● 桐嶋幸太郎(きりしま・こうたろう)の趣味は古い美術品の蒐集であった。それなりに歴史のある家に生まれた彼は幼い頃からそうしたものに触れることは多く、自然と古びたものに興味を持つようになっていた。 妻を早くに病で亡くして、会社の重役と言う激務をこなしながら男手一つで育て上げた息子と娘も大学まで進学させた。もう既に自分の手を離れている。そこで、こうして趣味の時間を取ることが出来るようになり、気付けばそれなりに見る目と言うのも育ってきたのである。 「それにしても……やはりこれは一味違うな」 そう言って眺めるのは最近手に入れた一振りの刀。 子供達は危ないからあまり引っ張り出すなと言っていたが、休日でいずれも友達と遊びに行ってしまった。夜も外で食べてくると言っていた以上、気にすることはあるまい。 幸太郎が古美術商で見かけた時から、この刀は生きているかのように強烈なオーラを放っていた。店の主人は歴史的な価値は特にないと言っていたが、まさしく掘り出し物と言うべきものだろう。 その刀身は他のものには無い輝きを見せ、柄も触れれば手に吸い付くかのようだ。 まるで、人を斬れと言っているかのように。 幸太郎は慌てたように周囲を見渡す。 突然、誰かに話しかけられたような気がしたのだ。 「なんだ、誰もいないじゃないか」 息をつくと刀を仕舞い、テレビでも見ようと居間に戻る。 しかし、先ほど感じた妖しい気配が幸太郎の頭を離れることは無かった。 その翌日である。 テレビで父親が大学生の息子と娘を斬殺したというニュースが報じられた。 凶器は行方不明。 近所の住人はこぞって仲の良い家族だったと証言し、動機は不明である。 ● 春の足音が聞こえてくる3月のある日。リベリスタ達はアークのブリーフィングルームに集められる。そして、リベリスタ達に対して、『運命嫌いのフォーチュナ』高城・守生(nBNE000219)は事件の説明を始めた。 「これで全員だな。それじゃ、説明を始めるか。あんたらにお願いしたいのは、Eゴーレムの討伐だ」 守生が端末を操作すると、一振りの日本刀が表示される。鑑識眼を持つリベリスタは、思わずその光に見入ってしまう。しかし、すぐさま目を放す。その刀が発する妖気のようなものに気付いたからだ。 「あぁ、そういうことだ。現れたのはフェイズ2、戦士級のEゴーレム。識別名は『神通丸(じんつうまる)』、江戸時代にとある名工が鍛えた刀なんだが、それがエリューション化して自意識を持ったんだ。それもかなり性質が悪い」 神通丸が手に入れた意志は、殺人に快楽を感じるというもの。自分を人に使わせて、人を殺させるのが楽しくてたまらないのだ。 「厄介なことに、その煌めきで心の弱い人間を誘惑することが出来る。そして、その人間の意識を奪ってしまうんだ。現在はとある会社員が犠牲者になっている」 『万華鏡』の予知によると、桐嶋幸太郎という男がEゴーレムの支配下にあるのだという。そして、操られた彼は悪魔の導くがままに子供らを殺してしまう予知が出た。Eゴーレムを破壊して、彼を救ってやらなくてはいけない。 「Eゴーレムは被害者の手に握られ、犠牲者の肉体を強化している。エリューションとしては相応に強力だから気を付けてくれ。ただ、犠牲者の肉体を傷付けることになっても、支配を逃れれば負傷はEゴーレムの方に移動するようになっているらしい。だから、そんなに気にせず戦ってくれて構わない」 神秘の仕組みは分からないが、つまりは「そういうこと」なのである。リベリスタ達にとって有利な状況ならそれにしくは無い。 「場所は犠牲者の家で二階建ての一軒家だ。多少散らかすことになるだろうが、処理班を向かわせることになっているから、そこも大丈夫。安心してくれ」 事後処理はアークが手配している。とは言え、自分の部下としてEフォースも連れたそれなりに強力なエリューションだ。油断すると返り討ちに合うことになるだろう。 「説明はこんな所だ」 説明を終えた少年は、その鋭い瞳で睨むように、リベリスタ達に送り出しの声をかける。 「あんた達に任せる。無事に帰って来いよ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:KSK | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年03月30日(土)23:27 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● びゅうっと春先にしては冷たい風が首筋に入って来た。 如月・真人(BNE003358)は思わず身震いしてしまう。 「風ですか……」 そう言いながら、真人は自分が恐怖を感じていることを分かっていた。いや、いつもそうなのだから、正確には違うのかも知れない。戦うのはいつだって怖い。戦わずに済むのなら、それで済ませたいというのが革醒してからも変わらない、偽らざる本音である。 だけど……。 「ビビッてんのか?」 真人に声を掛けたのは、『消せない炎』宮部乃宮・火車(BNE001845)。真人は内心を指摘されて、ビクッとしながらも、心を平静に保とうとする。 「いえ、大丈夫です」 「そうか、内容はともあれ、魂篭ったモノはドレもコレも何かしら残すなぁ」 フンと鼻を鳴らすと、火車は首をコキリと鳴らす。これからの戦いへの簡単な準備運動だ。 「ま、刀だ。日本刀なんざ元々殺傷用の兵器だし、そりゃこうなるのも自明の理ってやっちゃな」 「刀が人を斬る事を望む事に否やはない。それは刀の本分だ」 火車の言葉に『閃刃斬魔』蜂須賀・朔(BNE004313)が頷く。 詰る所、刀は人が人を殺すための道具に他ならない。それがたまたま革醒を果たして、本分を果たそうとしている。ただそれだけの話と言える。しかし、今の世の中、むしろ「こちら側の世界」はそれをはいそうですかと許容することは出来ないのだ。 「静かにしてりゃあ今のご時勢、観賞用だなんだって別の存在価値もあったろうにな……存在意義って奴かねぇ?」 「であれば、どうこう言うものでは無かろう。だが……」 朔の口から出るのは、殺人の肯定。魔を断ち邪を斬り正義を為す蜂須賀の家に生まれながら、異端と呼ばれる所以だ。しかし、そんな彼女にも赦せぬことが1つだけあった。 「だが、刀が人を繰るのは到底承服出来ぬ」 「間取りの確認は終了しました。周辺にも人はいないので、問題ありません」 スキルで周辺の警戒を行っていた『Brave Hero』祭雅・疾風(BNE001656)は仲間達に警戒を促す。「正義の味方」である彼にとって、単にエリューションを撃破するだけでは任務の達成足りえないのだ。神秘の脅威に抗うことが出来ない人を守り切ってこそ、初めて任務を達成したと言える。その意味で、余計な犠牲者を出したり、桐嶋が社会的な立場を失うようなことになってはいけないのである。 「家の中で桐嶋氏は刀を握っています。おそらくは……!」 疾風はエリューションが被害者の支配を行っていることを見て取った。 そして、それが突入の合図となる。 真人が結界を展開させる。 それぞれにアクセス・ファンタズムから、自身の装備を展開させた。 (古来、武器には意思が宿るなんて話は物語としてよくあるし、リベリスタとして戦ってる今、不思議とは思わない) 『侠気の盾』祭・義弘(BNE000763)は熟練のリベリスタだ。それだけに、こうした事件が「良くある話だ」ということを知っている。今日も何処かで世界は歪み、捩れ、そして狂う。 (今回も、不幸だったんだろう。手に入れてしまったこの親父さんは……) その不幸な事故がたまたまここで起きた、それだけの話だ。 だが、1つだけ言えることがある。 盾たる自分には、その「よくある不幸な事故」を未然に防ぐ力があるということだ。 「Eゴーレムと戦うのは久しぶりかな。んじゃま、いっちょポンコツ刀を倒しに行きますか」 『覇界闘士<アンブレイカブル>』御厨・夏栖斗(BNE000004)は取り出した鉄扇の調子を確かめるかのように演武を行う。内に獣を内包したこの武器は戦いともなれば、荒らぶり、全てを喰らう。一見、華麗な演武を行っているようにも見えるが、コントロールには多大な精神力を要するのだ。 しかし、それでも制御を可能としているのは、エリューションへの怒り。そして、被害者を救いたいという真摯な願い。 得てして神秘は望まれぬ儘に不幸を呼び寄せる。単に革醒を果たしただけなら一種の自然現象ではある。しかし、この場合には殺人を好むという厄介な性質まで帯びてしまっている。到底、放置できるものではない。なればこそ、止める手段を選ぶつもりは無いし、その手段のリスクも制御してみせる。 「ま、きっちりとブチのめしてやらないといけないな。いっちょやってやんぜ」 腕をぶんぶんと回しながら『パニッシュメント』神城・涼(BNE001343)は家へと近づいていく。彼の考えることは、いつだって単純シンプル。 速攻でぶちのめす、ただそれだけだ。 「革醒した日本刀」という響きに浪漫を感じるお年頃だが、こいつを許す訳には行かない。一刻も早い対処を行うのが神城涼のやり方というものだ。 そんなそれぞれの準備を見せる若者たちを見て、『T-34』ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)は――本人も言うほどの年ではないが――口元をわずかに歪める。頼もしい仲間達である。惨劇という運命を止めるために、ここまで安心できることはそうそう無い。 そして、ウラジミールは悲劇を止めるための、最初の言葉を口にした。 「任務を開始する」 ● 扉を叩き壊し、エリューションの待つリビングへと駆けるリベリスタ達。 その行く手を阻むように、通路へは人の顔を浮かび上がらせた火の玉がやって来た。 「ネクロマンサーはもうお腹いっぱいだっつーの」 怒りの声と共に夏栖斗は宙を舞うと、そのまま奥で紅い目を光らせた壮年の男へと飛び掛かる。間に浮かぶ人魂も余りの勢いに吹き飛ばされてしまう。この手の相手とは最近十分過ぎる程に戦った。これ以上戦いたくもないが、こいつらを倒さなくては救えない人がいるのなら、飛び越えてやる。 「あんたらが好きでそうなってるわけじゃないことくらい判ってるよ。呪いたい気持ちもさもありなんだ」 「切る、斬る、伐る、きる、キル……」 そして、エリューションに支配され、虚ろな声で呟く男に一撃を見舞う夏栖斗。たしかに、手応えが普通の相手とは違う。しかし、エリューションへの攻撃が決まったという確信もある。 ならば、救える。 「我流居合術、蜂須賀朔。推して参る」 「子供を殺めさせる訳にいかない。食い止める、変身!」 それぞれの名乗りと共に斬り込んでいくリベリスタ達。人魂は狭い空間を利用して侵入を防ごうとする。そして、エリューションの剣技は鋭い速さでリベリスタ達を傷付ける。 しかし、リベリスタとて負けてはいない。その間隙を突いて、エリューション操る人間に肉薄する。 「操られてるお前さんには恨みはないが……ま、殴らせてもらうぜ……!」 涼は拳を握り締めると、それをそのまま真っ直ぐ叩きつける。 エリューションに強化された肉体と言えど、膝を付きそうになる強烈な一撃だ。さらに、何かを軽く投げながらバックステップで後退する。 「ま、素早いのはお前さんだけの特権じゃないってことだ」 涼の手から零れ落ちたのは魔力のダイス。 そして、それは4の目を上に落ちた瞬間、爆発する。 轟ッ つい数時間前まで平和だった家に派手な爆発が起きる。 そして、起きた爆風の中、体勢を立て直す暇も与えずに朔が切りつける。その手に握られるのは、妖刀「葬刀魔喰」。 キィン 2本の妖刀が火花を散らす。 神通丸とて歴史の闇に埋もれていただけの話で、一角の剣である。 しかし、「葬刀魔喰」はかの「塔の魔女」が作った作らせた代物だ。宿らせた魔性には並々ならぬものがある。朔自身、妹が使っていたということで引き継いで使っているが、持て余しているというのが正直な所。 (が、我らは操られた人と我を通す刀よりは余程上等だ) 神通丸が押し返そうとする勢いを利用し、朔は宙へ飛ぶ。 そして、今度は天井を足場としてエリューションの頭上から強襲を掛ける。 先の攻撃は牽制、本命はここから繰り出す刺突である。 「刀を扱うは人、意志を乗せるが刃、意志があろうと、己の本分を失った刀なぞ何するものぞ」 さすがの神通丸も今度は防ぎきれない。 鍛錬すら行っていない人を操る神通丸に対し、朔は藻掻きながらも「葬刀魔喰」と共にある。その差が出たのだ。1+1は1よりも大きいのだ、常に。 「見よ、神通丸。これが武である」 神通丸が人を惑わすのにはその美しさを以ってする。 朔が見せたのはそれ以上の煌めき。 さしもの妖刀も惑わされ、己を見失う。 「よぉカズト! どれ潰しゃ良いよぉ!?」 エリューションを押し気味なのを見て取って、火車は不敵な笑みを浮かべて戦場を見渡す。一見棒立ちに見える姿勢だが、その姿勢に隙は無く、何処から攻め入られても難なく対応して見せるだろう。 「悪い、周りをうろついている奴を頼む!」 「あいよ!」 火車の拳に炎が灯る。 その炎は昏く、しかし全てを焼き尽くしてしまいそうな何かを秘めている。 対するエリューションは怨念の残滓。神通丸に命を奪われた者の怨念が形を取って現れたものだ。しかし、その怨念も火車の拳の前では抗うべくも無かった。 火車が拳を振るうと掻き消えてしまう。 まるで、より大きな何かに呑み込まれてしまったかのように……。 ● 当初はリベリスタ側が優勢を見せていたものの、神通丸が戸惑いから立ち直ると、また状況は見えなくなってきた。僕であるエリューションと共に、激しい反抗に打って出てきたのだ。 狭い戦場でリベリスタ達に生まれた隙を突いて、連携を崩しにかかる。その鋭い攻撃を前に、リベリスタ達と言えど動きを封じられてしまう。 元より日本刀という本性も相俟って、攻撃は苛烈。 そう易々と討たせてくれる程、甘い相手ではない。 「確かに厄介な相手だぜ……一撃は耐えられても、なかなか難しい」 たくましい胸から血をだらだらと流しながら義弘が立ち上がる。 危うくあの世が見える所だった。 しかし、それを繋ぎ止めたのは、運命の加護と盾としての矜持。 「だけど、これに耐えなきゃ家族の安息は無いんだよな。盾を名乗るだけの活躍はさせてもらうぜ!」 それがある限り、何度でも立ち上がって見せる。 「怖いけど怖くない、怖くないったら怖くない!」 魔法の言葉のように自分を鼓舞する言葉を叫び続けるのは真人だ。 いつだって戦うのは怖い。 だけど、今回はそれ以上に悪夢の未来を止めたいという気持ちの方が強いのだ。 だから、逃げるわけには行かない。 「皆さん、僕が支えてみせます!」 必死に精神を集中して回復の詠唱を行う。 いつ、この戦いが終わるのか、真人にそれを知る術は無い。彼の直接敵と戦う力はあまりにも小さいから。だけど、必ず終わりが来ると、仲間が終わらせてくれると信じてひたすらに詠唱を続ける。 その時だった。 一陣の疾風が戦場を駆け抜けた。 「惨劇を生み出させてなるものか。悲劇は1つでも少ない方が良い」 風の正体は疾風。 人を救いたいという真摯な思いを載せて、エリューション達を打ち砕いていく。 その華麗にして峻烈な演武が終わった時、神通丸に操られていた哀れな怨霊たちの姿は消え去っていた。 「敵は機敏だが、自分たちはチームだ。チームワークを忘れるな」 ウラジミールは神通丸の退路を断つように位置を取る。家の間取りは把握済み。たしかに戦場の狭さには手こずらされたが、逆を返せば今は自分達の味方だ。 「斬る!」 叫びと共に神通丸はウラジミールに切りかかる。 さしもの鋭い攻撃に防御は間に合わない。派手に血が流れる。 並みの人間であれば、戦意を喪失してしまう程のものだ。しかし、彼は並大抵の男ではない。刃が食い込んだ腕に力を込める。すると、筋肉が膨張し神通丸は自身を引き抜けなくなってしまった。 「これ以上、桐嶋殿へ負担を掛けるわけにはいかない! やれ!」 「一刀にて叩き斬る……!」 「よっしゃ! 二度と形作らないように散りな……!」 ウラジミールが作った隙に乗じて、リベリスタ達は一斉に攻撃を仕掛ける。 すると、神秘を得た刀が弱まって行っている証であろうか。次第に刃の上に皹のようなものが浮き上がって行く。 そこで、神通丸は最後の力を振り絞って、自らをウラジミールの腕から引き抜く。 そして、エリューションは本能の命じるがままに、近くにいる人間達を1人でも道連れにしようとする。狂気と言えるほどの戦闘本能である。 しかし、脱出する際に生まれた隙はあまりにも致命的であった。 「十分に暴れたか? 存在証明を立てるのは今しかねぇ訳だからなぁ。けど、残念だったな、日本刀。斬り切れず折られるってのが結末ってヤツだ」 火車の拳が業ッと音を立てて燃え上がる。 そして、口元に凄惨な笑みを浮かべながら腰を落とす。 「目覚めた時期が悪ぃ。テメェの寝坊でも恨んでぶっ壊れるんだな!」 火車の叫びと共に拳が放たれる。 そこから放たれた炎はエリューションの神秘を焼き尽くし、哀れな被害者を縛っていた鎖を破壊した。 ● 「あれ? お前、もっと早く帰るって言ってなかったっけ?」 「お兄ちゃんこそ、こんな所でどうしたの?」 家の近所の公園でばったり出くわす桐嶋兄妹。本来はもっと早くに帰るつもりだったのだが、「なんとなく」そんな気にならなかったのだ。 「まったく、親父が心配するぞ。ああ見えて心配性だし」 「うん、だよね。……あれ? ひょっとして、うちの前に停まってるのってひょっとしてパトカー?」 妹が指差した先にあるのは間違いなくパトカーだ。 家には父1人しかいないはず。 何があったのだろうか。 そして、兄妹にとっては自分達をここまで育ててくれた大事な父親なのだ。 兄妹は家に向かって全力で駆け出した。 ● 「任務完了だ」 遠くから桐嶋家の様子を確認して、ウラジミールは頷く。 事件は物盗りの犯行と言うことになった。 家にある美術品を盗みに泥棒が入り込み、不審な気配を感じたものが通報したという流れだ。 事実、刀は1本無くなっている訳でもある。 「武器は使い手次第で人を殺す道具にも守る力にもなるが、操られてしまうのではね。では、帰投しようか」 回収した神通丸を見て、疾風は苦笑を浮かべる。ここで倒すことが出来なければ、どこぞに流れてまた惨劇を引き起こしていたはずだ。それを思うと、この程度で済んで本当に良かった。 「己の本分を忘れた武器等に何が出来ようか。これは当然の結果だ」 そう言って、朔は鞘に納められた自身の刀を撫でる。 まだ自分のものになり切らない刀を。 いつの日か、完全に制してみせると誓いながら。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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