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嵐の前

●風嵐
 風が、音を立てると同時に渦を巻いた。
 それだけなら、冬から春に変わるこの季節には珍しくも無いだろう。
 渦は音を立てながら、そのままその場に留まったのである。
 ひとつ、ふたつ、みっつと、その数が……増えてゆく。
 ひとつひとつの渦も、音を立てながら、高めながら……枯れ葉を巻き込み、強さを増し……

 伸びていた雑草が、鋭い音と共に切断された。
 切り刻まれた草葉が宙に舞い、竜巻はそれらを吸い寄せるようにして……

 更に、力を増してゆく。


●エリューション・エレメント
「風のE・エレメントです。数は5体」
 マルガレーテ・マクスウェル(nBNE000216)はそう言って、スクリーンに画像を表示させた。
 竜巻を小さくしたような、渦のような何かが映し出され、その隣に記号や数字が並んでいく。
「高さは1.5mくらい……でしょうか? 現れたのは郊外の空き地になります」
 何かの建設予定地だったらしいんですが、もう何年も放置されているみたいです。
 少女は説明しながら端末を操作し、画面は雑草に覆われ始めた平地へと切り替わった。
 少なくとも人通りがあるという場所では無い。
 とはいえ絶対に誰も訪れないという場所でもない。
 何も知らない一般人が訪れるような事になれば、ほぼ確実に犠牲となってしまうだろう。
「その前に、E・エレメントの撃破をお願いします」
 マルガレーテはそう言って、詳しく説明し始めた。

 5体のE・エレメントは全て同じフェーズ1の同じ個体。
「動きは機敏で、攻撃を命中させたり回避したりする能力は高いようです」
 反面、耐久力は低く、防御能力も物理・神秘の両方面共に大した事はないらしい。
「ただ、状態異常への耐性は高めで、速度を減退させるような異常を無効化する能力も持っているみたいです」
 攻撃手段は2種類。
 風の刃を飛ばす物理系の遠距離攻撃と、気体のような自身の一部を気管などに潜り込ませようとする神秘系の近距離攻撃。
 風の刃には対象を出血させる効果があるようだ。
「気管への攻撃は特別な効果はありませんが、かなり強力な攻撃みたいです」
 耐久力の低い人でも一撃ということは無いでしょうけど、充分に注意して下さい。
 緊張した顔で少女はそう説明した。
「幸いというべきか、相手には知性らしきものが殆んどありません」
 できるかぎりバラバラになるように動き、好き勝手にそれぞれ戦闘を行うという感じらしい。
 ただ、今のところは空地から離れる様子はない。
 空地にいけば、相手の方から近付いてくる事だろう。
「不利になっても逃げるような事はなさそうですので、戦闘の事だけを考えて頂いて問題ないと思います」
 そう説明を締め括ると、マルガレーテはリベリスタ達を見回した。
「皆さんでしたら、きっと大丈夫だと思います」
 宜しくお願いしますと言って、フォーチュナの少女は頭を下げた。



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:メロス  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 6人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年03月21日(木)10:27
オープニングを読んで頂きありがとうございます。
メロスと申します。
今回は郊外の空地でE・エレメントたちと戦うというシナリオとなります。


■戦場
市街地から離れた平地となります。
何かの建設予定地になっていたらしいですが、そのまま放置された感じの空地。
雑草がかなり伸びていますがそれほど背も高くなく、移動や戦闘の障害となるようなものはありません。


■風のE・エレメント
全部で5体。
白か灰に近い色をした小さな竜巻のような外見をしています。
フェーズは1.
耐久力や防御力は低いようですが、動きは機敏で命中や回避の能力は高いようです。
また、BSへの耐性も高い他、減速無効に似た能力を持っています。
知性らしきものは殆んどありません。
攻撃手段は風の刃を飛ばす物理系の遠距離攻撃と、纏わり付いて体の一部で肺などに潜り込もうとする神秘系の近距離攻撃。
風の刃は対象を出血させる効果があります。
できるかぎりばらばらになるように動こうとするようです。
好き勝手に動き回りますが、敵を発見すれば逃げようとせず最後まで戦います。


すべてのE・エレメントを倒せば依頼成功となります。
それでは、興味を持って頂けましたら。
宜しくお願いします。

参加NPC
 


■メイン参加者 6人■
ホーリーメイガス
シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)
ダークナイト
山田・珍粘(BNE002078)
クロスイージス
斎藤・和人(BNE004070)
ホーリーメイガス
伊吹 千里(BNE004252)
ナイトクリーク
浅葱 琥珀(BNE004276)
ソードミラージュ
鷲峰 クロト(BNE004319)

●異貌の風
「風、風ですか……」
「私のように飛行する者にとって気流の乱れは大敵です」
 自称、那由他・エカテリーナ。本名『残念な』山田・珍粘(BNE002078)の言葉に、『放浪天使』伊吹 千里(BNE004252)はそう続けた。
「フェーズの低いうちに発見できて良かったですね。マルガレーテさんGJです」
 これが大きくなると大変なことになりそう。
 そんな事を考えると、ちょっと嫌な予感がしたりするものの……取りあえずそれは、一旦置いて。
「正直、攻撃して血の流れない相手は好みではないのですけど」
 呟いてから珍粘は、ブリーフィングルームでのやりとりを思い出した。
(マルガレーテさんが信じてくれるのなら。頑張っちゃいますねー)
「ふふ、全部瘴気で呑み込んで潰して来たら喜んでくれるかなー?」
 嬉しそうに物騒な事を呟く彼女の傍らで、鷲峰 クロト(BNE004319)はふむふむと考え込む。
(自然現象でもエリューション化するのかぁ……節操ってのがねぇよな)
「だけど、生き物って訳じゃないから全然やり易いぜ」
 そう呟くと、クロトは気持ちを引き締めた。
「被害者出す前に、キッチリぶっ倒すとするかなっ」
「平地に小さな竜巻かー」
『刹那の刻』浅葱 琥珀(BNE004276)も、気を引き締めるように口にする。
「子供に怪我させたりしちゃヤバイしここで討伐させてもらう!」
「皆様が重き傷を負わずに任務達成できる様、己が癒しの力を尽くしましょう」
 静かに、誓うかのように。
『紫苑』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)は言葉を発した。
 春の、訪れ。
「時に風強くなりますが是は物騒……対処せねばなりません」
 幻視の力で隠した翼をゆるりと羽ばたかせ、シエルは僅かばかり宙に浮くように高度を取った。
 念の為、足場を考慮しての行為である。
 そのまま彼女は、視線を仲間の一人へと向けた。
「誰も来ないといいですけど……ね」
 千里がそう呟きながら、強力な人払いの結界を周囲へと張り巡らす。
 これで一般人は一帯に近付くことは無いだろう。
 何があった場合はフォローもと考えていたシエルは、小さく安堵の息をこぼした。
 千里の方はというと、防塵対策にと用意していたゴーグルやマスクを確認する。
 空き地を風が、吹き抜けた。
 冬とは異なる、湿り気を帯びた……春の訪れを感じさせる、風。
 その中に……異質なものが混じり、漂う。
 風が渦を巻き、リベリスタ達の前で……小さな竜巻のような形を取り始める。
 風のエリューション・エレメント。
 世界を壊す、カケラたち。
「たまにはこーいう分かりやすい仕事も良いねえ」
 その姿を眺めながら、『道化師』斎藤・和人(BNE004070)は呟いた。
(最近色々と考えなきゃいけない仕事が多かったからさ)
「ま、気を抜かず頑張りましょ」
 そう言って構えを取るのとほぼ同時に。
 全てのエレメントがリベリスタ達の前に、その姿を現わした。

●対峙
 身体のギアを切り換えながらクロトが前衛として位置を取った。
 風のE・エレメントはその根源に相応しい速度を持っていたが、幾人かのリベリスタ達はそれを上回だけの力を修練によって身につけている。
 琥珀はできるだけ多くの敵を視界に収められるように意識しながら移動した。
 多数を巻き込めない場合も考えていたが、幸い敵が動き回る前だった為、複数を狙う事は難しくない。
 E・エレメントたちからやや離れた位置を取ると、琥珀は全身のエネルギーを費やして紡ぎあげた呪力を解き放った。
 放たれた力が集束されることで生み出された偽りの赤き月が、風のエレメント達を蝕もうとする。
 だが、エリューション達の動きも機敏だった。
 2体は直撃を避け、残りの個体は放たれた波動を完全に回避する。
 もっとも、直撃を避けたとはいえその威力はかなりのものだった。
 仲間たちの動きを確認し、全員を回復の範囲に収められるようにと意識して位置を取りながらシエルが周囲に存在する魔力を自身の内へと取り込んでゆく。
 その3人の次に動いたのは、E・エレメント達だった。
 5つの小さな竜巻は弾かれるように離れ、風の刃をリベリスタたちへと放つ。
 シエルを除いた5人、珍粘、和人、千里、琥珀、クロトにそれぞれ一刃ずつカマイタチが襲いかかった。
 狙いすましたかのような精確な一撃が5人を襲う。
 千里と琥珀は精度の高い攻撃によって刃が持つ本来の威力以上の傷を負う事となった。
 珍粘と和人も直撃は受けたものの、負傷そのものは大したことは無い。
 特に和人にとっては、一般人ならば致命傷を負いかねない風の斬撃も、かすり傷を負わせるのがやっと……程度のものでしかなかった。
 無闇に口にしないものの、彼は充分に経験を積んだ無敵要塞と呼ぶに相応しい実力を持つクロスイージスなのである。
 それでも、精確な風刃の直撃は4人に出血を強要した。
 逃れられたのはクロト1人である。
 ソードミラージュの青年は機敏な動きで直撃を避け、ダメージの軽減にも成功していた。

 自分が受けた傷も、決して大きなものではない。
 そう判断しながら珍粘も前衛へと位置を取った。
 全身から漆黒の闇を解放し、無形の武具として身に纏う。
「おーおー、活きの良い事。それじゃ、始めるとしますかね」
 エレメント達を眺めそんな呟きを洩らしながら和人が踏み出し、大型の拳銃に力を注ぎ込む。
 敵の位置を確認し、皆と声を掛け合いながら……和人は一体を標的に定めた。
 鈍器としても使用できる改造銃が、破邪の力を帯びて光る。
「この風さえ味方につけてみせる」
 痛みを堪えながら千里も周囲のマナをコントロールして取り込む事で、自身の魔力を高めてゆく。
 基本は1体ずつ、集中攻撃による各個撃破。
 可能な範囲で範囲攻撃も行おうとクロトは考えていた。
 和人が狙った敵から倒していこうというのが今回の作戦である。
 魔力を込められたナイフを手に、青年は力強く地を蹴った。
 駆けるというよりは、水平に跳躍すると表現した方が正しいかも知れない。
 途中で幾度か地を蹴ることで急激な方向転換を行い、別の方角から斬撃を浴びせたのち、具現化しかけている風の一部を蹴るようにして距離を取る。
 味方の動きを確認しながら、琥珀は慎重に自身の位置を計った。
 敵の動きは機敏だ。
 直撃は容易ではない。
 だが、それは充分に予想していた事でもあった。
 命中し難いというのであれば、敵の動きをよく読み、充分に狙いを定めれば良い。
 元々異常の方には多くは期待していなかった。
 とにかく、確実に敵の体力を削いでゆくのが目的である。
 自分に言い聞かせるようにして、琥珀はE・エレメント達の動きに意識を集中させた。

●風を、断つ力
 後衛という立ち位置を活かし戦況を観察しながらシエルは詠唱を開始した。
「癒しの息吹よ……」
 高位存在の意思を感じ、それを深く汲み取ろうと心を澄ませながら……感じる力を詠唱によって高めてゆく。
 それに応えるように具現化された治癒の力が、仲間たちの傷を塞ぎ、流れ出ようとする血を押し留めた。
 だが、与えた傷が塞がれるのを気にすることなく風たちは唸るような音を立て、互いに吹き飛ばし合うように分散しながらリベリスタたちへと接近する。
 小さな竜巻たちは琥珀と千里には今までと同じように風の刃を飛ばし、クロト、和人、珍粘の3人には体当たりするように襲いかかった。
(可愛い子の所に、こんな頭の悪い相手を絶対に通したりはしません)
 重さと密度を感じさせる不自然な気体に息苦しさを感じながらも、変わらぬ態度で珍粘は虚ろな瞳を竜巻に向ける。
「駄目駄目、私は可愛い子が大好物なんですから」
(もし傷物なんかにしたら……消滅させます)
「まあ、させなくても消滅させますけどね」
 呟きながら自身の生命力を……暗黒瘴気へと変換する。
「斎藤さん合わせましょう。この手の相手は各個撃破が有効です」
 ありえない不自然の竜巻たちを視界に捉え、彼女は瘴気をエレメントたちに放った。
 目前の1体は瘴気に包み込まれ苦しみでもするかのように風を乱したものの、もう1体は流れるような動きで直撃を回避する。
(うふふふ、回避力が高いらしいですけど)
「集中した火力に、何時まで耐えられますか?」
 それでも表情を乱す事なく、珍粘は変わらぬ口調で問いかけを発した。
「何か風を殴るって不思議な感覚だなー」
 気持ちを言葉に乗せながら、和人はE・エレメント達の様子を窺う。
 推測通り、エリューションたちの動きは機敏だった。
 容易に命中させられないと判断した和人も、攻撃の精度を高めるべく敵の動きに意識を集中させる。
 E・エレメント達はできるだけバラバラに動こうとするのだそうである。
(攻撃してる奴をそっちに誘導したら逃げるかな?)
 牽制等についても考えながら、和人は皆と言葉を交わし声を掛け合う。
 他の個体の動きにも警戒しつつ、千里も和人と対峙する1体を目標に定めた。
 幸いシエルの癒しによって、皆の負った傷はほぼ完治している。
 ただ……
「うう、こんなことなら射的も真面目に習っておけば良かったかなあ……」
 自分の戦いの、攻撃の技術というものについて……千里は少し考え、悲観的な気分を味わった。
(慣れないけれど、ゆっくり落ちついて狙おう)
 自分にそう言い聞かせてから、彼女はエリューションの動きに意識を集中させる。
 敵の気を引くように派手に動きまわりながら、クロトは再び仲間たちの攻撃するエレメントに狙いを定めた。
(イメージする……この刃で空を断つイメージを)
 一気に距離詰め攻撃を繰り出し、そのまま離脱する。
 相手は機敏な動きで直撃を容易に許さない。
 それでも、元々の耐久力の低さを考えれば、充分なダメージを与えている事だろう。
 他のエレメント達が後衛に向かわないようにと再び動き回りながら、クロトは挑発するように口にした。
「こっちだこっち、竜巻だろうが嵐だろうが俺は簡単に吹き飛ばされないぜっ」

●守り抜くもの
「いっけー和人! リーガルブレード! その攻撃ってごっそり弱らせられそうだよな!」
 仲間たちを応援しつつ、琥珀は前衛たちのやや後方を固めるように位置を取り、敵の動きを観察し続けた。
(バラバラに動くって、竜巻同士ぶつかり合って威力を相殺したくないってか?)
 戦いながら観察していたものの、味方を倒されてもエリューションたちの動きに変化はない。
 一ヶ所に留まる事なく移動しながら風の刃を飛ばし、あるいは近付いた相手に纏わりついて息を止めようとしてくる。
 集中攻撃の気配はなかったが、それでも千里がつらそうと判断して琥珀は千里を庇う事を考えていた。
 シエルの方は散発的な攻撃であれば癒しで充分に対応できているようである。
(大事な回復手、深手を負わせるわけにはいかない)
 攻撃するのも仲間を守るのも、回復を送るのも、結局は守りに繋がる。
(俺達の頑張りが、日々の平和に繋がるっていうのなら、必ず任務を果たしてみせるさ)
「日常を壊させる訳にはいかないもんな」
 呟きながら、敵の動きに意識を集中する。
「近くに来てます! 御注意を!!」
 仲間たちへと呼びかけながら、シエルは防御の姿勢を取った。
 守りを固め、放たれた風の刃を受け止める。
 アーク研究開発室が実験的に開発した追加プロテクターは攻撃動作に若干の影響が出るものの、防御能力を高めるという点において充分な効果を有していた。
「己が長所・短所はよく存じております」
 静かに口にしながら、シエルは仲間たちの受けた傷を確認する。
 攻撃は相変わらず分散していた。
 気侭とでもいうべきか……敵は特に狙いを定めるようすも無く、絶えず動き回りながら攻撃を繰り出してくる。
 あえて言うなら、あまり急な方向転換等は行わない感じで、前衛に多めに攻撃が向けられている……というところだろうか?
「纏わりついて潜り込もうとする攻撃ってすげーな……」
 痛みは気にしないものの、圧迫感と息苦しさに和人はそんな言葉を零した。
 咳き込んだりして動きを止めぬようにと気を付けつつ、彼も皆の状態を確認している。
 幸いというべきか、彼が庇ったり回復に廻らなければ手が足りないという事態は発生していなかった。
 攻撃によって皆が傷付きはするものの、千里とシエルが施す癒しに不足はない。
 周囲の魔力を取り込んでいる為、2人の消耗も軽微なものだ。
「たくさんの絶望を食べて、私の闇もこんなに成長したんですねー」
 呟きながら珍粘が、解放した闇の一部を使って痛苦を内包する箱を創り出した。
「その身で、よーく味わって下さいねー。大丈夫、死ぬ程痛いだけですから!」
(アハ、ついでに呪殺されちゃえば良いんですよ)
 拡がった闇がE・エレメントを包み込むように収縮し、痛みと苦しみでエリューションを蝕んでゆく。
(『射手は立ち位置が大事』だってお兄ちゃんが言ってた)
「『狙いを付ける前から勝負は始まってる』……」
 杖を弓に見立てて、千里は魔力によって創りあげた光の矢を番えた。
「動くな! あたれぇ!」
 吐く息と同時に、矢を放つ。
 敵の動きに意識を集中させ、充分狙いを定めはしたものの……それでも容易に竜巻は直撃を許さなかった。
 それでも、命中すれば確実にダメージは蓄積されてゆく。

 琥珀は仲間が力を大きく消耗した時の事を考えてはいたものの、そこまで時は掛からなかった。
 命中が容易でないと判断すれば充分に狙いを定めて、という戦い方も良かったのだろう。
 それは消耗の軽減にも繋がった。
 リベリスタたちの攻撃を何度も耐え切れるほどの頑丈さを、E・エレメントたちは持っていなかったのである。
 危なげ無い、という表現が相応しい戦いだったと言えるだろう。
 6人のリベリスタたちは安定した戦いぶりで、5体のエリューションを圧砕する事に成功した。

●終わりと、始まり
「よかったら皆さんもどうぞ」
 そう言って千里は皆へとペットボトルに入った水を差しだした。
 動きを止めても暑さはしばらく収まらない。
 キャップを外し容器を傾ければ、喉を潤した水が染み込んでいくような気分がする。
「撃破完了ーっ……しかしなんだな、このE・エレメントみたいな風の力が使えたらカッコいいかもなっ」
 戦闘体勢を解いたクロトは息を吐いてから……ふと、そんな事を考えた。
「よしっ、何時か嵐を呼べるくらいの大技編み出してみせるぜっ」
 口にするのと同時に、頭の中に様々な思いや考えが浮かんでくる。
「風なんて何時かは止むのものです」
 同じように構えを解きながら、珍粘は呟いた。
(止まない風なんて、存在そのものが不自然だったんです)
「どうぞ空に帰ってください」
 先刻まで風たちが渦を巻いていた空間に視線を向け、そんな言葉を紡ぐ。
「うーん、いい運動になったなー」
 手櫛で髪を整えながら、和人が変わらぬ物腰で口にした。
「んじゃ、街で何か食って帰るかねー」
 そんな言葉に頷きが返る。
 それぞれが、それぞれの形で戦いの終わりを確認する。
 皆の言葉に頷きながら、シエルは空地を見渡した。

 今はもう、風の音は聞こえない。
 荒れた地肌が、戦いを物語るだけである。
「……今後は優しき風が吹きます様に」
 祈るように、彼女は言葉を紡いだ。

 もうすぐ、春。
 新たな、始まりの季節が訪れる。



■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
依頼の方、お疲れさまでした。
無事に全てのエリューションの撃破に成功しました。
仲間との連携、集中の使用、必要に応じて中後衛のカバー等、確りとした堅実な作戦だったと思います。
終始危なげのない、安定した戦いぶりでした。

御参加ありがとうございました。
それではまた。
御縁ありましたら、よろしくお願いします。