●想像してください とある薔薇園の奥深く。元からあまり人のこない薔薇園の、さらに奥である。薔薇が沢山あるという点ではすばらしいが、特にそれ以外の特色もあるわけではないからか薔薇園でも忘れさられているその一角。 数日ぶりに職員である、40歳、彼女なし。強面の顔に、ガチムチボディ。右目の下の黒子がチャームポイントの五十嵐さんがやってきた。 「ん?!」 奥の薔薇達の様子を見に来た彼に何が起こったのか! それは目を覆いたくなるような光景だった。 「なんだこれは、新種か……って、おぉぉぉ?! ば、ばかっそんなところさわっちゃ……っ」 そこにはどでーんと大きな薔薇が一輪、そこから伸びる沢山の蔓は、まるで触手のように五十嵐さんのガチムチボディのあらゆるところを這いまくる。あんなことやそんなことを堪能した後、蔓は一際強くボディを締め付けると、五十嵐さんの命は散ってしまったのだった……。 ●現実に戻ってこよう! 「薔薇のエリューションが現れました。今すぐ退治してください」 そう言った少女の瞳は笑っていなかった。さぞや強敵なんだろうと身を構えれば、ふるふると拳が震えている。なるほど、そんなに許せない状況が……。 「薔薇は蔓を伸ばし締め付けを行います。屈強な男の人を一人絞め殺すのに十分な威力です。油断しないで下さい。それ以外だと、薔薇の棘を飛ばす攻撃もあります。また攻撃ではありませんが、注意することとして殺す前のお楽しみという感じにその……えぇっとなんといいますか、全身をくまなく撫でてきます。結構きわどいところも撫でてくるようです」 少女はちょっとだけ頬を赤らめた。ようはそこからお察し下さいということだろう。 「特色として、男の人を狙ってきます。……厳密にいうと、胸のない人を狙ってきます。男女の区別方法が胸なんです」 植物だからだろうか、男女を判別するのは顔やしぐさ等ではなく胸である。ある意味すがすがしい。だがしかしそれっていろいろな意味で失礼じゃないだろうか? そう少女もそう思っているらしく、瞳がちっとも全然まったくこれっぽちも笑っていない。少女の胸が標準より小さいからなんてことは断じてない、断じてないんだからな! 「胸に特化しているからか、例えば詰め物をして大きくしたとしても、すぐに勘づきます。なのでそんな小細工しても、ある意味黒歴史になりますからいっそしないほうがいいんじゃないでしょうか」 というわけなので、胸の大きな女性は完全スルーである。 「確かに好みはあると思います。思いますけど!! だからってこれはあんまりじゃないですか! さくっと倒してきちゃってください! あ、場所は薔薇園の温室の奥です。戦うのに支障もないし、ぶっちゃけ係りの人すら数日に一回見に来るか来ないかの放置っぷりなんでなにも気にしないでいいと思います!」 ちなみに希望者は終わった後、薔薇園を探索するのもいいだろうとのことだ。薔薇園の詳しいことはパンフレットを見てくれと、少女は人数分のパンフレットを差し出した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:如月修羅 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年02月22日(金)23:08 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●好みはそれぞれ 今回の敵は胸で男女を区別するというそれはもうとても失礼な敵である。敢えての囮として非戦スキル怪盗を使った『ヴァイオレット・クラウン』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)。なんという心強い味方だろうか。 「うふふふふふ、なかなか愉快な薔薇さんですね♪」 目がきらりんと光る。 「さぁ、括目せよ! 本日は沙織ん(偽)のサービスシーンですよ~! あんな沙織んやこんな沙織んが見れるかも? アーク関係者はデジカメを用意せよ!」 「あ、任せて! ビデオもカメラも大丈夫ですから!」 『カゲキに、イタい』街多米 生佐目(BNE004013)がいい笑顔を浮かべた。『ブレイブハート』高町 翔子(BNE003629)が慌てて言う。 「あ、ビデオとかカメラとかダメですよ? 没収ですよ?」 生佐目に言うが、きらっきらの笑顔に阻まれた。これは実力行使? なんて思っている傍らでは、男達がそれぞれ覚悟完了していた。つうか無理やりした。 「……さっきから恐怖にも似た不安が底無しに湧いてきているが、気力でなんとかするとしよう」 『DOOD ZOMER』夏郷 睡蓮(BNE003628)が呟くのに頷く『淋しがり屋の三月兎』神薙・綾兎(BNE000964)。耳が揺れた。 「………色々な意味で、勘弁してほしいよね。俺、なんでここにいるか意味不明だし……とはいえ、いくらあれとはいえ、被害にあう人がいるならいやだ何て言ってられないし……速攻、落とすよ」 遠い目しながら言う。大丈夫だ、他にも犠牲者もとい囮居るから!! 優しい翔子辺りなんかは見ないふりしてくれるから!! (何故……一体何があって男好きな薔薇のエリューションなんかになってしまったのか。しかも、判断基準が胸って……まぁ、今回はほぼ全員が対象になりそうなわけだが) いや本当なんでだろう。 「取りあえず、何があっても強く生きるしか……」 アーサー・レオンハート(BNE004077)が呟く。 「胸の大きさは、いつだって乙女の切実な悩みなのに……そんなテキトーな判断で男扱いなんて、身勝手で失礼なヤツだなっ!」 (絶対ぼこぼこにしなきゃ!) そんな決意を固める『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)。本当に失礼な奴である。 そして……奥へとつけば。どでーんと一輪そいつは居た。なんだか寂しそうに蔓がうねうねしている。そして、あ! 獲物だー!! って感じに蔓がさわさわーっと皆の胸を触っていった。 まさに早業。変態のなせる技である。 「全員、ロックオンされたみたいだな」 『闇狩人』四門 零二(BNE001044)の言葉に、女子全員の何かが確実にぷちっといった……。 ●リベリスタ達の奮闘 二人一組で行動することにしていたリベリスタ達は、さっそく行動を開始した。つか、すでに蔓はだっれにしようかなー? うふふふ……と人間なら確実に言ってた。そのぐらい蔓がうねうね嬉しそうだ。 飛び出したのはエーデルワイスだ。 「囮役はもらった!」 そうなると、必然的に近くに居た睡蓮が道連れである。今回の作戦は囮が色々あれやこれやそれをされちゃってる間に攻撃しよう! という涙を誘う作戦のため、確かにこれはいいのだが。 「っ……!?ば、馬鹿者!いきなりすぎ……え、ええいばかものと言ってる、だろうが!」 コートとか脱ぐ暇がなかった。睡蓮はコートだけ脱ぎ捨て、撹乱したかったのだが……そんなの薔薇は気にしない。うねうねとコートの隙間と言う隙間からうねうねうね。ねっとりと這うのにおぞけが走る。 「………っ」 無言になるのも仕方なかろう。 「さぁ、変態的な薔薇薔薇さん、沙織んボディーを隅から隅まで堪能せよ!!」 エーデルワイスのあんな所やこんな所にと蔓が這う、まさにその光景はエロティックだった。あん……♪ とかなんか艶めかしい声がきこえたような気がするのだが! だがしかし、それを見ている場合じゃない、今が好機とばかりに仲間に当てないように皆攻撃をする。 「ほらほら、もっとやってごらんなさーい♪」 楽しそうな沙織と対照的なのは……。 「ふん、こ、この程度で取り乱すはずがないだろう」 そう言いながらもぷるぷる震えている睡蓮の胸元ははだけていた。そこに這う緑色の蔓。コートはすでに足元に……ちょ、手が早い! いい胸板っすなぁ……って感じに二人の胸板をさわさわーってしてる間に、刺を飛ばすのも忘れてない。ちょっと、邪魔しないでよ! って感じなのだろう。 柊還をぎゅっとにぎり綾兎が決して止まらないかのような澱みなき連続攻撃を当てていく。 「薔薇だろうとなんだろうと……よければいいんだよね、うん」 意外とこの薔薇、近接攻撃に弱かった。そりゃ蔓のほとんど自分の楽しみに使ってますもんね。刺が飛んでくるが、皆右へ左へそして拡散しているのが功を奏し、あまり大きな傷になっていない。 「的が大きくて当てやすいっていうなら、クリーンヒットを狙っていこうっ!」 翔子は大上段から放たれる神聖な力を秘めた一撃を叩きこむ!! 衝撃で、エーデルワイスと睡蓮が離された。……その、なんというか、目に毒な光景が広がっている。ささっと二人は何事もなかったかのように服を整えた。その間に蔓が狙ったのは、綾兎と真独楽!! これは、色々やばいぞ!! 「ふにゃ!? まこ、男の子じゃないもん! 女の子だよぉ! ……きゃは、やだ、くすぐったいよぉ!」 音声だけでお送りさせて頂く。尻尾がぴーん! 状態でうねうねされる真独楽。見てすぐ女子だって分かるだろう、こんなに愛らしいのに! お前それなのに本当空気読めよ!! っていう雰囲気の中繰り広げられるあれやそれやこれ。 「五十嵐さん、大丈夫? ……て、あ……ちょ、そこ、触らないでってば?」 あわてて綾兎が助け出そうとするが、するするーと足元から這い寄った蔓はそれはもう見事に腕をぐるぐる巻きにした上に服の下に………。 「や……ん、そこ、触るなって……」 こ、此方も音声だけでお送りしよう! あんな所やこんな所を蔓が這いまわる。皆それを見ないふりしながら的確に攻撃を当てていった、つうか、これが今から起こるのか、っていう表情をしているまだ囮になっていないメンバー。 「ていうか、俺に触っていいのは一人だけだし……こんなのバレタラ、お仕置きフラグ……」 一体どんなお仕置きが待っているのか。さらに泣き声あげてじたばたする綾兎。 「お願い、もぉやめてってばぁ……! ふえ~ん、パパ、助けてぇ!」 そろそろ誰か別の人かわってあげてー!! そんな声が聞こえたわけじゃなかろうが、堪能しつくたぜ、俺は……と言った感じに、二人を離した。どうやらこいつ、全員楽しんでから殺る気だ! 「……くぅ、お嫁に行けなくなったらどぉしてくれるっ! 絶対に許さないんだからー!」 くてーっとしてる二人。そして赤面しつつそう言う気持ち、よく分かる。でも大丈夫だ、今日のことは皆即効で記憶から排除するから、多分! そんな中、記憶から排除しなさそうな乙女が居た。生佐目だ。 「エリューション相手に果敢に立ち向かう皆さんの姿は、新たなリベリスタには希望と憧れを、廃j……熟したリベリスタには奮起を与える事でしょう」 なんか色々聞こえたが、その前ではアーサーが次の獲物は君だー★ 状態になっていた。 「俺はイケメンじゃないから大丈夫……って、こっち来るな!?」 どっからきたその根拠。薔薇は残念ながらこの素晴らしい集団の容姿まで判断する能力は持っていなかった。ので、勿論そこで判断したわけじゃない。するするーとアーサーの着物の中を蔓が這っていく。 「着流しなんか着てくるんじゃ……うぁっ!?」 「はいはーい、じゃぁ私はビデオとキャメラに収めさせていただきます!」 「違う、攻撃だ、攻撃!! や、やめっ……!? そんな所まで触るな……んんっ!?」 「大丈夫です! 素晴らしいものが撮れてますから!!」 いや、大丈夫じゃない。アーサーのあんなところやこんなところに這いまわる蔓。空気読んだのか生佐目にはとりあえず刺を投げるだけに留める薔薇。しかし、これ多分フラグですよね。あ、勿論生佐目だって攻撃しているので安心してほしい! 「こ、これ以上はもうやめっ……あぁぁぁっ!?」 「ジェラシー感じますね! 弾丸逝っちゃいます? 穴を狙う茨を狙い撃つで妥協しとくですよ、ザンネン♪」 ほ、本当にアーサーとかもうほら、なんだ大事なとこ以外色々アレなことになってるけど、ジェラシー感じちゃいます? エーデルワイスはどこまで本気か分からないがそんなことを言いながら攻撃を仕掛けていく。その近くでは顔を真っ赤にした真独楽。 「……わわ……が、がんばれー! こんなヤツに負けちゃダメー!」 翔子がそんな中、狙われてしまった。ずさっと逃げようとするがそれよりも先に蔓が足をつつつつつーっと撫でていく。 「私、男の子じゃないんだけど……っ!」 え、聞こえませんって感じでさらにつつつつーと上へ上へと上がっていく蔓。攻撃されまくってるのに、まだ楽しむというのか! 「ひぁ……ん……ダメ、私にだって弱い所が……っぁ!」 ちょ、これも音声だけにしても危ないのではないか?! 「や……やめ……ぁ」 そんな所へ救世主が現れる。今回組んでいた零二だ。ばさぁっと音を立て、上着を脱いで見せつける! 「カモン、Baby……」 (少女になんかウネウネ絡むとかって、色々なところから怒られちゃうだろうっ!) 男らしい、男らしいぞ! それに乗らない蔓じゃない。よーろこんでー!! と言った感じに一斉に。一斉に、零二に向かった。仲間達は戦慄したが、だがしかし今が好機!! 「四門さん、凄すぎだろう」 ごくりと綾兎が呟く。その瞳は尊敬とかなりの心配が見て取れる。 「これはいい画像が……」 生佐目さん、よだれ、よだれでそうー!! そう、目の前では全力でめっちゃうねうねあんなことやそんなこと、そしてそしてこんなことまでされちゃってる零二の姿。 「此処からが、勝負……!! オレは護る! この世界(全年齢の世界観)ヲーーーーッ!」 その言葉に皆が頷く、そうだ、守らなくては!! フェイト使用する勢いまでめきめきと絡めとられている零二の勇気を無駄にしないためにも!! 皆の意志が一つになった。そして零二の世界の、(全年齢)世界の最後の砦が今にも、そう今にもはぎ取られそうになったその時!! 「死ね、変態薔薇っ!」 口調が変わった綾兎の手により、その命を終えたのだ。ちなみに……。 「いやぁぁぁぁ!!!!!! メモリーカードまで逝っちゃってるー!!!!!」 最後の力を振り絞ってばら撒かれた刺は、皆華麗に避けたがなにかに導かれるようにビデオとカメラにぶち当たっていた。そりゃ、攻撃に耐えられるはずもなく、粉々である。そういうのって、ほら、なんだ……。心の中に残ってる方が美化されやすいよね。口から魂がでる勢いで生佐目が真っ白に燃え尽きた。 そして零二といえば、最後の砦は残された姿でそこに居た。 「ふ……っ守れた、な………」 「……………まず、服着ましょうか」 そっと仲間達は視線を外したのだった。 その後、服を整え、記憶から抹消しようと色々試みながら薔薇園の周りをみて回ったが、同じような個体もおず、平穏が訪れた。 ●薔薇園は心の癒し? 「薔薇でもみてく? 動かなくて可愛い薔薇を」 綾兎の言葉に誰もが頷ける状態では………なかった。ぶっちゃけ数人は涙目だし、一人は再起不能っぽいし。零二やアーサーなどは行く人がいれば、という感じだ。 一言で表すならこうである。 「傷を癒すのに薔薇園……? いや、今は薔薇はちょっと……見たくない、なぁ」 翔子の言うとおりだろう。誰だ、紹介した奴! というわけで、皆で仲良く帰ることにしたのだった。 皆で帰路につきながら、あぁ……今日のことは忘れよう……そんな空気が流れる。しかし……。 「……だが、これが最後とは思えない。きっと第二、第三の……」 零二の言葉に、 「「や、やめろ、そんなフラグっぽいこというなぁぁぁぁ!!!!!!」」 数名の雄たけびがあがったのは言うまでもない。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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