●機動兵器 人里離れた草原にいるのは、7体のE・ゴーレムだった。 周囲を森に囲まれたその場所で、ゴーレムたちは周囲を確認するように動いた後……突然攻撃を開始した。 目標は周囲に繁る草木である。 爆撃機に似た姿をしたゴーレムが爆弾らしきものを投下し、砲台のような姿をしたゴーレムが森の中へと砲弾を発射する。 そして、人に似た四肢を持つゴーレムが金属の腕を振るって周囲の草木を薙ぎ払う。 先刻までの動きからは想像ができない、まるで突然暴走し始めたかのような動きに、驚いたり怯えたりするものは……今はまだ、いない。 だが、それがこのまま続くような事になれば…… ●ゴーレム、再び 「E・ゴーレムの出現が確認されました」 マルガレーテ・マクスウェル(nBNE000216)はそう言って、すぐにスクリーンに地図と画像を表示させた。 森の中に存在する開けた場所。 そして、その空地に存在する7機のE・ゴーレム。 「ゴーレム達はこれから、森を破壊するように暴れ始めます」 そのまま放置すれば周囲の森林が破壊され、騒ぎに気付いた一般人が襲われる可能性もある。 「そうなる前に、ゴーレムの撃破をお願いしたいんです」 空地の方は戦闘や移動の障害となる物は存在しない。 逆に森の方から攻撃を行ったり森に誘い込む場合は、足場や射線の確保等で戦闘に多少の影響が出るだろう。 「もっとも皆さんが全力で戦えば、障害物等はすぐに無くなると思います。今回はそういった部分を考慮しては、撃破に失敗する可能性もある相手ですので……」 難しい顔でそう告げると、フォーチュナの少女はそのままE・ゴーレム達について説明し始めた。 7機のE・ゴーレムの内訳は、飛行型が1機に地上型が6機。 「飛行するゴーレムは、小型の飛行機か爆撃機みたいな外見をしています」 もちろん本物とは比べ物にならないほど小さく、大きさはせいぜい2m程度。 「ただ、10~20m程度の高度を保っていますので、遠距離攻撃等の何らかの手段を用意しなければなりません」 攻撃手段は、爆弾のようなミサイルのような何かによる遠距離攻撃だ。 命中した対象だけでなく、その周囲にも被害を及ぼすらしい。 「威力はそれほど高くありませんが攻撃の精度は高く、加えて回復を妨げる異常を対象に与えるようです」 ある程度の高さを保ったうえで爆撃により地上の味方を援護するというのが戦法のようだ。 「地上型は、砲台のような外見をしたものと、四肢と頭部らしきもののある人型の2種類です」 砲台型のE・ゴーレムは、砲台の台座部分に4本の脚部が付いたような外見をしている。 移動時には足を使用するが、砲撃時は台座部分を地面に降ろして固定し、砲撃を行うようだ。 「砲台型は2機いますが、両機共に攻撃力の高い砲弾と、攻撃力はやや低めなものの特殊な効果のある砲弾の2種類を使用するみたいです」 特殊な効果は、それぞれの砲台で異なるようだ。 「一方は、対象の攻撃能力を大きく減退させる効果。もう一方は、皆さんがスキルを使用する為の力を奪う効果があります」 どちらの砲台がどちらの能力を使用するかは分からない。 「ですが相手が一度使用すれば、それ以降は区別できると思います」 飛行型と砲台型は、とにかく攻撃を重視した個体のようだ。 「どちらも耐久性能と異常への耐性はそれなりですが、回避能力はかなり低いみたいです」 つまりは残った4機の人型は、護衛のような役割も兼ねているのかもしれない。 実際砲台型に近付こうとする者をや、飛行型に攻撃を行おうとする者をある程度優先して狙うような習性があるようだ。 「4機は脚部がやや短めで腕部は長めの人型のロボット、という感じの外見をしています」 直立しても腕が足元に付くほど長い。足もそれだけ短い。 両腕部分が盾状になっており、大きさは飛行型や砲台型と比べると小型。 人型ではあるが、変型の4足歩行という感じかもしれない。 「能力的にはバランス型、という感じでしょうか?」 ある程度機敏で、耐久力も防御力もある。 ただ、特化した部分や特殊な能力などは無いようだ。 「攻撃も、近付いての打撃のみのようです」 特殊な能力はなく、威力、精度共にそれなりという特徴の無さを特徴にしたような個体らしい。 「以上の7機が今回の敵なのですが……」 マルガレーテは難しい顔で眉をしかめてから、言葉を続けた。 「皆さんが消耗するのを狙って襲撃しようとしている、フィクサードの集団がいるみたいなんです……」 彼女の言葉にリベリスタ達は、最近発生している事件について思い出す。 バロックナイツのリヒャルト配下の親衛隊員達について。 「それらへの対処は別のチームに行って頂きますが、念の為に気に留めておいて頂ければ、と……」 歯切れの悪い言葉で不安げに説明を終えてから、少女は皆の顔を見回した。 「……どうか、充分にお気を付けて」 幾つもの想いが籠められたその言葉に、リベリスタ達は力強く頷いた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年06月11日(火)23:10 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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●ゴーレムと親衛隊 「一体どうしてこんな所に出てきたのかしら」 (まあ何にせよ、目立つ場所で暴れられるよりはマシだったけど) 呟きつつ『レーテイア』彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)は今回の事態について頭の中で素早く分析し、想定と演算を積み重ねた。 (もう一方はゲリラ戦上等みたいな所あるし、向こうの土俵に持ち込まれるのは避けたいわね……) この事態は、一体何なのか? 「はて、工場跡地で戦ったロボとは別物……なんだろか?」 ツァイン・ウォーレス(BNE001520)は呟きながら、以前確認し一部に自分も関わった、とある事件を思い返した。 (確か適合者の爺さんは保護したけど、『プラント』は逆凪が持ってったんだよな……) 「えぇい、考えるのは後だな、今は戦いを切り抜けねぇと!」 思考を一旦中断するように、自分に言い聞かせるように口にする。 「ロボとか砲台とか浪漫じゃない!」 本当はじっくり鑑賞したい! そう思いつつ『┌(┌^o^)┐の同類』セレア・アレイン(BNE003170)も、冷静な部分で自分に言い聞かせた。 親衛隊がやってくるとか考えると、そうも言ってられないのだ。 「猟犬気取りのハイエナどもが徘徊する中でもお仕事お仕事っと」 どこか気楽そうな、ノリの良い調子で『影の継承者』斜堂・影継(BNE000955)が呟く。 (まあ猟犬はユーヌや教授達に任せて俺達は俺達で楽しませてもらうとするか) 「万一のことがあれば纏めて食っちまうまでだぜ」 怯えも緊張なく、油断もない。 そんな様子の影継と比べると……『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)の様子はいつもと変わらぬ仏頂面ではあるものの……漂わせる雰囲気が異なっていた。 「あの人たまに滅茶苦茶な事言い出してくるから困りますよ」 先刻のお嬢様からの通信を思い出しながら、そう呟く。 通信が来た時点で、すごく嫌な予感がしたのだ。 出来れば切りたい、というくらいのヤツが。 「で、やっぱりですよ……」 (私狙われる側なのに、狙ってくる連中倒すのを手伝いに来い、とか……) そう思いはしたものの、メイドとして主人の命に背く訳にはいかなかった。 その辺り、彼女は正真正銘、律儀すぎるくらいにメイドなのである。 「わかりましたよ。行きますよ行けばいいんでしょう。ただしこっちが先に片付くとは限りませんからね」 そう言って通信を切ったのが……ほんの少し、前の事。 来ても来なくても親衛隊と戦う事になるのだろうか? 「フォーチュナの方が露骨にフラグらしき事を仰ってましたね」 (予感っていうのは不思議なもので悪いものに限ってよく当たるものです) モニカは皆を見回すようにして、口にした。 「一応用心して行く事にしましょう」 「ちゃんとした組織行動ができる敵というのは、厄介ね」 頷きながら『翡翠の燐鎖』ティセラ・イーリアス(BNE003564)は……だけど、と付け加えた。 「今はあの敵に集中しよう」 E・ゴーレム達が、6人の視線の先に存在している。 戦闘前の、お約束。 セレアは小さく呟いた。 ●「Get Ready!」 ティセラとモニカは集中によって、自身の動体視力を強化した。 視界に収まるゴーレム達の動きが、次第に……コマ送りのように遅くなってゆく。 無論、ゴーレム達の動きが本当に遅くなった訳ではない。 2人の目標を認識する能力が、極限近くまで高められた故だ。 (機先を制して行動できれば重畳かな) 集中によって脳の伝達処理能力を向上させながら、彩歌は状況を再確認した。 リベリスタ側の作戦は、障害物の少ない地形での速攻決着を狙う、というものである。 (アンテナは飛行型からの情報を受け取ってるってとこだろう) 影継はそう考えていた。 各ロボのアンテナを破壊し乱戦に持ち込む。 彼はエネミースキャンの能力を使用して、砲台型ゴーレムの分析を行った。 そして少々時間を掛けはしたものの、2機いるゴーレムの区別を付ける事に成功していたのである。 少年は物質透過の能力を起動させ、潜伏に地面を利用して移動していた。 一方、ツァインは人型のゴーレム達を抑えるように前衛に位置を取ると、邪な力を拒む十字の加護を仲間たちへと施してゆく。 リベリスタ達とE・ゴーレム達の距離が詰まり、両者は互いを射程に収めた。 そして……戦いが始まった。 ●対空戦、砲撃戦 真っ先に動いた彩歌は、飛行型と砲台型の動きに注意しつつ、人型を後方に向かわせぬようにと自身の位置を設定した。 飛行型の爆撃範囲に巻き込まれ難いようにと端を意識する。 正面をツァインが抑えているので、遊撃的な位置取りになるだろうか? (砲台が鬱陶しいけど、最優先は飛行型ね) 複数への射線が通る事を確認すると、彼女はそのまま全身から気の糸を伸ばしゴーレム達を狙い撃った。 無数の糸が精確に、装甲の薄い部分を、機体から伸びるアンテナを直撃する。 対するE・ゴーレム達も、リベリスタ達に対して攻撃を開始した。 前衛のツァインへと人型の1機が攻撃を開始し、飛行型を攻撃した彩歌に1機が向かう。 2機は砲台型の護衛に付くような位置を取り続けた。 そして飛行型が、中後衛たちへと近付き爆撃を開始する。 精度の高い攻撃は、3人に本来の威力以上のダメージをもたらした。 だが、飛行型の爆撃が届くという事はこちらの遠距離攻撃が届くという事でもある。 後衛のセレアは自らの血を術式によって、黒鎖として具現化させた。 高速詠唱によって瞬時にそれらを増大させ、濁流のように周囲に解き放つ。 とにかく数を減らすのが第一だった。 幸い飛行型以外にも、人型2体を狙う事が可能である。 黒鎖たちは彼女の意志に応じるようにして、エリューション達に襲いかかった。 ツァインが全身を防御のオーラで覆った直後、後方でティセラとモニカも砲撃を開始する。 早期殲滅で被害を減らす。 飛行型を狙い、他のゴーレムも可能な範囲で射程に収めて。 銃剣と呼ぶよりは砲剣と呼べるほどに大型の兵器の発射孔から、業火を纏った銃弾が次々と放たれ一帯を炎で包み込んだ。 続くモニカも殲滅式自動砲を構え、鋼鉄の嵐を巻き起こす。 取り回しを気にせず攻撃力を重視したその重砲は、ギガンドフレームである彼女を以てしても取扱いが容易ならざる怪物兵器と言えた。 もっともその分、もたらす破壊の力は圧倒的である。 周囲を薙ぎ払う故に命中性能は下がるものの、掠めるだけで……リベリスタやフィクサードであっても、未熟な者は致命傷を負いかねない程の攻撃力を、その火砲は有していた。 エリューション達の耐久力はその上を行ってはいたが、それでもゴーレム達が大きなダメージを受けた事は間違いない。 対するように、砲台たちの攻撃が開始された。 脚部を屈め台座部分を地面に降ろした姿勢で、E・ゴーレムは砲塔をリベリスタ達へと向ける。 耳をつんざく轟音と共に発射された砲弾が、彩歌とツァインに襲いかかった。 威力そのものは……弱いとは言えないものの、修練を積んだ2人にとっては危険という程ではない。 だが、直撃したそれぞれの砲弾から解放された力が……彩歌の攻撃する力を、ツァインのスキルを使いこなす力を奪い取る。 それは……果たしてこの戦いに、どのような影響を及ぼすのか? ●強襲と迎撃 「震動感知でもしてたらお慰みってな」 影継は姿を現すと呟きながら即座に、潜伏する前と現在で異なる状況を頭の中で修正した。 そのまま真紅の刃を持つ大剣斧を振り被り、全身のエネルギーを注ぎ込む。 タイミングは多少ずれたが、大きな差は無い。 彼の目的は、砲台型ゴーレムを前線へと押し出す事だった。 それが出来れば前衛たちが直接攻撃が可能となるし、敵が距離を取る事も困難となる。 加えて飛行型のゴーレムが前衛たちを攻撃すれば爆撃が他のゴーレムたちに命中する可能性もあるのだ。 もっとも、人間的な知性は無いとはいえゴーレム達は戦況や戦法を判断する能力を持っていた。 彼の狙いを阻止するかのように、砲台型にはそれぞれ1機ずつ護衛の人型が付いている。 どちらを狙っても、直接砲台型を攻撃するのは難しかった。 影継は瞬時に判断し、攻撃力減退型の砲台ゴーレムを庇う人型を狙う。 放たれた重い斬撃をゴーレムは両腕部の盾を使うことで防ぎ、直撃を回避した。 とはいえ、威力を半減されても彼の一撃は強力である。 そこへ、ツァインの援護で態勢を整え直した彩歌が、挟み撃ちのような形で気の糸を伸ばし攻撃を仕掛ける。 味方の中後衛を狙う飛行型を範囲に入れる為にそれほど前進は出来なかったが、前衛に立つ人型達を牽制するだけでも影響は大きかった。 影継はそのまま移動し、前線での戦いに参加する。 ツァインと対峙していたゴーレムは、移動してきた影継を警戒するように頭部を動かした。 (背中を見せたらモニカ達の攻撃で蜂の巣だぜ) 人型が自分に引き付けられるなら儲けものだ。 「いいぜ、そのままこっち狙って来い!」 己の生命力を暗黒の瘴気へと変換すると、彼は視界内のゴーレム達を狙い撃った。 飛行型はモニカ、セレア、ティセラらへの爆撃を続け、人型の2機は砲台型の護衛に付いたままである。 残った人型の1機も彩歌を攻撃し続けたが、最後の1機が影継とツァインの間で攻撃を行いつつも判断に迷っているという状況だった。 セレアは消耗を厭わず自らの生命を黒い鎖へと変えて攻撃し続け、黒鎖を直撃させ動きを封じた時にはマジックミサイルで空のゴーレムを攻撃した。 仲間の半数が異常を受けた時には邪気を退ける光を創りだし、皆を蝕む力を消滅させる。 消耗に関しては問題なかった。 彼女の扱う能力は消耗も激しかったが、セレアはそれが出来るだけ少なくなるように行動していたし、戦いながら周囲の気を取り込み練り上げる事で力を補っていたのである。 だが、彼女の扱う力は使用と同時にも反動も齎し、セレア自身を傷付けていた。 飛行型の爆撃は強力では無かったが、彼女が攻撃に耐える力も決して高くはない。 彼女はリベリスタとしての力の多くを、神秘の力を操り攻撃を行うことに費やしていたのである。 投下された爆弾が炸裂し、セレアの身を揺るがせる。 彼女はそれを運命の加護で耐え抜き、己の術式を組み上げた。 黒鎖が上空を旋回する爆撃機に襲いかかる。 ティセラとモニカの対空砲火も受け大きく損傷していたE・ゴーレムは大きく機体を揺るがせると、高度を下げながら幾つもの部品に分かれ、音を立てて大地に墜落した。 ●牽制と猛攻の結末 攻撃力減退弾の効果を受けた味方を回復させることを優先して戦いながら、ツァインはアンテナを破壊されたゴーレム達の動きを観察していた。 砲台の攻撃は苛烈で攻撃を行う暇は殆んどなく、彼は英霊の魂に呼びかけその加護を仲間たちに施しながら敵の様子を覗っていたのである。 大きな変化は無いので、ハッキリと如何とは言えなかった。 ただ、強いてあげるなら攻撃に纏まりが無くなったような気がした。 飛行型と砲撃型が、別の敵を攻撃し続けていたり……という状態が多かった……ようにも思える。 全体的な視野が失われていた、という事かも知れない。 それらを彼は仲間たちへと短く伝達する。 飛行型が撃墜されたのを確認すると、ティセラは前衛たちのやや後方まで前進し、狙撃の姿勢を取った。 目標の動きに合わせるようにして、魔力を籠めた銃弾で砲台を撃ち抜く。 幸いというべきか、飛行型も砲台型もそれほど回避力は高くなかった。 問題は消耗の方だろう。 彼女は既に飛行型を攻撃中に、攻撃手段を変更するほど消耗していた。 現在の攻撃手段は先刻までと比べれば消耗は少ないが、それでも無限機関の生成するエネルギー量を上回っている。 精度もあるが節約も重視して、彼女は敵の動きに意識を集中した。 モニカの方はそこまで消耗していない。 元々蓄積している力が大きいことに加え、彼女の永久炉は通常の無限機関と比べ大量のエネルギーを造り出す事が可能だった。 消耗は発生量を上回っていたが、それでも5分間はフルバースト出来ると言えば、彼女の継戦能力がどれほどなのか分かるだろう。 しかも、破壊力は圧倒的なのである。 世界から逸脱しかけた存在でなければ、数十秒耐え続けることなど不可能だった。 「アレか、女の子の後衛ってのは見た目のクールさに反比例するように火力がえげつないのがデフォなのか! 教えてくれ影継ッ!」 そういった姿を見て口に出してしまうのがツァインの長所なのか短所なのかは分からない。 「鉄をも喰らう影の刃、喰らうがいい!」 影継はそれには答えず、暗黒瘴気を放って人型の1機を叩き潰した。 彩歌の方でも仲間の攻撃に重ねるように、気の糸によって1機を撃ち抜き撃破している。 残っているのは砲台型2機と、その護衛の人型2機のみだ。 まだ半数以上残っているとも言えるが、砲台型はともかく護衛の2機は味方の全体攻撃である程度はダメージを与えていた。 とはいえ勿論、簡単にはいかないだろう。 (人型に庇われるのは想定内だけど) ツァインは仲間たちの回復で手一杯という状態である。 庇い役の釣り出しは難しいだろう。 彩歌はそう判断した。 構わず庇い役を撃破するか、それとも…… 自分で相手を誘い出すというのも手段として存在する。 その場合は対象が1機になるが、消耗は抑えられるだろう。 状況を窺いつつ分析していた処で、彼女は影継が護衛に距離を詰めたのを確認した。 辰砂灰燼が唸りをあげ、護衛の1機を弾き飛ばす。 それを確認し、彩歌は再び気を練り上げ無数の糸を生成した。 セレアは後衛から実験的に、砲台型の足の1つを狙ってみたものの……精度と効果を比べ、普通の攻撃に切り替える。 2機の砲台型は砲撃を続けていたものの、リベリスタ達は攻撃を耐えながら反撃態勢を整えていた。 ツァインの回復もあって、攻撃力減退型は破壊力の高い通常弾を使用しなかったのも大きかったと言える。 継戦力減退型も、力を自身で補充できる者たちが多かった事が影響し、こちらも殆んど通常弾を使用しなかった。 護衛の人型を牽制された結果、砲台型の2機も飛行型に続くように撃破される。 「さって、こっからだ! 鋼の打ち合い第二ラウンドといこうぜぇ!」 ツァインがブロードソードに破邪の力を宿して切りかかる。 その猛攻に耐え切るだけの力を、ゴーレム達は持ち合わせていなかった。 続いた黒鎖と無数の光弾、鋼鉄の嵐によって、人型達も粉砕され、戦場に静寂が訪れた。 ●撤収の前 激しい戦いではあったものの、実質的に経過した時間そのものは長くなかった。 エリューション達の撃破を終えたリベリスタ達は急ぎ撤収準備に取り掛かる。 ティセラは戦闘が終盤に近付いたと感じた時点から親衛隊への警戒を行っていた。 何かあれば別班から連絡があるだろうが、念には念を入れておかねばならない。 (敵戦力の残りにもよるけど、基本的には分が悪いと考えるべきね) 「来る場合、敵は消耗して尚、こちらを叩けると判断してるわけだから」 傷付いている者がいた場合は手を貸そうとセレアは皆の傷を確認したが、幸いそこまで傷の重い者はいなかった。 (前は無かったアンテナ……ビーストと戦闘し、今回は森で暴れてた……俺達を誘い出す為?) 「なんだ、実験臭ぇ匂いがプンプンしやがる……猟犬が来てるこんな時に面倒にならんといいんだが……」 ゴーレムの残骸からそれらしい物を回収しつつ、ツァインが呟く。 撤収準備は整えたものの、お嬢様の事を心配したモニカが援護に向かおうとして…… アクセスファンタズムに通信が入ったのは、ツァインが説得しようとした時だった。 任務を終えた別班のリベリスタ達が合流してきたのは、それから直ぐの事である。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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