●事件なのにゃ 夜の埠頭に遠く、汽笛が響いた。 コンクリートとトタンの倉庫群は闇の中に沈黙し、辺りの空気は剣呑さを孕む。 腕時計を見ながら佇んでいた男の元に、硬質的な靴音を響かせ、もう一人の男が現れる。 「時間通りだな。――首尾は」 「慌てなさんな、あんた方の欲しがっている例の情報は、このマイクロチップの中に入ってる。先ずは金だ」 男がアタッシェケースに手を伸ばした――――その時。 二人の男の体を、どこからか放たれた強烈な光が射ぬいた。 一瞬にして光は消え、暗闇の中、男たちは狼狽した態で周囲を見回す。 「な……何にゃんだ今のは! くそっ、嵌めやがったにゃ!」 「違う、俺はにゃにも知らん! ……というか何のつもりにゃのだ貴様、そのふざけた喋り方は!!」 「お前もにゃ!!!」 ●お仕事にゃ~ 「……任務だにゃん」 席に着いていたリベリスタたちは、アークが誇る天才フォーチュナの少女を一斉に見た。 アーク本部、ブリーフィングルーム。『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、いつもどおりの無表情で告げる。 「とても強力なE・フォースが出現する。フェーズは2。1体だけど、油断しないで」 モニターにぼんやりと映し出させる、イヴが視た敵の姿。 2本脚で立つ、まっしろなもふもふの体。つぶらな瞳、笑っているような口元。ぬいぐるみ、あるいは着ぐるみの猫のように見えるが……緊張感に欠ける外見に反し、その戦闘能力は侮りがたいものだという。 「猫語尾に対する妄執から生まれたモノらしくて、誰かに遭遇すると最初に、目からビームを出してくる。これはほぼ避けられないけど、ダメージは受けないから、大丈夫。口調が、猫語尾に変わるだけだから」 「…………え」 肉体的ダメージは受けないかもしれないが、思春期の青少年の心とか、結構ダメージを受けそうな気もするが。 動揺の表情を浮かべる一部のリベリスタを余所に、イヴは静かに続ける。 「E・フォースはより多くの一般人を猫語尾に変えることを目的にしていて、今のところ人命に被害は出ていないみたい。今なら、被害を最小限に抑えられる。お願い、できる?」 世界を崩壊へと導くエリューションを倒す。それがリベリスタの使命なのだ。 たとえ口調が「にゃん♪」になろうと、みんなでやれば、恥ずかしくなんか、ない! たぶん!! 少女の問いかけに、リベリスタたちは力強く頷いた。 「……ところでイヴ、先程の“任務だにゃん”というやつをもう一度やって貰えないだろうか」 「やだ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:鳥栖 京子 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年03月05日(火)22:33 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
●ガールミーツねこなのにゃ 「思っていたより、暗くて怖いです……」 遠い間隔でぽつりぽつりと灯る弱々しい外灯の光に、深夜の倉庫街がぼんやりと浮かび上がる。 懐中電灯を持っていないほうの手で、巴 とよ(BNE004221)は先を行く青い髪の少女の袖を、そっと握った。 「とよちゃんかわいい……大丈夫、私たちには心強い仲間がいるから」 カレーをもぐもぐ食べながら、『もう本気を出す時じゃない』春津見・小梢(BNE000805)が後ろを振り返る。 「よって私は本気出さないひひーん」 「……ひひーん? 何なのです?」 「あらかじめ語尾をつけておいて、猫語尾をうにゃむにゃにしてしまおうという作戦……帰ってだらだらごろごろしながらカレー食べたいひひーん」 「そう……なのですか」 E・フォースを倒すために集まったリベリスタは、2組に分かれて行動していた。彼女たちは囮班。敵をおびき寄せるべく、照明を手に倉庫街を歩いているところである。 「人の執念ってすごいわね、こんなE・フォースまで生み出すなんて」 先頭をすたすたと歩きながら、蔵守 さざみ(BNE004240)が呟く。 「でも、これの発生源になった人たちは、男性までも猫語尾にしたかったのかしら。……深い世界ね」 聞こえてくるのは、自分たちの静かな足音と、遠く小さな波の音。暗闇の中、いつ、何が出てきてもおかしくないような、不穏な空気。 「ねこさん、ねこさーん? またたびですよー?」 とよが一欠片のまたたびを取り出し、掲げながら振ると、 「ふしゃーー!!!」 突如現れる黒い影。 背後からすさまじい速さで飛び出したねこさんが、とよにひしと抱きついた。 とろんと目を潤ませた表情がやたら色っぽい還暦プラス1歳、『巻き戻りし残像』レイライン・エレアニック(BNE002137)である。 「今は仕事中であるからして、わらわは断じてまたたびの誘惑に負けるわけにはいかないのじゃ! ……ひっく」 すりすりごろごろ。 「きゃっ、や、やめてくださいです、くすぐったい……!」 「またたびうまいうまいうまいなのじゃ~」 「とよちゃんかわいい……そしてカレーもうまいひひーん」 囮班がきゃっきゃうふふしていた頃、探索班の猫ビスハも、誘惑と戦っていた。 光の翼を生やした『境界の戦女医』氷河・凛子(BNE003330)が、浮かび上がって周囲を見回している、その、片手に持った猫じゃらし。 猫E・フォースの注意を引くために用意された、ふよんふよんと誘うように揺れる“それ”から、『おこたから出ると死んじゃう』ティセ・パルミエ(BNE000151) は目を離すことができない。 「透明化はあたしたちには通用しないだろうけど……(ちらっ)気を引き締めて、音や空気の揺らぎにも注意しておかなきゃ……(ちらっちらっ)」 猫じゃらしが気になって仕方ない気持ちを映して、彼女のしっぽもふよんふよん揺れる。 「……我慢は体によくないわよ?」 “猫語尾対策”と凛子から渡された猫耳カチューシャをこれどうしようと手に持って、『緋剣』衣通姫・霧音(BNE004298)が告げたとき。 「――見つけました。あそこに、いますね」 凛子が声を潜め、指をさす。 倉庫の影から、ティセのしっぽと同じように揺れる、大きなしっぽが覗いている。何か興味のあるものを見つけて、飛びかかるタイミングを計っているときの、猫のしっぽの動きである。 「囮班の皆さんは、既に敵に見つかっているようですね。急ぎましょう」 ●ねこごびがさいきょうなのにゃ 「なにあれでかい! こわい!」 囮班の歩く道の先、倉庫の壁から白い首と体半分を覗かせて、巨大なもふもふがじっとこちらを見ている。レイラインのしっぽの毛が逆立ち、またたび酔いは一気に醒めた。 ……おそらく、リベリスタたちには透明になる能力が効いておらず、丸見えだということに気付いていないのだろう。少女たちの身長の倍ほどもある2足歩行の大きな猫は、まさに今、誰をも猫語尾化させる恐怖のビームを撃たんと、そのつぶらな瞳に怪しげな光を湛えている。壁から、はみ出ながら。 ビーストハーフの小梢とレイラインに不意打ちは通用せず、E・フォースの攻撃のきざしに瞬時に気付いたが――小梢はカレーを食べるのに忙しく、レイラインは超反射神経で避け……ようとしてふと考え込む。脳裏を掠めるのは、元フィクサードの某彼のこと。 「語尾が可愛い子は男性へのアピール度が増すとか聞いたし、避ける必要あるのかのう、こ……」 びかーーーー!!! 「ぐわーーーー! 考え事してたら光線がー」 囮班4人を、強烈な光が貫いた。 「わらわとした事が、油断してしまったのじゃにゃ!」 くるりと背を向け逃げようとする巨大猫に向かって、レイラインが目にもとまらぬ速さで近接し、燦めく氷刃の霧を発生させて切り裂く。ゆっくりと振り向き……笑っているぬいぐるみのような無表情で、リベリスタたちを見下ろす白猫。 「こわいのにゃー!!」 「……待ちくたびれたにゃん、E・フォース!」 長い髪を靡かせ、さざみが地を蹴った。4色の光で編み上げられた魔曲を術手袋に込め、勢いのまま殴りつける。 小梢はとよを背に庇いながら、全身の力を防御に特化させる。 「でたなE・フォース貧乳にゃん~逃げるな貧乳にゃん~」 「小梢さんの語尾が、ひひーんからさらに変なのにかわってますにゃ!?」 とよはすかさず魔力の弾丸を打ち込むが、それを白猫はもふりもふりとした外見にそぐわぬ素早さで躱す。 「わたしたちをこんなにして、そのままさよならとか、ダメですにゃん!」 ――そこへ飛来する、夜気を切り裂くかまいたち。 倉庫の屋根を光の翼で飛び越え、待機していた探索班の4人が現れたのだ。 「逃がさないよ!」 ティセがまさに羽が生えた如き身軽さでE・フォースの退路に回り込むと、 「皆さんもさらに可愛く、翼猫になるのですよ」 凛子が囮班にも輝く翼の加護を授ける。 「さあ……私と遊びましょう?」 緋色の着物の袂をひるがえし、ふわり舞い降りた霧音が、腰に佩いていた刀を抜く。足下で意思を持った影が、ざわざわと蠢いた。 じりじりと後退しながら、巨大猫はあたりを見回す。 そして、四方を取り囲まれており、逃げることは不可能と悟ると――ぬいぐるみのような手から、太く鋭い爪をにょっきりと生やす。黒いビーズの瞳が、リベリスタたちを順に睨め回した。 ……じーーーーっ。 白猫の目線は、ねずみスーツに身を包んだ『ぴゅあで可憐』マリル・フロート(BNE001309)のところでぴたりと止まる。ティセが心配したとおり……やはり猫E・フォースもねずみは気になるらしい。 きっ、と猫をにらみ返し。みかんの皮をにぎりしめたマリルが、巨大猫の前に歩み出る。 「にゃんこは、たおすのですぅ! あたしの超必殺技をくらえですぅー!」 ぷしー! 爽やかな香りと共にほとばしる、超必殺の『破滅のオランジュミスト』。みかんの皮汁は本日最高の飛距離(51cm)を更新したが、体長約3mの猫には惜しくも届かない。 冷たく光る猫の爪。ねずみをころころかぷかぷしようと巨大猫が腕を振り下ろしかけたそのとき、静かに声を上げたのはさざみだった。 「……猫語尾を広めるのは、もう諦めたのかしらにゃん? あなたの猫語尾への執着は、その程度にゃのね」 ハッと、E・フォースは動きを止める。 「あなたがそれでいいなら構わにゃいけど……なんだか笑えるにゃん」 自らの使命(?)を思い出した巨大猫は、ねずみの誘惑を振り払うようにぺちぺちと自分の頬を叩くと、改めて瞳に強い光を宿らせた。 びかーーーーー!!!! 再度、放たれる強烈な光。避けきれず、探索班は光に呑まれた。ついに、集まったリベリスタの8人全員が、語尾を「にゃん♪」にする恐ろしいビームの犠牲となってしまったのである。 「……探索班も猫語尾化してしまえばいいだなんて、べつに思ってないにゃ」 傍観しながら呟くさざみ。 「あやしいのですぅにゃん!」 光が消え、倉庫街は再び仄暗い闇に包まれる。 「あたしは別にダメージなんてないにゃん。……むしろしっくりくるにゃん」 E・フォースに対峙しながら、ティセは、あまりにも違和感がないことに愕然としていた。 猫耳、猫しっぽ、猫語尾。にゃんこ系女子の三種の神器が揃ったことにより、彼女はもはや、男性の一部の層に対して向かうところ敵なし……かもしれない。 そんなティセの圧倒的猫力(ねこりょく)に屈し、クールな表情でもふもふもふる凛子。 「にゃっ!? り、りんこさん離してにゃー! 今はこれでも一応戦闘中なのにゃー」 「大丈夫、わたしは冷静ですにゃ~ん!」 もふもふふもっふ。なでこなでこ。 ビームにダメージはなかったが、猫語尾が及ぼした影響と一部への破壊力は、なんだかすごい。 霧音は刀を構えると、猫語尾のおにゃのこに囲まれてでれでれしているE・フォースを見据える。 「(この状況……緊迫感も何もあったものじゃないわね。まあ、なんでもいいわ――任務なら斬るだけ)」 灯りを映し、ぬらりと光る刀身。 「……たとえ猫語尾にされようともにゃん!」 ●ばとるだにゃ~ 「攻撃は最大の防御にゃ!」 「行くのじゃにゃん!」 ティセが圧倒的な速力で巨大猫に接近し、雷撃を纏った脚で、舞うが如く蹴りつける。レイラインが黒いドレス姿の幻影と共に惑わすように敵を追い詰め、双扇子で切り裂く。 8人がE・フォースと戦闘を開始してから、既に数分が経過していた。 8対1――数はリベリスタたちが圧倒的に有利なのにもかかわらず、白猫の真綿のような体は思いのほか頑丈で、未だに弱った気配が見えない。 「ご奉仕いたしますにゃ~ん」 高位存在の神聖なる息吹が、仲間たちを優しく癒す。 歴戦のホーリーメイガスである凛子が戦線を支えていたが、小梢に守られたとよを除く全員に、少しずつダメージは蓄積していた。特に、マグメイガスでありながら前に出て殴る戦闘スタイルのさざみは、負傷が大きい。 「こうでなくちゃ面白くないにゃん……本格的な殴り合いはこれからにゃ!」 足元には先刻展開した魔方陣が、彼女の魔力を爆発的に向上させている。集中を重ね、次の反撃の機会をじっと狙う。 もふもふもこもこのE・フォースは、突如ころりと体を丸めた。そのまま白い巨大な毛玉になると、静電気を発生させながら、近接したリベリスタたちを次々と轢き潰していく。 「ふにゃーーっ!?」 「静電気がパチパチするのじゃにゃー」 前衛の耐久力を大きく削る、にゃんこのまるまりあたっく。 「……猫だと思って侮ってたら、中々やるじゃないにゃん?」 自らの血で滑る刀の柄を持ちなおし。霧音は真紅の瞳を細めると、 「楽しむにゃん……着いて来られるならにゃ!」 影の援護を受けながら、敵の懐へと一気に踏み込んだ。防御力を無視した残酷なる連撃が、E・フォースに襲い掛かる。 そこへたたみかけるように振り下ろされる、闇色の大鎌。魔陣展開で魔力を大きく高めた、とよである。 「呪われし黒き大鎌よ、 “なのにゃ”の首を狩るのですにゃん」 命中度を増した攻撃は、確実にE・フォースの命を削っていく。 巨大猫の脱力系の顔は先ほどから全く変化せず、表情を読むことはできないが――8人の集中攻撃によるダメージは、相当のものであるはずだ。 「ブレイク貧乳にゃ~~ん」 ひんにうをブレイクしたわけではなく……小梢は満身創痍の前衛を見ると清浄なる光を放ち、仲間の感電と出血を癒した。しかしそのとき、 「あ、やばいかも……あぶにゃいビームが来そう貧乳にゃん」 小梢の目線の先、立ちすくむ巨大な白猫の瞳に、強い光が集まっていく。 霧音が後衛のとよを隠すように射線に立ちはだかり、ティセは攻撃のチャンスとばかりに身構えた。今宵何度目かの、闇夜を白く灼き尽くすあぶにゃいビーム。 「にゃぎゃーーー!!!」 何度か回避を成功させていたレイラインも直撃を受け、ねこまるだしの叫び声を上げる。 「ぱたんきゅですぅにゃん~」 マリルが戦闘不能に陥り、さざみもその場に倒れこんだ。 カレーの香りが漂うのみだった倉庫街の夜気に、今や濃い血の匂いが混じる。 「マリルちゃん! さざみお姉ちゃん!」 「フーッ! フシャーーッ!!(訳:よくも、やってくれおったな!!)」 倒れた仲間の姿に、レイラインが怒りもあらわに幻影剣で斬りかかり、敵の弱点を抉る。 「レイラインお姉ちゃん(?)の猫化が進んでねこまるだしになっちゃったにゃ!?」 それに続くティセの雷撃を纏った強力な蹴りが、E・フォースを初めてよろめかせた。 「もう誰一人、倒れさせはしないのですにゃん!」 凛子の詠唱によって生じた清らかな息吹が、傷ついた仲間たちを包む。 「これでも喰らいなさいにゃ!」 霧音が光の翼で低空から急接近し、雪崩の如く斬撃を浴びせる。その容赦の無い攻撃に圧倒され、ぐらりと大きく揺れる、白猫の巨体。 仲間に与えられた絶好の機会を逃さず――さざみは、運命を燃やして立ち上がった。 術手袋に紡いだ4色の魔力を纏わせ、防御も構わずE・フォースに近接すると、力の限りに殴り飛ばす。 「これで――終わりにゃん!!」 仰向けに、ゆっくりと傾ぎ――巨大猫はついに、地面に倒れ伏した。 その白くもふもふな体が、少しずつ輝く光の粒子になって、闇の中へ溶けていく。 「やったにゃん……?」 音もなく、消滅していく猫E・フォース。そのぬいぐるみのような顔はとても満足げな、穏やかな笑顔に見える。 『ねこごびの……おにゃのこに攻めよられ……我々の業界ではご褒美です……にゃん……』 「んにゃー?(訳:なんじゃ?)」 消えゆく敵を覗きこみ。猫化が進んだレイラインは、聞こえるはずもない猫E・フォースの声を、聞いたような気がした。 『やっぱり、ねこごびは……さいきょうなのにゃ……!』 ●それからどしたにゃ 女医さんの手厚い治療(という名のなでこなでこ)により、戦いの傷を癒やしたリベリスタたち。 世界に脅威を与えるE・フォースは消滅し――――そして、恐ろしい後遺症だけが残った。 「ふう、手強い敵だったにゃ……だったわね。やだ、もう。しばらく猫語尾が染みつきそう」 倉庫街を歩きながら、霧音があくまでもクールに目線を逸らす。 「にゃん……なんというか、冗談みたいな相手だったわね」と、さざみ。 「これにて一件落着ですにゃ~ん」 凛子はもふもふを堪能してご満悦で、語尾が未だに猫であることなど全く気にしていないようだ。 「猫語尾が解けてよかったですにゃん。あっ……」 「とよちゃんかわいい……早く帰ってカレーが食べたい貧乳」 「その語尾、もうやめてくださいー!」 空になったカレー皿を抱え隣をぼんやり歩く小梢と、少し先を歩く霧音の指先を、とよはきゅっと握る。守ってくれてありがとうございます、の気持ちを込めて。 「みゅーー……(訳:これ、直らなかったらどうしようなのじゃ……)」 猫耳をへしょんと伏せて、とぼとぼ歩くのはレイライン。 「あれ、あたしもなんでか語尾が直らないにゃ~。しばらく、このままで生活しちゃうにゃん?」 ティセが元気にしっぽを立てる。 いつのまにか、空は明るみ始めていた。 彼女たちが後遺症から完全に回復するには、もう少しだけ、時間が必要なようである。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|