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はじけるこねこ

●ねここねこ
 にゃーん。
 こねこが遊ぶ。
 ごろりごろりと転がって。
 こねこは今日も元気一杯。
 跳んで、走って、転がって。
 好奇心たっぷりのこねこはなんでも興味いっぱいで。
 目に付くものに飛びついて。

 ほら、一匹の虫がきた。
 こねこは空飛ぶ虫に興味深々。
 小さな手をちょいちょいと動かして、おいかける。
 虫は逃げる、こねこは追う。
 やがてこねこはぴょんと飛び跳ね、虫を捕まえ。

 ――ぱちんとはじけて、消えた。

●将門、かく語る
「神は猫にドアを開ける能力を与えた。――だが、ドアを閉める知恵は与えなかった」
『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)は、今日も絶好調である。
 彼は一体猫と何があったのだろうか。
「今回の依頼はアザーバイドを一匹、向こうの世界に送り返してバグホールを閉じる。いつもの簡単な仕事ってやつさ」
 確かにそれだけならば本当によくある仕事というやつだ。気楽なものである。
「目標は子猫に酷似した生物さ。白くてふわふわで、人間に媚びきった小悪魔系ってやつだ」
 子猫といえばそれで住む話である。何故小悪魔系等という形容詞が付くのか。謎は深まるばかりである。
 簡単なだけの仕事、かと思いきや……まだ、内容には続きがあった。
「ただ、難点が一つ。そのリンクチャンネルに住む生物は全てある特性を持っているらしい……こちらのチャンネルの生命体との、非親和性というやつさ」
 聞きなれない言葉。その後に続く伸暁の説明は衝撃的なものだった。
「その世界の生物はこちらの世界の生命と酷く相性が悪い。ある程度以上の大きさ……そうだな、コガネムシぐらいのやつだ。それより大きい生命体と触れると――周りの空間を巻き込み、バグホールを生んで消滅するらしい」
 無茶苦茶である。
 一見可愛い子猫の癖に、触るとバグホール。お触り禁止というやつだ。
「それに巻き込まれても命に別状はないと思われる。だが、死ぬほど痛い目に遭うのは間違いないっぽいな」
 伸暁はリベリスタ達を見つめながら、堂々と言ってのけた。
「つまり、可能な限り穏便に子猫ちゃんを送り返して欲しいのさ。期待してるぜ? ハニートラップにかかったりしない、お前達の鋼のピュアハートにさ」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年07月11日(月)23:49
●将門ファイル
■目標:白い子猫
■作戦目標
 穏便にリンクチャンネルの向こう側に帰ってもらう
 バグホールを閉じる

 実際の所、バグホールが開いた所でその穴を塞ぐことは可能です。
 最も子猫は弾けてしまいますが。

●マスターコメント
 たまには戦闘のないほのぼのとしたシナリオをやりたくなりました、都です。
 特に細かい事を気にせず猫と戯れるだけの簡単なシナリオです。
 可愛らしい子猫の姿を見て癒されてください。

 触ると弾け飛びますが。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
クロスイージス
アウラール・オーバル(BNE001406)
ホーリーメイガス
汐崎・沙希(BNE001579)
覇界闘士
祭雅・疾風(BNE001656)
覇界闘士
蜜花 天火(BNE002058)
スターサジタリー
坂東・仁太(BNE002354)
プロアデプト
レイチェル・ガーネット(BNE002439)
ソードミラージュ
武蔵・吾郎(BNE002461)
インヤンマスター
石 瑛(BNE002528)

●ねこがきたりて
 そこは何の変哲もない場所。
 ちょっとだけ町から離れて、人気の少ない森の側。
 初夏の空気に新緑の香りを漂わせるそのあたり、ひとつの異質な物があった。
 爽やかな空気にぽっかり空いた穴ひとつ。バグホールである。
 大して大きくも無い、その穴は危険なモノがこちらの世界に抜けてくることはない、そのような存在の弱々しさを感じさせる。
 が、その時。するりと穴の向こうより何かが抜け出してきた。
 白い毛並みに小さな体。ぴんとのびた尻尾に尖った耳。
 こちらの世界でいう子猫に酷似したその生き物は、あたりをきょろきょろと見回して一声、にゃあと鳴いた。
 ほとんど猫そのものである。世界が違うとはいえ、ここまで酷似した生き物がいるというのも不思議ではあるけれど。
 仮に子猫と呼ぶその生き物は新しくやってきた世界に興味津々のようである。あっちを見、こっちを見。あらゆるものにちょっかいをかけては、驚いたり警戒したりとしていた。
 やがて、子猫の近くになにかが飛んできた。玉虫色に輝く虫。やや大きめのその生き物に子猫は興味を抱き、そっと触れようとし……
 ぱちんと虫が、何かに撃ち抜かれ弾けた。
「危ないのぅ。もうちょっと発見が遅かったら大変じゃったで」
 手にした杖の先端から硝煙を上げ、坂東・仁太(BNE002354)がやれやれと息をつく。あわやという所で虫を撃ち抜いたのは正確な彼の銃撃だった。
「さて、迷子の子猫ちゃんをしっかりとお家に送り返してあげないといけないですね」
『闇猫』レイチェル・ガーネット(BNE002439)が手袋をはめ、くいっと収まりを調整する。
 リベリスタ達はそれぞれ厚手の服装をしており、念のための防備として備えていた。夏場で暑くて仕方ないでしょうに、お疲れ様です。
 彼らがここまで露出を減らし、警戒しているのには訳がある。
「触ったら弾ける子猫って……残念ですねー」
『蒼輝翠月』石 瑛(BNE002528)が、がっかりとした調子で呟く。
 そう、彼女が言うとおり。この子猫のようなものは生物が触ったら弾け飛ぶのだ。しかもバグホールの生成というおまけつき。迂闊に触るわけにはいかないのである。
「ここは穏便に帰って貰うことにしましょう」
『ええ。ばっちり癒されますよ。……ちゃんと帰ってもらうようにも頑張りますよ?』
『正義の味方を目指す者』祭雅・疾風(BNE001656)が穏便策を言い、『水底乃蒼石』汐崎・沙希(BNE001579)の思念が漏れる。煩悩も。
「ツバメさんお願いするですよー」
『クレセントムーン』蜜花 天火(BNE002058)の手から、彼女の指示を受けたツバメが宙へと舞い上がる。ツバメは宙を優雅に舞い、次から次へと虫を捕らえて行く。
 日常的に虫を捕らえている鳥にかかれば、造作もないこと。虫に関してはこの偉大なツバメに任せておけば安心だろう。
「来る人や動物とかは任せてくれよ。ばっちり追い払うからな」
『むしろぴよこが本体?』アウラール・オーバル(BNE001406)が手にしたエアガンを構え、森や空へ向けて威嚇を行う。
 動物に向けてエアガンを向けるのはあまり良い光景とはいえないが、この場合は仕方ないことだろう。
「いいんだよ、この世に猫より尊い生物いないから!」
 そうですか。
「触りてぇけど……堪えないとな?」
 どことなくその鍛え抜かれた肉体をそわそわとさせながら『首輪付きの黒狼』武蔵・吾郎(BNE002461)が子猫の様子を伺う。
 目の前で弾けとんだ虫に驚きのあまりきょとんとした顔で固まっている子猫をリベリスタ達は包囲する。惨事を防ぐため、逃がさないように。

 ――そして、自分の煩悩を満たすために。
 結局皆、猫が好きであった。

●ねこねこごろごろ
「ねこさん、いっしょにあーそーぼーっ」
『警戒しないでくださいね、危害は加えたりしませんから』
 天火が、沙希が、子猫に対し言葉に思念にと呼びかける。
 子猫のように見えてもアザーバイド、言葉や思考が通じてるのかどうかはわからない。だが即座に遁走するようなことは、幸いにしてないようだ。
 突然現れた大きな生き物に対する警戒と戸惑いは見て取れるが、囲みから抜け出そうという様子はなかった。
「ほら、こっちですよこっち」
 レイチェルが音のなる玩具で気を引こうとする。まずはこちらに興味を持ってもらうところから。
 子猫はガラガラと音のなるそれに、びくりびくりとしつつも気になる模様。おっかなびっくり、その玩具に近づいてくる。
 音を気にして耳をぴくぴくと動かし、子猫は様子を伺い、やがて周りの様子を改めて確認する。
 たくさんの大きな生き物に囲まれてはいるが、敵意はあまり感じない。となると、次に子猫が取った行動は――
「うおー!? こっちへ来るんでない!」
 絶叫を上げ、仁太が走る。
「爆発するんは簡便じゃー!」
 子猫が最初に行ったのは、回りにいた生物とのコミュニケーションである。
 未知の世界の物は全てが目新しく、好奇心旺盛な子猫にとっては気になるものだらけ。まずは接触してコミュニケーション。
 しかしこの子猫は触ると弾け飛ぶのだ。
『こ、こないで!』
 本人曰く、猫に好かれやすい体質という沙希も例外ではない。
『これ以上近づいたら……みかんの皮をぷしゅってしますよ?』
 猫は柑橘類が苦手である。万が一の場合に備え、不本意ながらも用意したもの、それがみかんの皮だ。
 その脅しもあまり功を奏さず、沙希は子猫に追われ、追い詰められ、あわやという状態になる。
 咄嗟に防御の為に構えた、手にしたノート。それがなければ接触されていたかもしれない。
 だが、辛うじてその防壁は働いてくれた。猫はノートにぼすんとあたり、地面にすとんと落ちる。
「ほれ、こっちじゃよー」
 その時モーター音を立て、先に安全なところまで避難した仁太が操るラジコンの玩具が足元を通り過ぎた。
 ラジコンに毛糸玉が結び付けられたその玩具は猫の注意を無事逸らし、第一次の接触危機は避けられたのである。

 ――やや時間が経ち。
「やっぱり猫には猫じゃらしでしょう」
 瑛が懐からねこじゃらしを取り出す。まずは全力で遊んで懐柔する。油断させて帰ってもらおうという算段だ。
 だが、ねこじゃらしは一本ではなかった。
 天火が、疾風が、吾郎が。それぞれがねこじゃらしを手にしており、お互いに顔を見合わせ、独特の緊張感を漂わせていた。
「お前ら、何様子見合ってんだよ……」
 周りを警戒するアウラールが思わずツッコむ。
 仕方の無いことである。誰が最初に子猫と思いっきり遊ぶか、出し抜き合いのような状態。この緊張感を打ち破ったのは……
「ほらほら、こっちですよー」
「よーしこのじゃらしにかかってこい!」
「いやいや、こっちですよこっち」
「ほーれほれほれ」
 全員同時であった。それぞれがそれぞれ、子猫に向けて手にしたねこじゃらしをぱたりぱたりと振り始める。
 その光景は少し異様な光景であった。
 接触を避けるために用意した一枚の壁。これら、盾の守りが積極さと消極さを兼ね備えた不思議な光景を作り出しているのだ。だが安全ではある。
 周囲からそれぞれ差し出されるねこじゃらし。その動きに戸惑いつつも、本能がその動きを追ってしまう。あっちにこっちにひっきりなしに顔をきょろきょろさせ、興味津々といった風体である。
「可愛く悪意もないのに、その性質で触れない。中々罪なアザーバイドですねえ。ほーれほれ」
 疾風がぱたぱたとねこじゃらしを動かせば、子猫は手をぺしぺしと動かし、じゃれつこうとする。
 誠実さに溢れるその動きは、子猫を本能に従い右へ左へと遊ばせる。
「本当はおでこをカリカリしたり鼻の下をふにふにしたりしたかったのですけれどね」
 瑛の切れ味のあるねこじゃらしの動きは子猫の運動能力を最大限に引き出す。
 フットワークを使い機敏に追いかける子猫。だがたまに足をもつれさせころりと転がっては遊んでくれる人々をきょとんと見つめた。
「くっ……! これが小悪魔かっ……!」
 その厳つい狼面を顰めさせ、必死に子猫を抱きしめたい衝動に耐えるのは吾郎。彼の力強いねこじゃらしワークは子猫の野生を刺激する。
 飛びつき、転がり、跳ね起き。全身のバネを使いじゃれ続ける子猫の体力と吾郎の我慢。それはどちらが先に尽きるかの勝負に見えた。
「ふっふっふ、子猫さん。捕まえられますかー?」
 その可愛らしい姿に小悪魔の技を宿した天火。彼女の悪女的ねこじゃらしテクニックは子猫の理性も本能も全て蕩けさせ、その動く物体へと注意をひきつけさせる。子猫に理性があるかはわからないが。
 盾の影よりちらりと覗かせたねこじゃらしで注意を引き、時にはわざと手に納めさせ、時には噛ませ、油断を誘っては手の内より抜け出す。
 圧倒的ねこじゃらしテクニックは子猫を翻弄し、喜びに満ちた一時を与える。これはもはやねこじゃらしの匠である。
 そして周りからはピロリンピロリンと電子音が連続で響く。
 アウラールと沙希、両名の手にした携帯が立てるその音はひたすら遊ぶ子猫をファインダーに捕らえ、躍動感溢れる一瞬を大量にデータファイルに収めていく。
 というか撮り過ぎです、貴方達。
 あとアウラールさん見張りはどうしたんですか貴方。

 さんざんじゃらしにじゃらして数時間。
 されども子猫はじゃらしには夢中になれど、バグホールへと誘導しようにも近づく気配はさっぱり見せないのであった。

●ねこがねころんだ
「ならば秘策で行きましょう」
 瑛が取り出したのはひとつの鍋だった。
 猫は狭いところに入りたがる習性がある。それ故に鍋に子猫を収め、そのまま運ぼうという作戦だった。
 この作戦においての難点。それは子猫が鍋に入るか。その一点に尽きた。だが。
「……あっさり入りましたね」
 レイチェルがあっけなさにぽかんとした様子で呟く。
 玩具にねこじゃらし。リベリスタ達も疲労を感じる勢いで遊びに遊んだ子猫はその体を休める為にあっさりと鍋に入り込んだのだ。
 このままバグホールへ運ぼうとするが、鍋を動かすと暴れて触れてしまうかもしれない。そこで折衷案。
「「「「せーの」」」」
 布団を敷き、その上に鍋を載せる。そのまま布団の四隅を持って、運んで行くという手段だった。
 順調に鍋は運ばれ、バグホールへと到達する。
 そのまま鍋はバグホールの中へと入れられ、吸い込まれるようにして鍋ごと子猫は消えて行ったのであった。
「もう来たらあかんでー、爆発してしまうけんの」
 仁太が杖を一閃すると、ぱきんと音を立ててバグホールは消滅した。
「さようなら、もう迷子にならないようにね」
 レイチェルがバグホールのあった場所に向けて、少し寂しそうに呟いた。
 猫とたっぷり遊んだけれど、結局触れずじまい。猫を好きで仕方ない人達にとってなんともいえない寂しさと物足りなさが残る部分もあるのかもしれない。

 ――もふり。
「おう?」
 誰とはなしに、仁太や吾郎のふさふさした毛に触った。
 猫を触れなかったことによる、代替行為である。
 頭部に尾部にと、毛の層の濃い部位を持つ彼らに対し、次から次へともふもふと触り始めたのだった。
「おうおう、ほどほどにのぅ」
「……帰りにペットショップでも見て行くか」
 仁太に吾郎、二人も猫に触れなかった切なさは理解できる。それらの行為を止めることなく、歩き出す。
 自分達だって動物と触れ合いたいのだ。

「ところでさっきから何を?」
 疾風がアウラールの様子を見て言った。
 アウラールは先ほどからずっと携帯をいじっていたのだ。その質問に対し、彼はいたずらっぽい笑みを浮かべて答えた。
「伸暁の奴にメールをな。ラヴ&ピース、クールにリスペクト以外の単語を使って返信出来たら、ぬこ画像送ってやってもいいぜってな」
 意地の悪い話である。
 アウラールが送信ボタンを押し、そのままリベリスタ達は帰路へとつく。
 これから彼らがペットショップへ寄って動物達とのふれあいを堪能するのか、それともそのまま家路につくのか。それはわからない。
 ただ、ちょっとした迷い子。白い子猫のような生き物だったアザーバイド。それを無事に送り返したことは、彼らにささやかな満足感を与えていた。
 元の世界ではあの子は無事に過ごすのだろう。もはや接点はないけれど、罪のない動物達は幸せであって欲しい。
 そしてお互いの世界が侵食されることなく、平和に回っている。それで十分だった。
 猫も可愛かったし。

 携帯のメール着信音が鳴った。
 伸暁からの返事だろうか。それとも関係のない別のメールだったのかもしれない。
 なにはともあれ、これにておしまい。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
●あとがき
 想定以上に難産でした。
 お待たせいたしました、リプレイ公開です。
 ねこを可愛く書くというのは難しいものです。プロの猫書きSTの人を尊敬しますね。
 誰のことかはわかりませんが。

 皆さんの猫に対する愛情はたっぷり感じました。
 それが表現出来ていれば良いのですが。
 それではまたいずれ。