●ぼくらの応援禍 「頑張れ! 頑張れ! 頑張って! お前の力を見せてみろ!」 「やればできるさ! ヴィクトリーッ」 「諦めたらそこで終了だよ色々と!」 その言葉は応援だった。当然だ。その言葉を吐く唇の持ち主はチアガールなのだから。当然だ。チアガールは応援をするものだ。だからこうして応援をしている。頑張れ頑張れ。情熱的な言葉。奮い立たせる言葉。 しかしもういっぱいいっぱい頑張っている人に頑張れというのは少々酷なものではないだろうか? 頑張れ。その応援の言葉は、時に人の心を更に窮地に追いやるものではないか? とまぁ、そういうのなんか、知ったこっちゃないのだが。 「頑張れ!」 「頑張れ!」 「ふれーふれーえいえいおー!」 倒れた2人を取り囲み、チアガールは応援する。言葉は応援。行為は暴力。鈍い殴打音。じわりじわりと赤が散る。チアガールが手に持つ応援道具が血に濡れる。既に悲鳴も聞こえない。 「頑張れ頑張れ!」 「さぁ、立つんだ!」 「燃え尽きようぜ!」 暴力。全く以て『暴力』以外に形容の出来ない暴力であった。 ●根性論の三大元素 「裏野部フィクサードの出現を察知致しましたぞ!」 愛用の事務椅子をくるんと回し、振り返った『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)が一同を見渡した。 裏野部。それは日本において活動するフィクサード集団の内、最も大きな七つの組織『主流七派』の過激派であり、暴力を擬人化した様な連中の組織である。 そんな彼等が引き起こす事件、良いものである筈がない。表情を引き締めるリベリスタ達の様子を察するかのように、「えぇ」とメルクリィが頷いた。 「とあるフリーのリベリスタ二人組が、裏野部フィクサードにリンチされております。急いで行けば命は助かるでしょうが……最良でも戦闘不能状態ですな。 ……彼等が『そんな事をした理由』、ですか。あぁ、私も知りたいですよ。裏野部の暴虐に理由を求める事がそもそも間違っているのかもしれません」 リベリスタだから殺そうと思った。たまたま見かけたから殺そうと思った。カッとなってやった反省はしていない。上げれば幾らでも湧いてくる。そしてどんな理由であれ、納得できそうなのが裏野部の怖ろしい所であった。 「フィクサードの数は3。特徴としては連携やチームプレイを重視する火力型、とでも言いましょうか。皆々様に課せられたオーダーは彼女等の撃退でございますぞ」 彼女達、と機械の男が言った理由はすぐに判明した。彼の背後モニターが作動すれば、3つの人間が映し出される。 それは、チアガール。紛れも無く、チアガールだった。天地がひっくり返ろうがチアガールだったのだ。 「ハイ。御覧の通り、チアガールですな。種族やジョブは雑多、気質は熱血ド根性。友情を愛し努力を尊び勝利を望むチームです。 当然ながら油断は禁物ですぞ! 彼女等は勝負事が大好きで手加減も大嫌いで逆境燃えなのですから」 以上です、とメルクリィは締め括る。 「それでは皆々様、お気を付けていってらっしゃいませ! ……え? ところでお前は何処派なんだ、ですって? 橙の兎さんの球団ですぞ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年04月24日(水)23:22 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●やればできる系 燃えるような夕日の中、長く伸びた影の中、聞こえてきたのは「頑張れ」の声だった。チアガールだった。 「チアガールって長ランきるのでござるのな……もっとこう……狂暴なイメージが……」 「ザ・ビクトリー。お前は駄目だ。何故に世紀末なんだ。カネ・クルマ・オンナの側だろう」 「……あいつ本当にチアガールなのか? 一人だけどう見てもマ■ドマックスなんだが」 まぁいっかと『ただ【家族】の為に』鬼蔭 虎鐵(BNE000034)は奇奇怪怪な裏野部について考える事を止め、『リベリスタ見習い』高橋 禅次郎(BNE003527)の言葉に『糾える縄』禍原 福松(BNE003517)も眉根を寄せる。 ステレオタイプチアガール→わかる 長ラン+サラシ→わかる 世紀末でヒャッハー→!? そういう訳なんだが、リベリスタの視線の先に居たのはどう足掻いてもチアガールなのであった。チアガールったらチアガールなのであった。 「応援てのは誰かのためにやるもんだ。恰好がチアなだけで全然応援じゃないんだよそういうのは!」 宣戦布告。指を突きつけたのは『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)。スポーツをやっていたからこその言葉。ご尤もだ。その通りだ。 「美徳と悪徳は表裏一体なのかもね」 それは他人に強要した時点でただの暴力に成り下がる代物だと『ピジョンブラッド』ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)は息を吐く。この世に悪は数あれど、厄介なのは己の悪に気付かぬ連中か。ある意味、実に裏野部らしいかもしれぬ。 そう、相手は裏野部。ふざけてはいても裏野部なのだ。 彼女等がこれ以上の死と破壊を振り撒く前に。きっちりカタをつけねばならぬと、快は仲間へ――『覇界闘士<アンブレイカブル>』御厨・夏栖斗(BNE000004)へと視線を向けた。返って来たのは確固たる頷き一つ。 友情努力勝利。良いものだ、漫画みたいだと夏栖斗は思う。だがしかし、熱血根性で負けるような格好悪い真似は出来ないのだ。何故なら自分は、自分達は…… 「アークリベリスタ! ただいま見参!」 炎図を纏う無骨な棍、炎顎を手にした夏栖斗が前に出ると共に張り上げた声。そうだ。自分達はリベリスタ。敗北は許されない。その声に聞いた者の意識を引き寄せる魔力を乗せて。 振り返った3人のフィクサード。 駆け出した3人のリベリスタ。 ザ・フレンドには夏栖斗が。ザ・エフォートには虎鐵が。ザ・ビクトリーには福松が。 「友情って大切だよね! 分かるよ! 僕も今日は相棒と一緒だしさ!」 「この年になって友情とかそういうのは恥ずかしいでござるが……愛する息子の為に拙者は頑張るでござる!!」 「同じクリミナルスタアだ、気兼ねなくやろうや」 銘々吐いた言葉。上等だと、チアガール達は身構える。そして。光り輝く一閃が三条。友情努力勝利の力で繰出したビームだ。正義の味方を刺し貫く。 禅次郎が片膝をついた。使う者が多いほどに強い攻撃、つまり最大威力を喰らったのだ。だがそれは不運ではなく自らの意思。 「味のある中身のある人間って言われてますか? イワナは余計な味付けいらねえんだよ中身があるダシが凄いついてるんだよイワナ見習って中身で勝負して生きろこれからダシのある人間になれ!」 と、ちょっと良く分かんない言葉を叫びながら取り敢えず前へと駆け出したのであった。 一方で夏栖斗、虎鐵、福松はチアガールの攻撃を突破し彼女等の前に躍り出る。そんな彼等を強力に支えるのは、リベリスタのチアガールだ。 「フレー! フレー! リベリスタ!」 ボンボンや応援旗の代わりに、角が擦れ色も少し褪せてきた『みにくいアヒルの子』の絵本を手に持って。翼を広げ宙に浮いた『みにくいあひるのこ』翡翠 あひる(BNE002166)は仲間達へエールを送っていた。 「あひる達が勝つのだっ! 絶対、勝利……! 負けないもんね……!」 前に出て戦う力は無いけれど、仲間を支え応援する事ならば負けていない。今日のあひるはチアガール。「向こうがかわいこちゃんたちでも、こっちの勝利の女神は頼りになる美人さんなんだぜ」とは夏栖斗の談。 フンスッ。意気込むあひるが紡ぎ出すのは、大いなる癒しの風。 その間に、フィクサードに散々ボコボコにされ倒れていたアークではないリベリスタへと、向かう人影2つ。 「生きてるかい? もう大丈夫」 「後はオレ達に任せとけ!」 ロアンと『てるてる坊主』焦燥院 "Buddha" フツ(BNE001054)。戦闘不能となった二人を担ぎあげ、性急に戦闘圏外へと走る。走る。それはそうとミドルネーム凄いな。そしてそんな二人(四人)がフィクサードに攻撃されぬよう二つの脚で堂と立ち支援するのは左手を構える快だ。 走って行く。仲間の奮闘もあり、ロアンとフツ、そして彼等が抱えた名も知らぬ仲間が傷を負う事はなかった。後衛のあひるを通り抜け。その瞬間に少女は天使の歌を紡ぐ。せめて傷だけでも癒せたら、と。 最後に恋人と視線を合わせ。信頼の色。頷くコンタクト。そして背後へと遠退いて行く足音二つ。あひるは碧の双眸をきっとフィクサードへ向け直した。 「彼らは、たくさん頑張ったよ……今度は、あひる達がお相手ね。応援合戦、しましょうか……!」 銃火、拳と切り裂く風と。 殴打音と呻き声と戦闘音楽、飾るは血華と夕紅。赤い赤い。 「偶にはいい所を見せないとでござる……な!」 身体の制限を外し、常識外れに漲る膂力。不敵に口角を吊った虎鐡は、ザ・エフォートが轟と振り下ろした応援旗を真打・獅子護兼久の鞘で受け止めた。刹那の火花。ギギギギギ。拮抗する。力任せと力尽く。 虎の眼光と黒い鞘が黄昏の中でギラリと光った。 「ふふん、おぬしらの攻撃は全然なってないでござるな!」 言葉と同時に一気に跳ね上げる。その勢いに乗って、黒の刃を一閃。空を裂くそれは刃となった烈風を生み出し、福松が相手取るザ・ビクトリーの身体を切り裂いた。 衝撃に一瞬蹌踉めいたザ・ビクトリー。しかし倒れず踏み込むと、正対する無頼少年へと火炎を繰り出した。包み込まんと、赤。 「塗り潰してみろ、やれるもんならな」 笑う舌上に飴玉一つ。血の鉄臭さと甘い砂糖のハイブリッド。福松が純白のストール『アウトロウ・アピアランス』を鋭く振るえば、炎は裂かれ払われる。その間隙。チアガールへ向けられたのは黄金銃。派手な銃声。銃火が奔る。弾倉が回る。一度に何発も吐き出された44マグナムは唸りを上げて、フィクサード達へと突き刺さる。 「しゃがめ!」 そこへ響いたのは夏栖斗の声だ。コンマの時間差で無頼がしゃがむ。その頭上をヒョンと駆けたのは『飛翔する武技』、ザ・フレンドを巻き込みザ・ビクトリーに鮮血の花を咲かせる。 「友情と努力をもらったんなら負けてらんないのが勝利だろ?」 キメた瞬間、眼前にいるザ・フレンドから夏栖斗へと一式迅雷と言う名の腹パンが。ごぼっと逆流するのは血か反吐か、それでもパンチラサービスには目を凝らさんとしている辺りアレである。げほげほ。しかし、割と効いた。 そんな息子の様子に、ザ・エフォートと剣戟の攻防を展開している虎鐡は一つ息を吐き。 「こんな所で負けるなぞ言語道断でござるよ! 気合で持ち堪えるでござる!」 「分かってるって!」 「しゃんとしろよ、皆!」 間髪入れずにかけられた声と、同時にリベリスタ全員を包んだ殲滅の加護と。倒れていたリベリスタの安全を確認した快が神の声に従い行ったラグナロクである。 ――神は神でも『死神』やもしれぬ。理想と言う名の死神。全てを護ると矛盾し歪んで毀れた理想。例えそれが己の喉を掻ッ切ろうとも。いいさ、それでも、いいさ。 「そろそろ自分たちの応援をしたほうがいいんじゃないのか? 劣勢だぜ?」 振り上げた砂蛇のナイフに曇りを許さぬ光を湛えて、ザ・ビクトリーの間合いへと踏み込んで。護る為に、奪わせぬ為に、守護神と呼ばれる男は迷いなく攻撃をする。 「さあ、お嬢さん達。懺悔の時間だよ。言い残す事はあるかな?」 同刻、鮮烈な光とは正反対の暗い影を纏い。『一方的で理不尽な暴力』には『一方的で理不尽な暴力』で応えるのみと、リベリスタ救出を終えたロアンのクレッセントがザ・ビクトリーへと冷徹に煌めいた。 されど一方的にやられるフィクサードでもない。棘付き鉄球ボンボン、応援旗、火炎放射機からそれぞれ轟撃が繰り出される。電撃の拳、生死を分かつ一閃、断罪の魔弾。 肉が裂ける感覚、骨が臓腑が軋む感覚、火球に肌を穿たれる感覚。 されど、リベリスタは倒れない。 「いけいけファイト! 決めるぜ一撃っ!」 たくさんの気持ちが込められたあひるのエールが、癒しの息吹と共にリベリスタの背中を強く強く支えるからだ。 「まだまだ、これからだぜ!」 更に敵へのみに冷たく冷たく降り注ぐのは呪術の雨。あひるの傍ら、愛しい彼女を守るように立ったフツの指が氷雨の印を結んでいた。 「えるおーぶいいー! アイラブ! フツ! ファイオーファイオーリベリスタ!」 羽をぱたぱた、女の子と言うものは、男の子から護られちゃうとキュンとしちゃうものなのだ。好きな人ならば尚更。くわくわ。顔を紅に染めて、あひるはフツへと特別な愛のエール。えへへとはにかんだ。 そんな可愛いチアガールの応援を背に受けて、いざ結束。見せ付けてやろう、自分達のチームプレイを。 「さあ、しまっていこうか!」 「まだまだ! 拙者は倒れないでござるよ! 気合いでござる!!」 裂けた唇から垂れていた血を舐め上げたロアンの声が、グラウンドをしっかり踏み締め前に出る虎鐡の声が、グラウンドに大きく響き戦闘音楽に拍車をかける。 怒涛の攻撃。最初から集中攻撃を浴び、更に他リベリスタの退避を完了させ戦線にやって来た者達からも次々と攻撃を受け、ザ・ビクトリーはドラマによる復活を余儀なくされる。勿論他のチアガールとて無傷ではない。そこでゴリ押し。最期の足掻き。 それでも逃走を選ばぬのは裏野部故か。熾烈に苛烈に。アイコンタクトを交わしたチアガール達が身構える。 「!」 その構えが何を意味するのか、リベリスタ達は知っていた。友情。努力。勝利。誰もが好きなその三要素。ビーム。男の浪漫。鮮烈な光が皆を穿つ。 しかし、しかしだ。いくら傷だらけになろうと痛みを負おうと、正義の味方が『友情努力勝利』に屈する訳にはゆくまい? 「よっしゃ! そろそろいっとく? 我らが総司令官殿!」」 「あぁ、こちらも対抗せざるを得まい」 「友情努力勝利がそっちの専売特許だと思うな! 行くぞ皆!」 「了解! こういうのは先に必殺技出すと負けるからな!」 「面白そうじゃないか」 意気込む夏栖斗、黄金銃で帽子の鍔をちょいと上げてみせる福松、声を張り上げる快、待ってましたと身構えるフツに、不敵に笑うはロアン。そして頷いたのはあひるだった。 「友情、努力、そして勝利を導くあたたかな光を、皆に注ぐよ――あひるの癒しで、皆で勝利の歌を!」 真ん中へポーンと飛び出るや、ピカッと光って癒しの奇跡を巻き起こしつつ、ズバッと勝利のVの決めポーズ。刮目せよ、アーク式チアダンス。 「あひる達には、あなた達より、もっともっと強い絆と……すっごいど根性精神で、さいきょーなんだからね!」 リベリスタの友情努力勝利をビシッと決めて、必ず勝利を飾るのだ! あひるの指揮を合図に、リベリスタ達が一斉に動き出す。 「俺達8人の連携技を見せてやる! 皆を助ける事が俺の使命だ! 轟け『友情』のラグナロク!!」 「敵を覆う秘技の網! 輝け『友情』の極縛陣!!」 快、フツ、彼等が繰り出すのは友情の技。仲間を鼓舞する聖なる加護と、敵の動きを強烈に禁じる特殊結界。 「え? ラグナロク一度最初に使ってる? 細けぇことはいいんだよ!」 「説明しよう! 陰陽・極縛陣にダメージはないが、これで不吉状態になることによって、敵は攻撃を避けにくくなる! 努力も、勝利も、1人では成し遂げられないということだ!」 「さあ見せつけてやれ、俺達の『努力』を! さあ決めてくれ、俺達の『勝利』のために!」 熱い友情と共にバトンは手渡された。 ならば繋ごう、次の為に。勝利の為に。未来の為に。 「おぬしらは少し調子に乗りすぎたでござる。これで……仕舞いでござるよ!」 「どうしたの? 立ちなよ、気合が足りないよ! やれば出来る、諦めないで! ほら!」 剣を握り締めるのは虎鐡、たっぷりの蔑みを吐くのはロアン。 「唸れ……『努力』のラストギガクラッシュ!!」 「たっぷり思い知るといい、『努力』のハイアンドロウ!!」 力で捻じ伏せ、敵を跡形もなく塵と化するが虎鐡の仕事。落雷の如く叩き落とす猛剣戟。 努力はガラではないけれど、理不尽に晒される者の恐怖を思い知らせてやりたくて。刻むは死の爆弾。少しでも足掻き、敵の勝利の可能性を潰す事がロアンなりの『努力』だった。 「しつこいドラマはこれで打ち切り、最終回だ――あとは頼むよ!」 電撃のスパーク音、爆弾の炸裂音。 この一発を、勝利に繋ぐ。 「行くぜ! 福松! 僕らのツープラトンEXだ!」 「おうよ!」 友情と努力が作った勝利への架け橋を、絶対に無駄にしない。爆風の中、身構えたのは夏栖斗と福松。連携が得意なのはアークも同じだ。手を抜いてなどやるものか。 最大、最高、最強火力で。 「ぶっ飛ばしていくぜ! 『勝利の』虚ロ仇花!!」 「魅せてやろう。これが『勝利』の一撃だッッ!!」 目にも止まらぬ速度で振るわれる炎顎と、華麗にガンスピンをしながら大量の弾丸を発射するオーバーナイト・ミリオネアが交差して。描くはV字。武技が切り裂いた同じ所に弾丸が着弾する。次々と、的確に、容赦なく、確実に、猛烈に。 「相手のフィクパワーは3人で1000万。こちらは、(友情が2倍だから、)100万リベパワー+100万リベパワーで200万リベパワー! いつもの2倍の努力が加わり、200万×2の400万リベパワー! そして、いつもの3倍の勝利を加えれば、400万×3の、フィクサード! お前らを上回る1200万リベパワーだーっ!!」 フツの怒涛の解説がカットイン。 夕陽に銃声の残滓が木霊した。 硝煙。 リベリスタ達の目に映るは、3人のチアガール。 ゴボッと同時に血を吐いた。そして、一言。 「「「……見事だ……」」」 美しい。ブラボー。完敗だ。悔いはない。 どさり。チアガール達は倒れ伏し――そして起き上がる事はなかった。 友情が繋ぎ、努力で奮い立たせ、その手でもぎ取ったのは勝利。 いよっしゃあ。夏栖斗は快と拳を搗ち合わせ、見守る虎鐡は柔く笑み、フツはあひるの頭をもふもふ撫で、ロアンはやれやれと安堵の息を吐き。 一陣の風。福松の白いストールが夕紅にたなびいた。その片手にはオーバーナイト・ミリオネア。硝煙を縷々と昇らせる銃口をフッと吹いて、手の中で得物をくるんと回せば懐の中に仕舞い込んだ。 西に煌めく真っ赤な太陽。燦然と輝く赤い光が、リベリスタ達の顔を祝福するかのように照らし出していた。 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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