●至高のゲーム 「敵性体の出現を確認しました。速やかな撃破、殲滅を要請します」 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は普段どおりの冷静な表情に、瞳にだけ厳しい色を乗せてそう切り出した。 「それでは詳細の説明に移りますが……みなさんはサバイバルゲームというのを、もちろんご存知ですよね?」 速やかに、といっていたのに急激な話題の変化に会議室にはいぶかしむ顔が並ぶが、和泉は構わず続ける。 「個々の技量と部隊としての練努……さらにミクロな戦術と、マクロな戦略が必要な、知的さと肉体的な要素の両立を求められる至高のスポーツなのは今更語る必要もない程の周知の事実ですが……」 声は冷静だが、資料を挟んだバインダーを握る指にぐぐっと力が入っているのが見て取れる。 和泉は一度、くいっと眼鏡の位置を指で直すと、ひとつ息をついて勤めて冷静な口調を取り戻す。 「このゲームで養成された崇高な能力を、今回の敵は悪用しているのです」 サバゲーを悪用する謎の敵。 つまりはそれが今回の本題であり、ここからが重要なのです! 「敵は、ある破界器(アーティファクト)――『無敵の10人』と呼称しましょうか――を手に入れた一人のサバゲープレイヤー『光明寺 孝明』氏です。 そして、『無敵の10人』は所持者をコマンダー(指揮官)とし、それに従う10体のE・フォースのような思念体を作り出すアーティファクトなのです」 思念体を作り出すが、その材料も燃料も所持者の精神力。 長く使えば精神の衰弱を引き起こし、最悪の場合、所持者の精神に悪影響を与え狂気に走らせる可能性もあるという。 「『無敵の10人』の宿主がサバゲープレイヤーであったためか、作り出された思念体もサバゲーに法ったものとなったようです。 部隊の構成は、スナイパー(狙撃兵)が2体、スカウト(斥候兵)が3体、アサルト(突撃兵)が5体と判明しています」 コマンダーの意思の元、スカウトからの情報を元に、スナイパーが高所からの狙撃を、アサルトが突撃・近接戦闘をしかけてくる。 やつらが潜むのは郊外で取り壊しをまつだけの廃ビルの中。もちろん持ち主も住人もいない。 「アーティファクトの力なのか1人が3度、攻撃を命中させられると強制的に行動不能になります。 ただし、敵の思念体も同様の制約があるらしく、思念体にダメージは与えられませんが3度攻撃を命中させれば排除できます」 その回の”ゲーム”が終了するまでその場から動けなくなる、ただそれだけでの能力で、三者三様の武装を持った思念体には殺傷能力は皆無。 それ故に、彼はただ自身の手足となって動くコマを操るサバゲーを楽しんでいるだけ。今までにやったことと言えば、サバゲー仲間を呼び出し、勝利した後は思念体たちにビルの外へと運ばせているぐらいだ。 問題は、指揮官であるタカアキくんには精神が蝕まれている自覚はなく、将来的に『無敵の10人』を使って無差別な攻撃を、殺傷力を持って行う可能性があること。 また、彼を止めるにしても、彼自身は普通の人間なので、リベリスタ達が攻撃をすると大怪我や最悪命を奪いかねないということ。 「つまり、全ての『無敵の10人』を排除し、高らかに勝利宣言をする。これによって孝明氏の気概を挫き、アーティファクトを手放してもらう。それが今回の作戦の概要となります」 表情は変えず、しかし、口調は若干熱く。 和泉は胸に手を当て、普段より2割り増しぐらいの声の大きさで最後の言葉を紡いでみせる。 「このようなビルに陣取るなど、敵の指揮官は非常に未熟……至高のゲームを汚す存在とすらいえます。 速やかに、完膚なきまでに、撃破し、殲滅し、彼に猛省を促すことを要請します」 こほん。 ひとつ咳払いをすると、和泉はいつもの様子に戻り、では……と会議室を後にした。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:仁科ゆう | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年07月16日(土)23:06 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●エントリー 「ふははははは! いいだろう! かかってくるがいい! このボクと最強の部下達が技の限りを尽くして歓迎しようじゃないか!」 ガガ……ピーッ…… トランシーバーからは一方的な宣言の後は漣のようなノイズ音だけが聞こえている。 郊外。 指揮官たる孝明くんとその配下たる”無敵の10人”が陣取る廃ビルを視界に納める位置で、リベリスタ達は準備を進めていた。 そして、ビルへの接近前に宣戦布告とルール確認を兼ねて通話をこころみたところで先ほどの結果。 「ふふふ、サバゲーか。まさにこの私の腕の見せ所ね」 両手にオートマチックの拳銃を構え、にやりと笑うのは『ガンナーアイドル』襲・ハル(BNE001977) 「おそらく彼は『無敵の10人』に相当な自信を持っているでしょうけど。その自信が所詮は偽りに過ぎないと言うことを実証してあげるわ!」 そんなハルの言葉に、にこりともせず被せて応える『リジェネーター』ベルベット・ロールシャッハ(BNE000948) 「調子に乗った相手、私は結構好きですよ。基本的に容赦しなくていいですから」 装備したアームキャノンの照準を確かめるように、重さを感じさせない挙動でさっとビルの方へ砲身を向ける。 「しかし、今回は更生が任務ですか。適度に手を抜くとしましょう。まあ、本物の戦闘というものを教えてあげますよ」 半端な塗装がはがれ、打ちっぱなしのコンクリートがところどころ剥き出しになっているビルは無機質な顔をみせている。 「サバイバルゲームには自分も何度か参加したことがありますが、まさかこのような形で久しぶりにする事になろうとは……!」 弓の弦の張りを確かめている『空隙金蛇』アティリオ・カシミィル(BNE002555)が持つのは、閉所でも取り回しやすい短弓。 「ルールを守り、皆で楽しむ事が大切なゲームを私物化し汚すとは……ゆ、許せないであります! 早く皆でお仕置きし、改心してもらわねばっ」 真面目な軍人風気質とでもいえばいいのか、弓をぐぐっと握り締めて力説する。 そんな折。 ビルの方向から、大きなサイレンの音が鳴り響く。 「ゲーム開始の合図だね。行こうか」 『ブラックファーボーイ』月丘・伊織(BNE000019)の言葉に、全員が頷きで返した。 ●第1フェーズ 右に左に視線を這わせ、ブッシュからの突然の襲撃や樹上からの狙撃を警戒しながら、リベリスタ達は林の中をゆっくり移動する。 しかし……先ほど敵と通信をした位置からビルまでの凡そ100m。 襲撃に向く地形もあっただろうが、一考にその気配はない。そのまま何事もなくビルが建っている、ぽっかりと林の中に空いた空間までたどり着いた。 「中にいる敵より、外に潜む敵の方が厄介だと思ったのですが……いませんでしたね」 「フィールドはビルの中っていってたしな。あくまでサバゲー、ルールの中での戦闘のつもりなんだろう」 『シャーマニックプリンセス』緋袴 雅(BNE001966)の言葉に、『鋼の山猫』ジョン・リンクス(BNE002128)が予測を交えて答えた。 ならば、フィールド外での戦闘や一般人を巻き込んでの戦闘は行われる心配はないでありますね! とアティリオ。 「相手はサバゲーをある程度熟知した人間。素人であるわたくしが同じ領域で争っても不利は明白ですわ」 改めて、今回の敵がサバゲーマーであることを実感した『高嶺の鋼鉄令嬢』大御堂 彩花(BNE000609)が、使い慣れないフィンガーバレットの調子を確かめながら独白する。 「けれどもそれは逆に言えば、サバゲーのルールの範囲外の行動には弱いはずです。サバゲーであってもの普段どおりの戦い方を心掛けますわ」 そのルールの範囲外の行動の最たるものが、大きく翼を広げ飛び立つ準備をしている『贖罪の修道女』クライア・エクルース(BNE002407) 「サバゲー……それは神に仕えるこの身には縁無き催し……」 クライアは遥か彼方に視線を送りながら、彼女の信奉する主へと語りかける。 「ですが今は違います。事前調査と予行演習に裏打ちされた渾身の付け焼刃……主よ、ご照覧下さい」 何気にミリタリーっぽくもズレた台詞を発しながら、ベルベットを抱き掴んだクライア。 「それじゃ、いってきます」「皆様もご武運を」 二人は空へと舞い上がり、林の木々に隠れて回り込みながら屋上を目指していく。 屋上からの潜入部隊が飛び立ち、地上班は武器の安全装置を外していく。 「花火ですよ。皆さんも持って行って下さい」 雅から全員に花火が手渡されたのを確認し、ジョンが大きな声を上げた。 「それじゃ、ウォーゲームを始めようか!」 林から出たリベリスタ達は、ビルの入り口を目指し駆け出す。 ビルまでの距離20m、と少し。 そこで足を止めると、手に持つ銃器をビルの外壁に向かってバカスカ打ち込んでいく。 「ヘイ、カモン!」 オーバーアクションで叫ぶジョンをはじめ、ろくすっぽ当たっていないこの弾幕だが、、敵の出方や反応を伺うように、スナイパーを警戒しながらビルにそって右に左にとにかく派手な音を立てる。 そして銃撃を開始してしばらくしたところで、数名が持参しているトランシーバーがガガーとノイズ音の後に、クライアの声を伝えてくる。 『こちら武装ヘリ<エアフォースワン>よりクライア、これより屋上へ降下を開始します……ユーコピー?』 アイコピー。 どこか楽しそうにアティリオはトランシーバーからの声に答える。 「こういうものがあると何か雰囲気が出て……おっと、油断大敵でありますな!」 ついつい楽しんでしまいそうになる自分を戒め、ビルに向き合うそんな彼の頭上で、武装ヘリ<エアフォースワン>ことクライアが音もなく屋上へと接近していく。 それに気付いたのはベルベットだった。屋上に接近している途中で、彼女の目が給水タンクの影で何かが光るのを捉えたのだ。 「クライアさん、私を給水タンクの方へ落としてください」 そして自分を運んでくれているクライアに、屋上へ降ろすのではなく、落とせと小さな声で頼む。 クライアは了解しました、とこれまた小さく答え、羽撃き一つで給水タンクへと進路を変えると、音を立てない滑空からの爆弾(ベルベット)投下。 しゅたっと着地をしたベルベットの目の前では、有名な米国アーミーのオモチャのなんとかジョーさんを、そのまま人間サイズに大きくしたような動くマネキンが、入り口付近で騒ぐ眼下のリベリスタ達を狙ってスナイパーライフルを構えていた。 ガラスの瞳がベルベットを捉えても表情こそ全く変わらなかったが、その口が腹話術人形のようにカクカク動き、先ほどトランシーバーから聞こえていた声が洩れ出る。 『な!? お前どこか……』 後を続けさせず、ベルベットは至近距離から、クライアは上空から、それぞれアームキャノンを放つ。 2発の命中。しかしダメージは全くない様子で等身大のアーミー人形はスナイパーライフルをベルベットに向けて撃ち返す。 まさしくBB弾があたった程度の痛み。たしかに痛い、が。致命傷にはなりえない。 「被弾した程度で私は怯みませんよ」 被弾と同時に2発目の砲撃を叩き込んで、ベルベットはにやりと笑って見せる。 彼女達の目の前で、3度攻撃を喰らったアーミー人形は、燃えたように黒くなりボロボロと崩れていった。 その様子を見て、ベルベットは孝明くんにトランシーバーで通信を入れる。 「ハローハロー。どうですか? 今までにない相手というのは」 答えを待たず、今からそっちに行くとだけ一方的に伝えて、進攻は開始された。 ●第2フェーズ ―キュィーンバラバラバラバラ…… 『これより砲撃を開始します、一般人は速やかに退避して下さい』 マイクで音量を増幅されたヘリのローター音とクライアの声がラジカセから鳴り響く。彼女はビルの正面に周り、突入組が先ほどまでやっていた威嚇射撃を開始する。 その少し前に、屋上からの合図を受けて地上班はビルへと突入を敢行していた。 入ってすぐ正面、階段の影に潜む何者かを、暗視と直観力を発揮したハルが気配を察知。ほぼ同時に彩花も感じ取り、行動を開始する。 「階段裏! 1体いるわよ!」 彩花をはじめ弾丸がばら撒かれ、弾幕の援護を受けて回り込んだハルが両手の銃で1射ずつ。さらに身動ぎした瞬間に見えた足先にアティリオの矢が突き立ち、黒ずみボロボロと崩れる等身大人形。 「今のは?」 「アサルトだろうな。マシンガンを持っていた」 銃剣の弾倉を入れ替えながらの雅の声に、ジョンは階段上方を警戒しつつ答える。 「いきなり待ち伏せてたね。でも、これで残り8体」 伊織の言葉に頷き返し、6人は通路の安全を確認しながら、交互に行動と索敵の補完をし合いながら1番近くの扉へと近づく。 「いきますわよ……」 仲間の突入準備が出来たことを確認すると、彩花は宣言し、斬風脚で扉をぶった切る。 扉が弾けた瞬間、銃口だけを部屋の中に入れて、照準を併せずにジョンが数発撃ちこむ。 当たれば幸い。牽制のための銃撃。 反応はない。外れか…… そう考え、次の部屋へと移動を開始しようとしたところで、後方を警戒していた伊織が叫ぶ。 「うしろ……!」 階段から拳銃の銃身とこちらを覗き込むガラスの瞳だけが見える。さらにその後ろからは、階段を駆け下りてくる軽い足音。 パシュ! パシュ! 軽いエアガンの発砲音が2度続けて響き、伊織に2度の着弾。 さらに、階段を駆け下りてきたアサルトが銃身をこちらに向けるが、その時には既に全員が部屋へと飛び込んでいてパタパタとBB弾がコンクリートの床や壁を叩く音が響き渡る。 軽い膠着状態。 手鏡で廊下の様子を伺いながら、ジョンがどうする? と目で仲間達に問いかける。 このままいつまでもにらみ合いを続けているわけにもいかないし……と、突然トランシーバーが音を立てる。 『こちら<エアフォースワン>クライア。3階の奥から2番目の部屋でスナイパーを発見。ほぼ真下へ向けて銃を構えています』 注意されたし、の声を聞くまでもなく、全員がその場を飛びのく。するとジョンが先ほどまで立っていた場所をBB弾が天上も地面もすり抜けていくのが見えた。 「やっかいね……」 彼女が知らせてくれなかったら危なかった、そう呟くハルの耳に、再度トランシーバーかの声が届いた。 『ベルベットです。こちらで3階の敵の注意をひきつけますので、後は頼みましたよ』 『クライア、サポートに入ります』 言葉どおりに、階上からパタパタとBB弾が壁や床を叩く音が響いてくる。同時に、アームキャノンの発射音も。 「GOGOGO! 今がチャンスでありますっ!」 アティリオがGOサインを出し、全員が駆け出す。 その様子を階段の影に隠れて伺っていたスカウト&アサルトへ向け、彩花が斬風脚で階段の横縁を叩き壊し、露出した2体を残り5人が集中砲火を浴びせる。 最優先のターゲットとされたスカウトが撃破。しかし1発分が足りずに生き残ったアサルトの反撃の制射が数人の体を捉える。 じわりじわりとボディーブローのように効いて来る被弾だが、リベリスタ達の勢いは止まらない! ●第3フェーズ その後、なんとか2階を制圧し、3階にたどりついたリベリスタ。 そこには……一番奥の部屋の扉の前で地面に横たわるベルベットの姿。 周囲に警戒をしながら近づく仲間達に、気付いた彼女が声をかける。 「部屋の中にアサルトが残っています!」 遮蔽のない廊下、ばら撒かれる弾幕を通りがかった部屋に飛び込んだ者、なんとか避わした者もいたが、部屋側とは反対側を通っていた伊織とアティリオが被弾する。 撃ってきたアサルトは返す刃で仲間たちが倒したが、伊織はこれが3発目。ヒットされた瞬間に体が全く動かなくなり、その場に倒れこむ。 大丈夫かと駆けつける仲間たちに、伊織は痛みは全くないことを伝える。 「仕方ないし大人しくまってる。情けないけど、我慢……」 ただ全身麻酔をかけられたように体が動かないのだ。 何はともあれ、これで3階までの制圧が完了した。 倒れていたベルベットが倒した人数も合わせると、全部で8体。残るは2体、アサルトのみ。 こちらはまだ2人…… 『エンジンに被弾……姿勢制御が支障を来たした為、不時着を試みます』 ラジカセから盛大な破壊音と共に、墜落音も聞こえてくる。 ずいぶんと余裕のある緊急事態の演出だが、クライアもこれで離脱。 残るは5人、だがまだこちらが有利! ●ラストフェーズ 4階では待ち伏せらしい待ち伏せもない。 一つ一つ部屋を確認していくが、敵の姿は……ない。 「どういうことでしょう?」 「自分の常識の外にある相手に、危機感を覚えたのでは?」 雅の疑問に、彩花が答える。 「なるほどな。閉じこもってるってわけか」 3つ目のドアを開けて中を確認したジョンが、最後の扉を見据えて、呟く。 仲間達もアイコンタクトで答え、全員が最後の扉へと近づいていく。 案の定というか、最後の扉には鍵がかかっていた。 ガチャガチャ、という音を鳴らしてあけようとすると、中から声が聞こえてくる。 「く、くるな! なんだよお前達は!」 孝明くんの声。ただし、最初の威勢のよさはどこにもない。 にやり、と笑うとジョンが銃口を鍵に押し当てる。 「こいつはな、マスターキーにもなるんだぜ?」 ショットガンのトリガーを引き、鍵を打ち壊し扉を蹴り開けると、中からサブマシンガン2丁による一斉射。 弾幕をやり過ごし、手鏡で居場所を確認する雅とジョン。 孝明は……ソファーの影。 手前にアサルト2体。 先陣を切って飛び出したのはハル。 彼女だけがまだ1度も被弾していなかったこともあり、弾の雨の中、2丁の拳銃を叩き込む。 さらに、仲間たちが後に続き…… 結果的に、さらに2名の被害者を出しながらも、リベリスタ達は”無敵の10人”を撃破した! ●終戦 「残念、ゲームオーバーだ」 そう孝明に語りかけるジョン。 階下の仲間達も合流し、今は恐怖におびえる彼を取り囲んでいた。 「所詮貴方のは借り物の力、本物には勝てないと言うことを照明されたわね!」 ハルがくるくると拳銃を回してホルスターにしまってみせる。 「便利な駒を揃えれば無敵になれるほど世の中甘くないよね。お山の大将気分、どうだったかな?」 伊織の言葉に、孝明は言い返す言葉もなく、涙を流していた。 「いつか、改心したら共にサバゲーをしましょう。守るべきルールがあるからこそ楽しい事もあるのですよ」 そんな彼に優しく語り掛けるアティリオ。 「それに、自分以外の誰かと協力し、息が合った瞬間の楽しさは何物にも変え難いものでありますっ」 諭された彼は手に持っていた小さな杓杖を自分から手渡してきた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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