●武の道を進むもの 武とは何か。 様々な答えはあるだろうが、それが『効率よく人体を破壊する術』であるのは否定できない。 そして武を志すものは自己防衛も含めて、人体のことを良く知っている必要がある。ダメージを受ければ致命的になる場所。筋肉が鍛えにくく防御が薄くなる場所。痛みを受ければ呼吸を阻害する場所。 敵を知り己を知れば百戦危うからず。もちろん鍛錬も必要だが、知識もまた戦いにおいて必要なのである。 「そこのノーフェイス! この水無瀬夕子が相手してあげるわ!」 鎖でつないだトゲトゲ鉄球を手に、一人のリベリスタが三人組のノーフェイスに挑む。ノーフェイスは顔を隠すフードを跳ね上げ、自分達を指差す少女を睨んだ。そこには『敵』に向けられる敵意のようなものが見られる。 ノーフェイスの指がゆっくりと夕子に向く。そしてその口が開き、言葉を紡いだ。 「B83W58H85! パンツは薄い青色!」 「ッ!?」 その言葉にスカートを押さえるような構えをする夕子。 「脳内変換……完了! 見えたわ、鎖アーマー! 鎖で胸を隠しながら戦う正義の使者!」 「やるな同志よ。ならば俺は、鉄球メイド! 破壊的な格好の裏に見える家庭的な態度。主に尽くす強い献身!」 「ひぃ……! な、なに言ってるのコイツラ……?」 なにやら肖像権とか色々侵害されている気がして怖くなった夕子。そんな彼女にノーフェイスが迫る。 「フ、フン! 言葉で惑わそうとしても無駄よ! この鉄球で叩き潰してあげるわ!」 多少気圧されてしまったが、夕子は経験をつんだ革醒者だ。デュランダルのパワーで今まで多くのエリューションやフィクサードを圧倒してきた。こんな変態、油断なく戦えば勝てるはずだ。 だがこのノーフェイスたちはただの変態ではなかった。 ●アーク 「イチニイマルマル。ブリーフィングを開始します」 録音機にスイッチを入れて、資料を開く。『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は集まったリベリスタたちの顔を見ながらこれから起こるであろう神秘の説明を始めた。 「変態を倒してきてください」 和泉の説明は投げやりだが、モニターを見ていたリベリスタたちはその一言ですべてを理解した。ああ、うん。変態だよね。 映像は少女のリベリスタがノーフェイスに『熊さんぱんつ!』『脱ぐと巨乳!』『その拒絶は照れ隠し!』などといわれながらフルボッコされ、『うわーん。よくわからないけど、わたしけがされたー』と泣きながら逃げ帰るところで終わっていた。まぁ、お持ち帰りしないあたり、このノーフェイスは極悪人ではないようだ。 「このノーフェイスたちは元覇界闘士の三人組です。修行と称して強い革醒者を探して流浪しているようです」 なら剣林に行け、といわれそうだがこんな変態門前払いである。 「彼らは人体を的確にイメージすることで、プロテクターの防御力を弱体化するを技術得ています」 「イメージって……あの妄想が?」 「なので少数ですが実力はかなりのものと思ってください」 リベリスタの問いを無視するように和泉は説明を続ける。認めたくないのだろう。 しかしプロテクターの防御を崩す技術は、正直厄介である。信じられないが『万華鏡』のはじき出した情報だから、間違いはない。 「彼等の技を無効化する手段があります」 ほう、とリベリスタが和泉の言葉に注目した。 「相手の妄想を超える格好と行動。これにより相手の虚を突いてイメージを崩すことができます」 それなりにかっこいいことを言っているつもりだろうが、和泉の言葉を要約するとこういうことである。 「つまり……コスプレして相手を萌えさせればいいわけか」 「身も蓋もありませんが概ねそんな感じです」 うわいやだなー、とリベリスタは渋い表情をする。しかしこれも神秘の事件だ。放置はできない。 「衣装はアークが用意できます。お好きなものをどうぞ」 さすが特務機関。用意周到だ。何故と聞いてはいけない。 どこか憂鬱な気分でリベリスタはブリーフィングルームを出た。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年02月02日(土)23:50 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 「敵を知り己を知れば百戦百勝キック! って偉い人は言ってた」 「なるほど」 拳を振り上げてシスター服のアイドルが言うのを、無表情にロングスカートのメイドが同意する。 訂正。拳を振り上げて『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)が言うのを、無表情に『夜翔け鳩』犬束・うさぎ(BNE000189)が同意する。どこの偉い人なのかはともかく、情報が戦いにおいて重要なのは違いない。 「ふふ。嫌いじゃないわ」 モノトーンでロングタイプのエプロンドレスにホワイトブリム。そんなヴィクトリアンメイドがスカートを翻しながら言う。手にした斧がちょっぴりミスマッチだが、それがいい。そんな彼女の名前は『blanche』浅雛・淑子(BNE004204)という。優雅に舞いながら、戦いの準備を済ませた。 「やるなら徹底的に、だな」 ふむ、と気合をいれて『破壊の魔女』シェリー・D・モーガン(BNE003862)がシルバートレイを手にする。体を覆うはビール缶を模したワンピース衣装。全年齢のセーフラインを保ちながら、しかもはいてない。本当に徹底的だ。 「悪に染まりて、人を体でしか認識できない輩どもよ。この私が浄化してやりましょうぞ!」 大きく息を吸い、吐く。呼気の瞬間にポーズを決めて、『超重型魔法少女』黒金 豪蔵(BNE003106)は魔法少女の服に身を纏い、ジャングルジムから飛び降りる。さすが元プロレスラー。ムーンサルトもお手の物である。ひらひらとした薄紅の衣装が、宙を舞う。 「……なるほど、つまりは変態か」 『TwoHand』黒朱鷺 輪廻(BNE004262)は集まった者たちをみてそう断じた。ノーフェイスもリベリスタもまぁ、よくがんばるものだ。そんな輪廻の衣装はシスター服である。彼女の場合、これが普段着なのだが。 「何を言いますか。これが私の戦闘衣装ですぞ」 胸を張る豪蔵。一点の曇りもないその言葉。みなの意見が一致した。これ以上突っ込むのはやめよう。 「変態で妄想癖があっても、それで自分達なりの業を得たんでしょ?」 チャイナドレスの裾を確認しながら蔵守 さざみ(BNE004240)がノーフェイスたちに顔を向ける。この寒空の下、チャイナ服は寒い。早く終わって帰りたいものだ。マジックガントレットを手にはめて、徒手空拳の構えを取る。 「敵の得意な事をさせず、虚を付き自分の得手で押し切る。武の道を修めるものとしては、卑怯と言うことはできないのです」 バッタ風の変身ヒーローっぽいコスチュームに着替えながら『娘一徹』稲葉・徹子(BNE004110)が敵の能力に賞賛を送る。なるほど徹子の言っていることは事実である。武とは戦い。即ち勝つための研鑽。そのために切磋琢磨することはなんら悪いことではない。 さて、そんなアークのリベリスタに対してノーフェイスたちの反応は。 「メイド服とシスター服のダブルコンボだと……!」 「ああん、ゴリマッチョにひんにうちゃんに。GJ!」 「けなげアイドルに無表情メイド。武道なライダー。悪くない!」 概ね好調であった。 「うわーん! 変態が増えたー!」 一部のリベリスタに呼び止められた水無瀬は、アークのリベリスタのコスプレを見てぺたんと座り込んで泣きじゃくっていた。 「この集団。傍から見たらどう見えるのかしら」 あえて誰もが突っ込まなかったことを言うさざみ。その言葉にリベリスタたちは本当の危機に気づく。 「……人払い対策は……?」 「そういえば……」 「私、結界張るけど」 「大丈夫とは思いますが、もし人が着た時のリスクを考えると心もとない……」 神秘の秘匿――という意味ではなく自らの社会的地位が危険に晒されたことに気づくリベリスタたち。 「己の肉体に自信あるならば、恥じる事は何もなし」 「まぁ、見られてもどということはないけど」 豪蔵やさざみはそれを気にしないとばかりに戦意を燃やしているが、他のものはそういってられ―― 「何か問題がありますか?」 「これも興行と思えば問題なし!」 「行きますよ、おー!」 うさぎ、明奈、徹子もあまり気にせずそれぞれの武器を手にする。問題はなかったようだ。 ともあれ、ノーフェイスを倒すべくリベリスタたちは破界器を構えて走り出した。 ● リベリスタの戦術は『コスプレへの反応が悪いノーフェイスから叩いていこう』であった。 三人のノーフェイスはリベリスタのどれかに反応していたが、一番反応が悪かったというのは誰かというと……。 「あなた達には乳の種類が足りないわ!」 「アリスさんですね」 「ぶっころす」 ちょっぴり私怨もはいっているが、ターゲットは決まった。 「この筋肉から溢れ出る魔力……それが、私の力の源で御座いますな」 意識する筋肉の動き。指先から手首を伝い、腕、肩、そして胸筋。ぜんまいを巻くように鍛え上げた筋肉をしめる豪蔵。――否、その衣装に身を包んだ彼はこう呼ぶべきだろう。 「正義の魔法少女ジャスティスレイン……推・参!」 革醒前から鍛え上げられた筋肉。芸術品ともいえるそれがジャスティスレインに魔力を伝達する。全身にみなぎる力を砲台に変えて、気合と共に解き放つ。 「胸と胴の境界線、おぬしはどう定義するつもりじゃ?」 シェリーが自分の胸をトレイで示す。そこにあるのは、成長途中の平らな胸部だった。 「まさか……! あなたそれは!」 「大小問わぬというが、全く丘がないのじゃ。そんな妾の胸の裡をおぬしはわかるか!」 アリスに突きつける事実。 「確かに存在しない境界を論じることなどできない。まさか捨て身の作戦にでるなんて!」 なんだかよくわからない攻防があったようだ。 「主よ、我らを何だかよく分からない変態っぽい連中から救い給え」 祈る輪廻。切実だ。その二つな通りの二丁拳銃を有効に使うべく、ノーフェイスから距離をとった。変態がうつると困るなぁ、とこっそり思いつつ。 かつん、と二丁拳銃の銃口同士を重ねて意識を切り替える。早撃ちのコツはイメージ。そして姿勢。安全靴でしっかり大地を踏みしめ、二丁の拳銃をしっかり握って銃口を適に向ける。トリガーを引く、と意識したときにはすでに弾丸は放たれていた。衝撃でノーフェイスの頭が揺れる。 「胸に触れないで下さい……へ、変態……」 「テレながら斬りかかって来るとかどういうこと」 うさぎがロングスカートを翻し、戦場を疾駆する。手にするのは『11人の鬼』と呼ばれる半月上のノコギリのような破界器。それを手にしてノーフェイスに切りかかる。派手なアクションでもスパッツで安全設定。 「奇妙な武器+メイド服だと! ニッチ過ぎる!」 ストライクだったのか、カズマがうさぎを指差して叫ぶ。 「……な! ……何言ってるんですか……馬鹿」 うさぎ、デレ入りましたー。演技ですが。 (お父様、お母様。どうかわたしを護って) 今は亡き父母に祈りを捧げて淑子は斧を構える。今回の敵からは特に守って欲しい。優雅とかそういうのからかけ離れた相手だし。 「折角趣向に合わせてコスプレしてきてあげたのに、失礼極まるわ」 こちらもこちらでニッチな大斧メイドの淑子。しっかりとを足を踏みしめ、斧の柄をつかむ。遠心力を利用して大重量の刃が唸りを上げてノーフェイスに迫る。回転に合わせるようにエプロンドレスのスカートがふわりと舞った。 「美脚が、見える!」 「見えません!」 ばふっ、とスカートを押さえる淑子。 「とりあえずタコ殴りね」 さざみが構えを取る。体のラインに沿ってチャイナ服がゆれた。体内の魔力を増幅させて、拳を握って体を揺らす。拳に魔力が集まる。 前傾姿勢に移行する勢いを殺さないように前に出る。沈み、起き上がる。上に向かうベクトルに合わせるように拳を振るう。流れるようにもう片方の拳も振りかぶった。ステップを踏みながら相手を見据え、イメージどおりに体を動かし拳を振りぬく。 「体を動かしても寒いのね、この服装は」 「ワタシは人を傷付ける術は磨いていない!」 明奈が大きな盾を持ち、クロードを押さえにかかる。防御に徹しながら味方の悪影響を消す構えだ。清楚なシスターの姿で博愛の精神を示すように相手の攻撃に耐えていた。 「攻撃をせずに耐えて見方を癒しにかかる姿は、まさに自愛の精神! なるほど、その姿にあっている!」 クロードは明奈のその様子に胸を打たれて、満足に拳を振るえないようだ。 「あ。祈りながら攻撃に耐えるといいかも。『傷を受けてもなお、折れぬ精神』はポイント高めだし。どくどく的にも」 「ふむふむ。最後のはともかくアドバイスありがとう!」 アドバイスだったのかどうかはともかく、自らの研鑽をやめないアイドル候補生であった。 「こすぷれとは! 普段しないような格好をして普段しないような行動をすることは分かりました!」 徹子は右腕をびしっ、と左側に伸ばしてそれを時計回しにゆっくり回転していく。そのまま左腕を右側に突き出して、 「とう!」 と叫んで宙返りした。ベルトの風車が風を受けたかどうかはともかく、爆発が着地した徹子の背後で起きる。あれです。爆砕戦気の演出。 「ふふふ! 素直に魔法少女風で来ると思いましたか悪漢め!」 悪漢(どくどく)は動揺した! 「実はバイクの人の番組が終わるとおじいちゃんがチャンネル変えちゃうのでそっちはよく知らないのです! くそう!」 「ニュースとか見ちゃうのね。おじいちゃん」 「それはそうとして絶対にゆるさんっ! 覚悟しなさいっ!」 「何故!?」 君ら、ノーフェイスだからなぁ。 戦場は加速する。ついでにカオスも加速していた。 ● 「次の衣装はこれだー!」 「脱いだー!?」 明奈がシスター服を脱ぎ捨てると柔肌が露になる……ことはなく、赤い袴の巫女装束が現れる。 「同じ神に仕えるものではあるが、その方向性は異なる。唯一神に仕える忠誠の来いシスター服とは違い、八百万の神を祭る巫女は広い心を持っているイメージがつよい! 和洋の文化の違いが現れているといえよう!」 「クロード、うざい」 「あ、ロザリオ外し忘れてた」 舌を出しながら明奈は胸の十字架をはずす。 「あんたらの業に比べれば未熟もいい所だろうけれどね」 彼等の得たものは、確かに一般的には受け入れがたいものである。だがしかしそれは彼等自身が研鑽して得た結果なのだ。さざみはそれを悪く言うつもりはない。彼女自身、研鑽の結果フェイトを得たのだ。 「一発と言わずに貰っていきなさい」 至近距離から魔力の拳による殴打を続けるさざみ。前に立つマグメイガス。蔵守家の者が今の自分を見たらどう思うだろうか? かまうものか。自分は自分だ。やりたいようにやらせてもらう。 「み、見えてないわよね、見えてないわよね……!?」 先程から淑子は動揺しながら戦っていた。スカートが翻ってカズマに足が見えたと指摘されてからだ。 女の子は優雅に。乙女には触れてはならない琴線がある。そこに踏み入ったものには死あるのみ。 「女の子には繊細な秘密が多いの。気安く触れて良い事かどうかの区別もつけられないのなら、此処で死んでお仕舞いなさい」 「殺意高っ!」 「あ、クロードさんは不躾に身体を見るような人ではないみたいだから、ちょっとだけ殺意を抑えてあげるわ」 「殺意は変わらないの!?」 斧持ったメイドに笑顔で言われてもシュールである。 「いらっしゃいませ、ご主人様。ご注文はフレアバーストとマジックブラストどちらに致しますか?」 シェリーが唇に指を当ててクロードに問いかけた。集まる魔力は一級品の魔術師のそれ。当たると大怪我確定である、 「どっちも断る!」 「そんなことおっしゃらずに。追加料金で曲のサービスもございます」 「曲って魔曲・四重奏だよね!? それ食らうとバステオンパレードなんですけど!」 「今は、全力でご主人さまを口責めしたいんです。お好きでしょう?」 シェリーの言葉に、くぅと呻いて押し黙るクロード。聞く耳を持たないと判断したか。あるいは図星だったか。ともあれ魔力は放たれる。 「この筋肉の光、味方には癒し。敵には……精神的衝撃を与えますぞ!」 ジャスティスレインの声が上空から響き渡る。空中で筋肉を引き締めてポーズを決めながら、神秘的な光を放っていた。その者、ピンクの衣を纏いて自らの筋肉を誇示し、全身から光を放つ。 「どうやら怪我人も増えてきた様子。魂よ、震えて力を取り戻しなされ!」 超低音のオペラが公園に響いた。ジャスティスレインの奏でる歌がリベリスタの傷を癒していく。納得いかないところはあるが、天使の歌だから回復するのだ。 「この世に悪が迫るとき!」 びしっ! 徹子は効果音すらつきそうなほど鋭くポーズを決める。様になるのは普段鍛えれいるために動作が鋭いためか、あるいは何度も練習したか。 「銀の刃が闇を斬るっ!」 銀紙で巻いた木刀をノーフェイスたちに向ける。こういうポーズ中は結構隙だらけなのだが、何故かそこを襲わないノーフェイスたち。様式美というものを分かっているようだ。 「むぅ、貴様何者!」 様式美ついでに問いかけるアリス。 「仮面のバイク乗り……えーと?」 「もしかして……きめて、なかった?」 「不肖稲葉徹子、全力でお相手するのです!」 「きゃー!」 誤魔化しついでにメガクラッシュ。 「所で、自分らだけ楽しむんはズルい思うんよ」 うさぎはノーフェイスたちを指差して、脳内でいじり始める。 「まずクロードさん。実は可愛い物好き! 年甲斐も無いって遠慮して表に出せない奥ゆかしさ!」 「なにっ!?」 「次はアリスさん。実はサラシ巻いた巨乳! ウシチチって言われたのがトラウマで胸に拘るのはその裏返し!」 「え、いやそんなことは――でもその設定はアリかも!」 「そしてカズマさん。実は本命はクロードさん! 年上の包容力にメロメロ! 仲間意識と恋慕とのシーソーゲームな青春!」 「いやさすがにそれは」 「……なぜそれを」 「カズマ!?」 「ふぅ、すっきり。やられたらやり返す。基本です」 というか自分もやりたかったんですけどね、と心の中でうさぎが言う。 「それにしても……でノリノリだな」 はっちゃけているリベリスタたちを見て、輪廻がため息をつく。見ているだけでMアタック50を受けている気になる。これが日本のリベリスタ組織最大といわれたアークのものたちだと思うと、言いようのない感覚に襲われる。 「私も一流を目指すなら、あんな感じにならないといけないのだろうか……」 輪廻がアークに所属するようになったのは、父の影響が大きい。経緯はどうあれ、革醒者として戦う以上は手を抜くつもりはない。もちろん今回の依頼においてコスプレをする重要性だって理解している。してはいるのだが……。 「少し考え直したくなるな」 然もありなん、である。 ● え? 戦闘? 「わが道、ここで潰えるか……無念!」 「ああ、戦乙女のおっぱいが呼んでるわー」 「神様って大抵エロスと傲慢なんだよなぁ。会いたくねー」 変態(あく)は滅んだ! ● 「変態滅ぶべし、慈悲は無い」 輪廻は二丁拳銃を仕舞い、戦いの終わりを告げる。まだ変態はいるような気もするが、そんな記録は頭から消去した。 さて、先にノーフェイスたちと戦っていた水無瀬夕子だが。 「もう大丈夫です。ノーフェイスは滅びました!」 「うむ。もうおぬしを脅かすものはいないぞ」 「目の前に変態がいるし!」 ジャスティスレイン(まだ魔法少女服)とシェリーの言葉にさらに心に傷を受けていた。正確には言葉よりもその格好に、なのだが。 「心折れない限りリベリスタに敗北はないのです! 次にこのような相手と出会った時のために私たちの戦いを覚えておいてください!」 「こんな戦い二度としたくないわよ!」 徹子のポジティブな言葉に泣きながら叫ぶ水無瀬。あ、なんかのフラグ立った。 「変質者に襲われたようなものだものね。ようなもの……? ……そのもの、かしら。心中は察して余りあるわ」 そんな水無瀬に同情の視線を送る淑子。現在進行形の気もするが、実害はないし止めないでおくことにした。 「この恰好、やっぱり寒いわね。早く着替えたいわ」 さざみはチャイナドレスの防寒性のなさに凍えていた。とりあえず風除けのために近くの木にもたれかかる。 「夕子さん。あなた……戦いは豪快だけどプライベートは照れ屋でいざとなるとオドオド。恐る恐る伸ばした手で服の裾をキュっと握るのが精一杯!」 「っ!?」 突如のうさぎの指摘に、驚いたように息を呑む水無瀬。 「そして実は鉄球に可愛い名前付けていますね!」 「ちちちがう! この子に『こぱん』とか名づけてないんだからっ!」 リベリスタの視線がかわいそうな目を見るものになった。あーあ。 「ところで先輩と上手く行ったんかね。聞かせて聞かせてー」 巫女服を脱ぎ捨てミニスカート肩出しウェディングドレスの姿になった明奈が興味深そうに問いかけた。 「あうあうあうあう」 腕を振り顔を真っ赤にして誤魔化そうとする水無瀬。ああ、うまくいっているんだね。なんとなくリベリスタは察した。 「アークなんて嫌いよー!」 逃げるように別れを告げた水無瀬を見送れば、公園は静寂に包まれる。 道を究めるということは、常識から外れること。求道者がいる限り、このような事件が起きないという保証はないのだ。 しかし今は平和を勝ち取ったのだ。しばしの平穏を確信しリベリスタは帰路についた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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