● 金槌と包丁を握りしめた灰色の毛並みの猫が二足歩行をしている。そんな昼下がり。 普通なら昼寝をしておきたい時間なのだが、猫はふんすふんすとハッスルしていた。 『ここ、どこ?』 たまたま迷いこんだお屋敷。出口が見えずに子供部屋や書庫をうろうろ。 後ろからぐわ、と近付くネギの姿に猫は驚き包丁を突き刺した。 ブッ刺される学名Allium fistulosumの背後から突如として襲い来る切なげな吐息―― パ→カァ↓……(切なげな吐息) びく、とした猫は戸棚の中に入り込み灰色のお耳をゆらゆら。 『おばけこわいいいいい』 ● 「にゃーん!」 ドヤ顔であった。『恋色エストント』月鍵・世恋(nBNE000234)のドヤ顔は呆れかえるほどのものだ。感情を表す様にぱたぱたとする羽が妙に楽しそうである。 「なんと、救出対象は猫さんなのよ! にゃーん!」 如何してそんなにドヤ顔なのか。この24歳。 大きな桃色の瞳は楽しげに細められ、お願い事があるのよと常通りの言葉を吐き出す。 「猫さんはアザーバイド。二足歩行をして金槌と包丁を握りしめた灰色の猫さん! 本日のお願い事は猫さんと一緒にお化け屋敷を攻略して、猫さんを元の世界へ戻してほしいの」 ――お化け、屋敷? その言葉にこくこくと頷いた世恋は「私はお化け怖い」と周辺の友人を見回した。近くに居たロボ風フォーチュナは「ですぞ!」と一言、黒羽のフォーチュナ(おっさん)も「え? いや、忙しい」と何やら目を背けて、作業中である。アレッ、皆してお化け怖い? 「お化け怖い! ので、皆よろしくね? 迷子になっちゃうけど猫さんの所為で迷子になっちゃうけど!」 世恋さん(24)はまるで幼女の様に手足をばたばたとさせた。 「大きなお屋敷に迷いこんだ猫(武器有り)を無事にお家に返す事が目的だけど――その、彼女、じゃないや、猫、強いわ。 咄嗟に驚いて包丁で友達刺したり金槌で殴ったりするくらい強いわ」 どんな猫だろうか。 「ええと、みやねこちゃんっていうの」 「え?」 「みやちゃんって呼んであげてね?」 ――何か酷い言葉を聞いた気がした。 いやはや、其れは兎も角、猫が持っている包丁や金槌がアーティファクトであり、迷ったり窓を修復したりすると言うのは脱出するにも手間取ってしまうだろう。 無事に脱出すれば猫が『ありがとう』とお礼にアーティファクトをくれると思うと世恋は微笑んだ。 「あ、そうそう、あとね、お化けアルパカとかお化けネギとか出てくると思うけど、そいつら弱いから適当に殴って猫さんとお屋敷(迷う)を脱出してね!」 頑張って、大丈夫だから、と世恋はにこり。 「迷うのは猫ちゃんの所為。アーティファクトで迷わせちゃうみやねこちゃんをお仕置きしてほしいのよ。 もふってやればいいわ! 存分に! レッツにゃんこ!」 よかったら猫の写真も頂戴ね、遊んであげても良いと思うのよ、だなんて告げて世恋は手を振った。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:椿しいな | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年06月08日(土)22:34 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●みやねこ 「い、いつのまに、こんなことに……っ!」 その時、『Wiegenlied』雛宮 ひより(BNE004270)に戦慄走る。目の前に居るしゃがんだ『百叢薙を志す者』桃村 雪佳(BNE004233)を見詰め、ぬいぐるみを強く抱きしめる。 そろそろと伸ばされた手はゆきよしさん改めねこよしさんの頭上に生えている――猫の――耳をモフモフしている。真顔だ。何という真顔であろうか。 「こ、これは……物凄く恥ずかしんだが……」 「にゃ」 頷き、サングラスの向こうで優しく目を細めた『無銘』熾竜 伊吹(BNE004197)による口調指導。語尾は『\にゃ/』で統一し、お耳を生やす事が本日のお約束事であった。 「うむ、皆、猫耳がよく似合うな」 ぴん、と立った黒い耳に猫じゃらしを装備する伊吹の姿に目を丸くしていた『Rabbit Fire』遠野 うさ子(BNE000863)は普段のうさみみパーカーでは無く猫の耳のパーカーを被っている。今日だけはねこ子さんだ。 「……さて、お化け屋敷、ね」 「お化け屋敷、怖いです。でも、遊びに行きます。頑張りましょう。にゃー」 きりっ。少女は此処で宿題を懐から取り出した。 何時の日か書いた宿題がこんな所で役に立つだなんて―― ねこのみみ みんなでつければ こわくない (『もそもぞ』荒苦那・まお(BNE003202)。某日の宿題の回答より) 「ねこみみ装着いぇい☆」 まおの言葉を聞いてテンションアゲアゲ急上昇の『ハッピーエンド』鴉魔・終(BNE002283)が耳を装着。 お化け屋敷いぇい☆ みやちゃんいぇい☆ 驚くべきテンションである。みやちゃん――『みやねこ』という名前のアザーバイドの猫を無事にお家に返す事が今日の役目だと知って居ながらも、恥ずかしさに思わず視線をうろうろさせる雪佳をちら見して『愛を求める少女』アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)が頭の上の猫耳をつんつんと触った。 「猫は可愛い。可愛いは正義。そしてボク達は正義を守るリベリスタ。よって早く可愛い正義のみやねこちゃんを助けてあげないとね!」 「かわいいは正義なの。ねこよしさんかわいい」 もふもふ。未だにもふもふを続けるひよりに「やめるにゃ!」と続けるねこよしさん。意外とノリ気であるかもしれない。 此処で真面目な顔をしていた『黒犬』鴻上 聖(BNE004512)はエクソシストあがりの不良神父と言うイケメン的風貌で『お化け屋敷』こと大きな屋敷の前に立っている。とても似合う状況なのだが――周囲が猫の耳を付けて居るので可愛い系に見える事も理由だろうが。 「……お土産、長靴にするか」 ――あ、やっぱ可愛いわ。 ●迷路 歩くたびに揺れる尻尾があった。それは雪佳の付けた『付け尻尾』である。ぎゅう、と強く握りしめるひよりの紫色の瞳が怯えた様に細められる。 「……俺は、迷子にならないぞ?」 ふるふると首を振るひよりは「ゆきよしさんとはぐれちゃうと駄目だから」と長い尻尾を揺らした。 「ここにでるのって、お化けじゃ無くて、エリューションだから、怖くないの」 「……先ほど、ブリーフィングルームでのあの怯えっぷりからすると――」 「ほ、本物が出るかもしれないの?」 ぬくぬくルームウェア【黒猫】を纏い、長い尻尾を引き摺りながらひよりが更に強い力で雪佳の付け尻尾を握りしめる。りんりん、と鳴り響く鈴の音に逸れない様にと気を付けて進んでいる事に気づき雪佳が小さく笑ったと、その時。 「――ハッ、何か聞こえる!」 (現状では集音には何の役に立っていない気がする偽物の)猫の耳が何かを察知したようだ! 「うむ、あっちだ、にゃ。正攻法が通用しないのならば、野生の勘を頼りに行こう、にゃ。」 猫耳のお陰で野生の勘が冴え渡った……気がした伊吹の声に続き目を凝らすアンジェリカがチカチカと点滅し続ける電灯の下で瞬きを繰り返す。手にしたアマーティレプリカモデルはみやねこを発見した時に楽しく演奏すれば出て来てくれるかなという作戦の元に手にしていた。 出入り口付近に結び付けた赤い糸が何処となくロマンチックに感じる中でねこ子さん――うさ子は大量に繋ぎながら進んでいく。途中、同じ場所に赤い糸が重なる事も幾度もあった。 「行き着く先は、怪物ミノタウロスじゃなくてにゃんこだけどね」 「ああ。……随分と愛らしい猫、らしい存在が迷ってるそうだからな」 不安がっているだろうか、と心配する雪佳の頭で猫耳が揺れる。ねこよしさんは優しい人です(重要)。 目の前に立ち塞がるおばけを切り裂く百叢薙剣。もしもこの場で良く分からないネギやよく判らないアルパカに倒されたとしても愛らしい物への愛で復活して見せるだろう! ひゅ、と息をのんだひよりではあったが、それがアルパカや葱であると気付いた時に咄嗟にした行動と言うのが何とも『不思議』であった。 「むむ、これで倒れないとはしぶといの! もふもふもふ、あっ、ふりまーわーさーなーいでーっ!」 「わ、だ、大丈夫かニャ?」 ぐるんぐるん。首にひっついてもふもふしながら退治を行うひよりが振り回される。ぽんと音を立て消えるお化けアルパカ。その勢いのままふわりと飛んだひよりの体を猫アンジェリカが受け止めた。 ニャと語尾につけ恥ずかしそうに頬を染めたアンジェリカが目にしたのは足跡である。終がこの足跡はみやねこちゃんのだ、と発見すると同時、遠くから猫の鳴き声が聞こえてきた。 ●やっぱり実在の人物とは。 暗視を使いじ、と目を凝らす聖はアーティファクトの効果も警戒し、幻想を打ち破る能力を手に猫の姿を探した。 戸棚の奥で、包丁と金づちを握りしめてふるふると振るえる灰色の猫が居る。だが、怯えて居るのか、その姿をきちんとリベリスタの前には表さない。 そっとアマーティレプリカモデルで鳴らすのは猫の名を冠する曲だ。有名な歌謡曲から、思わず楽しく踊ってしまいそうなものまでを目を閉じて奏でるアンジェリカは名付けて『天岩戸作戦』を決行している。 その音に誘われて、猫がゆっくりと顔を出す。一寸だけ見える顔は暗視を使って周辺を確認していた聖の瞳とぶつかった。 「……あれは」 聖の声に顔を上げ、ゆっくりと近寄っていくうさ子が戸棚の前でしゃがみこみ、小さく首を傾げる。 「キミがみやねこちゃん?」 そっと手を伸ばすうさ子の頭の耳を見詰め、よたよたと出てきた灰色二足歩行の猫――みやねこがその手に触れる。よしよし、と頭を撫でる手に不安そうに尻尾を揺らすみやねこへとタワー・オブ・バベルを介してうさ子は語りかけた。 (――よかった、見つかった) ほっとした様に胸を撫で下ろす雪佳。やはり、このような場所に一人――一匹だと心細いだろう。早く見つけ出してやりたかったという気持ちが喜びに消化される。 「ボク達はお化けじゃないニャ。君の友達ニャ。ほら、君と同じ耳だニャ」 『同じ……><』 「そう、同じだニャ」 ね、と差し伸べられるアンジェリカの指先ににくきゅうぺたり。未だ不安そうな猫の目の前でひらりと黒姫と名付けられたドレスの裾を揺らして抜群のバランス力を生かした空中三回転を見せる。猫の如き身のこなしに尻尾を揺らすみやねこ。 「みやちゃん、こんにちは☆ 終くんです☆ 親愛の印にマタタビ進呈☆」 じゃじゃーん、と手渡されたまたたびにみやねこのお鼻がすんすんと揺れ動く。またたびセット☆を手渡されたみやねこの尻尾が彼のお友達のピンクのおねいさんの様に『はにゃ~ん』となった。 「杯酌み交わす仲って言うし、オレ未成年だし相手猫だしだからマタタビ☆」 一本齧るのはそれが危ないものではないというアピールだ。にや、と笑って「おねーさん、いける口だねぇ☆」などと告げる終はさっそく仲良くなったのかみやねこをモフモフとしていた。 「まお達も迷ったから、一緒に脱出しましょう」 『迷ったの……?』 「はい、お化けが出そうで怖いですし、一緒に行きましょう。みやねこ様が居ると、まお、安心です」 ね、と笑ったまおにこくこくとみやねこが頷いた。可愛らしい感動的な状況に合わせ、恥ずかしげに視線をゆらす雪佳がしゃがみ込む。 「暫く一緒にいさせて貰っても良いか……にゃ? 大丈夫、怖くないさ」 手拍子や歌などがみやねこの警戒心をとると信じて行動する雪佳。その行動を見守りながらひよりが小さく笑った。 「でも、ひとりでよくがんばりましたなの。えらいこなの」 ご飯と、お水あげるのよ、と差し出されたお水に猫缶Premium。キラキラと目を輝かすみやねこに良い子いいこと頭を撫でるひよりの羽根をじ、とみやねこは見詰めた。しゃがみ込んだ時に長い尻尾が垂れている。それに手をぺちぺちとあてて居たみやねこはどうやらひよりの小さな羽が気になる模様。 ぱたぱた、と動かすと、その尻尾が揺れててしてし、と手が触れる。そっと手を伸ばしぎゅ、としたその手に慌ててじたじたするみやねこ。楽しげに笑ったひよりがよしよしと頭を撫でる。 「攻撃されても怒らないもん。泣かないもん。全部許すよ。猫は世界なの。よしよし」 「……あ、あ、えっと…俺も、もふもふしても良いだろうか」 何処か戸惑った様に言う雪佳に首を傾げるみやねこ。通訳のうさ子が小さく微笑んだ。 「……す、すまん。物凄く良い手触りそうでな」 ひよりの手からてし、と手を伸ばすみやねこをなでなで。もふもふ。何処か幸せそうな雪佳くんが今日も可愛い。 「さあ、お外に出ようか。……手、繋ぐ? こうすると少し安心すると思う」 体温を感じるって、凄くほっとするからと笑ううさ子の指先できらりとエンゲージリングが光った。 仲間達の言葉を通訳しながら歩くうさ子の目の前に飛び出してくるおばけアルパカとおばけ葱。 「ちょっと離れててね☆」 終が放つ時をも切り刻む攻撃にみやねこが目を輝かす。ぱたぱたと走っていきゆめもりのすずでベシベシと葱を叩くひよりの猫ぱんち。 「お鼻摘まんだらこわくないもん!」 マイナスイオンを放ち、仲間達へと施す翼の加護。ふわと浮き上がった事にみやねこがぱたぱたと手を揺らした。 (――バケモノがっ! 化け物に酔う者なんていらねーよな?) 真っ直ぐに投擲されるスローイングダガー。聖さーん、凄いゲスい顔してますよ! 背後で猫が怯えてます! 以下、不良神父の心の内を曝け出したものである。 (ネギだろうがアルパカだろうが関係ねー! ……そもそも、ゴーストって存在自体が許容できねーし。 一旦死んだ存在が神の子みてーに現世に残ってんじゃねーよ!) (・´ェ`・)<神のアルパカだもん! アルパカの聖の謎の攻防を見詰めながらみやねこががんばれ、がんばれと両手を振る。聖本人もみやねこを可愛がりたいところだが、やっぱり若い子の方が良いかな、なんて思っちゃって可愛がりたい気持ちをぐ、と抑えて居た。 その頃、同じ大人でも猫耳を付けて居た伊吹さんが「\にゃ/」としていたのだが……。 (うむ、雰囲気があの黒羽フォーチュナを彷彿とさせるな……。彼をアークに保護した時の事を思い出す) 胸の中で揺れる黒羽の記憶に小さく息を付く。今では彼とは良い呑み友達だ。きっとこの猫とも仲良くなれるだろう。――が、彼の手には猫じゃらし。未だに包丁をぎゅ、としたみやねこの鼻先にふりふりと猫じゃらしを向ければ、擽ったそうに猫の手がそれを捕まえた。 「この包丁、俺に渡してはくれないか。渡してくれれば代わりにそなたを守ろう」 大事に持っておく、返したら渡そうと頭を撫でる伊吹の手にみやねこは頷いて――猫じゃらしゲット。 「あ、じゃあこっちを上げます。さわり心地の良い木槌と木の包丁ですよ」 怪我もしませんよ、と猫耳を揺らしてにゃーと言うまお。その声にこくこく頷いて未だに持ちっぱなしの金槌と木の包丁と猫じゃらし。 続々と出てくるお化けに対して、一番に元気だったのは終であった。 「アルパカ! ほら、仲間だよ☆」 (・´ェ`・)<まじかよ。 「まじまじ。ほら。パ→カァ↓……!」 全力で攻撃を仕掛ける終は何が何でも『アルパカ優先』だった。戦闘には作戦を決定する場合が多いのだが、その中でも凄まじい作戦である。混乱を来すアルパカの目の前に差し出される『\突然のアルパカ/』。 アレッ、なんだろう、ちょっと心が痛い……。 「大丈夫、アルパカがアルパカぐるみと鳴き交わす光景が見たかっただけ☆」 アッ、ハイ。 (・´ェ`・)<パ→カァ↓……(切なげな吐息) 「囁くなら男性にするんだニャ! 猫の天敵もやっつけてやるニャ!」 アンジェリカの猫パンチ(こと大鎌による強襲)でアルパカが薙ぎ払われる。差し出されたアルパカ人形を羨む葱を攻撃しながら、「ぴゃああああああ」と叫び続けるまおがいる。瞬きを繰り返して、暗視で暗闇をじ、と凝らせば目の前に居たのが学名Allium fistulosumだったらそれは怖いだろう。 「お汁でないでください。べちべち。ネギ様のぬいぐるみはないのですか?」 「うん、まおちゃん。……ごめんね、ネギ……」 ||<な、何…? 「君の仲間は連れてきてないんだ……。だって、みやちゃんに嫌われたくなかったから……!」 ――みやねこちゃんの尻尾が揺れた。 『終君><。』とでも言いたげな雰囲気で揺れている。丁寧に通訳を繰り返すうさ子は、何故感動的な場面が此処で生まれて居るのか判らずに小さく首を傾げて居た。 「大丈夫、いっぱい居ようが私がいてガス欠なんて有り得ない。もうちょっと明るい方がいいけどね」 懐中電灯で照らす先、出入り口が近付いている事に気付いて猫の手をもう一度握り直したうさ子がゆっくりと歩いていく。 「これでもうお化けは怖くない。 ……あれ? 前に暗視で怖い物を夏に見て、音が……ぴやぁぁぁぁ!( >非<)」 怖い怖いと振るえるまおの耳に響く殴打音。振り向きざまにドアップで見える『怖いもの』――実際にはアルパカだったのだが。こわい、と天井に張り付いて震えるまおの声だけが静かに響いていた。 「ま、まお、見えて判っても怖い物があるって覚えましたたたたたたたたたた」 ●おうちにかえろう 「出口、です。みやねこ様。ばんざーい!」 。非。)<とてもうれしいです。 楽しげに跳ねるまおと一緒にみやねこが両手を上げる。小さなハイタッチ。嬉しそうなまおは此処に来る前に選んだというおみやげを差し出した。 「みやねこ様、その玩具はお土産です。まおと遊んだ記念です」 『大切にするね』 にこりと微笑んだみやねこ。そっと手渡された金槌。アーティファクトの回収も完了した。 もしもみやねこがプレゼントをくれるならお手紙を付けて送ってきてくれるだろう。次にあったら可愛いお手紙をくれそうな猫にまおがにこりと微笑む。 けれど、やはり帰る時間は近付く様で、うさ子はしゃがみ込み、モフモフとみやねこを撫でる。 (モフモフで、暖かい……。こうして体温を感じるのは、凄く久しぶり……) 「遠野、みやねこはそろそろ帰ってしまうのか?」 『……!』 「ううん、まだ少しは遊べるのだよ。何かしようか」 少しの時間で彼女が一緒に行ったのは赤い糸であやとりを皆でしようと提案した。遊び疲れたらお昼寝をしよう。そうしてから、帰ろうね? 「バイバイ、元気でね☆」 「名残惜しいが息災でな。猫じゃらしは土産にやろう。寂しくなったらもふるが良いぞ」 『!』 嬉しいとみやねこの耳が揺れる。鼻先にあてられ続けた猫じゃらし。灰色の猫(二足歩行)はにゃ、と小さく声を漏らした。 「その、アレだ。寂しくなったらもふるが良いぞ、にゃ」 忘れて居たが如く一つ、猫の語尾。可笑しそうに笑ったみやh――みやねこの両手いっぱいのお土産に長靴を履かせながら聖が取り出した小さな肩掛け鞄。猫の肩に掛けられた可愛らしいポシェットの中に入れられていくお土産――猫じゃらしや木槌と木の包丁、猫缶にマタタビといった様々なものをみやねこは丸い瞳で見詰めて居た。 「履けて良かった。履けない場合は入れ物にでもして貰おうかと……。はい、これに皆からのプレゼントを入れておきましょうね」 『ありがとう、嬉しい!』 照れたように尻尾を揺らす宮h……じゃなくてみやねこちゃん。そんな様子を見詰めつつ、聖は何処か切ない気持になっていた。どうせなら帽子も用意してやれば良かったかな……だなんて脳内に浮かんでいる長靴を履いた猫のイメージを再度、思い描いていた。 気付いた様にくい、と裾を引っ張るみやねこは『また逢いましょうね』と言う様にガッツポーズ。 驚くと脱出ゲームでお化け(友達)を包丁で刺したり、手当たり次第に金槌で殴る様子がその状況からは感じとれなかった。 「もふもふ。可愛い正義のみやねこちゃん、また会えるといいニャ!」 『また逢うにゃ!』 ふざけた様に笑って手を振って、帰っていく猫の背中を猫耳を付けた八人のリベリスタが見送った。 きちんと出入り口は壊してさようなら。次は変な場所に迷わないと良いなあと終は小さくため息をつく。 「じゃじゃーん、バトルレコードなの。世恋さんへのおみやげにするの」 笑ったひよりに「猫っていってたもんな」と雪佳が頷いた。何処か寂しげな雪佳に帰ったら世恋さんたちと一緒に見ようねとひよりが首を傾げて微笑んだ。 「……ところで、迷子包丁持って帰らないといけないの?」 ――帰るのに随分かかりそうだなぁ、と終が遠い目をしたのは仕方がないことなのであった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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