●川辺であげる二度目の産声 深夜0時。チロチロと僅かに水の流れる発掘現場。ビニールシートが僅かに揺れて、その中から何かが這い出して来た。 這い出して来たそれは、巨大な骸骨だ。爪と思われる部分で石を削りながら、ゆっくりと立ちあがる。 月に照らされ、浮かび上がったシルエットは恐竜のそれだった。それも、二足歩行、肉食恐竜だ。鋭い牙に、巨大な顎、太い足と小さな前肢。長い尾を振り回し、積み上げられた土嚢を弾き飛ばす。 顎を全開まで開き、声にならない鳴き声を上げた。 ここは、発掘現場だ。数週間前、この川辺で見つけられたのは恐竜の骨だった。それから発掘作業が進み、その恐竜の骨は今日の昼間に、その大半が出土した。それ以外にも多数の骨が掘り出されたのだが、学者や発掘チームの注目は、このほとんど完全に近い形で残っていた恐竜の骨だった。 土嚢で川の水を塞き止め、進められた発掘。明日にはその作業も終わるだろうと思われていた矢先、恐竜の骨はE・ゴーレムとして覚性したのである。 鳴き声を上げ、土嚢を崩す恐竜。 その足元に、3つの球体が転がって来た。 3つの球体を構成するのは、無数の骨だ。大きさはそれぞれ1m程だろうか? 非常に巨大な骨の塊。 恐竜と骨球が、これからどうしたいのかは分からない。何処へ行くのか。何か目的があるのか。 分からないが……。 彼らの存在は、それ自体が危険なものなのである。 ●骨の体を突き動かすもの 「フェーズ2のE・ゴーレム(ジュラシック)と、フェーズ1のE・ゴーレム(リボーン)が3体。発掘現場ということで、付近に人はいないけど……」 いつ誰が来るか分からない、と『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は言う。モニターに映るのは、無数の土嚢で流れを塞き止められた小川の様子。そして、その中で暴れる恐竜の姿。 「川の水は、時間毎に増水。2時間もすれば元の流れに戻ると思う。そうなると、ジュラシックたちが流されていくかもしれないから、その前に倒して」 足場は悪いけど、とイヴは言う。足場の悪さ、というならジュラシック達も同様だろうとは思うが、しかしもともとの大きさが違うのだ。 「流されたら、発見することは困難。ジュラシックの巨体に注意して戦って欲しい」 それから、とイヴはモニターを切り替えた。映ったのは、骨の球体。リボーンだ。 「リボーンは、形状を変化させて土中や水中、空中を自在に動きまわる能力がある」 恐竜だけに意識を向けているわけにはいかないだろう。 「また、ジュラシックは破壊されたリボーンを吸収して体力を回復させることができるから……。そこにも注意が必要」 土嚢が壊されたことによって時間毎に増える水と、巨大なジュラシック。それから自由に動きまわるリボーン。 モニターには、以上3つの脅威が暴れ回っている。 「放っておけば、ジュラシック達は土嚢を壊し続ける。また、こちらの攻撃が外れた場合も土嚢が壊れることもある。あまり壊し過ぎると増水の速度が速くなるから、注意して」 いったい何が、ジュラシック達を突き動かしているのか……。 それは、実際に会ってみるまで、分からない。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:病み月 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年02月18日(月)23:09 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●化石 足元を流れる僅かな泥水。積み上げられた土嚢の隙間から流れ出すものだ。本来なら川が流れている筈のこの場所も、化石発掘の作業のためにここ暫くの間は水が塞き止められている。 真夜中。月に照らされた川辺に、巨大な影が落ちる。それは巨大な恐竜の化石のそれだった。肉のない体をのそりと動かし、空に向かって声にならない鳴き声を上げる。 刻一刻と水の流れが強くなる河川を、巨大な恐竜の骨が歩き回る。 恐竜の骨を追うように転がる、骨の塊も。 それらを見つめる8つの影。8人のリベリスタは戦闘の用意を整える。 ●太古から今へ 「何を求めているのかね?」 刀を肩に担いだ『合縁奇縁』結城 竜一(BNE000210)が、恐竜の化石(ジュラシック)を眺めながらそう呟いた。その隣には、愛用のマスケット銃の調子を確かめる『鋼脚のマスケティア』ミュゼ―ヌ・三条寺(BNE000589)が出撃のタイミングを測っている。 「生きた化石、という言葉が文字通りになっちゃうとはね」 「なんでもありかよ。って、スゲー大きさなんだよな」 めんどくせぇな、と頭を掻く『ダブルエッジマスター』神城・涼(BNE001343)。視線の先にはジュラシックの姿。 「ま、仕事の方はきっちりかっきりやってやるぜ!」 短刀と拳銃を両手に構え、涼は地面を蹴って飛び出した。 「これはバット! これはロマンではないのデス! 成敗いたそおー!」 涼に続いて『超守る空飛ぶ不沈艦』姫宮・心(BNE002595)も飛び出していく。鎧に身を包んだ重武装。両手を広げ、地面に降り立つ。 「さ! 風見さん! 私の背中に隠れて!」 「えぇ。無事倒せるようお仕事頑張ります」 心の背後に隠れる風見 七花(BNE003013)。心も七花も身長はさほど高くはない。しかしそれでも心の背に隠れてしまえるほどには七花の背は低くない。腰を屈め、心の頭越しにジュラシックの様子を窺う。 侵入者の存在に気付いた骨の塊(リボーン)の1体が、心と七花目がけて転がってくる。体を構成する骨が移動し、魚のようなフォルムを形成、足元を流れる水を凍らせて滑るように突っ込んでくる。 冷気を撒き散らしながら移動するリボーンを前に、心が防御の姿勢を取った。リボーンの氷が、心に迫る。次の瞬間、彼女の前に『凡夫』赤司・侠治(BNE004282)が飛び出した。 短刀と独鈷を合わせたような外見の武器を手に、リボーンの突進を受け止める。彼の周囲には、無数の剣が舞っていた。 「……味方の負担を軽くすることが私の仕事さ」 そう言って笑う侠治の隣を、『Friedhof』シビリズ・ジークベルト(BNE003364)が駆け抜けて行く。巨大な鉄扇を大上段に構え、ジュラシック目がけて叩きつけた。 「行くぞ。遥かな彼方に散った恐竜たちよ!」 ジュラシックの巨大な足に鉄扇が食い込む。しかしそれすらものともせず、ジュラシックは足を振りあげた。風圧でシビリズの体が僅かに浮いて、足を滑らせる。安全靴を履いているとはいえ、流石に足場が悪すぎるのか。素早く体勢を立て直し、靴底を岩盤に押しつける。 「本来ならばとうに終わったその命、再び大地に帰して差し上げます」 大戦斧を振り抜き、リボーンの1体を叩き飛ばす『粉砕者』有栖川 氷花(BNE004287)がそう叫んだ。弾き飛ばされたリボーンを追って、氷花は駆ける。泥水を跳ね飛ばしながら、服や髪が汚れることすら気にも留めない。 それぞれが自分の役目を果たすため、8人は各自の持ち場へと散っていった。 「うちのお嬢に怪我させるわけにはいかないんでね。大人しく、さっさと眠ってくれや!」 リボーンの1体を刀で受け流す竜一。欠けた骨の破片が飛び散った。全身全霊、全力を込めた斬撃を叩きつけるように繰り出す。それを回避するようにリボーンは、自身の姿を鳥に変えて空高くへと舞い上がった。尖った骨を弾丸のような勢いで射出する。 「うぉ!?」 防御しきれずに竜一の肩や腕に骨が突き刺さる。勢いに押され、多少グラつきはしたものの、それでも倒れ込まないのはハイバランサーにバランス感覚によるものか。骨を引き抜き、刀を一閃。真空の刃がリボーンの翼を切り裂いた。 落下するリボーンの真下へ、竜一が回り込む。槍の状態へと姿を変えたリボーンと、竜一の刀が衝突。火花を散らし、互いに押し合う。 リボーンの数は全部で3体。うち1体を竜一が押さえている。残り2体の片方は、侠治が受け持っていた。守護結界を発動し、式符を取り出す。式符は瞬時に鴉へと姿を変えて空へと舞い上がる。上空から侠治を狙っていたリボーンと、鴉が衝突。鴉は破れた式符へ戻り、リボーンは片翼を折られ落下する。 落下の途中で、リボーンの形が槍のようなものへ変じた。まっすぐ、勢いにのって槍形のリボーンが侠治に襲いかかった。 鋭く尖ったリボーンの先端が、侠治の肩を刺し貫いた。鮮血が飛び散り、泥水を一瞬、赤く染める。濁流に足を取られ、侠治の体が水の中に倒れ込んだ。 地面に刺さったままのリボーンが、元の球状へと変化。 「……何、少しくらい保たせてみせる」 肩を押さえ、侠治は再び立ちあがった。 そして最後に残ったリボーンは、氷花と激闘を繰り広げていた。 「弱くとも足掻いて付きっきりで相手してやりますわ」 泥水を跳ねあげ、服や髪を濡らしながらも氷花は大斧を振り回す。氷花が斧を振り下ろす度に、リボーンの骨欠片が飛び散った。 しかし、リボーンもただやられているわけではない。足元を流れる水流に身を沈め、魚の形状を瞬時に形成、冷気を撒き散らし水を凍らせる。 「っく!?」 足と、水に浸っていた斧の一部が凍りつく。ピシピシと音をたてながら、通常ではあり得ない速度で氷が氷花の身を這いあがっていった。 「うぅっ!?」 氷を砕き、斧を振りあげる。目一杯の膂力を込めて、足元を泳ぐリボーンへと斧を振り下ろした。水が飛沫を上げ、リボーンの体が浮き上がる。返す刀、ならぬ斧でそのまま氷花はリボーンを遠くへと弾き飛ばした。 直後、氷花の体が氷に包まれ、身動きを封じられてしまう。 「リボーンをフリ―にさせるのは脅威なのデス!」 後衛から戦況を見守っていた心と七花が行動を開始。心は、まっすぐ氷花の吹き飛ばしたリボーンの押さえに向かう。一方七花は、凍りついた氷花のサポートへ。 心の掲げた盾が、リボーンの進路を遮った。重武装を活かした、身体全体を使ったブロック。槍状になったリボーンを抑えながら心は体を反転させる。反転した心の背後には、川の水を塞き止める土嚢が積み上げられていた。 「シビリズさんは……動けませんか」 七花の視線の先には、ジュラシックの相手をするシビリズの姿があった。回復支援に呼ぶわけにはいかないだろう。凍った氷花に、七花はそっと手を触れる。淡い光が瞬いて、彼女の身を包む氷を溶かしていく。氷結から解放された氷花はまっすぐリボーンの元へ。入れ替わりに、心が下がり、再び七花の護衛に戻った。 「うぉおぉぉらァ!」 怒号と共に、身体ごとぶつかるような竜一の斬撃が放たれる。刀と剣を叩きつけられ、リボーンが砕け散った。無傷とはいかなかったようで、竜一の額からはドロリと血が流れ出している。リボーンの撃破を確認した竜一は、そのまま踵を返してジュラシックの元へと駆けて行った。 「蘇ってきた所悪いけど……そのまま眠っていてもらうわよ?」 膝を地に付き、マスケットを構えるミュゼ―ヌ。蜂の猛攻にも似た弾丸の嵐が、轟音と共に放たれる。火花と閃光が散って、巨大なジュラシックの体に次々と傷をつける。鬱陶しいと感じたのか、ジュラシックはその巨大な頭部を下げ、顎を開く。鋭い牙がミュゼ―ヌを襲う。 「おっと……。このサイズを殴り倒すのは骨だが」 ブロンドの髪を風になびかせ、拳を握りしめた涼がミュゼ―ヌの前に躍り出る。ジュラシックの頭部目がけて、まっすぐ拳を振り下ろす。鼻先に食い込んだ涼の拳。牙が数本、纏めてへし折れた。声にならない悲鳴を上げて、ジュラシックは頭を振り回す。それを避け、更に一発拳を叩きこんだ。 「殴って殴って砕いてやるだけだな」 ジュラシックの頭部に、深い罅が走る。 追撃を加えようと前に出たミュゼ―ヌ。銃口を頭部に突きつけた。次の瞬間、水飛沫を上げ、空気を切り裂き、巨大な尾が振り回される。 「うおっ!」 「きゃっ!」 涼とミュゼ―ヌの体に尾が叩きつけられ、宙に浮く。衝撃で、土嚢の一部が倒壊し、川の流れが速くなった。2人の体が吹き飛ばされ崩れた土嚢のただ中へ。 「闘争を楽しめればそれでいい……」 尾の一撃を回避し、シビリズがジュラシックに迫る。鉄扇を振りあげ、ジュラシックの胴に叩きつけた。あばら骨がへし折れて、川に落ちる。 「砕けよ化石がっ!」 返す刀でもう一発。骨と扇が衝突し、ジュラシックの体がバラバラに砕け散った。 「ん?」 あまりにも軽すぎる手応えに、シビリズが首を傾げた。直後、宙に浮いた無数の骨が凄まじい速度で降り注ぐ。体中に骨の雨を浴びて、シビリズの体が水に沈む。バラけた骨が集まって、再び元の恐竜の形へ変化する。 「……意地でも抑えさせてもらおう」 泥水を滴らせながら、シビリズが立ちあがる。鉄扇を広げ、ジュラシックの眼前に立ちはだかる。劣勢を好む彼らしく、ここに至って尚、愉悦に満ちた笑みを浮かべていた。 「させんよ!」 弾き飛ばされたミュゼ―ヌと涼へ襲い掛かるリボーンを、侠治の放った鴉が止める。進路を乱され、リボーンは地面に激突した。その隙に、心と七花が2人の元へ。それを守るように侠治はリボーンと彼女達の間に割り込んだ。 増水した川の水の中へ、リボーンが沈む。氷の軌跡を描きながら、魚状の骨が侠治に迫る。 侠治がリボーンを押さえている間に、七花と心が土嚢に敷かれていた2人を助け起こす。 「シビリズさんは、大丈夫デスかね?」 ジュラシックと交戦中のシビリズを見て、心は言う。その隣では、傷ついた2人に七花が治療を施していた。燐光瞬き、傷を癒す。 「川の水、増えてますね」 眉をひそめ、七花は言う。崩れた土嚢の隙間から、勢いよく冷水が溢れだしていた……。 「ぐぅぅ、おお!!」 ジュラシックの尾が、シビリズを捉えた。水飛沫と共に、シビリズの体が宙を舞う。打撲と裂傷、シビリズの体はボロボロだ。口の端から血を垂らし、それでも彼は笑っている。 「フ、ハハハハ! いいぞ。化石にすら闘争が出来るか!」 なんて、高らかに笑いながらシビリズは川に落ちた。川の水に血が混じる。暫く水に沈んでいたシビリズだったが、ふらりと立ちあがった。金の髪を血と泥で汚し、にやりと笑う。 「さぁ、ここからだ。私の全力をお見せしよう!」 戦闘不能から復活を果たしたシビリズ。彼の体を燐光が包む。七花による回復である。背後にチラと視線を送ると、そこには七花、心の姿。ミュゼ―ヌと涼が、左右からジュラシックを押えに回り込む。 「---------!!」 ジュラシックが吠える。空気を震わせるだけの、音のない声。その声に呼応するように竜一に破壊されたリボーンのパーツが宙に浮く。ふわり、と宙を舞い、向かう先はジュラシック。仲間の骨を吸収して、回復を図るつもりだ。 「かつての地上の王者よ……俺と立ち合えよ!」 リボーンの欠片を蹴って、竜一が飛び出した。高々と2刀を振りあげて、身体ごとジュラシックに跳びかかる。落下の勢いを乗せた全力の斬撃。ジュラシックの頭部を大きく削る。頭部の3分の1ほどが砕けて、川に落ちた。と、同時に宙を舞っていたリボーンの欠片も落下する。 「戦いの末に眠れるのならば納得がいくだろう? 今の時代には俺という竜が居る事を知るんだな……!」 骨に続いて、竜一の体も川へと落ちた……。 黒い影がリボーンを貫いた。リボーンの体は崩れ、川へと落ちる。黒い影は、式符で出来た鴉であった。ふぅ、と溜め息を一つ零して、侠治は手にして式符を懐に仕舞った。 「こんなものまで覚醒現象を起こすとは」 額を流れる血を拭って、侠治はそう呟いた。そんな侠治の傍に、粉々に砕かれた骨の残骸が叩きつけられる。一瞬、バチっと放電し焦げた骨は水面を跳ね、地面に転がる。 「弱くとも私なりの戦い方がある。やれることがあるのですわ」 バチバチと放電する大斧を肩に乗せ、すっかり汚れた髪を掻き上げる氷花。竜一の倒した分と合わせ、これで3体のリボーンは全て破壊された。 残ったリボーンの残骸を、七花の放った雷が焼き尽くす。後に残ったのは、少量の炭だった。それも川の水に流され、どこかへと流れて行った。 「あとは恐竜さんだけデスね」 七花を守る心が、剣を引き抜きそう告げた……。 ●太古の化石は何を望む……。 「簡単に倒れてやるかよ」 「あぁ、その通りだ」 川から竜一の体を引き起こすシビリズ。眼前にはあちこち欠けてパーツの減ったジュラシック。振り回された骨の尾を、シビリズの鉄扇が受け止める。受け切れず、彼の体は宙に浮いたが、その隙をついて尻尾の上に竜一が飛び乗った。尻尾の上を駆け抜けて、ジュラシックの足へと刀を叩きつける竜一。 ジュラシックの片足が切断され、地面に転がる。 反対の足へと迫るのは、両の拳を固く握りしめた涼だった。水飛沫を上げながら、まっすぐに駆ける涼。全体重を乗せた涼の拳が、ジュラシックの足を捉える。 「ちゃんと砕いてやるのが俺達の仕事……だろ?」 衝撃が骨を突き抜ける。続けてもう一発、反対の拳がジュラシックの足へ。大きく振り抜かれた涼の拳。拳の皮が裂け、真っ赤に染まっている。血の滴が、ぽたりと川へ滴り落ちた。 直後、骨に罅が走り、ジュラシックの足は砕け散る。両足を失ったジュラシックが川に倒れ込み、盛大に泥水を巻き上げる。 足を失ったジュラシックは、全身をバラバラに離し、宙に浮かぶ。このまま再び、リベリスタ達を襲うつもりなのだろう。 だが……。 「古代に還りなさい。ここはもう、貴方の生きる時代じゃないのよ!」 ミュゼ―ヌの放つ無数の弾丸。バラバラになったジュラシックのパーツを次々と射ぬく。骨が砕けて、欠片が川へと降り注ぐ。最後に残ったジュラシックの頭部が、大きく顎を開きミュゼ―ヌへと襲い掛かった。 「あ、ぐっ!?」 ミュゼ―ヌの肩に牙が食い込む。血が噴き出し、彼女の美しい髪を赤く濡らす。ミュゼ―ヌは、マスケット銃の銃口をそっとその眉間に突きつけ、引き金を引いた。 銃声が一発。火薬の臭いが周囲に漂い、力を失ったジュラシックの頭部が砕ける。 水に沈んだジュラシックの頭部は、そのままゆっくりと川底を転がり、どこかへと消えて行ったのだった。 「奴の目的はこれか……?」 バラバラになったジュラシックの残骸を集めている途中、竜一が発見したのは、泥の中に半ば埋まっていた大きな卵の化石であった。それに寄り添うようにして、、ジュラシックの一部が転がっている。 それをじっと眺めている竜一の隣に、心が立つ。小さな手をそっと伸ばして竜一の持つ勲章に触れる。べたべたと、指紋をなすりつけるように、しつこく、ねっとりと……。 「いいなーいいなー」 なんて呟き、遠慮なく勲章をいじる心。そんな心を見降ろして、竜一はやれやれと溜め息を吐く。 そんな2人を楽しそうに眺めて、七花は笑う。 勲章を触り続ける小さな心の背は、どうしてだろう、ひどく頼もしく見えたのだった……。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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