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エリューションかき氷(※尚、放っておくと溶けて死ぬ模様)

●一番苦労したひとがMVPの模様
 この季節でもやっぱり熱い南の島。
 なんもなくて狭い無人島に一人のおっさんが漂流していた。なんか船から落ちたとかそんなんだと思われる。
「く、俺のサバイバル生活が続いてから一ヶ月。火をおこすのも慣れたもんだぜ……フウッ」
 開放感のあるコスチューム(全裸)で両乳首を上向きにこするおっさん。
 棒をこう、ぐるぐるやってこう……あの、子供の頃とかよくやった、縄文時代てきなアレで、こう、苦労して火をつける。
 ぱちぱちと燃え始める火に、上手に枝とか突っ込んで大きなたき火にする。
「この調子でイカダとか作って逃げちゃおうかなあ……おっと」
 遠くからみても分かるようにと開放感を阻害する衣類(パンツ含む)を木の棒にさして砂浜に立てまくっていたのだが、その一本が今倒れた。
 こりゃいかんと立て直そうとした……その時、茂みの奥から『奴』が現われた。
『カーキゴオオリイイイ!』
 かき氷屋台でよく見かける発泡スチロールのお椀に山盛りになったかき氷……を、そのまま全長3mくらいにして、おっさんの手足を生やした感じの化けもんである。
「ぎゃああああああおばけえええええええ!」
 おっさんはびっくり仰天! 棒(パンツつき)を投げ捨てると、自ら海に飛び込み豪快なバタフライで泳ぎ始めたのだった。
 後におっさんは人里に流れ着いて生還するのだが……さておき。
『カキゴオリィ……』
 茂みから現われ、日照りの下でたたずむ化け物……もといエリューションかき氷。
 彼はじんわりと溶け始めていたのだった。

●かき氷の弱点は……くっ、何だ! 全く分からない!
 アイワ ナビ子(nBNE000228)がかき氷器をぐーるぐーる回していた。
「春めいてきて、ちょっとアイスとか食べたい時期になってきましたよねえ。で、去去年買ったあずきバーが出てきて食べてみたんですよ。そしたらもうしもまみれであずき味の氷じゃんっつってね!」
 ナビ子の説明によれば、どうやらエリューションゴーレムが無人島に現われたんだそうだ。
 で、それを倒さなきゃいかんのだそうだ。
「まあでもほら、溶かして食べればただのお汁粉じゃんつって、溶かしたんですけど、こんどは薄くなりすぎてあずき味のお湯になっちゃって!」
 アークに名を連ねるリベリスタの皆さんならきっとできると信じているぞ!
 がんばれリベリスタ! まけるなリベリスタ!


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 10人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年03月26日(火)23:10
 八重紅友禅でございます。
 かき氷のシロップって、実はみんな同じ味なんですよ。香りを変えてるからなんか違う気になってるんですよね。香りは味の一部なんですよ。

●エリューションかき氷
 かき氷のお化けです。
 弱点はいったい何なんだ! わからない! まったくわからない!

 なお、こいつを倒すのに一番苦労した人をMVPとします。
 別名『いちばんおいしいで賞』。
参加NPC
 


■メイン参加者 10人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
ソードミラージュ
須賀 義衛郎(BNE000465)
マグメイガス
ラヴィアン・リファール(BNE002787)
クリミナルスタア
烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)
クリミナルスタア
宮代・久嶺(BNE002940)
ダークナイト
街多米 生佐目(BNE004013)
ホーリーメイガス
宮部 春人(BNE004241)
ナイトクリーク
浅葱 琥珀(BNE004276)
クリミナルスタア
貴志 正太郎(BNE004285)
ダークナイト
★MVP
ヴィオレット トリシェ(BNE004353)

●味覚と嗅覚は大体同じものなので香りの違いは厳密に言えば味の違いなのかもしれないからシロップの豆知識をドヤって語ると恥ずかしいかもしれないぞって友達の結婚式の時に実戦して思ったけどこれ本編に何の関係も無いエピソードだよね死ぬわ。
 小型ボートのエンジン音が、水鳥たちの声に混じって低く鳴る。
 海を走る風が、『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)の頬と髪を撫でていった。
「よく『無人島を探険!』みたいな番組がありましたけど、子供の頃は幼心に『テレビ局の人いるじゃん無人じゃないじゃん』と思っていたものです……まあ今回の件とは関係ないんですけど」
「あれだけ爽やかな導入アニメーションを想像させておいて関係なかったの!?」
 ボートの先端でタイタニッていた『覇界闘士<アンブレイカブル>』御厨・夏栖斗(BNE000004)と『男一匹』貴志 正太郎(BNE004285)が驚きと共に振り返った。
 逆流していく風。
「まあ、今回はかき氷の話ですし」
「かき氷な……ああ、そういえばシロップがみんな同じ砂糖水って聞いて驚いてたけど、オレの家だと普通に砂糖水かけてたんだけど、あれ、もしかして貧乏だからだったのか……?」
「『みぞれ』のレシピが水と砂糖だから、別に普通なんじゃね?」
「そ、そうなのか!?」
「ガチのやつだと水あめとかゼラチン混じってるけど、基本一緒だよね」
「そうか……」
 この手のやりとり、前にもやりましたね。
「まあ、シロップがなければただの氷……食べ物と呼ぶにもおこがましいですしね」
 さらっと二人の後ろにくっついてディカプリオ二号になる『ヴァイオレット・クラウン』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)。
 彼らの後ろに連結してディカプリオ三号になる街多米 生佐目(BNE004013)。
「それにしても、この時期にかき氷だなんて……フフ、ブレイブですね」
「一足先に夏気分、って感じだよね」
 そっとディカプリオ四号になる『刹那の刻』浅葱 琥珀(BNE004276)。
「しかも無人島でなんて、ロマンがあるよ」
「ねえ、みんなさらっと流そうとしてるけど、シロップの味がみんな同じだったのってショックじゃないの?」
 ディカプリオ五号になりつつ呟く『雇われ遊撃少女』宮代・久嶺(BNE002940)。
「アタシなんてアレよ、シロップ五色くらいかけて尚且つ醤油までかけてお姉様に『スーパートロピカルハワイアンオブバッドヘブン!』とか言って突きだしたのよ。あの時のうっすらとした苦笑いがこのせいだったなんて……違うわよね、きっと違うわよねお姉様……」
「ねえやめて、首掴んで力入れるのやめて」
「まあ、たいしたことじゃ無いけど……ちょっとショックだよね……なんだかね……」
 最後に量産型ディカプリオと化しつつ呟く『バイト君』宮部 春人(BNE004241)。
「まあ、あの極彩色と香りはお祭りのための化粧と思えば楽しいもの……なのかもしれないね」
「……ねえ。どうでもいいけど、なんでみんなタイタニッてるの?」

 一方その頃。
「無人島のサバイバル生活とか憧れるよなー。俺もモリで魚獲ったりして暮らしたいぜ……ロマンと冒険があるよ……」
 ちょっとウットリとした顔で『スーパーマグメイガス』ラヴィアン・リファール(BNE002787)は木の板をぐいぐいやっていた。
 どこにぐいぐいしてるのかって、お手製のイカダを前に進めるべくこぎまくってるのだ。
「フフ、世は大航海時代……」
「大後悔時代ですって? 負の遺産か何かなの?」
「ちょ、やめろって。偉い人からハチャメチャが押し寄せてくるだろ」
 『うみのいきもの』なる本の上から顔を覗かせる『中二病になりたがる』ヴィオレット トリシェ(BNE004353)。
 ちなみにイカダに乗っているのはラヴィアンとヴィオレットの二人だけである。
 名前の響きがちょっぴり被る二人だが、逆に言えば噛み合っているのは名前の響きくらいなものだった。
「静かにして。今、カキ氷の生態系について調べてるの」
「生態系……」
「ウグイスガイ目イタボガキ科……」
「それ牡蠣だよ! 海洋生物のほうだろ!」
「つまり牡蠣氷。普段岩場に生息する牡蠣がゴーレム化して浜辺に現われたという認識でいいのよね?」
「『いいのよね?』じゃねーよ! 目をキラッてさせるな!」
「天敵はヒトデらしいから、途中で捕まえていくわよ! さ、泳いで!」
「泳いで!? でもイカダが……あっ、だめだこのイカダ流される! そして俺も状況に流されてる! この俺が!? ええいどうにでもなれだ! 必ずたどり着いてみせるぜ!」
 シュノーケルをすけてぴょいんと海に飛び込むヴィオレットに続いて、ラヴィアンは暫くわたわたした後意を決して海へと飛び込んだのだった。
 尚、彼女たちが目的の陸地にたどり着くのは相当後のことになる。
 二人だけなのに異様に描写が多いのはそのせいである。ごめん。

●全然関係ないんですけどらるとんとかやきごてんとか語尾にんをつけるとやけに可愛くなるかおいしそうになるかの二択じゃないですかん?
 いきなりで申し訳ないが。
「くっ、全く弱点が分からない……それでも、僕は戦わなくちゃ。僕は、ヒーローだから!」
 解けた氷が頬を伝い、夏栖斗は手の甲でぬぐった。
 拳をきしむ程握りしめ、力を込める。
「いくぞかき氷! 魔氷拳ええええええええええん!」
『カキゴオリイイイイイイ!』
 そんなかき氷に背を向けて、エーデルワイスはそっと自らの指輪に口づけをした。あと後ろで連打するかずとん。
「かき氷よ。シロップのないお前はただの氷。そう、かき氷の主役はシロップなのです……!」
 両手を大きく開き、天をあおいで叫ぶエーデルワイス。あと後ろで連打するかずとん。
「納豆の無いご飯も、バターの無いパンもおいしいでしょう。しかしシロップの無いかき氷は!?」
 今度は反対に両手をぎゅっと握って首を小さく振る。あと後ろで連打するかずとん。
「そうなのです……つめたくて、ただ、つらいだけ……」
 目を瞑り、彼女の片目から一筋の涙が零れた。あと後ろで連打する以下略。
「シロップが無ければ存在価値が無いのです。悲しいことに、これが真実なのです!」
 両手でもってゆるく顔を覆い、わなわなと肩をふるわせる。あとかずとん。
「……だが、愛そうではないか。非リア充でモノクロなライフを送る私には、必要とされない悲しみが分かってしまうのですね」
 手を滑らせるように胸元で合わせ、冷たい吐息を漏らす。あとかず。
「シロップなどいらぬ! 小豆もなしです! ただあしのままのあなたと向き合い、ただ氷のあなたを食らおうではないか! あなたが、消え去ってしまう前に!」
 震える両腕を精一杯に広げ、ぐるりと振り返るエーデルワイス。
 くてっとスタミナ切れを起こすかずとんと、もっさり氷だけが増えたかき氷がそこにはいた。
 余談だが、今のシーンをアニメにするとセル画五百枚分に相当するぬるぬるモーションになります。BNEのアニメ化をお楽しみに。
 あともっと余談だが、エーデルワイスさんが『なのです』口調だということを今さっき知りました。これまで幾度となく描いてきたクールビューティーは誰だったのか。
 などと。
 一粒残らずイートしてみせましょーと言いながら飛び込んでいくエーデルワイス。そんな彼女とは反対側。つまり裏側では生佐目たちがかき氷を軽くすくってお皿に移していた。
「別に、アレの弱点を突かなくともかまわんのだろう?」
 ニヤっと笑いながら肩越しに振り向く生佐目。
「かき氷の弱点。それは、かき氷としての存在を否定すること……!」
 やり過ぎた効果線のなか、ばばーんと振り向いた生佐目の手に乗っているもの! それは!
「不知火だぁー!」
「熊本県を発症とする清見とポンカンの交配種で小売店ではデコポンと混同されてしまうが比較的風味が高く酸味も抜けやすいということで贈り物に喜ばれるあの不知火だぁー!」
「……今のおじさん誰ですか?」
 生佐目は茂みの奥からアウトインしたおっさんの集団に首をかしげつつ、桜の葉と大量の粒あんをタッパーから取り出してきた。
 そしてかき氷をおにぎりくらいのサイズに取り上げると、中に粒あんをつめ、塩漬けにした桜の葉に包んだ。
「桜餅ならぬ、桜氷……風ッ流ッ!」
 妙にシャープなポーズで桜氷を掲げる生佐目。
「ていうかそれ、手に持ってる時点でガンガン崩れていくよね」
 少し離れたところでぼーっと状況を見ていた春人がぼそっと呟いた。膝から崩れ落ちる生佐目。
 春人としては普通に攻撃とかして普通に倒して普通に経験値もらえばいいんちゃうのかくらいに思ってはいるが、だからといってみんなの空気を乱すのもなあという、前にも後ろにも行かないフォーマルなポジションから状況を客観視していた。
 なので今回、春人が実質的にやっていることは『黙って付き合う』だった。
「どうしたの、かき氷嫌いだった?」
 琥珀がフルーツを搾りながら振り返る。
 よく、フルーツパーラーなんかで販売しているトロピカルフラッペを作っている、ようだ。
 『ようだ』というのは、琥珀のポジションがジェラートショップなので、振りかけるシロップが感本格的なジュースになっているからである。
 できあがったものを食べると、かき氷と言うよりはフルーツの盛り合わせとそのジュースを保冷するために氷があるような、そういう印象になる。というかなった。この場合はもう、氷は残してしまった方が正しいのではないかと思うレベルである。
「本物のかき氷は違うよな。香りで誤魔化したシロップとは質が違う……」
「オラァ! その気持ち悪い脚は邪魔よ!」
 久嶺がかき氷の後ろ膝を喧嘩キックで転ばせ、ついでに関節を逆向きにふんずけてへし折るという、あんまり人にやるべきでない技をナチュラルに繰り出していた。
「まだ暴れるの? なら腕ももいでやるわ!」
 腕ひしぎから無理矢理引っこ抜くという、人間が絶対やっちゃ行けない技をナチュラルに繰り出す完全極悪地獄少女久嶺様。
「あははははは! アタシに食われことをありがたく思いなさい!」
 血(いちごシロップ)がだくだくとあふれる腕を歯に咥え、開いた瞳孔でぐわりと笑う久嶺。ここだけタッチが平野耕太だった。
「なんでアイツこんなに殺気だってんだ……」
 恐怖に身を震わせながらもかき氷をナチュラルに食べ始める正太郎。
「シロップは色々持ってきたんだよな。イチゴにメロンにブルーハワイ……ん? ブルーハワイって結局何味なんだ? 香りだとしても何の香りなんだ?」
「カクテルの種類で、香りとしてはラムとパインとレモンの混合よ」
「うわ! 腕咥えたまま普通に受け答えするな!」
 ちなみにココナッツミルクをくわえればブルーハワイアンに進化する。派生して練乳がけもある。
 それはそれとして。
「やっぱかき氷と言ったらベロをかき氷色に染めるコレだぜ! 色が大事なんだよ色が! このどぎつい原色がオレのソウルをビビットに振るわせるぜ!」
 かかかかかーっとがっつくようにかき氷を平らげる正太郎。
 尚、その頃ラヴィアンとヴィオレットはヒトデやムラサキガイをがしがし獲りながら一路戦場へと泳ぎ続けていた。以上である。すまない。
「……今、少しだけ場面が移動したような」
 義衛郎はおとなしくかき氷に練乳をかけつつ、ごくごく普通に食っていた。
 どうでもいいが、ここまで氷持って行かれても無抵抗っぽいかき氷もいかがなものだろうか?

●かき氷にも致死量があるというがそれ以前にかき氷ばっかいつまでも食わされたら自主的に死にたくなるわっちゅーねん
「うおお俺の純情を返せええええええ!」
 手を手刀の形に変え、顔を平野耕太タッチに変え、琥珀はかき氷のボディに超高速の連続抜き手を繰り出していた。
「子供だからって小手先の添加物で誤魔化しやがって、本物のメロンを知らずにメロン味に浸っていた子供の気持ちを思い知れ! そしてこいつを食らいやがれ!」
 レモンシロップをボトルキャップごと外すと、どばどばとかき氷の頭からかけていく。
「この安っぽい味が楽しみだったんだ。毎年の夏を楽しみにしていたんだぜ。でも俺の信じたレモンは……レモンじゃなかった。砂糖だったんだ……」
 膝から崩れ落ちる琥珀。
 黄色い滴が頬を伝い、顎からぽたりと落ちた。
 そんな彼の肩を優しく叩く正太郎。
「そんなかき氷も、オレは好きだぜ」
「正太郎氏……」
「いただきます!」
 何か錬成するんじゃないかってくらいの勢いで両手をぱしーんと合わせると、正太郎は大きいカレースプーンで直接かき氷をくらい始めた。
「うおおおおおレモン味が体にしみるぜっていうか氷が歯にしみ……ぐあっ、虫歯に、虫歯にしみうごごおっがああああああああ!」
 声に鳴らない声をあげてのたうち回る正太郎。
 すっごい余談になるが、冷気無効をしていたんだそうだ。厳密には冷気無効はBSダメージのカットであった『あはは寒くなーい』ではないので冷たさはナチュラルに感じるし虫歯もダイレクトアタックなのだがそんな説明今はむしろされたくなかった。
「なんでだああああああああ! 『頭にキーンと来ないかき氷なんてかき氷じゃねえ』といってあのキーンに向き合う予定だったオレの計画が、計画がああああああああああ!」
 キャプチャー画像をネットにたびたびアップされちゃうんじゃないかってくらい作画を崩壊させ、頭と顎を引きちぎらんばかりに押さえる正太郎。
 そんな彼の後ろで、春人はひとり黙々と木の棒を板かなにかにこすりつけていた。
 こう、棒を両手で挟むように持って、竹とんぼでも飛ばすみたいに延々ねじねじし続けるのだ。
「意外と難しいなあ……コツがいるのかなあ……」
 よく教科書に載っている縄文時代的な火おこしには、乾燥した葉っぱを粉状にしたものを間に挟み、僅かに火がおきた所を狙って更に乾燥した葉を集めて火を大きくしていくという過程が必要であって、実はコツというより道具の方が重要だったりする。
 ちなみにもっと簡単なのは、ほぐした枯れ葉をかまど型に囲った小石の内側につめ、葉っぱに小さく穴を開けて水滴をはめ込んだ即席レンズで陽光を増幅、日射による点火を行なうのが近道である。どうでもいいが。
「すみません。駄目でした」
「えっ、何が!? 僕いまちょっと手が離せないんだ! ブルーハワイがさりげにカクテル名だって知った時のショックもあるし、かき氷の周りをひたすら『ひとりマイムマイム』しながらアッパーユアハートする仕事があるんだ!」
「すみません何言ってるのか理解できません」
 ディーフェンスディーフェンス言いながらかき氷の周りをぐるぐる回る夏栖斗である。
 その後ろでは色々飽きてきたのか義衛郎が他の人たちとかき氷を交換していた。
「ああ、こめかみがズキズキする……そもそもこれって何の依頼だったかな。かき氷食べる依頼? まあいいか……」
 前パートの出番が少なかったからなのか、無駄にしっかりした作画でかき氷を作り始める。
 イチゴシロップの上に練乳、ゆで小豆とバニラアイスを乗せた宇治金時サンデーみたいなやつである。
 これもこれで氷部分がオマケみたいな商品だが、一部では結構人気な商品だったりもする。鎌倉とかその辺で。
 かと思えば生佐目が久嶺に水溶き練乳を大量にふりかけて『サービスシィィィィン!』とか奇声をあげているし。
 久嶺は久嶺で『感謝しなさい!』とか言いながらセクシーなのか何なのか分からないポーズを取り始めるし。
 まあ折角だから膝立ちでこちらを見上げた久嶺が雨粒をためるかのように合わせた両手と顎に水溶き練乳を振りかけたピンナップを想像したりしてほしい。そしてアニメ化を楽しみに待っていてほしい。
「じゃ、男子にもかけるわね。ほら義衛郎こっちこっち」
「え、ちょっと待ってオレそういうポジションじゃうわああああああ!」
 さっきの久嶺を義衛郎にかえて想像して頂きたい。そして後悔して頂きたい。
 と、そこへ。
「間に合ったああああああああああああ!」
「マシタワー!」
 海辺からヒトデやら貝やらを大量に網詰めにして、ヴィオレットとラヴィアンが現われた。
「さあ切り裂け、忍者殺法・星阿修羅!」
 とかいいながらヒトデを投げまくるヴィオレット。
 一方でラヴィアンが飛びかかり。
「ここで秘密兵器の登場だ! カレー粉をかければ何でも食えるのルールに従って……くらえええええ!」
 ばさーっとカレー粉(というかガラムマサラ)をかけてかき氷をがっつくラヴィアン
『カ、カキゴオリイイイイイ!』
 何でかヒトデとカレー粉まみれにされたかき氷は、最終的にラヴィアンのお腹に収まるというヘンテコな結果に落ち着いたのだった。
 ハッとして顔を上げるエーデルワイス。
「よく考えたらこの依頼、かき氷食べてるだけでしたね!?」
 今更である。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 たまにはこんな依頼があってもいい。
 MVPは最後の最後までかき氷を理解せずに帰ったヴィオレットさんに差し上げます。
 アークで学べる一般常識とは何だったのか。