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幻の49話! 暗黒将軍ベール=ゼスの最期!!


「クッ……ここは?」
 暗闇の中で暗黒将軍ベール=ゼスは目覚めた。
 周りにはかつて、暗黒世界ダークヘイムで自分に従っていた部下達を思わせる人形が転がっていた。
「どうやら、またしてもゴッドスリーに敗れたということか……。オノレ、許さん!」
 ベール=ゼスは地球をダークヘイムの支配下にするべくやって来た司令官だ。しかし、神が遣わした戦士、ゴッドスリーに侵略は幾度と無く阻まれている。
 記憶が曖昧で状況が理解出来ないが、今回もそうしたケースだろう。
 しかし、このままでは拙い。
 暗黒帝王ファージルとて、いつまでも猶予はくれないはずだ。あの「お方」の逆鱗に触れたら、自分の立場がいつまでも安泰とは限らないのだ。
「今度こそ……今度こそ、必ずや奴らを討ち果たさなくては……」
 そう言って、ベール=ゼスの着ぐるみは、大学の特撮研究会の扉を開くと、夜の街へと歩き出していくのだった。


 すっかり初夏の陽気を感じさせるようになった5月のある日。リベリスタ達はアークのブリーフィングルームに集められる。そして、リベリスタ達に対して、『運命嫌いのフォーチュナ』高城・守生(nBNE000219)は事件の説明を始めた。
「これで全員だな。それじゃ、説明を始めるか。あんたらにお願いしたいのは、E・ゴーレムの討伐だ」
 守生が端末を操作すると、昆虫を擬人化させたようなフォルムの着ぐるみが姿を現わす。悪そうな面構えで割とごてごてしたパーツも多く、中々に凝った作りだ。
「現れたのはフェイズ2、戦士級のE・ゴーレム。古い特撮番組の敵キャラとして作られたのが、色々あって大学のサークルに払い下げられたものが革醒したらしい」
 元は『神霊戦隊ゴッドスリー』という作品で、敵役の幹部「暗黒将軍ベール=ゼス」として作られたそうだ。しかし、子供向けにしては重たすぎる設定にストーリーという、脚本家が趣味に走った作りのために視聴率は低迷。途中でメイン脚本家を変える等のテコ入れが行われたものの、結果として打ち切りになってしまったのだとか。
「幹部役だったから……って訳でも無いだろうが、革醒の進行は早くて、結構強敵だ。だが、生まれ故にって言えば良いのかな、弱点がある」
 どうやら、「幹部怪人がやられる」ようなシチュエーションや、それに沿った台詞が話されると弱体化してしまうようだ。敵キャラとして作られた宿命だろうか。
 「暗黒将軍ベール=ゼス」というキャラは本編では、十分な活躍が出来ないままに終わっているようだ。ひょっとしたら、着ぐるみに宿った「ちゃんとした最期をやりたい」という願いなのかも知れない。
「保管されていた大学から移動して……現在は、砕石場にいるみたいだな。周囲に人はいない。思う存分やってくれて構わないはずだ」
 これも、おそらくは本能なのだろう。結構古い作品と言うことだし。
「説明はこんな所だ」
 説明を終えた少年は、その鋭い瞳で睨むように、リベリスタ達に送り出しの声をかける。
「あんた達に任せる。無事に帰って来いよ」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:KSK  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年06月06日(木)23:34
皆さん、こんばんは。
子供向け番組の設定は時折ガチだと思う、KSK(けー・えす・けー)です。
今回はE・ゴーレムと戦っていただきます。

●目的
 ・E・ゴーレムの撃破

●戦場
 とある砕石場です。
 守生の指示に従って、E・ゴーレムを襲撃します。時間帯は自由です。
 足場に不自由は無く、人の気配もありません。

●E・ゴーレム
 ・暗黒将軍ベール=ゼス
  古い特撮番組のために造られた着ぐるみがエリューション化したもの。フェイズは2。
  作品本編においては、幹部役として作られました。
  常に2回行動を行います。
  ヒーローものっぽい発言などを聞くと弱体化します。リベリスタ達による『神霊戦隊ゴッドスリー』の設定に合わせた発言には、割とのってくれるようです(「自分達はゴッドスリーだ」と名乗るなど)。
  『第9地獄「コキュートスの獄」』は、自分が負ける流れに無いと判断した場合のみ使用します。
  能力は下記。
  1.第1地獄「魔皇剣リンボ」 物近単 流血
  2.第5地獄「ディーテの焔」 物遠範 ショック、業炎
  3.第9地獄「コキュートスの獄」 物遠全 氷像、致命
  4.絶対者

●Eフォース
 ・戦闘員
  覆面姿をした人間のようなエリューション・フォース。フェイズは1。10体います。
能力は下記。
  1.ナイフ 物近単 出血
●『神霊戦隊ゴッドスリー』
 子供向けの特撮ヒーロー番組です。
 暗黒将軍ベール=ゼスが語った以外の設定に関しては、あまりにもおかしいものでない限り、皆様で決めていただいて構いません。追加戦士とか他の幹部とかを名乗るのもアリでしょう。上手く利用すれば、エリューションの弱体化が容易になるかも知れません。
 資料はアークが用意してくれました。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
クロスイージス
アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)
クロスイージス
ツァイン・ウォーレス(BNE001520)
覇界闘士
祭雅・疾風(BNE001656)
ホーリーメイガス
アンナ・クロストン(BNE001816)
デュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
ナイトクリーク
荒苦那・まお(BNE003202)
レイザータクト
毛瀬・小五郎(BNE003953)
ナイトクリーク
青島 沙希(BNE004419)


「どこにいる、ゴッドスリー……。我らの動きに気付かぬ奴らでもあるまいに……」
 大学近くの採石場にて、ベール=ゼスは斥候に遣わした部下の報告を聞き、明らかに苛立っていた。間も無く暗黒帝王ファージルによる、ダークヘイム召喚の儀式は近々行われるはずだ。その後には地球は魔界と変貌し、生きとし生けるものは死に絶えるだろう。
 しかし、その前に何としてでも奴らとの決着を付けたい。
 それこそが彼の望みであった。
 そして、ベール=ゼスが再び部下を斥候に出そうとしたその時だった。
「見つけた、マクモンはゴッドスリー見つけました」
 突然、草の陰から声が上がる。そこから姿を見せたのは蜘蛛の因子を持つ異形の少女、『もそもぞ』荒苦那・まお(BNE003202)……ではなく、ダークヘイムの怪人マクモンだ。
「ば、馬鹿な!? 貴様はあの時、奈落の底へ消えて行ったはず!」
 ベール=ゼスが驚愕の声を上げる。
 マクモンはダークヘイムの禁忌の実験が生み出した狂化怪人。通常の怪人より一層おぞましい姿と強大な力を持っている。しかし、その力に見合わぬ未熟な心は、ゴッドスリーとの戦いの中で揺さぶられ、ゴッドスリーとの友情を育むに至った。
 それを知ったベール=ゼス自身がゴッドレッドを襲った際に、彼を庇って死んだと思われていたのだが……。
「そうか! 貴様の仕業か!」
「べーる=ぜすよ……悪逆の罪を贖う時が来た……」
 ベール=ゼスが空を見上げると、そこには翼を生やした老人の姿があった。
 もちろん、『三高平のモーセ』毛瀬・小五郎(BNE003953)、もとい神霊ゼウスだ。ゴッドスリーに力と使命を与えた守護神霊であり、かつての主神。信仰の薄れによって力を失いつつあるも、人類を救わんと手を伸ばした存在だ。
「小賢しい真似を……そ奴を生きながらえさせた所で……!」
 苛立った口調と共に剣を振り上げるベール=ゼス。
 その時だった。
「そこまでだ! 暗黒将軍ベール=ゼス!」
 高台の上から声がかかり、ベール=ゼスは上を見上げる。
 すると、そこには逆光を背にした4人の若者たちの姿があった。
「これ以上お前たちの好きにはさせてやらない! お前たちがいる限り、わたし達は立ち上がり剣を取る!」
 『モラル・サレンダー』羽柴・壱也(BNE002639)がポーズを決めると、彼女の周囲に凄まじいまでの闘気が浮かび上がる。その姿はまさに破壊の神をも思わせる。
 悪しき闇を破壊し、平和を導く光をもたらす赤き戦士の姿だ。
「闇を燃やす真紅の炎! ゴッドレッドッ!」
 続けてアクセス・ファンタズムを起動したのは、『Brave Hero』祭雅・疾風(BNE001656)だった。輝きと共に彼の身体を、クールな風貌にふさわしく、蒼い竜のような装甲が覆っていく。
「闇を切り裂く蒼き稲妻! ゴッドブルーッ!」
 さらに、ツァイン・ウォーレス(BNE001520)もまた、マントを翻し、黄色の装飾を施した騎士鎧で両手を天に掲げてポーズを決めた。彼が両手に剣と盾を構えると、全身から光が溢れ出す。弱きものを守り、強き者に挑む敢然なる魂を持つ騎士の証だ。
「闇を払う希望の陽光! ゴッドイエローッ!」
 そして、ゴッドスリーの戦士は彼らだけではない。
 共にいたセーラー服の少女、『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816)もまた、天に向かって手を掲げるようなポーズを取る。
「神霊癒す希望の曙光……ゴッドクロス!」
 すると、アンナの身体が赤を基調とした装甲が覆われていく。胸部にある巨大な正12面体の宝石が特徴的だ。
 そう、彼女こそゴッドクロス。ゴッドスリーの秘密基地ゴッドベースのオペレーターだった少女が、激化していく戦いの中で、戦闘用の武装を手に取った姿である。「早過ぎたツンデレ」と評された性格や、女性らしい曲線の多いフォルムのスーツが特徴的で、後年高い評価を受けているキャラクターでもある。
 そして、4人の若者たちが崖の上でそれぞれの決めポーズを取ると、背後で爆発が起きる。合わせて、ゴッドスリーの名乗りを上げる4人。
「神霊戦隊ゴッドスリー! 祈りによってこの地に降臨ッ!」
「現れおったな、ゴッドスリー! いや、貴様らが来るのを待っていたぞ!」
 戦闘員に指示を飛ばすと、ベール=ゼスはゴッドスリーに向かって戦闘員を嗾ける。すると、その行く手を阻むかのように、白いマントに身を覆った仮面の戦士、『氷の仮面』青島・沙希(BNE004419)が姿を現わして大きな鎌を構える。
「ふふ、あなたの命運もここまでのようね、ベール=ゼス」
「ゴッドスリーに味方する厄介な貴様も、ここで一緒に片付けてくれる!」
 沙希は「白の戦士」として名前を伝えられている謎の戦士だ。本当の目的を見せる事無く、ゴッドスリーとダークヘイム、それぞれの勢力に対して干渉を行っている。少なくとも、ベール=ゼスにしてみれば、紛れも無く敵対者だと言える、疎ましい存在だ。
「そうは行かない、我々の運命に決着を付ける時が来たのだ!」
 瞳に哀しげな思いを湛えて『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)が叫ぶ。守護神霊ゼウスと心を通わす力を持つ司祭であり、ゴッドスリーの司令官であり、先代のゴッドスリーでもある。そして、ベール=ゼスとはかつて親友だった。
 既に戦う覚悟は済んでいる。
 あとは司令として、若き戦士達にその言葉を告げるだけでいい。
 わずかに揺れる心を決めて、アラストールはゴッドスリーに向かって叫んだ。
「行け、ゴッドスリー! 今こそ、ベール=ゼスを倒すんだ!」


 とまぁ、そんな訳でゴッドスリーとベール=ゼスの戦いが始まった訳である。が、賢明なる読者諸兄がお察しの通りに、これはリベリスタとエリューションの戦いだ。
 エリューションは強制進化の恩恵を遺憾無く受け入れることにより、到底考えられない力を手に入れる。その反面、真面目に考えればあり得ないような弱点を持つことも多々見受けられる。ベール=ゼスの着ぐるみ――このエリューションの持つ「特定のシチュエーションを再現されると弱体化する」といった習性は、その最たるものだ。
 故に、これは一見すると何かしらの劇を演じているように見えるが、水面下では死と隣り合わせの攻防が繰り広げられることになる。まさに、神秘に生きる者達の命を賭けた戦いなのだ。
(見ている方だって寂しかったんだから、そりゃ怨念残ってしかるべきよね……。よし。それじゃあ成仏、させてあげましょうか)
(人生とは己を主人公とした一度きりの舞台だとか。ゴーレムだとしてもその役を全うする事は幸せな事かもしれません)
(この歳になってからひろーものの登場人物を演じる事になるとは思いませんでしたな……。孫に自慢できますじゃ……)
 それが分かっているからこそ、アンナやアラストールといったリベリスタ達の目も演技という枠を超えて真剣そのもの。「エリューション」というイレギュラーの命に向かい合うことも忘れていない……なんか、えっらくのんびりしたおじいちゃんの気持ちも伝わって来たけど。
「ゴッドスピリットファイアー!」
 ゴッドレッドこと壱也はレッドと言う花形にふさわしく、元気な声ではしばぶれーどを振り上げてエリューションに向かって斬りかかって行く。
「誰もが憧れる戦隊もののヒーロー! それを悪役が望んできてくれるとは!」
 派手に互いの剣がぶつかり合う。抜いた剣で受け止めるエリューションだが、その勢いを殺し切れるはずもなく、わずかに後ずさる。
「派手に最終回を迎えさせてあげるよ!」
「何を言っている、ゴッドレッドよ?」
「あぁ、そうだったね。……コホン、たとえわたし達が消えるとしても、それは人々がつかんだ未来。でも、最後にやらなければならないことがある。お前だけは決して残しておくわけにはいかない!」
 エリューションと丁々発止の剣戟を交わす壱也。
 相手の膂力は大したもので、思わず吹き飛ばされてしまう。
「きゃっ」
「大丈夫か、レッド! ここは俺に任せておけ!」
 倒れる壱也を助け起こすと、ツァインはわらわらと群がって来た戦闘員に向かって輝く刃を振り下ろす。
「はぁ! サンシャインブレード!」
「イー!」
 ツァインの刃にズンバラリンと切り裂かれる戦闘員。原作において、彼が演じるゴッドイエローは古式ゆかしいパワータイプの戦士(カレー)であった。高いタフネスを持ち合わせて、数多くの戦場を支えてきた彼にとっては、存外相性の良い役柄と言えたのかもしれない。
 壱也に代わってエリューションへのけん制を行うのはまおだ。彼女の元から現れた無数の気糸が十重二十重にエリューションに襲い掛かる。
「ベール=ゼスはマクモンウェブで動きは止められない、でも傷つけることは出来ます!」
「貴様のような出来損ないが……邪魔をするな!」
 マクモンウェブは原作においてゴッドスリーを後一歩の所まで追い詰めた凶悪な技だった。しかし、この場においてはそのような設定とは関係無しに、エリューションを抑えることは出来なかった。状態異常には強い耐性を持つ個体なのだ。
 それでも、まおにしてみれば攻撃が当たれば着実に有利に事が運んでいるということ。攻撃を止めてやる道理はない。
 そして、ツァインの一撃を皮切りに、リベリスタ達の反撃が始まった。
「雑魚は引っ込んでいなさい!」
「天に集いし神霊達よ……悪しき者達を撃ちすえよ……」
 沙希は舞うように鎌で敵を切り裂き、小五郎の呼び出した魔力の雨が降り注ぐ。
 見る見るうちにエリューションの眷属はその数を減らし、気付けば残る戦闘員はわずかだ。
 そして、それもすぐに0になった。
「残るは貴様だけだ、ベール=ゼス!」
 最後に残ったエリューション達を疾風がナイフで纏めて斬り付けると、一斉に爆発した。普段からスーツアクターとして活躍しているだけあって、その仕草も決まっている。妙にカメラを意識した風なのもその影響か。
「奴ら等、所詮は捨て駒! このベール=ゼスを侮るな!」
 傷付いたエリューションがリベリスタ達に手を向けると、その手から巨大な火の玉が飛び出す。そして、それはリベリスタ達の中心部で大爆発を起こす。
 もうもうと舞い上がる煙に向かって、笑うエリューション。
「ダークヘイムを滅ぼし、共に消えるのがゴッドスリーの運命だと? 認めぬ、貴様らを殺すのは、この我だ……!」
 原作ではゴッドスリーは「信仰心の薄くなった現代では神力(ゴッドエナジー)を得ることが出来ず、次第に弱って行く。しかし、それでも人々の選択ならと最後の力を振り絞ってダークヘイムへの最後の戦いを挑む」という展開だった。
 その中でベール=ゼスは「ゴッドスリーとの戦いでの決着を求める」という役どころを与えられながら、尺の都合で「暗黒帝王ファージルに粛清される」という結末を迎えた。
「もう神力が残っていない……今に生きる人々よ、許して欲しい……我々はここまでのようだ……神に頼る事無く自ら歩む事を選んだ君達なら、きっと……」
 着ぐるみだからと言って、その結末には納得は行かなかったのかも知れない。
 だからこその台詞だろう。
 そして、この場には他にも、定められた結末に対して、異を唱える戦士達がいた。
「たとえいつかは消える定めだとしても、それは今じゃないわ。それに……少なくとも1人、あなた達を信じている人間がいるわよ。ここに」
 アンナが呼び出した癒しの息吹がリベリスタ達を癒していく。
 決めポーズをしながら口元に苦笑が浮かんでいるのは、普段の自分の役割と現在演じている役柄に、あまりに違和感が無いからだろう。
「あぁ、そうだ……例えどんなに小さな祈りでも……そこに願いがあるのなら、立ち上がるには十分だ! そうだろう? みんな!」
 ゆっくりと立ち上がるツァイン。演技のつもりだったが、予想以上の威力に本気になってしまったようだ。
「あぁ、負ければ世界が暗黒の世になってしまう! 負ける訳にはいかない!」
 煙の中から疾風も姿を見せる。
 半分は演技、半分は本気だ。
 TVのヒーローが逆境から立ち上がるのは鉄板の勝利フラグ。何よりも、自分は正義のヒーローなのだ。この程度のことで倒れてやるような無様は無い。
「おーっほっほっほ!」
 その時だった。今まで白いマントに身を包んでいた沙希が身を翻し、その身のマントと仮面を外す。すると、赤と黒を基調とした、露出度高めの衣装が姿を現わした。暗黒世界ダークヘイムの幹部、暗黒姫アスモスのものだ。
「ご苦労だったわね、ベール=ゼス。ゴッドスリーを弱らせてくれたこと、感謝するわよ。役立たずの貴様を始末するついでに、弱ったゴッドスリーも討ち取れば、暗黒帝王ファージル様の覚えも良くなるというものよ!」
 沙希の口からはスラスラと澱み無く台詞が飛び出してくる。普段から舞台女優として過ごしているのだ。この程度のことは造作も無い。そして、彼女にとってアスモスの性格は地の性格に近いのである。
 原作に近い流れを用意して、エリューションに自分の最後を悟らせた。
 エリューションに動揺が走る。
 そこへ、「ベール=ゼスとはかつての親友」であるアラストールが訥々と言葉を紡ぐ。
「ベール、お前はまだ、信じているのだろう、人間を! ……なぜならお前は本気のコキュートスをまだ使っていない!」
「馬鹿な……そのようなこと……!」
 叫ぶと同時にエリューションは剣を大地に突き立てる。
 ベール=ゼスの最強技であり、周囲の命を凍りつかせる魔技「コキュートス」。エリューションはその力を完全再現しているとの情報はフォーチュナより確認済みだ。
 しかし、「悪の幹部がやられる流れ」にあるからだろうか。
 どことなく、その動きは緩慢だ。
「皆の力をレッドに集めろ! 合わせていくぞ!」
 ツァインの台詞に合わせて、疾風がアクセス・ファンタズムより音楽を流す。
 アークの資料にあった「神霊戦隊ゴッドスリー」の主題歌だ。

『世界を護る為 私達は神に選ばれた
愛する世界を 人々を 護る運命(さだめ)

人の心が闇に堕ちそうになる時 
ダークヘイムの影が忍び寄る時 
平和の為に 私達は何度でも起ち上がる

三位一体の御名において 明日に続く今日を護るのさ
諦めてなるものか 愛 勇気 正義の 想いを胸に
光と共に 戦え! 神霊戦隊ゴッドスリー!』

 老若男女を問わず、分かるだろう。
 一度でもあの戦士達の戦いを目にしたことがあるのならば。
 ここまでお膳立てが揃った状況で、悪に負けてやる義理は何処にも無い。
「みんながいれば、わたしは強くなれる! たとえこれが最後であっても! くらえええ!!」
 壱也の魂が激しく燃え上がる。
 既に演技とかエリューションとの戦いとか、そういうのはどうでも良くなっていた。
 今の自分がやるべきことは、ゴッドレッドとしてベール=ゼスを倒すこと!
「ゴッドファイナリーインペリアルハイパーファイアドライブ!!」
「この程度で……このベール=ゼスを倒せるかぁ!」
 先ほどの再現だ。壱也の剣をエリューションが受け止める。
 先ほどの壱也は演技もあって弾かれて見せた。だが、今回は違う。
 何よりも!
「あとひと押し……! みんな力を貸して!! これがみんなの力だあああああ!!!」
 壱也が思い切り刃を振り抜く。
 すると、エリューションの身体は真っ二つになる。
 そして、お約束のようにそれが爆発する直前、リベリスタ達の耳は確かにその言葉を捉えた。
『ありがとう……』


「べーる=ぜすは倒れた。しかし、未だふぁーじるは健在、くれぐれも油断してはならないぞ……といった所かのう」
「コアに合わせて改造した強化スーツが役に立つ時がくるとは……とほほ」
 のほほんと小五郎はお茶を啜っている。
 戦いの終わった砕石場で顔を赤らめるアンナ。
 そもそも彼女が着ていた装甲は、今回の戦闘用に余分な装飾をしたものでは無く……元々のデザインだ。それがヒーローもののスーツとして違和感無く利用できる辺り、つくづく神秘の世界は奥が深い。
 その横でまおは何故か倒れているツァインの前で首を傾げている。
「俺はここまでのようだ……楽しかったぜ、レッド、ブルー……」
「何でツァインさんは怪我がひどい訳でも無いのに倒れてるです?」
 どうやら、役に嵌り過ぎて脱出できなくなった模様。
「ハッ……あー、えーと……コホン」
 まおのツッコミでようやく正気に返る。そして、立ち上がると照れ隠しに皆に呼びかけた。
「皆で戦隊モノのDVDでも借りに行くかっ?」
 変わり身の早さに誰ともなく笑い出すリベリスタ達。戦いを終えて帰路につく。
 だが、小五郎の言葉の通りだ。
 ベール=ゼスは倒れた。
 しかし、この世界には幾多の敵が残っているのだ。
 戦え! リベリスタ達!

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
『幻の49話! 暗黒将軍ベール=ゼスの最期!!』にご参加いただき、ありがとうございました。
思いっきり特撮テイストの戦闘。如何だったでしょうか。
自分はとても楽しかったです。

それでは、今後もご縁がありましたら、よろしくお願いします。
お疲れ様でした!