●肉塊の巨人 大規模な精肉工場で、その異変は起きた。肉を裁断する機械が、突然止まってしまったのである。 その上、何処からか異音が響いてくる。異変の正体が分からず、工場側は全ての作業員を敷地の外へと避難させた。 それでも、異音は鳴り止まない。むしろ、その音は次第に大きくなってさえいるような気がする。どうしたものか? と、工場長が首を傾げた、その時だ。 突如、工場の一部が爆発。炎の柱が空へと上がった。轟音と共に、屋根の破片が飛び散った。濛々と上がる黒煙。悲鳴を上げ、作業員達はその場を逃げ出した。 暫くの間、呆然と自分の工場を見つめていた工場長だが、やがてほかの職員に引きづられるようにして、その場を離れる。そんな彼が最後に見たもの……それは、黒煙の中、ゆっくりと工場から出て来る巨大な人影と、その背後に転がる大量の肉の塊であった……。 巨人の大きさは、6~7メートル程だろうか。 どうやら、その体は全て、工場内で作っていた生肉で出来ているようである。 その事実に気付いた瞬間、工場長は意識を失った。 あまりに現実離れした光景に、気が遠くなってしまったのである。 だから……。 彼以外に、生肉の巨人の存在に気付いた者は、その場にはいなかった。 ●肉……喰うか、喰われるか 「精肉工場で生産されていた肉がE化したみたいね。どうやら、すぐ近くに停泊していたタンカーに積まれていた輸入肉も取り込んで、このサイズになったようね」 気色悪いったらないわ、と『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)はモニターに映った肉塊たちをみて、そう呟いた。確かに気持ち悪い。肉が集まってできた巨大な肉塊や、肉の色そのままの巨人。肉塊から這い出る人間サイズの人型など、不気味でしょうがない。 おまけに奴ら、どうやら人肉や動物の肉なども喰らうらしい。肉が肉を喰らうのだ。 その為に存在しているのだろうが、良く見れば巨人や肉人型の口には牙のようなものが見える。 「フェーズ2の肉巨人以外は、フェーズ1ね。あいつらは、人を襲って喰うみたい。それから現在工場が火事になっているから、あまり悠長に事を構えている時間はないわ。今のところ、問題があるとすればこの2点くらい」 もちろん、問題の有無に関わらずエリューションを放置などしておけない。おまけに、今回の相手は放置しておけばすぐにでも人的被害が出るタイプだ。 「E・ゴーレム(肉塊)はほとんど動かないし、自衛の手段も持っていない。ただ、毎ターンE・ゴーレム(肉人型)を生み出す能力と、それから肉巨人や肉人型のダメージを修復させる能力があるわ」 耐久力には優れているが、身体を構成する肉がなくなればこちらが攻撃しなくともいずれ消滅するだろう。もちろん、攻撃していった方が早く倒すことは出来る。 「E・ゴーレム(肉の巨人)は攻撃力、機動力に長けている。多少の知能も備えているみたいね。肉人型を喰うことで自分から体力を回復させることも可能。肉塊のサポートも相まって、倒すのに時間がかかるかも……」 形こそ人間に類似してはいるものの、そのサイズは明らかに人のそれではない。 巨人、と呼ぶには少々小さいかもしれないが、生肉で構築されたその身から感じる迫力たるや並みではない。 「最後に、肉人型。毎ターン肉塊から生まれ、本能のままに行動する。あまり強くないけど、無視することは出来ない……。工場から離れ、人を襲うかもしれから」 以上のことを踏まえて、Eゴーレムを殲滅して来て欲しい。 時間的な余裕が余りないこと。一般人の被害が出やすいことが難点だろう。 なお、肉の巨人及び肉人型を見失ってしまうと任務失敗となるので、注意してほしい。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:病み月 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年05月14日(火)22:53 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
●炎を背後に猛る生肉 工場が燃えている。まだまだ火事の規模は小さめではあるが、あと十数分もすれば十分大火事と言える規模の火事にはなるだろう。場所は海辺の工場地帯。道路状況など紙して、あと1~2時間もすれば消防車など到着するはずである。 が、しかし。 その前に、終わらせねばならぬことがある。その為に、現場へ急行した8人の男女。アーク所属のリベリスタだ。彼らの目的は、E化した生肉の討伐。 そう。炎吹きあげる工場から姿を現した巨大な肉塊と、生肉の巨人の撃破である。 ●喰うか喰われるか 地面が揺れる。体長6メートルは超えるだろう生肉の巨人が歩く。その外見は、まるで皮膚を剥がれた人間のようだ。あながち間違ってもいない。人間だって、一皮剥けばグロテスクな肉人形だ。 とはいえ、いささか巨大過ぎる。血混じりの唾液を零しながら、巨人は低く唸るような声を出す。鋭い牙は、獲物の肉を食い千切るためのものだろうか。 「なんというか、B級映画にありそうなシチュエーションですねコレ。殴ったら色々飛んで来そうで、ちょっと嫌です」 なんて呟きながら『棘纏侍女』三島・五月(BNE002662)が地面を蹴った。その進路はまっすぐ巨人を目指している。背後にいる肉塊になど目もくれず、握り拳を振りあげ、五月は巨人へと跳びかかった。 五月を迎え打つべく巨人がその腕を振りあげた。 「お肉自体はそんなに嫌いじゃないですけど……。っと、肉塊の付近に肉人型が2体、更に1体でてきそうです」 上空から戦場を確認し、仲間へと情報を伝えるのは『メガメガネ』イスタルテ・セイジ(BNE002937)だ。立ち昇る煙対策として、ゴーグルを付けている。 「まさしくどう料理してやりましょうかって感じですね~♪」 肉塊が震え、腕が突き出す。肉塊が生み出すE・ゴーレム(人型)である。巨人と違いサイズこそ人間と同じ程度だが、巨人同様こいつも人を襲うのだ。 そんな人型の喉に『混沌を愛する戦場の支配者』波多野 のぞみ(BNE003834)は短刀を突き刺した。肉塊から現れたばかりの人型が暴れるが、すぐに力を失い地面に崩れ落ちていった。飛び散った肉片に顔をしかめるのぞみ。 そんな彼女の背後から、別の人型が跳びかかる。両手を広げ、牙を剥きだしにしてのぞみの首元へ喰らい付いた。 その瞬間。 「じゃくにくきょーしょく。でも、うごうごしてるのなんかやだ燃やす」 炎を纏った拳が人型を殴り飛ばす。炎に包まれ地面を転がる人型。それを見降ろし『囀る小鳥』喜多川・旭(BNE004015)はそう言った。炎に包まれたまま、人型は起き上がる。それを見て、旭は困った顔をした。 「ちゃんと火通さないとおなかこわしちゃうからだめっておかーさんいってたもん」 そう言って旭は、炎に包まれた腕を振りあげた。 「そっち行っちゃ駄目ですっ」 旭とのぞみが撃ち漏らした人型が1体、工場から離れようとする。何かしら、餌になりそうな動物でも見つけたのかもしれない。このまま逃がすわけにもいかず巴 とよ(BNE004221)はその進路にフレアバーストを放った。炎に壁に阻まれ人型の動きが止まる。 「もっとこんがり焼くですよっ」 人型を指さし、とよは一言、そう告げた。 腕を突き出し、ラリアットよろしく振り回す巨人。振り回される腕に叩き飛ばされ、五月は地面を転がっていく。地面に倒れた五月に追い打ちを駆けるように巨人が駆ける。 「なかなかにシュールでございますね」 巨人の進路に飛び出したのは『レディースメイド』リコル・ツァーネ(BNE004260)だった。下段からすくい上げるように鉄扇を振り回す。鉄扇は巨人の胴に直撃。ぐちゃり、と肉の潰れる音がした。 「精肉されたお肉が人を襲いだすといったシチュエーション……ホラー漫画のようでございますね」 頬を引きつらせたまま、リコルは巨人のブロックを続ける。 「うぅ、お肉は嫌いじゃないけど明確な形を持って動き出すと、どうしてこう不気味に見えて来るのかな?」 肩を落とし、嫌そうな顔をする『月奏』ルナ・グランツ(BNE004339)。陣地作成を使用し、一般人の侵入と人型や巨人の逃走を防ぐのが彼女の役割である。その陣地作成も完了し、後は一気に巨人たちを倒してしまうだけだ。 だが、巨人は肉を喰って体力を回復させるという。 「しかもお肉がお肉を食べるって、なんていうか……」 ルナと同様に後衛から戦場を眺める『アメジスト・ワーク』エフェメラ・ノイン(BNE004345)。暴れまわる巨人と、人型。そしてその背後に控える巨大な肉塊を見て、なんともいえない微妙な表情を浮かべてそう言った。すぐにでも攻勢に転じることができるよう、彼女の傍らにはフィアキィが旋回を続けている。 「相手は丁度肉ですし、思いっきり焼いてあげましょう」 炎を纏った五月の拳が、巨人の顎を捉えた。アッパー気味の抉るような打撃が巨人の顎を吹き飛ばす。肉の焼ける、なんとも言えない良い匂いが辺りに漂った。五月が腕を振り抜くと、辺りに焼けた肉片が飛び散った。 「ブロックを優先してください!」 巨人の両腕が高く振りあげられたのを見て、リコルが注意を呼び掛ける。鉄扇を広げ、防御態勢を取るリコル。一拍遅れて、五月も腕を交差させた。身長差を活かした高高度からの、叩きつけるようなパンチの嵐が2人を襲う。地面を砕きながら、2人を殴りつける。 「う、っく……」 巨人に殴りつけられて、五月とリコルは地面に倒れた。砕け散るコンクリート片。2人の背から、翼の加護により付与されていた羽が消えた。巨人の持つ、ブレイク能力。 パンチの嵐が止まった。巨人が後方へ腕を伸ばす。腕の先には、肉塊と、そこから生まれた人型が居た。肉塊から肉を引きちぎり、巨人はそれを自身の口へ。肉が蠢き、巨人の顎が再生する。牙を剥きだしにして、巨人が一瞬、にやりと笑ったようにみえた。 巨人が回復する様を、上空からイスタルテは見ていた。肉の巨人が肉を喰らう。その光景を見て、顔色を青ざめさせている。 「肉塊の撃破急いでくださーい! それから、後方へ1体人型が抜けました!」 状況を把握し、素早く仲間に指示を出す。千里眼を使った戦況の把握。それが彼女の役割だ。後衛が手薄と判断し、彼女はそちらへと飛んでいった。 「くっ……」 牙を剥き、腕を振り回しながら人型がとよに襲いかかる。接近戦に持ち込まれ、とよは攻勢に出れないでいた。その上更に1体、新たな人型がそこへ加わる。魔導書を胸に抱くようにして、とよは人型の攻撃を回避する。 だがしかし、振り回された人型の腕がとよの足を捉えた。ギシ、と骨の軋む音。動きの止まったとよへ、人型が喰らい付いた。 「あぁ、う」 肩に牙が喰い込んだ。鮮血が飛び散り、とよの頬を赤く汚す。もう1体の人型もまた、とよの胴へ喰らい付いた。血が溢れ、身動きを封じられた。 「お肉自体は嫌いじゃないですけど……」 そこへ飛び込む影が1つ。イスタルテだ。両手の平から放たれる眩い閃光が人型の体を焼いた。神気閃光。動きの鈍った人型を蹴って、とよは素早く距離を取る。肩と胴から血が溢れるが、今は動きを止めている場合ではない。閃光が消えたその頃には、すでにとよは魔導書を広げて、攻撃態勢に入っていた。 人型の周囲に炎が灯る。次の瞬間、噴き出すように炎はその勢いを増した。一瞬で人型を包み込み、焼いていく。 「焼き加減はいかがですか?」 焼き肉と化し、ボロボロと崩れていく人型を見つめながらとよは言う。血を流しすぎたのか、とよの顔色は青ざめていた。その場に膝を付くとよを、イスタルテが支える。 「こんなにたくさんあると、胸やけがします……やーん」 肉の焼ける臭いが漂う。それは非常に濃厚で、胸やけすら覚える、そんな臭いだった。 「そういえば、この肉塊や肉人型達は巨人の餌にもなるんでしたっけ」 巨人の体が再生するのを目の当たりにし、のぞみは慌てて巨人と肉塊の間に割って入った。これ以上、巨人のダメージを回復させない為である。 「ちょっときもい」 眉間に皺をよせ、旭は肉塊に視線を向けた。肉塊が蠢き、腕や頭などの人体のパーツが形作られていく。新たな人型はこうして生まれるのだ。肉塊を突き破るようにして、人型が姿を現した。すかさず叩き込まれるのぞみの短刀と、旭の拳。 肉人型の頭部を、短刀が斬り飛ばした。ぼろぼろと崩れ落ちる肉人型。新たな肉人型を生み出す前に、と炎を纏った旭の拳が、肉塊を捉える。どちゃ、という鈍い音。肉塊に突き刺さる旭の拳。肉塊がぶすぶすと煙を上げる。 「っっ!?」 次の瞬間、旭は短い悲鳴を上げた。見ると、肉塊から突き出た人型の腕が彼女の腕を捕まえていたのである。次いで、牙を剥きだしにした人型が姿を現す。人型は旭の腕に喰らい付くと、そのまま腕の肉を一部、力任せに噛みちぎった。 「肉が肉を喰らう……ですか。シュールというかなんというか」 人型の眉間に短刀を突き刺しながら、のぞみは呟く。その間に旭は後退。体勢を立て直すのだった。これ以上時間をかけると、また新たな人型が生まれて来るあろう。すでに1体、逃走を許してしまっている。幸い、逃げた人型に関してはとよとイスタルテが討伐したようだが、これ以上時間をかけてしまうのは得策ではない。 「人型はわたしが……。さぁ、バラバラに解体するお時間ですよ♪」 宙を閃くのぞみの短刀。突き出されたままの人型の腕を切り落とす。人型が現れる端から、のぞみは短刀でそれを切断。時にはフラッシュバンを使用し、人型の動きを邪魔することも。 その間に、旭は再び己の腕に業火を灯す。集中を重ね、肉塊に狙いを定める旭。腰を落とし、地面を蹴飛ばす。弾丸のような速度で肉塊へ突進。振りあげた拳。炎が一気に燃え上がる。駆ける勢いそのままに、身体ごと突き刺さるような拳の一撃が、肉塊の中心に突き刺さった。 「わたしの炎で、美味しく喰らい尽くしてあげる」 溢れた業火は、一瞬で肉塊を飲み込んだ。脂の乗った新鮮な肉で構成された体だ。一度火がつけば、よく燃える。炎に包まれ焦げていく肉塊を見ながら、のぞみと旭はまだ戦闘体勢を解かない。 炎の中から現れたソイツは、全身火だるまの人型であった。それが2体。その背後で肉塊が燃え尽き、崩れ落ちていく。おそらくこの人型が、最後の2体となるだろう。 「連携してこ」 「一致団結ですね♪」 拳と短刀を突き出して、2人は笑う。肉塊は燃え、残る敵は眼前の人型と、背後の巨人だけ。 残る敵は、あと僅かだ……。 ●巨人の咆哮 ハンマーが振り下ろされる。否、それは拳だ。握りしめられた巨大な拳。大上段から、なんのためらいもなく、遠慮もなく、狙いすらろくに付けないままに振り下ろされた、というか叩きつけられたその拳。巨人の拳が、地面に倒れた五月を潰す。 「……がふっ」 口から血を吐き、骨を軋ませ、五月は呻く。虚ろな眼差しはどこを見ているのか。戦闘不能、といった有様。そんな彼女を庇うように、リコルが間に割って入った。 とはいえこちらも満身創痍。肉塊から引き離すことに必死で、防戦一方だったせいだ。その肉塊も仲間がすでに撃破した。あとは巨人を倒すだけ。ところが、その段階になって五月がダウン。リコルもまた、限界が近い。 「さて……」 どうしたものか、と呟いた。その時だ。 「背後にお味方がいる立ち位置が望ましゅうございましたが」 あくまでそれは、ノックバックされた際に支えてくれる仲間の場合。巨人のラリアットがリコルを襲う。潜り抜けるようにそれを回避し、巨人との距離を詰めるが。 瞬間、巨人の爪先がリコルを襲う。 避けきれない、と防御態勢を取った。 直後、巨人の頭上から大量の火炎弾が降り注ぐ。火炎弾が巨人の足を、肩をと撃ち抜き背後へ弾き飛ばした。 「誰かが犠牲になるまえにっ」 火炎弾を放ったのはルナだ。銀髪をなびかせ杖を掲げていた。その隣にはエフェメラの姿。 「ちょっと見た目グロすぎっ! 大人しくしててっ!」 魔弓による一射が、正確に巨人の肩を撃ち抜いた。巨人の肩がちぎれ、地面に転がる。グロテスクな光景に、涙目になるルナとエフェメラ。 巨人がゆっくりと、肉片をばら撒きながら起き上がる。 と、同時に……。 「大層グロテスクですね」 だらだらと血を零しながら、五月もまた立ち上がったのだった。 「食べるか食べられるかの戦いで、簡単に負けるわけにはいかないよっ!」 五月の周囲を燐光が舞う。ルナのフィアキィだ。光が五月の傷を癒す。五月の回復が終わるまでの時間を稼ぐべく、リコルとエフェメラが前へ出た。 エフェメラの周囲を、彼女のフィアキィが飛びまわる。直後、空から降り注ぐ大量の火炎弾。地面を穿ち、巨人の体を撃ち抜いてその動きを阻害する。しかし巨人は、降り注ぐ火炎弾になど目もくれず、全速力で駆けだした。地面を揺らしながらのショルダータックル。炎の雨をものともせずに、こちらへ向かって突進してくる。 「焼ける匂いは大変食欲がわきますね。今日のお夕飯は肉料理にしましょう」 巨人へ向けて駆け出す人影。鉄扇を振りかぶるリコルであった。火炎弾の雨を掻い潜り、巨人の足元へ。巨人とリコルが交差する。叩きつけるように振り抜かれた鉄扇。巨人の片足を粉砕し、肉片を周囲に撒き散らす。突進の勢いをそがれ、巨人がバランスを崩した。 「負けるのは嫌いです。焼き尽くしてあげましょう」 業火の塊。否、それは五月の腕だった。巨人の頭部目がけ、業火に包まれた拳が叩きつけられる。五月の拳は巨人の眉間に。火炎が渦巻き、巨人の頭を飲み込んだ。 「----------っ!!」 声にならない雄叫びをあげて、巨人の体が地面に倒れる。巨人の頭部はすでにない。焼け焦げ、炭と化して崩れ落ちたのである。 肉の焼ける美味しそうな匂いが、辺りに漂う。 「どうしよう? 誰かが食べたりするのかな、コレ?」 地面に転がる大量の焼き肉を見ながらルナは困ったような顔をする。このまま放置していっても問題ないのだろうが、勿体ないという想いもある。 どうしようか? と、ルナは傍らのエフェメラへと視線を向けた。 「…でも焼いた匂いは良いよね。た、食べないよ!食べないけど、お肉を焼く音や匂いってお腹空いて来ちゃうよねー。と、とりあえず何肉かわからないから、食べるならちゃんとしっかり火を通さないとだめだねっ!ボクは食べないけどっ!」 誰に対して言っているのか。慌てた様子で、エフェメラは1人で騒いでいた。 生肉の巨人、及び肉塊。これにて撃破完了であった。 後に残ったのは、燃える工場と散らばる肉片。そして漂う、焼き肉の匂いだけだった。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|