●もしくはカレー弁当買って帰ったけどよく見ると蓋のフチからルー零れてるときのあの感じ! 「ぐあああああああああああああああああああああ!!」 住宅街! おっさんの悲鳴がこだました! 「ポケットに入れておいたイヤホンのコードがなんかいつもの倍くらいこんががっているううううううううう! すぐに聞けないこのイライラ感を、どうしてくれるというのだあああああああ!」 頭を抱えて悶絶するおっさん。 が、おっさんのコードは実際絡まってなんていなかった。 どころかポケットにも入ってなかったし。 もっというとポケットすらなかった。 トドメに言うならそもそも服とか着てなかった。 「そのうえ、そのうえこれは何だ! カップ焼きそばのお湯を丁寧に捨てているにもかかわらず蓋を突き破って麺がシンクにドバァしているではないかああああああああおなかすいてるのにいいいいいい!」 頭を抱えてアスファルトの道路(重ねて言うが住宅街である)に頭を叩き付けるおっさん。 それを、なんかイヤホンのコードが絡まりすぎてマリモみたいになったやつがクツクツ笑いながら見下ろしていた。 そう、おっさんを見下ろせるくらい、そいつはデカかったのだ。 「クーックックック、恐れおののけ! つぎは、いつも通りに会社へ通おうとした道すがら自分のズボンがパジャマだったことに気づく感じだぁ!」 「ぐああああああああはずかしいいいいいいいいいい俺のばかあああああああ!」 おっさんは頭を抱えてめちゃくちゃに踊り狂い、最後にはお巡りさんにお縄かけられて(わいせつ物陳列罪で)連れてかれたという! ●世の中にあふれている『レベル1くらいの絶望』 アイワ ナビ子(nBNE000228)は資料片手にどべーっとデスクに突っ伏していた。 「むかしー、インターネットがISDN全盛期だったころー、画像とか見ようとすると上の方からじりじりゆっくり表示するのが当たり前だったじゃないですかー。でもうっかり戻るボタンとか押しちゃって、次に見ようとするとファイル読み取りできなくなってー、もうなんだこれって感じになることありませんでした?」 ナビ子の話によれば、とある住宅地でエリューションゴーレムが出現、道行くおっさんとかになんか恐怖を振りまいたりしてるようなしてないような感じなのだという! 「他にも、ハンディモップでキーボード掃除しようとしたらなんかモップホコリまみれで、逆にキーボードがほこりっぽくなるわ間にぐいぐい入っていっちゃうわでもう、もうね……」 ヤツは恐るべきことに、その場にいる対象に向かって直接幻覚を見せるという手段で精神攻撃してくるのだ! それも、世にあふれる『レベル1くらいの絶望』を与えることによって……! 「あとチキン食べた後必ず歯の奥につまるじゃんスか。しかも微妙に外側の、最後尾くらいの奥歯だったりして舌でとるのも難しいし、だからって口に指突っ込むのもなんか嫌だし、そうしてる間に舌つかれてきてうえーってなっちゃうこと、ありますよね」 このままでは近隣住民がなんかこう、すごい可哀想だ! 彼らを救えるのはそう、君たちしか居ない! 「でも大体一時間後にはそれ忘れてるんですよね」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年05月02日(木)23:00 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 10人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
●この依頼は楽しいぞと気合いを入れると高確率で熱に伏せるこの感じ 「へーいお姉さん注文いいっすかー」 「あーはい伺いますー」 「じゃあまずお姉さんを注文してーって違うか。お勧めある?」 「やっぱりビールじゃないすかね」 「じゃあそれで☆」 『SHOGO』靖邦・Z・翔護(BNE003820)は赤ら顔でパニッシュした。 ややあって、アーサー・レオンハート(BNE004077)の前にオチョコとトックリが運ばれてくる。 気を利かせようとする同僚を手で制して、静かに手酌するアーサー。 「まあ、こういうのは呑んで忘れるに限る……全員飲み物来てるか?」 「きとるでー。ちゅーてもウーロンやけど」 ジョッキを掲げる『他力本願』御厨 麻奈(BNE003642)。 同じく虚木 蓮司(BNE004489)もウーロン茶を掲げていた。 「ま、俺に関してはギリギリだが、だからこそ守るラインってのはあるな」 「よしよし、未成年はノンアルコール。これはバロックナイトイクリプスがSBR三箇条をぶち破ったとしても絶対に守ると決めたルールだ。未成年の飲酒喫煙だけは……飲酒喫煙だけはさせん」 「そうか。ならば未成年はビールだけということで」 「お前話聞いてなかったのか!?」 そっとバルチカ注ごうとする『リング・ア・ベル』ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)の後頭部を軽くはたく門倉・鳴未(BNE004188)。 「ばかな、ビールまでアルコールだとでも言うのか!?」 「言うよ! ここは数十年前のロシアじゃねえんだよ!」 「フフ、所詮はお子様ですわね。未成年は大人しく子供飲料を飲んでいらっしゃいな」 妙などや顔でキリンこどもビールを手酌する『中二病になりたがる』ヴィオレット トリシェ(BNE004353)。 「発言が完全にブーメランしとるやん」 「だいじょうぶ、コークが飲めれば大人なのです」 「まあその胸は大人のそれだよねー。あ、わたしカレーで」 「カレーは飲み物ってか」 今時は珍しい瓶コーラにちょっとワクワクするキンバレイ・ハルゼー(BNE004455)。 その横で『まだ本気を出す時じゃない』春津見・小梢(BNE000805)が当たり前のようにカレーライスを注文していた。 そして『マグミラージュ』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)。 そらさんにじゅうはっさい。 ビールのたんまりしたジョッキを掲げた。 「というわけで、今日の依頼はお疲れ様でしたーっと。色々挨拶あるけど省略! かんぱーい!」 「「かんぱぁぁーい!」」 若い打ちにやっておいたほうがいいことというのは、恋とか挫折とか夜遊びとかまあ色々あるが、そのうちのひとつが『ビールジョッキの一気のみ』である。 ある程度老熟したおっさんが居る場所で、とりあえず無茶に呑んで潰れてみるというのは、今後の人生を安全に過ごす上で結構重要な経験なのだ。 下手にお子様や二十歳なりたてのぼうやたちばっかで無茶のみすると最悪死んだりするし、身体が年老いてからそういうことすると色々なものを失ったりする。リアルに大事な経験なのだ。 さておき。 「ぷっはあー!」 空になったジョッキをどがんとテーブルに叩き付け、ソラは突っ伏した。横から突っ込まれるするめスティックをくわえてもぐもぐ。 「あのねー、ログインIDとか作ろうと思ってごちゃごちゃ書いたり調べたりして、いざ送信っておもったら重すぎてタイムアウトするってことあったじゃない? 一縷の望みを託してブラウザバックするけど、もうまっさら。私の頭もまっさら。ついでに顔はまっさおよ」 「わかるよぉぉぉぉわかるよそれぇぇぇぇぇぇぇ!」 ソラに絡みつくベルカ。もう軟体動物かってくらいぐにょっと絡みついて、フライドポテトをぐいぐいソラに押し込んだ。 「プレ書き終わったと思ったらパソがトラブって文字が飛ぶんだよぉぉぉぉおおお! 直感で書いてるのに、同じこと書くのすっごいきついんだよおおおおおお!」 「分かるよおおおおおおお! 渾身のOP書いたときに限って送信ミスって消えてるんだよおおおおおお! ちくしょおおおおおお!」 「今の紅い人誰なん?」 「まあ、プレが書いてる途中で消滅ってのは俺にもあるな……」 カルアミルクをちびちび呑みつつ、テーブルに両肘を突く鳴未。 「大体、プレって相談とかしながら書くことあるし、他にwikiとか一緒に開いてるからブラウザタブだらけになったりしてるんだよな。で、片っ端からぱぱーっと消そうとするとプレの画面ごと消えてるっていう……あれな」 「いっそ途中で保存しててくれればいいのに」 「そんな煩雑な機能をサイト側に求めるのもな……誤作動の元になる。メモ帳で書けという主張は全く正しいしそうすべきなんだが、なんだかなあ、やってしまうんだよなあ」 「手近なもので済ませたいっていう本能よね」 ウィッヘーイとか言いながら空のグラスを振り上げるSHOGO。 「おねーさんお勧めみっつくらい持ってきてー! 大丈夫、俺金持ってないけど、このおじさんのおごりだから!」 「じゃあ唐揚げの盛り合わせとロシアンたこ焼きと……ハニトーですね」 「この居酒屋ってそういう雰囲気の場所なのか? ほぼ白木屋のペースなんだが……」 「合コン用みたいなオシャレ酒場で奢らせるのもね」 「リアルだな」 静かに焼酎をあおるアーサー。その横で、SHOGOが背後の壁にぐったりともたれかかった。 「合コンといえばさ……女の子の前でカッコつけたくって、横文字の仕事を自称してみたり、『オレは常に100%を出し切りたいのさ。プライベートでもね』とか言っちゃうんだけど、そのままギア上げちゃって『二人っきりになろうよ、魔法をかけてあげるぜ』とか言っちゃうんだよね」 「格好つけるのは男の本能だ。そういうこともある」 「後日金借りにいったらその女の子いてさ、二人っきりの魔法発動しちゃったよみたいなね。100%の無職パワーを出し切っちゃったよっていうね」 「……それはキツイな」 言って、アーサーはSHOGOにビールを注いでやるのだった。 その横で。 「いひゃああああああきゃああああああああああああああああBL本の常連だって覚えられてるううううううううううううういやあああああ!」 目をぐるぐるにしたヴィオレットが背後の壁に頭を高速ぐりぐりしていた。 「それに! だって! 今日の服! 首に! タグ! ついてたの! しんじゃう! はずかしくて! しんじゃう!」 「ああ、あるある。あるよ。だから少し落ち着けよ」 控えめがちに肩をぽんぽん叩いたり、危なそうなものをどけてやる蓮司。 「おちついてますわよ! なのに……なのに、ね、眼帯が……なんでか……今日、逆になってて……うっえう、ううう……」 急にぐずりだし、膝を抱えて丸くなるヴィオレット。 こいつの相手はもう無理だと思った蓮司は、とりあえず子供の相手をすることにした。 「キンバレイ、飲んでるか、コーラ。なんならスイーツたのむか?」 「はあ、持って帰っちゃだめですか?」 「だめだな」 「明日のご飯になるんだけど」 「…………」 「朝と、お昼と、夜までもつかな」 「…………」 「前、ガチャイベントがあったらしくて、お父さんがお洋服代削っちゃったの。今度こそパンツ買う筈だったんだけど……でももう慣れちゃったし、なくてもいいかなって」 「…………」 「でもときどき、お掃除とかお洗濯とかしてると、こすれて気持ち悪かったりするんです。お父さんは自宅の警備で忙しいし、抱き枕とかお人形で埋まってるお部屋は毎日掃除しないと機嫌悪くしちゃうから」 「…………」 「あっ、でも裸の女の子が書いてある箱は倉庫に積んで置いていいって。最近は倉庫にも入らなくなっちゃったんですけど、どこかに安い倉庫とか借りられませんか?」 「…………」 「このパン、タッパーにいれちゃだめかなぁ……」 「店員さあああああああああん! なんか持ってきてー! 子供の喜びそうなやつ、なんでもいいからあああああ!」 「王様ゲェェェェェッム!」 「「いっえーい!」」 「王様だーれぞ!」 「ウチやああああああああ!」 先っぽ赤くした割り箸を握りしめ、麻奈は雄叫びをあげた。 「来た、ついに来たでうちの時代! ベッキーで言えば笑う犬を卒業した頃くらいの時代!」 はらはらと流れる涙。 涙の中には思い出が詰まっていた。 生き別れのイケメン兄がある日突然全裸でののしってくれとか言い始めたり、父親らしき人物がどう見ても深化したオークフィクサード(でも深化してないリベリスタ)だったり、生き別れの妹がタワシと千切りキャベツの盛り合わせを真顔で出してきたり。何だろうね、今時真珠夫人とか知ってるひとおらんのでは? 「しかもや、らるとのせいで姉妹丼ピンができるフラグがたっとるし、ハーレムのせいでスカート頭突っ込まれるし、温泉じゃ水着撮られるし……なんやのん、ラッキースケベに晒されるキャラやないやん。絵師のせいや。ぜんぶ絵師のエロ耐性のせいなんや……」 「それは絵師のせいじゃねえ」 「それにな、うち沢山依頼入っとるやん。せやから間違えて別の依頼のプレ書き込んだりしてもーて、実際の依頼は白紙になったりしてんねん。二重にアウトやねん。それならまだ諦めつくねんけど、寝過ごしてプレ締め切りギリギリになって目ぇ覚ますとかな。そういうときに限って三本も未プレとかな。あかんて……あれはあかんて……」 「分かった。お前が今まで不遇続きだったのは分かった。じゃあそろそろ、命令いこうか」 「せやな……」 カッと目を光らせる麻奈。 「SHOGOはホモ! キンちゃんは永久二重跳び! 小梢はんは……カレー禁止!」 「一気に三ついったー!」 「しかも名指ししたー!」 「王様ゲームのルール分かってんのかてめぇー!」 「ええやんか! 今日くらいワガママ言ってもええやんか! うちなんてガッツリレベルあがっとんのにまだ全身図も貰ってへんねんで!」 「まあ、たまにはいいか、たまには……」 「きんばれい、にじゅうとびできます」 「気付け! いまロリコンどものさらし者になっていることに気付け!」 「カレー……カレーが……」 「小梢さんがみるみるひからびていく……」 「ナルミー、俺と一緒にmagnet歌わない?」 「リアルなことはやめろ」 混沌と化した場で、ヴィオレットが割り箸の束を一気に引き抜いた。 「はい次次ぃ! 王様わーったしだ!」 「自分で決めやがった!?」 「4番がー! 3番にー! キーッス! 口移しでキーッス! いっえーいひゅーう!」 「え、4番俺なんだけど……」 蓮司は頭をかいた。見ると、ソラせんせーがなんかモジモジしている。 「キスか。困ったな。それじゃあ3番……」 「俺だ」 諸肌を晒した屈強なアーサーおじさんが三番の割り箸を握りしめていた。 蓮司の手の中で、割り箸がへし折れた。 うつ伏せに押さえつけられる蓮司を背に、ベルカが悲壮感のある顔で割り箸を引き抜いた。 ナンコツ揚げを咀嚼してから立ち上がる。 「王は私だ」 「……」 「今から貴様らには共産主義がいかに世界平和に近づくかということを……」 「ベルカさんそれガチなやつです」 「コホン、そうだった。では……同志春津見小梢はハヤシライスを喰え」 「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!」 死ぬ前のセルみたいな顔をして立ち上がる小梢。滅多に見れないレアシーンである。 やがてひからびた魚みたいにしおれていく。 「カレー、カレーが食べたいよお……お弁当に買ってきたカレーが零れてて、手とか服についちゃったり、一滴だって無駄にしちゃいけないのに。カレーの神様に怒られちゃうのに……」 「小梢が変なこと言い出したぞ」 「それに、カレー注文したときに福神漬け抜きでって言ったのに、入れられるし。汁が混ざって味が変わっちゃうじゃない! それにスプーン! プラスチックのスプーンはいらないの! 金属のスプーンで食べたいのに、タンスの引き出しに割り箸やストローと一緒にどんどんたまっていくの! あんなのゴミだよ、ゴミ! もう最悪、おうちでカレー食べたかっただけなのに……うぅ、う……」 みるみるしおれていく小梢……と見せかけて! 「ていっ、王様わーたしー!」 王様割り箸を筒の中からパクった。 というかリベリスタ一同。無数の割り箸野中から特定のものを探り当てるくらいできそうな気がする。頑張れば。 「キーマカレーペガサス盛りで! 唐揚げトッピング! でもってSHOGOさんは福神漬け箱食いで!」 「イエッサー!」 飲み物かってくらい福神漬けをもりもり食い始めるSHOGO。 「ふ、気持ち悪い……」 「ごめんごめん、次王様SHOGOでいいから」 「どうも……じゃあ三番が王様にルパンダイブチュー」 「三番俺じゃねえか!」 割り箸をテーブルに叩き付けるアーサー。 「悲しいけどこれが現実なんだ。なんか口から出そうだけど、避けにおぼれるしか無いんだ。マッカランもう一本頼むしか無いんだ! 覚悟おおおおおお!」 「うわそっちから来るな! 臭っ、福神漬け臭い!」 「隙あり! 王様俺だあああああ!」 転がってきた王様割り箸をかすめ取る鳴未。 「とはいえキツイのは可哀想だな。二番と五番、ドリンク混ぜて二人で呑め」 「二番わたしだけど」 と言ってキク・キール・ロワイヤルを掲げるヴィオレット。 「もう大体ちゃんぽんしてるし、大抵のものは平気だけど?」 「あ、五番私だー」 と言ってカレーを掲げる小梢。 「馬鹿なあああああああああああああ!」 「日本酒カレー? 新しいけどいけるいける。カレーの神は慈悲深いから、大抵のものはいける」 「いけわけあるかあああああああああ!」 組み伏せられて容器ごと突っ込まれたヴィオレット(キャラ崩壊済み)が、口元をぬぐって起き上がった。 「だ、大丈夫なん? 目つき悪くなっとおけど」 これは介抱が必要かと肩を抱いてやる麻奈……だったが。 「ワタシハダイジョウブデス」 「かたことやん」 「だだだ大丈夫。未成年の手はかりませんわ。あなたにはカルピスをあげる。そう、濃縮還元した150%カルピスを!」 「なにさらす気や!」 「キンバレイさんは喜んでごっくんしましたわ」 「ごっくん言うなや……って何やっとん!?」 後ろでは、口の端からねっとりとした白濁液を垂らしたキンバレイが永久に二重跳びしていた。 「カルピスって初めてのみました」 「騙されてる!」 「さあ麻奈さんも」 「いやや! 今日もまたサービス担当にされるのはいややああああああああ!」 畳の上に、ぐったりと仰向けになった麻奈が、顔や服や股からねっとりとした白濁液を流しつつ、ハイライトの消えた目で天井のシミを数えていた。 「あれは……お焚き火オフのことやった。担いでた枯れ木にイヤホン絡まっとって、一緒にお焚き上げられて……あとあれや、前日入りしたオフで一緒にネカフェ泊まったねんけど、翌朝一人だけ取り残されとって……」 「ああ、絡まるよなコード。妖怪でもいんのかってくらい絡まるよ。あとカップ麺喰おうとした時にある……何だ、お湯足りない現象」 「分かる。でもまだいい方だぞ、俺なんてカップ焼きそばだつってんのにソース先入れしちまって、薄いのなんのって……」 「あー、あるある」 蓮司と鳴未がとろんとした目で握手した。ちなみに蓮司は未成年なのでお酒は飲んでいません。場酔いです。 「じゃあアレは? 階段の最後だけ踏み違えてガクっとなるやつ」 「電車内でパック飲料のストロー引き抜こうとしたら思いっきり抜刀して後頭部ぶつける感じのアレだな」 うんうんと頷くアーサー。二度目の握手。 「うっかりと言えば、お風呂のお湯を入れようとレバーをひねったらシャワーが出てびしょ濡れっていうのがあったなあ」 「あるある、家の中だけに油断するんだよな! 俺も家の中なら電気つけなくても大丈夫と思ってたら壁に激突するんだよ!」 「そうやって痛みにうずくまって、立ち上がったら再び強打するんだよな」 「あるあるー!」 三人によるハイタッチである。 「じゃあこういうのはどうだ。レジで金払おうと思ったらテレビのリモコンだった!」 「それはボケてんじゃね?」 「じゃね?」 「やかましい。なら……道ばたで見つけたネコちゃんがぬいぐるみだった!」 「それもちょっとなあ」 「ジャンパーのファスナーを無理に噛ませて固定されちゃう感じとかじゃないと。文字通り前後不覚」 「前後不覚は違うけどな」 「ファスナーと言えば、家に帰ってから社会の窓全開だったことに気づくって無いか?」 「あるなー」 『だよねー!』 「あるある!」 といって、アーサーと、蓮司と、鳴未と、E・なんちゃらコードがばしーんとハイタッチした。 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 『あ、どうも頂いてます』 「まだ死んでなかったんかい!」 万乗一致のフルボッコタイムが始まった。 清らかな朝日が顔を照らす。 「んむ、む……できれば一生寝ていた……い……はっ!」 ソラはがばっと身体を起こし。 右見て(肩を叩くおまわりさん)。 左見て(通り過ぎる新聞配達人)。 息を吸い込み。 「どこ、ここ?」 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|