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善悪交差点 ~勇者戦隊ゴユウシャー登場~

●パパ
「君、かわいいね?」
 ドミノマスクの青年のナンパじみた言葉に対して、仙台 美雪は何も言葉できなかった。
 拳銃を突きつけられた状況で、一体どんな言葉を返せるというのか。
 強盗団に支配された銀行。
 通報ベルを押そうとした支店長は、血沼に沈んだ。彼を射殺した硝煙の匂いが、鼻を掠める。
「独身? 彼氏いる?」
 二人の仲間たちが資金の収奪に勤しむ中、男は銀行員たちを威嚇しながら嘲り遊んでいた。
「へぇ、そう、若いのに未亡人で子供がひとり。やー、ぜひともNTRたい設定だねー」
 何も言ってない。美雪は恐怖に慄き、極力刺激しないよう沈黙していた。
 なのに、どうして。
「俺ね、人の心が読めるんだわ。さっきのおっさん勇敢でかっこよかったぜ? 夕方のニュースで英雄になってたかもしんねーな、成功してたらだけどよ」
 くつくつと嘲笑する仮面の青年。
「……へぇ、アレが息子さん?」
 観葉植物の裏に隠れていた五歳の息子、勇輝。
「こっち来いよ、ぼうや。でないと大好きなママでスイカ割りしちゃうぞ?」
「ゆ、勇輝……っ!」
 来るな、と叫んだところで何ができよう。結果は同じだ。
 勇輝は怯えつつも泣き叫んだりはせず、ゆっくりと男のそばへ近づいた。ヒーローの赤い人形を大事そうに抱えて。
「へぇ、ソレ、大好きなお父さんの買ってくれた形見の人形なわけね。そりゃ泣けるな~」
 奪い、宙に放る。
「よかったね」
 銃声。
 人形の破片が赤い雨になる。
「泣くなよ? 同情したんだ。ぼうやの命は、これで勘弁してやる」
 勇輝は、喚いたりしなかった。
 父が亡くなって以来、勇輝はめっきり情緒表現に乏しくなった。大人しく、慎ましく。自分の世界に閉じこもりがちな、時には気味が悪いと他の母親たちに陰口さえ叩かれていた子だ。
 勇輝の瞳は、それでも、どこか無感動だった。
 残骸を踏み割りつつ、ドミノマスクの強盗はつまらなそうに勇輝を見下ろす。
「お前、壊れてるのか? ……なら、いいよね」
 銃口を、額に。
 勇輝ではない。母、美雪にだ。
「スリー、ツー、ワン」
「や」
 勇輝は、叫ぼうとした。
「ゼロ」
「め……!」
 三度の銃声。
 しかし、それだけで終わった。拳銃は、銃弾ごと赤いグローブの中で圧砕されていた。
 空想の産物、架空の正義。
 そこに佇むのは現実にありえるはずのない、ヒーローだ。
 勇輝の瞳に映るのは、赤い衣に虎の意匠、筋骨隆々とした体つき、全てが全て人形通りだ。
「パ、パ……?」
 電光石火。
 アーミーナイフを手にした強盗が斬り掛かるや否や、ヒーローは片手で払って正拳突きを激烈に叩きこんだ。数メートル弾き飛ばされた上、強盗が激突した壁面に大穴を空けてしまう。
「クソっ、リベリスタか!?」
 二名の強盗が片や応戦、片や人質を盾に脅迫しようと動く。
 が、だ。
 二名は次の瞬間、封殺されていた。
 青、黄、白、黒。同一規格の、四人のヒーローたちによって一瞬で捕縛されてしまったのだ。
 劇的すぎる出来事に、ヒーローショーの世界に迷い込んだように誰もが錯覚する。
 五人五色の戦隊ヒーロー。
「ぐあああっ!」
 間接を極める。強盗の両腕が、壊れた人形同然になる。強盗は革醒者だ。これしきでは死なない。そう知っているかのように、速やかに強盗の無力化は実行された。
 そして戦隊は強盗たちを抱えて運び去ってゆく。
 嵐の如き、出来事であった。

●作戦概要
「本作戦の目的は、Eフォース:フェーズ2『勇者戦隊ゴユウシャー』六体の撃滅です!」
 作戦司令部第三会議室。
 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)はなぜか意気込み高くそう貴方たちへ宣告した。
「はい、質問」
「どぞ」
「防犯カメラの映像、戦隊名、どうみても五人のはずだよね」
「六人目の追加戦士です」
 解せぬ。
「勇者戦隊ゴユウシャーは約二年前に放映されていた特撮番組です。今回のEフォースは、その幻想が結実したものです。彼らは原点にかなり忠実なため、正義の心と巨悪と戦う強大なパワーを秘めています。しかも抜群にチームワークがよく、正面から挑めば苦戦必至です」
 リベリスタ達の反応は、千差万別だ。
 興味のない者にはピンと来ない一方、そっち方面に明るい人には絶望的な説明ですらあった。
「しかも将来的にフェーズ3になると五十メートル級の巨大合体ロボット×2を召喚でき、さらに究極合体することによって七十メートル級の超凄いロボットが出てきます」
 無関心な人は驚愕する。
 興味深々な人は狂喜する。
「原則フェーズ3に至る前にエリューション撃滅を計りますので、今のはお目に掛かることはないとして、です。個々に強力な6体のチームとの戦いは必然的に激戦となります。正規の人員に加えて、サポート四名を派遣します。また今回、フィクサードとの連携を計ることに致しました」
「は?」
 広がるどよめきを押し留め、和泉は解説を進める。
「Eフォースは“悪”と称して幾つかのフィクサード組織に侵攻、打撃を与えています。半実体化した思念体である彼らは、意志や意義に左右されます。Eビーストによくある、生存本能に基づく捕食行動と同じです。今回のEフォースは悪しき革醒者を敵と定め、殲滅することを目的として存在しているわけです」
「……放っておけば?」
 だって、悪の組織を颯爽とやっつけてゆく正義のヒーローなわけで。
「放置してフェーズ3、フェーズ4と進化してゆけば最後に待つのはフェーズ6:堕天級、フォールダウン現象による自滅で次元の穴を空けてしまえば、崩界を促し世界に大きな悪影響を与えます。我々アークは崩界阻止が至上命題です」
 和泉の眼鏡が、ギラリと輝く。
「今回、我々はフィクサード組織と一時協力してEフォース撃滅を行います。自分の命を狙う敵といっしょに戦ってくれるとなれば、相手も申し出を断る理由がありません。また敵の標的もフィクサードのため、いわゆる“エサ”役になってくれるわけです」

●悪人
 廃ビルの一角。
 殺風景なコンクリートの砦、ここが戦場となる。
 五階建ての建造物はやや老朽化しており、一部は崩落し階層間を飛び降りて行き来できる。
 
 そこには傷つき、恐怖に怯える五名のフィクサードの姿があった。
 彼らは壊滅的打撃を受け、命からがら逃げてきた末端のフィクサード組織の構成員だ。威圧的な黒服姿で打ちさらしのコンクリート床にうずくまるさまは言葉にしがたい。
 打ち合わせのため、アーク諜報部の人間が先んじて廃ビルを訪ねた。
「ひっ」とひとりの男が恐れ戦き、逃げようとする。が、重傷の激痛による絶叫で遮られた。
 見るも無残、語るも無残だ。
 冷静さを取り戻した男たち。その中心人物、黒いサングラスの男、源三郎は事の経緯を物語る。

 その日。何事もなき日常の中、下っ端の彼は嫌々と事務所の外の清掃をやらされていた。こんな寒々しい季節、業者でも雇えばいいものを暇だからと清掃なぞ革醒者にやらせることか。目障りな上司のことを内心で「さっさとくたばればいいのに」などと彼は文句を言ってやる。
 そんな時、ソレは現れた。
 壊滅だ。
 冗談めいた装いと裏腹に、戦隊の振るう剣は次々に彼の仲間を斬殺した。足が竦み、動けない。
「なにしてやがる源三郎!」
 男を逃してくれたのは例の上司だった。
 けして善人ではない。散々他人を踏みにじった以上、ロクな死に方はすまいと思っていた。それが実際に死んでみれば、どうだ。
 振り返ってみれば、源三郎自身も同じだ。今ここで過去の悪行を吐露すれば、すぐに哀れな被害者という他者の同情は自業自得の塵屑という侮蔑に変わり果てるやもしれない。
 源三郎は仇を討つべく、否、自らが生き残るためにも決死の覚悟で戦うつもりだという。
 諜報部の男は、源三郎の言をアーク作戦司令部へ報告した。

 ここは善悪交差点。
 今この場において、絶対的な正義というものはあるのだろうか?
 依頼を遂行する。
 アークの示した道筋は、個々人の倫理よりもこの場において優先される。
 それは大きな救いだ。

 ――さぁ、戦え。
 今はまだ、それだけで許されるのだから。





●敵詳細資料
 以下に敵エリューションの詳細な資料を記述する。

 「勇者戦隊ゴユウシャー」はEフォース:フェーズ2全六体により構成される。
 特撮戦隊ヒーローを原型とする。当該作品のモチーフは古典的RPGに基づく。
 個々の情報は劇中設定およびフィクサードとの交戦に基づく。
 ※一部、作戦遂行にさして関係のない趣味的記述がありますことご容赦ください

『ユウレッド/赤座 勇(あかざ いさみ)』
 亡き父の後を継ぎ、勇者として選ばれた青年。勇猛果敢にして心優しく、万能タイプ。
 リーダーとして他の四人を率いる。実力は五人中最強。モチーフは勇者。
 弓の名手でもあり、射手座の魔物を従える。
 ステータスはバランスがよく、目立って短所もない反面、特化能力もない。ただし全て高め。

 ・『サジットリガー』
  勇者の弓。非常に強力な必殺ウェポン。第三クールの追加武装。宅配便で父が贈ってきた。
  仲間のパワーを結集することで絶大な威力のサジットアローフィニッシュを撃つことができる。

『ユウブルー/青山 戦(あおやま せん)』
 第一の仲間。モチーフは戦士。クールなブルー。やや無口。不器用だが他人想い。
 魔法の才覚に乏しく、生まれながらに勇者になるべく育った幼なじみの勇に劣等感を抱く。
 自己の技量研鑽に務めることでユウブルーとなり、勇の隣に立って戦う。
 最終的に心の闇を払拭、純粋に誰かを護るために戦うようになる。
 典型的物理前衛。防御を得意とするが、物理攻撃も高い。

 ・『センシールド』
  戦士の盾。防御に長け、単純に頑強な上、各種バリアーなどを展開することもできる。
  余談だが、これまでにない強敵が出てくると高確率で割られる。通称かませ盾。

『ユウイエロー/麻黄 踊子(まおう ようこ)』
 第二の仲間。モチーフは踊り子。のどやかイエロー。はんなりおっとり。自由奔放。
 じつは魔王の娘。正体を隠して勇に協力してきた。
 最終的に、魔王との和解に至るきっかけとなる。
 誰よりも素早く身軽な反面、攻撃は不得手。支援的に立ち回る。

 ・『マイセンス』
  踊り子の扇。防御に優れた鉄扇。盾代わりに使い、ユウカリバーと二刀流で戦う。
  舞踏に用いることで全体支援ができる。

『ユウホワイト/白瀬 光(しらせ ひかり)』
 第三の仲間。モチーフは僧侶。まじめなホワイト。リーダーに従順。犬っぽい。
 加入エピソード時点では呪われて子犬にされていた。以降、犬ネタで度々いじられる。
 直感に優れており、時には未来を予見することも。
 回復に長けるがバランスは良く、物理攻防もけして低くない。

 ・『ソウルクリスタル』
  魂の水晶玉。魔法に用いることができ、神秘ダメージへの盾にもなる。
  魔法の補助の他、簡易的な未来予測ができる。 

『ユウブラック/黒馬 法司(くろま ほうじ)』
 第四の仲間。モチーフは魔法使い。根暗ブラック。ネガティブ全開。呪い好き。
 ホワイトの呪いを解く。暗黒竜を体内に閉じ込めており、その封印のために自我を抑圧している。
 広域全体攻撃や妨害、多種多様な呪いを扱うことができる。
 メンバー中もっとも肉弾戦を不得手とする一方、神秘方面は脅威的。
 自身もしくはチームが大きな窮地に陥った場合、竜化する恐れがある。

 ・『アンコクロッド』
  魔法使いの杖。魔法の補助に用いる。物理的には頼りない。
  
 ・『ドラゴクロード』
  暗黒竜。フェーズ2段階では、暗黒竜と化しても全長は十五メートル程。強靭。
  戦力は平時の数倍に至るが暴走、敵味方を問わず手当たり次第に攻撃する。
  EP切れで自滅する。
 
『ユウケンジャー/ジーナス』
 六人目の追加戦士。モチーフは賢者。神出鬼没、正体不明の謎めいた存在。
 その正体は、大昔に自ら封印されることで魔王の蘇る未来へと現れた賢者ジーナス。
 賢者なれど現代事情に疎く、魔法に長けるが機械オンチ。
 万能タイプ。反則めいた実力を誇る。単独行動を行い、多くの場合、五人のピンチに駆けつける。

 ・『ケンジャッジメント』
  賢者の魔法剣。
  標的に切っ先を向けることで有罪か無罪かを計る。有罪ならば必殺技、無罪ならば不発。
  威力は罪状に拠る。
  罪の重さの判断材料は、名声値など関係する。名声値が低いほど無罪or発動しても低威力。

『ユウボーグ』
 共通装備。超高性能スーツ。灼熱、極寒、高圧電流、海底、宇宙などあらゆる環境に適応する。
 (劇中設定の)女神の加護を授かっている。BSに軽度の耐性アリ。
 赤、青、黄は物防重視。鎧など近接防具をイメージした追加アーマーを纏う。
 白、黒、賢は神防重視。魔法の使い手をイメージした衣を羽織る。
 
『ユウカリバー』
 共通装備。勇士たちの剣。片手剣。鋼鉄を軽々と切り裂き、丈夫で軽い。
 劇中設定では「ユウカリバーを台座から引き抜いた者は勇者の資格が認められる」らしい。
 変身アイテムを兼ねる。
 宝玉をはめる部位があり、ここに魔物の宝玉を装填することでさまざまな魔法や能力を使える。
 「光る! 歌う! 勇者の証を、君に」
 なお玩具のDXユウカリバーは店頭価格約3500円にて発売されていた。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:カモメのジョナサン  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 4人 ■シナリオ終了日時
 2013年03月07日(木)22:56
こんばんわ。STのカモメのジョナサンです。
今回は歪んだ形で顕現してしまった正義の味方を、フィクサードと共闘しつつ撃滅していただきます。

以下、シナリオ詳細です。

●状況説明
 フィクサードによる銀行強盗事件が発生。
 そこへ現れたのは少年の想いによって革醒した、幻想。
 Eフォース 勇者戦隊ゴユウシャーは颯爽と悪漢を葬り去る。

 後日、ゴユウシャーは幾つかのフィクサード組織に攻撃を仕掛けていた。
 正義の心に従い、ゴユウシャーは悪を倒そうとする。
 しかし彼らは放置すれば崩壊を招きかねない為、アークはゴユウシャー撃滅を決定。
 フィクサード組織と協力して、正義の戦隊と戦うことに?

●作戦目的
・Eフォース:フェーズ2『勇者戦隊ゴユウシャー』計6体の撃滅

 共闘するフィクサード組織とは、なるべく事構えないこと。
 こちら側の裏切り行為などはアークの組織としての信頼に関わるため、控えること。
 ――というのは表向きの話。フィクサードの死傷者は無視してもよい。極論、バレなければ故意に屠っても不問とする。フィクサードが弱ったところを背後から討ってもよい。
 またゴユウシャーは撤退しない。

●戦場
 ・廃ビル
  戦闘は昼間。戦場は薄暗いものの目視困難ではなく、影響はあまりない。
  五階建ての廃ビル。老朽化しており、地形破壊可能。

●フィクサード

 ・フィクサード残党
  半壊滅したフィクサード組織の残党五名。実力は中級未満。
  Eフォースの標的になっている。敵は優先的に狙ってくるだろう。
  精神状態は悪く、このままでは戦力として有効とは言いづらい。説得が必要だろう。
  複数名が重軽傷を負っている。現地到着~戦闘開始の間に回復を施してもよい。ただし、その場合は回復に要したEPは初期消費される。(なおチャージは考慮しない)

  ・源三郎
   フィクサード残党の中心人物。ジーニアスのクリミナルスタア。
   黒服にサングラスに日本刀、見事なまでに裏社会の人。
   年齢は三十代前半。年齢に比して下っ端であり、革醒歴も短い。実力は中級程度。
   負傷しているが士気は高め。

  ・他四名
   スターサジタリー2名、プロアデプト2名。士気は低め。
   主に後方支援、遠距離攻撃タイプの面々。勇敢な前衛勢は襲撃時に全滅している。
   使えるスキルはよくて中級前半まで。

●敵

 ・Eフォース:フェーズ2「勇者戦隊ゴユウシャー」計6体
  己が正義に基づき、悪しきフィクサード組織の撲滅を目論み活動する。
  正義の心、強靭な肉体、豊富な装備、抜群の連携と敵に回すと厄介この上ない。
  ただし、卑怯な手は使ってこないなど正義のヒーローならではの弱点あり。
  RPGの勇者とその一行をモチーフにする。

  ・ユウレッド
   勇者。前衛。万能。典型的赤。司令塔も兼ねる。五人中最強。
  ・ユウブルー
   戦士。前衛。物理攻防に長ける。剣と盾を使い、前線に立つ。
  ・ユウイエロー
   踊り子。中衛。全体支援に長ける。扇で舞い踊り、臨機応変に立ち回る。
  ・ユウホワイト
   僧侶。後衛。回復・支援に長ける。水晶玉で未来を占う特異能力を誇る。
  ・ユウブラック
   魔法使い。後衛。神秘攻防に長ける。杖で魔法を使う。暴走すると暗黒竜と化す。
  ・ユウケンジャー
   魔法使いと僧侶を兼ねる、賢者。銀色。神出鬼没。
   単独行動する上、戦力はダントツで高い(白と黒を足して2で割らない程度)。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
スターサジタリー
桐月院・七海(BNE001250)
クロスイージス
ツァイン・ウォーレス(BNE001520)
ホーリーメイガス
レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)
デュランダル
★MVP
真雁 光(BNE002532)
ダークナイト
鋼・剛毅(BNE003594)
ナイトクリーク
ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)
プロアデプト
一条 佐里(BNE004113)
ホーリーメイガス
宮部 春人(BNE004241)
■サポート参加者 4人■
ホーリーメイガス
リサリサ・J・丸田(BNE002558)
レイザータクト
リオン・リーベン(BNE003779)
ソードミラージュ
鹿毛・E・ロウ(BNE004035)
覇界闘士
片霧 焔(BNE004174)

●彩色heroism
 白。
 白い天井、白いカーテン、白いシーツ、白い肌、白い明日。
 窓辺の向こうに広がる青空や見舞い花の豊かな彩りさえ漂白されているかのような心地だ。
 色彩なき病室、ゆるやかに時は過ぎてゆく。

 世界は彩りに蘇る。
 それは一冊の本か、あるいは一時の電影か。
 創造と空想の世界がもたらす天然色。架空の活劇が、心に活力を与える。
 夢中を流離う。
 剣を手に悪を挫いて善を助く。心の中では、どんな英雄にもなることができた。想いを重ねるたびに心が弾み、憧れる。それは現実ではなく、想いは借り物でしかない。こうして床に臥せるばかりの己に、絵空事の英雄に、一体なにが救えるのか。他人にはそう笑い棄てられるかもしれない。
 けれど、だけど。

 『勇者を目指す少女』真雁 光(BNE002532)は勇ましく叫び、詠唱する。
「聖なる雷よ! 敵を討て!」
 漲る力、迸る雷、滾る心。標的は、ありえざる五色の英雄。光は暴れ狂う雷鎖を解放する。
 薄暗いビルの中、雷光は勇者を志す少女の決意に満ちた横顔をありありと照らした。

●歓迎
 一行は廃ビルに到着した。
 陰惨とした空気の漂う中、三階を目指す。報告通り、そこには五名のフィクサードが待っていた。
 アークのリベリスタ達は計十二名、総勢十七名の革醒者が集結する。

 甲冑具足の足音がコンクリート壁に反響する。
 ツァイン・ウォーレス(BNE001520)。
 『疾風怒濤フルメタルセイヴァー』鋼・剛毅(BNE003594)。
 ともすれば時代錯誤といえる西洋甲冑は、されども両雄の重厚な雰囲気により現実たらしめる。
 傷ついた黒服のフィクサード達、その中心、源三郎は気圧されてすぐに言葉が出てこない様子だ。無理もない。自分たちより格上の面子がずらりと十二名だ。今回は協力する手筈とはいえ、生きた心地はするまい。
「アークのリベリスタだ、助太刀に来た。……が、アンタ達にも手伝って欲しい」
 ツァインは内心を伏せつつ、説明に徹する。
『悪党と協力してヒーロー退治か、何やってんのかねぇ全く……』
 作戦説明の場では、そう嘆きつつもツァインは今回の依頼に参加している。
「連中の狙いはアンタ等だ。もし俺達を囮に逃げようとしても……わかるな?」
 凄む緑眼、怯む黒服。
「やる気はあるんでしょ?」
 ひょっこりと甲冑の陰に隠れていた金髪碧眼の美少女が顔を覗かせた。
 『フェアリーライト』レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)は愛嬌よく微笑む。
 さながら飴と鞭だ。
「利害は一致、貸し借りなし。こっちとしても正直、手を貸してもらいたくてしょーがない」
 『銀の腕』一条 佐里(BNE004113)も丁寧な物腰で接する。
「敵の敵は、やっぱり敵です。だからこそ停戦協定だって結べるはずです。復讐するならば、手を取り合いましょう」
 灼炎轟く赤の記憶が蘇る。
 一条 佐里の正義は、復讐。今や果てなく遠き、大切な日常を想えばこそ。
「私個人としては……そう、したいんです」
 源三郎は首肯する。
「――かたじけない」
 他の面々は半信半疑なれども他に選択肢も乏しく、共闘体制に賛同する。
「回復は任せてくださいっ」
 『バイト君』宮部 春人(BNE004241)は魔力杖をかざして天使の歌を行使する。
『ピジョンブラッド』ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963)は水を差さぬよう黙しつつも内心はおだやかではなかった。
 殺すならば、この手で。
 紅の瞳が、冷酷な闇を宿す。

●お約束
 廃ビルの窓ガラスをぶち抜いて、五つの影が襲来する。
「な、何者!?」
 『弓引く者』桐月院・七海(BNE001250)は叫ぶ。一目瞭然、明々白々にも関わらず。
「いや、どうみてもゴユウシャーの皆さんですよね!」
 ツッコミを入れる春人をスルーし。
「お、お前たちは……!」
 と、何かのお約束を律儀に守り、七海は大げさに驚く。……こんな人だったっけ。
 当の七海は弓を射掛けて一射し、わざと外すつもりだったのだが戦隊は自ら名乗りをはじめた。七海は今回、DVDをばっちり予習・復習済みだ。勇者っ娘の真雁 光もまた内心ドキドキだ。
 赤、青、黄、白、黒と順に戦隊は名乗ってゆく。
 背景では原理不明のカラフル爆炎が昇る。
「剣の勇士! ユウレッド!」
「盾の勇士! ユウブルー!」
「扇の勇士! ユウイエロー!」
「玉の勇士! ユウホワイト!」
「杖の勇士! ユウブラック!」
 五つの剣ユウカリバーを天に掲げて誓い、勇ましげにポーズを決める。
「勇気を以って悪を討つ! 勇者戦隊! ゴユウシャー!!」
 そして盛大に爆発炎上する。
「うわぁぁぁっ!」
「ぎゃああぁ!」
 ――に、巻き込まれる黒服の諸兄。
「けほけほっ! 攻撃判定あるんですかソレ!?」
 煤だらけの春人をよそに七海は解説する。
「説明しよう! ゴユウシャーの名乗り爆発は一話につき火薬費五百万円を費やしているぞ!」
「予算の使いどころ間違ってますよねソレ!」
 スルーし。
「あちらも名乗った以上、こちらも名乗るべき! そうでしょう、ユウゴールド!」
 不意に七海はツァインを一喝する。
「……いや、名乗んねーから!」
 そこで空気を読んだ鋼・剛毅が名乗りをあげる。
「黒解!」
 漆黒解放。闇を纏い、一瞬にして変幻自在の武具と成す。ダークメタルなボディが凛と輝く。
『疾風怒濤フルメタルセイヴァーが、漆黒フォースを解放するタイムは、僅か0.05秒に過ぎない。では、漆黒解放プロセスをもう一度見てみよう!』by七海
「ナレーション!?」
 
『解放!』
 鋼・剛毅は身体をダイナミックにひねり、天に手を掲げる。
「黒き装甲を纏いしメタルヒーロー……」
 遥か高空では暗雲を払い、超次元高速コーポFullmetal Tower~鋼の塔~が現出する。
『リョウカイ、漆黒ふぉーすヲ転送シマス』by鋼の娘
 鋼の塔から転送された漆黒の闇が蒸気の如く滞留、煌き、剛毅に結集する。各部のコンソールが明滅し、ヘルムの奥がギンギラギンに輝く。
「疾風怒濤フルメタルセイヴァー、参る!!」

 威風堂々と名乗り口上を決めた剛毅に、光と七海は大興奮。
「いや、あの、どうみても0.05秒を越えてる……」
 刺さる視線。
「な、なんでもないです!」
「さて」
 七海は魔弓・告別を引き絞る。前髪に隠した目は、動体視力を極限まで活性化させている。
「サジットフレア」
 インドラの矢。一条の巨大な業火の矢が、幾重にも枝分かれして横殴りの烈火の弾雨と化す。壮絶な威力、そして命中精度だ。
「ホワイト! ブルー!」
 レッドの号令でブルーが躍り出、センシールドを盾とする。即座にホワイトが追随、水晶玉を光輝させる。青と白の二重魔導シールドが発生、威力を激減させた。無理やりに火矢は貫通する。しかし彼らのスーツ、ユウボーグは減衰した烈火を見事に防ぎ切ってしまった。
 見事な連携と強力な武装。
 ――勝てる気がしない。今のは第二十一話で敵の火炎を防ぎ、逆転した連携だ。七海は、改めてその強さを実感する。
「流石ユウボーグだ。光ちゃん、君のつぶらな瞳が映らない」
 
●強く、勇ましく
「正義や善悪に絶対の基準は無い。最後に立っているものにとっての正義が善だ。……つまり、お前たちが悪ということだな」
 リオン・リーベン(BNE003779)は中衛にて戦闘指揮を執る。攻守ともに教導を行い、戦況を見定める。彼は貴重な司令塔、支援に徹する所存だ。もとより、自ら剣を振るうことは望まない。
「護る事、それがワタシの全てです」
 『青い目のヤマトナデシコ』リサリサ・J・マルター(BNE002558)は、回復役の春人やレイチェルを中心に味方を庇い、また自身も癒し手の役割を果たすことで守備の盤面を底支えする。
「どーもー、ヒッサツ特掃です♪」
 『必殺特殊清掃人』鹿毛・E・ロウ(BNE004035)は前衛として迅速なスピードで立ち回り、敵前衛たるレッドとブルーの進撃を翻弄せんとする。これに堅牢なツァインまでもが立ちはだかる。
「戦隊が相手とは、燃えるわね!」
 『炎髪灼眼』片霧 焔(BNE004174)はレイチェルの翼の加護を受け、軽やかに敵後衛の白、黒へ迫る。佐里と剛毅もまた剣を手に追随した。
 七海と光は業火の矢と雷の鉄鎖によって敵陣全体を攻撃する。さらに黒服たちの銃撃も重ねる。
 一見すれば見事な布陣と物量だ。その全てがリオンの教導と指揮の恩恵を享受する。
「さぁ俺達アークが手を貸すんだ、ぶちかましてやれよ!」
 そしてツァインが先陣を切り、十字の加護によって戦意高揚を図る。
 前衛の動きを封じて後衛を討つ。堅実な作戦だ。
 が、だ。
「踊ろう?」
 イエローは扇の舞を披露、どこからともなく陽気な背景曲が流れてくる。
「孔雀座の! サンバ・フィーバー!」
 魔法の舞踏によって戦隊は眩く光輝する孔雀の翼を得る。イエローはサンバのリズムで華麗に踊る。すると不思議なことに敵全体が雷鎖や業火をいともたやすく回避せしめ、白と黒も焔の焔腕や剛毅のソウルバーンすら軽妙にかわした。
「こ、これは!」
「知っているんですか七海さん!」
 佐里の問いに七海はまたも解説する。
「説明しよう! これは煌びやかな翼が目を奪い、舞踏による動作の最適化を行う魔法だ!」
「な……サンなバカな!」
 驚く間もなく、ブラックは反転攻勢に出る。
「ペルセウス座の! メデューサンダー!」
 灰色の雷が降り注ぐ。運悪く命中した黒服の二人の弓取り、源三郎。そして七海をはじめ剛毅、春人、焔、佐里、ロウ、リオンまでもが瞬く間に石化してしまう。が、回復の要となるレイチェルだけは絶対者たるリサが見事に守り抜いていた。
「リサっ!」
「早く、皆さんの解呪を!」
「うんっ!」
 レイチェルは神々しき光を杖に集束させ、一気に石化の呪いを祓い去らんとする。
「今よ! レッド!」
「ああ! サジットリガー! セットッ!」
 その刹那にレッドを中心に五人が集い、勇者の弓サジットリガーに各自の武器を連結させる。
 真雁 光は驚愕する。
「まさか、これはサジットアローフィニッシュッ!」
 五人分のパワーを結集して放つ必殺の合体攻撃だ。耐えることは不可能に等しい。とっさに雷鎖を放つが、激しい光の加護に弾かれる。
「負けてらんないのよ、絶対に!」
 脅威を悟り、レイチェルは渾身の神光を解き放った。
「世界を守るのが、あたしの正義だもの!」
『サジットアロー! フィニッシュ!!』
 絶光。
 五光の熾烈な奔流が、廃ビルを一直線に貫いた。
 
●善悪交差点
 明暗分かつ、射手座の矢。
 瞳を開ける。少女の華奢な背中が、レイチェルのことを庇い抜いていた。
「ワタシも……誰かを護りたい」
 片膝をつく。耐え凌いでみせたのは、ひとえにリサの執念だろう。
 焔、リオンは健在、解呪後の回避が紙一重で間に合ったようだ。しかし佐里、春人は満身創痍のまま意識を喪失していた。が、再起は可能なはずだ。
 源三郎は動かぬ右肩を抑えて歯を食いしばり、立つ。しかし、彼の鬼気迫る眼差しの矛先は五色の英雄ではなかった。
「き、貴様らァッ!」
 剛毅とロウ、両者は悠然と佇んでいる。盾として消費した黒服の骸を足元に放り捨てて。

“ここは善悪交差点。善いも悪いも貴方次第”

 ロウの大般若が、源三郎の日本刀と鍔迫り合う。
「流石の包丁捌きですねえ、親分さん♪」
「手前ァ覚悟はできて、ぐがっ!」
 剛毅の黒剣が、源三郎の胴を刺し貫き、抉る。
「ぐあああああああああっ!」
「協力するというのは建前だ。力もない、己が正義も語れない連中など助ける気にもなれん。精々盾として正義に尽くすことだ。多少の罪滅ぼしにはなるぞ」
 戦場が、混沌に堕ちる。
 
 千差万別だ。
 戸惑う者、黙認する者、理解を示す者、そして怒れる者である。
「止めろ、そいつぁー仁義に悖る」
 ツァインは静かに言葉すると剛毅の剣をガントレットで鷲づかみ、引き抜いた。
「動かないで! 今、治療するから」
 急ぎ、レイチェルが源三郎に手当てを施す。
「……銀色は、まだ物見櫓かな?」
 ロアンは冷徹に状況を俯瞰する。そろそろ出てきても良い頃だ、と。
「や、やってられるかよ!」
 混乱の隙をつく、残る二名の黒服がビルの外へ飛び降りた。完全に戦意を喪失している。どのみち戦力にはなるまい。引き止めて三つ巴になっては面倒だとロアンは見過ごす。
「いいさ。ここで被害者面して死ぬなんて許されない。君達みたいのは僕が殺すんだから」

●一条の光
 闇に横たわる。
 一条 佐里は過去を彷徨っていた。
 見覚えのある町の中、透明な人々とすれ違って行く。それは家族で、友達で、懐かしくて。
 焼失する。
 写真が焼け焦げてゆくように、抽象的な日常風景が灼炎に葬られる。
 復讐という名の正義を剣に宿して、佐里は闇の淵より再起する。
 ――けれど、それだけではないのだ。
 
「……ロアンさん」
 春人に遅れて意識を取り戻した佐里は、ロアンの肩に身を預けていた。
「大丈夫かい?」
 その表情は温かく、嘘偽りはない。彼は、三高平という地で佐里の得た新たな日常の一片だ。
 佐里は力強く、微笑み返す。
「はい、いきましょうっ!」
 魔力剣・閃赤敷設刻印を一薙ぎして戦況を見据える。
 フィクサードは二名死亡二名撤退、源三郎は回復を受け、息を吹き返している。瞬時に高速思考し状況を読解する。劣勢だ。特にロウ、剛毅への攻撃が激しい。黒の暴走狙いという策は狙い目こそ悪くないのだが、黄の舞踏支援に阻まれる。自陣は全員健在だが、敵六人目の出方が――。
「……! 好機です、ロアンさん!」
 佐里にある推察を告げられて、ロアンは目を丸くした。
「敵の目標が二手に分かれたのです。……賢者は、現れません」
 そう言い切り、佐里は司令塔のリオンにAF越しに提言する。そこへ七海も一策を講じる。
「完全無欠のヒーローなんて居ない。あの合体攻撃には特定の弱点があるんだ。そのタイミングを見切れるのは自分以外にはひとりだけだ」
 指差す先では、今まさに真雁 光がホワイトと切り結んでいた。
 強烈に踏み込み、ユウカリバーの太刀筋を見切って逆胴にゆうしゃのつるぎを斬り浴びせる。その挙動は、未来が視えているかのように正確無比だ。
「一体なぜだ、七海」
「大好きなんだよ、きっと」
 ゆうしゃのつるぎは剣閃にて雄弁に物語る。光の“大好き”だからこその想いと叫びを。

●NEXT
 激戦だ。
 戦いは長引く。レイチェルと春人、その護り手となるリサの回復支援を背景に、幾度となく傷つこうと果敢に挑み、着実に耐え抜き、果敢に攻め昇ってゆく。
「大した守りだな、全く!」
 ツァインと青は幾度となく激突する。剣と剣が交わり、盾と盾で殴り合った。もはや鋼鉄言語だ。
「銀行でのアンタ等の登場シーン、すっげぇ格好良かった。久々にドキドキしちまった、ぜ!」
 一瞬、青の動きが鈍る。すかさず唐竹割り。盾での上段ガード。がら空きの下方より、ヘルム目掛けて盾でアッパーカットを決める。黒のバイザーが砕け散る。
 ユウブルーの頭部の中は空洞だ。中の人などいない。
 号令。
 再度、黒の石化の雷が一帯に降り注ぐ。幾人かが犠牲となる中、必殺の合体攻撃に移行する。
『サジットリガー! セットッ!』
 武器を連結、魔法の宝玉を装填する。その一連の動作は素早く、ほんの数秒だ。その上、発射直前まで魔力障壁に護られる。光は意を決して駆け、七海は弓を引き絞る。
「ボクの手で止める! 大好きな貴方たちを! 貴方たちは現実に存在してはいけない……! この世界には――」
 インドラの火矢が殺到する。発射直前、ほんの一瞬だけ弱まった障壁と相殺、粉砕する。ゼロに至る間合い。最大限に魔力の結集した射手座の魔法石を、光のゆうしゃのつるぎが真っ二つにした。
「ボクが、ボクたちリベリスタがいる!」
 火花散る闇の中、勇者を志す少女は憧れの赤き英雄に引導を渡す。
「閃烈の刃よ、偽りの英霊を斬り正せ! これがボク達の正義! S・フィニッシャー!!」
 誰の借り物でもない。
 たったひとつ、光の自分だけの必殺技で決着をつけたかった。けして最強の技ではない。回避できた筈だけれど、これは信念の刃。彼がユウレッドだからこそ、かわさない。
「さよなら、ボクの勇者」
 ――爆風が、涙を拭った。


 リーダーを失った時、決着はついていた。
「おやすみヒーロー、大丈夫、アンタ達は決して負けてなんかいない」
 ツァインが青を、佐里が黄を、七海が白を、順次撃滅した。竜化した黒もロアンが封縛する。凶暴強靭だが、五人の連携に比べれば手ぬるい。
「セイヴァー・ダイナミック!!」
 剛毅の魔剣が煌き、暗黒竜に終止符を打つ。
 これまでの悪戦苦闘がウソのようにあっけない。ひとつに、それは彼らの“存在意義”が揺らいだことにも起因する。光の叫びは、矛盾する正義の化身の根源を一刀両断にしていたのだろう。
 源三郎は袂を別ち、仲間の亡骸を抱えて何処かへ去る。次に逢う時は、敵であろう。
 不意に剛毅、ロウとツァインの視線が交差する。
「あーあー……合体ロボ見たかったなぁ~、なぁ七さん?」
 軽い言葉で締め括り、彼は夕陽を見つめた。

 帰参する一同は、ビル一階の異臭に気づく。
 現場には爆発四散した黒服の屍。壁面には、賢者の紋章が焼き刻まれていた――。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
みなさん、おつかれさまでした。
善悪交差点、勇者戦隊ゴユウシャーとの戦いはいかがでしたでしょうか?
今回の依頼は…成功です!

今回はノーマル難易度といっても強敵でしたね。
合体攻撃サジットリガーフィニッシュの猛威! しかし七海さんの予習&解説&決め技カットがうまく攻略の鍵となってくれたようです。
今回のMVPは、真雁 光に差し上げます。心情面がとても素晴らしく「意志や意義に左右されやすい」と和泉が述べているように、ゴユウシャーの矛盾を指摘しつつも己が正義をはっきり示すことで意志を受け継ぎ、ある種、彼らは納得して消滅できたことでしょう。

フィクサード五名は、源三郎を除いて全滅ですね。
モブサードとはいえ惨い死に方したものです。善悪交差点と銘打っているだけあって、一部どっちが悪役か分からないダークヒーローっぷりを発揮してる方々がおりますが仕様です。むしろ格好いいです。

フィクサードを盾にする行動が連鎖的に作用した結果、ユウケンジャーは出没しませんでした。
別行動が常のため、逃げたフィクサードを暗殺して去ったようです。ユウケンジャーまで合流すると絶体絶命の危機でしたので、幸運といえるかも?
アーク本部としてはユウケンジャー討伐は別件として扱い、本依頼については成功とするようです。

それでは、今回はこのへんで。
また機会がありましたらよろしくおねがいします。