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女湯防衛戦

●とにかく頑張って下さい!
「温泉に行って頂けませんか?」
 屋外でのブリーフィングは、『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)のその一言から始まった。
「ある雪山に知る人ぞ知る幻の温泉宿があるのですが、今回はそこの防衛に向かって頂きたいんです」
 和泉の説明によると、そこは美容効果の非常に高い泉質の天然温泉とのことで『入るとたちまちお肌がすべすべに!』だとか『肌年齢が十は若返る!』などと言われているらしい。
 アイドルや女優などの美を追究する女性達にはもちろん、海外から高貴な身分の方々が、その温泉目当てにわざわざ来日することもあるほどだという。
 そして――その温泉は美容効果目当ての層とは別に、一部の全く異なる層にとっても有名所となっていた。
「この温泉は、ごく一部の方達からは『難攻不落』などと呼ばれています」
 美を追究する女性達の訪れる温泉。そんな温泉の効能ではなく、その美しい女性達を求めてやってくる者達がいる――そう、“覗き”を目的とした不埒者だ。
「温泉宿の覗き対策は恐ろしいほどに完璧でした。ですがそれが、逆にそういった方々の感心を引いてしまい『なんとしてでも突破して、覗いてやる』と幾人もの男性がその温泉を訪れるようになったのです。しかしそれでも、覗き目的の方達の欲望が満たされたことは、これまで一度もありませんでした」
 そんな敗れ去った覗き魔達の『女体視たいぜ……!』という強い煩悩は消えることなくその場に留まり、やがて実体化してE・フォースとなった――。
「E・フォース達が現れた以上は皆さんの出番です。女性は囮に、男性は雪玉飛び交う地雷原での待ち伏せ作戦となりますが、とにかくよろしくお願いします!」

 囮……!?
 雪玉飛び交う地雷原……!?

 驚愕の表情を浮かべ和泉に詰め寄ろうとしたリベリスタ達だったが、それは近づいてきたヘリコプターの発するバタバタという騒音に邪魔される。
「あ、迎えのヘリが到着したようですね! あとはこの資料を読んで、ヘリの中で話し合ってください! 成功を祈ります!」
 問答無用で資料を押しつけると、和泉は笑顔でリベリスタ達を送り出したのだった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:外河家々  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年01月31日(木)23:25
こんにちは、外河家々です。
今回は難易度に沿った、緩い依頼となります。
楽しんで頂けると幸いです。


●成功条件
全エリューションの殲滅。


●状況
温泉宿自体は貸し切りとなっているため、一般人の被害については考慮の必要はありません。
時刻は夜で雪がしとしとと降っていますが、風情を感じる程度で視界を遮るといったこともなさそうです。


●戦場(男性+性別不明の方々)
温泉は女性専用なので、温泉裏手の雪原にて待ち受けることとなります。温泉までは距離にして100m程度。明かりは現地に用意されているので心配無用です。
幾多の覗き魔との戦いの中で覗き対策は進化の一途を辿り、その装置はなかなか過激なものとなっています。

・地雷原
戦場一帯が地雷原です。
もちろん殺傷能力は皆無ですが、踏むと派手に吹っ飛びます。あと、髪とかも焦げたりするかも知れません。

・雪玉マシーン
ピッチングマシーンを改造したもので、赤外線センサーで反応した相手に向けて雪玉を放ちます。地面に伏せていれば赤外線センサーを逃れることが出来そうです。上空に逃れようとしても、高度を確保する前に打ち落とされる恐れあり。

どちらも解除にはかなりの時間を要するため、停止させることは諦めたほうが良いと思われます。


●戦場(女性陣)
エリューション達には高度な女体感知能力(エロアンテナ)があり、温泉宿に入浴者がいないと姿を現しません。
よって、女性陣には囮を兼ねて温泉を楽しんでもらうことになります。
温泉は十分にくつろげる広さで、高さ3m程度の木板で四方を囲まれています。

待ち伏せ組が突破されなければ、温泉を楽しんでいるだけで依頼達成となりますが、突破された場合はエリューション達と戦闘となりますのでいろいろとご注意下さい。


●エネミーデータ
不埒者×20体(E・フォース フェイズ1)
とにかく、待ち伏せ組の防衛なんざシカトで一直線に温泉を目指します。
待ち伏せ組が突破されて温泉に到着すると、なんかけしからん攻撃(部位狙い)を仕掛けるかも。
雑魚っぽい感じではありますが、彼等は浮いている&思念体であるため、地雷原と雪玉マシーンには引っ掛かりません。


●その他
参加者が全て女性だった場合は戦場は温泉内のみです。

依頼に女性が一人もいない場合、誰かが女装して餌となる(敵のエロアンテナは強力なので、騙し通すくらいの容姿は必要でしょう)、もしくは男性陣全員で敵を求めて雪山の中で当てもなくE・フォースを探索するという過酷な展開が待っています。
雪山捜索の場合、雪はやがて猛吹雪へと変わるので危険度高です。


ではでは、皆様からのプレイングを心よりお待ちしております。

参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
デュランダル
新城・拓真(BNE000644)
デュランダル
楠神 風斗(BNE001434)
ソードミラージュ
ユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)
覇界闘士
シャルローネ・アクリアノーツ・メイフィールド(BNE002710)
ナイトクリーク
六・七(BNE003009)
プロアデプト
御厨 麻奈(BNE003642)
★MVP
レイザータクト
文珠四郎 寿々貴(BNE003936)
ダークナイト
亞門 一戒(BNE004219)


 白銀世界の中心に立ち上る湯気。降り注ぐ雪が、湯の中に舞い落ち溶けていく。
 それは息をのむような景観、そして見事な温泉だった――。
「こんな温泉にタダで入れるなんて、ラッキーですね~」
 響き渡る間延びした声。ユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)だ。
『温泉には裸で入るのが常識』と聞いたとか聞いてないとか――とにかく、ユーフォリアに体を隠す気はないようで。豊満なその体を、惜しげもなく披露していた。
 普段から体のラインの出る服を身に着けている彼女だが、その服までもが取り払われるとこんなに艶めかしさを増すものなのか。『胸がスイカ』という表現に偽りなし――といったところであろう。
「少し心苦しいけど……これはもう、全力で堪能するしか……!」
 次いで、目をキラキラと輝かせながら『本屋』六・七(BNE003009)がそう言い放つ。
 寒空の中敵を待ち受ける仲間のことを思うと少々気が咎めるが、この景色を見た今となっては自重出来ようはずもない。おまけに泉質最高と来れば、尚更だ。
 彼女の体には胸半分から両足の付け根まで、ギリギリ隠れるくらいにタオルが巻かれている。
 故に全裸ではないものの『脱ぐとすごい』彼女は、完全に脱いでいない現時点でも既に十分すごかった。
「なに、折角の温泉だ。私達は迎撃班を信じて湯あみを楽しめばいいのだ。仲間を信じ、リラックスして迎撃成功の一報を待とうではないか」
 彼女も温泉では裸こそが正装だと教え込まれたクチか、それとも待ち伏せ班の防衛成功を信じているからなのか――ユーフォリアと同じく体を隠す気など更々無いという雰囲気でそう主張する『鋼鉄の信念』シャルローネ・アクリアノーツ・メイフィールド(BNE002710)。
 一流のアスリートのように鍛え抜かれた筋肉が、一部の人達にはたまらんであろう美しいラインを造りだしていた。
「せやせや、最近ハードなお仕事続いてたしここらで命の洗濯をせなあかん。ラッキースケベ改め楠神はんらに防衛は任せて、うちら女子は全力で温泉を楽しむんや」
 うんうんと頷く『他力本願』御厨 麻奈(BNE003642)は年齢に似つかわしくないけしからんスタイルの上に、褐色肌に良く映える白のビキニを纏っていた。
 申し訳程度の布地面積のものとはいえ、麻奈が水着を着用しているのはここが公共スペースだからということだけが理由ではない。彼女は、ハーレム王によるラッキースケベの犠牲者の一人なのだ。
 まるでホーミング弾のように正確に追尾し、スカートの中へと頭を突っ込ませて来る恐ろしいまでのハーレム力。警戒すること自体がフラグになってしまうような気がしないでもないが、とにかく警戒せずにはいられないのだ。
「いやぁ本当に、素敵! うふふ、えへへへへ」
 そしてそんな仲間達の様子を、至福の表情で見つめるのが『息抜きの合間に人生を』文珠四郎 寿々貴(BNE003936)である。
『どっちもイケる』寿々貴にとって、この場はまさに“桃源郷”。
 彼女の脳は、仲間達のあわれもない姿を瞬間記憶として刻み込み続けていた。
 もちろん、記憶開始は脱衣シーンから。しゅるしゅるという衣擦れの音と、一枚ずつ落ちていく衣服達。そして、音に合わせて露わになっていく乙女達の肌。
 寿々貴は、そんな情緒溢れる光景を見逃すようなヘマは犯さない。
 ちなみに彼女も裸族の一員。そしてその低めの身長とは裏腹に、立派な巨乳の持ち主でもあった。

 そんなこんなでまさに美女そろい踏み。寿々貴も納得のこの光景であれば、囮としては文句なしだといえよう。
 そんな訳で、この場から離れること一00メートル程の場所では、そろそろ戦いの火蓋が切って落とされそうな、そうでもないような――そんな案配になっていた。


「やあ、寒い。やはり雪山は寒いね」
 もう少し厚着をしてくるべきだったか……と、着物の前を閉じながら『鈍色』亞門 一戒(BNE004219)は多少の後悔をみせる。
 それでも雪山が初めてだという一戒は、周囲の雪景色を興味深そうに観察していた。
 そしてそんな彼女の前には、二人の男がいる。
「行きましょう、新城さん。オレたちの戦場へ……護るべきものを護りきるためにっ!」
「あぁ、行こう。楠神、今の俺達を止められる者は何処にも居ない……!」
『折れぬ剣《デュランダル》』楠神 N♂H 風斗(BNE001434)、そして『誰が為の力』新城・拓真(BNE000644)だ。
 彼等は燃えに燃えているらしく、落ちてくる雪がその体に触れるより先に、放たれる闘気の熱を浴び溶けてしまうほどである。

「……女湯防衛線か。禁止事をやりたくなるのは人の性だとはいうが、ルールはルール。道徳的な問題もある故に、悪いが止めさせて貰う」
 という拓真と、
「護るべきものがあるとき、人はどこまでも強くなれる……。今、オレの背後には、無防備な女性たちがいる……戦士として、男として、護りきらなければ!」
 という風斗。二人の熱き心は今、重なり合い一つとなっていた。
 二人は視線を交錯させて頷き合う。そして握手を交わそうとしたその時……。
 そんな二人に、一戒が問いかけた。

「つかぬことを聞くが……二人はもしかして、恋仲だったりするのだろうか……?」

 ピキーンと――。
 暑苦しい場の空気が一瞬にして凍り付いた。交わりかけていた手の動きも止まる。
「風斗は先日の依頼では見事な男色ぶりだったと聞くが、拓真も同様の嗜好を持ち合わせているのだろうか?」
 冷え切った場の空気など気にする様子もなく、一戒は言葉を続ける。
 若干引き攣り気味の顔で「え、お前そうなの……?」という視線を送る拓真に、風斗は慌ててブンブンと首を振った。
「亞門サン……? イッタイナニヲ……?」
 ギギギッと首を一戒に向け、風斗がカタコトな発音でそう尋ねた。
「すまんな、気に触ったならば謝ろう。私はどうにも色恋沙汰に疎いようでな。もしかして、私はお邪魔だったのではないかと心配に――」
「良いですか亞門さん……? そ ん な 事 実 は 存 在 し ま せ ん !」
 凄まじい速度で近づくと、、一戒の両肩を掴み真剣な表情で弁明する風斗。
「……安心して欲しい。私はこれでも同姓の恋愛に偏見はない故――」
「存 在 し ま せ ん ! !」
「……そうか、私の思い過ごしだったようだ」
「分かって貰えて嬉しいです!」
 風斗の剣幕に、しぶしぶという形ではあるものの一戒は納得の意を示した。
「……さて、不埒者共のお出ましのようだ。握手はこの戦いを終えた後に改めてだな」
 拓真が遠くに、猛烈なスピードで向かってくる集団を視認し仲間達へと伝えた。
「掛かって来るが良い……この白と黒の双璧を越えられると思うならば」
 幻想纏いより取り出した“Broken Justice”“ 《届き得ぬ理想》”を、拓真は左右の手に構える。
「新城さん、今日はオレと貴方でダブルデュランダルです!(キリッ)」
 風斗もそう言って、静かに愛剣“デュランダル”を握りしめた。
 二人が前衛に立ち、一戒は援護に回るべく後衛へ。“天狗唐傘”を取り出しながら、一戒は並び立つ二人を再度観察する。
 その視線には、やっぱりどこかほもほもしいんだけれどもなぁ……と、彼女の気持ちを代弁するかのような色が浮かんでいた。



「あー、始まったみたいやねー……」
 湯の中でくつろぎながら、麻奈が気の抜けた声でそう呟いた。雪原の方向からは、先程から爆発音や戦闘音やらが響いている。
「女体が見たいなら、はじめから混浴の温泉に行ったりすればいいんじゃないかな……。あれか、女の子のキャーえっちーとかそういう反応が見たいのか……?」
 どうなの? と、足湯を楽しみつつも不思議そうな表情を浮かべる七。なにがエリューション達をそこまで突き動かすというのか――。男性リベリスタの皆様、そこんとこどうなの??
「どのような動機があるにせよ、覗きなどという姑息な手段を取るのが許せん。男子たるもの、正々堂々とすべきなのだ」
 正々堂々としていれば裸を見ても許されるのかというと、世間的には決して許されないと思われるが、シャルローネにとっての重要なポイントはそこのようだ。湯に浸かりながら、日本男児の有るべき姿を説くシャルローネ。
 一方のユーフォリアと寿々貴は、ほろ酔い気分で雪見酒を楽しんでいる。
「温泉も気持ちいいですし~、お酒も美味しいですし~、風景も綺麗ですね~」
 ユーフォリアの隣に置かれた盆には、すでに空けられた数本の徳利が並んでいた。
 温泉、お酒――そして風景(美女達の裸体)。ユーフォリアからお酒を分けて貰った寿々貴も、全く同意見だとばかりにこの状況を満喫している。
 温泉外の喧しい様子とは対称的に、温泉内にはのんびりとした時間が流れていた――。



 温泉目掛けて一心不乱に爆走する二十体の『不埒者』達。そんな彼等へと、上空から大量の弾丸が降り注ぐ。
「上空からならば、視認する事もまた容易い。避け切れるか、この刹那の弾雨を……!」
 弾丸は、拓真をねらい打つように飛んでくる雪玉もろとも複数の不埒者達を次々に貫いた。
 地雷の爆発を利用し上空へ舞い上がった拓真は、《ハイバランサー》により戦闘体勢を維持したまま空中を駆け抜け、死へと誘う鉛弾の雨を降らせる。
「……悪いが加減をする心算は毛頭ない、消え散るが良い!」
 エリューション達を殲滅していくその姿は、まさにクール&スタイリッシュ。
 そしてそんな拓真のクール&スタイリッシュさが伝染したかのように、風斗も負けじとスタイリッシュな攻撃を披露する。
(これだ! これこそがオレの本来あるべき姿なんだ! もう何も怖くない!)
 拓真の生み出した真空の刃に切り裂かれ、不埒者が断末魔の声を上げた。
(オレの横には新城拓真さんがいる! 彼と肩を並べて戦うからには、そのスタイリッシュ補正がオレにもかかり、シリアスな戦闘描写が約束されるのだ!!)
 飛び交う雪玉を紙一重で躱し、一気に敵の懐まで飛び込む。
「ラッキースケベ? そんなものはもう起きない! 起こさせない! ……そしてオレはこの依頼を完遂してみせ、去年被った不名誉な風評を打ち払う!」
 その想いに呼応するかのように風斗の愛剣が輝きを増し、自身の風評もろともエリューションを打ち払うかの如く、敵を真っ二つに両断した。
 戦闘が終わったら、ぶらりと雪山を出歩いてみようか――そんなことを考えながら、一戒は暗黒の瘴気を不埒者達へと撃ち込んでいく。
 意気込んで戦闘する男二人とは対称的に、一戒はマイペースに戦闘をこなしていた。もちろん、戦闘が苦手だという彼女なりに真剣に戦っている。というか、男二人が無駄に暑苦しいだけだ。
(温泉宿に、筆と墨はないだろうか。この景色、描いてみるのも良さそうだ……)
 そんな考えが浮かんできて、それはなんとも楽しそうだと一戒の口元に笑みが浮かんだ。

 さて――そんなこんなで熱い戦いの末、リベリスタ達は不埒者の実に三分の二を排除することに成功した。残る三分の一には突破を許してしまったとはいえ、三人という防衛人数を考えれば十分過ぎる結果といえよう。
「流石だな、折れぬ剣《デュランダル》……お前は、やはり俺の思った通りの男だった」
「ありがとう新城さん。貴方がいなければ、こうは戦えなかった……」
 戦い抜いた互いを称え、握手を交わそうとする二人のデュランダル。そしてその様子を興味深そうに見守る一戒。
 今度こそ、美しい握手が交わされようとした瞬間――。一歩を踏み出した風斗の足下からカチッとスイッチの入る音が響く。そして閃光と共に衝撃が沸き上がり、二人を包み込んだ。
 この後の展開を想像し「運命からは逃れられないのか……!」と風斗は絶望したように両手で顔を覆う。だが、拓真の行動は素早かった。即座に自身の剣を地面へ突き刺し固定すると、今まさに吹き飛ばされようかという風斗へともう片方の手を伸ばしたのだ。
「掴まれ! 折れぬ剣!!」
「し……新城さんっ……!!」
 差し伸べられた手を取ろうと、風斗も懸命に手を伸ばした。あと三センチ。二センチ。一センチ。そして、二人の手が重なりかけて――。

「……N♂H(ないす☆ほもーれむ)」

 ピキーンと――。
 再び場が凍り付いた。
 反射的に、拓真は届きかけていた手を引いてしまう。
「新城さ――うわぁあああああぁぁぁぁぁぁ…………!」
 そのまま、風斗は壮大な爆発音と共に遙か彼方へと飛ばされていった――。



 両の手に持つチャクラムが、幻影と共に侵入者共を切り刻んでいく。
「見られても~、減るものじゃないですから~」
 胸元を強調するような仕草で挑発し「うひょー!!」と言わんばかりに目を血走らせながら伸ばしてくる有象無象の腕を華麗にすり抜け、そして切り裂く。
 見せつけるように妖艶に――生まれたままの姿にも関わらず、ユーフォリアは躊躇することなく得意の高速戦闘を披露していった。
「あんじょうよろしゅうしたってやー……」
 そんなユーフォリアとは対称的に、湯の中でとろんとした表情のまま、なんとも投げやりな戦闘指揮を繰り出すのは麻奈だ。
 時々思い出したように、湯から腕を出し気糸を飛ばし敵の一番弱い部分――すなわち股間部分を狙い撃つ(ピンポイントは、部位狙いでも命中率が低下しないのだ!)。その緩い表情とは裏腹に、麻奈はなんともえげつない攻撃を繰り出していた。
 温泉に浸かったまま、仲間達へとおざなりな支援を送るのは寿々貴も同じ。彼女は、今この瞬間を記憶するのに忙しいのだからしょうがない。
 裸、もしくはほぼ裸で戦う乙女達の、揺れ動くあんなところやこんなところやらを全力で脳内へと刻みつける使命があるのだから。それより大切なことなど、あろうものか。
 一応二種のドクトリンを切らさないようにはしているし、適度に回復を施しているので問題ないのだ。問題ないはず、多分。
 とにかく、リベリスタ達は温泉内に侵入した不埒者達を次々と撃破していった。
『π乙! 大きなπ乙!!』と腕をわきわきとさせながらにじり寄って来るE・フォース達に怯えを見せながらも、七は勇気を振り絞り敵の中心へと飛び込んでいく。そして両手の鉄爪“毒”“薬”で次々で不埒者達を切り裂いた。
 軽やかに、舞い踊るようなステップを踏む七。その華麗な動きに、彼女の体に巻かれたタオルが徐々に緩んでいっているようにも見えるが、果たして……。
 とはいえ、待ち伏せ班が頑張った甲斐もあり敵は残り一体、なんとか戦闘終了までは持ちそうだ。そう、戦闘終了までは。
「E・フォース化して尚、このような下劣な行為に及ぶとは……。覗きなどという男らしくない真似をする輩の煩悩、この私が滅してくれる!」
 そしてその最後の一体も、シャルローネの放った煩悩を打ち砕く神聖な力を纏った一撃により、見事叩き潰されたのだった――。

 侵入者を排除し、男子禁制の温泉内には平和が戻ってきた。
 宿の女将から「お食事の準備が出来ました」と声を掛けられ、リベリスタ達が温泉から上がろうとしたそのとき――。
「うわああああああ……!」と声を上げながら、上空から白い影が落ちて来た。



「堂々と入ってくるとは、さすがにハーレム王と呼ばれるだけのことはある」
 引きつった顔に苦笑を浮かべる風斗に対し、シャルローネが心底感心したように声を掛けた。もちろん全裸のままで。
「ここは、きゃ~って可愛い声を上げるのが礼儀ですかね~?」
 男子の侵入者にも体を隠すことなくユーフォリアが放った言葉に、風斗は困ったように流れ出る冷や汗を手の中の白い布で拭いた。
 そして気付く。なんで自分はこんな白い布を手にしているのだろう……? と。落下中に必死で手を伸ばし、なにかを掴んだ記憶はあるのだが……と。
 広げてみると、それはどう見ても女性用ビキニのトップ部分。恐る恐る周囲を見渡すと、胸を両手で隠し、代わりに溢れ出る殺意を隠そうともしない麻奈が視界に映った。風斗の顔に、もはや拭いきれないほどの冷や汗が浮かぶ。
 そしてこれでもかというタイミングで、戦闘で緩みかけていた七のタオルが地面へと落ちた。
「きゃー!!」
 可愛らしい声を上げ、体を隠すように地面へと座り込む七。
(今日こそ、スタイリッシュに悪評を打ち払うはずがなぜこんなことに……!)
 ――絶望の淵で頭を抱える風斗の無防備な下腹部へ、麻奈の手からピンポイントが容赦なく撃ち込まれた(ピンポイントは、部位狙いでも命中率が低下しないのだ!)。

「すまない、止められなかった」
 戻ってきた一戒が顔を出し詫びを入れると、仲間達から「気にするな」だとか「外での防衛お疲れ様」と労いの声が返ってきた。
「ご飯食べたら、今度はキミも一緒に入ればいいよっ」
 との誘いに頷きつつ一戒が温泉内を見渡すと、水面に白い影が浮かんでいる。
「やー、乙女の園に踏み入ったんやし当然やんな?」
 水死体のように温泉に浮かぶ風斗へと麻奈はそう言い放ち、温泉を出て行く。残りの女性陣も後へと続き、温泉から出て行った。
 そうして女性陣の居なくなった温泉へ、柵を跳び越え今度は黒い影が舞い降りる。
 拓真はしばし水面に浮かぶ風斗を見下ろし、小さく呟いた。
「俺があのとき、手を引くことなく伸ばしていれば……」
 風斗からの返事はない。それは、ただの屍のようであった――。

■シナリオ結果■
大成功
■あとがき■
お疲れさまでございます。
そして、リプレイの返却が遅れてしまい誠に申し訳ありません。

皆さん、それぞれの立場なりに思いっきり楽しんでいたように感じたので、今回は大成功とさせて頂きました。
MVPは、なんだかんだで一番得をしたであろう寿々貴さんに。
ハイリーディング持ちの男性リベリスタの方々は、彼女に頼み込んで今回の記憶を覗かせて貰ったら良いのではないでしょうか。

そしてハーレム王は、これからも汚名返上を目指し頑張ってください。
あなたのその健気な姿が、人々の心に『諦めないこと』の尊さを刻みつけるのですから……。

それでは、また機会があればどこかで。