●何で誰も止めなかったんだよ アーク本部、大食堂。 何でか集められたリベリスタ達の前に現れた『無貌の予見士』月ヶ瀬 夜倉(nBNE000202)の手には、土鍋が抱えられていた。 あと、室内がやたら甘ったるい匂いがするのと、微妙にフルーティーなのと、それから…… 「チョコ鍋です」 「……チョコレートフォンデュじゃなくて?」 「チョコ鍋です」 大事なことですし、聞かれたのでニ度言いました。 「このアーティファクトは『強欲の鍋』と言います。この鍋を用いて作られた食品は、調理者の欲求を受けることで味が千変万化すると言われています。加えて、ベクトルが異なり過ぎるとえらいことになるという報告も上がっています。 そしてここにあるチョコレート的な何かですが、これは先日、戦闘により排出された革醒済みのカカオ豆を砕いたものです。一般人には食べさせられないので、今回処分します」 事ここに至って、リベリスタ達はおおよその話の流れを理解した。 味を如何様にも変える鍋といえど、チョコであればその味に圧され、これといった特性を持たずチョコ一色になるであろう――と。 「……そうなったら幸せなんですけどね」 「おいちょっと待て、なんだその悟った目は」 「大丈夫です、出来上がった鍋は順次移され、別グループによる作成が始まります」 「何が大丈夫なんだ、なあおい。あとちょっと生臭、いや無いわー」 「加熱済みです」 「マジか」 「マジです。あと、僕はその流れで副産物として出来上がったココアパウダーでココアでも作って飲んでいますので」 「何故それを最初からしなかった」 「……異端めいたなんかのお告げです」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:風見鶏 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年03月21日(木)10:26 |
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●こんなこともあろうかと 「ヒャッハー! 夜倉狩」 「られません」 高らかに鳴り響いた舞姫(いつものあいつ)の声が最後まで言葉を紡ぐ前に、夜倉は動いた。 具体的には、彼女、そして【夜倉狩り】の面々が居た位置の床を抜くスイッチをONにしたのだ。何たる無慈悲なマッポー的箱舟設備か! 斯くして、ほぼ半数をその闇に飲み込まれた状態では出来るものも出来まい、と闇鍋企画は失敗に―― 「……とはいきませんか」 いきませんよね。 ●気を取り直して 「……人のその時点でもっとも強い欲求、ですか」 鼻歌交じりに生クリーム、次いでチョコを放り込み、己に渦巻く情念を鍋に注ぎ込む亘は複雑な表情をしていた。 彼の情念はどうなのか、と問われればまあ、ただひとつの結論にたどり着くのは道理である。 愛情というかむしろ慕情なわけだが、誰かと分け合うわけには行かないのが彼である。 ……何で唐揚げ入ってるんですかね。 何で次第に目がレイプ目になってるんですかね。 っていうか、移し替えて去っていくその鬼気迫る表情は何だったんでしょうかね。コワイ! 「ヒャッハー! チョコレート鍋だー!」 ハルバードマスター、と名高い(かどうかはさておき)岬は、その発想の奇天烈さにおいては他のリベリスタに劣ることはない。 むしろ、それを上回る可能性が非常に高い。 何しろ、彼女の持ち寄った鞄の中身がまず酷い。チョコと混ぜるのを想像した俺の心境を鑑みてちょっと胃の内容物を返して欲しいくらいだ。想像するな? アッハイ。 まあそんなもんはどうでもよく。彼女のストッパーとして暗躍するのはその兄、史。 「あれー? 馬鹿兄ィとだけなのなのー」 (まずみさきちに鍋を触らせちゃダメだ。現実的に酷いものを作るか、寧ろ鍋を壊す……!) 彼は冷静だった。鍋に興奮した岬の荷物を一瞬の隙を突いて撤去。他の参加者が介入しないように彼女と対面で作業を行うことを自らに課した。その速度、一瞬。 荷物を持ってきた本人すら「エリューション化して何処かへ行ってしまったのでは」などと考えるほどである。 まあその発想からしておかしいけどな。 史なんてそんな妹を思ってか、一切の奇をてらわずマシュマロを始めとした基礎的なフォンデュ食材である。 そんな兄の努力を知ってか知らずか(多分知らない)「冒険心のなさに絶望した」とのたまう岬の凄まじさよ。 そしてそんな妹にマシュマロは本来加熱食材であるという知識を叩きこむ史。 ……こんなだからこの妹、兄を慕ってるんだろうなあ。 あ、因みに味はグレープフルーツめいた酸っぱ苦いアレだったとか。 一人鍋を目してこの場へ訪れたものは割と多い。っつーか、何でそんなに皆ソロリティなんだよ。描写する側の気持ちを考えろよ。つまんねえよ。 そんな気持ちなどくらっしゅしていそうな壱也はしかし 「こんにちはー☆ 羽柴ちゃん☆」 「こ、コンニチワァ……」 そこに現れた葬識にびくりと身を縮こまらせ、そろりとバックしようとし、 「コニチワァー★ 当然いるでよー★」 とまあ、退路を断つ形で甚内が控えているわけである。 「あらあらー……? 嫌そうな顔するねー?」 「ま、まさかー嫌なわけないじゃないですかー……い、一緒に食べましょー……」 壱也、ヤケクソ。何て言うか、夏の時といい今回といい、仲いいなお前ら。 んでまあ、壱也の扱いが酷いのは夏からの伝統らしいのだが、本当になんというか。 ハムスターもかくやと言わんばかりに詰め込まれた状態から某芸人のような追加のされ方をすりゃあ、そりゃ熱くない方がおかしいってもんである。 「あつ! あっつ!(※口の中がいっぱいなのでリアクションから推察しました)」 「羽柴ちゃんのちょっといいとこみてみたい☆」 でも、この葬識が言ういいところって壱也の悲鳴だよな。その辺にしといてやれよ。 がったんがったんと椅子を揺らし、ひっくり返りそうになった彼女が掴んだのは甚内の腕……だったはずなのだが。 ぼろり、と。 「やだーん左腕義手取れちったー♪」 がたん、どすん、ぽすん。 ……うん。推して知るべしっていうか、察せ。 「闇鍋……って取ったものは必ず食べなきゃいけないのよね」 「そ、そうみたい……ですね。でも、夜倉先生もそこはちゃんと配慮して」 「加熱済みの生物とか、頭がどうかしてる」 「…………ですねー」 宮実を誘い、鍋の前に陣取ったエレオノーラは、傍らに並べられた食材(自由に使っていいらしい)を一瞥し、目を細めた。なんていうか悪い意味で。 過去の一件のこともあり、いい機会だと思って誘ったはいいものの、この状況はどう考えればいいものだろう、とは思う。 イチゴとか焼きオレンジといったその意向は一部汲まれている辺りがあの包帯の面倒くさい所でもあるのだが。 「野菜類とか、歯ごたえのいいものを持って来ましたよ」 「……ぶれないわねー」 「バナナも持ってきてあるわよ、ゲテモノなんて御免なんだから」 (野菜の時点で既にアウトですがそれは……) 他方、一人鍋の雰囲気甚だしい桐と久嶺がエレオノーラに誘われたことは当然といえば当然の流れであるといえるのだろうが、二人とも『出来るだけマシなものを』という意向は合致してるのにやることが割と反対なのはどうしてなんだろうか。 久嶺は一切の危険牌を触らずバナナ(冒険心の無さで史とタメを張る)だが、桐はあるもので「食べてもマシなもの」をチョイスしてくる辺りが非常に、こう、性格だなあ、っていう。 っていうか、久嶺は友人諸氏を誘っても忙しかったとか可哀想というかなんというか、桐がその辺り頓着無く一人で愉しむ気だったことを考えると、更に倍点である。 「身長欲しいとか、ちょっと太ましい体格で尻尾が短い猫を撫でたいとか、酒が欲しいとか身長欲しいとか、一般的な欲求しかないわね」 エレオノーラ、身長の割合多いよ。悩み甚だしいよ。一般的すぎるけど涙が出てくるよ。 「なるべく甘くなってほしいけど……はぁー……お姉様と一緒に食べたかったなぁー……」 久嶺の素直さが何か微笑ましいけど、これ多分百合じゃないよね。大丈夫だよね。普通の親愛でいいんだよね(再確認 (おいしく、おいしく……) 畜生、桐は食べ物依頼だと清々しいまでに捻らず美食に走るな畜生! 「へ、平和に過ごせれば私はそれで……」 おーっとここで宮実による欲求のアンブッシュだー!(そこまでではない) …………斯くして。 出来上がった鍋のカオス具合たるや結構なものだったろうけれども、ナマモノ入ってるよりは随分マシに仕上がったんじゃないかなあと思う次第。 「そのままじゃ厳しそうだね……砂糖とか生クリーム入れてみようかな……?」 「せっかくですから美味しくて甘いものが食べたいですし……」 「あとは食べきる覚悟が必要ね」 糾華、アーリィ、リンシード。【黒蝶】の三人の用意の平和ぶりは見ている面々からしても微笑ましさの極致であった。まあ、一般的なティーンエイジャーってなこれもんよ。 あと、カカオペーストに砂糖入れてないってよく気づいたな。入れてなかったわ。カカオ99%だったわ。 「アーリィは甘い物、好きでしたよね……なんだかゲームをするには糖分が必要だとかなんとか、言っていたような気がします……」 「甘いお菓子は心と頭の栄養源。ゲームするには欠かせないわ」 アーリィから聞いた言葉を反芻するように口にしたリンシードに、糾華が補足する。頭の回転を早くするためにも甘味は必需品なのだが、同時に心を落ち着かせるための幸福剤のような位置でもある。少なくとも、彼女達……こと、糾華とアーリィはゲーマーであるところが大きいため、より糖分が要るのだろう。 共通の話題がある場合、それぞれの会話は微笑ましくもあるものだ。お互いを知ったればこその会話というものがあり、二人の雰囲気が明るいものであることは……まあ、リンシードでも分かる。 「糖分だけ、抜いておきましょうかね……」 ぼそりと。底のないような声が聞こえた気もした。当然、二人の視線がリンシードに集中する。方や戸惑い。方や、やれやれといった風情で、理解しているといった体。 「リンちゃん大丈夫……?」 「いえ、わかるわ。わかってるわよ」 まがりなりにも糾華は最年長である。ほんの一年そこらの差ではあるけれど。 付き合いの長い友人が何に悩み何を思うかなど理解できないはずもない。ほんの僅かの機微でも、彼女らにとって重いものなのだ。 「こ、今度は……隣にいる私の事も忘れないで欲しいんですよ……」 「なんだか寂しい思いさせちゃったかな……ごめんね」 「一緒に遊べる方法を考えましょう?」 二人共、大事に思っているのだから、と。 糾華に背中を軽くさすられながら口に運んだ鍋の味が悪いはずもないだろう、きっと。 「ついに……ついに、食べる時が来たようだね!」 祖父の名前知らないけどじっちゃんの名に賭ける、何だかよく分からないけどまあ分かるアンジェリカの目は輝いていた。 うん、今日に限って君は輝いていいぞ。前回精一杯絶望した分、今回は思いっきり 「このチョコ鍋の話を聞いた時から何も食べてないから幾らでも食べられるよ」 っておォい!? 食べろよ! 成長期にそういう極端なことするなよ! 青少年の成長的ななんかを俺が奪ったらヤバイじゃねえかふざけんな! と、まあそんな感じにアンジェリカのテンションは常の途切れがちなアレじゃない。カカオの成分的なアレにやられたのか、はたまた甘味の為に自意識すっ飛ばしたハイな状態なのかは知らないが常より数倍元気である。 でも、持ってきたのが薄切り肉とか鶏団子とか白菜とか、普通に鍋なんですがそれは 「チョコがかかれば大丈夫。チョコがかかれば何でも食べられる。なぜならそこにチョコがあるから」 え、ちょ、 「チョコレートこそ神様の偉大な発明、この世の至宝」 落ち着け。 なんて言えば分からないけど落ち着け。確かに生クリーム混ぜたチョコペーストならそれなりに温度上がるし、鍋の神秘的なんかでちゃんとそれらに火が通ってナマモノ・インシデントは発生しないとしてもそれはどうなんだろうか、というか自分から地雷原に突っ込んでいきつつチョコレート信望を全力で果たすとか、本当に君はどうしちゃったんだ。いいのか、大丈夫なのかそれは。 「大丈夫、部屋の体重計は壊してきたからもう何も怖くないよ」 もう何も怖くない入りましたー。 ●女性の美的ななんか 「私の足にチョコを塗って舐めさせればいいのね! 完璧ね!」 「とら君、ロリーナ君がチョコレートパックをご所望です。手伝って差し上げなさい」 「えっ」 「こっちだよー☆ よろしくねー☆」 ◆重点◆行動的な最適化◆SMが一切ない◆ そんなわけで【パック】の面々によるチョコレートパックです。 どうやら、某大手チョコレートメーカーでもチョコパックが売っているようですので、それなりに効果は期待されるのでしょう。 というか、確かに革醒者に普通のチョコパックって効果薄そうだね。そりゃ革醒済みのカカオ豆の成れの果て使うわ。分かるわ。(※欺瞞) 「なるほど、ああして食べる食べ物なのね、興味深いわ……」 匂いに思わず表情を歪めつつ換気扇に手を伸ばし、サタチアナは神妙な表情で目の前の状況を眺めた。 水着をまじまじと向き合いながら、明らかにやるき満々。加えてチョコの楽しみ方を完全に誤解している。 異世界交流って本当にままなりませんねー大変ですねー(他人ごと 「さすがに全身は……なので腕だけかな」 「折角水着着たんだからぁ、遠慮はダメだよっ☆」 既に水着姿になっていたのは、とらとフランシスカである。とらの水着がなんて言うかきわどいのに対し、フランシスカは黒のワンピース。まあ普段着からすればすげえ妥当で映えるのでいいとして、その格好になって腕だけだと!? だめだ。ソレはなんて言うかダメだ。サービスシーン的にダメだ。 でもとらは一部を除いて本人の意見を尊重しそうだから多分共用しない。そうだね、猥雑なんて一切ないね。 ブルーシートの上で互いに塗り合う姿はなんて言うかその、いいな。 「チョコパックでぺろぺろですよ! チョコ塗れな少女たちをぺろぺろですよ!!!!!」 そんな中でもぶれないのは龍一だった。なんていうかその、こいつ本当に清々しいまでにいつもどおりだな。 他意はない。他意が全くない純粋なセクハラ。あわよくば宮実もまきこんで少女臭をチョコ色にしてしまえとかおもってるよこいつ。 そして、さり気なく自分だってパックしてるよ的な。そんな雰囲気だよこれ。 「みんなチョコに呑まれよ(ぺろぺろします)!」 これはひどい。 ●来訪者たちの鍋 「此処に来れば、何か甘い物を食べられるって聞いたんだけどぉ……」 「うんうん、リリスちゃん。此処で間違いないみたい!」 ボトムに本格的に訪れる様になったフュリエ達にとって、行事の一つ一つ、食事の何もかもが目新しい。 味覚一つとっても、甘味の次元が恐らくは元の世界と全く違うそれに驚くことしきり、はまあ間違いないだろう。 リリスとルナとが目を輝かせて訪れたそこは既にカオスの極みだったけれど。 ルナはお姉さんとして『あえて見ない』という高等テクを駆使したけれど。 今日も異邦人は元気です。 「チョコレートかー……なになに、カカオ豆からカカおますという原成分を抽出し、工程ででた油脂分とミルク、砂糖と混ぜ、固めて賞味する食品なのね……面白そうだわ」 「チョコレートってボトムちゃんねるの恋人同士が贈り合う食べ物って聞きました。そんなステキなものをお腹いっぱい食べられるなんてなんてステキな依頼なんでしょうー」 『姉妹』の中でも特に仲の良いミュールとミューネの二人は、ボトムの知識に対しては特に濃い教養と知識量を誇る。 だからだろうか、ルナ達すら舌を巻くような知識をさらりと口にする様子に嫌味がなく、新たな知識を蓄えたことに対する喜びをも感じさせた。 「ボク勉強したんだっ! お鍋って、みんなで楽しく食べる料理なんだよねっ!」 その後ろから顔を出したエフェメラもまた、予備知識をしっかりとつけてきたことを伺わせる。 「先日読んだ『一日一語! よくわかることわざ』によると、ボトムには三人寄ればもんじゅの知恵と言う言葉があるそうだ」 ヘンリエッタが軽く指を立て、知識の底から引き出すように言葉を紡ぐ。 人よりずっと秀でた『ほとけ』を越えられる人数なら、素晴らしいチョコレートの食べ方を思いつくかもしれない……知識の先を見据える彼女にとって、それは何とも素晴らしい可能性なのである。 「なんかよくわかんないけど、これにしてみようかなぁ……?」 「え、何ソレ。間違ってないけど間違ってる気がするよ!?」 「主食というのは比較的何とでも合うそうだから、ちょこれーとも合うんじゃないかな」 リリスがちくわを手に目を輝かせるのに対し、ヘンリエッタが食パンと白飯を差し出してくる。 彼女らにかかればありがちなチョコレートフォンデュですら異世界色に染まるのだ! ……あれ? パンにチョコとか割と普通じゃね? まあそれはさておき。箸をグーで握り、食材を突き刺すミュールの行儀の悪さがアッハイなんでもないです、異世界研修楽しいです。 その傍らでエフェメラが普通にバナナをフォークに刺している辺りがなんて言うかその、なんだろうね。 「……何よこれ。クソ甘いじゃない。生ぐさいじゃない。おいしくないじゃない。まずいじゃなーいッ!」 何を口にしたかはさておき、ミュールの表情が曇り、即座にヘッドバンギングを受けたテーブルは真っ二つ! ……とは行かないまでも激しい振動に見舞われる。 エフェメラは(多分)止めたのに無理に食べようとするから……。 「ミューネ、後は任せたわ。私は帰るか」 「トェーイ!」 だが、そんなミュールの狼藉はミューネが許さなかった。カニバサミタックルから腰を捻ってミュールを引き倒し、流麗な動きでマウントポジションだァーッ! 「ぐえええ……はなせぇえええ……」 「逃げちゃダメですよ、ミュールちゃん♪ 受けた依頼は最後までこなさないとー♪」 カオスだなあ。 「……うん、美味しい」 「んー、あまーい♪」 一方、他のメンバーはそれなりに楽しめている様子。 特にヘンリエッタなどは、余り奇をてらったものを食べていないのと、食に対する強い関心が在るために補正が発生しているのか、知識欲を満たす上で味に違和感を感じないようで、凄く楽しそうなのであった。 しかし平和だなあ。 「こう、暖かくて甘い空気の中だと、気持ちよく眠れそうだよねぇ……寝てない、よぉ……?」 「ん、温かいところでも起きてられる様になったんだね」 眠気にやられてへたり込んでしまいそうになりながら、しかしリリスは寝ていなかった。 何より眠気を優先させる彼女が、仲間との交流を尊重して起きていると言う事実はルナにとっても微笑ましい成長なのだろう。 この世界にきてから、色々なことを学んで色々な成長を見てきた。 だからこその変化なのだろうか、と思わなくもないのである。 「……あ、其処のお鍋食べてみても良いのぉ?」 と、ふらりとリリスが足を向け、食べ。 「り、リリスちゃーん!?」 土曜の夜に鳴り響くような音楽が流れたような、流れないような。 そんな情景。 ●アレ 「やっぱ鍋は皆で楽しんでこそだよね! さすが舞姫!」 「流石は舞姫! 私たちが言えない事を平然と言ってのける! ソコに痺れる憧れるー!」 焔と夏栖斗が、綺麗に舞姫のフリを拾って投げ返すこの姿に驚きとともに数名が顔を逸らした! 首を振った! 「って、よくわかってないんだけど、どうすりゃいいの!」 「……でも夜倉狩りって何?」 「ところで狩りって何やんの?」 しかし、アークに来て日も浅いシュスタイナと、この行事めいた騒乱に参加しないことが多いフツには何が何やらさっぱりだ! ……あ、そこのボンズ様、すげえわかりにくい所でオカ研会議やめて下さい。探すのすっごく苦労した俺とかいるんですよ! あと、ベルカは隙を衝いて涎垂らしながら鍋の方に近づかない! チョコはアブナイ! 「っていうか夜倉先生あの包帯でどうやってたべるん?」 それ、初めの頃から言われてたよね。 「チョコ、チョコチョコチョコチョコチョコオオオオオ! チョコ鍋食わせろおおおおおう!」 「……詩人君、ノリいいですねー」 「こういうのは季節柄かと思いまして。あ、ココアください」 「はいはい」 舞姫のシャウトに合わせたので攻撃的な側かと思ったら、彼は特にそう言うわけではなく、只やりたかっただけだそうです。 なので普通にココアとか飲んでいるわけですが 「夜倉を捕まえればココアパウダーが手に入るんだな!」 「それは何だかおかしい」 「やっくらさーん♪ お鍋たーべーて~☆」 「終君、表情怖い」 「嫌だなあ革醒者が鍋ぐらいでしにませんよー☆」 こういうふっきれたコが一番怖いんですよ。 「夜倉狩りは、包帯という目的を失ってしまったのか。否である」 ぐっ、と拳を突き上げる快。先だって、晩秋にその素顔を見てしまった彼なのだから包帯の下とかどうでもいいじゃんと思ったら、そうでもないらしかった。 あとその拳の突き上げ方だとラグナロク使いそうだからやめろ。 「そこに夜倉がいる限り、夜倉狩りの灯が消える事は無いのだ!」 「ヒャッハー! 夜倉狩りだー!」 うおおおおおおおおお!! 何故か食堂に響き渡る夜倉狩りコール。マジでこれはどういうことなのか小一時間ほど問いたいところである。どうしてこうなった。 「私達の前で撤退とかその辺の言葉は文字通り無意味と化すわ!」 焔の台詞に合わせて数名が夜倉の包囲に回り、しかし逃げに入った包帯の動きはリベリスタに数段劣れど素早かった。と思う。 「HAHAHA……え? ウボァー!?」 詩人は犠牲になったのよ。 「構うな! 守護神ごとやってしまえ!!」 「ば、馬鹿な! 私は貴女の右腕だったはず!」 「……お約束通りのサンシタ・アトモスフィアですねえ……」 \アバーッ!/ いやまったく、これは酷い。 「あの、夜倉さん、ですよね? はじめまして。シュスタイナって言います」 「ああ、お姉さんでしたら拝見したことがあります。よろしくお願いし」 「これ、お近づきの印に持ってきました。新鮮なフルーツです」 「あ、すいません舞姫君がホヤとか言うから助かりましたお願いしま」 「……が、夜倉さんはこの生臭いチョコの方がお好きみたいですね。じゃあ。お口、あーんってして下さる? 注いで差し上げます」 「ちょ、違い、まっ、やっ」 \アイエエエ/ 「夜倉兄も遠慮すんな!w」 「ブラック夜倉さんにしよう(提案」 「いや、流石にそれはまず」 「内も外も、チョコタップリだねっ♪」 「誰が上手いことを言えと!?」 とら達【パック】組の裏の目的はこれである。 夜倉狩りに乗じてその身にチョコをぬりたくり、一つ事をやろうと虎視眈々と狙っていたのだ。 何がやりたいかって、そりゃぁベルカが……ダイイングメッセージで…… 【その点同志夜倉ってすごいよな、最後までチョコたっぷりだもん】 いや、そもそもベルカは何で倒れているのかというと、アレである。恵方巻きを鍋にぶちこんだらしい。何時のだよ。 普通の味覚じゃ酢飯とチョコの組み合わせ+欲求の混濁に耐えられないぞ。ゴッドタン呼んでこい。 「……すいません終君、ココアは」 「全部お砂糖混ぜちゃったよ☆」 「少しくらい残し」 「例外は無い。絶対にだ」 そんなこんなで。 チョコ鍋はきっちりスタッフが美味しくいただきました。 因みに、万が一があったらフツが提案したコスプレショーが始まったり始まらなかったりしたらしいよ! 残念だね! 「そう言えば、唾液の成分て育毛効果があるらしいよー?」 「マジで!?」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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