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セーラー服と百合園の禁断の果実

●秘密の放課後
「はぁ……はぁ……はぁ……お姉さま……だ、ダメ」
「ふふふ、つぼみさん。すごく可愛いわ。今日はいい匂い。あたらしい香水かしら?」
「お姉さまのために昨日お店で買ってきたの――ああんっ」
「すごくいいわね。つぼみさんにすごく合ってる」
「くすぐったい。あ、いやあん……口紅も新しいのつけてみたんだけど――」
「その小さい唇もう食べちゃいたいくらい。あなたのその白い陶器のようにきめ細かい肌も素敵よ。もっと近くでお姉様に見せてごらんなさい」
「ひゃうっ! 百合子お姉さま、だめ。誰かに見られたら――」
「大丈夫よ。ここは私たちだけの秘密の場所。それにつぼみさん、口ではそういうけれど――身体のほうはそうじゃなくてよ?」
「あああん、やめ、やめて。こんなのって! そこ――そこだけはっ!」
 放課後の誰もいない空き教室に二人の女子生徒の熱い吐息が漏れる。二人は教卓の上で一緒になって肩を抱き合っていた。ただならぬ雰囲気を醸し出している。普通の友達同士が話すにはあまりにも距離が近すぎる。
 上級生の百合子が執拗に下級生のつぼみに向かって身体を密着させる。いやいやをしてつぼみも遠ざかろうとした。だが、言葉とは反対にさらに百合子に接近していく。
 つぼみのほうも満更ではなかった。二人とも並はずれた容姿をしており、それが傍から見れば一層怪しい関係を想像させた。
 すでに二人とも息が上がって顔が赤く染まり始めていた。

●禁断のセーラー服
「秘密の花園に咲く禁断の果実をもぎ取ってこなくてはならない」
 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)がまるでこれから人類にもっともつらい試練を与えようとしている神のように発言した。ブリーフィングルームは異様な熱気に包まれた。誰かが思わず外に出ようとしてNOBUは強引に袖を引っ張って止めた。
「話は最後まで聞くんだ! 何も慌てることはない。女子校に百合のノーフェイスが現れただけのことだ。お前たちは女子校に侵入してそいつらを一網打尽にしてこればいい」
 聖マリアンヌ女学院。お嬢様が通う女子校として知られていた。
 だが、いまや学校中にこのような秘密の関係ができあがっていた。表立っては露わにしないが、放課後になると二人だけになれる場所を探してカップルがいちゃつきはじめる。
 ノーフェイスは至るところに同姓カップルを作る能力を持っていた。このままではやがて全校生徒にまで危害が及ぶ。そうなるまでに倒してこなくてはならない。それになんといってもうら若き乙女たちにとって教育上とてもよろしくないことでもあった。
「お前たちには特別にこれを準備してきた。これを着用すれば傍目からみれば同じ学園の生徒として見られて怪しまれなくてもすむ」
 NOBUがそう言って机に広げたのは――純白のセーラー服。それは正しく清楚で可憐の象徴である聖マリアンヌ女学院のエンブレム入りの制服だ。赤いリボンに丈の短い襞入りのミニスカート。準備のいいことに人数分、しかもサイズもぴったりだった。あまりのアークの周到さにリベリスタも青ざめる。
 誰もそれ以上、言葉を発せなくなった。もし、この依頼に男が参加する場合どうなるのか――そんなことは口が裂けても言えなかった。
 リベリスタが正気に戻った時にはすでにNOBUはいなかった。セーラー服を置いたまま彼はいつのまにかブリーフィングルームから風の如く消え去っていた。





■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:凸一  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年05月22日(水)23:32
こんにちは、凸一です。

今回は、女子校に巣くう禁断の――
くれぐれも用心して無事に帰って来てください。

それでは、以下は詳細となります。
よろしくお願いいたします。


●任務達成条件
ノーフェイスの全滅


●場所
聖マリアンヌ女学院のとある空き教室。現在は使用されていない校舎の隅に位置している。校内には敷地の裏口から誰にも見つからずに進入することができるが、その教室に行くまでにはひと通りの多い所を通らないといけないため、怪しまれないように注意が必要。


●敵詳細/ノーフェイス×4
・鷺ノ宮百合子(三年生)
薔薇の鋭いとげが生えた伸縮自在の鞭を使って相手を叩いて攻撃する。また、一度に敵を何人も捕まえて縛り上げることもでき、これに一度捉まると脱出は困難。ちなみにこれに捉まると一時的に精神が麻痺して、捉まった同姓同士が互いに恋心を抱く。解除するためにはノーフェイスの全滅が条件。
・花坂つぼみ(一年生)
百合子に寵愛されている女子学生。攻められるのが大好きで、特に同姓に攻撃されればされるほど喜ぶが、ダメージも食らう。熱い吐息を吹きかけることで仲間を回復させる。
・横山すみれ(二年生)
・横山かおる(二年生)
百合子に寵愛されている剣道部所属の双子の女子学生。いつも二人でくっついている。同姓がからみあっているのを見るだけでその場で勝手に悶え苦しむ。
攻撃は竹刀による近接での斬撃。息のあった連携による連続攻撃ができる。二人とも逃げ足が速い。


●その他補足
百合子達は放課後の空き教室を他の百合仲間がいないか物色し探し回っている。教室内にそれらしい人たちが絡み合っていると喜んで突入してくる。リベリスタ達は事前に百合子達が入ってくる空き教室に侵入して彼女らの到着を待つことになる。


参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ホーリーメイガス
来栖・小夜香(BNE000038)
覇界闘士
ティセ・パルミエ(BNE000151)
インヤンマスター
四条・理央(BNE000319)
ホーリーメイガス
★MVP
レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)
スターサジタリー
アリシア・ミスティ・リターナ(BNE004031)
レイザータクト
杜若・瑠桐恵(BNE004127)
ミステラン
ルナ・グランツ(BNE004339)
ミステラン
リッカ・ウインドフラウ(BNE004344)

●秘密の好意、或いは行為……。
「レイチェルさん、待って」
 来栖・小夜香(BNE000038)が『フェアリーライト』レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)を後ろから呼びとめる。
「あっ……小夜香」
 レイチェルはいきなり小夜香に手を握られた。手が汗ばんで胸の鼓動が激しく高鳴りだす。このままでは他の仲間に見られてしまう。
 だが、レイチェルはさらに小夜香の手を強く握り返す。見つかるか見つからないかそのドキドキをまるで愉しむかのように。さいわい小夜香の大きな翼の陰になって誰も気づいた様子はない。レイチェルは急に小夜香の方へとしなだれかかっていった……。
「それにしても此処は本当に女の子ばっかりなんだね。女子校……って言うのは、こういう所なんだ。でも……百合って何だろう? 女の子が女の子にくっ付いてるのもおかしいのかな?」
 『月奏』ルナ・グランツ(BNE004339)は物珍しそうに辺りを見回した。もちろん後ろの方で二人が秘密の行為をしていることなど夢にも思わない。
「同性同士……つまりはお姉さま方やシェルン様に抱くような感情なのでしょうか?」
 『Clumsy thoughts』リッカ・ウインドフラウ(BNE004344)が隣にいるルナをこっそり盗み見た。
もし、自分が恋という感情に芽生え時、その相手はやはりルナお姉さまのような優しくて綺麗な人であればいいなあと密かに思う。
「やっぱし相手がいないから同性愛になっちゃうのかな? こんなのダメですよ、非生産的です」
 『おこたから出ると死んじゃう』ティセ・パルミエ(BNE000151)は首を傾げながらそう言った。よくわからないが女の子同士は何かダメなような気がする。
「女の園での禁断の関係……。人の趣味にとやかく言うつもりはないけど、巻き込みは勘弁してください」
 四条・理央(BNE000319)は断固として撒きこまれることを拒否した。だが、一抹の不安が胸を過る。とにかく無事に敵を倒すしかないと腹を括った。
「今回は女学校でお忍び性教……ノーフェイスを倒すのが目的ですって? それなら話は別、やるべき事をやらなくっちゃいけないようね。そうね、決めたわ、女学園の(性)教育は私が守ってあげないと」
 『アスタービーストテイマー』杜若・瑠桐恵(BNE004127)が怪しい笑みを浮かべて『ヤク中サキュバス』アリシア・ミスティ・リターナ(BNE004031)と共に空き教室の中へと密かに姿を消した。
 ルナは他の仲間を連れて隣の教室で陣地作成の準備を開始する。その間際にリッカは囮役の二人にエル・ハイバリアを施した。
 レイチェルもようやく空き教室の前に来た時には小夜香から距離をわざと置いたところに立っていた。翼の加護を仲間に施すために。
 だが、そんな一瞬さえ、レイチェルは苦しそうに顔を歪ませる。焦らされれば焦らされるほどレイチェルの熟れた身体は熟していく。
 はやく小夜香とくっつきたくてたまらない。いや、この際、誰でもいいからこの火照った身体を濡れた指先で優しく癒してほしかった。

●蔦延る百合の花
「瑠桐恵か、待っていたよ。話はなんだ? 学園に蔓延る百合の花の件か。退廃的な嗜好がそそるというか清らかな乙女をその毒牙にかけて花を散らすその一瞬がまた美しいというか。非常に非生産的ではあるが、その無駄という行為が人を人たらしめているのだろう」
 アリシアは教壇の上に大胆に腰かけた。スリットから白い太腿が覗いている。そのすぐ後ろに立っている新任教師の姿をした瑠桐恵に向かって哲学的な議題を吹っ掛ける。
「はああんっ」
すましたような顔で聞いていた瑠桐恵が突然、後ろからアリシアの背中に襲い掛かった。身体を密着させて腕を大胆にも彼女の豊かな胸に絡ませる。
「先輩からそういった手ほどきを教えてもらったよ。懐かしい思い出だ。ふふ、嫉妬したか? 君はいつも強引だな。だがそれがいいところでもある」
アリシアが振り向いた時には、そこに瑠桐恵の濡れた唇が待っていた。「はうっ、んん!?」二人は息を弾ませながらお互いを求めあう。胸の高まりがその時に向かって次第に高まっていく。
『あ、わ、そんなことまで……』
 掃除道具箱に隠れていたティセが思わず声を上げそうになった。超直感のスキルを使って二人の敏感な身体の動きを把握する。まるで自分が犯されているような気分になってきた。ティセはスキルの使い方を間違えていた。興奮で身体の奥がもう熱い。「ああっ……んっ」自分もいつしか同じように指を動かしていた。
「はぁ……はぁ……瑠桐恵」
「フフッ、近くで見ると本当に大きい胸、今からいっぱい『吸血』してあげるから」
 瑠桐恵がアリシアの首元に唇を這わせようとした時だった。
 ガタンガタン!
 とつぜん、教室の扉が開いて四人の生徒たちが入ってくる。聖マリアンヌ女学院の純白のセーラー服を着た百合子たちだった。
「続きはベッドの上にしよう。お客さんが来たようだ」
 アリシアはすぐに乱れた衣服を整えると、あいさつ代わりに銃を向けてカースブリッドを撃ち放った。
「ぐはああああっ!」
 いきなり攻撃を食らって百合子達は後退する。逃げようとしたところを今度は瑠桐恵がアッパーユアハートで攻撃して敵の足をとめた。そこへ陣地作成を終えたルナたちがすかさず教室の中になだれ込んでくる。
「準備は整った。これで好きに戦って大丈夫だよ、皆っ!」
 ルナの掛け声とともにそれぞれが教室の中で配置をとる。リッカは念のために教室の後ろの扉に鍵をかけて逃げられないように陣を取った。
 レイチェルと小夜香も窓際に立ってそちらから逃げるのを一緒にふせぐ。
「あんたたち、この学園の生徒じゃないわね。私たちを邪魔するなら容赦しないわ。まとめてあんたたちを始末してあげる」
 双子の横山姉妹が一緒になって後ろにいるルナ達の方へすぐに竹刀を振りかざしてきた。理央がすぐにマジックブラストで姉妹を攻撃する。
「ぐはああああっ!」
 横山かおるの方が先に地面に突っ伏した。だが、すみれがそのまま突破してきて理央にするどい竹刀の一撃を食らわせる。理央は吹き飛ばされて壁に激突した。
 続いてすみれが傍にいたルナやリッカに目がけて竹刀を振るってくる。あまりの早さに攻撃を避けきれない。ルナとリッカも一緒になって吹き飛ばされた。
「みんな、しっかりして!」
 レイチェルが傷ついた仲間を治療して回る。その隙に今度はかおるの方が起き上がって竹刀を小夜香のほうへ振り下ろしてきた。
「神火よ、焼け!」
 小夜香があやうく攻撃を避けて、かおるにカウンター攻撃をしかけた。
「ぎゃあああああ」
 かおるは小夜香の攻撃をうけて倒された。
「よくもかおるを! ぜったいに許さないわ」
 すみれは横から小夜香たちに襲いかかかってくる。だが、先回りしていたレイチェルが杖でもって攻撃を受け止める。
「かおるさん、すみれさん! 今助けますから!」
 傷ついた姉妹を癒すために、つぼみが前に出ようとしたところで、今度は掃除道具箱から出てきたティセが前に立ちはだかった。
「燃え上がるような恋が好きなら、最後まで燃やし尽くしてあげますっ」
 ティセは焔を纏った腕で思いっきりつぼみの身体を殴りつける。避けきれなかったつぼみは焔に撒かれてもがき苦しんだ。
「つぼみさん! よくもあんたたちやってくれたわね!」
 ついに百合子が前に躍り出てくる。薔薇の刺がついた鞭を蔦のように伸ばしてレイチェル達に襲い掛かってきた。

●絡め取られた指の隙間に
「きゃあああああ――――」
 すみれの攻撃を受け止めていたレイチェルと小夜香が同時に鞭に絡め取られて縛り付けられてしまった。もがいても自力で脱出することができない。
 その時だった。小夜香は隣にいるレイチェルに激しい衝動を覚えた。だが、小夜香はどうしていいかわからない。恐る恐る後ろからレイチェルの柔かい身体を抱き締める。
「はあ、まるでマシュマロ香りがする……」
 レイチェルはすでに焦らされていた。ぎこちなく触れてくる小夜香の手を強引に取って自分の大事な部分へと押し当てる。
「はあうんっ! もっとやさしくっ!」
 レイチェルは突然動いた小夜香の指を嗜めて叫んだ。それでも小夜香の行動はどんどんエスカレートしていく。目線の先にはレイチェルの短く詰められたスカートの裾と白い太腿があった。その奥に黒の下着がちらちらと見えている。
『同じホリメだし……なんとなく守ってあげたくなる子。……後はどうしたら良いのかしら……この手の経験が無いからどうしたら』と小夜香は戸惑いながらも、手探りでリードして自ら激しく動いていく。
『もっと下着の中に手を入れて、舌を絡めて!』
 レイチェルが心の中で小夜香に対する欲求を叫んだ。
ぎこちない小夜香の指にもう身体がおかしくなりそうだ。このままではいけないことになってしまう――。
「ちょっとそこ! よそ見してるんじゃないわよ!」
 百合子がさらなる鞭を振るってティセと理央を襲った。絶対に避けてやると思っていた理央がまさかのトラップに嵌ってしまう。二人の絡みを一瞬たりとも見つめてしまったのがいけなかった。
「このドキドキはノーフェイスの影響で本心じゃないから! ボクはその手の趣味はない完全ノーマルだから!」
 理央はなんとか精神を平常に保とうとした。だが、そうすればそうするほどなぜか鼓動が激しく高鳴って行く。傍には一緒に撒きこまれたティセがいた。
 目をうるうるとさせながら寂しそうに上目遣いで見てくる。理央は不覚にもティセを押し倒したくなる衝動に駆られてしまった。
「うん、あたしも、こういうのもいいなって思ってたの……」
 ティセはすでに受け入れる準備を整えていた。身体が濡れてもう言うことが気かなくなっている。囮の二人がやっていたように下になったティセは太腿と太腿を絡ませて強引に理央をこちら側に引き倒した。
「ねぇ、百合子ちゃん。貴女の恋って、何なのかな?」
「あなたに何がわかるっていうの!」
 ルナが仲間を助けようとして近づくと、百合子が鞭を振るってきた。
「お姉さま! あぶない!」
「リッカちゃん!」
 ルナとリッカが互いに庇って百合子の鞭の犠牲になる。リッカが脱出を試みようとすると、すぐ傍に味方のはずのルナが迫ってきていた。
「ふふふ、リッカちゃん……可愛い。お姉ちゃんにすべてを任せなさい」
 怪しい笑みを浮かべて迫ってくるルナ。突然態度を豹変させた年上のお姉さまにリッカは貞操の危機を覚えた。履いていた縞パンがついにルナの毒爪にかかる。
「――くっ、そうは絶対にさせないよ!」
 すんでの所で理央は攻撃に転じた。ティセに抱きつかれながらも敵の隙をついて、陰陽・性儀で攻撃する。攻撃を食らった百合子が苦しそうに後退する。
 百合子は絡まったレイチェルたちを夢中になって眺めていたために、一瞬のすきを突かれてしまった。ようやく鞭に捉まっていた全員が解放される。
 瑠桐恵が体勢を立て直した仲間にディフェンサードクトリンを使用して援助する。迫ってきたすみれに向かってフラッシュバンを投げつけて、なんとか倒すことに成功した。
「人の温もりは甘い蜜、これ以上に甘美なことはない。理解できなくもないが、まだまだ世間一般から外れてはいるんだからちょっとは忍べ」
 アリシアが残ったつぼみに向かって後ろから羽交い絞めにする。首筋に思いっきり唇を押しつけてそのまま血を吸い取った。まるでアリシアの胸に顔を埋めるようにつぼみは力を失くしてしまった。残るは百合子ただ一人になる。
「よくも私の寵愛していた子たちを……絶対に許さない!」
 百合子は泣きながら鞭をまた振り上げてくる。レイチェルはそんな哀しい顔をして迫ってくる百合子に同情を隠せなかった。
 出来れば、運命を得てほしい。本当に難しい事だし、そもそも方法なんて分からないけど、好きな人と一緒にいられなくなる。好きでいる事すらできなくなる。そんなの辛すぎる。死んで欲しくはないの。これはレイチェルの本心だった。
 だが、このまま百合子を生かしておいては、更なる犠牲者が増えてしまう。レイチェルは心を鬼にして迫ってきた百合子を杖でブロックした。
 そのとき、ルナとリッカが一緒に手をつないでレイチェルを助けるために前進してきた。一瞬、百合子もルナ達に気を取られた。その隙をついてレイチェルが二人の攻撃をしやすいように身を引いて道を開ける。
「ルナお姉さま! ダブルバーストブレイクを!」
「いいよ、リッカちゃん!」
 息の合ったコンビでルナとリッカのダブルバーストブレイクが炸裂した。
「ぐあああああああああああ――――」
 百合子は焔に撒きこまれてついに地面に倒れて動かなくなった。

●この先の本当の恋
 教室に残った敵をすべて倒したことによって、それまで感じていたもやもやとした感情はいつの間にかどこかに消え去っていた。
 あやうく貞操の危機を乗り切った理央が安堵のため息をつく。あのまま一瞬の隙をついて攻撃することができなかったら――と思うと身震いした。
 だが、理央のそんな胸の内とは裏腹に、他のメンバーの中にはまだ精神麻痺の余韻に酔いしれている者もいた。
「今度はリベリスタとしてではなく、一人の女教師として、学園に赴任してみたいわ。今回のような『(性)教育』をしっかり行うためにも、ね」
 瑠桐恵は教師の持つ棒をしならせながら不敵の笑みを浮かべた。彼女のもつレイザータクトのスキルが間違った方向に使用されようとしている。その発言を聞いたアリシア以外の誰もが言い知れぬ悪寒を覚えた。
「男の子が女の子にくっ付くのは程ほどに、って教えて貰ったけど、何だか私はよく分かんなくなっちゃうの――恋って、何なんだろう?」
 ルナはどうしてもわからなかった。恋という概念のない世界で生きてきたルナたちにとってボトムにきてもっともわからない概念のひとつだった。
 もちろん、これまでに恋に係る事件には何度も遭遇してきたし、実際にこの目でも見てきたから何となくのことはわかる。
 だが、同性同士が抱く特別な感情とはいったい何のか。それがどうしてこの世界ではいけないことになっているのかそれがイマイチよく理解できなかった。
「お姉さま、なに難しいこと考えてるんですか? それよりみんな先に行っちゃってますよ。私たちも行きましょう」
 リッカがルナの手に指を絡めてくる。あまりに自然な行為にルナは思わず笑みを浮かべた。仲の良い者がするそれ以上の意味はない行為だ。
 ルナは無邪気な年下の可愛い同胞に思わず笑みを零した。自分は長年戦うことを忘れて生きてきた。だけどこの前の異変で多くの大切な物を失った。
 もう大切な物は失いたくない。それはみんなの笑顔だった。
 こんな風に同胞のリッカたちみんなが幸せにしていてくれればいい。
 なにも難しいことを考える必要はない。別に恋なんてしても生きていけるのだ。もしこの先本当の恋をすることがあれば――またその時に考えればいい。
 ルナとリッカは一緒になって仲間の待つ元へと駆けて出した。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
みなさま、お疲れ様でした。

百合……それは、絶対に触れてはならない禁断の領域。

みなさんは、その場所で大胆にも立ち振舞い、或いは乱れ……
見事に禁断の果実をもぎとることに成功しました。
 
MVPは、終始敵が逃げ出さないように、注意をはらいながら仲間を癒し、さらに大胆な行為で敵を惹きつけて、味方にもトドメを刺させることに成功した貴女に。
最期まで哀れな敵の境遇に同情を禁じ得ながらも、意を決して戦って任務の成功に大きく寄与した姿は美しくて素敵だったと思います。

それでは、またお会いしましょう。