下記よりログインしてください。
ログインID(メールアドレス)

パスワード
















リンクについて
二次創作/画像・文章の
二次使用について
BNE利用規約
課金利用規約
お問い合わせ

ツイッターでも情報公開中です。
follow Chocolop_PBW at http://twitter.com






この恋の行く先

●いつまでも一緒だと思ってた
 二人の少女は家が隣同士、腐れ縁かはたまた運命か二人はいつも一緒だった。幼稚園から高校まで、クラスもすべて同じ。一人の少女、東風敦子は二年生のクラス替えの紙を見て、幼馴染に向かって溜息を吐いた。
「またあんたと一緒なの? 勘弁してほしいわ」
 そうぶっきらぼうに言うが、もう一人の少女、三田紗弥香はとくに気に留めることなく笑った。
「またまた、そんなこと言って本当は嬉しい癖に」
 紗弥香は敦子に抱きつく。敦子は文句を言いながら身を捩る。敦子は密かに笑った。素直でない自分を、紗弥香は理解してくれている。こんな日がずっと続いて行けばいい。
 能天気な紗弥香の顔を見ながら、敦子はそっと願った。

 そんな二人の関係に変化が生じたのは、ここ最近のことだ。いつも一緒に帰っていた紗弥香が、敦子には用事があるとだけ言い残して、一人でどこかへ言ってしまうのだった。敦子は気にしない風を装いながらも、内心悩んでいた。
 もしかしたら、わがままな自分に紗弥香は愛想を尽かしたのではないか。しかし生来の気質から、そんなことを聞ける訳もない。

 ある日、敦子は紗弥香に屋上へと呼び出された。そこにいたのは、自分には見せたことのない顔でもじもじとする紗弥香。
「あのね、私彼氏が出来たの。隠しててごめんね。でもあっちゃんなら喜んでくれるでしょ?」
 満面の笑みでそう言われて、出てくる言葉はひとつしかない。
「そ、そう……。おめでとう、精々がんばりなさいよ」
 やっとの思いでその言葉を絞り出すと、紗弥香は敦子の本心には気づかず嬉しそうに笑う。
「ところで、誰と付き合ってるの?」
「ふふ、同じクラスの萩くん。とってもやさしいんだよ」
「……へえ」
 そこで丁度チャイムがなり、聞きたいことも聞けないまま教室へと戻る。胸の奥にはどす黒い感情が渦巻いていた。

●伝えられない想い
「恋愛という言葉を辞書で調べてみたことはある?」
『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は唐突にそんな言葉を投げかけた。
「辞書によると、恋愛は男女間の感情に限定されるの。じゃあそこからはぐれてしまった想いは恋とは認められないのかしら?」
 イヴはそう問いかけながら、今回の事件について説明する。
「ある高校にいる二人の女子生徒。一人は東風敦子、もう一人は三田紗弥香。二人とも高校二年生よ。東風敦子は幼馴染の三田紗弥香に、友情の枠に収まらない感情を抱いている。つまり、男が女に、女が男に寄せるような愛情を、彼女は親友に感じている。けれども三田はそのことに気が付いていない。あげく彼氏まで作ってしまった。東風の憎悪は当然彼氏に向く。あとはお察しの通り」
 概要はこうだ。親友の彼氏を葬ってしまいたいほど憎んでいる東風の感情がエリューション化し、これからその男を葬りにいこうとする。
「その前に、どうにか彼女を説得して食い止めてほしいの。こんな結末あまりに酷でしょう?」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:あじさい  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年02月12日(火)23:06
こんにちはあじさいです。今回は百合要素を含んだお話になります。
東風敦子を説得し、この恋に彼女なりの決着をつける手助けをしてあげるお話です。


成功条件

三田の彼氏、萩の生存

場所
説得を行う場所は登下校時の通学路。そこからどこかに誘導して場所をかえるのはありです。
説得が失敗した場合は萩の家に東風の感情がエリューション化して現れます。


それではよろしくおねがいします。


参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
★MVP
ホーリーメイガス
レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)
ダークナイト
街多米 生佐目(BNE004013)
クロスイージス
浅雛・淑子(BNE004204)
ホーリーメイガス
海依音・レヒニッツ・神裂(BNE004230)
ソードミラージュ
黒朱鷺 仁(BNE004261)
覇界闘士
榊・純鈴(BNE004272)
インヤンマスター
赤司・侠治(BNE004282)
デュランダル
有栖川 氷花(BNE004287)

●果ての見えない思い
 生まれたころから一緒だった。東風敦子と三田紗弥香の二人の関係は、まさにその言葉通りのものだった。家も隣同士。幼稚園から高校までクラスが分かれたこともない。いつか敦子が母親に尋ねたら、生まれた病院さえも同じだったというから驚いた。二人は傍目からみてもとても仲がいい親友だと認識されていて、もちろん二人もそう思っていた。
 しかし敦子は紗弥香に対して親友の枠に収まりきらない感情をいつしか抱くようになった。これは恋だと自覚したのは中学のころだろうか。
 中学生にもなると、周りの女子が色恋沙汰に精を出しはじめる。しかし敦子は、その話題に入れなかった。もともと斜に構えているところがあるから、それを不思議に思う者はいなかったが、理由はそんなことではない。
 敦子には分からなかったのだ。自分が男性と恋をするということを想像出来なかった。その代わり、ある感情が芽生えた。それは親友に対する淡い気持ち。
感情を素直にあらわせず誤解されてしまう敦子を理解してくれるのは家族を除けば唯一紗弥香だけだ。細かいことを気にとめない天真爛漫さは敦子にはないものだった。彼女の隣は心地よく、ずっとその隣にいるのが自分であればいい。そう望み、願ってしまった。
 しかしこの想いを伝えられるはずもない。ずっと胸にしまい込んだまま中学を卒業した。


 朝目覚め、身支度をする。そして時計を見て、少し早く起きてしまったと苦笑した。長年の習慣はそう簡単には抜けてくれない。
 平日学校に行く前は隣の紗弥香の家に立ち寄り、一緒に登校するのが日課だった。しかし彼氏が出来たとなれば敦子はそうすることは出来ない。昨日届いたメール画面がひどく冷たく見える。
 そうすると尚更、萩に対しての怒りが湧いてくる。長年続いてきた営みを容易く壊される。以前はなんとも思っていなかった彼が今はとても憎らしい。
 階段を下りて、リビングに出る。朝食も食べる気がしない。結局何も食べずに学校へと向かった。

「おはようー、今日もいい天気だねあっちゃん」
何事もなかったかのように紗弥香は朝机で予習をしていた敦子にあいさつをしてくる。
「……彼氏のところに行かなくていいのかしら?」
 ぶっきらぼうにそれだけ言って教科書に目を落とす。次に顔を上げると、紗弥香はもう萩の傍で幸せそうに談笑していた。
 教科書を思わず握り締めるが、それに紗弥香が気付くことはない。皺になったそれを慌てて伸ばしながら、情けない気持ちでいっぱいになった。
  
●少女の向かう先
 リベリスタ達は二手に分かれた。一つは彼女の説得に向かう組、もう一つの組は万が一説得が失敗に終わった時のために備える。
説得に向かう一人、『フェアリーライト』レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)は沈鬱な表情をしていた。彼女も道ならぬ恋をしているから、敦子の気持ちが痛いほど分かるのだ。
 だから、その道を誤ることはしないで欲しい。歪んでしまう前の真っ直ぐな気持ちを思い出して欲しかった。
 
 放課後になり、学校から出てくる彼女を待ち受ける。『渡鳥』黒朱鷺 仁(BNE004261)は後から接触する仲間達のお膳立てをする役だ。
 
 今回の問題の中核を担う少女の様子を窺いながら、自身の思い出をよみがえらせた。恋という言葉の懐かしい響き。最近では久しく遠ざかっていたその甘くも苦いそれに思いを馳せる。
 工事中のコーンが道を阻んでいるのを見て、敦子は引き返す。おそらく仲間が上手く細工してくれたのだろう。彼女の周囲に人もいない。
「何よ、来る時はこんなものなかったのに」
 随分と苛立っている敦子の前に、仁は姿を現す。
「どうした、随分と怖い顔をしているが。何か悩みでも?」
 神父の服が珍しいのか敦子はまじまじと仁を窺う。
「おっと、そう警戒しないでくれ。俺は見ての通りただの神父だ。その一環でカウンセラーをしている」
 カウンセラーという職業を騙ったせいだろうか、眉間の皺が徐々に戻っていった。
「……私、そんなに怖い顔をしていたかしら」
 その呟いた表情の陰は、年頃の少女にしてはあまりに深かった。
 
 近くの公園に誘導し、ベンチに座らせる。無邪気に遊ぶ子供の声がどこか遠く聞こえた。仁は虚ろな目で子供達を見詰める少女に、自販機で買ったあたたかいお茶を差しだしてやる。
「ほら、遠慮なく飲め。最近は冷えるだろう」
少女はそれをしばらく見詰めた後、無愛想に礼を言って受け取った。それに口を付けて大きく息を吐く。白い息が風にたなびいていた。

「どうやら上手くいったようですね」
『カゲキに、イタい』街多米 生佐目(BNE004013)が呟く。透明化を解き、レイチェル達に合流した。しばらくして仁から連絡が入り、指定された場所へと向かう。仁はすでにいなくなっていた。彼の目的は主に敦子を女子たちへ誘導することだから、無論成功だろう。

 リベリスタの女子組は準備していた敦子と同じ高校の制服を身につけている。自然に彼女に接触するための策だった。榊・純鈴(BNE004272)はタイミングを窺いながら、敦子に話しかける。
「ねえ、三組の東風さんよね。私、隣のクラスなんだけど覚えてない?」
敦子はそう問われてじっと顔を見詰めた。彼女は幼馴染しかまともに親しい人間がいないはずだ。おそらく他人の顔などあやふやに違いない。その予想が当たったのか、彼女はあまり疑うことはしなかった。ただ、あまり知らない人間に話しかけられて、迷惑そうではあったが。
「一人空きが出来ちゃったのよ。今から来れないかな。それに、女の子同士じゃないと行けない場所、知りたくない?」
そう仄かにほのめかすと、敦子は仕方なそうに頷いた。


 入ったのは予約していた喫茶店だった。バイキングがおいしいと評判な綺麗な店だ。遠慮か警戒がまだ少し残る敦子に生佐目は適当なケーキを見つくろってもってきてやる。
 「ほら、ここのケーキおいしいんだよね。ほら、どんどん食べて」
どうすれば彼女が心を開いてくれるか懸命に考える。敦子は未だ腑に落ちなさそうな表情をしていた。初対面の奇妙な集団と喫茶店に入る状況をすんなり受け入れられないのだろう。ケーキに少し手を付けるものの、積極的に何かを話してくれる様子ではなかった。
『粉砕者』有栖川 氷花(BNE004287)はまず自らの弱みをさらけ出そうと口を開いた。人の心の傷を預けてもらうには、まず自らの弱さをさらけ出さねばならない。
「東風様、世の中には悲しい恋が多すぎると思われませんか?」
敦子の瞳が僅かに揺らぐ。
「私はいつも歳上の方をお慕いしてしまうんです。そうしていつも報われないのです。それだけではありません。世の中どうにもできない報われない恋が多すぎですわ。年齢差、家柄の差、国籍の違い、それに同性愛」
「……適当なことを言わないで、私はあなたのようになれない」
 目つきがきつくなる。拒絶する意思が宿っていた。思いつめた者にしか出せない凄みが感じられる。
「何も知らない癖に」
吐き捨てるように言い捨て去ろうとした敦子を、レイチェルが腕を掴む。
「分かるよ……! 分かる、痛いほど……」
その必死な表情に面喰ったように敦子は目を見開いた。涙ぐむ瞳に何か感じたのか、再び席に座った。
 その様子を見て、レイチェルがひっそりと決意する。
「あのね、あたしの話を聞いてくれる?」
 レイチェルは自分の恋の話をぽつりぽつりと語り始めた。
「あたしにも本気で好きになった人がいるの。五歳年上の女のひと」
 窓の外を見ていた敦子が、振り向いてレイチェルを見詰めた。
「初めは全然、そんな風に思ってなかった。自分の気持ちに気付いた時には、もうその人には彼氏がいた。あきらめきれないから、告白したよ。でも、その後にすぐその人は婚約してしまったの」
 勇気を出して告白した。関係が壊れてしまう怖さを押し殺して、それでも伝えたくて。結局その思いは実ることはなかったけれど。それでも、その人をすきになれたことは、とても誇りに思っている。
「だから、だからね、あたしはあなたに間違ってほしくないの」
敦子はその話を聞いて、何も言わなかった。飲み物を飲みほし、お金を置いて鞄を取って帰って行った。
 レイチェルはその背中を見守りながら、力強く呟いた。
「大丈夫、きっと答えは見つかるから」
 自分がそうであったように、彼女なりの結末を描き出すことがきっと出来るはずだ。
 生佐目はその様子を見守りながら密かに仲間に連絡を取る。
『あ、今脱ぎました。豊満な女体がわんさかですよ。ちなみに私も脱いでますよ。たまげた店だなあ……。え、本当の報告? ええ、一応滞りなく。でもまだどうすればいいか決めかねてますね。これからです』


 
 喫茶店の仲間から連絡を受けたが、敦子はまだ迷っているようだ。ずっと思っていた幼馴染を、彼女からしてみればよくも知らない男に奪われたのだ。それは複雑な感情にならないはずがない。
『ヴァルプルギスナハト』海依音・レヒニッツ・神裂(BNE004230)はそのいじらしさに大げさに天を仰いだ。
「ああ、なんて可愛らしくて健気なことでしょう」
事前に調べた萩と東風の自宅の地図を胸にしまいながら、恋に迷った少女の到着を待った。

 少し薄暗くなった通学路、いまだ辿りつくべき道が見つからない敦子の前に、海依音は現れた。シスターの服で、帰宅途中に出会った神父と同類だと判断したのだろうか。少女は特に警戒することもなく立ち止まる。
「……どうしたんですか」
「ふふ、迷える子羊さん。ご機嫌いかがですか?」
 海依音はそう問いかける。敦子は素直に海依音に促されるまま公園に入った。海依音は単刀直入に尋ねる。
「あなたにはお友達がいます。とても大切なお友達です。あなたはその女の子のことがすきなのでございますね」
「……あの神父さんにでも聞いたのかしら」
 海依音は柔らかく微笑む。
「嫉妬、ですか? どんなに恋焦がれても伝わらない心はあるでしょう? 貴方は彼女の何処が好きですか? 彼女が笑顔なら嬉しいですか?」
次々に問いかけられる言葉に、敦子は空を見上げた。
「すべてあなた次第です。心に問うてご覧なさいませ。これは誰かに決めてもらうものではありません」
 


『blanche』浅雛・淑子(BNE004204)は、思う。敦子はお伽噺の主人公になれなかったのだ。主人公達の幸福の傍で不幸に泣く人々。いつまでも幸せに暮らす王子とお姫様の陰にいる、悪者にされた魔女の様に。そういう人にこそ救いの手が必要なはずだ。
「女の子はいつもに優雅に」
 彼女は自らの信念を口にする。女の子は芯から美しく、優雅であらなければならない。彼女がその心を憎しみで埋めてしまわないように。
 そのためには悲劇で終わるはずの物語を少し歪めても許されるはずだ。そんな決意を新たにする淑子を『凡夫』赤司・侠治(BNE004282)は傍で見守っていた。

 日が落ちて、夜が深まった頃。街灯が心許ない光を照らしている。敦子の心が分かりかねる今、仲間達は萩の自宅前に集まっていた。

 しばらくすると少女のどすごろい化身が、現れる。警戒を強める淑子と侠治だったが、どうやら様子がおかしい。敵というには襲い掛かってくる気配もない。
 おそらく、今までの説得でもう心が揺らいでいるのだろう。彼女に必要なのは、あとほんの少しの後押しだけだ。
「誰かを思う気持ちというのは理屈ではない。君はどうするのだ。誰かを憎み続けることで心を殺してしまうのか。恨みに身を焦がし、そのままだと心が死んでしまうぞ」
 重く響く侠治の声に、少女の姿が揺らぐ。夜の闇に溶けてしまいそうだ。
「想いを伝えるといい。彼女との関係が悪い方向に変わるかも知れない。今まで通りでは居られないかもしれない。それでも、自分を呪い続けて、誰かを憎み続けるのは、疲れるぞ」
 
 女同士という関係が、若い彼女にとってどれほどの障害に見えるだろう。それはさながら、高い山が眼前にそびえ立っているような圧迫感を感じているはずだ。しかしそこから動かなければ何も変わらない。動かない。思い悩む少女を傍で見るのは、侠治には辛かった。
 痛いだろう。苦しいだろう。眠れない夜が幾度あっただろうか。しかしそれを、その痛みを、幸せの為の糧にすることが出来たのならば。
「さあ、もう充分苦しんだだろう。その痛みを、幸せの為の痛みに」
侠治が優しくそう囁くと、少女はふっと消えてしまった。彼女は歩き出すのだ。諦めたその先へと。それが辛いものであれ、いつか幸せの糧にならんことを。侠治はそう祈りながら、傍らにいるもう一人の少女を見詰めた。
「浅雛、君もあの少女くらい自分の感情を表に出してもいいんじゃないのか」
白雪の髪に、薔薇の瞳を持つ儚い少女。その細い肩に、どれほどの荷物を抱えているのか、侠治は知っていた。淑子はその気遣いを感じ取ったのか淑子は黙って首を横に振った。
「赤司さん……。いいえ、駄目よ。わたしの心はとっても醜いから。そういうのって優雅じゃないでしょう? でも……、気に掛けてくれて有難う」
 やんわりとその気遣いを拒んだ淑子だが、その胸には久しく味わってなかったあたたかいものが広がっていった。
 そして小さくて大きな決意をした少女の幸せを祈った。

●本当の望み
 朝、かつてのように敦子は紗弥香の家の前にいた。顔見知りの紗弥香の母親は快く敦子を招き入れる。敦子は階段を上がり、扉をノックした。
 能天気な声が響いて開ける。未だ寝ぼけている様子の紗弥香は目をこすりながら紗弥香を見る。早まったかなと心の中で思ったが、しかしすぐにでも伝えたかった。決意が揺らいでしまわないうちに。
「ねえ、紗弥香。私、あなたにずっと感謝してるの。ひねくれた私の傍でずっと笑っていてくれたこと」
 
 声は震えていないだろうか、妙な顔をしていないだろうか。そんなことを思いながら、ひとつひとつの言葉を大切にしながら呟く。
「私ね、ずっとあなたと一緒にいたいと思ってるのよ。気付いてなかったでしょう」
丸くて大きな瞳が見開かれる。
「うん、あっちゃんは意地っ張りだからね!」
 
 その笑顔に徐々に気持ちが消えて行く。ああそうだ、私はこの子に笑っていて欲しいんだ。この子が幸せならば、幸せにするのは自分じゃなくていいんだ。

「ねえ……、いや、やっぱりなんでもないわ」
 好きという言葉は伝えられなかったけれども、これが敦子なりの決着だった。



■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
成功です! みなさん温かいプレイングをありがとうございました!MVPは迷いましたが、彼女と同じ思いを経験したあなたに。願わくば幸多からんことを