●対特殊個体訓練・乙種 -Chimaira Wepon- Starting System .............. ArkTraningSystem 【ATS】キドウカクニン プログラム[Chimaira Wepon] シミュレーション カイシ 「アークノ シュトクシタ アイテノデータトノ モギセン」 夜の住宅街。何の変哲もない路地が生じた。 次に無表情の通行人達が、夜闇からふっとフェードインして悠長に行き交う。 行き交う人々の中に、ここで小さな影が上空に生じた。 生じたと思えば、けたたましいマシン音を響かせて小柄な影が路上に着地する。 着地した刹那に、ジグザグと滑走して次々に通行人達をバラバラに、バラバラに、更に瞬息。バラバラに砕き回る。 町は一瞬に血に染まり。 ぎゅういいいいいいんという悲鳴じみた咆哮と、赤い色でうめつくされる。 ――影は、少女の形をしていた。 背中から、八基のチェーンソーを生やしていて。 胸の真ん中にはブリキの箱が回転して、関節は球体でできてる。 縦巻きの髪をゆらゆらさせて、ヒラヒラのゴシックロリヰタの衣装で身を包み。 硝子の目から赤い涙を流しながら、くるくるくると独りプリマのように。 小さい唇。下唇の中央から顎にかけて入る線。 そこから、顎部が左右にぱかっと割れて、昆虫の様にカシャカシャ肉を咀嚼する。 悲鳴のような音をめいっぱい立てて、八つのチェーンソーを足みたいにして動いて、薙ぎ払い、道行く人を、殺して殺し。 緋色の花弁ともつかない、醜悪なものを、ぶち撒けながらに身に浴びて。 夜にくるくるくるくると嚥下する。…… ●乙種訓練内容【特殊個体『殺戮球体関節人形』】 「対『殺戮球体関節人形』戦の訓練を行う」 ブリーフィングルームに集まった熱心なリベリスタ達に、『参考人』粋狂堂 デス子はこの任務の目的を簡素に告げた。 「訓練内容は単純明快。過去に出現した事がある特殊な個体との模擬戦。ま、やっつければいい」 資料が配られる。 E・キマイラ『殺戮球体関節人形』。 背中に八基のチェーンソーを生やし、近接した者を八つ裂きにする。 そして、練度の低い者から順番に狙っていくという機能まで備えているという。 更には、一定のダメージを加えると飛行を得る。 「訓練とはいえ、簡単では無い。この敵は重傷者を多く出した事件の敵、そのものを持ってきている。冗談抜きで強いぞ」 訓練の意図が読めた。 そういう特殊個体――強い敵をシミュレーションする事で、作戦やら各々の考え方やらを強化しようという話なのだろう。ヴァーチャル故にリスクも少ない。 「弱点は、胸にあるブリキの箱だ。狙い撃ちできる者は狙った方が良いだろう」 それを明かすという事は、かつてこの敵と戦った者達は、それを知っていたのか。或いは戦いの中で判明したのか。何れにしても、それでも苦戦したという事は変わらなさそうである。 「通行人のモデリング達は気にしなくていい。見ての通り悉くバラバラだ」 全力で倒すことのみ集中してくれ、という事か。 「ま、所詮はヴァーチャルだ。意気込みや意思だけでは何も生まれない。肩の力を抜いて臨んでくれ」 デス子は、リベリスタ達の肩を軽く叩いて、VTS操作室へと移動した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:Celloskii | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年03月30日(土)23:26 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●人形細工師のキマイラ -Quest No.3244- 冷えた月が光を注ぐ。 まるで現実と仮想の境界が曖昧になるほどに。叢雲は、幻想的で朧朧として。 とん、とん、きり、きり。 人形は軽やかにステップを刻み。人形はきりきりとカラクリ音を交互に演奏する。 周囲には、バラバラにした通行人の死体。 ご丁寧にも紅牡丹(ピアニー)を散らせたかのようなグロテスクなモデルまで用意されている。 次に、散らばっていたミネストローネの如きは、悉くスッとフェードアウトする。 きりきり、きりきり。人形の首は人間の関節可動域を超えて“次の目標”に視線を送る。…… ――引き裂くような機械音が人工の夜に響いた。 八つの高らかなるチェーンソーの音。 リベリスタ達に入室して即座に布陣する。唾の塊を飲み、奥歯を軋ませる。 『ルミナスエッジ』セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)は、すらりと抜剣して、凶悪な音に物怖じせず、粛々決意で胸裏を埋めた。 訓練と実戦、成長するのには両方とも大切な事。 訓練だけじゃ本当の実力はつかない。けれど、実戦だけでは見えてこない物もある。 「それに……キマイラとはまた戦う事になりそうだしね」 フィクサード『六道の兇姫』。六道 紫杏の顔が脳裏に映る。兇姫はまだ生きているのだから! 『ならず』曳馬野・涼子(BNE003471)は、セラフィーナが後衛を庇う様子を尻目。ならばと吶喊して、中折れ式の単発銃を握り込む。前進しながら流れる様な動きで初手。真っ直ぐに放つ弾丸が、人形の胸――ブリキの箱へと突き刺さる。 人形から盛大に上がる悲鳴。悲鳴悲鳴悲鳴悲鳴。 「返り血がつくりものだってだけで、いつもよりはムカつかなくてすむ」 効いていると確信する。 『ヴァイオレット・クラウン』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)は思索しながら前へと出る。しかし中距離の維持。"あの時"と同じである。 「殺戮球体関節人形がお相手ですか。油断はできませんねぇ。調子づかせちゃうと一気に大被害が出ますから」 エーデルワイスは、殺戮球体関節人形と何度か戦っていた。 粋狂堂が言った『重傷者を多く出した事件』の顛末を知っている。が故に"改めて"十字を切って宣誓する。 「今宵も贄を捧げましょう♪ キマイラよ、お前の血肉で夜を彩ろう」 エーデルワイスは魔銃より連続した弾丸を次々に、ブリキの箱を更に精密に。涼子が穿った穴を更に抉る。 悲鳴の音が最高潮に達した瞬息に、人形は八基のチェーンソーを足のようにガチャガチャ動かして、地面を削りながら滑走する。 「ふぉお……」 黄色と黒の髪を振り乱して『魔獣咆哮』滝沢 美虎が、人形に応じる様に駆ける。 「とらアッパー!!」 次々地面を突き刺すチェーンソーの足の間を縫って、ブリキの箱へと繰り出す突き上げ式の掌が硬い外殻を物ともせずに、"中身"へ衝撃を伝える。 ――――ッッッッッ!!!!! 悲鳴が衝撃波となってシェラザード・ミストール(BNE004427)を狙う。 射線は通っている。セラフィーナが割って入り、衝撃波を切断する。 「ありがとうございます」 礼を述べたシェラザードに、セラフィーナは微笑みかえして言葉をかける。 「私の力は敵を倒し、殺す力ではありません。この力は皆を、大切な物を守るための力です」 「未熟な私がどこまで戦えるか分りませんが、出来る限り戦いましょう」 シェラザードは世界樹の子『フュリエ』である。アークの皆が一度は倒した敵。 セラフィーナに決意を述べて、全霊。集中を研ぎ澄まさんとする。 「ふふ、遊ぼうか殺戮人形。ボクを捕まえられるかな?」 『双刃飛閃』喜連川 秋火(BNE003597)が飛び出す。駆ける。疾走する。 右、上、下、左から、縦横無尽。本命の一閃、二閃を放ち離脱する。 「今後に生かすためにも全力の戦いをするか。そのための訓練だ。気は抜かないぜ?」 距離をとる。あのチェーンソーの攻撃を極力受けない事。 人形は翻弄されて、混乱めいてめちゃくちゃにチェーンソーを振り回す様子だが、箱がある限り高い復帰能力を持つ。 回復まで行うが故に、なんとしても早期で砕かなければならない。 精度の良い攻撃でブリキの箱を狙う事は、涼子とエーデルワイスに任せ、自身は翻弄する役目を帯びる。 むちゃくちゃに振り回す様子を見て、『ウィクトーリア』老神・綾香(BNE000022)は冷静に場を見極める。 「この敵を乗り越えるべきなのは当然だな、訓練だからと侮らず本気で挑まねば」 次に、自分の言葉を反芻して。 「(肩の力を抜けと言われてしまったが、やはり私は負けず嫌いなんだな)」 やれやれと、集中力を高める。気糸の束を打ち込める様。 綾香に習って、『エクスィスの魔』シャルティア・メディスクス(BNE004378)は集中を携えて駆け出した。 同じ『フュリエ』のシェラザードが今は狙われている、何かあれば恐らく、次は自分である。 ならば、敵を挟んだ反対側へと動く。 「それにしても、きけんな相手ですね。アークはこんな相手と日々戦っているのですか。やはりたいへんですね」 凄まじきチェーンソーの騒音は、バイデンの雄叫びに勝るとも劣らない。 アレに触れたらどうなるのか。 人形は、昆虫の様に顎部を左右に開き、金切り悲鳴と騒音をまき散らす。 ――――ッッッッッ!!!!! 秋火が施した翻弄を振りきって。 まるで歪な合唱の様に、場は震えた。 ●一手。また一手、そして詰み -Game Over- 一切合切、その変態じみた八基のチェーンソーを使わせない事。 これを各々命題として動いた戦いは、完全にリベリスタの優位に働いた。 狙われる者が分かっている。 ならば、狙われる者は絶対に前に出ない事。 近づいた瞬間、想像に難くない事態が生ずるのだから、前衛は絶対に近づけない。 怒り。怒りを催す悲鳴により、セラフィーナが怒りを覚えた時。直ぐ様フォローに入る連携の徹底が、この戦況を齎した。 「さぁさぁ、貴方の大事な箱をぶち抜いてあげるわよ、あははははっはははははh」 精密なる、エーデルワイスの弾丸が、地面を跳躍。跳弾してブリキの箱を抉る。どんな角度でも逃さない。 「あとはまあ、予定通りにできるかどうかだ」 セラフィーナの怒りに伴って、涼子がシェラザードの庇いに入る。 怒りを伴ったとしても、遠距離攻撃がある。殴り抜けた衝動をぐっと堪える。 「部位狙いに移行する」 綾香が放った気糸がするりと、箱の穴の中へ侵入する。内側から砕く事。 箱の中身をぐしゃぐしゃにかき混ぜた時。 「うふhhhh良い具合に壊れてきたわねぇ、もうすぐ奴の飛行能力が発動しそうよ」 損傷具合を、"一度"見ているエーデルワイスの声が飛ぶ。 「うおっしゃああ! とらアッパー!! もいっちょう!」 美虎の一撃で、立方体のブリキの箱のネジが吹き飛び、綾香に粉砕された粉が漏れ出す。 集中を重ねたシェラザードの矢が、ブリキの箱に突き刺さった刹那。 ――人形に異変が生じた。 最初に、ギチギチ、と虫の関節めいた音が鳴った。 ゴシックロリヰタの衣装が隆起して、人形の外殻に亀裂が走る。 蝶のような羽根が、服を突き破って胸部から生じて、背中からは節足類の如き足が生えてくる。 天に仰け反って、頭部の上下が逆さまとなる格好で、硝子の様な目がリベリスタ達を凝視すると、ここでぱきりっと、端整な顔が砕けた。 隙間より覗くは、虫のような複眼。 新しく生えた足によって、"足の役目"を終えた八基のチェーンソーが次々と連結する。 輪胴型に整列した八基は、デタラメに唸りを上げ、加えて輪胴そのものもドリルのように回転する。 「出ました♪ 大先生のチェーンソー! もげろ!」 エーデルワイスが歓喜して憎悪する。 「"こんなもの"をキマイラにつけて悦ぶか。面妖な技術者め」 綾香が歯噛みする。綾香自身は、同じ作者のアーティファクトを見るのは二度目である。 特殊なアーティファクトを使って造られたキマイラ――飛行を得る。ここからが本番だと確信する。 「おっし! 前に仲間が勝ってるのに、VTSの訓練で同じ相手に負けるわけには行かないな!」 美虎が即座に後方へステップを踏む。 「美虎さん、交代です」 「おっけ!」 怒りの晴れたセラフィーナが、美虎へ入れ替わりの合図を出す。 「いつか、再び紫杏と戦う日のために。過去のキマイラぐらい、ここで超えてみせます!」 セラフィーナは滑走して人形をジグザグに斬りつける。斬りつけた道を返す刀で更になぞると、人形は空中でぐらりと、地上の面々に胸部を晒すようにギチギチと節足を鳴らし。 「くたばれ糞野郎」 涼子が跳躍する。セラフィーナと美虎が入れ替わった様子を見て、作戦が切り替わった事を察して即座に身体が動く。 いよいよ真っ直ぐ吶喊する。この上なく真っ直ぐに拳を突き出し、箱があった部位を貫く。貫いて中身を引きずり出せば、まるで蟲の内臓のような、気味の悪いものが生じて。 ひきずり出したものを秋火が切断する。 「ただ、駆け抜ける風のごとく! 叩き落とすぜ!」 上から下から、空中でステップを踏むように切り刻み、着地する。離脱する。 「イマイチ。固めるの頼む」 「さぁ、断罪の時よ……その首、貰い受ける!!」 秋火の声に、エーデルワイスが応じる様に憎悪の鎖を飛ばす。鎖は逆向きになった人形の首へと巻き付き。 「くっくっく、化物であろうと私の名のもとに裁きを下そう!」 引く。絶対絞首に、人形の頭部が半分削げ落ちる。 ――しかしまだ生きている。何という生命力か。 「箱がくだければ、通りやすくなるでしょうか!」 シャルティアがフィアキィを飛ばす。 冷気を帯びたフィアキィが、人形の周囲を踊ると、人形は空中で動き鈍らせる。パキパキと氷結させる。 あと一歩と、シェラザードから更にフィアキィが飛び、氷結を完成させる。 ――――ッッッッッ!!!!! 半分削げ落ちた頭部から、尚も悲鳴が生じて。氷結させた所々をばりばりと砕きながら、人形は動きだす。 輪胴状に回転する八基のチェーンソーからは炎が迸る。飛行を持つ者でしかブロックできなくなる自由飛行でもって、シェラザードをミンチより酷き有様とせんために、複眼は不気味な鈍い輝きを発する。 その刹那。 セラフィーナがチェーンソーに刃を交じらせた。 凄まじき火花が散って、耳をつんざく悲鳴の如き咆哮の如き音。音。音。 「彼女の元へは行かせません。貴方はここで止めてみせます!」 美虎と交代したその理由。飛行を持つセラフィーナがブロックに働くこと。空中で相手を抑える事。ただのこれだけ。 しかし、その些細な動きが、詰みへの布石であった。 シェラザードにチェーンソーは届かない。届かなければ人形は悲鳴を撃つしかない。撃った悲鳴は美虎が割って入って庇う。 悲鳴の威力が一段も二段も上がっている。この形態を砕かなければまだまだ油断ができない。 シャルティアが跳躍する。 「だれも犠牲にはさせませんよ」 烈風の如く振るった剣を、八基のチェーンソーが固まる輪胴の隙間へと穿つ。輪胴が砕かれる。 キマイラの切り札とも言えるチェーンソーが空中分解を起こせば。 詰みの最終形。 エーデルワイスの銃口が狙う。 秋火の二刀小太刀が、人工の月光にきらりと光る。 涼子が中折れ式単発銃で、殴りつけんと握り直す。 綾香の気糸が、詰将棋の最後の一手とばかりに悠然と伸びる。 シェラザードが重ねた集中を解き放ち、フィアキィが一直線に冷気を帯びて翔ぶ。 凍りつく人形は、蜂の巣となり、煌めく刃に切り裂かれる事の、豪腕が胸を突き刺して、気糸が砕けた所から侵入して人形の体内を駆け巡り、あらゆる隙間と隙間から開花の様に気糸が吹き出した。 ――仮想の人形劇の終焉である。 ●反省会 -17:30- もう春だというのに、17時を過ぎると日は落ちて。薄墨色の世界が現れる。 何の変哲もない、チェーン店の居酒屋。 未成年が多い故にアルコールは無しで、軽食をとりながらリベリスタ達は訓練の顛末を振り返っていた。 「ところで、あの変態チェーンソーは回収できなかったのか?」 綾香がのんびりとチキンを食べながら"アレ"に話をやった。 粋狂堂がアイス珈琲をブラックのまま、飲み下し。 「キマイラは撃破すると溶けて消えてしまうんだ。最終バージョンは溶けない個体も記録されているが、奴は溶けた」 綾香は無念といった顔を浮かべる。だが疑念は晴れない。 「アレは一体何なんだ? チェーンソーを八基の変態兵器は。キマイラは」 「『秘密兵器請負人』という、変態フィクサードが作ったアーティファクトだな。それを使ったキマイラらしい。通常のキマイラよりも手が込んでいる。変形とかな」 ここでエーデルワイスが、特定の単語に反応するかの様に、席をガタッと立つ。 「如月・ノーム・チェロスキー大先生!?」 「エーデルワイス……本当に、あの変態フィクサードを好いてるな」 「ドリルを飛ばす発想。チェーンソー八基くっつける意味の分からない仕様。天才過ぎる! あははははははhhhh ……あ、カレー注文していいです?」 「いいぞ。全部経費だしな」 ひゃっほーするエーデルワイスを尻目。粋狂堂は一呼吸おいて、セラフィーナに視線を向ける。 「エーデルワイスは兎も角。どういう敵かを調べていたんだろう? セラフィーナ?」 対してセラフィーナはえへへと、ばつが悪そうな笑顔を浮かべながらサンドイッチを食む。 「調べる所も含めて、訓練ですよね? はむ」 「確かにな。敵を知り己を知れば百戦危うからずと言えるだろう。使わせてはいけない攻撃があり、どうすれば使わせない事ができるか。狙われる者が明確なら、さてどうするか。訓練にこいつを使ったのは、そういう一歩踏み込んだ考え方が出来るだろう好材料が揃っていたからだ」 ほほう、と秋火が嘆息する。 「確かに考え方ひとつで、決着がどうなるかの薄氷の境界があった様に思えるぜ。空も飛ぶしな」 「そうだな。逆に完封もできうる。そういう敵だった」 訓練でこの敵が選ばれた理由が述べられた時、美虎がぴこんと脳裏の電球が光る。 「なるほろ。そういう意味だと、もう一個の訓練の方も実は似た感じだったわけだ」 「そういうことだ」 美虎はもう一方の訓練にも参加していた。 激しき神の火での戦い。そして此度のキマイラ戦を比較して振り返る。 「なるほろ、なるほろ。むっちゃためになりました! 動いたからお腹すいた!」 オレンジジュースを飲み、にっこり笑う。諸々を大量に追加注文する。 「フュリエとして、アークの一員としてしっかりやれていたか聞いてみたいです」 シャルティアが小さく挙手して尋ねる。 十分であったと皆から頷きと肯定が返ってきて、「最後の詰めにブレイクを用意していたのが良かった」等、誰ともなく返事が来て、嬉しくなった。 今迄、一生懸命メモをとっていたシェラザードも頷きながら。 「一歩踏み込んだ考え方。――なるほど。皆さんのお話は大変参考になります。メモを取って、私も次に活かしましょう」 アルコール無しだというのに、ボトムの飲み物に詳しくないから、しれっとサワーが注文されていて。 「?!」 そして一口でシェラザードはぶっ倒れる。凄まじき下戸。 「わ、私が送っていきますね」 同じフュリエのシャルティアが、シェラザードを介抱する。 ここで、涼子が頬を掻く。 「……みんなの戦い方を見てるよゆうがわたしにないかな。ほんとにいつもイヤになるよ、自分がどんだけ弱いかって」 一心不乱。訓練中、他の人の動きをまるで見れていなかった涼子は、最後に問いかける。 「結果的にどうだった? 粋狂堂から見てでいい」 「結果か。そうだな。私から見た感じとしては――」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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