● パァン! 乾いた音が裏路地に響く。 ――あぁ、決してこれは銃声ではない。単なる平手打ちの音。 「……そういうの、よくないと思うけど?」 「う、うっせーよ! チクショォ! ていうかスカートで蹴りとか、やめてくれよ!」 どうやら何らかの悪事をやらかそうとしていた少年を、1人の少女が叩いたらしい。 少年はフィクサード。 もちろんただの一般人にならば、後れを取ることはない存在だ。 「うっさいわよ! まったく……真面目が一番なのにね」 少女はリベリスタ。 もちろん少年に対して行ったのは平手打ちだけではなく、気合の入った土砕掌から大雪崩落へと繋いだ華麗な技。 彼がフィクサードでなかったならば、危険な事になっていたことは間違いない。 それが、2人の出会い。 「――で、お前は失敗したわけだな?」 「スンマセン……」 少年は与えられた任務の失敗の責を問われ、兄貴分達にもボッコボコにされていた。 「しかしその女、生意気だな。俺等に手出したらどうなるか、教えてやるか」 彼等は邪魔をした少女の排除を考える。 余計な事をすればどうなるかを、教えてやれと。 「あ、いや、あの……俺、次は頑張りますから!」 一方で少年は、少女に危険が及ばないようにとそんな事を口にする。 「あん? お前もやられて悔しいだろ。手伝ってやるってんだ、遠慮すんなよ」 「は、はい……」 彼はとても臆病な性格だ。 故に、兄貴分達に逆らえる気概を持ち合わせてはいない。 (……はぁ、どうしたもんかなぁ) 故に彼は、一目惚れしてしまった相手を守ろうとする勇気の一歩を、踏み出せずにいた――。 ● 「……ナニコレ、ラブコメ?」 と言った桜花 美咲 (nBNE000239)は花より団子。 恋愛だのの話に興味がないわけではないが、和菓子への愛はそれを遥かに上回る。 とりあえずの話は、こうだ。 派手にぶっ飛ばされたフィクサードの少年、進藤・蒼太が、そのリベリスタの少女に恋をした。 「まぁ……フィクサードはこの少女、篠崎・麻奈に襲撃をかけるつもりみたいね。皆には、この子を守って欲しいの」 早い話、襲ってくるフィクサードを全員倒せば話は終了。 ――ラブコメの件? 「この蒼太って子がどう動くかで、そっちの問題は色んな方向に転がるんじゃないかしら?」 美咲、集まったリベリスタ達に丸投げ。 とにもかくにも、『篠崎・麻奈』を守れ。 これが今回、集まった諸氏の請け負うミッションだ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:雪乃静流 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年05月23日(木)23:22 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●流されるままに少年は動く 「話が……あるんだ」 声をかけた少年、進藤・蒼太の表情は重かった。 「……仕返しにでも来たってわけ? また投げられたいの?」 答えた少女、篠崎・麻奈はやれやれといった表情を見せる。 2人の出会いは敵として。 そして今回も敵として。 「ここじゃあ、目立つ。あっちに行こう」 蒼太にはこの時、麻奈に声をかけずにやり過ごす選択肢や、『罠だから逃げろ』と言い麻奈を逃がす選択肢があった。 だが彼はその勇気を踏み出せずにいる。 (……どうする? ……どうするんだよ……) 少年は思い悩む。 惚れてしまった少女をこのまま兄貴分達の餌食にしてしまうのか。 それとも、そんな事をさせまいと彼女の側につくのか。 答を最後まで出せぬまま、彼は目的の場所へと彼女を連れて行く――。 「イーヤッハー! 弟分が世話になったな!」 がばっと上着を脱ぎ、上半身を裸にした1番の兄貴が愛剣に舌なめずり。 「コイツがボコボコにされたってんで、俺達がお返しにテメェを泣かしてやるぜ!」 次々に他の兄貴達も半裸になっていく中、6番の兄貴も服を脱ぎ捨てれば半裸軍団の完成。 「上等じゃない、あんた等もぶっとばしてあげるわよ!」 対する麻奈も気合だけは十分。 勝てない勝負だと肌で感じつつも、ここで逃げるような彼女でもない。 後はこのまま麻奈をボコボコにすれば良いだけの話。 彼等フィクサードにとっては、相当に簡単な暇つぶしのはずだった。 「たかだか一人の相手にそれだけの人数とは、余り感心しないな」 彼女を制するように現われた『誰が為の力』新城・拓真(BNE000644)が立ちはだかるまでは。 「リベリスタ、新城拓真。参戦させて貰う」 「何よ、7人ぽっちしか居ないじゃない。こんなんでアタシが出動したっての?」 名乗る彼の横で、こんな数ではすぐに終わってしまうじゃないかと自信満々の『重金属姫』雲野 杏(BNE000582)が、値踏みするかのような視線を彼等に向けるまでは。 簡単に勝てるはずの喧嘩に突如加わった、不確定要素。 「1人を複数で狙おうとしてたのはお前達フィクサードが最初だ。オレ達『6人』が麻奈に加勢しても、卑怯だとは言わないよな?」 地に足をつけず、空中に浮きながら現われた『てるてる坊主』焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)の言葉に周囲を見渡せば、彼や拓真、杏を含めた6人が麻奈を守るかのように立っている。 だがフィクサード達は考える。 数の上では同じになっただけなのだと。 彼等をも一緒に倒せば、それはそれで勝利の余韻もより甘美に感じられるのだと。 「……何、あんた達」 そして同時に、麻奈も怪訝そうな顔を浮かべてリベリスタ達を見やった。 拓真がリベリスタと名乗った事で、同業だとは理解している。彼の名声はソロで活動を続ける麻奈も知らないわけではない。 だが、コレは自分の戦いだとも彼女は思ってもいるのだろう。 「オレはフツ、アークの焦燥院フツだ。新城拓真や雲野杏もいる。篠崎麻奈、お前さんと一緒に戦いに来たぜ」 フツの言葉に、ぷいっとそっぽを向く麻奈。 それは、断る気持ちの現われか。 「いくらなんでもこの人数差で一人は無理だろ、加勢する!」 続いた『(自称)愛と自由の探求者』佐倉 吹雪(BNE003319)の言葉にも、彼女は拒絶を見せるのか? というより、むしろ。 「か、勝手にしなさいよ!」 横から垣間見えた僅かな笑顔を見れば、自分に手を貸してくれる存在がいた事の嬉しさと、それを隠そうとする気持ちの表れだったらしい。 (彼女はツンデレってやつッスかね) (やはり恋愛は難行であるようだな、多分) 麻奈をそう評した門倉・鳴未(BNE004188)と、『白銀の鉄の塊』ティエ・アルギュロス(BNE004380)が小声で言葉を交わす。 敵同士である今、麻奈と蒼太の恋が難航することは想像に難くない。 (でも蒼太は投げ飛ばされて惚れるとか……Mなのかな) 加えて鳴未は考える。 ツンデレ系の麻奈と、気弱で少々M(?)な蒼太とで果たして上手く行くのだろうか? (キューピットとやらをやるなら、馬に蹴られない程度に後押しするだけさ。まぁ、恋愛が成就するかどうかが知らんがな) その結果は、ティエの言うとおりリベリスタ達にはどうこう出来る問題でもない。 リベリスタ達に出来る事は、その背中を後押しする事だけ。 (その恋が上手くいくかはここでの行動にかかってるぜ、がんばれよ少年) 応援する気持ちを乗せた吹雪の視線が、蒼太と交錯する。 彼がどう動くか、それが彼と麻奈の未来を左右するのだ。 (この人達が兄貴達をぶっ飛ばしてくれたらな……) 今、蒼太の気持ちは他人の力に頼って彼女を傷つけない方向へと向いている。 (進藤蒼太だな。オレだ、焦燥院フツだ。ハイテレパスで話しかけているから、他のフィクサードに知られる可能性はない) テレパスを用い、蒼太へ言葉を届けるフツ。 (手短に伝えるぜ。お前さんが麻奈に惚れてることは知ってるから、麻奈を手伝え!) もちろん内容は、惚れた女を助けてやれというもの。 果たして彼に、その気持ちが伝わるのだろうか? (兄貴達にはお前さんと麻奈には今後手を出さないように話をつけてやるからサ。こっちにもホリメはいるが、好きな女だろ。自分で癒してやれよ!) 伝わるだろうと信じ、フツは念話を続けていく。 兄貴達を取るか、惚れた女を取るか。 (……くそ、どうすりゃ良いんだ) 流されるままに生きてきた少年は、今もまだその決心がつけられず、揺らいでいた――。 ●少年の勇気 リベリスタ達は6人。 フツが最初にそう言った上に、目の前に現われた数も6人である事からして間違いないはずだ。 「相手は7人。こっちも7人。やれるな?」 麻奈も含めれば、数の上では同じ。ならば後は個々の実力が物を言うのだとフィクサード達は考えていた。 彼等は知らない。 (そのままこっちには気付かないでくれよ) (もう少し向こうにいけそうか) 麻奈達と会話をする最中、『合縁奇縁』結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)が影に潜み、『Dr.Tricks』オーウェン・ロザイク(BNE000638)が建物を透過し移動する事で、後ろへ回ろうとしている事を。 「滾らないわね、さっさと吹っ飛ばして帰りましょ」 挑発する杏の言葉も、 (オレや新城、雲野に注目が集まれば、背後に回りやすくなるだろう) 視線を集めようというフツの考えに適ったものである事を。 「上半身を裸にして戦うとかどんな変態なのよ!」 「まったくッスね。こっちが一肌脱ごうって時に……てめェらが脱いでどうすんだ畜生!?」 一方、援護は受けても自身まで引き下がる事はないと判断した麻奈の攻撃が先手を打つ。 その隣から彼女を単騎で行動させまいと動いた鳴未は、相手の動きを止めようと閃光を放ちつつ、どうしてもその半裸に突っ込まずにはいられなかった。 「男はこの筋肉こそ!」 「至高の美になるとは思わない……ぐわっ!」 どことなく兄貴達の筋肉が閃光を受けて輝いたような気がしないでもないが、どうやら1番のナンバリングをつけた兄貴の動きだけは止められたらしい。 (あぁ、やられていく……このままいけば、あの子は……) 兄貴分の動きが止まる様子を見つつも、蒼太はこの時に動きを見せずにいる。 迷っているのだ。 このまま兄貴分を援護しなければ、彼等は劣勢に追い込まれていくだろう。 しかし、後で痛い目を見る事は明らかだ。 逆に援護をすれば、麻奈が傷つき倒されてしまうかもしれない。 惚れた相手を見捨てるような行動は、後で相当に後悔する事となるはずだ。 (どういう行動をとるかは人それぞれだ。どの行動を取ろうとも否定するもんじゃない、それは個性なのだから。けれど決断をしない人間は否定されるべきだ) 蒼太が迷う様に、後ろを取ろうと動く竜一はそんな思いを持って彼を見る。 (惚れた女一人護れなくて何が男だよ。ビビんなよ、貫いてみせろよ、想いってヤツを!) それで良いのかと目で告げたのは鳴未だ。 自身が麻奈に惚れている事を知っていようとは、この時の蒼太は知る由もない。それでも、6番の兄貴に攻撃をかけつつ、彼の視線は強く蒼太と交錯する。 「随分と腰が引けてるじゃないか。……それでは、守りたい物の一つも己の手で守る事は出来んぞ」 拓真は、彼の迷いを突く言葉を持って彼の背中を押す。 力強い斬撃を持って6番を切り裂いた拓真の姿とその言葉は、『守るならばこれくらいの事をしてみせろ』を体現しているかのようにも見えた。 「……なんだぁ? 訳の判らん事を言いやがって! だが確かに正論だ、俺達の援護はどうした!」 ここでリベリスタ達の後押しを邪魔するかのように、兄貴達が蒼太に凄んでみせる。 「は、はいっ……!」 ビクッと震えた蒼太を見れば、このままやはり流されてしまうのだろう。 麻奈に惚れてはいる。 だがそれ以上に、眼前の兄貴分達に逆らう事は恐ろしい。 「っていうか、腰が引けてるんだったらそいつから狙えば良いじゃない!」 そんな蒼太を逆に狙い目と見たのか、攻撃をかける麻奈。 「おおっと、させねぇ、させられねぇな!」 「しまっ……」 ――あまりに単純な判断だった。 回復を担う蒼太は、フィクサード達にとっても重要な存在なのだ。 立ちはだかる兄貴達は本来の目標である麻奈の突出を逆に好機とし、その攻撃目標をアークのリベリスタ達から麻奈へと変更し――、 「私はただの通りすがりの白亜紀からいるナイトだが、助太刀する!」 否、彼女を咄嗟にティエが庇った事で、事無きを得る事は出来たようだ。 「白亜紀って、あんた何年生きてるのよ……」 「細かい事は気にするな。ナイトはかばいたくてかばうのじゃない、かばってしまう者がナイト。突出はよくないぞ」 礼の代わりに突っ込む麻奈を手で制し、突出をするなとティエが告げる。 「ちぃ、同人数ってのがこんなにも厄介だとはな……」 目に見える数字の上では、同じ。 フィクサードにとって、それは麻奈のような格下が相手だったならば、まだ楽だった事だろう。 が、加勢したアークのリベリスタ達は大半が同格か、それ以上で。 「残念だが、8人だ」 加えて背後を取るかのように現われたオーウェンの氷の拳が、声に振り向いた6番のマグメイガスの鳩尾に叩き込まれ、そのまま沈めていく。 「仕返しなんて女々しい事してんじゃねえ!」 続けて現われた竜一の手で、動けなくなっていた1番の兄貴が速攻で倒されるまでの流れは流石にアークのトップクラスのリベリスタ達といったところか。 「男だったら、美少女に殴られたり投げられたりふんづけられたり平手打ちされたり……ご褒美とぐらい考えて見せろ! てめえらのマッチョイズムはそんなもんか!!!」 少々ご褒美の方向性がずれているような気がしないでもないが、それでもやはりトップクラスだ! 「相変わらずの手際だ、流石だな」 そんな竜一を横目で流しつつ褒める拓真に軽く手を挙げ応え、気弱な少年の方へと向き直ったオーウェン。 説得出来るだけの事は、先んじて戦ってきた仲間達がしていたはずだ。 それでもまだ蒼太の気持ちは固まっている気配がない。まだ何かが足りないとでもいうのか? 「……我らには優先すべき目的が存在するのでな」 詰まるところ、恋が発展するかどうかはさほど重要ではない事をオーウェンは理解している。 理解しているが故に、本来の目的である『麻奈の保護』を優先する事も念頭に置いたのだ。 「惚れた女か、兄貴達か、か……」 そして少年の視線が、地に沈む。 「お前、手伝えよ!」 「よそ見してる暇は無いわよ!」 目の前で戦う麻奈に惚れた。しかし兄貴達を放っておくのは、流されるだけの自分であっても、仲間としてどうかと思う部分がある。 「気を抜くなよ、相手は手練だ」 「わかってるわ」 さらに前に出ようとする麻奈の抑え役としても、庇い役としても活躍しているティエの注意が麻奈に飛ぶ。 飛びはすれども、やはり前衛での戦いを得意とする彼女はやはり攻撃にさらされ、 「痛いわね……!」 「お前をぶちのめすのが目的だしな?」 勝ち誇ったように剣を振るう兄貴達。 既に1番と6番が沈んで劣勢ではあるが、自分が動けばまだ多少は持ち直すことが出来るかもしれない。 「中々にやるが、こちらの目的を達成するためにもそろそろ倒れてほしいもんだな?」 今も吹雪の猛攻に晒され、3番の兄貴は大ピンチだ。 (まだ動かないのかっ……!?) 動かない蒼太にやきもきしつつ仲間達を癒す鳴未は、未だ麻奈を回復しようとはしていない。 蒼太が動くだろうと、信じているからだ。 「お前さんは彼女の為に努力したか? ……お前さんが彼女を好きな気持ちは偽物か?」 殴りかかってきたオーウェンの拳と言葉と、どちらが痛いかといえば後者のほうだ。 「俺にも恋人が居るのだがな。……俺はその者の為日々努力している。決して力に自信がある訳ではない。……だが、力が無ければ頭を動かせばよい。痛みが怖いならば、痛みを減らす方法を考えればいい」 確かに彼に殴り飛ばされた事より、『頑張れ』と背中を押されているのに動けない自分への歯痒さの方が重くのしかかってくる。 体の痛みより、大事なもの。 「俺は彼女の為に悪鬼になる覚悟がある。お前さんの覚悟、見せてみたまえ」 「あぁ……そうさせてもらうさ!」 それに気づいた時、蒼太はオーウェンの――否、リベリスタ達の言葉に、遂に応えた。 傷を負う麻奈を癒す、優しい息吹。 「篠崎さん? どうやらあの男の子、貴女にご執心なようね。あんなに必死になっちゃって可愛いじゃない」 何が起こったのかと動きを止めた麻奈に対しては、杏がフォローを入れる。 「え、いきなり何よ。私にご執心って……」 「あんまりに可愛いからアタシが飼いたい所だけど、貴女飼って見ない? きっかけはどうあれ、貴女には悪い話ではないはずよ」 飼うだとか、多少言葉はアレなものの、言おうとしている事は麻奈にだってわかる。 しかし彼はフィクサードだ。 そして自身はリベリスタだ。 惚れられたからといって、いきなりどうこう考えられる関係性でもない。 むしろ、投げた相手に惚れられると言う事にすらびっくりだ。 「ホーリーメイガスはリベリスタ活動する上であって困るものでもないし、それにフィクサードをリベリスタとして改心させることができたなら、それはとても良い事じゃない?」 「なら、もう少し強くなってもらわないと……ね!」 改心するならば、それでも構わない。 が、自分より弱い男よりは強い男の方が麻奈は好きだったようだ。 まぁ、それはさておき。 「……どうやら話はまとまったようだネ!」 蒼太が動き、麻奈を癒した状況を確認したフツが言う。 「そうだな、こいつ等を倒してさっさと帰ろうか?」 この後にどうなるかはわからないが、まずは兄貴達をぶちのめしてしまわなければと言う吹雪の言葉は至って正論だ。 兄貴達は、恋話の出汁に使われただけのような気がしないでもない、ないが――。 「なぁ知ってるか、人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られちまうらしいぜ? もっとも、こいつらの邪魔したら馬に蹴られる程度じゃ済まねぇかもしれないけどな」 吹雪が付け加えた言葉のように、恋路の邪魔になる存在の末路は、大概において決まっているというものだ。 ●少年の恋の行方 「お膳立てはしておいたぞっ、あとは君の頑張り次第よっ」 去り際、杏が蒼太へとそう声をかける。 「人生ってのは決断の連続だ。愛に生きる決断、俺はそれを祝福しよう」 「まぁ今まで逆らえなかった兄貴分達に立ち向かえたんだ、その気持ちがあればきっと上手くいくさ、頑張れよ」 祝福と応援を持って、勇気を出した少年の背中をぽんと叩く竜一と吹雪。 「あーあ、青春って羨ましいッスね? 俺ももっと甘酸っぱい青春してみたいッスよ」 「それは頑張り次第だと思うネ」 彼のような青春に思いを馳せる鳴未にソレが訪れるかは、やはりフツの言うように頑張り次第だろう。 この後、蒼太と麻奈はどうなるのか? 「よーし、お邪魔虫は退散退散~、アークの皆は呑みにいくわよ!」 その結果が出る前に、杏の提案によって帰路に着くリベリスタ達。 唯一、ティエだけは結果を知りたいと思っていたようではあったが――。 「恋路を邪魔して、馬に蹴り殺されたくはないのでな」 やはりその場面を覗き見るのは、拓真の言うように邪魔となるであろうし、無粋でもある。 「待ってくれよ、無茶は――」 「あんたがいれば大丈夫でしょ!」 後の日。 突進する麻奈に引っ張られるがまま、必死に彼女の援護をする蒼太の姿が目撃されたとか。 恋に発展したかどうかは定かではないが、とりあえずは仲良くやっているらしい――。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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