● 「ケイオス様の次の手は恐らくアークの心臓、つまりこの三高平市の制圧でしょう」 混沌組曲による混乱と痛みも醒めやらぬ中、偽りの静けさは新たな『混沌』の局面を迎えようとしていた。魔女の口にした、最も不吉な予言。それは『楽団』による三高平の攻撃だった。 『塔の魔女』は不吉な予言を外さない。 この状況に際して『塔の魔女』アシュレイ・ヘーゼル・ブラックモア(nBNE001000)は2つの提案をする。1つ目は三高平市に大規模な結界を張り、ケイオス側の空間転移の座標を『外周部』まで後退させるというもの。2つ目は『雲霞の如き死者の軍勢の何処かに存在するケイオスを捉える為に万華鏡とアークのフォーチュナの力を貸してもらいたい』という『危険』なものであった。無限とも言うべきケイオスの戦力を破る為にはケイオス自身を倒す事が必須である。しかし、慎重な性格の彼は自身の隠蔽魔術の精度も含め、簡単にそれをさせる相手では無い。『塔の魔女』はケイオスがその身の内に飼う『不死(ビフロンス)の対策』を口にすると共に究極の選択をアークに突きつけたのである。 防衛能力の高い三高平市での決戦は大変なリスクを伴うと共に千載一遇のチャンスでもある。 敵軍の中には良く見知った顔もある。痛みの『生』に慟哭する彼等を救い出す事も含めて……。 箱舟の航海に今、過去最大の嵐が到達しようとしていた。 ● 混沌組曲の騒乱も冷めやらぬある日、リベリスタ達はアークのブリーフィングルームに集められる。その顔には何かを予期した表情が浮かんでいた。そんな彼らの表情を確認すると、『運命嫌いのフォーチュナ』高城・守生(nBNE000219)は強く頷いて事件の説明を始めた。 「大体、話に察しはついているみたいだな。説明を始めるぜ。あんた達に頼みたいのは、この三高平市の防衛。『楽団』の連中がここに攻めてくる。つまりは、決戦だ」 先日、アシュレイが語った通りだ。 ケイオス・“コンダクター”・カントーリオは、三高平への直接攻撃に踏み切った。 理由として第一に『楽団』の構成員の問題。『楽団』は何れも一流のフィクサードにより構成された実戦部隊ではあるが、『予備役』的な戦力を加えて最大数千にも及ぶアークの構成戦力に比べれば極少数である事。彼女は元より『アークのリベリスタがどれ程しつこいか』を知っていたが、実際にそれを肌で知ったケイオス側が戦力のトレードめいた持久戦を嫌うのは確実であると思われるからである。 第二の理由はアシュレイが横浜で見たケイオスにはある『干渉力』が働いていた事。 死を超越したケイオスはその身に有り難くない『何か』を飼っていたと言う。 アシュレイはこの『何か』をソロモン七十二柱が一『ビフロンス』と推測した。ケイオスと特に親しい間柄にあるバロックナイツ第五位『魔神王』キース・ソロモンの助力を高い可能性で疑ったのである。伝承には『死体を入れ替える』とされるビフロンスの能力をアシュレイは空間転移の一種と読んだ。ケイオスの能力と最も合致する魔神の力を借りれば『軍勢』を三高平市に直接送り込む事も可能であろうという話であった。 そして、第三の理由は『あの』『The Living Mistery』ジャック・ザ・リッパー(nBNE001001)の骨がアーク地下本部に保管されている事である。芸術家らしい喝采願望を持ったケイオスは自身の『公演』を劇的なものにする事に余念が無い。モーゼス・“インディゲーター”・マカライネンが三ツ池公園を襲撃した際、ジャックの残留思念を呼び出す事さえ出来なかった理由は、彼の『格』の問題であると共により強く此の世の拠り辺となる『骨』が別所に封印されていた事に起因する。ケイオスが地下本部を暴き、ジャックの骨を手に入れたらば大敗は勿論の事、手のつけられない事態になるだろう。 「とまぁ、そんな訳だ。この状況をありがたいと見るか厄介と見るかは難しいが、ケイオスを倒すチャンスが来たのも間違いない」 そう言って、守生は端末を操作すると、三高平市の地図を表示させる。 「あんた達に守って欲しいのはこのポイントだ。アークの第一防衛ラインにある防壁。ここにやって来る死体を迎え撃って欲しい。ここには敵の戦力の一部を誘導した。誘導できた戦力はちゃんと潰しておきたいし、失敗すると敵戦力の増援って形になるからな」 この場に来る死体には指揮官と言える楽団員は存在しない。楽団員の操作が弱かった死体が向かってきていると言える。 そうした作戦の内容を説明しながら、守生の表情に複雑なものが浮かぶ。 「ここに敵戦力を誘導するために、別働隊が動いている。彼らのためにも確実に成功させてくれ」 守生の言葉を聞いて、リベリスタ達はようやく合点した。この作戦のためには敵戦力と肉薄して引き付ける役割が必須だ。そして、その危険な任務に志願したメンバーがいたということである。 三高平はアークのお膝元。それ故に戦闘に参加する人間の数は、今までの戦いに参加した人間とは比べ物にならない数になるだろう。それは取りも直さず、被害も比にはならないことを意味する。これこそが、『バロックナイツ』との戦いなのだ。 「説明はこんな所だ」 説明を終えた少年は、その鋭い瞳で睨むように、リベリスタ達に送り出しの声をかける。 「あんた達に任せる。無事に帰って来いよ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:KSK | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2013年03月14日(木)23:15 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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