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NOBULIVE!

●フィクサードアイドル『FUKUGO☆KI』!
 初夏の爽やかな風が若葉の緑を揺らす、ある晴れた日。
 とある地方都市へと続く幹線道路に、1台の白いバンが信号待ちをしている。
 真っ黒なプライバシーガラスで外から見えない車内には、5人の男が乗り込んでいた。
 
 体を縮こめるように運転席に収まった巨漢が、後部座席の仲間たちを振り返る。
「目的の場所まではもうすぐってとこだな。燃えてきたぜッ!」
「街をボクたちの歌で席巻してやろうじゃないか。ふふ」
 鏡片手にキメ顔の練習をしながら、リーダーらしき男が答える。
「ぁ、ぁの……信号……が」
「そしてライブの後は、ファンのみんなと大暴れにゃ! 街中荒しまくってやるだにゃ、にゃははは!!」
 茶トラ猫の頭部を持つビーストハーフが食べていたお菓子をぼろぼろ落としながら哄笑すれば、
「300人のフィクサードは誰にも止められない――ククッ、無力な一般人どもがどんな顔をするか楽しみだよ」
 白金色の巻き毛を指に絡め、秀麗な顔の少年が口元を歪ませる。
「もう……青……」
「オレたちの最高のライブ、ぶちかましてやろうぜッ!」
 男たちは車内で拳を大きく振り上げた。
「「「「Let's Go、『FUKUGO☆KI』!!」」」」

 ぷっぷー。
 後ろの車のクラクションが鳴る。

●NOBULIVE!
「ある街に、フィクサードが集結しつつある。その数――およそ300人だ」

 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)の言葉に、リベリスタたちは息を呑んだ。
 アーク本部、ブリーフィングルーム。
 長机の上にはロゴマーク入りの黒い封筒が置かれ、伸暁によって5人の男のサイン入り生写真が並べられる。
「ふざけたことに、アーク宛に挑戦状を送ってきやがった。こいつらは『FUKUGO☆KI』とかいうグループ名の、いわゆる地下アイドルらしい。ライブ活動を中心としているんだが、それが普通とは違う“ライブバトル”でな」
「……ライブバトル?」
「観客の前で、他のアイドルグループと戦うのさ。歌やダンスやMCといったパフォーマンスをしながら……スキル攻撃で、ガチでな」
 これまでも、音楽や踊りをたしなむフリーのリベリスタグループが何組か、挑戦状を叩きつけられ敗北しているのだと、伸暁は語った。
 幸いリベリスタにも一般人にも死人は出ていないが、何より厄介なのはライブの後なのだと言う。

「興奮状態のファンを煽って、開催地の周辺で好き放題に暴れ回るんだ。男ども数百人が全裸で街を走り回ったり、コンビニというコンビニの弁当を全部買い占めたり、押しボタン式信号機のボタンをひたすら押し続けたりな」
「そ、それは……」
 あほだ。あほだが迷惑だ。
 そんな迷惑千万な連中を、放っておけるはずもない。まして、挑戦状を送りつけられたとあっては。
「そこでNOBUファミリーのお前らの出番という訳さ。売られたケンカは開幕(はじまり)へのCountDown――アークのリベリスタのアイドル力、見せつけてやれ!」
 伸暁の言葉に、リベリスタたちは力強く頷くと、席を立った。

「どうしてもと言うなら……OK、俺のことはプロデューサーさんと呼んでくれても構わな――」
 NOBUはまだ何か喋っていたが、リベリスタたちは無視してさっさと扉の外へ向かう。
 フィクサードに狙われた不運な地方都市の人々を、救うために。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:鳥栖 京子  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 2人 ■シナリオ終了日時
 2013年06月04日(火)23:08
 タイトルは語呂がよかったのでなんとなく……鳥栖京子です。
 歌って殴れるアイドル大募集、年齢性別問いません。

●任務達成条件
 アイドルファンの観客フィクサードをより多く魅了し、
 アイドルフィクサード5人を倒す
 
 歌いながらスキルぶっ放す、踊りながらぶん殴る、ワイヤー無しで会場を飛び回って狙撃するなど
 観客を楽しませ、可愛らしさ・かっこよさで魅了しながら戦ってください。
 戦闘終了時にリベリスタ側が観客の心をがっつり掴んでいれば、
 リベリスタアイドルの言うことが影響力を持ちます。大人しく帰宅して欲しいとお願いするだけで、
 300人のフィクサードは街を荒らし回ることもなく、満足しておうちに帰ることでしょう。

●戦場
 某市文化会館・小ホール(座席数370)
 高い天井をもち、音響の良さには定評あり

●観客フィクサード詳細
 「アイドル」というものをこよなく愛する10~30代の男女300人(男:女=6:4)
 (『FUKUGO☆KI』の熱狂的なファンはごく一部です)
 強さ、ジョブ等はバラバラ、ケミカルライトいっぱい所持、ノリはとても良し
 全員が【シンクロ】を身につけており、合いの手・コール・ダンス等、即座に対応&完璧にこなします
 フィクサードなので初期段階での皆様への好感度は非常に低いですが、
 アイドルファンの誇りにかけて、より可愛い・かっこいい・よくわからないけどなんかすごいほうを
 応援するようです

 求めているのは胸をキュンとさせるときめき、熱くなれるひととき
 もしファンを無視してガチ戦闘しようとした場合は、怒った300人が暴徒と化し
 襲いかかってきますのでご注意ください。重傷必至です

●アイドルフィクサード詳細
(※種族/ジョブ/年齢/性別/一人称)

 男性アイドルグループ『FUKUGO☆KI』
 スキルはRank2までの全てと3の一部を使用します

◇テル (ジーニアス/クロスイージス/22歳/男/ボク)
 『FUKUGO☆KI』リーダー。
 キザでナルシストでおまぬけ、わかりやすく残念なイケメン
 メンバーお揃いのシースルー衣装で、細マッチョな体をみせびらかしている

◇プリンタ (ジーニアス/覇界闘士/18歳/男/オレ)
 筋骨隆々、身長2メートルを超す大男。
 地響きのような低い声をしており、電話に出ると40代と間違われるのが悩み
 昭和のバンカラ番長のような外見に反し、いかにもアイドル然とした明るく爽やかな性格

◇ファクス (フライエンジェ/インヤンマスター/26歳/男/私)
 長い黒髪で顔を隠した黒翼のフライエンジェ
 陰気で影の薄い自分を変えたくてアイドルになったものの、まだ成果は現れていない
 ガリガリなので本当はシースルーの服は着たくないのだが、やだって言えない

◇リース (ジーニアス/ナイトクリーク/16歳/男/僕)
 中性的な美少年
 可愛らしいイメージを創り上げているが、実際はあざとく狡猾
 衣装を切り裂こうとするなど卑怯な手を使う可能性も

◇コピー (ビーストハーフ/ホーリーメイガス/14歳/男/おいら)
 茶トラ猫の頭部を持つ猫ビスハ。猫好きに圧倒的な人気を誇る
 ファンのことは「子猫ちゃん」と呼ぶ
 「お前もな」って言われる

●スタッフフィクサード詳細
 職務に忠実な音響・照明等のスタッフさんたち
 自分の手番のところで照明をピンクに、とか星とハート模様いっぱい飛ばして、とか
 事前に指定(プレイングに記載)しておけば対応してくれます

●特殊効果『みんなの応援が力になる!』
 リベリスタ側・フィクサード側共に全体で1回ずつ、観客に応援を要請することができます
 (「皆の力を貸して!」等、任意のタイミングで呼びかけてください)
 300人の中から、心から皆様のことを応援したいと感じた(ファンになった)人数が
 回復・支援スキルを使ってくれます。ある意味卑怯ですがフィクサードだから気にしない。
 『FUKUGO☆KI』側は回復役のコピーが大きく負傷したら応援要請するようです。

●その他
 衣装、オリジナル歌詞など記載あれば、もりもり参照させて頂きます。
 サポートさんは観客に紛れ込んで「ご存じ、ないのですか!?」とかやるもよし、
 高いところから紙吹雪まくもよし、バンド演奏するもよしですお好きにどうぞ!

 フィクサードアイドル5人の命までとらない場合は、【不殺】のスキルを使うか、
 プレイングに殺さない旨お書き添えくださいね。

 それでは、熱いライブバトルをよろしくお願いいたします!
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ナイトクリーク
五十嵐 真独楽(BNE000967)
マグメイガス
音更 鬱穂(BNE001949)
ホーリーメイガス
フィオレット・フィオレティーニ(BNE002204)
クロスイージス
ノアノア・アンダーテイカー(BNE002519)
ホーリーメイガス
桜咲・珠緒(BNE002928)
マグメイガス
斎藤・なずな(BNE003076)
インヤンマスター
星神 タクト(BNE004203)
ホーリーメイガス
キンバレイ・ハルゼー(BNE004455)
■サポート参加者 2人■
マグメイガス
高原 恵梨香(BNE000234)
ホーリーメイガス
テテロ ミミミルノ(BNE004222)


 開幕のブザーが鳴り、明かりが消えた。
 ざわついていた客席が、ひたと静まりかえる。
 静寂。
 一時の間を置いて、緞帳が上がり音楽が流れ出すと――観客のボルテージは一気に上がった。
 5色のライトがステージを照らし、『FUKUGO☆KI』が声援に応える。
「「「ようこそライブバトルへ!!!」」」

 一方、舞台袖。
 ステージと対照的に仄暗いその場所で、10人の男女が待機している。
「今日のゲストは……アークのリベリスタ! せいぜい楽しませてくれることを期待しようじゃないか」
 聞こえてくる『FUKUGO☆KI』リーダー・テルの言葉に続き、客席から沸くブーイング、嘲笑。
 集まった観客300人はことごとくがフィクサードである。この露骨なまでの好感度の低さは、ある意味当然か。
「ふっ……アウェーだろうが何だろうが、300人を虜にするなど、この私の魅力を持ってすれば造作も無いこと!!」
 フリルたっぷりのミニスカ衣装に華奢な体を包んだ『赤猫』斎藤・なずな(BNE003076)が、ステージを見据え言い捨てる。
「NOBU.Pがこの場に居たならこう言っただろう――“何時だって伝説はNo make. Yes born(作るものじゃない、生まれる物)だ”ってな」
 ライトの強い逆光にシルエットを浮かび上がらせながら、『墓守』ノアノア・アンダーテイカー(BNE002519)が呟いた。観客の心証が悪かろうと、関係ない。今から彼らの心を掴み、魅了し、味方に引き込んでいけばいいだけのこと。
 10人は円陣を組み、手を重ね合った。
 同じ部に所属する『静かなる古典帝国女帝』フィオレット・フィオレティーニ(BNE002204)、『ネメシスの熾火』高原 恵梨香(BNE000234)と目線を交わし頷き合うと、『ビートキャスター』桜咲・珠緒(BNE002928)が気合いを入れる。
「NOBU.P……見ててな。うちら、決めて見せるでっ!!」
 

 眩しい光が溢れるステージへと先鋒を切って駆けだしたのは、ARK10のユニット『チームK』の5人だ。
「やっほー!」
 品定めするような視線が突き刺さるのを物ともせず、『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)が元気いっぱいに登場し、客席を見回す。
「わ! パパみたいな年の人もいるんだぁ。嬉しいな、甘えたくなっちゃう♪」
 可愛く健康的だけどちょっぴりセクシーな衣装からは、狩猟豹を思わせるしなやかな肢体――繊細な肩のラインや細いウエスト、少しむっちりした太ももが露わになっている。小悪魔めいた上目遣いで微笑めば、早速客席の一部がざわめいた。
「今日だけは娘と思って、たっくさん甘えさせてくれるかな? 熱い夜を一緒にもっと熱くしよ! まこだよ、よろしくねっ!」
 続いてとてとて現れた小さな女の子は、ライオン帽子の『さぽーたーみならい』テテロ ミミミルノ(BNE004222)だ。
「き、キグルミけいアイドル、ミミミルノですっ!」
 恥ずかしそうに頬を染めながらも一生懸命声を張り上げる姿に、どうしたーがんばれー、かわいいー、と野次が飛ぶ。
「ノってくれないと、が、がおー! なのですっ……」
 『自称アーク美少年』星神 タクト(BNE004203) は、決めポーズと共に現れた。
「颯爽登場! アーク美少年! ともにライブを謳歌しようか!」
 じゃきーん☆(SE)
 効果音に合わせて輝きを増す守護結界。星の光を集めたような髪をさらりと靡かせ、タクトは女性客に流し目を送る。
「格好良い男子は嫌いかな? 嫌いなら好きになっていってね、好きなら一緒に盛り上がろう! ARK10、かきあつめのKチーム……星神 タクト参上!!」
「(ライブで重要なのは、ステージと観客の一体感。全力で楽しんで、楽しませる。それが出来れば、自然とファンはついてきてくれますよね?)」
 おどおどと周囲を観察しながら、『ネガネガ』音更 鬱穂(BNE001949)は思う。タクトから自己紹介するよう促されると、狐耳の毛をびくっと逆立てた。
「え、えっと……音更 鬱穂っていいます。あの、皆さん……今日は楽しんでいってくださいね?」
 流れ出す、アニメソングのイントロ。
 インカムマイクを付けたキンバレイ・ハルゼー(BNE004455)が、中央に歩み出る。
「キンバレイ、歌います!」
 今日の彼女は父親のアドバイスに従い、アニメキャラのコスプレをしている。下着すら買って貰えないのに父親は高価そうなコスプレ衣装を持っているという悲しい矛盾に、純真な10歳の少女は気付いていない。
 音楽に合わせ、鬱穂が愛用のモルギターを超絶技巧でかき鳴らした。観客を煽るように、ピックを持った片手を振り上げる。
「ヒャッハーー!! 盛り上がっていくぜっ!!!」
 突然の豹変に、驚いたミミミルノがちょっと涙目になった。

 キンバレイの歌声が響くのと同時に、リースの影が意志を持ったように蠢きだす。
 真独楽は軽やかなステップでコピーとの間合いを詰めると、その体に死の刻印を刻み込んだ。ARK10の作戦は、回復役からの集中攻撃だ。
 コピーは猛毒と致命を受けながらも自らの魔力を高めるが、そこへ舞台袖からノアノアとなずなが放った十字の光と激しい雷光が到来し、ステージは白く染まる。
 閃光と音の乱舞に、わっと客席が沸いた。
「なんでおいらばっかり狙うにゃーっ!?」
「ホリメ……ですから……」
「ふふ、仕方ないことさ」
 ファクスの足下では符術の小鬼がもぞもぞと起き上がり、テルはメンバーに強力な神の加護を授ける。
「(ラグナロクまで使えるんか……厄介やな)」
 舞台袖から楽器演奏とコーラスを担当しているのは、三高平学園音楽愛好部所属『がくおん!』の3人だ。
 珠緒がギターを弾きながら聖なる光でステージを包めば、恵梨香のキーボードの音色は4色の魔光となり会場を彩る。ベース担当のフィオレットは集中を重ねた。
 ステージでは鬱穂もまた轟く雷撃を放ち、観客を沸かす。
「私の声に痺れなっ!!」
 ミミミルノが仲間たちに光の翼を生じさせると、タクトは翼でふわり舞いながら刀儀陣を展開した。
 歌い終えたキンバレイは、マナコントロールの淡い光を纏いながらぺこりとお辞儀をする。観客にアニソンを解する者は少なかったが、チューブトップから零れんばかりの胸――明らかに下着をつけておらず動く度にたゆんと揺れる――は、男性客の視線を浴びまくったようだ。
 プリンタが足に気を集中させ、その速度を驚異的に高める。筋骨隆々な巨体と昭和な外見に反した鮮やかな足捌きでステップを踏むと、くるりと一回転してポーズを決めた。
「さて、ここからがオレたちの本領発揮だぜッ! みんな聴いてくれ、『ストーカー☆LOVE』!!」


♪声が聞きたい TELしたい
 指紋 声紋 COPYしたい
 恋文100枚 FAXしたい

♪キミの写真 PRINTして 家中に貼るよ
 全てがボクのものにならないなら LEASEでもいい
 いや やっぱりダメさ

♪壊せ 奪え 欲望のままに
 追い詰めろ 衝動のままに

 『FUKUGO☆KI』の歌声が響く中、
「苦悶の甘美な音色、聴かせてよ」
 リースが呪力で生み出した赤い月が浮かび、会場全体が血のような真紅に染まった。不吉な月光は舞台袖にいるメンバーにまでも絡みつく。
「さあ、オレたちと踊ろうぜッ!」
 プリンタはキンバレイに急接近すると、少女の体を軽々と担ぎ上げ、雪崩の如き勢いでステージに叩きつけた。
「――っ!!」
 『FUKUGO☆KI』もARK10同様、回復役から倒す作戦を取ったらしい。
 真独楽がすかさず反撃するが、コピーは歌いながら清らかな微風を起こし、自らを癒やす。無数の呪符が変じた黒い鳥がその体を啄めば、キンバレイは遂にぐったりと倒れてしまった。

「押されてるな……ここで流れを変えるぞ、なずにゃん!」
 舞台袖から戦況を覗っていたノアノアの言葉に頷くと、なずなはスタッフに合図を送る。
 突然暗転するステージ。
 闇を切り裂き、咲き乱れるレーザー光線の中――爆音が轟いた。
「ARK10、炎上のAチーム!」
 フレアバーストで炎の海となったステージへと、魅惑的な小悪魔衣装を纏ったノアノアが突撃する。
「おっぱいいっぱい夢いっぱい! 魔界系アイドル・ノアノアだァーー!!」
 衣装を焼く火を慌てて消しているフィクサード5人を、追い打ちをかけるが如く炎が包み込む。全てを焼き尽くす、地獄の業火。
「爆発炎上系美少女・斎藤なずなだぁーーッ! 超可愛い私の姿を拝めたことを感謝しろ! そしてよく目に焼き付けておけ!!」
 大技の応酬と熱い(※物理的に)ステージに、観客は総立ちだ。
「一瞬たりとも余所見は許さん、覚悟しろよ!!」

 MCの間に、珠緒は舞台袖から、炎に巻き込まれない立ち位置の指示を出す。彼女とフェイト復活したキンバレイ、フィオレット、ミミミルノ……4人の神聖術士が、仲間の傷を癒やした。珠緒を狙ったテルの攻撃を、恵梨香が受け止める。
「熱く燃えたぎれっ!」
 フレアバーストで更なる炎上を誘う鬱穂。
 タクトは集中を重ねながら、“投げKISSして♪”と書かれた応援うちわに応え、キャーキャー言われている。
 ノアノアは『FUKUGO☆KI』をびしっと指差した。
「ボクたちにあって、お前たちに無いものがある!」
 こげこげになりながらも、腕を組み考え込むフィクサードたち。
「なにかにゃー?」
「……福利厚生?」
「愛じゃないかッ!?」
「ちっがーーう!! それはな、OP(おっぱい)だ!!!」
「って全くの無じゃないわ!!!」
 指差されたフィクサードたちと同じ方向にいたなずなが激しく反論していたが……それは置いといて。
「ファッキン童貞ども、おっぱいは好きかァーー!? 今日はギンギンに盛り上がって行こうぜェァアアアア!!!」

 熱気に包まれた客席と満身創痍のコピーを見て、リースは不愉快そうに眉をしかめる。テルと目線を交わし、観客に応援要請をした。
 一部の熱狂的な猫好きと自らのスキルにより、コピーの傷は全快する。しかしこれで、一度しか無い応援要請の機会を彼らは失ったのだ。
 真独楽は回復したてのコピーの体に死の刻印を刻み込むと、流れ出したイントロに合わせてダンスでのアピールに移る。
「(アイドル、それは女の子の永遠の憧れ! まこも楽しんで行くよっ♪)」
 心からの笑顔でセクシーな可愛さを振りまく姿に、年齢層高めの男性客たちがピンクのケミカルライト熊手持ちダブルで応援する。
 照明が変わり、一面に赤とオレンジのハートが舞い飛んだ。

♪動くものは 何でも燃やしたい
 だって 女の子だもん!

 まさに正統派アイドルともいうべきキュートなダンスに、揺れる衣装のフリル。あらゆるものを燃やしたい純情な乙女心を歌い上げるのは、なずなだ。

♪私の心に 響きわたる
 極上の悲鳴を 聞かせてね!

 なずながばっきゅんポーズを決めると、再度『FUKUGO☆KI』にゲヘナの火がぶっ放される。客席の男たちもまた、ハートを撃ち抜かれて扇形にドミノ倒しの如く倒れた。……本当にノリのいい観客であった。

 歌の最中も、リズムに乗って踊るかのように、戦闘は続いている。
 敵の攻撃は非常に攻撃だが単体スキルが多い。ARK10は癒やし手の多さを生かし、何とかそれを凌いでいた。タクトの呪力が喚んだ凍てつく雨が、ライトに照らされてきらきらと降りそそぐ。
 舞台袖から、フィオレットが『がくおん!』メンバーを振り返った。
「ぶっつけ本番だけど、やってみよ! 荒削りでも、きっと伝わるはず!!」
 彼女に渡された譜面から目線を上げ、珠緒と恵梨香は力強く頷く。


 照明が落ち、チームAとKは舞台袖に下がる。スポットライトが灯り、『チームR』の姿が現れた。
「ARK10、ロックのRチーム! Ba&Vo、フィオだよー!」
「……Key、高原 恵梨香」
「G&Vo、おーさきやっ! ロックなアイドル、見せたるで!!」
「「「『COLOURS』!」」」

♪モノクロの日常 色のない世界
 いつもつまらないって 思ってた
 零れ落ちた空の涙 大地に彩りを添えて

 暗闇の中に、スポットライトの光が射すのみの殺風景なステージ。
 ギターを弾きながら歌う珠緒の伸びやかな声に、フィオレットの澄んだ声が重なる。

♪色とりどりの感情が 僕を震わせる
 この声を 届かせる 君への想いを響かせる

 恵梨香のショルダーキーボードが魔曲のカルテットを奏でれば、絡み合う4色の光がステージ上に広がり――赤、黄、緑、青。スキルから放たれたのと同じ色彩のライトが灯る。
 呆けたように立っていた観客たちが、わあっ、と歓声を上げた。

♪想いの雨が波紋 広げていくよ
 水飛沫あげて 飛び込む世界
 七色の感情が 絆を紡ぐ

 ピンク、オレンジ、紫。鮮やかなライトが灯るたびに、ステージ全体が花開くように彩られる。客席にも、一つ、また一つと広がる色彩。
 観客がリズムに合わせて振る、ケミカルライトだ。

♪悲しみも 切なさも 過去の記憶さえも
 全てを 洗い流していくよ
 光を浴びて 輝く世界
 連れて行って 虹の彼方へと

 赤、ピンク、オレンジ、黄、緑、青、紫。
 客席から溢れる、ケミカルライトの光。
 アウェーの状態から、チームK、Aが場を盛り上げ、観客の心を少しずつこちら側へと向けてきた。そして今、300人の殆どがライトを手にし、自分たちを応援してくれているように見える。
 舞台袖から、鬱穂は仲間に向き直った。
「ステージと観客が一つになってる……あの、皆……」
「うむ、行くぞ!」
「ミミミルノも、が、がんばりますっ!」

 ARK10全員がステージに集合し、珠緒が観客に呼びかける。
「さぁ、もっとアゲてくでぇ! みんなー、力貸してんかー!!」
 会場から届く回復スキルが、リベリスタたちの傷を癒やし、力づけていく。
「もっと! もっとや!!」
 腕を振り回し、観客を煽る珠緒。遠距離スキルが届かない席にいたフィクサードたちが、前方の通路に出て補助スキルを飛ばしてくれる。
 ディフェンサー&オフェンサードクトリン、浄化の鎧、クロスジハード、ラグナロク。
「ひゃっ……何これ、すごいです……!」
 無論同じ能力を強化するスキルは重複しないが……それにしても、こんなに一気に他者付与スキルを掛けられる経験は、そうそう無いだろう。
「応援ありがとー! まこたち頑張っちゃうよっ♪」
「さて、ラストは全員の歌で盛り上がって行こうか!」

 アップテンポな曲が流れ、全回復したARK10がダメージの蓄積している『FUKUGO☆KI』を半包囲した。
「……なんだかとってもヤバいかんじだにゃ~」
「ちっ……僕たちがこんな奴らに負けるはずあるか!」
 リースが軽やかに踊るようなステップで近接し、隠し持ったナイフでARK10に斬りかかる。真独楽はそれを回避すると、ギャロッププレイでコピーを縛り上げ、戦闘不能に陥らせた。
 プリンタの大雪崩落がフィオレットを狙うが、それをタクトは庇う。ステージに叩きつけられた彼もまた倒れる。
 次々と戦闘不能者が出るライブのクライマックスに、会場のボルテージも最高潮に達した。

♪愛はNo problem! “スキ”にスキャンダルはないよね (ハイ! ハイ!)
 貴方も 貴方も Bring it on! (フゥフゥフゥフゥ)
 皆一緒に 愛してあげる! (Oh~フッフー!)

「燃え上がれ、ボクのアイドル魂っっ!」
 再び立ち上がり乱れた髪をかき上げるタクトに、黄色い歓声が飛ぶ。
 全員が【シンクロ】持ちの観客のパフォーマンスは圧巻だった。
「これは、気持ちええなぁ……!」
「クセになっちゃいそうだねっ!」
「……同意」
 スキルを光線エフェクトに合わせて放ちながら、『がくおん!』メンバーの楽器演奏にも力が入る。
 キンバレイとミミミルノの神聖術が光の衣のように、メンバー全員を包む。

♪愛の炎に燃やされたいなら 跪いて! Are you ready? (ハイ! ハイ!)
 We love you all! これまでも ここからも (フゥフゥフゥフゥ)
 みんなで 歩んでいこう! (ハイハイハイハイ!)
 Shining on! 輝け私たち (フッフー!)

 リースを踏んづけながらモルギターでガンガン殴っているのは鬱穂だ。
「ヒャーーッハーー!!」
「いたいいたいいたい! ギブギブギブだってば!!」
 これはスキル攻撃で殺さないための思いやりである、念のため。

「ヘイBOY! お前体に自信があるんだってな?」
 ノアノアはテルを挑発する。
「だがそれはボクも同じ! イィィイビルッ! ブレイクゥウウッ!!」
 OP(おっぱい)出力120%! ノアノアが自らの小悪魔衣装をブレイクすると、ブルーレイディスクを買ったら消えるかもしれない白い光が胸元から放たれる。
「「「うおおおお!!!」」」
「ふっ、子ヤギちゃんの挑戦、受けて立とう! シースルーッ! ブレイクゥウウッ!!」
 シースルー衣装をブレイクしようとしたテルは、
「……何をしているのだ貴様らは」
 なずなのゲヘナに燃やされた。
 影が薄くて誰も気付かなかったが、ファクスも既に端の方で倒れている。

 割れんばかりの歓声。
 ハイタッチを交わす、ARK10のメンバーたち。
「たまにはこういうのも、その……悪くないな!」
 こうして一人の死人を出すことも無く、リベリスタの勝利でライブは幕を閉じ……るかと思われたのだが。

 会場中から聞こえる、アンコールの声。
 鬱穂はギターを構え直すと、仲間たちを見た。考えていることは、どうやら同じ。
「お前ら皆、愛してるぜーー!!!」
 ライブはもう少しだけ、続きそうである。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
NOBULIVE、お疲れ様でした!
プレイングを書くのが難しい依頼だったんじゃないかなあと思いますが、皆様熱いプレイングが多くて、歌詞も素敵でした、ありがとうございました。
喜んで書き過ぎちゃって、後から2時間くらいかけて削る羽目になってしまったんですけども……!(血涙)

ご参加、誠にありがとうございました。
また機会がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。