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春の嵐はパンツと踊る

●紳士の想い
 僕はパンツが好きだ。こよなく愛している。もちろん少女が穿いたパンツだ。パンチラは好きだが、何よりも『脱衣』の瞬間が大好きだ。
 分かるだろうか? いや、分かるべきだ。
 ある日、僕は知り合いの骨董屋から不思議な力を持つ手袋を入手した。
 はめてから対象のパンツを脱がすイメージするだけで、直接触れることなく脱がすことができる。脱がす感触はばっちりでありながら、一切の証拠を残さないパーフェクトな一品だった。
 パンツを膝下まで脱がすと、自然に手の中に移動する素晴らしいアフターサービスまで付いている。
 そのパンツをどうしたか?
 野暮なことを訊くもんじゃない。パンツがこの世界に誕生してから、奪った後にすることはたった一つしかない。誰だって知っていることだ。
 ――そう、パンツは被るもの!
 正直に言えば、脱がせる原理が不明なところにビビったりもしたが、人間は本能に抗えないものだ。
 否、これだけの力を手にしておいて使わない手はない。
 いざ、目指せパンツ百枚!

●沈黙のブリーフィングルーム
「………………」
 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が中々口を開かないことに、集まったリベリスタ達は戸惑う。任務があると聞いて集まった筈なのだが、これはどういうことだろう。
「任務について説明する」
 ようやくイヴが振り返り、集まったリベリスタ達に目を向けた。幼い彼女の顔はどこか疲れた様子だった。全身から倦怠感が溢れ出ている。
「馬鹿げているけど、でも真面目に聞いて」
 そう言って、イヴは端末を操作した。中央の巨大モニターに一人の青年が映し出される。
『いやっふー! パンツをフィーッシング!』
 青年は黄緑色の手袋を中空に向かって振り上げる。すると、動く前には空っぽだった手の中には、女性物のパンツが握られていた。映像のどこからか少女の悲鳴が聞こえてくる。
 映像はそこで終わった。
「………………」
 気怠げな目を向けてくるイヴに、リベリスタ達は沈黙を返した。
 彼らの内心を代弁するのに適した一言がある。
 ――これは酷い。
「分かった? 彼の名前は古賀庸一。『アーティファクト』を入手して好き勝手している。今はまだ少ない被害で済んでいるけど、このまま放っておけば犠牲者は増えていくわ。生死が関わることではないけど、アーティファクトをこのまま放置できない」
 イヴは額に手を当てて一拍置いた。
「下着を奪うだけで済んでいるけど戦闘で使用されれば面倒、何故なら……」
 イヴは庸一とアーティファクトの詳細データをモニターに表示した。
「アーティファクトの名前は『ゲルトルート』。本当の使用方法は『武装解除』。でも彼が使えば……きっと、もっと酷いことになる」
 例えば全裸にすることだって夢ではない、とイヴは言う。モニター越しではあるが、庸一を見る目はもはや完全に汚物を見るそれだ。とっくに白い眼は通り越している。
 ただ、それでも相手は一般人。極力傷付けるのは避けたい。
「あとゲルトルートの力には代償が必要なことを覚えておいて」
 力を使えば使う程、人生の波乱が増えていく。その手で嵐を操る者は、嵐の中へと誘われてしまうのだ。いっそ苦労する人生を送ればいい、と思ってしまうが、やはりそうはいかないだろう。一刻も早くアーティファクトは回収するべきだ。
「呆れる気持ちは分かる。でも、これも任務。割り切って」
 イヴはリベリスタ達を見回して、小さくコクリと頷いた。
「相手は一般人だけど充分に注意すること。……特に女性の参加者は気を付けてね」
 平坦な口調だったが、そこには切実な想いが込められていた。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:potato  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年03月10日(日)23:06
・挨拶
 初めまして、新しくSTとして参加させて頂くことになりましたpotatoと申します。
 最初は自重する気だったのですが、見ての通りです。

・目的
 アーティファクト『ゲルトルート』の回収あるいは破壊。

・古賀 庸一(こが よういち)
 パンツをこよなく愛する大学生。
 逆立てた黒髪に、キリッとした顔立ち。長身で黙っていればそれなりにまとも。
 右手に黄緑色の手袋をはめている。それが『ゲルトルート』。
 オープニングにある通り、姿を視認され、脱がす動作をされたら、脱がされる。

・ゲルトルート
 武装解除の力を持つアーティファクト。
 力を振るうと、代償として人生に波乱が増える(運命に見放されていく)。
 庸一の右手にはめられており、簡単に外すことはできない。本人を説得するか、あるいはどうにか破壊する方法を考える必要がある。

・舞台
 夕暮れの往来。庸一は路地裏に潜んで帰宅途中の女子高生を狙っている。

参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
★MVP
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
デュランダル
ウリエル・ベルトラム(BNE001655)
ホーリーメイガス
大石・きなこ(BNE001812)
ナイトクリーク
マーガレット・カミラ・ウェルズ(BNE002553)
ダークナイト
黄桜 魅零(BNE003845)
ソードミラージュ
瀬戸崎 沙霧(BNE004044)
ホーリーメイガス
高天原 てらす(BNE004264)
レイザータクト
アンドレイ・ポポフキン(BNE004296)

●春の陽気に誘われて
 厳しい寒気を乗り越えて、草花が顔を覗かせ始めた。しかし、そんな麗らかな暖気は変態達も目覚めさせるようだ。
 アークへ所属するリベリスタ達は、そんな変態達の一人――古賀庸一の暴挙を止めるために、夕暮れの路地裏に潜んでいた。
「とりあえず説得で済めばいいんだけど」
 『覇界闘士<アンブレイカブル>』御厨・夏栖斗(BNE000004)は、おっぱいとパンツをこよなく愛する紳士の一人である。パンツは女の子に穿かれてこそ萌えへと昇華する。そう、彼にとって、庸一の行動は単なる変態行動であった。
(止めるんだ。女の子たちに物理的制裁を受ける前に)
 それでも同士は同士。夏栖斗は庸一を救おうとしていた。
「ええ、できることなら説得して、紳士の本懐を思い出させてやりたいものでございます」
 夏栖斗の隣に立つ、『目つきが悪い』ウリエル・ベルトラム(BNE001655)もまた選ばれし紳士の一人であった。下着泥棒へと成り下がった庸一の暴挙を止めるために立ち上がったのである。
 二人の紳士が見守る視線の先には、四人の高校生――否、制服を纏った少女が居た。
「困った変態さんも居たものですね~」
「本当にそうね。脱がされるのも、被られるのも、御免被りたいわ」
 現役高校生である『鉄壁の艶乙女』大石・きなこ(BNE001812)と『碧海の忍』瀬戸崎 沙霧(BNE004044)は、流石によく制服が似合っていた。
「んー、ボクの制服姿、ちゃんと女子高生に見えるよね?」
 中学入学を間近に備えた『薔薇の吸血姫』マーガレット・カミラ・ウェルズ(BNE002553)は、自慢のプロポーションで、足りない背丈を誤魔化して、なんとか溶け込んでいた。
「嗚呼、帰りたい」
 『骸』黄桜 魅零(BNE003845)は、既にやる気が微妙だった。二十歳に至りながらの高校制服姿が原因かもしれない。
 四人の囮と説得班の紳士達とは別に、更に後方、説得(物理)班が待機していた。
「素直に言うことを聞かないなら、武力行使も仕方ないよな」
 マーガレットとは違い体の凹凸が不足していることから、『天晴』高天原 てらす(BNE004264)は説得(物理)班に所属していた。また「変態は殺ってもいい」という偉大なるばっちゃの教えに従ったという理由もある。
「庸一君がアレしたら即座に鉄拳制裁でゴザイマス」
 もう一人の説得(物理)班員である『攻勢ジェネラル』アンドレイ・ポポフキン(BNE004296)は、殺る気満々だった。もちろん息の根を止める気まではない。ちゃんと百分の九十九殺し位で我慢する気だ。
 ウリエルによって結界が展開され、いよいよ完全に準備が整った。
 囮を務める女性陣に緊張感が漂い出す。いざ間近に迫ると、やはりパンツを奪われることに不安になってしまう。
 ――しかし変態は彼女達の不安など気にしない。
 それはまさしく一瞬の出来事だった。死線を潜り抜けてきたリベリスタ達をまるで嘲笑うかの如く、きなこの下着――ふんどしがずり落ちた。
「ふんどしが!?」
 膝下まで何かに引っ張られるように下ろされて、突如、ふんどしは消失した。
「奪われるまで反応すらできないなんて」
 沙霧は反射的にスカート越しにパンツを押さえる。
「変態はどこ?」
 魅零の鋭い視線が周囲を探る。しかし庸一らしき姿は見当たらない。
「私に任せてください、空から搜索します!」
「えっ、ちょっと、下着穿いてないでしょ!? 待ちなさい!」
 マーガレットが制止を掛けることで、なんとかきなこの挑戦的過ぎる行動を止める。
「大丈夫です、たとえ下着がなかったとしても絆創膏があります!」
「意味が分からないけど、とりあえず止めなさい」
 沙霧からも止められて、流石にきなこも渋々ながら空からの搜索を諦めた。
 一同は手分けをして、庸一を探し出す。結界によって人払いができていたこともあり、ゲルトルートの発動条件によって近くにいたこともあり、すぐに庸一の姿を見付けることができた。

●紳士の語り手
 リベリスタ達は、物陰に潜んでいた庸一を取り囲んだ。
「なんだよ、お前ら……」
 庸一は慌ててふんどしを背中に隠す。
「……うん、殺ろう」
 魅零は庸一を視認した瞬間、殺意が湧き出すのを止められなくなった。もはや本能の赴くままに庸一をブチのめしたい。そう思い、踏み出そうとしたところで、夏栖斗に手の平で制止を掛けられた。
「古賀、君の行動は間違っている」
 夏栖斗は説得班として静かに一歩前へ出た。
「なんで僕の名前を知ってるんだよ?」
「そんな細かいことは気にするな。それよりも、パンツだ!」
 一瞬の視線の交差。
 夏栖斗と庸一は同士なのだと理解した。だが、お互いに鍛え抜かれた紳士であるからこそ、決定的なズレにも気付いてしまった。
「女の子が穿いてこそのパンツ!」
「女の子から脱がせてこそのパンツ!」
 全く異なる価値観がぶつかり合う。
 夏栖斗はパンツ芸人として熱く語った。
「よく聞け、パンツというものはちらりと見えるからいいんだ。脱衣とかで穿いてないとかは趣が足りないんだよ! 女の子が穿いてるからパンツなんであって、女の子から奪ってしまったらそれはただの布だ! 人肌の暖かい布なんだよ!」
 夏栖斗は『幻想纏い』から、『いちごぱんつ』と『ぱんつ』をダウンロードして強く訴えた。
「パンツは女の子が穿いて春風に煽られて、ちらりと見える瞬間に趣があるんだよ!」
 息をつかせずパンツ語りは続く。
「電車で足を広げてるようなパンチラなんか言語道断だ! 歩道橋を登る時に下からそっと覗く……そんなパンツを君は求めなかったのか!」
 魂の慟哭だった。
 庸一もまたパンツを愛する者として夏栖斗へパンツへの想いをぶつけた。
「パンツは脱がし、そして被る。それこそが紳士の在り方だ! どうして視覚だけで満足できる!? 嗅覚を、触覚を使わねばパンツを堪能しているとは言えない!」
 紳士達の熱き戦いへ、ウリエルもまた加わった。
「下着への想い、しかと聞かせて頂いたのでございます。なればこそ、自らの可能性を放棄し、変な手袋に頼り切って手に入れた下着に一体何の価値がありやがるのでございますか。あなたも紳士なら弁えなさい」
「だからこそ、奪わずにはいられないんだ!」
 庸一は奪ったふんどしを首に掛けて、再びゲルトルートの力を発動する。ターゲットは――
「させるか!」
 女性陣の前に夏栖斗が立ち塞がった。対象を視界に収めること。それが発動条件だ。当然の帰結として、パンツを奪われるのは夏栖斗になった。
 ズボンの中に奇妙な風が流れ込んだ。ゲルトルートの前に、すべての障害は無意味である。庸一の願いに従い、夏栖斗のパンツを強制的に脱がしとった。
「んなもんいるかぁぁっ!」
 ただ、野郎のパンツには興味ないのか、庸一は即座に地面へ叩き付けた。
「すべての女の子のパンツを、僕は奪う!」
 素早い手捌きで、再びゲルトルートを振るう。手を振り上げるのと同時にマーガレットのスカートがふわりと舞い上がる。黒レースのショーツとガーダーベルトがチラリと覗いた。
「もらった!」
 庸一はロマンが分かる男だった。ショーツだけを脱がそうとする。
「くっ!」
 即座に押さえようとするが、時既に遅し。ショーツは庸一の手の平に納まった。
「ボクは小学生だよ! そんなパンツもらっても嬉しくないでしょ!」
「いや、寧ろ良い。ナイスだロリータ。素晴らしきかな小学生!」
 庸一の守備範囲はどうやら侮れないようだった。良い感じにキまった顔で、サムズアップする。何故かウリエルもそれに応えて親指を立てているのかはご愛嬌である。
「いざ、被らん!」
 マーガレットの下着を被り、股布が鼻を覆い隠し、左右の裾から眼を覗かせる。
「あ、ああっ……」
 その変身を前に、マーガレットは顔を真っ赤に染め上げて硬直する。見られるだけなら我慢できたのだ。しかし、被られるのは耐え切れなかった。

●説得(物理)
 数々の暴挙を目撃して、遂に説得(物理)班が動き出した。
 てらすは生身である右手をギュッと握り締める。
 庸一がマーガレットのパンツを堪能する隙を突いて一気に接近。そのまま踏み込みの勢いを殺さず、顔面へと容赦のないグーパンチ。
「げふっ!」
 顔面を押さえて悶える庸一に、てらすは説得を開始した。
「にーちゃん、よく聞いとけよ。それを使うと運命に見放される」
 腹へえぐり込むようにパンチを打ちながら、
「使えば使うほど不幸になるんだ。にーちゃんは今、幸せかい?」
 蹲ろうとしたところで連撃の急所蹴りを放ちながら、
「パンツを脱がすことができて幸せかい?」
 そして、一気に腕と足を交互に放ち、コンボを繋げる。
 もはやボロ雑巾へと成り果てた庸一は、うつ伏せに倒れ込んだ。気絶したかと思われたが、ピクリと指先が動く。
「僕は、パンツを統べる男……この程度では」
 彼の意志はまだ死んでいなかった。
「もらったぁぁあ!」
 庸一の右手が魅零のパンツを捉える。黒色タイツは視認済みだ。
 邪魔ならば、まとめて脱がせばいい。
 ゲルトルートの武装解除が発動し、タイツとパンツを武装と判断した。
 タイツの守りを信じていた魅零は反応が遅れる。気付いた時には、大切なパンツはタイツもろとも奪われていた。
「か、返して! 私のパンツ! あう、スカートがスースーする……」
 慌てて駆け出そうとして、スカートを押さえ込んだ。自分のまとう服がミニスカートであり、素早く動くだけでも色々と危険なのに気付く。
「ああん、パンツかえしてようぅう……」
 咽び泣く魅零に対して、庸一は若干の罪悪感を抱きつつも、やはりパンツを奪う背徳感への快感には及ばなかった。
「その反応、グッジョブ!」
 庸一はぼろぼろの足を引き摺って立ち上がり、魅零のパンツを左手にグローブのように装着する。
「そっちももらったー!」
 沙霧は庸一の視界に入ったことを悟り、即座に突っ込んだ。もはやパンツは諦めた。それよりもこれ以上の暴挙を止めることを優先する。
 パンツを下げられ足がもつれる。それをなんとか堪えて、庸一の右手――ゲルトルートへ手を掛けて、沙霧は鋭い眼差しを向ける。
「パンツも手袋も渡してもらうわ」
「くっ、渡してたまるか!」
「金なら言い値を支払うわよ」
「金の問題じゃない!」
「そう、どうしてもダメって言うなら……」
 沙霧は足元の石ころを拾って、幻影剣によって粉々に砕いてみせた。
 ニコリと微笑み掛ける。
「ね? その腕、同じようにして奪うしかなくなるのだけど」
「うっ……わ、分かった。わ、渡せばいいんだろう?」
 すっかり怯え切った庸一から、まずは奪われた自分の黒の紐パンを回収する。自らゲルトルートを取り外そうとする庸一を見て、諦めがついたのだろうと手を放した――その瞬間だった。
「甘い!」
 庸一がニヤリと笑い、ゲルトルートを発動しようとする。
「にーちゃんはホントにダメなやつだな。その幸福感は幻想なんだぜ!」
 てらすが再びかーちゃん直伝の説得を繰り出そうとして、足を止めた。
 ずっと沈黙を守っていたアンドレイが前へ出たのだ。

●ノーパン主義者
「パンツ……パンツ……パンツ! たかが布ッ切れじゃナイデスカ! 世の中ニハネ穿きたくても穿けない人がいるんですypaaaa!」
 恨みごと叫びながら、ドロップキックを放つ。
 庸一は避けられず、顔面に直撃を受けて吹っ飛んだ。
「ぐお、なんだオッサン……お前も僕の邪魔をする気か!」
 体の頑丈さは折り紙付きなのか、庸一は震えながらも立ち上がり、即座にアンドレイへゲルトルートを発動した。
「貴様など恐るるに足らず」
 アンドレイの冷静な切り返しと衝撃的事実に、庸一は思わず凍り付いた。
「なっ!? 穿いてない、だと!?」
「何だその眼は!」
 驚愕の眼差しを向けてくる庸一にチョップを叩き込んだ。
「三十のオッサンがパンツ穿いてないのがそんなに悪いか? 罪ですか? ギルティですかーッ!? それならば貴様もノーパンになれば良いのだ!」
 脳天を抱え込みながら地面を転がる庸一を捕らえて、ズボンを引き千切った。
「貴様のパンツなど! このアンドレイ・ポポフキンがッ! 悉く! ズタズタ八つ裂きにシテクレルワ!」
 そのまま柄物のトランクスも引き千切ろうとして、魅零に羽交い絞めにされた。
「落ち着いてっ!」
 もはや正気を失ったアンドレイを前に、庸一は本能的な恐怖を覚えた。パンツは人をここまで狂わせるのか。確かに自分もゲルトルートを得て、おかしくなっていた。そう、パンツを奪って、女の子が泣くのを喜ぶなんて、それは鬼畜の所業でしかない。
「僕が間違っていたのか……」
 ここに至り、庸一は己を振り返ることができた。正しき教師ではなく、荒振る反面教師が彼を正統な道へと導いた。
「パンツはみんなを笑顔にさせるんだ……僕はとんだ過ちを犯してしまった」
 庸一が紳士の心を取り戻したことに気付いた夏栖斗が、そっと涙を拭う。
「戻ってきてくれたか、同士よ!」
「ああ、同士が戻ってきたでございます」
 ウリエルもまた満足そうに頷いていた。
 後は女性陣の怒りを沈める――それだけで任務達成の筈であった。
「世界がノーパンにナレバ小生が変な目で見られる事ハないのでゴザイマス! 皆ノーパンにナレバエエンヤ!」
 アンドレイは魅零を振り払い、地面に落ちていた夏栖斗のパンツを拾って、両手で引き裂いた。
「えぇぇ、それ僕のパンツ!?」
 予想外の展開に、夏栖斗が悲鳴を上げる。
「パンツは滅ぼす! すべて滅ぼす!」
 アンドレイは庸一の左手から魅零のパンツを奪い取った。
 ビリビリバリィー!
「ポポたん――!?」
 魅零が絶句する。まさか彼がそこまでノーパンのことを思い詰めていたとは思いもしなかった。
 アンドレイは次に庸一の仮面を引き千切る。
「ボ、ボクのパンツ――!?」
 ようやく羞恥が立ち直ったマーガレットが悲痛な叫びを上げる。
 続いて首に掛けていたふんどしも引き千切る。
「例外は一つたりともないっ!」
「ああ、私のふんどしまで……」
 きなこが寂しげな声でふんどしの最後を見送った。
「パンツナンカイランカッタンヤ! パンツナドホロンデシマエバエエンヤ!」
 暴走したアンドレイは、次のターゲットに沙霧が手に持ったままの黒の紐パンを選んだ。
「パンツハボクメツ! ypaaaaaaaa!」
 沙霧は迎え撃つために体勢を低く身構える。
「いい加減にしなさいっ!」
 沙霧の痛恨の拳が、見事にアンドレイの腹へ深く突き込まれた。
「ガ、ガハッ……」
 アンドレイは白目を剥いて、遂に倒れ伏す。
 変態は倒れた。見事に任務達成である。達成であるのだが、おかしい。何かがおかしい。
「……これ一体なんの任務だったかしら」
 沙霧が思わず呆れ声を漏らした。
「紳士のはしくれを、自らの手でパンツを獲得する真の紳士にする任務でございます」
「その通りだな」
 ウリエルの言葉に、夏栖斗がうんうんと頷いた。たぶん間違っていないが、きっとあってもいない。
 魅零は倒れたアンドレイの傍にしゃがみ込んだ。その際にきちんとスカートを押さえる。
「ポポたん、ごめんよ。私はノーパンで苦しんでいたことに、気付いてやれなかった」
 マーガレットは小学生らしくもない重いを溜め息をついた。
「ああ、えっと、なに、一応はこれで解決でいいの?」
 庸一は自らゲルトルートを外して、ウリエルに手渡している。果たして渡す相手が彼で良かったのかはさておき、とりあえずは事件は収束していた。
「換えのパンツ、用意しておけば良かったですね」
 きなこの言葉に、またマーガレットが重々しい溜め息をついた。
「そうよ、このまま帰れって言うの?」
 ノーパンだらけという悲惨な状況に、一同は表情を曇らせる。
 ――これは酷い。
 思う一言は、奇しくも任務を受ける時と同じ感想であった。

 パンツが無事なメンバーにパンツを買ってきてもらい仕切り直した一同は、庸一に説教やら調教やらを施す。庸一はパンチラへの愛と、ロリ属性、若干の女性恐怖症を得て去っていった。
 庸一を反省させ、ゲルトルートを無事に回収。
 一同は無事とは言い難くも、任務を達成できたのであった。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 皆様、お疲れ様でした。
 少しでも楽しんで頂けたのでしたら幸いです。
 変態シナリオの素晴らしさと楽しさを少しでも伝えられたのなら、私にとっても成功です。

 MVPはパンツシナリオということで、パンツについて最も熱く語ってくださった御厨・夏栖斗(BNE000004)様へ送らせて頂きます。

 では、ご縁がありましたら、またお会いしましょう。

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MVP(Most Valuable Pantsu)
御厨・夏栖斗(BNE000004)