。倒錯した死生の混濁にただ笑うしかないのだと思い願う。
 火炎と共に翼を持たぬ仲間が地に足をつけたのを視認し、素早く再度、仮初の翼を呼び起こす。
 小夜の背後に周り、その姿を見るにつけその感覚にぞくぞくとこみ上げるものを感じるそれはきっと、幸福に似た何か。
「本分ではありませんが……いま、この時にできることを!」
「ノーフェイスも上手い事、凍ってくれたら良いんだが!」
 鮪斬を前方に突き出し、義衛郎は速度のままに刃を振るう。腐蘭姫にはやや遠いが、プランテ達を切り刻むには絶好の間合い。
 返す刀の斬撃が続けざまに突き出されるが、しかし彼の肉体を触れるには余りに遅い。その先端が凍りつくばかりで、威を為すものではありはしないのだ。
 それに続き、光介の魔力が矢となってプランテへ疾駆する。凍りついた体躯の一部を叩けば、それは容易に崩れ、損壊を大きいものとする。
「一緒に行こうよ。君みたいに、腐ったのが好きな女の子の友達、たくさんいるから」
 杖を持つ逆の手にカードを携え、コンパクトな動作からそれを投げ放つ。首筋に突き刺さったそれを鬱陶しげに引き抜きながら、腐蘭姫はとらに視線を、照準をあわせる。
 くさったものがすき。くさったせかいもすき。それはすてきなことだろうか。とんでもない!
 にたりと頬を歪めた彼女の声なき声が、しかしとらには痛切なほどに響き渡る。「そうではない」と。
「回復します、お二人とも少しの間耐えてくださいっ」
「大丈夫、こいつら皆動けやしないから☆」
「ノーフェイスに攻撃を届かせればいいんですし、このまま突っ切りますよ」
 状況は決して危険とは言いがたい。然し、些細な違和感はじわじわと戦局に重しをかける。前線に立つリサリサであっても、後ろから矢を射られては防ぐすべを持たないのが現実だ。
 癒すことと護ること、どちらも求められる以上は、それをやると決断した彼女の実力と意思が最後にものをいう。
「後で臭いを落とすのが大変です」
 一瞬ながら、地に足を付けてしまった事実と付けさせられた屈辱とは諭に苛立ちを与えるのも仕方ない。
 負け犬に劣る腐臭を己が身になすりつけられるのは、当然ながら好かないのだから。常に見下し上に立つ程度でちょうどいい。
 浮遊する砲身を背後に据え、前方に掲げた手は氷雨を呼び叩きこむ。決して正確とは言いがたい狙いだが、それでも牽制には十二分。掠めるだけでも、警戒はさせられよう。

 呼吸を整え、小夜は再び魔力を循環させる。目の前の敵に「攻撃」を仕掛けることは慣れない。ともすればそんな機会、無いほうがいい。それでも、やらなければならないというのなら。
 覚悟は必要だったし、決意はもっと。
 偽善でもなんでも、そうせざるを得ないのなら、それが正解なのだろうと思いたいのだ。

 義衛郎と切り結んだプランテが崩れるか否かのタイミングで、するりと近づいた腐蘭姫がその舌をちろりと見せる。目が細められ、その蠱惑的な魅力は彼に怖気を感じさせるには十分すぎた。
 軽く身を引いたが、前方につきだした腕に舌が触れる。熱感と寒気と不快感とその倍に比する快楽倒錯。肉体のみならず心をも腐らせようとしているのか、その舌の感触は彼をして危険であると理解させるに相応しい。
 体の芯を塗りつぶす毒の感触は、しかし彼の体を侵食する前に消失する。そんなものは、通用しない。
 彼の体をなぞりあげ、恍惚に浸る腐蘭姫に向けて放たれたのはとらの指先から伸び上がる糸の乱舞。十分な威力と精度を持ち、しかし彼女の意図を感じ取ってか、殺意は薄い。
 ……救いたいと、この期に及んで彼女は思う。
 殺し殺され、恨み恨まれ、心をなぞる悪意の連鎖は尽きることなく続いていく。
 ここで救えればどれだけいい? フェーズ2であることは、救えというサインなのではないか? 彼女にとっては――或いは『彼』にとっては。
 原因を突き止めてあげたいと、排除できればと。願うだけなら代価は無いのだから。
「慰めの言葉が欲しければ……ご愁傷様、運が悪かったね、辛かったねよく頑張った。適当に差し上げましょう」
 縛り上げられた少女の顔面に、諭の傍らから放たれた砲弾が直撃する。心のない慰め。感情に乏しい悪罵。それに続くようにして放たれたファウナの光弾も、その身に突き刺さる。
 少女はそれでも表情を変えない。笑ったまま、彼らのそれを受け止める。児戯に付き合うことに一切の忌憚なく。返すに、己に付き合えと言わんばかりに。
 ……そう。それは、とらが秘めた決意も声も、彼女には決して正しくは届かないという絶望の一端ではなかろうか?

●意図引き摺りて擦り切れて
「術式、迷える羊の博愛!」
 光介の発した術式が悪意の数々を排除し、続けざまに放たれるひよりの癒しの波長がそれに重ねて傷を癒す。
 攻め手に今ひとつ欠けるとはいえ、相手の逃走を加味しない長期戦であれば、この布陣は過剰なほどに堅牢であったといえるだろう。
 プランテの量産は圧倒的だが、それでも腐蘭姫本体への攻撃が順当に行われる限り、消耗戦に持ち込むには弱いと言える。
「わたしが帰るのはあたたかい腕の中……」
 ここで倒れるなど出来はしない。心を揺さぶるその姿その心、その技術。それでもひよりの本当の心の奥底を揺さぶるのはただ一人、なのだろう。だから、立ち上がることができるのだ。
 相手の身の上に最早意味など無い。突き立った矢も光弾も氷雪も、くすりと笑う少女の笑みを崩すことは出来ない。
 ファウナには分からない。その笑みの意味も背景も。ただ、彼女が決定的に『ボトムの普通』ではないことだけは分かる。彼女は、きっと既にどうにかなってしまっているから。こんな不幸がありふれている訳ではないと、願いたいものだと。
「景気よく中身毎吹き飛んでくれれば楽で良いんですがね? そうそうあたってはくれない、と」
 諭の放った鴉を糸の結界で阻み、己が舌で素体ごと腐らせ落とす。腐蘭姫の笑みは、更に深いものへと変化し……諭本人の感情に揺さぶりをかける。
 皮肉ととるには短絡的な仕手である。だが、彼女にとってそれは実に自然に向けられた感情だったのだ。享楽的な。

 小夜の視線の先には、腐蘭姫が居る。狙おうとすれば、可能だろう。
 ……だが、指先は魔力の矢を番えなかった。
 それよりもやるべきことがある。戦うべきは己である。
 ともすれば攻めに回ることのできる仲間にそれを優先させ、戦闘は……その生命を刈り取ることは、避けたくもあろう。
 偽善であっても。

 希望を見せてあげたい。
 未来を与えたい。
 救えるんだ、救いたいんだ、救うに足る相手なんだと思いたい。
 糸で縛り上げた僅かな間隙に、腐れた糸が這うのに舌打ちしながらとらが感情を奔らせる。
 敵として殺すなんて、したくはない。
 しかし、相手の感情はどこまでも笑みで塗り込められて奥が見えない。肉体の損耗はいや増して、既に人としての感覚すら消えさって居るようにすら見えた。
 それでも笑って。それでも狂って。
 少女は、腐蘭姫は、既に一線を超えていたのかもしれない。

「あなたが好んだ闇の中に溶けて溶けて溶け落ちて、いのちの中に還りましょう?」
 回復の間隙を縫って、ひよりの魔力が放たれる。静かに胸の奥へ落ちたそれを少女が見届けるまもなく、それは形を為さず下水の中へ崩れ落ちた。形を残さずぐずぐずに、人だったスープのように、溶けて流れて消えていく。

 そこにはもう腐蘭姫が居た痕跡はなく。
 腐り落ちた夢の果て、心すら残さず崩れていく。

 嗚呼本当に。
 何もかもが衛生に悪い。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 精神衛生もサポート範囲のようです。
 
 距離とか位置取りとか大変ですよね。わかるわ。