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手錠コネクト ~貴方はだれと繋がりたい?~

●手錠コネクト
 がちゃり。
 第一の犠牲者ふたりは、お互いを繋ぐ手錠を茫然と見つめる他なかった。
 ここは作戦指令本部、第三会議室。
 フォーチュナー『悪狐』九品寺 佐幽 (nBNE000247)の依頼で貴方たちは召集されている。
 で、いきなり手錠をガッチリ。
「それは破界器『やっぱりお前と離れたくない』略して『やおい』です」
 みな回れ右。ガシャン! そして毎度のごとくシャッターが閉じる。
 女狐は涼しい顔して「おかえりなさい」と歓迎する。
「今回の依頼は、この破界器の無力化です。個数は計四つ、ちょうど八名分あります」
 そう述べると、流れるように自然な仕草で第二の犠牲者たちに手錠を掛ける。
「異性、同性を問わず、このように手錠は“二名”の手首を拘束することで、両者はお互いに離れることができなくなります。とてつもなく頑丈で、不正な破壊や開錠は通じません。24時間が経過すれば手錠は効力を失い、ただの道具に戻ります。それまでがんばってください。
 ――質問は?」
 さらりと告げる佐幽だが、それはつまり、とてつもなく問題アリなシチュエーションではないか。
 男女ならば、手錠されたまま一日を過ごすことがどれほどトラブルを巻き起こすことか。
 男と男、女と女ならば、なおさらに大問題やもしれない。
 しかも二組は佐幽の悪魔の罠によって、“意志に反して”不幸にも勝手に組み合わせを決められてしまったではないか。
 ほうっておくと残りも勝手にカップリングされかねない!
 貴方たちは自ら進んで“どう組み合わせるか”を申し出ることで一難を逃れることになった。
「ああ、言い忘れてました」
 びくっ。
 思わせぶりな佐幽の一言に、場が凍りつく。
「その手錠、時どき勝手にどこそこ皆さんを連れまわすので、どうぞデートを楽しんでください」
 所詮は他人ごとです、とばかりに女狐はさらりと告げた。

●破界器
 佐幽曰く、手錠ごとに“なんとなく”行きそうな場所(全て三高平)が決まっているらしい。
 手錠は四つ、四種類それぞれ意匠や能力が異なり、傾向も異なるらしい。
 なお、どれが佐幽に強制的に繋がれたのかは不確定。
 ※「強制」か「自主」かは、動機づけのバリエーション用。
  相談で決定すべき要素は『二人の組み合わせ』×『手錠の色』×『強制or自主』の3点。
  決めきれない人、またランダムを希望する人については佐幽の独断によって決めます。
  また動機づけについては「強制」4組や「自主」4組でもOKです OPとの矛盾いん細!
 
 ・赤い手錠『貴方といっしょにエターナル』略して『貴ナル』
 ・青い手錠『やっぱりお前と離れたくない』略して『やおい』
 ・白い手錠『死んでも貴様を逮捕してやる』略して『死タイ』
 ・黒い手錠『オレサマオマエマルカジリ』 略して『オマル』

 個別データ
 ・赤い手錠『貴方といっしょにエターナル』略して『貴ナル』
  依頼に乗じてラブラブしたい人向け。組み合わせ次第では地獄を見る。
  元がいやーんな用途の手錠につき、いやーんな場所に連れていかれるかも?

 ・青い手錠『やっぱりお前と離れたくない』略して『やおい』
  他意は無い。きっと他意はない。赤い手錠と同じくアレな用途に用いられていた。
  なぜか男子トイレや男子更衣室などに連れていかれる。女子が繋がれても強制連行。

 ・白い手錠『死んでも貴様を逮捕してやる』略して『死タイ』
  フィクサード犯罪者を追っていて死亡した刑事の怨念、無念が篭っている。
  なにか事件の予感? 何も無いかも? なぜか菓子パンやかつ丼が食べたくなる。

 ・黒い手錠『オレサマオマエマルカジリ』 略して『オマル』
  アザーバイドを飼い繋いでいた手錠。動物用だが、ぴったりハマる。行き先は不明。
  種族を問わず、一時的に動物化する。細かい効果(知能、容姿など)は個人次第。




■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:カモメのジョナサン  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年04月26日(金)22:53
みなさんどうも、STのカモメのジョナサンです。
第二弾は繋がれ愛のラブリンク!
24時間ふたり手錠で繋がられるラブ(?)コメディEPです。
――そうだったらいいのにね?
やや長めに相談期間を設けますので、じっくりお楽しみください。

●作戦目的
 ・手錠タイプの破界器 四種の無力化
  ・赤い手錠『貴方といっしょにエターナル』略して『貴ナル』
  ・青い手錠『やっぱりお前と離れたくない』略して『やおい』
  ・白い手錠『死んでも貴様を逮捕してやる』略して『死タイ』
  ・黒い手錠『オレサマオマエマルカジリ』 略して『オマル』
 ・上記を達成するため、ふたり組で24時間いっしょに行動すること

●場所
 三高平市内。
 赤、青、白、黒の各手錠は、時どき勝手にどこかへ連れていこうとする、かもしれない。
 行き先は本文参照。ケースバイケースでどこになるやら。
 本部や自宅(コーポ)に閉じこもるもよし、どう過ごしてもよい。

●相談すべきこと
 この依頼では、参加者8名で2名ずつのコンビチームを編成していただきます。
 相談・決定すべき事項は
 『二人の組み合わせ』×『手錠の色』×『強制or自主』
 相談まとまらない、ランダム希望などの場合、未確定の分については佐幽が勝手に決めます。

 24時間どう過ごすかは、パートナーと相談してみてください。
 ただし、当初の予定通り過ごせるかは破界器の招くトラブルなどにより、お約束できません。
 
 『強制or自主』は、動機不足の時「佐幽に強制カップリングされた」とでもしてください。
 不仲なふたりや面識のないふたりがガチャリンコされたら佐幽の仕業です。
 なお強制4組、ないし自主4組といった組み合わせになっても問題ございません。

●注意事項
 この依頼は、貴方の社会的フェイトを著しく失う可能性があります。
 社会的フェイトの損失については免責事項となります。
 また、必ずしも希望通りのコンビになるとは限らないことご容赦ください。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ホーリーメイガス
レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)
スターサジタリー
那須野・与市(BNE002759)
ソードミラージュ
津布理 瞑(BNE003104)
クロスイージス
鎧 盾(BNE003210)
クロスイージス
高藤 奈々子(BNE003304)
クリミナルスタア
阿倍・零児(BNE003332)
ダークナイト
神埼・礼子(BNE003458)
インヤンマスター
災原・悪紋(BNE003481)

●黒の章 Ⅰ
 Happy Go! Unlucky Garl!
「ゆりめいてエブリデイ! ドキドキ百合キャラ♪ ――って」
 黒の手錠ガブリンチョ。
 でろでろでろでろでろ でれんでん(効果音)♪
 おめでとう! 『フェアリーライト』レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)と『さまようよろい』鎧 盾(BNE003210)は呪われてしまった!
 『百合キャラ』×『黒の手錠(動物化)』×『さまようよろい』。
 ――誰得。
「他人の不幸はスイートですね」
 『悪狐』九品寺 佐幽 (nBNE000247)は慎ましくスマイルを湛えて、両者を見守る。
 ここは第三会議室、今まさに手錠をハメてる最中だ。
「私は異論ない。受けた仕事である以上、選り好みなどしてられん」
 全身甲冑の盾のクールなハスキーボイスは、どんな中身なのか想像を誘う。が、そのギンギラギンなシルバーボデーは、キャッキャウフフとは正反対の存在感を主張する。
 涙目レイチェルは佐幽に吼える。
「あたしが何をしたの!?」
「大切なその瞳、曇らせたい」
「うわぁぁんっ! こうなったら自力で! あたしのドキドキ、取り戻してみせる!」
 脱兎エスケープ。
 ――しようとして、ずべっと転ぶ。仁王立ちした盾が電信柱のように不動を貫く。さながらレイチェルは繋がれた犬だ。
「待て。寝食その他は済ませておいたか? 私は万全だ。人前で鎧は脱ぎたくないからな」
「そ、そんなの前情報なしにできるわけ――」
 盾の青い瞳が、激しく明滅する。
「ひっ! ま、前情報をちょこっとだけ」
「で」
「美少女といっしょに食事したりお花摘みしたり添い寝したいな~って」
 さまようよろいの ふかいためいき。
 レイチェルは はんせいした。

●赤の章 Ⅰ
 もふもふ。
 ぱふぱふ。
 もふぱふもふぱふ。
 『暗黒魔法少女ブラック☆レイン』神埼・礼子(BNE003458)は佐幽のもふもふの胸毛とボリューミーなおっぱいを幼女のように堪能していた。
「はぁ~、たまらぬ! この毛ざわりと弾力、やはりもふもふは格別よのぅ」
 とろーんとリラックスして礼子は無防備を晒す。
「いや、お主もたまには善行を――」
 礼子→装備:赤の手錠。
「……ん?」
「かかったなぁッ! アホがっ!」
 ドヤァ。
 『廃闇の主』災原・悪紋(BNE003481)はここぞとばかりに悪の高笑いをあげる。
「くはははははっ! 神埼・礼子ここに破れたりィィィィィッ!」
「ぬぁにぃ!?」
「その呪われた赤の手錠は二十四時間外れぬのじゃ! 社会的フェイト喪失で今日こそ冥土で送ってやるわ! くぁーはっはっはっ!」
「死なば諸共ぞ!」
 悪紋→装備:赤の手錠。
「ど、どうしてくれる!? ええい、離れよ! 近い! 鬱陶しいわ!」
「そっちこそ赤の手錠らしくさっさと血祭りにでもなるがよい!」
 竜虎相対する。
 その喧騒を涼しい顔して見守りつつ、佐幽はラルカーナパフェに舌鼓。まさに飯旨。
「説明書はAFに転送しておきましたので、それでは仲良しふたりで一日ごゆっくりどうぞ」
「ちょ、鍵は」
「ないです」
「のわ、手錠が勝手にどこかへ連れてこうとする!」
「巣鴨?」
「聖地巡礼せぬわ!?」
 
●青の章 Ⅰ
 レフト・トゥ・レフト。
 午前十時の三高平市内、目的地なのはな荘を目指す道半ば。
 『Average』阿倍・零児(BNE003332)は『不誉れの弓』那須野・与市(BNE002759)を背負って白昼堂々と歩いていた。大半の革醒者にとって、与市のような小学生ほどの少女を背負うことは重労働ではない。男としては華奢で女装に定評のある、同い年の零児であってもだ。
 が、ここは三高平市、リベリスタ達の住まう町中、つまるところ知人がいっぱいなわけだ。
「おい、アレ」
「ひそひそ、ひそひそ」
「キーッ! 零児ちゅわぁ~ん!」
 振り向くな。決して立ち止まってはいけない。
 そう、命が惜しくば。
「って、最後の人だれですか!?」
「零児様あのゴリマッチョ系女子は一体……」
「ハンカチ食いちぎってモシャモシャする人なんて知らないよ!」
 さて、なぜふたりは高度な羞恥プレイを実践しているのか。
 青い手錠をつける際、与市はうっかり左手と左手で手錠を繋いでしまった。これでは歩く時、どうしても不自然な体勢になる。しけった海苔みたいにぴったり前後に重なって歩くわけにもいかない。その解決法なのだ。
 人目を避けて裏道を通る。
「すまんのう、零児様」
「おとっつぁん、それは言わない約束でしょ」
 なんて時代劇の父と娘ごっこをしていると、ふと良案を思いつく。
「包帯を足に結ぶのか」
「これでごまかせるよ、さ」
 落ち着いて道のりを歩むものの、零児は次第にある葛藤を抱く。
(む、胸が――)
 当たって、無い。与市の平坦な胸が、限りなくなだらかな大平原なるがゆえに、ラッキースケベの絶好の機会にも関わらず、当たらないのだ。
 いや、当たってるのかもしれない。時どき、胸骨のごりごりとした感触を後頭部に感じる。けど、それってノーカウントなのでは?
(ちょ、ちょっとだけ)
 背負い方を、より下にずらす。今度こそ!
(あ、肋骨を肩甲骨に感じる!)
 だって、衣服を着てる細身の小学生ですよ?
「……デスヨネー」
「む?」
 不思議がる与市の純心さに、やむなく零児は平常心を取り戻すのだった。
 あるいは、こう思った。
『だが、それがいい』と。


●白の章 Ⅰ
 囲炉裏喫茶『澄』にて。
 犯人役:『つぶつぶ』津布理 瞑(BNE003104)。
 刑事役:『上弦の月』高藤 奈々子(BNE003304)。
 そんな設定の、他愛なき寸劇はつづく。
「カツ丼、食べる?」
「じゃあソレ」
 カツ丼をおばちゃんに注文すると、尋問はつづく。
「どうしてこんな事したの?」
 持参したライトをピカッと向けて。
「うおっ、まぶしっ」
「答えなさい」
「うちは悪くない! 幼女が悪ぃのよ、あんな天使みたいなほっぺたしやがって……へへ」
 ※注意:これは『変態ニート痴女女子高生、幼女誘拐事件』という設定であり当人の性癖とは一切関係がありません。
「そう……、金目当てじゃなかったのね。カツ丼まだ食べる?」
「いや、まだ一杯目も届いてな――」
「おばちゃん、カツ丼ひとつ」

アイヨー

 瞑は薦められるまま渋々と今届いた一杯目に箸をつける。
 狐色の肉厚なトンカツに、とろりと半透明の溶きたまごあんかけが絡み、白米が艶めいている。
「いただきます。はふはふほふほふ」
「……だんまりのツモリかしら?」
 鋭い刑事の眼差し。
「んぐ。いや、食べてる時に喋るのは行儀が悪――」
「それはそうとしてカツ丼お食べなさい」
 二杯目と三杯目のカツ丼さらにドンッ! 瞑、むせる。
「けほけほっ! ちょっと待ってこっちのペース考えよう!」
 奈々子inマイワールド。
「田舎のおっかさんも泣いてるわよ!」
「ネット切断して家を追い出したカーチャンですけど!」
 瞑の食べるカツ丼は、少しだけしょっぱかった。
 なお、取調べ中のカツ丼は食べる人が自腹切るのがルールだ。
「ふふ、私も頂こうかしら」
 高藤 奈々子、権力の犬やってます。

●青の章 Ⅱ
 なのはな荘は、そのアットホームな名に反して全室オートロック式の高級マンションだ。
 先手を打つべく例のプールの男子更衣室に先んじて潜入していた。例のプールは、例のプールだ。
「見知らぬどこかに強制連行されるよりマシですからね」
「ここで朝まで篭城じゃ」
 と意気込んで陣取り、しばらくは平穏無事に過ごせていたのだが。
「ござるー」
 足音と声に気づき、零児と与市は大あわて。
「だ、誰か来た!?」
「かか、隠れるのじゃ!」
 とっさにロッカーに隠れた零児と与市は、その狭苦しい空間で無茶な姿勢のまま密着するハメに。これはもう二重の意味でドキドキせざるをえない。
 背負うのはソフトタッチならば、ぎゅうぎゅう詰めはハードタッチ。圧迫感がまるで違うのだ。
 与市の苦しげな熱い吐息が、耳元をくすぐる。
「今日はプールで修行でござる」
 謎の住人Aは平泳ぎ往復二十本など計一時間の修行をこなすと上機嫌で去っていった。
 一体だれなんだ謎の住人A。
「く、くたくたです」
「ぷはぁ~、汗だくなのじゃ~!」
 ふと目に入る、シャワー。ベタなやりとりの結果、与市はシャワーで汗を流すことにする。
 カーテン? 無いよ?
「め、目隠しするから……」
「う、うむ」
 闇の世界。水音が艶かしく零児の妄想力をくすぐる。AFで早着替えした今や与市は赤裸々だ。
 長い、長い、長い。
「鎮まれ、僕の平常心……!」
 その時だ。
「忘れものでござる!」
 謎の住人Aが不意にもどってきた。シャワールームは死角だが危うい。
 と、焦った与市がとっさに大きく振り返り、その挙動に珍しく零児はバランスを崩した。
 もつれて転倒するふたり。
「……!」
 零児の手が、与市のフラットウォールを押し潰していた。
 時が、凍結する。
「この……」
 かぁぁぁと与市は顔を赤らめ、つい、反射的に零児の急所を蹴り上げてしまう。
「バカッ!」
「もっさむ!?」
 零児はその時、走馬灯の中でこう想った。
『女の子になる日がついにやってきた』と。

●黒の章Ⅱ
 トラックが停車した。なのはな荘、例のプールに鎧 盾とレイチェルは許可を貰って侵入する。
 撮影機材つきで。
「サァ、サツエイノジカンダ」
「くぅーん……」
 黒の手錠の動物化によって、外見に変化のない盾はメンタルが片言ケダモノ化して欲望を解放されていた。『ヨノナカ、カネダ』と。
 一方、レイチェルといえば動物化で犬耳少女(犬種はご想像にお任せします)と化していた。ちなみにケモ度は安心のマイルドさ加減につき、奈々子や佐幽ほどでない。残念がる人はズレてます。
 AFの早着替えで水着まで披露させられて、すっかり撮影会と化している。
「うう、逆らえないワン」
「イイコイイコ」
 撫でやれても、鋼鉄の篭手でガッシャガッシャやられてるのだから痛い。
「萌えろ! あたしの小宇宙! 妄想力を解き放つのよ!」
 そう、鎧 盾の中身は、激かわスティックファイナリアリティきゅあきゅあドリームな美少女なのだ! そう考えれば、これはとてつもないご褒美!
「そしてさまようよろいといえば、触手スライム! えへ、えへへ……。……て、妄想しても呼べるわけないのよね」
 余談ですがこの場面、再度ロッカーに閉じこもった零児と余市がずっと見てます。
「ショクシュガアレバイイノダナ? ソノ欲望ヲ解放シロ!」
 黒い手錠が発光した。
 プールの水が渦巻き、幾つもの影を孕む。その中心より飛び出してくる、多数の触手つきのスライミーな怪物。おめでとう! Eエレメント:フェーズ1『撮影用スライム』×5の誕生だ。
「え、ちょ!? 破界器が暴走してるの!?」
 盾の青眼が激しく明滅する。
「サ ツ エ イ ノ ジ カ ン ダ」
「やめて! 私に乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」
 犬レイチェル、絶体絶命!

●白の章 Ⅱ
 映画館にて。
「女児向けアニメ映画で触手プレイ、スタッフ分かってるわね!」
 手に汗握り夢中の瞑に、奈々子はため息をつく。
「津布理さん、それ本当に設定なのよね?」
「せ、設定よ? 勘違いしないでよね」
「あ、男の娘っぽい子とネガティブな子が触手を退治しちゃったわね」
「日和った脚本だわ」
「全年齢としては既にギリギリの内容よ……?」
「うちが脚本だったら、幼女をぬっぷぬっぷしてるところなのに」
「設定よね?」
「設定よ?」
 午前は奈々子の刑事ごっこに付き合った分、午後はあちこち津布理のわがままに付き合うことに。
「クレープ屋みっけ!」
「かつ丼を食べたわよね?」
「甘いものはノーカン!」
 瞑はほっぺたにアイスをくっつけ、天真爛漫にきらきら微笑む。
 奈々子もまた、その眩しさに釣られてくすりと笑った。
『お楽しみのところ失礼』
 佐幽のAF通信だ。
「急にどうしたの?」
『先ほど黒の手錠暴走によるEエレメントが出現――』















「え!?」
『した後、零児さんと与市さんが撃滅してくれました。では、デートのつづきをどうぞ』
「デ、デート!?」
 奈々子を睨みつけ、瞑は鼻先をつっつく。
「勘違いしないでよね! 別にアンタと好きで一緒に歩いてるわけじゃないんだからねっ! 可愛いうちと歩ける事を感謝しなさいよ!」
「ええ、感謝するわ」
 素直な、それでいて見透かすような返答に瞑は頬を赤く染め、俯いて手を開いた。
「……手、繋いで歩いてあげてもいいのよ」
「ふふっ、お言葉に甘えるわ」
 と。
 悪紋と礼子だ。三高平の繁華街、妖しい裏通りへと見かけロリのふたりは吸い込まれていく。なにやら「離れよ」「たわけ!」「そっちのせいじゃ!」と言い争っていた。
「これは事件ね」
 尾行開始。
 奈々子はアンパンをかじりつつ、壁越しに姿を追う。
「うちにも一口」
「どうぞ」
 カレーパンを手渡す。
「ペロッ……これは青酸カリ!?」
「カリーね」
「アーモンド臭がするわ!」
「バーモンド州ね」
「……美味しい。どこで買ったの? パン屋?」
「いいえ、カレー屋さん」
「どこ?」
 奈々子が高々と指差す、その先は。
「なのはな荘よ」

●赤の章 Ⅱ
 白とピンクに彩られた愛溢るるベッドルームにて。
 るーるるーるるる、るーるるーるるる、るーるーるーるーるーるる。
「こんにちわ、礼子の部屋のお時間がやって参りましたのじゃ。今日のゲストの悪紋さんをお招きしてお送りします。って」
 礼子はカツラを投げ捨て、叫ぶ。
「なぁぁぁんで女ふたりでラブホに入っとんじゃーっ!」
 一方、悪紋はきょとんとする。
「なにを騒いでおる? ホテルくらい普通に泊まれればよかろう? 確かに少々変わっておるが」
「ラブホテルも知らぬのか? つまりここは男女が子作りするためのじゃな!」
 悪紋は一笑し。
「おヌシ、我をたばかっておるな? では、なぜロリロリな女同士で入室できるのじゃ」
「!? た、確かに」
 説明書を見ない主義のふたり、今更にパンフを読む。
『当ラブリーホテルは、愛らしさにこだわったお子様に人気のテーマ型ホテルです☆』
「お子……」
「様……」
 沈黙。転じて爆笑。一周巡って笑うしかない。
「くくっ、しょーもないオチじゃな」
「我は暗黒魔王の力を得て若返ったのじゃ、その良い証拠よ」
「しかし若返りすぎて彼氏のひとりもできぬのであろう? お互いにじゃがな」
 悪紋は目の端の涙を拭いつつ、勝ち誇る。
「いやいや、我はモテたぞ? 魔王として覚醒することを予期したればこそ、凡俗の男どもは歯牙にも掛けなんだ。それだけよ」
「無下にされた男らも可哀想になぁ」
「礼子だって断りまくってたじゃろ! ボケたか?」
「ボケとらんわ!」
 俯き、礼子は過去を追想する。
「あの頃のわしは本当に弟を育てるので忙しかった。自分の幸せを、家族の幸せと心得て身を粉にして働いた。その甲斐はあったが、そうさな、告白されたことに気づけども、あるいは気づかぬフリをして過ごしてきたのやもしれぬ。――そうした諸々の未練が、今のわしの礎よ」
 悪紋は黙した。
 そして、そっと礼子を抱き寄せ、頭を撫でてやる。雄大な抱擁。嫌がることは、できなかった。
「謝ろう。誤解しておったよ、年甲斐にもなく子供じみた女じゃと。そうではない。おヌシは十代という時を、質入れた青春を、再び手に入れようと願っておる。
 永遠にでも我は付き合おうぞ、そなたが満ち足りて、いつか黄泉路に旅立つ日まで」
 赤い手錠が霧散する。
 役目を果たして、消滅したのだ。
「これで自由か、我は名残惜しくもある」
「なに、あんなもの無くとも、わしらの縁は今にはじまったわけであるまい」
「くくっ、そうじゃな」
 ラブホを後にした二人は夜の繁華街へと繰り出す。
「手伝え悪紋、恋の刀狩りじゃ」
「よかろう、我を恋敵とする覚悟あればな」
 少女たちは夜を往く。
 一番はじめに彼女らに声を掛けた男は、青少年補導員であった。

●黒の章 Ⅲ
 囲炉裏喫茶『澄』にて。
「『洞穴』に連れ込まれたあたしは危うく調教されて売りさばかれる寸前に脱出! パないわ、愛をなくした悲しい鎧さんパないわ!」
 レイチェルが九死に一生を語る相手は、中学二年生のGF日隠日和。また菓子で釣ってきた。
「センパイ、アークってよくわかりません」
「あたしも」
 レイチェル&日和→装備:桃の手錠。
「……あの、これは」
「じつは佐幽に追加依頼を受けちゃって♪ さぁあたしと一緒に愛を育んでくださいな?」
 
 ビデオ? ご想像にお任せします。

●白の章 Ⅲ
 真夜中、菊水、寝室にて。
 ひとつのベッドに若い二人、縛るものは手錠だけ。
「や! うちは幼女しか愛せない体なの! やめて高藤さん!」
 ――なんて展開なる訳もなく、奈々子はさっさと就寝済み。が、せっかくの面白シチュに刑事ごっこだけで瞑は満足できない。
「ふへっ、ふへへへ、もふもふもふもふ」
 どのみち密着は必至、どうせならばと瞑は奈々子をもふ抱き枕にして寝るのだった。

 夜三時。
 尿意に目覚めた瞑は、寝ぼけたままお手洗いに向かおうとする。
 が、手錠が邪魔で動けない。
 ふと、空のペットボトルを見つけた。

 朝五時。
 喉の渇きで目覚めた奈々子は、寝ぼけたまま冷蔵庫に向かおうとする。
 が、手錠が邪魔で動けない。
 ふと、麦茶のペットボトルを見つけた。

 報告書は、ここで途切れている。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
皆さんおつかれさまでした。
今回はふたり一組の二十四時間デートご堪能いただけましたでしょうか?
結果は――成功です!

……はい、今回もイージーだからと好き放題やらせていただきました。
パロ満載です、分からない元ネタはごめんなさい。
また三高平市が舞台でしたので、コーポ関係ネタを少々。いずれも各PCに関係がある場所なので、興味があればご覧いただくと面白いかもしれません。
寸止め仕様ですので、最後のオチはセーフだと主張しておきますね。
なお撮影されたビデオはアーク本部に回収されたようです。

今回は2名1組とイージーのおかげか、多めにネタを拾えたかと。
相談期間が長かったこともあってか、プレイングがよく打ち合わせられていてSTとしても楽しませていただきました。

いよいよGW到来!
のんびり休息するもよし、想う存分に楽しむもよし、みなさんが充実した日々が送れますように。