●0と1の境界 -0 or 1- 脳という器官には、微弱な電気の信号が駆け巡っている。 これを模したコンピュータ。異国の言葉で"電脳"というそれは、0と1の最小単位の信号で動く、脳のフェイクである。 尤も、常識の範疇では、最新鋭のコンピュータであっても、人の脳に遠く及ばないのだが―― ●弾幕は悪意 -myom- 「おなかすいたわねえ……」 巫魔女アマリムス=ミョムは、空腹を覚えて気だるそうにゲーム筐体の上へ、腰を下ろした。 放棄されたゲームセンターの一角。外に視線をやると雨である。 「お腹すいた」 アマリムスは、コンピュータ・ゲーム――プログラムのエリューション・フォースであった。 かつて、逃走に成功し、未だ討たれずにいた存在である。 0と1の境界から出現し、基本的な人格の上に"学ぶ事"を覚え、思索すら行う個体。 「羊羹たべよ……」 アマリムスは逃走中に物を食べることと、空腹という状態を学習した。 人里の商店街から買ってきた羊羹を食い、欠けた湯のみに茶を淹れて、基本的に一日中ぼ~っとする事が好きであった。 時々、無性に仲間を増やしたくなる。 時々、無性に人里で事件を起こしたくなる。 敵対者の目は真剣に狩ろうとしてくる。増やした仲間は悉く狩られているのだが―― 「けっこう楽しいのよねえ。またやろうかなぁ……」 羊羹を食べながらに呟く。 理性を持ったとて、ボトム・チャンネルにおける異常因子――エリューションである本能が起こす欲求に抗い難いか。 「お腹すいた」 どうも空腹が収まらない。 今日はどこか変だと小首を傾げて、次の一杯を湯のみに注ぐ。 突如、手が止まる。 「――ああ、そっか、壊せばいいんだ。この世界を」 更なる強い本能が告げる。 空腹という形で学習した本能の訴えは、今までのごっこ遊びとは異なって、ボトムに敵対するという事。 アマリムス=ミョムは、今日この日、一つの境界を踏み越え、飛翔した。 ●EX巫魔女アマリムス=ミョム -Ver3.0- 「とらえた。アマリムス=ミョム。げーせん」 ――ガタッ 『リンク・カレイド』真白 イヴ(nBNE000001)の言葉に、ガタッと立ち上がったリベリスタの手には、エア・レバーが握られている。エアなのに滴る汗は本物である。 「"シューティングゲームの筐体"から出てきたE・フォースを倒してほしいの。人里にたどり着く前に」 映像を見れば、敵は一見して、ただの少女である。 無論、服装は何かのコスプレといえなくはない。 しかし、顔立ちは幼さが多く残る、わがままそうな顔をした、ただの少女に見えるのである。 「以前に取り逃がした個体よ。『弾幕は悪意』と名台詞めいたものを残しているし、狡猾な性格をしてる」 その狡猾さが齎した、逃亡という結果が残っているのならば。 いざという時には、逃亡してしまう事も考慮が必要だろうか。 「戦闘に関しては、空中戦になるとおもう。あと"増殖性革醒現象"で、まわりから、どんどんエリューションを召喚するわ」 "増殖性革醒現象"は、この個体の周囲にあるものに対して、革醒を促す。 話によれば、逃亡後も音ゲーム、格闘ゲーム、ロボットゲームから、強力な個体を生じさせて事件を起こしていたという。 イヴは補足する。 幸いにして戦闘中ともなれば、粗製乱造となり、突然フェーズ2クラスが誕生する事はない。しかし―― 「フェーズ3」 イヴは短く告げた。 ブリーフィングルームの空気に、緊張が帯びた瞬間であった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:Celloskii | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年05月20日(月)22:52 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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