●豊かなヒゲ ざざ。ざざざざ。 波の奥の海の底。その先から海水を裂いて『ヤツ』が来る。 蓄えられた髭は貫録の証。 人は彼を『ロイヤルフィッシュ』『エンペラーフィッシュ』と呼んでは持て囃した。 『さあ、その名において、魚の意地を!』 『今こそ、リベンジなるぞ。人類め!』 名前詐欺と言う事勿れ、たっぷりとした貫録に多数の魚介類を従えて陸を目指す、その魚の名は――― ●再び立ち上がれ、リベリスタ戦士 「魚が来た。人類代表、リベリスタの皆。出番よ」 モニターには波が鳴っていた。岩場にぶつかって飛沫を上げる。これから戦隊的な何かが始まるOP映像、そんな感じである。 『マンボウがやられたんだぜ!』 『あの癒し系をやっつけるなんて、人類酷い! 助けて、エンペラー!』 「!?」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)の寸劇だろうか、ばっと顔を上げたリベリスタ達にイヴは涼しい顔をしている。何だったんだろう、今の。 モニターを見れば、ヒゲを生やしたぬるりとした魚が海のギャング宜しくニヒルに笑っていた。 その後ろには目がまん丸く、ちょっと不気味なサメが続き、海底に居るはずのぺったりした魚、カレイが居る。 後は貝のようなそれはカキだろうか。ごろごろと必死についてきている。あと、ナマコっぽいのとか。 「見ての通り、おもしろお魚エリューションが大量にやってきてる。やっつけてきて」 「こんな時期に?」 「それなりに旬の魚も混じってるよ」 イヴがウッカリ言ってしまった一言に目の色を変える数人のリベリスタ達。はとイヴは思いだし、落ち着いてとリベリスタ達を宥めてから。 「ただし、旬のものに限ってアンデッド。以前も……そう。前はマンボウエリューション。でも、彼等はエリューション。その肉がどんなモノになっているか解らないわ。そう、言ったのに、以前向かったリベリスタ達は……」 イヴ、言葉を濁らせた。ごくり。 「お腹を壊して戦闘不能者も出でしまった」 先人の猛者に乾杯である。 成る程、倒された挙句食べられてしまったお魚エリューションが前例なら、先程の寸劇のようなドラマがあったりなかったりするかもしれない。 「メインのチョウザメは幸いにアンデッドでは無いけど、……もし“食”に挑むなら、そっちも覚悟して望んできてね」 あれ? チョウザメ達の能力は? なんて聞かずともである。リベリスタ対エリューション、そして、人類と魚類の果てなき戦いに前置きは必要ない。 闘え。お互いの存亡とお腹の無事を賭けて―――― |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:琉木 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年01月31日(木)23:13 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
●リベリスタは学んだ。今回、食える 『闘争アップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)はとても真面目な顔で海辺を眺めていた。 投擲、クーラーボックス、調理器具一式、更には調理方法まで熟読済み。 「今回の為に以前の報告書も熟読して、傾向と対策はばっちりだ。つまり、今日は美味しい魚が食べられる」 「任せてよね。食材買い出しもばっちりだから」 隣の新垣・杏里(BNE004256)も頼もしい。AFをこっそり浜辺の影に置いておいて、これで大丈夫。 準備よりも我慢出来ずにお魚軍団に思いを馳せるのは『夢に見る鳥』カイ・ル・リース(BNE002059)に『大食淑女』ニニギア・ドオレ(BNE001291)、そして『もう本気を出す時じゃない』春津見・小梢(BNE000805)。 「アークも仕事を選べバ、美味しい物食べられたリただデ温泉に入れたリ、本当に良いトコロなのダ。今回は何ト! 高級食材チョウザメ料理をご馳走してくれるそうナ!」 インコの頭のインコ声で、カイは期待にもふっと頬の毛を膨らませる。 「しっかりお仕事して、おもしろお魚エリューションをおいしく胃袋に収めてあげるから、エラを洗ってまっていろですっ」 「エ? 戦闘? そんな事聞いてないのダ!」 旬の魚に目の色を変えたニニギアがぐっと拳を握ればカイはぎょっとして嘴を開けた。 「そうですよ。シーフードカレーを食べる為に今日もアークのお仕事なのです」 やる気があるのか無いのか、さっそく寒さにげんなりし始めている小梢も、それなりにカレーへのやる気を見せる。だって来てしまったものは仕方がないし。 まぁね~と間延びして同意するのはユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)。 「お魚エリューションの侵攻は~人として断固阻止しますけど~、陸に上がるお魚は~大半が誰かのお腹の中行きですからね~」 見事なまでに食べる事で一杯なリベリスタ達。多分唯一多少真面目に準備しているのは梶原 セレナ(BNE004215)。服の下に水着を着ておくとか、電子機器はAFに格納しておくとか、海用の準備はばっちりオッケー。 しかしそんな事を話している時間も惜しい。だって(美味しい)お魚達がリベリスタを待っている! 『いとうさん』伊藤 サン(BNE004012)は魚類に一言物申す何かがあるのか、一人もう浜辺に立っていた。 ●やめて! チョウザメ様のメンタルポイントはもう0よ! チョウザメ様ご一行が 現れた ! 「よーし、頑張って捌きますかね」 義衛郎の手には静岡由来の打刀、『鮪斬』。「マグロは刺身が好きだから」という由来のなっがい短剣、『柳刃』。 「ダッシュでがぶっと行きたい気持ちは抑え、後衛です。お魚っ!」 頑張って後衛で足を止めているニニギアの手には大きな木製しゃもじ、『弁天様の大杓子』。 「カレー。シーフードカレー」 ぽよんとした足取りでチョウザメの真ん前に立った小梢の手には対の巨大カレー皿、その名も『大きなカレー皿』。まんまだが2杯までおかわり自由という優れもの。 「シャァーッ!」 食べる気満々過ぎじゃねーか! と、ツッコミばりの鳴き声(?)で威嚇するチョウザメ様。 そこで飛び出た伊藤。ビっと指立てて一言。 「僕が言いたい事はただ一つ――さんをつけろよデコスケ野郎!!!」 「ギョッ」(言ってねぇよ!) 「魚類の癖に!」 「ギョ!」(言ってないって!) 「……ギョ=ルイ=ノクセーニ(1642~2013)」 「魚ォォォォ!」 危うくチョウザメと伊藤の意味の分からない戦いが始まりそうだったが、そうじゃないよ伊藤さん。 自分で気付いた伊藤はぱぱっと走り寄ってイトヒキアジの真ん前、ブロック開始。 ぴちぴちと揺らすヒゲを見て、高級食材――ではなく、チョウザメの真ん前に向かいながらカイはクッと首を傾げる。 「若いイトヒキアジさんはメスなのカ? もしやヒゲ鞭はご褒美なのダ?」 「いらない! 僕は痛いのが嫌いなんだゆとりだから痛い痛いいたたたこの、SM番長!」 「ビッチン、ビッチン、ハッアーン なのダ?」 「痛い!」 カイの言葉に少し身をくねらせているように見えるイトヒキアジ。メスと見抜かれ調子に乗ってそのヒゲは伊藤さんを殴打、殴打! 「……イトヒキアジは中毒を起こす可能性があるからね」 そんな仲間達を見ながら、義衛郎はアオザメに向き合った。チョウザメより余程凶悪な面構えをしているように見える。 「シャァァッ」 貴様が俺の相手かァと血気盛んに牙を剥き出すアオザメを、義衛郎、華麗にスルー。 「いえ、ババガレイからです」 「ギョー!」 ひらりと跳躍するとカレイに一撃。ぬめりの所為で大きなダメージは行かなかったものの、まぁまぁの手応え。トン、と地に着地すると目の前のアオザメが体当たり。 「ぐふっ!?」 「シャアーッ!」 カレイさんに何すんだ。というか無視すんな! ――気持ちはこんな所だろうか。早速カッとなって義衛郎に狙いを定めるアオザメ君。 「あら~そっちばかり見てていいんですか~?」 その隙にふわりと魚の側面に翼をはためかし回り込むユーフォリア。手にした二つのチャクラムによる強襲は再びカレイを、そして守るように立ちはだかるアオザメやアジまで襲う。酷い、痛い! とばかりに震えるカレイさん。でも負けない! ぴちっと跳ねればぽわぽわとお魚達を優しく包み込む。元気満タン、動きのキレが良くなった魚達。 さて、所で。 「本当は君、鮫じゃないっテ知ってたカ?」 カイの言葉にぴくっと引き攣るチョウザメの顔。 「チョウザメってプランクトンしか食べないらしいですね~。どちらかというとアオザメの方が暴れ者で王様っぽい気もしますが、どうなのでしょうか~」 後ろの方からセレナも畳み掛ける。 ぶるぶるするチョウザメ様。 『言うな……言うなよ。煩いぞ人類――――ッ!!』 と、チョウザメが言ったかは定かでは無いが、確実に怒ったようだ。めいっぱい怒っている。 此れは、アレだ。 コンプレックスだからこそ威張るしか無い、そんな哀れな姿に見えなくも無い。 『崇めよ、エンペラーとして! 湛えよ、ロイヤルな感じに!』 カッとチョウザメの眼光がカイに小梢を撃ち抜いた。 「待ってライス3杯はいけるカイさんの匂いでパーフェクトなガードが出来るのにやる気削がないでくださいよ、来るんじゃなかった」 「インコ食べちゃダメなのダ!」 眼光の鋭さに負けた訳では無いものの、鈍る二人組。チョウザメめっちゃドヤ顔。 けれど嗚呼無情。カイが神の光を放って二人とも無事復帰。チョウザメ、ちょっとしょんぼり。 「うおぉー! 魚ォー!」 そしてお熱い男、伊藤が叫ぶ。驚異的なまでに集中を高めてド鉄拳MAX火力を今か今かと拳に溜めるが、 「ギョギョッ! こいつァくせぇ――ッ、魚みてぇな臭いがプンプンしやがるぜぇーッ!」 「実際群がられてますよ、伊藤さん。でもそれはカキです! ……アンデッドだから、食べるには危ないですけどね」 義衛郎がちらっと見て、視線を逸らした。伊藤には鉄砲玉ことカキの集団が食い付いているが、まあ多分後で纏めて焼いてくれるだろう。 見ればチョウザメに睨まれて即回復していた小梢にオーラが立ち上っている。あれは、カレーだ。 カレーの香りで全身にパーフェクトなガードを纏うという小梢の特殊能力その1。さりげなくカイをくんかくんかしている。 「やっぱり気にしてたんですね~」 カキに挟まれても痛くないだけの守りを広げながら、セレナはのほほんとチョウザメを見る。悔しそうなのも見逃さない。 同じく杏里も守護結界の手を広げてみるが、セレナの手腕には少し届かない。牽制や支援と割り切るつもりだったけれど首を傾げる杏里に、セレナは任せてと微笑んで見せた。 「カレイを先に落とすの、頼みますね」 「うん! に、してもー敵は海人だよね。ちょっと違うかもしれないけど、そんな感じだよね?」 「うみんちゅは漁師の意味ではありませんでしたっけ?」 報告書ついでにお魚本も熟読した義衛郎、やっぱりこっそり首を傾げる。 ある意味海の生き物擬人化に見えなくも無いけれど。 しかし一つ、一匹だけ。 「………」 カキ達が伊藤に果敢に攻めてる後ろでナマコは一匹、ぷるぷるしていた。なんだか放置されている感じにも見える。 構ってあげてよ、リベリスタ! ●憤怒、無気力、また怒り! 『良いか、人類よ。我らは怒りに満ちている。そう、―――今こそ憤怒せよ!』 ざしゃっと砂を蹴散らして、チョウザメが鎌首を擡げた。刹那顔だけちょっぴり出して、安全圏から水を飛ばす海のお友達。 義衛郎の投擲もこれでは届くまい。そう容易く友達は喰わせないよ! 刹那、伊藤がキリっと仲間へ振り返る。 拳を天高く掲げ! 今こそー フィジカル! メンタル! テクニック! キャパシティ! 「四つの力を今合わせ、合言葉は『フェイト使用』!」 『いいですともー!』 今の声、誰!? なんて気にしちゃいけない。まるごと業炎拳……の前に、全体射撃雨あられ。だってカキにまだ食い付かれてるから! 撃ち抜かれた衝撃にようやくキュビエ器官で反撃に出たナマコ。そう、怒れ、怒るんだ海の仲間達―― 「やる気ださなくてもいいんだよ……うん、『もう本気を出す時じゃない』」 『!!?』 小梢がだるっと眼鏡を押し上げた。放たれる無気力オーラ。なんてやるきない。だるい。かえりたい。小梢の特殊能力その2が発動した。 『…………』 海の友達までげんなりする。そこにすかさず、義衛郎。 「掛かったな、馬鹿め!」 食材の提供、ありがとう。くったりやる気を無くしたイカが捕獲されました。 『コッチを見ろって言ってんだろォ-!』 「ぐふっ!?」 義衛郎、アオザメからタックル二発目。吹き飛んだが、イカはしっかり手放さない。 そんなアオザメへユーフォリアの斬撃が再び強襲。カレイもアジも巻き込んで、しっかり真面目にユーフォリアはお仕事遊撃。 「はいはい、皆さん~。今威力も上げますからね~早く終わらせてしまいましょう~」 セレナの手が今度は皆の攻撃動作を底上げする。もう、何も怖くない。 とはいえ、セレナは彼らを食べる気はあまりない。一応エリューションなのだから。 「皇帝は誰にも渡さないのダ。高級食材なのダ!」 ――という思考のリベリスタは少ないようで、チョウザメの前でカイは次の一撃の為に集中する。 「頭からしっぽまデ、そして骨まデ!」 「そうよ、本気で倒すわよ! 海の王者だろうと、陸地に来たのは失敗だったわね!」 呼応する杏里も集中一つ。カレイに一撃確実に当てる為。 「早くアタタメサセロー!」 そんな中伊藤の一斉射撃もう一度。再びナマコが反撃しているが、あまり誰にも当たらずぷるぷるしている。もう少し動ける身体だったら良かったのに! 「早くチョウザメ様に行くわよ、次よ次っ」 「ギョー!!」 物凄い気迫で撃たれたニニギアの呪言。集中してる人達を差し置いて浄化の炎は一瞬でカレイを撃ち抜いた。跳ねる余韻も無く海面に漂うカレイの亡骸。 「ゲシャァーッ!」 チョウザメも負けじと憤怒――いや、牙を剥き出すと目の前のカイを頭からがっぷり咬んだ。 「カイさん、食べられてる」 「助けテ! 助けてなのダ!」 じたばたしてずぽんと頭を引き抜いたカイはものの見事に血まみれインコヘッドになり、チョウザメ得意げ顔。けれどその流血もニニギアがふっと息を吹きかければ治ってしまう。 「もう少し待って下さいね。次はアジで……ぐふっ!」 アオザメの目の前に戻ってきた義衛郎はやっぱりアオザメに体当たりされていた。 「うーん……まあ、大丈夫そうですね。私もアジに回りましょうか」 ニニギアの息吹に義衛郎も包まれていて、膝をつくまでには至らない。セレナは弓を引き絞りアジを撃つ。海に浮かんでいるカレイの力で今ひとつ掠めていくが、それでもアジもふらふらと高度を落としていて、そこに必殺、 「こんがりアルデンテー!」 何度も叩かれて涙目になりそうだった伊藤の炎の拳。外はパリッと、中はふわっと! 「ギ、ギョ……!」 ふっくらこんがり、アジも浜辺の上に。残るはサメ二匹、アオザメにチョウザメ。カキは一斉射撃でもう転がっているし、ナマコは――無視され続けている感じだが、自滅を続けてぷるぷるしている。構ってあげて! 「集中した一発、当たれー!」 杏里が魔法銃をぶっ放せば、今度こそアオザメに命中した。遠くから当てられて目に見えてイラっとするアオザメに、ちょっぴりチョウザメの生臭さを漂わせながらカイも続けて怒りのジャスティスキャノン。 「シャァッ!」 「怒ったのダ?」 「シャァーッ!」 苛立たしげに尾びれで叩いた砂が義衛郎に降りかかる。ダメージは無いが、八つ当たりされている気分になる。 元から凶暴なアオザメにカイの狙いが通用したのかどうかイマイチ解りにくが、カイの方向を向いてガチガチと歯を鳴らしているのを見れば、怒らせる事には成功したと言えるだろう。ただ――目の前立ちはだかっているのは義衛郎。 「……やっぱりオレが体当たりされるんでしょうね」 何度も体当たりされ、砂まみれになった義衛郎が少しの哀愁と共にそっと呟く。 カレイが抜けた穴からアオザメ、チョウザメを相変わらず纏めて穿つのはユーフォリアのチャクラム。 羽ばたきながら確実に体力を削るそのチャクラムは、自滅を繰り返すナマコにもさりげなく当たっている。一応まだ生き残ってるナマコ君へと走ってきた伊藤に、最後の気力と振りまかれたキュビエ器官が今度こそ絡みついた。外敵の動きを封じるキュビエ器官は、粘液の絡んだ細い糸から成る網のような形状をしているもの。身体に纏わり付くとちょっと気持ち悪い。 「ニニギアねぇさーん!」 「はいはーい。ナマコはおいしそうじゃないのが残念ですね。アンデッドですしっ」 これもニニギアの息吹でさらっと浄化。伊藤、復活。さすがねえさん! 『私の存在価値って一体……』 まるでそう言うように自滅して崩れ落ちるナマコ。 セレナもノリに乗るように「えいっ」と一発、アオザメに矢を放てば、遂に残るはチョウザメ様ただ一匹。 「さあ最後になりましたね。最後に残ったチョウザメ様を、みんなでめっちめっちにしてしまうというすんぽーさ」 見渡せば一匹になってしまったチョウザメ様。ぐぬぬっと牙を噛み合わせる前で小梢がゆるゆると宣戦布告―――いや、フルボッコ宣言。 しかし! 負けてはならない戦いがある。逃げてはならない戦いがある。 『俺は……俺は、皇帝様なんだァ―――!!』 と、叫んだかどうだか知らないが、ゲシャアアっと叫び、最後まで一匹立ち向かったチョウザメ様の勇姿をきっとリベリスタ達は覚えてくれるだろう。 ―――覚えておいてあげてね! ●死屍累々 返事が無い。魚達は屍のようだ。 「あ、イトヒキアジは元々、食中毒になることがあるらしいのでやめておいた方がいいと思いますよ」 義衛郎も行っていたが、セレナが念の為注意を口にした。 「うん、あとアンデッドも止めておこう」 義衛郎もアンデッド系のカキや、空しく死んでいったナマコとかを海に還していく。 「塩焼き、キャビアっ、からあげっ、カルパッチョッ! 伊藤さんっ、焼いて焼いて! ほどよく焼いて!」 「ねぇさんの為ならエンヤコラー!」 ニニギアも伊藤もレッツ3分クッキング! 「シーフードカレー。これが楽しみで来たんだもん」 「我輩、お刺身が欲しいのダ。家族にお持ち帰り~♪」 義衛郎がイカもカレーに投入する中、カイはいそいそとラップに肉の余りを包む。ニニギアもイヴちゃんや恋人の為にとそれに便乗。 「チャンプルーも作るよー。ビールもあるけど、いるー?」 杏里は持参してきたガスコンロにフライパンに、豆腐、野菜にゴーヤを炒めて、醤油と塩胡椒で味付けして、最後に卵。 少し見つめて迷ったけれど、 「食べちゃえ食べちゃえ、少しなら大丈夫さー!」 それじゃ皆していただきます。 本日の報酬品。 チョウザメの皮の酢の物。軟骨唐揚げ。ステーキ。スープ。フライ。寿司。イカ入りシーフードカレー。 余ったお肉は熟成させて、白子は鍋。 アオザメはソテーに、はんぺん、チャンプルー。 その他諸々――― 「うん、旨い。苦労した甲斐もあるというものだなあ」 義衛郎もしみじみ呟けば、お魚軍団はリベリスタの胃袋へ収まっていく。 エリューションを食べる危険性がどうこうなんて全く気にしない面々に、セレナは肩を竦めて、ユーフォリアもこれがお約束とばかりに頷いている。 「せっかくこんな寒いとこまで来たんだからね」 カレーを頬張った小梢の満足そうな顔。 おいしいを、ありがとう。 人類と魚類の戦い第二幕は、潮の香りとカレーの匂いと一緒に、一件落着。 ごちそうさまでした! |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|