● 体は大きな冷蔵庫、頭は液晶テレビ。 両腕は掃除機で、洗濯機がその両足となっている。 見た目は人のような形。 しかしてそれは、決して人ではなく――それぞれのパーツのどれを見ても、家電そのものだった。 過去の時代、家庭の三種の神器とされた3つの家電が合体したロボ。 「……昭和からの遺物か?」 その姿を目撃した男はそう言うが、そのロボを構成するパーツは近年使われているものばかり。 白黒テレビは液晶に置き換わり、洗濯機はドラム式で、冷蔵庫も最近に開発されたタイプだ。 『ハカイセヨ』 ふと、ロボの頭部分。即ち液晶テレビに、テロップが流れる。 不法投棄されたゴミ山の中から、その指示に応えるように現れたのは無数の家電、家電、家電。 冷蔵庫、掃除機、テレビ、電子レンジ……様々な家電が、意思を持っているかのように動き始めたのだ! 「――夢でも見てるのか?」 男はこんなものは現実ではないはずだと、目を擦り、閉じ、何度もその光景を見直す。 しかしどんなに目を閉じても、眼前の光景が変わる事はない。 「これが現実か!? ありえねぇ、ありえねぇ!」 ありえない光景を目に焼き付けた男が最後に見たのは、ゆっくりと近付いてきた家電ロボの掃除機の右腕が振り下ろされる瞬間だった。 ● 「過去にも似たような事例があったようですが……今回も強力なようですね」 集まったリベリスタ達に対し、『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)はそう告げた。 確かに過去、そういった事例はいくつもあっただろう。彼女が現在目を通している資料を見ても、それは冷蔵庫や洗濯機が動き出した事件である。 「放置しておけば、近い未来に不法投棄に来た男性が被害に遭います。今ならまだ、間に合いますね」 何とか、今のところは被害は出ていないところが幸いか。 「敵は家電が合体した家電ロボ――フェーズ2のE・ゴーレムと、構造体の一部を手足に変化させた家電、これはフェーズ1ですが、それが12体です」 場所は不法投棄された家電で積み上げられた、ゴミ山。 もちろん至る所に様々なゴミが大量に散乱しており、足場はかなり悪い。 「戦場については足場だけが注意点ですね。月明りが出ているので、視界はそれほど悪くはないようです」 暗い場所で戦わなくて済むのは助かる点ではあるが、和泉が言うように足場をどうにかする事だけには注意をした方が良いだろう。 さらにフェーズ2の家電ロボにおいては多少の戦術眼があるらしく、頭の液晶テレビで指示を流せば、フェーズ1の家電はそれに全て従うらしい。 攻撃手段はフェーズ1に限ってはとてもシンプルではあるが、家電ロボは陣形を乱す攻撃を最も得意としており、後衛だから大丈夫と言う事も決してないようだ。 「そこへ1人を一斉攻撃、幅広く散開攻撃など、幾つかの攻撃パターンを駆使するのが、このエリューション達の特徴ですね。そこだけには、注意してください」 手にした資料を手渡して、彼女はリベリスタ達を見送る。 廃棄された家電達の反逆に、リベリスタ達はどう立ち向かうのか――。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:雪乃静流 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年01月30日(水)23:49 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●動き始めた家電 「家電の反逆ですとーーー!?」 いきなりではあるが、家電戦士達を目の当たりにして『超守る空飛ぶ不沈艦』姫宮・心(BNE002595)が叫ぶ。 そう、ここは不法投棄された家電達の墓場。 このような場所に捨てられた怒りをもって、家電達は動き出したのだとも考えられる。 「……まあ、よくある話ですよね」 物語というカテゴリの中においては、確かに心の言うとおりよくある話(?)ではあるだろう。 「合体ロボット、ソレだけ聞くならカッコいいんだけど……ね」 さらに言えば、合体ロボットにはロマンがある。わかる人にはわかるはずだ、カッコイイと評した『炎髪灼眼』片霧 焔(BNE004174)もそれをわかる側の人ということか。 如何にカッコイイとはいえ、よくある話であるとはいえ、そんなに頻繁に出てこられても困る存在ではあるのだが、今後もありえない話では決してない。 そしてその原因はといえば、人間にあるのだ。 「……毎度思うが、こうなる前にリサイクルなり処分なり、されてほしいもんだ」 然るべき手段を用いて処分すればという『神速』司馬 鷲祐(BNE000288)の意見は事前策としては正論であり、 「本来は不法投棄する者が悪いのであろうがな。しかしそれは司法が裁くものなのだ」 一方で『Friedhof』シビリズ・ジークベルト(BNE003364)の意見は『罪を犯した者』への対応策として正論と言える。 人がきっちりとした手順を踏んでいれば、そもそもこんなエリューションは生まれない。 そしてもしエリューション化したとしても、そのエリューションに誰かを殺させるわけにはいかない。 そのために、リベリスタ達はこのような山奥まで、足を運んできたのだ。 「もしかするとこのゴーレムたちは、不法投棄を私達に伝える為に生まれたのかも知れませんね……」 しかし『メガメガネ』イスタルテ・セイジ(BNE002937)が言うようにリベリスタ達がやってきた事で、不法投棄を誰かに伝える事は出来ている。この件は近い将来、明るみに出ると見て間違いない。 そういった意味では、エリューション達は『人の罪』を訴えかける存在だとも考えられるか。 ともあれ、彼等の眼前では家電のE・ゴーレムが合計13体、あちらでこちらでとゴミ山の上を動き回っている。 「結構な数だけどまだこの程度で済んでよかった、と見るべきかしらね。見る限りでも素材になりえる物は多いみたいだし……」 数字だけで見ればその数はリベリスタを上回っており、来栖・小夜香(BNE000038)がそれを良かったと感じるのは無理もない話だ。 もしもこれ以上の数が揃っていたならば、8人で戦うというのもかなり酷な話というものだろう。 「このような動く粗大ごみの解体、確かにわたし達にしかできないことですしね」 ならば、これ以上の数へと肥大化しない内に解体してしまおうと、『クオンタムデーモン』鳩目・ラプラース・あばた(BNE004018)は言う。 「上手くやれるとか考えずに、自分のできることをやるしかないよな……」 そんな強き仲間達に囲まれる中、実戦経験が少ない『バイト君』宮部 春人(BNE004241)はそれを理解しながらも、今の自分に出来る事をやろうという気構えで戦いに臨む。 「相当に足場は悪そうだな」 戦地へと踏み込む直前、軽く見ただけでも判るほどのゴミ山の状態に、そのままではやはりまともに戦えないと感じる鷲祐。 だが、手はある。 「これで何とかなるはずですよ」 イスタルテによって施された小さな翼による、僅かな時間だけの飛行能力の付与だ。 「おお、これが非行少女デビューだ」 「え、字が違わなくない?」 「気にしたら負けだよ」 初めて空を飛んだらしいあばたはどこか楽しそうで、しかも字違いだと焔に突っ込まれるが、彼女曰くそんな細かい事は気にした方が負けらしい。 「では、行くとしよう」 「これ以上に数が増えたらとか、その辺の心配は後回しにしましょうか。今はただやる事をやるだけよ」 攻撃する準備は整ったとシビリズが前に進めば、まずは今、動いているモノを確実に倒そうと小夜香もその後に続く。 『テキ、ダ』 現れた人間――それはエリューションからすれば、倒すべき存在。 その存在を感じ取った家電ロボの液晶画面を、仲間達にそれを知らせるような文字が流れた。 人と家電。作った側と、作られた側の戦いが始まる。 ●怒れる家電 戦地を駆け巡り、一斉に距離を詰めるリベリスタ達。 「最初のターゲットは?」 「あれだ、あれが一番近い」 体から光を放ちながら問う小夜香に、鷲祐が「まずはあれからだ」と手近な位置にいた掃除機へと指を差した。 対する12体のフェーズ1のE・ゴーレム達も、ボスである家電ロボの指示を受けて一斉に攻撃を開始し始める。 「人に捨てられた怒りを、発散するかのようですね……でも、だからといって人を殺すのはまずいと思うんです」 全ては、人を傷つけるための攻撃。その攻撃を耐え凌ぎながら、イスタルテの想いが言葉となってエリューション達に飛んだ。 もちろん、その言葉がエリューション達に届くはずはない。 「言いたいことがあるなら、話し合えばよろしいのデス。大人しくしていただこおー!」 まして、心が望むような会話の通じる相手ですらもない。 エリューション達にとっての『言葉』とは、その力に任せた攻撃であるのだ。彼等にとっては、剣の方がペンよりも強いのだ。 「言葉の通じる相手なら、最初から苦労もしないのだ……。お前達の怒りもわからないでもないが、悪人は法が裁く。故に『化物』よ。今度こそ完全に壊れるがいい」 そんな相手であるがゆえに、完全なる破壊を目指すシビリズ。 『ハカイセヨ』 だが、家電ロボを主とするエリューション達とて、そう簡単に倒せる存在ではない。 全てを凍らせるような冷たい風が、現れたリベリスタ達を拒絶するかのように吹き荒んでいく。 「これは、下手に近付くと危ないな……でも、行かなきゃならない」 運良くその風が届かない位置に立っていた春人ではあるが、仲間の援護をするためには、その攻撃の中へと飛び込む必要があった。 「気にせずに前に出なさい? 私達も援護してあげるから」 そんな彼に対し、そう告げるのは焔だ。 「あ、ありがとうございます」 「私は私の役目を、貴方は貴方の。ただソレだけの話」 礼を述べる春人に、「それぞれの役目を果たすだけだ」と彼女は言う。仲間の傷を癒す事が春人の役目なら、敵を攻撃しつつ仲間を庇うのは自身の役目だと。 「では、ここからが反撃ですね。きちんと掃除して差し上げます」 一通りのE・ゴーレム達の攻撃を掻い潜り、かつ耐え凌いだ後、狙いを掃除機の吸引口に定めたあばたの弾丸が、一直線に掃除機を射抜く。彼女の狙いは、相手の攻撃力を少しでも削ぐ事。 ガキンという鈍い金属音に、あばたは狙い通りの場所を撃ち抜いたと感じるものの、果たして狙い通りに掃除機の吸い込む力は下がったのだろうか? それに対しての答は、永遠に出ない。 「凍結やら麻痺やら面倒だ。私の光にて全てを討ち祓おう」 冷蔵庫や家電ロボの冷気によって凍った小夜香や、電子レンジのマイクロウェーブを受けて動きの取れなくなった心を解き放つ、シビリズの光。 その光によって2人が動きを取り戻した後、 「まずは1体ずつだ、気を抜くなよ」 「わかってるわよ。いつも通り、近付いてぶん殴る!」 狙いを定めた掃除機に対して一気に攻撃を仕掛けたのは、鷲祐と焔だ。 「一気にボロボロになりましたね……これで1体でも倒せるならっ」 さらにはイスタルテの放った弾丸が、掃除機に大きな穴を穿った時、掃除機はそれ以上動かなくなった。 確実に1体ずつを倒す。その作戦を仲間達が遵守して掃除機を倒したのだから、吸引力の低下がどうこうの答は永遠に出ないのである。 「それならば、それで良いんです」 その様子を見て、あばたはそんな言葉を呟く。 結局のところ、相手の攻撃力が下がればという狙いは保険でしかない。もしも討ち漏らした時に、その保険が良い方向に働けば良いだけの話なのだから、彼女は倒せたならばそれで良いとも思うのだ。 「やっぱり皆、凄いな。足を引っ張らないようにだけ、気をつけないと」 自身よりも数歩先の強さを持った、心強い仲間達。春人がそこまで辿り付くのには、まだ時間がかかるだろう。 「回復、頼むぞ」 「ええ、わかってますよ。頑張ります」 であるなら、今は自分の出来る範囲で出来る事をやる。シビリズの言葉に頷き応えた春人に、負けまいと焦るような様子は無い。だが、それでいい。 「やれる事をやる、それが大事なのデス」 仲間を守る事を主眼に置いた心や、 「そうね、攻撃は私達に任せてくれて良いわよ」 敵を倒すために前に出た焔のように、それぞれがそれぞれの役割を持っているのだ。 「なるほど、勉強になるな……」 ならばその役割を果たさんと、春人も全力をもって仲間達の傷を癒しにかかる。 そして互いをフォローしながら戦うリベリスタ達と、家電ロボを司令塔として『人間』を排斥しようとするエリューション達の戦いは、ここから熾烈を極め始めていった。 「飛び込む手間が省けたな!」 2体目の掃除機に吸い寄せられた事を機とし、鷲祐の鋭い突きが掃除機に鋭く幾つかの穴を開けると、 『イッセイコウゲキ』 逆にエリューション側も負けじとその火線を集中させ、リベリスタ達に攻撃だけを考えるような余裕を与えてはくれない。 正しくそれは、一進一退の攻防。 「福音よ、響け」 「頑張ってください、皆さん!」 回復手を勤める小夜香と春人にいたっては、その回復手段をフル回転させて仲間の傷を癒さなければならないほどだ。 「こちらも何時でも動けますから、余力を持ちながらいきましょう」 3人目の回復手であるイスタルテが、まだ十分に余力を残しているところがリベリスタ達にとっては幸運か。 「まったく、数の差とはこうも厄介なものなのか。……ともあれ数を減らさねばな」 その幸運を活かすためには、迅速に敵の数を減らす必要があると考えたシビリズの攻撃が、さらに苛烈さを増していく。 「壊れた家電製品なら、遠慮せず叩いていいのよね? まっ、私の拳じゃソレだけで済まないけど。――行くわよ!」 続いた焔の拳が、壊れた機械を直すように――否、完全にぶち壊すかのように電子レンジへと叩き込まれると、 「その後の掃除は任せてもらいましょうかね」 あばたの弾丸が、その後始末をするかの如く電子レンジのボディを打ち砕いていった。 「さぁ、どんどんいくのデスよ!」 ここから先は、どちらが先に倒れるかの持久戦となる。家電ロボの放つ冷気から小夜香を庇った心の言葉は、仲間達の戦意を高め鼓舞する言葉。 彼女の言葉に応えるかのように、リベリスタ達は傷つきながらも1体、また1体と家電ロボを取り巻く家電を倒していく。 かといって、エリューション達もそう簡単に倒れるような存在ではない。 『吸 引 水 流 破』 それは家電ロボの誇る大技。 「注意して! ただ吹き飛ばされるだけじゃ済まないかもしれないわ!」 仲間達に警戒するように告げた小夜香が、 「この吸引力は強烈なのデス……!」 咄嗟に春人を庇った心が、ブラックホールと呼べるほどの吸引力に一気に家電ロボの近くまで引き込まれると、 「ちっ……無茶苦茶な技だな」 「どこの必殺技かって、感じだね」 何とか吸い込まれずに事無きを得た鷲祐やあばたの眼前で、あられもない方向に吹き飛ぶ2人。 『トツゲキ』 そこへ追撃を家電ロボが指示したのだから、たまらない。 「うわっ……来る!?」 「大丈夫よ、落ち着いて!」 しかし乱れた陣形の中においても、焔は自身の役目を果たし、狙われた春人をしっかりと守りきる。 「少しでも立て直しましょう、このままでは危ないです」 「まったくだな。油断せずに行くぞ」 そして崩れた陣形を少しでも立て直そうというイスタルテや鷲祐の言葉に従い、少しずつだが態勢を整えていくリベリスタ達。 敵は決して油断できる存在ではないものの、傷を負いながらも、陣形を乱されながらも、彼等は冷静な対処でそれを乗り越えていく――。 ●対決! 家電ロボ 「ここまではセオリー通り……後は、アイツだけだ」 どうやら取り巻きのエリューションの中では最も堅牢だったらしい冷蔵庫を討ち果たし、最後に残った家電ロボをシビリズは見やる。 「結構ボロボロだけどね。ここまで来たら、勢いに任せて倒してしまいたいわ」 「ええ、ここからが正念場ですよ」 流石のリベリスタ達も焔が「ボロボロだ」というほどに無傷な者は誰もおらず、家電ロボ率いるエリューション達の攻勢は苛烈だった。 だがここまで来た以上、勝てる見込みがあるならば引くわけには行かない。彼等にとっては小夜香の言う通り、まさしく正念場である。 「もう1度、皆さんに翼を……準備は万端にしなければ、勝てるものも勝てなくなりますし」 再び、仲間達へと小さな翼を施していくイスタルテ。 彼女はクリミナルスタアでありながら、ここまで仲間の傷を癒し、さらには足場周りの対処として翼の加護を施すなど、獅子奮迅ともいえる活躍を見せていた。 「本当に、助かるわ」 「色々と勉強になります」 本職のホーリーメイガスである小夜香や春人がそう評したイスタルテの存在が、戦線の維持に大いに貢献した事は間違いない。 「おしゃべりはそこまでだ。あちらは悠長に待ってくれるような相手ではないぞ」 そんな時、家電ロボの不穏な動きを察知した鷲祐が全員に注意を喚起する。 吸引を始める掃除機の腕。 と同時に水流を放つべく、ドラムを激しく回転させる洗濯機の足。 『超 必 殺 技』 即ちソレは、家電ロボの放つ吸引水流破の合図だ。 「やっぱり必殺技だったんだ……!」 吸い込まれながら、そして吹き飛ばされながら、自身の声が届いたのか『必殺技』と宣言したその一撃に、あばたは「やっぱりそうなのか」という表情を見せる。 しかし家電ロボのこの大技は、取り巻きの家電が存在してこそ最も威力を発揮する技である。 「陣形を乱されても、他に攻撃する仲間がいなければ、あまり意味は無いのよっ!」 その取り巻きが既に全滅した今では、ただの面倒な攻撃に成り下がったのだと焔が言い放ち、炎を纏った拳を叩き込む。 「残念ながら、私は凍らないのデスよ!」 加えて冷蔵庫のボディから放つフリーズウィンドならば、絶対に凍る事のない心が無事である限りは、その氷も対して意味を成さない。 「人であろうと電子であろうと関係ない。さぁ闘争をよこせッ!」 畳み掛けるように攻撃を続けるシビリズが家電ロボと激しく打ち合うと、 「周りを良く見ろ! 敵はここにもいるぞ!」 隙を突くかのように、鷲祐の鋭い突きが家電ロボの横っ腹にいくつもの穴を空ける。 『スイリュウ、スイリュウ!』 『フブキ、フブキ、レイトウ!』 持ち前のタフネスさを武器にそれでも攻撃を続ける家電ロボだが、 「光よ、あれ」 「耐えてください、皆さん!」 小夜香とイスタルテが、その傷を癒し続けるために、決定打となる事はない。 「タイミングが掴めないな……!」 この時、春人は仲間が倒れかけた頃合で歌うつもりだったせいで動くタイミングを見誤ってしまっていたが、それは実戦慣れしていない点が大きいのだろう。 とはいえ、勝利は既に目前。 多少のミスがあったとしても、大勢には殆ど影響を及ぼさない。 「この狙い……外さない!」 そして、あばたの放った弾丸がついに家電ロボの足――洗濯機を、撃ち貫く。 「朽ちろ。果てろ、お前たちは必要とされぬのだ。眠れ……!」 「塵芥と成り果て――永久に刻めッ!!」 バランスを崩して倒れ伏したその巨体に、シビリズと鷲祐の一撃が叩き込まれ、 「使えない、使わない。壊れたから。だから、いらない。――御免ね、本当に悪いのは私達よね。恨まれても仕方がないわ」 そんな言葉と共に、最後の一撃を焔が叩き込む。 「ソレでも、倒すわ。貴方達を倒すのが私の役目だから。だから、お休みなさい」 静かにそう告げ、動きを止める家電ロボに彼女の視線が向いた。 ジジ、ジジ……。 電気系統がショートするような音が、直後に耳に届く。 『オ ヤ ス ミ』 最期にそんな言葉をモニターに流して、家電ロボはその機能を完全に停止した――。 ●反乱の終焉 全てのエリューションは活動を止め、その体は周囲に転がる捨てられた家電と、最早見分けがつかない状態である。 「二度ある事は三度ある、なんて御免だしね」 そんな事を言いながら、他に動き出しそうな家電が無いかを入念にチェックする小夜香。 動き出しそうな家電は見当たらなかったものの、3度目は決してないとは限らない。 「こんな場所は、全国どこにでもありそうですしね……」 とイスタルテが言うように、家電の墓場は様々な場所に存在するのだから。 いつか、またどこかで、捨てられ朽ちていくだけの家電の反乱はきっと発生する事だろう。 「次はあれです、話し合いから始めてみたら、意外と聞いてくれるかもしれませんよ」 果たして、3度目の家電の反乱は、心が望むような対話で済むのだろうか? それは、現れてからでなければわからない――。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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