●えろいとかえろくないとか以前に男性が口にする単語と案件ではないと彼は判断したためこのような展開になりました 『無貌の予見士』月ヶ瀬 夜倉(nBNE000202)、資料のみを残し逃亡。 その一報を受けてブリーフィングルームに現れた(一部『やっと夜倉狩りの許可が出た!』と調子に乗った者も居たが)リベリスタ達が目にしたのは、『Rainy Dawn』兵藤 宮実 (nBNE000255)の悲壮な様相だった。 耳元まで柘榴の様に朱に染まったそれは、病熱ではなく単純に羞恥心からくるものだろう。 白い肌、首筋に差した色は背後から見れば官能的な項を晒しているはずである。 そして、その瞳には光がない。 呼吸に合わせ上下する控えめな胸元に、女性なれど視線を向け……気付いた。その資料が『そこ』にあることに関しての決定的な違和感に。 ブラの、写真だ。それだけではない。ガードルの写真すらある。 「……や、やぐ、夜倉さんが逃げ、逃げた理由は、その、依頼内容、が、女性を対象に、し、しし……」 「わかったから何もいうな」 「こんな依頼内容……だめぇ……」 おい、この娘こんなに神経細かったのか。そのうち「むーりぃ……」とか言い出すぞ。出口に逃げるぞ。取り押さえろ。 取り敢えず埒が明かない。彼女から資料をひったくるように受け取った(語弊ありありである)男性リベリスタは、つらつらとそれを読み上げた。 「なになに……? 某企業の新製品である『気持ちまでネガティブになれるブラとガードルのセット』に、正真正銘落ち込ませる作用を持つアーティファクトが混入している。偶然発生したものかと思われ、回収に際してはリベリスタ諸氏の着用による判断を要する。尚、先方はこちらに対し非常に協力的であり、神秘暴露を心配する必要なくことに当たることが可能……」 なんだろう、ひたすら試着でもしろってことか。ひでぇ話である。 「で、企業名……は?」 そして、リベリスタの一人が頓狂な声を出したのも当然であろう。 企業名は『和光縫製』。関連企業――『冥時牛乳』。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:風見鶏 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年06月05日(水)22:42 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●ウラしかない 「え、夜倉狩りしていいの!?」 「ああ、包帯戻さなくてもいいぞ」 「ヒャッハー真・夜倉狩りだァ!」 ……とのような会話があったかどうかはさておき。 「……って、いないじゃない!? がっでむ!」 「どうしてこうなった」 夜倉狩りの急先鋒、『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)と『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)はあっさり騙されおい待て。 「どうなったもこうなったも……その、新田さん」 「いきなり苗字呼びまで後退されていた!?」 理由はあるけどなんていうか謂れの無い疎遠感が快を襲う! 更衣室に移動する前に彼の自尊心は丸裸だ! 仕方ないな! 「何故か、かいお兄ちゃんが居る……」 「ところでなぜ男性の快さんがここにいるんでしょうか?」 続けざまに『おこたから出ると死んじゃう』ティセ・パルミエ(BNE000151)と『ネメシスの熾火』高原 恵梨香(BNE000234)――どちらも快との付き合いは短くない――からの冷たい視線を向けられると、更に惨めに感じなくもない。 取り敢えず土下座しとけばいいんじゃないかな。 「新田さん? アークが誇る守護神だぞ、そんな疚しい目で女の子を見る訳ないじゃないか!」 そこで助け舟を出すのは『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)。さすがのアイドル力(ぢから)である。多分Paやな(ひとりごと) 「アイドルはこの身が売りである! 磨き上げた肉体美! 補正下着なんて必要としない! テンションだだ下がりなんて事はありえないのだ!」 「流石明奈さん、元気が良くて素敵ですね……」 「え、あ、ハイ、どうもクミ先輩」 「そこまで下手に出なくていいですよ!? 確かに少し年上ですけど!」 明奈、クミから話しかけられ若干戸惑うが、よくよく考えればそこまで挙動不審になる理由もなかった気がする。というかアレだ、彼女たちは「アイドル」という共通項があるんだな。方や現役候補生、方や引退済みながらそこそこ売れた中堅アイドル。そういう意味では、明奈の『先輩』呼ばわりも間違っていないことになる。 「男がいる? 己は見られて恥じるような体はしてないから気にするな」 「そういう問題なのか……?」 フォローになってんだかなってないんだか分からないコメントは竜ヶ崎 恋(BNE004466)から発せられたものである。割と、というかかなり女性として魅力的な成長を経ている彼女にとって、そこまで気にする要因ではない、というのは事実らしい。流石すぎて声も出ない。 「普段下着にこだわらないからな……というかつけてないことのほうが多いな」 おいちょっと待て。その発言はいろいろとまずい。 「無理に体型補正をしないというのはともかく、テンション落とす為の下着ってどうなのよ?」 そんな発言はなんのその。『百合色オートマトン』卯月 水華(BNE004521)は神妙な表情でアーティファクトの概略に首をひねった。テンションを落とす必要が一体どこにあるのか、心底理解できないというような顔だ。当たり前だそんなもん。 しかし、その半面彼女の内部では激しい狂喜(誤字ではない)が渦巻いていた。すげぇ喜んでるよこの人。大丈夫なのかこれ。超キマシ臭がするんだけどその、大丈夫か。 「ところで夜倉狩りってなに?」 「何なんでしょうね、一度巻き込まれた上に部活に入ってるはずなんですがちっともわかりません」 水華の疑問に答えるにはクミは役者不足過ぎた。ここは快と舞姫の出番だな。間違いない。 「夜倉が、うう、夜倉が狩りたい……」 「もう最初から駄目ですねこの人!?」 駄目でした。 ※ここに居ない包帯野郎の包帯を剥いだり罠に嵌めたりすることだよ、と快がかいつまんで説明してくれました(ドヤァ 「まぁまぁ、なんと面白そうな品でしょう」 ぽん、と優雅に手を打ち、(一見すれば)たおやかな笑みを浮かべる『天邪鬼』芝谷 佳乃(BNE004299)だが、正直いってしまえば彼女も割と駄目の子である。 外面の良さはメンバー随一であろうが、本質が本質である。というか、こんなもんに前向きに興味抱く時点で色々と分かってしまうきがする。わからないわ。 「考えついた人にちょっと会ってみたいですわね、どのようなユニークな方なのか……」 「あの時もそうだったけれど、戦う以外の方法でも神秘事件やAF散逸を防ぐのはリベリスタの仕事……」 どんな人か、というかどんな企業か、という面に於いて、恵梨香はやや詳しいと言えるだろう。 『冥時牛乳』。なぜかバストが拡張する牛乳アーティファクト、北海道属性で北海道を北海道した北海道なアーティファクト、etc.. 兎に角『何故全力を尽くした』と言われそうなアーティファクトを排出している企業なのである。一応フィクサード寄りではなく、リベリスタ寄り。神秘界隈に知識こそないが協力的な部類に入るとされる。 「彼もアークのエース。どのような任務であれ、自分を顧みずに立ち向かっていく姿は立派」 そんな評価を改めて快に向けて、その、後悔しないって誓えるか恵梨香。大丈夫だな。 そして、場所は変わり更衣室。 「アレな性癖に目覚めたりしないでくださいね……?」 「これは任務だ、任務なんだ……!」 ネクタイで目隠しをした快は、自分に言い聞かせるように首を振った。そして傍らには舞姫。あ、これはヤバいわ。絶対なにか起きる。 「こっちも見ないでください」 「見えないから大丈夫だよ! くそ、なんだこの感覚……!」 特に理由しか無い冷たい視線が快を襲う。分かってんだよ、そういう冷たいこと言われても内心ゾクゾクして股間が暴れ大蛇(舞姫談)なんだろ? 「ワタシにはこの無駄に溢れる自信と勇気とドラマ的何かがある! 怖いものなんてない。もう何も怖くない……!」 青少年のなんかに強い色々があるんで明奈はつよい(確信) 「これらの行為は、全て依頼を完璧にこなす為に必要な事なのよ!」 何をしようというのか。 本音を隠せているのかそうでないのか、わからない水華がおり。 「さて、参りましょうか」 こころなし頬を上気させた佳乃が居たりするわけだが黄にしてはいけない。いけないのだ。 ●おかしい、そういう趣旨じゃなかった 「シュゴシン殿がからかわれているが……動画の撮影でもしておこうか」 「皆様のお姿、写真に残しておきたいですわね」 「お二人とも辞めましょう!? 報告書に加えて画像資料とか新田さんが、寧ろアークのイメージが整理株のような暴落振りになってしまいますから!」 恋と佳乃、お互いに違う理由から撮影機材を取り出したが、流石にそれはクミが止めた。既に底を打っているとか言うな。 「それでは、Eの70あたりのものをお願いいただけますか?多少それより大きいものでも試せると思いますが」 「己も大体わかってるから着用していこう」 と、ここで滅茶苦茶聞き分けよく作業にとりかかるあたり、彼女らもアークのリベリスタとして一定以上の心構えはできていたようである。 決して目的がなくなったわけではない。無いのだ。 「いいねいいね、ちゃんと着用できてるね!」 「水華さんも始めましょう、ちょっと恐いですけど……」 「大丈夫大丈夫、ちゃんとやるわよ」 佳乃にかぶりつき、つぶさに観察する水華は先に始めててと言わんばかりの動きだった。最初からこれが目的だったのなら仕方ないね。あとにしよう。 「これはアーティファクトのようね……これは普通のブラで……」 着用することも大切ではあるが、アーティファクトとしての特性を考えれば恵梨香のように『透視』を使うことである程度の絞り込みも可能である。 むしろ、そちらのほうが効率的で処理スピードを上げる、という面では(絵面としては面白みに欠ける部分はあるのだが)正しい。生真面目な彼女らしい行為に、真面目にやろうと考えていたティセも羨望の視線を注がざるをえない。 ただし、彼女は彼女で超幻影を駆使して周囲のメンバーから凝視されても問題ないようになっている。……まあ、着衣したままブラの着脱を繰り返すなんか凄いスーパープレイを行なっているようにみえるのだが……。 (かいお兄ちゃんが気になるけど、舞姫さんが手伝ってるみたいだから……) 複雑な乙女心が感じられる。 「ガンガン着用してガンガン処理するね! 分かった!」 「明奈さんは発育がバランスいいですよね、アイドルというか若干モデル路線が向いている気がしますね……」 明奈が超スピードで着脱を繰り返している脇で、クミはマイペースだった。 バババ、と効果音が見えそうな彼女の動作はまさに仕事熱心なリベリスタの一側面を感じさせる。 世に言う『簡単なお仕事』経験者はこれに二重三重に輪をかけた罠をかいくぐる必要があるのだが。 「まぁ……別に体型に何の不満もないし、何も問題ないわね」 「これは豆知識なんだが……日本人はそもそも骨格的に谷間ができにくいそうだ」 やっと装着し始めた水華は、着用している下着のヒモをかるく摘んで何の気なしにつぶやく。 見られて恥ずかしい体型ではないが、相手を見て愉しむタイプの彼女としては見て楽しみたいのだろう。でもこれ仕事だから仕方ないよね。 ガードルも履こうぜ。 そして、そんな彼女に話すでもなく恋は豆知識をぽつりと。まあ、日本人ってそこまでがっしりした骨格じゃないからね。そして彼女はそれなりに豊満であったりするからね。 「ところで、新田様……あらあらまあまあ、素晴らしいことに……」 「……くそ、今俺はどんな下着を着させられているんだ!?」 佳乃が快と舞姫のやりとりに視線を向けると、そこには素晴らしい光景がひろが……ああ、まあ広がっちゃ居るわな。 何しろ舞姫の望むような「きわどい」品はない(同名ロットでそんなもんあってたまるか)のだが、大胸筋矯正サポーターを着用し、ガードルを履いたその姿は確かに写真撮りたくなるレベルだ。 「こんなんじゃアーティファクト効果なんて分かるか!」 まったくだよ。この時点で快の社会的なフェイトがマッハで削れているきがするが気のせいだろう。 ときに。 ここまで着用してトラウマのひとつも無いわけがない。っていうかガードル着用者すくなくね。 大丈夫、上下一緒に着用しないように皆気を遣ってるんだよ! 誰か以外はな! ●お前らのトラウマ晒せ(1001) 「普段からワタシって魅力溢れるセクシーアイドルって自己主張してんすよー。でもアークって神秘的なほどおっぱい大きい人多いじゃないですか」 「ですよねー……明奈さんほどでも四天王最弱扱いされそうな胸囲とかなんなんでしょうね本当に……」 「ワタシだって人並み以上、後一歩で巨乳の仲間入り、いや既に仲間だと思うのにさ! 惜しげも無く揺らしやがって!」 「…………揺らせる胸があるっていいですよね」 「しかも胸ばっかり育ったロリとかさあ!!! 外見年齢は十代前半とかさ!! ババアお前その胸のどこが十代だよ!」 (恨みで人が殺せるならどれだけいいのだろう……) 明奈が合法ロリとかロリ巨乳とかそういう感じのものに対して延々と恨みを垂らしているが、その度ふるふると揺れるその胸を見て「くっ」とか言いかねないクミが相乗効果でどんどんダウナーになりつつあるのでそろそろお前そのブラを外せ。 そんな様子を見て、ティセもちょっと落ち込みがちだった。 「普通かちょっと大きめなあたしだけど……男のロマンもひんにゅーっていうステータスもない……いつになっても彼氏が出来ないわけだよね……」 よくよく見れば、何故かブラ重ねてつけてるけどその、それは大丈夫なのか。ネガティブラ相乗効果でどんどん鬱になっていくんじゃないだろうか。ほら、失恋の対象が居るわけだし、多少はね? 「傷は浅い……よ、あたし……」 なんておそろしいしたぎなんだろうね(ティセ感) (……予想はしていたものの、ブラはカップが合わないわね……) 脇に置いてあるパッドを軽くつまみ、ブラに詰めて着用して恵梨香は着用して無表情に考察する。 何故彼女が装着しているかというと、アーティファクトかどうか曖昧な状態だったブラがあったわけで、それを着用しよう、となったわけだが……これネガティブラの効果なのかな。 効果だよね。間違いないね。彼女がこんなことで(以下省略 「パーフェクト超人なミラクルボディの舞姫ちゃんには、補整下着など無用……ふおおお!? ガードルの上にお腹のお肉が乗っかって……!」 ガードルの恐いところってここなのである。ここだけの話であるが、きついガードルとか着用してるとこう、たぷん、って、ね……なるんだよね往々にして。言い訳は通用しない。 そのまま何を血迷ったかブラを交換した舞姫は、纏う闇を更に深めていたりもする。 「ああうう……、夜倉が、夜倉が狩りたい……そうよ、夜倉(パン)がなければ、新田(ケーキ)を狩ればいいじゃない」 その発想は普通に考えておかしいんだが、彼女は既に携帯カメラを構えていた。 そして当の快はといえば 「くそっ、何か不思議なことが起こって目隠しが外れた! 隠さないと……ってこれブラじゃないか! ブラジャー仮面とか変態じゃないか!」 アウト。 「嗚呼、嗚呼。何でしょう、この我が身を苛む辛い感覚は。何故かもう、私の全てを否定したくなるような……いいですわ、これ。とてもいい……」 佳乃はむしろエンジョイしていた。繰り返すが彼女は外面は兎も角その内面はサディスト兼マゾヒストというド変態である。……あ、いやこれ結構普通じゃないかな。 っていうか身を掻き抱いて半裸でぞくぞくしているという表現がぴったりな身悶えとかちょっと表現するだにビデオ回収しててよかったですねこれ。 「私の身体から若さが消えゆくのが強調され、成る程口惜しさがひしひしと。何ということでしょう、この素敵な悲しみ!身を焦がす辛さ!身体の芯が火照ってくるようですわ」 社会的なフェイトを乱用するのはやめようよ。誰も幸せに ああなってる。この人なってるよ。 「…そういえば、いままで振られた理由って全部相手がロリ体型好きだったんだよなぁ」 何度も何度も恋(こい)を経験してきた恋(れん)にとって、今まで振られてきた理由とかを考えると『一般的に』魅力的な彼女は『一部の嗜好にとっての』魅力とは釣り合わなかったのだ。 普通に考えればそこそこモテる筈なんだけどなあ。そういう「たまたま」もあるよなあ。 滂沱と涙をながしながら必死に首を振る彼女はまあ、佳乃が気をとり直した時にまたゾクゾクしそうね! 「外見で誤魔化せてるけど… …『20代です』と来年には言えなくなるのよね」 水華はアラサーである。三十っていうボーダーラインは結構重いよね。人生設計的なところで。 そして今までの恋愛経験を思い返すと、強ち恋を笑えないわけだよね。人生って非情だよね。 「恋愛なんて……相手に気を遣うばかりで、良い事なんて何もないのよ」 良い恋愛があるといいね。 まあ、こういうことがあったりなかったりして皆割と社会的なフェイト損失が混んだところで大体終わったそうです。 回収してその後どうするかって? 生産ロットわかってるので処分されます。 「男性の着用済み、知人が欲しておりましたわね」 「――!?」 駄目ですからね。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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