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魑魅魍魎跋扈

●京を練り歩く百鬼夜行
 京の都、一条戻り橋。
 闇に照らされた提灯には大きな目と裂けた口が付いている。
 後ろから奇怪な格好をした妖怪の列が続く。
 美しい容姿の大きな牙を持つ犬神。
 同じく尾が二つに裂けた猫又。
 空中を飛んでいく火車。
 まるで姿形は人間のようだが、頭と尻尾が獣である美しい九尾の狐。
 それらの妖怪を先頭に、様々な魑魅魍魎どもが一条戻り橋を渡って平安神宮の方へと行進していく。途中では逃げ惑う人々が魑魅魍魎に襲われて無残にも餌食となる。
 今宵の百鬼夜行を止められる者は誰もいない。
 そんなとき、一人の陰陽師が現れた。
 烏帽子に狩衣をまとった美しい色白の美青年。まだ弱冠二十歳になったばかり。
彼の名は安倍行哉。加茂川にある陰陽の流れを汲む古刹の跡取り息子だった。
 一条戻り橋の側にある晴明神社の神主に助けを求められてやってきた。
「臨、兵、闘、者、皆、陣、裂、在、前!」
 陰陽師は九字を切る。
 すると、瞬く間に持っていた呪符がヒトガタに変身した。
 式神たちは魑魅魍魎達に向かって攻撃をしかける。風刃や火炎放射を放って雑魚どもを蹴散らして行く。だが次から次へと押し寄せる魍魎に防戦一方となった。
「ぐはっはああああ」
 ついに行哉は犬神の牙に噛みつかれて倒れる。
 式神はすでに猫又に引き裂かれ、火車に踏みつぶされてしまった。
「貴様の命喰わしてもらうぞ!」
 後ろから妖狐が日本刀――妖刀村雨を持って迫ってくる。
 行哉は最後に残った式神を操作しようとしたが、もはや力が出ない。
「済まない父上――私はもう」
 妖狐の持つ、村雨の鋭い刃が襲い掛かり、行哉はついに死を覚悟した。

●受け継がれた使命
「京の一条戻り橋の下にD・ホールが確認された。穴から次々に魑魅魍魎たちがこの世界にやってきて人を襲っている。はやくホールを破壊して妖怪たちを退治するんだ」
 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)が手短に説明した。一刻を争う状況に話を聞いていたリベリスタたちも唾を飲み込む。
 一条戻り橋といえば、すぐそばに晴明神社が建っている。橋は平安時代に魑魅魍魎が出没する場所として恐れられていた。それを見かねた時の陰陽師である安倍晴明が式神を使って退治した伝説がある。もちろん今回の敵は、平安時代から本物の魍魎達がやってきたわけではなく、パラレルワールドからやってきた別のアザーバイドである。だが、場所が場所だけにそれなりの雰囲気がある。さながら現代における魍魎退治といったところだ。
「現場にはすでにリベリスタの安倍行哉が一人で防戦している。彼は最近フェイトを得たばかりで力はまだ微弱だ。それにも拘わらず死んだ父親の代わりに家の跡を継いで戦いを決意したようだ。だが、いかんせん敵は彼一人の力を大きく越えていた。すでに瀕死の重傷を負って妖狐たちに食い殺されようとしている。もし可能ならば彼を助けたいところだが――今回は敵が多いだけにその余裕はないかもしれない。どうかくれぐれも用心して行ってきてくれ。頼んだぞ」



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:凸一  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年04月17日(水)23:03
こんにちは、凸一です。
今回は、京都に跋扈する魑魅魍魎が相手です。
見た目もそうですが、なんともおどろおどろしい感じ(漢字?)ですよね…

それでは、以下は詳細となります。
よろしくお願いいたします。


※ちなみに安倍行哉に関しては、拙作「陰陽ノ羅生門」で既出。

●任務達成条件
アザーバイド/魑魅魍魎の討伐
D・ホールの破壊


●場所
京都の堀川にかかる一条戻り橋。橋幅はそれほど広くはない。下は川になっており、落ちると危険。ちょうど橋の真裏にD・ホールが空いている。


●敵詳細
・九尾の狐/リーダー格。攻撃防御とも他の個体の2倍の強さ。人語を解す
妖刀・村雨を所持している。村雨で切られるとその部分が氷解して身を滅ぼす
また九つの尻尾は長く伸ばすことができ、相手に絡み付いて動きを封じる
・猫又
タヌキのように大きく太った腹は弾力があり、斬撃や射撃の弾を跳ね返してしまう。また鋭い爪には毒があり相手を麻痺させる
・火車
高速で空と地面を高速移動して火のついた車輪で敵を引き殺す
・お化け提灯
大きく裂けた口でどんなものでも一瞬にして呑みこむ。空中を飛んで襲う
・犬神/ナンバー2格
恐ろしい牙と口で相手を噛み砕く
嗅覚が鋭く危険を察知する能力に優れて仲間に注意する


●その他補足
他にも魑魅魍魎達がいるが防御力と攻撃力ともにそれほどの強さはない。だが、数が多くD・ホールを破壊しないうちは次から次へとやって来て人を襲う。束になって攻撃してくると非常に厄介であるため注意が必要。

参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
覇界闘士
祭雅・疾風(BNE001656)
ナイトクリーク
御津代 鉅(BNE001657)
ソードミラージュ
リセリア・フォルン(BNE002511)
クロスイージス
シビリズ・ジークベルト(BNE003364)
ソードミラージュ
★MVP
セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)
ダークナイト
新谷 優衣(BNE004274)
ミステラン
エフェメラ・ノイン(BNE004345)

●血生臭い京の都
 夜の月は冷たく蒼い光を放っていた。京に照らされた月光はその下で跋扈している魑魅魍魎共を妖しく浮かび上がらせる。有象無象の妖怪が堀川近辺を占拠していた。 次から次へとおぞましい姿形をしたこの世でない者たちが溢れてくる。このままでは現代の百鬼夜行によって人々に甚大な被害が出る恐れがあるだろう。
 リベリスタたちは現場に急行していた。
「九尾に犬神、猫又に火車に……有名な妖揃い。京の都に相応しい魑魅魍魎ですね。対するは安倍の名を継ぐ陰陽道の術者――なんて、出来過ぎだけれど1人で戦うなんて無茶です」
 『蒼銀』リセリア・フォルン(BNE002511)は辺りに跋扈する魑魅魍魎たちの中から先に戦っているはずの安倍行哉と主力の妖怪たちを探していた。だが、まだ一条戻り橋は先にある。どうかそれまで無事に居てほしいと願う。
「神秘に目覚めたのなら、お寺を復興させるためだけに力を使う事だってできたはず。でも、行哉さんはリベリスタになってくれた。私はそれが嬉しいんだ。きっと、行哉さんも私と同じ。守るために戦ってくれてるんだって。だから、絶対に行哉さんを死なせたりしない。守り抜いてみせるよ!」
 『ルミナスエッジ』セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)は思い出していた。初めて会った時の行哉のことを。あのとき、行哉は誓ってくれた。そして今回自分を犠牲にしてまでそれを果たそうとしてくれている。だから私もそれに答えなくてはならない。
「きっと安倍君もセラの気持ちと同じだと思う。だからこそ引けなかったんだ。安倍の一族を引く末裔として苦しむ者を放っておけない。大丈夫だよ。リベリスタになってそんな長くもない僕だけど、安倍君のその思い僕らがなんとかしてやる!」
 『覇界闘士<アンブレイカブル>』御厨・夏栖斗(BNE000004)が、思い詰めたセラフィーナを慰めるように言った。夏栖斗の言葉にようやくセラフィーナも、ありがとう、と返して表情を崩す。
「一人じゃ無理だけど皆で力を合わせればなんとかなる。これ以上人の世にのさばらせる訳にいかない。行哉氏を見殺しにする事も出来ないしな」
 『Brave Hero』祭雅・疾風(BNE001656)も笑って二人に頷く。
「ユキヤさん……一人で立ち向かうなんて無謀だよっ。ボクたちだって仲間がいるからがんばれるんだしねっ! 必ず助け出さなきゃ!」
 『アメジスト・ワーク』エフェメラ・ノイン(BNE004345)も行哉のことを心配して発言する。それを聞いてセラフィーナも心強い気持ちになった。
「何のためにこんな事を、これ以上誰も死なせたりしません、私と同じような思いをする人を増やしたりしちゃいけないから」
 『ゼノンパラドックス』新谷 優衣(BNE004274)も続けて賛同する。
「随分と場所にあったアザーバイドが出たもんだ。そっちの世界ではどうか知らんが、こちらでは魑魅魍魎は最後は退治されるのがお約束でな。くる場所を間違えたと思っておけ」
 『燻る灰』御津代 鉅(BNE001657)が周りにいる魑魅魍魎たちを睨みつける。
「京の都、か。歴史ある地であるらしいな。ふむ。興味深い所だ。しかして今宵はその一角が血生臭くなる。碌でも無い私好みの空気だ。実に宜しい。さぁ、勝利を得に行こうか」
 『Friedhof』シビリズ・ジークベルト(BNE003364)もすでに殺る気を整えていた。シビリズの合図とともにリベリスタたちは、一条戻り橋の付近に群がっている魑魅魍魎達の前にようやく躍り出た。
 すでに辺りは獣たちの生臭い空気がつつんでいる。だが、そんな魑魅魍魎たちに囲まれるようにして、九尾の狐、お化け提灯、火車、猫又、犬神の姿をはっきりと見ることができた。その前には倒れ込んでいる狩衣に烏帽子をつけた陰陽師――安倍行哉がいた。

●玉散る氷の刃
「行哉さん、よく耐えてくれました。ここからは私達に任せてください!」
 セラフィーナが行哉に向かって大声で叫んだ。一瞬、行哉はこちらを振り向く。その顔には死を悟った絶望が現れていた。すでに身体に重傷を負っていた。出血がひどくそのままにしておくと命が危ない。だが、セラフィーナを見た瞬間、行哉の表情がわずかに揺らいだ。
 すぐに魑魅魍魎達が行く手を塞いで行哉の姿が掻き消されてしまう。シビリズが攻撃前に味方にラグナログを施した。セラフィーナはトップスピードで先を行くエフェメラの傍に付いていく。それと同時に溢れ出て来る魑魅魍魎が、リベリスタに向かって束になって襲い掛かる。
「行くよっ、キィ! その人から離れろっ!!」
 いち早く駆けつけたエフェメラが、行哉に群がる魑魅魍魎にむかって火炎弾をぶっ放す。業火に巻き込まれた妖怪たちは焼かれて散った。
 行哉に続く道がほんの少しだけ開く。
「いまだよっ! ユキヤさんをお願いっ!」
 エフェメラが叫んだのと同時に、そのできた花道を夏栖斗と疾風が周りの敵を蹴散らしながらスピードに乗って突進していく。
「化け物退治の時間だ! 変身ッ!」
 特製ゴーグルの装備を纏った疾風が敵の前に立ちはだかり、行哉をかばう。それに続いて夏栖斗も他の敵を近づかせないように間に割り込んだ。
「阿部君諦めんのはちょっと早いぜ、アークだ! もうちょっと足掻いてみない?」
 夏栖斗の言葉に行哉はかすかに口を開けた。げほっげほっ、と口から大量の血を吐く。喋ることができそうにない行哉に力強く夏栖斗が目で頷いてみせる。
 疾風が慎重に行哉の肩を持って辺りの様子を伺う。すぐに犬神が近づいてきておそろしい牙で二人に襲い掛かってきた。
「あらあらどちらを見ているの? こちらにも敵がいることをお忘れなく」
 優衣が暗黒の瘴気を群がる敵に向かって放つ。その攻撃に火車やお化け提灯、犬神が巻き添えを食らってしまう。
 犬神が苦しんでいる間にセラフィーナはエフェメラからハイバリアを貰ってD・ホールの破壊へ向かって飛び立った。途中で無数の魑魅魍魎たちがセラフィーナの小さな体目がけて突っ込んでくる。だが、彼女はそんな敵をうまく避けて無視しながら全力で橋下のホールのある場所へとたどり着く。
 むろん、そこにも次から次へと溢れ出る妖怪がいた。ついに刀を手にとってセラフィーナは魑魅魍魎をなぎ倒す。鬼気迫るセラフィーナに妖怪たちはなすすべもなく倒されていった。そうしてようやくブレイクゲートに成功する。
 橋の上では、リセリアが妖狐を必死に抑えつけていた。妖刀村雨に押されて徐々に後退し始めている。
「抜けば玉散る氷の刃――その刀、貴方の世界の物ですか。村雨。日本では有名な刀の一振り。氷結の刃……能力は近い様に見えるけど」
 リセリアの問いに妖狐が口を開けた。
「貴様の刀など他愛もないもの。拙者にかかれば容易く成敗してくれよう」
「ぐああああああ」
 妖狐の強力な押しについにリセリアが斬られてしまう。切り口が氷解して身体が急速に冷めていってしまう。それをみかねたエフェメラが、すぐにキィを飛ばして回復を行った。ようやくリセリアも苦しい表情が元に戻る。
「さあ、いよいよお前たちを料理する番だ!」
 セラフィーナがブレイクゲートに成功したのを見届けると、今度は鉅が犬神に向かってデッドリー・ギャロップで攻撃する。
 ガアアアアオオ――
 犬神の断末魔が辺りに響き渡って地面に倒れた。先ほどからダメージを受けて苦しんでいた犬神はさらに縛りつけられて苦しみながら死んだ。それを見たお化け提灯が今度は疾風たちの方へ向かっていく。大きな口を開いて襲い掛かる。
「行哉を殺させはしない! 魑魅魍魎の思い通りに成る程、甘くは無いぞ!」
 迫りくる提灯に疾風は壱式迅雷で応対する。容赦のない攻撃を受けた提灯はそのまま地面に墜落して身体を引き裂かれた。

●村雨と東雲
 犬神と提灯が倒されて今度は火車が空からシビリズを襲う。引き殺そうと斜め上からシビリズに向かって突進してきた。灼熱の車輪に撥ねられそうにながらその攻撃をすんでのところで交わしてクリティカルを避ける。
 だが、背中を焼かれてしまいシビリズは熱に浮かされたように耐え忍んだ。さらにまた火車が上空から迫ってくる。
「ここからであろう。闘争とは。己れらがギリギリに成る所からが本番よッ!」
 味方がそれぞれの敵に対峙していて援軍は求められない。この敵はかならず自分が倒さなければならなかった。すでに全身に火傷を負っている。追い込まれながらもシビリズは自分を奮い立たせるように吠えた。
 火車の攻撃を真正面から受け止める。
「ぐああああ。そうはさせるか! 燃え尽きるのはお前のほうだ!」
 シビリズは極限までねばった。そして渾身のギガントスマッシュを放つ。火車はついに堪え切れずシビリズの攻撃に粉砕された。
 残った猫又がついに動き始める。大きく膨らました腹を楯にリセリアと夏栖斗の方へと近づいていく。リセリアがまずブレードで相手の腹を切りつけるが、弾力で刀を跳ね返してしまう。余裕の笑みで猫又は薄ら嗤う。
 だが、それは囮だった。すぐ傍にはハイバランサーで夏栖斗が迫っていた。
「安倍君が頑張ったんだからさ! 僕達も負けるわけにはいかねぇんだよ! 跋扈なんてさせてやるほど、リベリスタは甘くねぇよ」
 欄干の上から突然現れた夏栖斗に猫又は対応が遅れた。背後から夏栖斗は渾身の武技を繰り出した。血を吐いた猫又はそのまま橋の下に落下して息絶えた。
 主力が次々に姿を消して残る強敵は九尾の狐一匹となった。だが、残った他の魑魅魍魎たちも複数いる。夏栖斗はセラフィーナに連絡して後ろに回って貰うように指示を出した。そして残った雑魚どもを疾風と一緒に蹴散らしていく。
「我は他の奴のようにはいかんぞ! この村雨の餌食にしてくれる!」
 妖狐は村雨を手に、目の前の優衣に向かって振りかぶった。あまりの早さに優衣は対応しきれず身体を引き裂かれてしまう。
「まだ足りません、もっともっと私に痛みをください!」
 だが、優依はほくそ笑んだ。代わりに自分をさらに引き裂いてペインキラーで妖狐を攻撃する。これには妖狐も意表をつかれた。
「ぐはあああああっ! 貴様よくもっ」
 妖狐は優衣の攻撃をうけて後退する。そこに鉅がデッドリー・ギャロップで妖狐を羽交い絞めにする。苦しみもがく妖狐はさらに少しずつ後退する。だが、そこにセラフィーナがいることをまだ妖狐は知らなかった。
 霊刀東雲と妖刀村雨が、がっつりとせめぎ合った。危うい所で後ろを振り返った妖狐がセラフィーナを罵倒する。
「こしゃくな真似をしてくれたな! いいだろう。お前の霊刀と我の妖刀とどちらが優れているか」
 セラフィーナは歯を食いしばって堪えた。あまりの力の強さに押し込まれそうになる。だが、妖狐も相当のダメージを負っていた。先ほどよりは力が弱い。
 それにセラフィーナは負けられなかった。はやく敵を倒さないと行哉の命にかかわってくる。だから絶対に倒されるわけにはいかなかった。
「もちろん、私の東雲です! 死んでもあなたには負けません!」
 セラフィーナがついに妖狐を押し切った。瞬間、東雲をおおきく振りかぶって妖狐を全力で切り捨てた。
「ぐはああああああああああああああ」
 妖刀村雨が東雲の威力によって同時に砕け飛び散る。
 妖狐の断末魔と共に京の魑魅魍魎たちは残らず一掃された。

●罪な奴
 救助された行哉はすぐにエフェメラとシビリズによって回復を施された。内臓までやられてしまっているため、手術などが必要だった。それでも行哉は応急措置を施されてようやく口を開くことができた。
「ああ、よかったわ、無事みたいね」
 起き上がった行哉にリセリアが安堵のため息をつく。
「魑魅魍魎どもは……? はやく倒さなければ……」
 行哉は心配そうに辺りを見回した。
「魑魅魍魎はもうおらん。全部掃除したから安心しろ。それより自分の心配をしたほうがいい。お前のことを悲しむやつがいるからな」
 鉅はそう言って行哉を安心させた。側ではセラフィーナが心配そうな顔でずっと行哉のことを覗きこんでいる。
「セラフィーナさん。貴方にはまたご迷惑を……」
 行哉は見知った彼女の姿を見てすまなさそうに謝った。
「いいんです。行哉さんが最初に敵を抑えてくれたから、ここを守りきれたんです。それより私は嬉しかった。行哉さんが、リベリスタになって自分の使命を守るために決意してくれたこと。だから私は絶対に、絶対に行哉さんを死なせたくはなかったの……」
 セラフィーナの目にはいつの間にか涙があふれていた。それ以上言葉にならないセラフィーナに代わって夏栖斗が続ける。
「可愛い天使ちゃんを泣かせるなんて、安倍君も罪な男だね。セラちゃんを泣かせるやつは八つ裂きにするところだけど、今日だけは許してあげるよ」
 夏栖斗が冷やかすように笑って言った。
「それにしても、ニホンのオバケってなんか怖いよね……おどろおどろしい、って言うんだっけ、こういうの」
「おいおい、今さらだな……」
「まったくです。さあ、はやいとこ行きましょう」
 エフェメラの言葉に苦笑しながら疾風と優衣が答えた。救援が来るまで気を利かせて二人きりにしておくことにした。
「セラフィーナさんお願いがあるんですが……」
「なんですか? 行哉さん」
 行哉の思い詰めた表情にセラフィーナが優しく問い返す。
「寺が復興したら、また寄ってください。あんなことがあった場所ですが……今度は、お寺名物の最中を用意してます」
「おいしそうですね。ぜひ行きたいです! あっ、それより早く身体をよくしてくださいね。お見舞いには必ずいきますから」
 セラフィーナは行哉を励ました。その顔にはいつしか笑みが戻っていた。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
みなさま、お疲れさまでした。

今回は、京の都に跋扈する魑魅魍魎との対戦、いかがだったでしょうか。
次から次へとやってくる敵に対処しながら、ブレイクゲートに、主力との対決と、忙しかったと思いますが、上手く作戦を立てて順序良く攻略できたと思います。

MVPは、今回意気込みの強かった貴女に。危険を顧みず一人でブレイクゲートに向かって最後には妖刀村雨との対決と、大活躍でしたね。それにもまして行哉を助けるという気持ちが一番強く出ていたからこそだという気がします。行哉も貴女に出会って何度も助けてもらっとことがすごく嬉しかったと思います。彼に代わってお礼申し上げます。もちろん行哉を助けてくれた皆さん全員にも。

それでは、またご縁があれば、
またそのときはよろしくお願いします。