●尚、MVPは『一番おいしかった人』になる模様 世は混沌だ殺戮だ死体人形だのとサツバツホラーショーしておりますが、こんな時だからこそ笑いたい。肩の力を土砕掌でぶち抜きたい。猥雑なこというと気気持ち(フェイト)を回復したい。そんなリベリスタがいるはずだ。君もそんな気持ちに、なってはいないかい!? 『ということで、君たちには今からアークに名を連ねるエースリベリスタたちの生け贄になって頂こうと思う』 「…………」 「…………」 補助員 サポ子(nBNE000245)。 アイワ ナビ子(nBNE000228)。 並べて書くと何かの親戚みたいに見える二人が、マイクロバスの一番後ろに座らされていた。 他には誰も乗っていない。謎の覆面をした運転手さんだけである。 なら冒頭の語りはだれがやっているのか? 現存しているとは思えない奇跡の品ことバス備え付けのブラウン管テレビに、覆面の男が映っている。 全身ワインレッドのテーラードスーツに赤いネクタイ、黒いワイシャツ。顔には『BNE標準アイコン』が顔面部分にプリントされた白い覆面をつけ、その上へ無駄に眼鏡とかかけていた。謎の人物である。わからない、いったい誰紅なんだ……。 『現在、とある高等学校をまるごと貸し切っている。君たちはそこにかかっている学生制服を着て登校してもらう』 ちらりと窓際を見る二人。 そこには古式ゆかしいセーラー服が二着かかっていた。 『まずは朝の登校。校門を潜ってから、一晩を学校内で明かし、翌朝同じ時間に校門から出るまで……これがゲームの所要時間だ。分かっていると思うが、この間クスリとでも笑ったら私がこのボタンを押し、アウト宣言をする』 ボタンをポチッと押す何紅さん。デデーンという音が流れた。 『アークのリベリスタたちが集まり、君を笑わせ、時にはお仕置きに走るだろう。頑張って耐えたまえ』 「しつもーん!」 びしっと手を上げるナビ子。 はいどうぞと指を指すアレ紅。 「笑わされる役はこの二人だけなんですか?」 『途中にちょこちょことゲストが入る。主にリベリスタがプレイングで「この人呼んでくれ」と言ったら電話で呼ぶ。来なかったら私がいじけるだけだ』 「プレイングいうな」 『君たちのがんばりに期待しているぞ。ではさらばだ』 最後にデデーンという音が鳴り、画面がぷっつんと途切れた。 マイクロバスが、学校へと近づいていく。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年04月03日(水)22:56 |
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●午前八時、登校。 「おうおまえら、よう来たな……」 ナビ子とサポ子(セーラー服にチェンジ済み)がバスから降りると、赤いジャージを着たおっさんが竹刀片手に立っていた。絶望的な棒読みで語り始める。 「いまからおまえらには、この――」 「トムソンキィィィック!」 校門を飛び越えてきたミリィのトムソンさんがおっさんの後頭部に両足揃えのスタンプキックをかまし、顔から地面に叩き付けた。 右手をご覧下さいのポーズをとるミリトムさん。 「はい皆さん、今からは私をミリィ先生と呼ぶように。その門を潜った瞬間からお二人はこの学校の生徒となります。ここからは絶対に笑ってはいけませんよ、では……」 無言で足を踏み出すサポ子ナビ子。右足が地面についたその途端! 「こんにちは! ラルカーナから来ましたエフェメラです! よろしくおねがいします!」 無駄に出待ち(入り待ち?)していたエフェメラが頭下げて握手して手ぇ振って帰って行った。 無言で見送る一同。 「あの子何しに来たの?」 「さあ……フェイトも満タンらしいですし……」 「あえての『現世をよく知らない人』ロールかもしれない」 「それ言ったら駄目なやつです」 メタい雑談を交わしながら校舎へと入っていく三人。 その姿をアンリエッタは木陰からじっと見つめていた。 じゃあそこで上履きに変えるようにと言われ、二人は下駄箱の蓋を開けた。 開けると、ナビ子の髪型をしたショボンぐるみとサポ子の髪型をしたシャキンぐるみが入っていた。 「……」 「……」 無言で取り出す二人。 唇を強く噛む二人。 ナビ子はそっと自分の顔とぬいぐるみを重ねてこう言った。 「雑用に関して私の上に出る者はいません!」 「ぺひゅん!」 \デデーン/ \サポ子ーアウトー/ 「初お仕置きは頂きました!」 「え、ちょ、今のは反則! 反則です!」 近くの掃除用具入れを豪快に開いて飛び出すアラストール。 懐から自動でうぃんうぃんする猫じゃらし的なものを取り出し、嫌がるサポ子を組み伏せ肉体という肉体を蹂躙し始めました。あえてエロく言いました。 「あっ……やっ、ひゃ……ひゃあん! はっ、あっ……むり、むりです! こんなに何度も、いやっ……!」 「ええい大人しくして下さい、すぐによくなりますから! 先っぽだけですから!」 「…………」 肩をふるわせてうずくまるナビ子。 \デデーン/ \ナビ子ーアウトー/ 「待ってまだ笑ってな――」 「二番手は貰ったよ!」 同じく掃除用具入れ(何台あるんだろう)から出てきたヘンリエッタが猫じゃらし片手にナビ子へと飛びかかった。 「ちょっ、まっ、アイエエエエエエエエエ!?」 じたばた暴れるナビ子。 そんな姿を、アンリエッタ(名前まぎらわしい)が下駄箱から顔だけ出して見つめていた。 ……一分後。 「これが校内の案内ポスターです」 『モーツァルトは神だって言ってんだろ!』と書かれた音楽教師のポスターやさりげなく配置されたエノキダケの花瓶とかをプルプルしながら通り抜ける一同。 すると。 「デュランダルパワー!」 魚の画を突き破って氷花が飛び出してきた。と言うかマグロ被った青タイツの女が廊下へとダイブし、びたーんと腹からいった。 しばらくビチビチし続ける氷花。 またごうとするナビ子たちを必至にビチビチしながら進路妨害し続ける氷花。するとナビ子たちの隣にいつの間にか弐升がカタカタ体を揺すりはじめた。 「ハハハこやつめ。ハハハハハハハハハ!」 サポ子の横数センチまで顔を近づけて笑う弐升。 「ハハハハハハハハ! ハ…………アハハハハハハハ!」 必至に唇を噛んで耐えるサポ子。 ここでうっかり笑いまくるわけにはいかない。 お仕置き係だらけになるだろうと思われた今回の企画は、聞けば十人くらいしか集まらなかったという。逆に仕掛け人は五十人近い。八割耐えなければネタが尽きるのだ。 そんな都合を知ってか知らずかプルプル震えていると、購買部と書かれた看板の下からツァインが生えてきた。 茶髪ポニテとサンバイザーつけたFF店員コスしたツァインである。っていうかナビ子コスである。 「らっしゃーせー……あー、暇だなあ。あんかけの五目炒飯になりたい。先輩いちごシェイク作ってー! そうそうこれこれ……うぐっうう゛ぇあおろろろろろろろろろろろ!」 一通りモノマネしたあとエチケット袋のお友達になるツァイン。 「私いつもあんななん?」 「インパクトのせいでゲロキャラと間違われてるところも含めてあんなです」 「あんな吐いてないよ。『生まれたままの闘士』の全裸率くらい低いよ」 「あんまりイメージ壊すとあにゅ神さまに悪いですもんね」 ツァインの目の前を通り過ぎていく二人。 一方のツァインは。 \デデーン/ \ツァインアウトー/ 「マジかよ! 俺だけアウトってどういう……」 「ツァインさんお久しぶりです。これもお仕事なので……すみません!」 「あれおまえ乱叉じゃ。その竹槍何に使うの? 何で俺カウンターに押さえつけられてんだ!? おい誰か、だ……アアアアアアアアアアアッ!」 ツァインさんの断末魔、諸行無常の響きあり。 じゃあそろそろ教室に案内しますと言われ階段にさしかかった、その時。 「ホモォでござる」 は虫類を丸くしたような着ぐるみに身を包んだ虎鐵がでろんと出現した。 カサカサと駆け回るホモォ虎鐵。 口に手を当てて上を向くサポ子。一方でナビ子はニヤリと笑ったままその場にうずくまった。 「反則……ロリコンにホモォさせるのは反則……」 \デデーン/ 「さあ、お仕置きの時間だよ! はしばぶれーどが唸るよ!」 羽柴ミサイルが天井からつり下がってきた。 具体的に言うと蓑虫のようにロープぐるぐる巻きにされた壱也だった。 「……」 「……」 「……わたし知ってるよこのくうき」 とか何とか言ってると葬識と甚内が近くの扉からひょっこりと現われた。 「年度末だから楽しもうねー」 「ねー☆」 「でたああああああああああ!」 蓑虫状態でうねうねする壱也。 「じゃ、まずはコレ行くねー」 葬識は去年の冬休みに壱也が有明で手に入れてきた薄い本を取り出し。 甚内は大型シュレッダーを取り出した。 「うわああああああああああそれわたしのお気に入りのサークルさんの」 「はい裁断」 「うわああああああああああああああああああああ!!」 血の涙を流す壱也。 「じゃあ次この本ね。やっぱいい悲鳴奏でるなぁー羽柴ちゃんはー」 「やめろおおおおおおおおおおおお! ほどけええええええええ! 嫁をやるならわたしをやれえええええええええ!」 ホモォォォォォォォォォ! と雄叫びをあげるロリコ鐵じゃなくて虎鐵。 それは壱也の悲しみを悼む空砲のようであった。 ●午前九時、授業開始。 新手のSMプレイを階下に残し、ナビ子とサポ子は教室へと訪れた。 言われたとおりに席に着くサポ子。 教科書を取り出そうとすると、机から司馬鷲祐プロマイドが出てきた。 完全なキメ顔でゆるく腕を組んでいた。黙って天井へ視線そそらすサポ子。 「………………」 「………………」 天井から司馬鷲祐がぶら下がっていた。 完全なキメ顔でゆるく腕を組んでいた。 「お釜にポン!」 「ぴぎゅん!」 \デデーン/ \サポ子ーアウトー/ 「がおー! おしりぺんぺんだー! おしおきだー!」 教室の扉がガラッと開きロリロリじゃなかったエリエリが飛び込んできた。 「あっ、エリエリ様かわいい……て痛っ!」 豪快に素振りしたかと思うとやけにそっと叩いて帰って行くエリエリ。 これでじゃあくろりの役目は果たしたのでーすとか言いながら帰って行く彼女を、ナビ子は黙って見送った。すると、入れ違いにベルカと財布ライダーさんが教室に入ってきた。 「グーテンモルゲン同士諸君! 今日は共産主義について勉強するからな!」 「またいきなり危ない発言を」 「これがギャグになるのって日本くらいなもんですよね」 「ええい黙れ。まず私的所有は悪です! 富を生み出す生産手段は共有化されねばなりません。いいですか、この考えが全世界に広まれば争いは無くなり平和な世界がやってきます」 「先生ー、でも俺たち資本主義に生きてるんですけ」 「うるさい」 小銃を取り出したベルカが戦闘員の皆さんに発砲。 「黙って授業を聞けー! さもなくばこの私が……あっやめて無駄に強い戦闘員さんはちょっとうわあああああ!」 戦闘員の皆さんにワッショイワッショイされながら退場していくベルカ。どこか遠くで「しゃいうざー!」と言う声と共に閃光爆弾が破裂したような気がしたが、ナビ子とサポ子は鋼の顔面防御で真顔を維持していた。 一限目の授業は以上だから理科室へ行けと言われ、大人しく移動する二人。 いざ扉を開けると。 「デデーン!」 瑠琵が銃片手に待ち構えていた。 目の前に設置されたビニールプール。イン、ウナギの群れ。 「……あの、これは一体」 「ヌタウナギのヌルヌルは(中略)美容にいいから実験するのじゃ」 「要するに?」 「サポ子、視聴率確保のために入れ」 「嫌です! 大体そんなことして絵的に許されると思っているんですか!」 「ええいCWみずからえっちっちとやらを出す世界で何を言っておる! 大体たぢま絵師のエロ耐性ならば不可能ではないぞ。代表作やんデレをはじめ多くの――」 「おいやめろ」 イヤーと言いながらウナギプールに突っ込まれるサポ子(いつかイラスト化されるって信じてる)。 そんな彼女をできるだけ見ないようにしつつ、ナビ子はテレビの方へと向き直った。 教室備え付けの液晶テレビが表示される。赤い紙袋を被った赤スーツの男が映っている。 「授業を楽しんでいるようだな。では次に、教育ビデオを見て貰うことにしよう。VTRスタート!」 無駄なポーズと共に始まる『ねこのせいたい』という動画。 大写しになるレ○ライン(目の部分に黒線)。 『猫は人間のペットとして広く生息しています。今回のそんな猫のセイタイを学習していきましょう』 「何じゃこのバイト。撮影? 変なことしない? ならいいんじゃが」 『ではまずフレーメン反応から』 レイラ○ン(ずれ始める黒戦)の前に靴下が運ばれてくる。 「うわくさっ!」 『このようにフェロモンを感じると口を半開きにして笑ったようなアヘ顔をします』 「え、笑え!? 笑えるか!」 『次に発情期ですが、還暦達するまでは発情しても全く意味は無――』 「おいカメラ止めろなのじゃ! どういうことじゃ還暦ってわらわ別に……何じゃそのウナギプール! やめ、やっ、いにゃああああああああああああああ!!」 ナビ子の前と後ろで同じような状況が繰り広げられる。 「……」 「……」 っていうかナビ子が二人に増えていた。 顔を見合わせるナビ子ズ。 「うわああああああ私がふたりいるうううううう」 「何という棒読み……」 偽ナビ子(っていうか怪盗スキル使った計都)はおもむろに立ち上がると、くるるんぱって二本指突きだしたポーズをとった。 「めつぶし」 「っ……!」 口に手を当てて目をそらすナビ子。びっちびちのぬーるぬるになってるサポ子とレイ○イン。 『理科の授業は以上だ。さあ、彼女を回収して美術室へ行きなさい』 「……ああ、はい」 ダブルナビ子は息も絶え絶えになったエロゲCGみたいなサポ子を回収すると、美術室の扉をがらっと開けた。 「ラヴィアン画伯だぜ!」 絵画用ボードの前に座ったラヴィアンがくるっと振り向いた。 ボードには『さおりん』と題された謎の前衛芸術が描かれている。何だろうこれ。末期状態の世界樹とかかな。でも横には『あいらびゅー』って書いてあるし、約束の木かな。 ラヴィアンはなぜか会心の笑みを浮かべると、両脇に立てられていたボードからシーツをはがした。 「これだけじゃないぜ! 見ろ!」 右は、髭の配管工をイメージしたナビ子。 左は。 「サポ子だ。今回のイメージはミッ」 \デデーン/ \ラヴィアンーアウトー/ 「初ハリセン、えいやー!」 飛び出してきたルナにハリセンを叩き込まれて転がされるラヴィアン。 「あっ、よかったらこのハリセン持って帰っていい? 記念に」 「ドンキで買った奴ですけど、そんなものでよければどうぞどうぞ」 ありがとーと言いながら帰って行くルナ。 そしてふと見ると。 「……」 「……」 イドと七栄がアルゴリズム体操のポーズをしていた。 黙って扉を閉めるナビ子。 数秒待ってから開けてみる。 「……」 「……」 アルゴリズム体操が進んでいた。 閉める開けるを暫く繰り返すと、紙芝居かってくらい正確に進んだ後、最後はフュージョンのポーズで固まっていた。 「……」 「……」 嫌な予感がしつつも閉めて、もっかい開ける。 「「……」」 イドと七栄が肩車して、胸に『イド栄』と書かれていた。 同時に崩れ落ちるナビ子、サポ子、偽ナビ子。 \デデーン/ \全員ーアウトー/ 「ソニックはりせーん」 真顔のリンシードが三人の周りをジグザグに飛び交いながら尻だの頭だのをばかすか叩きまくった。 帰り際、カメラ目線で呟く。 「お仕置きが私にはお似合いです。クールな私に笑いを取るなんてできませんからね。そこ笑うところじゃないですよ殺しますよ」 イド栄をずるずる引きずって帰って行く。その様子を窓の外からじっと見つめるアンリエッタ。 ナビ子たちは色々と見なかったことにして、痛いお尻を我慢しながら家庭科室へと向かった。 扉を開ける。 「やあ」 閑古鳥比翼子がいた。 「……オチ読めたわ」 「……オチ読めたね」 「……オチ読めましたね」 ヒヨコさんは油の煮えたぎる鍋を、ハイライトの無い目で見下ろしていた。 「今日は、美味しい唐揚げを作って貰うよ」 そうだと思ったよチクショウ、とか呟きながらチキンを卵に絡めてパン粉をぱふぱふする一同。 その横で遺影を抱えて立っているヒヨコさん。 「あ、気にしないでいいよ」 「……」 「……」 「……」 一同は無心に唐揚げを作り、たまにつまみ食いし、そして静かに家庭科室を出て行った。 そしてたどり着く保健室。 扉の前に立って、ナビ子たちは顔を見合わせた。 「誰が出ると思う?」 「凛子様でしょうか、参加者名簿に名前ありましたし」 「だよねえ。白衣といい眼鏡といいイメージ合ってるよねえ」 などと言いながら扉を開けると。 ムーディでアダルトなBGMと共にピンクのライトが室内を照らし出した。 ついでにカーテンの後ろから逆光が当たり、ふくよかな胸をしたシルエットが浮かび上がる。 ハイヒールを履いた靴がチラッと出た。 何度かじらした後……。 「セクシー保険医、なずな様だ!」 \デデーン/ \全員ーアウトー/ 「どういうことだコラアアアアアアアア!」 椅子を蹴倒すなずな。 胸から転がり落ちるリンゴ。 膝から崩れ落ちたナビ子たちは、やけに楽しげなシェリーにひたすら尻を叩かれていた。 「なぁにわらわは非力じゃし、そんなに痛くなかろう……てっ!」 「あひん!?」 「どうれ、もっと尻を出せ! 叩きにくいぞ!」 「ちょ、ま、一回じゃ無いの!? 一回じゃ……やひん!?」 一通り叩かれ終えたところで、ようやく凛子が姿を現わした。 「さて、随分叩かれたみたいですし。ちょっと治療しましょうか」 「主に尻ですけどね」 まあ凛子なら大丈夫かと思って治療を受けている……と。 「おなかすいたもるー」 「もるー」 もるぐるみを既婚だ嶺と義衛郎がひたすら巨大ハムスター車輪を回しまくっていた。 唇を噛んで遠い空を見るナビ子たち。 「「…………」」 「おみずほしいもるぅー」 「もるぅー」 数十分にわたる治療を、彼女たちは沈黙の中で過ごしたという。 尚、こちらのシーンは挿絵にならない気がしますのでご了承下さい。 ●午前十二時、休職のお時間。 そろそろご飯の時間だと言われ、大人しく教室にもどって席に着くナビ子、サポ子、ナス子。 「……」 「……」 サポ子ナビ子は一斉に三人目の方を向いた。 「……ナス子でっす!」 綺羅星ポーズで舌ペロする明奈がいた。 カメラに映るためなら命以外の全てを売るアイドルの姿がそこにはあった。 ちなみに役割欄の所には【(゜∀゜)=3】て書いてありました。意味はちょっと分からないんですがたぶん『ほら見て私のほっぺた引きちぎれる!』だと思います。 「ふふふー、私を笑わせたらたいしたもんですよー。さあ給食タイムのトップバッターは誰かなぁ?」 「楠神風斗です」 「…………」 給食ワゴン(今の人もこれ使ってるのかな)を押して教室インしてくる風斗。 髪をふぁさぁっとかき上げると、ラノベ原作アニメの主人公が決め台詞を言う感じの顔をして……。 「その牛乳は新鮮だぜ? なにせ……NEW製品だからな!」 と言った。 目からハイライトを消すナビサポナス子。 「いかんいかん、よく聞こえなかったのか? 牛乳が新鮮なのは、NEW製品だからだ。乳製品とNEWな製品であることをかけていてだな」 \デデーン/ \ハーレム王ー、アウトー/ 「ダメダシハンマーだよっ!」 扉をがらっと開けて突っ込んできた里央が『ダメダシ』と書かれた巨大ハンマーで風斗を窓からカッ飛ばした。 往年のシティーハンターを彷彿とさせるシーンだったが多分ナス子のポジションだこれ。 「じゃ、またね!」 アスファルトタイヤを切りつけながら暗闇走り抜ける風斗を無視して帰って行く里央。 「風斗、お前の仇は必ずとってやる……」 ガコンと寸胴鍋から飛び出す優希。胸に『ほむほむ(はーと)』って書いてあった。 「仕方ねえな、付き合うぜ……」 隣の巨大おひつ(これ今の子も使ってるのかな)からガコッと出てくる烈斗。胸に『バイバイてんさん』と書いてあった。 目からハイライトが消えたまま沈黙するナビ子たち。 「レッド、打ち合わせの通りだ。行くぞ!」 「おう!」 二人は上半身のシャツを脱ぎ捨てると、それぞれ「布」「団」と墨で書かれた胸をさらけ出した。 「布団があああああああ!」 「吹っ飛ん(ふとん)だあああああ!」 レッドを窓から放り投げ、自らも窓からダイブしていく優希。 うあああああああと言いながら地面へ落ちていく音を聞きながら、ナビ子たち三人は黙々と給食の準備にとりかかった。 『チキンカレー』と書かれた鍋をかぱっと空ける……と。 ヒヨコさんの遺影が入っていた。 黙って閉じるナビ子。 次に『早めにお召し上がり下さい』と書かれた鍋を開くと……なんかDVDのディスクが入っていた。 何気なく教室備え付けのデッキに入れてみる。 『プレゼントバイ翔太』の文字が出たかと思うと、海辺で一人佇むモヨタが映った。 なんかエノキダケが入った花瓶を胸に抱えていた。あと画面端に見切れるアンリエッタ。 「エノキダケ……エノキ……エノ……う、うおっしゃああああああ!」 何をとち狂ったか一気にエノキダケをすすり込み、喉につかえたのか悶絶し、そのまま崖から落下してった。 しばしの沈黙を挟んだ後、画面端から結衣がてててっと登場。リスの耳だのしっぽだのを軽く強調してから。 「リスの物まねします! もきゅもきゅ、ご飯美味しー」 ナッツをめっちゃ口に頬張ってほっぺ膨らませる結衣。 暫く無心に食い続けた後、一気にごっくんと飲み干し、ハッと気づいたように顔を上げた。 「ごちそうさま!」 そして終わる映像。 『完』の文字の下に『ナビ子ぐりぐり』と表示されていた。 「どういうことだチクショオオオオオあいたたたたたあだだだだだだ!」 どこからともなく現われた翔太にぐりぐりされるナビ子。 そんなナビ子を無視してサポ子ナス子は無心にカレーを盛りつけ始めた……その時突然校内放送が鳴った。 『上から来るぞ! 気をつ――!』 「と見せかけてぇー!」 窓を突き破って突っ込んでくる亘。 教室の壁に頭から突っ込むと、しばらくもだもだしてから頭を引っこ抜き、牛乳をチューチュー吸いながら何事も無かったかのように帰って行った。 さて、優希たちが出てきた鍋はとっくに窓から捨てたので、残る箱は『おかずAB』と『デザート』の二つだけである。 まずはおかずA。 開くとヒヨコさんが体育座りで入っていた。 何も言わずに教室の後ろから入ってくる巨大なフライヤー。 慌てて蓋を閉めるナス子。 ガタガタ暴れる箱をなんとか押さえつけたあと、隣のB箱を開いてみた。 人魚みたいになった久嶺がいた。 「私を……た・べ・て☆」 よく見ると下半身部分には卵と小麦粉を既にまぶしてあり、胸の所には『超絶美少女エビフライ』と書かれていた。 「フフ、一番おいしい人が優勝だなんて、もう決まったわね! 今日からアタシは超絶美味少女久嶺様として尊敬のまなざしを受ける日々が」 「じゃ、いこうか……」 死んだ目をしたヒヨコさんが久嶺を掴んでフライヤーへと引っ張っていった。 「え、ちょっとまって。それダメな奴。やったらダメな奴! や、ちょ、ね、熱湯CMぅうううううううううううああああああああああ!!」 煮えたぎる油の中に突っ込んでいくというか心中するヒヨコさんと久嶺さん。 乾いた目でそれらを見つめる三人の後ろで、『デザート』の箱がガタッと開いた。 「ふっふっふ、本日のデザートは……いちごです!」 怪盗ストロベリーは果物からサ○エさんが出てくるフォームで箱から飛び出した。 「ふっふっふ、りべれすため、あたしがアーク学園に潜り込んだとはゆめにもおもうまいです。残念ですが今からこの依頼はBERRY HARDになったのです!」 「いちごちゃんつづり違う」 「でもある意味であってる気もする」 「ごたごたうるさいのです、今からかれいなてくにっくでわらわせて、おしりぺんぺんされまくるがいいので、で……あまおうっ!?」 ワゴンの上に乗っていた箱が転倒した。当然ストロベリーさんは顔から倒れる。 口を塞いで一斉に天井を見上げる一同。 「……これはわざとなのです」 「うんうんわかったわかった」 「そうだねがんばったね」 「やさしい目をするなです!」 しばらくのたうち回った後箱から抜け出すストロベリー。 「もうおまえたちにいちごなんかやらないのです! いちごのへたがお似合いなのです!」 「ちょーっとまつのです!」 ガラッと窓を開いて乱入してくる心ちゃん。 「挑戦状をたたきつけるのです!」 手袋をべしーんと床にたたき付けると、懐から封筒を取り出して『わたくしこういうものなのです』『あっどうもどうも』と丁寧に手渡した。 『姫宮心の挑戦状』とか書いてあった。中を開くと「おのれ! すとろべりー!! キャラかぶってるのデス!」と書いてあった。マジでアイテム作ってくるとは律儀なやつめ……。 「では私から行くのです……はいっ、餃子!」 耳をぺたんと折ってみせる心。 「いいどきょうなのです! た、たらこっ!」 「「…………」」 謎の勝負が開催される中、黙々と具の無いカレーを食べ続けるナビ子たちの姿がそこにはあった。 ●午後1時、部活動見学。 「今日は半ドン(今の子知らないんだろうな)だ。だから残りの時間は部活動を見学していけ。あとそこのベリーさんは私と名前が被っているのが気にくわないので後に行なわれる『ドキッ! アークだらけのカオス大会! 下校もあるよ!』にぶち込んでおけ。アークリベリスタの真の恐ろしさを思い知らせるのだ」 とかテレビ画面に映る何紅さんに言われたので、ナビ子とサポ子は校庭へと出た。 すると。 「おいレェン! どうして遅刻した! 殺すぞ!」 地面に斧を突き立てた火車が怒鳴っていた。 しょんぼりとうなだれるレン。 「兄ユーリが昨日そのままにした空きレッドブルの山を片付けてたんだ……」 「そうか、お粗末な兄を持つと大変だな……」 火車は彼の素直さと健気さに心を打たれたのか、目元をぬぐって後ろを顎で示した。 「もういいぞ、野営準備しとけ」 「はいっ」 続いてレンの後ろで順番待ちしていた夏栖斗が前へ出た。 「カズトォ!」 「はい僕はでべろっぱ!?」 コンマ五秒でビンタを入れる火車。 きりもみ回転し、お尻を突き出した状態でうつぶせに倒れる夏栖斗。 「え、なんで今殴らればぶりしゃす!?」 持っていた斧をゴルフみたいにスイングして夏栖斗のお尻を強打する火車。もちろん斧は横にしてある。盾にしたらお尻が割れちゃうからね。 「やめて! 僕のケツが死びぶりぼん!?」 執拗に殴られ続ける夏栖斗。 口元を押さえていたナビ子がぺひゅうと何かを吹き出した。 \デデーン/ \ナビ子、夏栖斗、アウトー/ 「ちょ、まっ、僕関係な……!」 「ハイスピィィィドタイキックウウウアアアアアアアア!!」 高速でかっ飛んできた郷が夏栖斗の尻を全力でシューゥト! 超エキサイティン! とか言ってる間に虎さんパンツの美虎がムエタイっぽい格好をして踊りながら登場した。 「タイキックと聞いてわたしが出ないわけには……いかないっ!」 びしっと荒ぶるポーズをとると、ナビ子の尻にムエタイキックを叩き込んだ。 「ムエタイ!」 「やひん!」 ごっつぁんですと言って帰って行く美虎。 入れ違いに大切断の鎖さんがやってきた。 「とりあえず郷の尻をぶった切ればいいと聞いたが」 「言ってないよ!?」 「あのプレイングは『やるなよ、絶対やるなよ』っていうフリだろ?」 「違っ、ちょ、やめ、愛のツープラトンがしたかっ……あ、そっ、ソニックアアアアアアアアアッー!」 断末魔を後にして、ナビ子たちは武道場へと向かった。 知らない人のために解説するが、武道場とは柔道だの剣道だのやる畳敷きのフロアのことである。女子だと知らないままに高校生活を終えたりすることもある。男子にとっての創作ダンス的な場所なのだ。 と、武道場に入る直前、やけにデカい段ボールを見つけた。 嫌な予感がしつつも通り過ぎようとしたその途端。 段ボールが跳ね上がりウラジミールが現われた。 カメラ目線かつ大塚声で言う。 「待たせたな!」 口を塞いで背を向けるサポ子。 なんか恣意的なキノコを手に取ると、妙にシニカルに笑って見せてから、ひとかじりした。 「うぅますぎる!」 顔を覆って天井を見上げるナビ子。 中の人ネタはずるい。 二人は呼吸をとめたまま通り過ぎ、なんか血を吐いて倒れるウラジミールを背に武道場へと入った。 ……スモウレスラーの格好したクロトがいた。 「ちくしょー! この前の快楽リス依頼でネタ試して滑った! ちくしょー!」 かつら帽子を地面に叩き付けるクロト。っていうかよその依頼の続きをするんじゃありません! クロトは懐(どこだよ)から新しいかつらを取り出してかぶると、トゥとか言いながら武道場から飛び去っていった。 そんな彼の懐(だからどこだよ)から落ちる一枚の便せん。達筆な文字で『ベニー呼ぼうぜ!』と書かれていた。 「フフ、あれほど呼んじゃダメって書いたのに……フフ、そんなに呼びたかったのか、フフ、フフフ」 ワインレッドのスーツを着て、顔に紙袋を被った謎の人が武道場へと現われた。なんだこいつ、一体誰紅なんだ……。 「そんなに呼びたいんじゃしょうがない、フフ、ここはちょっとだけ私が……」 と紙袋を脱ごうとした途端、後ろから肩をポンと叩かれた。 誰にって、ポン刀持った禅次郎にである。 「死ねええええええええええ!」 「ぎゃああああああああああ!」 背中を袈裟切りにされた後倒れた所にトンプソンサブマシンガンを向けてしこたま鉛玉をプレゼントしてやった。 最後に死体にペッとつばを吐き捨てると、頭に当たる部分を踏みつけた。 「貴様のような目立ちたがりのバカはお呼びじゃないんだよ。さあいでよ、白スーツの人!」 天に指を掲げてパチンとならす禅次郎。 くっ、どういうことだ……筆者(筆者じゃないよ本当だよ)が殺されてしまうとは……。 これでは地の文が……書け……な……。 「テレッテッテッテー!」 「やあお前ら、烏のおじさんだぞ。今日は進行役のつもりだったんだが出番がここだけってどういうことだ? まあいいか、そろそろCMの時間だ。えーっと、月刊ドラ――」 「よそさまの宣伝してんじゃねええええ!」 「たわば!?」 「お前それ、アレだぞ! キリンビールの社員にヱビスビールお酌するようなもんだぞ!」 「し、しかし同一人ぶ」 「シャアアラアアップ!」 「うわらば!?」 「まったく、どうするんだよこの惨状。筆者死んだぞ! 筆者じゃないけどな!」 「いや、別に大丈夫じゃないのか? その辺の中学生と変わらんくらいクズみたいな文章だから、その辺の中学生に書かせよう。きっと分からん」 「くっ、仕方ないか。私は別の人だから手伝うことができないしな。別の人だから」 「なぜに二回言ったし」 「じゃあつい先日中学三年生になったばかりの男子をスカウトしてきたから、こいつ使おう」 「アイサー」 闇を切り裂く漆黒の弾丸は血色に染まりし紅の君を貫いた。 引き抜いた銃剣からしたたる赤い滴が……。 ――ぽたり。 ――ぽたり。 「ったく、なんだよ、どいつもこいつも誰紅誰紅ってさ! あんなのただの白い奴じゃないか! スーツの色変えただけじゃないか!」 ――翔護。 漆黒の衣に身を包みし彼は、黄昏の茜色を背にして嘯いた。 瞳の奥には悲しみが沈み、古より続く悲しみの連鎖を断ち切ろうとする悲しみがあった。 ――その刹那! 「お前に、お前にあやな紅の何が分かるっていうんだッッッッッ!!!!!!!!!!!」 朝日と共に現われる漆黒の男。彼の名は――SHOGO。 彼は――悲しい目をして――ギターを――弾き始めた。 ――ぽろん。 ――ぽろん、と。 「これ、あいつが好きだった歌なんだ」 ギターの音色が世界を響かせた。 血まみれの丘の上で君とキスする感じ。終わり続ける世界の終わりをただ見守り続ける感じ。 アイルビーバック(でもシュワルツ・ネッガーはNO)。 そろそろ放課後のチャイムが鳴り響く。これが学生暮らしのつらいところよね、ほんと。 「おっぱいがぁー、いっぱぁ~――」 流れ流れ続ける歌声を人々はただただ聞き続けた。 天井にこびりついた血を、頭に月光を宿らせしまおが優しくぬぐっていた。 死を愛するように。終わりをたたえるように。 人はいつか死ぬ。 でも悲しいことじゃない。 火葬しなきゃ可哀想? 土に埋めなきゃいけない? そんな歪んだ価値観で、人の死に触れる愚か者どもをあざ笑え! イッツ、ショーダウン! 悲しみに満ちたアンリエッタの瞳が星々を見つめ続ける。 「まおはワックスもかけます」 美しく磨き上げられた天井には星空が反射していた。 僕は直接星を見れないけど、こうしてみればこんなにも美すくなる。 きれいだ……。僕は呟いた。君に届けと。君に会いたい気持ちを込めて。君を一生愛し続けると。「ってもうやめろ! やめたげてよおおおおおおおお!」 新田んちの快さんが中学生を羽交い締めにして絶叫した。 あとアレ白さんが『ゆうたいりだつぅー』とか笑えないジョークを言いながら起き上がった。 顔を覆って崩れ落ちる快。 「こんな罰ゲームってないよ……あんまりだよ……」 「心が……心が寒い……」 「今アレ紅の血でスーツ赤くしたから……これでもう大丈夫だから……」 「ここは任せろ! 罰ゲームなら俺が受ける! いくらでも尻を叩け! もう、これ以上見ていられないんだ……! だから、もう行ってくれ……」 さめざめと泣きながら呟く快。 ナビ子たちは目からハイライトを消したまま、そっとその場を後にしたのだった。 ●午後10時、消灯時間。 空紅さんか何かが『もう寝る時間だから、教室に敷いた布団で寝れ』と言うので、教室に入ると。 なんか二つの布団が盛り上がっていた。 明らかに人が入っている盛り上がりだった。 そっとナビ子用と書かれた布団をめくってみる。 「ナビ姫! 布団を暖めておいたでござる!」 DT(竜一)が入っていた。 「さあさあ、このまま! ぬくもりに包まれるがよいでござる! さあさあ! あっ、サポ姫の枕も懐って言うか丹田(下腹部のあたり。主にパンツの内側)で暖めておいたでござ――」 \デデーン/ \DTー、人としてアウトー/ 「お仕置きだべぇー」 金属バットを持った御龍が部屋に飛び込んできた。 「くくくぅ、アークでも激高な物理攻撃力でケツバットをしてやるよぉー!」 「はぎゃああああああああああ!」 等間隔に並べられて尻をフルスイングされる3DT(快、夏栖斗、竜一)。 「ちょ、なんで僕まで殴られてんの!?」 「やめたげてっ! やめたげてよおおおおおお!」 「ばかめ! 笑いどころなど知ったことか! 俺は俺を貫くのみ……たとえ何も得られないとしてもなアーッ!!」 「竜一無駄にカッコイイアーッ!!」 御龍はしこたま彼らをぶったたくと、最後に(脱ぎたてのセーラー服をやけに大事そうに抱えた)竜一たちを引きずって帰って行った。 顔を見合わせるナビ子とサポ子。 「……仕方ないから、寝るわ」 妙にぬくもりの残った布団に入るナビ子。 「では私も」 布団をめくるサポ子。 「…………」 アンリエッタが真顔のまま布団に収まっていた。 「では失礼します」 そこへナチュラルに入っていくサポ子。 竜一が暖めていた枕に頬を乗せ、アンリエッタに顔を凝視されながらかけ布団を被るサポ子。 「…………………………」 ナビ子はその姿を一部始終見てから、何も見なかったという顔をして布団に潜ったのだっ……。 「まさかの時の、アーク宗教裁判だっ!」 異端査問官の格好を下守夜が扉を開け放って登場した。 「ぺふぉあ!?」 布団を被ろうとしたナビ子が吹き出してのたうち回った。 イングリッシュジョークで笑える日本人というのも珍しいが。気になる人はモンティ・パイソンでググるといい。 \デデーン/ \ナビ子ー、手錠ー/ 満足げに帰って行く守夜と入れ違いに、陽菜がナビ子の布団に潜って腕に手錠をがしゃっとはめた。 「いつもニコニコ隣に寄り添う悪戯姫、白雪陽菜です!」 「…………」 顔をそらすようにしながら目を閉じるナビ子。 そこで流れる校内放送。 『今夜が山田ぁ』 「…………」 『今夜が山だァン』 「…………」 『今夜が……こん……今夜が山……こ・や・が・や・ま・だ……』 「…………」 『コンヤガヤマダ』 「…………」 『今夜が山じゃ(by松戸助六)』 「このためだけに呼ぶなああああああ!」 思いっきり吹き出し、がばっと跳ね起きるナビ子。 すると、部屋の隅っこで体育座りしていたスィンと目が合った。 「知らなかった。世の中は楽しいことにあふれているのか……」 「と言うか何しに来たああああああ!」 \デデーン/\ナビ子ー、アウトー/ 「お仕置き係のラストはわたし……」 キリッとした顔でヌルッと天井から透過してくるエーデルワイス。 「はいっ、怪盗チェーンジ!」 アークライドゥ! モモモモコゥ! 「かーらーのー!」 アタックライドゥ! ハァラパァン! 「デスペラード・ピーチ!」 「よそさまの子を出――もろへいやっ!」 エーデルワイス(にせももこ)はそのまま床を透過してぬるっと退場していった。 後に残された便せんには「桃子様呼んでね、絶対だよ!」と書かれていた。 「……呼べるわけないだろ」 ぼそりと呟いて、ナビ子は布団(陽菜イン)へ戻っていった。 ●ドキッ! アークだらけのカオス大会! 下校もあるよ! 翌朝。 校舎から出たナビ子たちを待っていたのは、ハリセンを持った大量のリベリスタたち(とストロベリーちゃん)だった。 「なにごと!? なにごとなのです!?」 校舎から校門までの間にある微妙なスペースに液晶ディスプレイが設置され、ぶぃんと音をたてて何紅誰命さんが表示された。 『今から君たちには殺し合いをしてもらいます!』 「…………」 『間違えました。今から、仕掛け人仕置き人問わず笑ったその場でスマッシュ退場となります。なんか全員ある意味で美味しかったので、こうなったら殺し合わせて決めることにしました』 「投げやりだ!?」 『その代わりラスト描写が描かれて実際美味しいです』 「よし来たあ!」 一斉に互いへと飛びかかるリベリスタ(といちごちゃん)たち! まず蓑虫化した羽柴ミサイルの目の前で薄い本を火あぶりにする葬識と甚内の前で等身大ポスターを見せびらかす鷲祐の鼻をひたっすら猫じゃらしでくすぐるヘンリエッタをとりあえずハンマーでぶったたいとく里央の前でナビ子コスしたツァインが不思議な踊りを始めたかと思えば足下を駆け抜ける虎鐵ホモォをがしっと捕まえて『牛乳が新しいんだ、分かるだろ!』と力説する風斗の周りをもるーもるー言いながらかけまわる義衛郎と嶺に握手を求め元気いっぱいに挨拶して帰るエフェメラを通せんぼしながらナビ子人形とサポ子人形でお手玉始める琥珀を拘束して無心にくすぐり始めるアラストールへ『上から来るぞォゥ!』と呼びかけつつ横から突進する亘にひたっすら『餃子! 餃子!』と耳を折り続ける心の横でくたばってる超絶美味少女久嶺フライをもきゅもきゅ食べて幸せそうな結衣リスの前でおいらを見ろとばかりにエノキダケを吸引するただひとつのモヨタにマジレスしようとして火車に殴られる夏栖斗に案内しようとするミリィを無視して火車に殴られる夏栖斗のおしりをぺんぺんするエリエリと夏栖斗を殴る火車に容赦なくシャイニングウィザードをウザるベルカをバレーボールのボール代わりにする戦闘員の皆さんについでとばかりにワッショイされるレイプ目のレイライン猫を笑わせようと『コンニチワワタシナビコチャン』と電話機片手に囁きかける計都を記念品のハリセンでかっ飛ばすルナに『いいかこいつは舞浜のだな……』と危ない絵画解説を始めるラヴィアンをソニックハリセンで阻止するリンシードの後ろでM字開脚とW字開脚で妙な融合感を演出するイド栄のそばにそっと置かれたヒヨコの遺影を新聞紙丸めた棒で跳ね飛ばすシェリーを椅子に座って足組み替えながら見つめる凛子の隣で「ナス子でっす!」と再登場アピールをする明奈ちゃんに優しくアップルパイを差し出すなずなの耳元で『今夜が山だ』と囁く福松と松戸をナビ子に引きずられた状態で見つめる陽菜にひたすら異端査問官ネタと貧乏なオカマネタを繰り返す守夜をひっそりと見守るアンリエッタをとりあえずバットで殴っておく御龍を放り投げて自らも飛ぶ烈斗とほむほむ優希を無視して一人DVDを見直す翔太にマグロコスした氷花が必至のアピールを続ける横で『はははこやつめ』と笑い続ける弐升をタイキックで蹴飛ばす美虎を我関せずの姿勢で見送るレンにハラパン入れるエーデルワイス(偽なんちゃら)が知らんうちに闇討ちされたと聞いたスィンがカオスをじっと観察していると快がやめたげてよぉと庇いに走り流れた尻の血をぬぐうまおにイチゴのへたを叩き付けて楽しむストロベリーに『暖めるでござる! 暖めるでござる!』とぬるっと組み付く竜一に驚く間もなく瑠琵にウナギをけしかけられてぬるぬるにされるのをおっぱいの歌で演出するSHOGOアンド翔護を指さして笑う烏とアレ白さんにむき出しの殺意で斬りかかる禅次郎の頭上を飛んでいくスモウクロトに跨がったウラジミールが性欲を持て余すとか言い出したのでソニックタイキックで打ち落として置いた郷……! 「なっ、俺が……俺が『いちばん美味しいで賞』だと!?」 死屍累々の校門前に佇む郷は、血に濡れた手をぎゅっと握った。 確かに、普段滅多に会えない鎖ちゃんに再会しただけじゃなく愛のツープラトンを(思ってたのと違うけど)することができた……本場ムエタイの人には悪いが、タイキックもやらせてもらえた。確かに、美味しい一日だったかもしれない……。 「ありがとう、これも君のおかげだ鎖ちゃ」 「サラっとアタシの出番奪ってんじゃねえよ」 V8エンジン搭載型の巨大チェーンソーを唸らせる鎖。 「え、ちょ……」 「もういっぺん尻割れろやああああああ!」 「ソニックヒギャアアアアアアアアアアアアア!」 スプラッシュする血の柱を背に、ナビ子とサポ子は肛も……じゃない校門を出た。 乾いた目で空を見上げる。 二人は笑顔でこう言った。 「終わりましたね」 「うん、もう二度と来るか」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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