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穴の中。或いは、芋虫にとらわれて……。

●穴の中から……。
 未確認生物を発見した。なんて、どうにもこうにも怪しい話しを、彼は近所の子供から聞いた。
 詳しい話しを聞いてみると、どうやら発見した場所は裏山のふもとにある廃校、そのグラウンドであるという。使われなくなって十数年。グラウンドには背の高い雑草が生い茂り、草むらのようになっている。
 そんな中、少年は「人間よりも大きな、芋虫を見かけた」と、そう言ったのだ。
 そんな馬鹿な……と、想いながらも彼は1人、グラウンドに向かう。時刻は昼過ぎ。ほのかに暖かい太陽の光と、冷たい空気、自然が育む美味しい空気を楽しみながら、彼は廃校に辿り着いた。
 立ち入り禁止のロープを潜り、草をかき分け彼は進む。
「………人間よりも大きな芋虫か」
 かつて、未確認生物の図鑑でみた人を喰う砂漠の芋虫のことを思い出す。
 毒を吐き、砂の中から現れ、人間をひと飲みにするというその生物の事を考え、小さく身を震わせた。
 それから、馬鹿らしいと首を振る。
 そんなのあくまで、迷信、作り話、噂話でしかない。
「きっと、なにか見間違えたんだ」
 草を掻き分け、グラウンドを進む。
 そんな彼の背後に……。
 真っ赤な身体の、巨大な芋虫が姿を現した。
 
●突如として襲いくる脅威
「デスワーム、という未確認生物を知っている?」
 どう? と、首を傾げて訊ねる『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が、モニターに映像を映す。そこには、無数の繭らしきものが映っていた。
「この中には、デスワームに囚われた人達が閉じ込められている。まだ生きているけど、急がないと半日ほどでデスワーム達の餌へと変えられてしまうみたい」
 繭は、校舎内及び、グラウンドの各所に適当に置かれているようだ。その数、10程であろうか? 繭の周りを中心に、デスワームは潜んでいるようだ。
「デスワームの数は、全部で8体ほど。フェーズ2が1体、フェーズ1が7体ね。頭さえ生きていれば、身体は切っても再生するみたい」
 更に、基本的に地中に潜んでいるため、非常に隠密性に優れているようだ。
「糸や毒を吐いてくるから、気をつけて。それから、地面の他に、空間にも穴を空けて移動できるみたい。もっとも、空間を移動できるのは、10メートル程度だけど……」
 音もなく、突如として現れる巨大な芋虫は、脅威には違いないだろう。
 また、今回は一般人が10人ほども捕らえられている。
「戦闘にばかり気を取られていると……、一般人が巻き添えを食うかも。無事助け出してきて」
 タイムリミットは、日暮れまで。
 それまでに全員救助しないと、繭の中でその命を失ってしまう。
「不意打ちに気を付けて」
 そういって、イヴは仲間達を送りだした。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:病み月  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年01月22日(火)23:25
こんにちは、病み月です。
今回は、人命救助がメインのシナリオになります。
地中を自在に移動する芋虫の相手をお願いします。

以下情報↓
●場所
草むらと化した、廃校のグラウンド。及び、廃校内。
古い学校なので、二階までしか階はない。老朽化が進んでいて、床板は腐っている。
グラウンドには、デスワームの空けた穴が無数に空いている。
グラウンド、校舎には人間サイズの繭が点在している。繭の中には、今朝から現在までにかけてデスワームに捕まった一般人が閉じ込められている。

●敵
E・ビースト(デスワーム)×8
フェーズ2×1 フェーズ1×7
真っ赤な色をした、巨大な芋虫。見た目はミミズに近い。
地中を自由に移動する。また、10メートルだけ空間に穴を開けて移動することも可能。
体長は5メートル程。
糸で作った繭で敵を捕らえ、餌にする習性を持つ。
また、頭部さえ生きていれば数ターンで身体を再生することも出来るようだ。
【ポイズンシェル】→神近範[毒][麻痺]
カプセルに入った毒液を撒き散らす攻撃。
【ワイヤーショット】→物遠単[呪縛][不吉]
糸を吐き出し、獲物を捕らえる。
【サンドウェーブ】→神近範[圧倒][石化]
砂を吐き出し、砂嵐を巻き起こす。


以上になります。
それでは、よろしくお願いします。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
覇界闘士
祭雅・疾風(BNE001656)
クリミナルスタア
イスタルテ・セイジ(BNE002937)
マグメイガス
風見 七花(BNE003013)
ソードミラージュ
黒乃・エンルーレ・紗理(BNE003329)
クロスイージス
シビリズ・ジークベルト(BNE003364)
ソードミラージュ
喜連川 秋火(BNE003597)
覇界闘士
宇佐見 深雪(BNE004073)
クリミナルスタア
秋月・仁身(BNE004092)

●テリトリー……。
 微弱な振動が、足元を揺らす。それに伴い、グラウンドに生えた雑草も揺れる。正しく、足元を何かが這いまわっているような不気味な感覚を感じながら、それでもその場に足を踏み入れ、進む影が8つ。
 ここは敵のテリトリーだ。その事が分かっていながらも、引き返すわけにはいかない。雑草に紛れ見えないが、確かにこの場のどこかに存在する繭の中には、助けを待っている者がいる。だから彼らは、デスワームの巣食うこの場所にやってきた。
「繭は何処だ? 問題はタイムリミットか?」
 グラウンドに蔓延る雑草や、その先に見える廃校舎に視線を向け『Brave Hero』祭雅・疾風(BNE001656)が唸る。千里眼を使えば、繭やデスワームの位置など簡単に発見できるだろう。
「ミッションは捕まった一般人の救出とデスワームの退治ですね」
 確認するようにそう呟いた『メガメガネ』イスタルテ・セイジ(BNE002937)が、グリモアールを胸に抱くような仕草をとった。なにかあっても、すぐに対処できるように、ということだろう。
「地と空を潜る厄介な生命力豊かなミミズですか」
 困り顔で風見 七花(BNE003013)はそう言った。式符をばら撒き、作りだした鴉のような式神を前に進ませる。式神が飛び立った瞬間、足元から感じる不気味な振動が更に大きくなったような気がした。
「式神さん。あまり1人で先に行かれない方が……」
 あ、っと『Lawful Chaotic』黒乃・エンルーレ・紗理(BNE003329)が手を前に伸ばした。次の瞬間、突如空間を喰い破って空中から飛び出して来た赤褐色の芋虫が、人間くらいは丸飲みに出来そうなほどの巨大な顎を開け、式神に喰らい付いた。
 式神の姿が、デスワームの口の中に消える。
 と、同時に『Friedhof』シビリズ・ジークベルト(BNE003364)の槍が、デスワームの胴を貫いた。緑色の体液を撒き散らし、ワームが暴れる。吹きだした体液を方手で拭いながら、シビリズは言う。
「人命第一だ。虫よ、貴様らは滅ぶがいい」
「あぁ。タイムリミットもある。あまり時間はかけてられないな。さっさと片付けてしまおうか」
 シビリズに続き『双刃飛閃』喜連川 秋火(BNE003597)が、タンと軽い音をたて飛び出した。
 両手に持った小太刀を一閃、デスワームを切りつける。吹きだす体液を、加速した彼女はなんなく回避しそのまま駆け抜ける。
「巨大ミミズなんてちょっとぞっとしないわね。ま、叩きつぶすだけだけどね」
 槍に貫かれたままのデスワームに跳びかかる宇佐美 深雪(BNE004073)。握った拳に炎が纏わりつく。身体ごとデスワームの頭部目がけて、拳を叩き降ろす。悲鳴を上げながら、デスワームの体が炎に包まれた。
「ツチノコならお金になるんえすけど、芋虫じゃちょっと無理そうですね」
 炎に包まれ消し炭と化すデスワームを見ながら『親不知』秋月・仁身(BNE004092)は、そう呟いたのだった。

●芋虫に囲まれて……。
「体長5メートルの芋虫とかちょっと大きすぎですよう、やーん」
 焼け焦げたデスワームの横を、イスタルテが涙目で通り過ぎる。よく見ると、雑草に紛れてそこら中に穴が空いているようだ。それら全て、デスワームの通り道だろう。
「犠牲者が出る前になんとかすべて倒してしまいたいところですが」
 魔導書とワンドで武装した七花が、溜め息混じりにそう呟いた。横目で、デスワームの頭部が潰れているか、確認する。頭部さえ生きていれば、暫くすれば復活するという特性を備えているからだ。
 復活の余地がないことを確かめて、先へと進む8人。暫く歩くと、雑草の中に繭がいくつか紛れているのが目に入った。
「これだけの数の人々が……。脅威はすぐに足元に、ですね」
 それを見て、紗理はカトラスに手をあて足元に視線を向ける。
「足元に、何体かいるわね」
 耳を澄まし、深雪が地面に空いた穴から距離を取る。陣形の最後尾で奇襲を警戒するビーストハ―フの深雪。先頭には、同じくビーストハ―フの秋火が陣取り不意打ちに備える。
 繭を見つめ、疾風は唇を噛みしめた。
「助けてみせる! 変身!」
 疾風は一瞬で、装備を装着。と同時に、彼らの足元から2体、頭上から1体のデスワームが姿を現す。頭上から現れたデスワームが、顎を大きく開き紫色のカプセルを吐き出す。空中で砕けたカプセルから、腐臭混じりの煙が噴き出す。
「僕に毒は効かない、そしてこの痛みはそのまま貴様に返す!」
 煙の中を突っ切って、仁身が前へ飛び出した。手にした小振りな槍を、デスワーム目がけ投的する。ワームの顎を槍が貫き、体液が飛び散る。
 ワームは再び空中に穴を開け、その中へ身を潜り込ませようとするが、それより早くワームに跳び付く影が1つ。ナイフと銃を両手に構えた疾風だった。
「逃がさない!」
 雷を纏った武器を、縦横無尽に振り回しデスワームの体を切り裂いていく。

 一方、地面から現れたデスワーム2体の相手は、紗理と秋火の2人が請け負っていた。
「遅い。こちらです!」
 紗理のカトラスが閃く。光を反射させながら、無数の刺突がデスワームを襲う。ワームの体が地面に倒れた。しかし、次の瞬間地面に倒れたワームがぐるぐると回転を始めた。突如巻き起こる砂嵐。咄嗟に両手のカトラスを交差させ、防御の姿勢をとるものの、しかし砂嵐に巻き込まれ弾き飛ばされる。立ち上がろうとする紗理だが、足元から自身の体が石化を始めているのに気付いて、顔をしかめた。
「くっ……」
 ギリ、と歯を噛みしめた沙理の足元から、デスワームが飛び出す。 

「面倒な相手だぜ」
 2本の小太刀を、交互に振り回しながら前にデスワームに切りかかる秋火。デスワームは、その長い体をくねらせ秋火の背後に回り込む。刃がワームの身を切り裂いていくが、頭部さえ生きていれば動きを止めるような相手ではない。
 圧倒的な体格差に、秋火は次第に押され気味になっていく。秋火に向かって、ワームが糸を吐きつける。小太刀でそれを受け止める秋火。そんな秋火に向かって、ワームが喰らいかかる。
「1体ずつ、確実に仕留めた方がよさそうね」
 ワームの体を、横から勢いよく蹴り飛ばしたのは深雪だった。炎を纏った蹴りを、ワームの頭部に叩き込む。ワームの牙が掠めたのか、深雪の脚から血が飛び散った。血の滴と、火の子を散らしながらワームが、地面を転がる。
 糸を払った秋火と、足に炎を纏わせた深雪がワームに跳びかかる。その場を離脱しようと、地面に潜り込むワーム目がけて2人の攻撃が叩き込まれた。断末魔の悲鳴を上げながら、ワームの頭部は炎に包まれ燃え尽きた。

「繭を巻き込まないように、注意しましょう!」
 七花が叫ぶ。と、同時に彼女の周りに展開した光弾がデスワームへと撃ち込まれる。その隙に、シビリズが石化した沙理を引き摺って後ろへと下がっていく。
「動きを縛られたままというわけにはいかん」
 石化した沙理に、手を翳す。淡い光が沙理の体を包み込む。足元から順に、石化が解けていく。完全に回復するまでそう時間はかからないだろう。
「一般人の安全が最優先ですよぅ」
 翼を広げ、繭を背に庇うイスタルテ。グリモアールを広げると、眩い閃光が本のページから溢れだした。閃光と共に、七花の放った魔弾がワームを飲みこむ。焼け焦げ、地面に転がったワームへと、槍を手にしたシビリズが近寄っていく。
「朽ちろ芋虫如きがっ!」
 力任せに振り下ろされた槍が、デスワームの頭部を叩きつぶした。

 雑草を掻き分けながらグラウンドを一周し、8人は廃校舎の前に辿り着いた。グラウンドにあった繭は全部で7つ。報告に聞いていた繭は10個なのであと3つほど、足りない。
 残りのデスワーム共々、校舎の中にいるのだろう。そう考え、秋火は廃校舎に足を踏み入れた。途端に、腐っていた床板がへし折れ、木端を散らす。
 それを見て、イスタルテが翼の加護を使用した。仲間達の背に、小さな翼が張り付く。
「基本は低空飛行で……。足元に気を付けておこう」
 シビリズの言葉に頷き、8人は低空飛行を保ったまま埃の舞う校舎を進む。木造2階建ての小さな校舎だ。階段を上がるとすぐに、繭が3つ、教室の中に纏めて設置されているのを見つけた。廊下のあちこちには、ワームの空けた穴が見受けられる。しかし……。
「おかしい……。さっきまでいたデスワームがいない?」
 千里眼で周囲を見渡しながら、疾風が首を傾げる。異変があったのは、そっと手を伸ばし彼が繭に触れた、その瞬間だった。
「来るぞ!」
 秋火が叫ぶ。傍にいた仁身を突き飛ばし、素早くその場から離脱する秋火。先ほどまで彼女達のいた場所に、空間を喰い破ってデスワームが姿を現していた。牙をガチガチと鳴らしながら、ワームが襲い来る。
「う、おぉぉぉぉぉぉ!?」
 空中から、突如として現れたワームに押され疾風の体が廊下に弾きだされる。現れたワームは2体。空間に穴を開け、潜んでいたのだろう。
「増援、来ます!」
 カトラスを構え、沙理が言う。同時に彼女の眼前に1体。傍にいた深雪の頭上からも1体のデスワームが飛び出して来た。
「こいつはブロックしておくわ」
 そう告げて、深雪がデスワームを迎えうつ。しなやかに脚を旋回させ、デスワームの横っ面を蹴り飛ばす。しかし相手が巨大なため、さほど進路を逸らす事も出来ず深雪の体は床に叩きつけられた。床板が砕け、穴が空いた。深雪の体が1階に落ちて行く。
「宇佐美さん!」
 深雪を追って、七花も床に空いた穴から一階へと飛び降りる。
 疾風も廊下の押しだされ、教室内のデスワームは2体となった。そのうち1体が、砂嵐を巻き起こす。砂嵐から繭を庇うため、イスタルテが繭の前に跳び出す。
「ここは私が」
「すまん」
 イスタルテに教室を任せ、シビリズは廊下へ飛び出す。廊下には、糸に絡まれた疾風と今にも疾風に襲いかからんとするデスワームの姿があった。槍を掲げ、シビリズがデスワームに跳びかかる。

「フフ、いやはや楽しくなって来た! 我が全力を見据えるが良い。さぁ行くぞ!」
 頭上で旋回させた槍を、ワームの頭部に叩きつける。ワームの牙が折れて床に転がる。その隙に、シビリズは疾風の呪縛を解く。
「助かった……」
 糸を払いのけ、疾風が武器を構える。壁を蹴って、疾風が跳んだ。左右の手に持った銃とナイフが雷を帯びる。バチバチと雷を放つナイフを、ワームの頭部に叩きつけた。そのまま、止まることなく体を反転。続けざまに斬撃を叩き込む。
「確実に仕留める」
「あぁ、頭を潰さねば死なぬのだったか?」
 ワームの体を蹴って、疾風が宙に跳び上がる。入れ替わるように、ワームの真下から頭部目がけてシビリズの槍が突き出された。ワームの頭部を、疾風の銃弾とシビリズの槍が貫く。体液を撒き散らし、床や壁を破壊しながらワームの巨体が廊下に転がった……。
 
「どんな能力でもタネが割れていればそう怖くはないですよ」
 ジャベリン方手に仁身が呟く。毒のカプセルを弾き、吐き出された糸を回避。隙を見ては正確に攻撃を加えていく。教室の中にはいくつも繭が存在するので、それらを巻き込んでしまわないように、イスタルテが繭を庇う。
「やーん……」
 涙目で、頬に付着したワームの体液を拭うイスタルテ。グリモアールを開き、すぐにでも攻撃に移れるよう集中を重ねる。
「皆さん、今こそリベリスタの力を振るう時! 参りましょう」
 カトラスの切っ先をワームに向け、床を蹴って飛び出す沙理。素早い動きでワームに接近すると、そのまま剣先を閃かせ無数の刺突を放つ。
 ワームの吐き出した毒のカプセルが割れ、沙理に纏わりついた。
「かはっ……!?」
 口の端から血の滴を垂らしながらも、沙理の動きは止まらない。左右のカトラスを交互に捌き、ワームを切り裂く。
「近接攻撃しかできないのがなんとも……」
 ワームの巨大さに、少々圧倒されながらも、秋火は小太刀を構えてワームに貼りつく。カトラスと小太刀、合わせて4枚の刃がワームを襲う。
 斬撃の嵐が、ワームを切り刻んでいく。やがて、ワームの胴体が中心で真っ二つに裂けた。体液を撒き散らしながら床をのた打ち回る胴に弾かれ、沙理が壁に叩きつけられる。
「頭、潰しとかないといけないんだったな」
 呼吸を荒げながらそう呟く秋火。小太刀を振り降ろし、ワームの頭部を刺し貫いた。何度か大きく痙攣し、ワームは動かなくなる。
「1体、撃破ですね」
 ゲホ、っと咳き込む沙理。口元を拭った彼女の手にはべっとりと血がこびり付いていた。

「あとはこっちだけですか」
 ワームの糸を避け、仁身が机に飛び乗った。そのままワームの頭部目がけ攻撃を加えようとした、その瞬間、ワームの姿がふっと消える。空間に穴を開け、潜り込んだのだ。
 投げかけのジャベリンを降ろし、仁身は周囲に視線を巡らす。
 そんな仁身の背後から、ワームが飛び出して来た。
「後ろです!」
 イスタルテが叫ぶ。しかし、間に合わない。ワームの牙が、仁身の肩に食い込んだ。血が噴き出し、仁身の頬を汚す。
 ワームが大きく口を開け、砂を吐き出し砂嵐を巻き起こす。それに巻き込まれた仁身が机を巻き込み床に転がった。仁身へと砂嵐が迫る。
「やらせませんよぅ」
 イスタルテの持つグリモアールから、閃光が溢れだした。ジリジリと、焼けるような熱を帯びた閃光が、ワームと砂嵐を飲み込む。砂嵐が消えて、後に残ったのは巨大なワームが1体。閃光の中から飛び出して来た。イスタルテへと標的を変え、牙を剥き出しに襲い掛かる。
「ひっ……」
 眼鏡の奥の、イスタルテの瞳が恐怖に歪む。巨大なミミズにも似た醜悪なワームの姿は恐怖を感じるには十分すぎる。べたつく体液を撒き散らしながら、ワームが迫る。
 だが……。
「煮ても焼いても喰えない相手がいるってことを、教育してあげますよ」
 イスタルテの頭に、ワームの牙が食い込む寸前。その頭部を槍が貫いた。
 ワームの動きが止まり、床に倒れる。その頭部を踏みつぶし現れたのは、額から血を垂らした仁身だった。ジャベリンを引き抜き、こびり付いた体液を振り払う。
「イスタルテさん、沙理さんの治療を」
 そう呟いて、仁身は血と体液で汚れた眼鏡を拭うのだった……。

●デスワームからの解放
「前衛は頼みますよ」
 そう言って、七花は自身の周囲に魔弾を展開させる。射出される魔弾の先には、巨大なワームが1匹。吐き出された砂嵐と魔弾がぶつかり、廃校舎の床や壁を砕くほどの衝撃波を撒き散らす。そんな衝撃波の間をかいくぐって、床を駆ける影が1つ。長い兎耳を風になびかせる深雪だった。
 砂煙を突き破って、深雪が飛び出す。
「一気に攻めるわ」
 伸ばされた深雪の腕が、ワームの頭部を掴んだ。駆ける勢いそのままに、ワームの頭を床に叩きつける。地響きと共に、校舎の床が砕け散った。しかし、煙が晴れた時には既に、ワームの姿は消えている。穴を開けて、どこかへ隠れたのだろう。代わりに、深雪の足元には紫のカプセルが1つ。割れて、毒を撒き散らす。
「……っく」
 毒を吸い込み、深雪の体が床に倒れる。そんな深雪に七花が駆け寄った。そっと深雪に手を翳し、その身を犯す毒と麻痺を癒す。淡い光が、深雪の体を包み込んだ。
 ほっ、と七花が溜め息を零した。その時、七花の足元からワームが飛び出してくる。七花の胴に牙を突き立て、彼女の体を宙へと投げ飛ばす。
「あぅ……!!」
 ギリ、と歯を食いしばる七花。ワームは再び空間に穴を開け、どこかへと逃げようとしていた。そんなワームへとワンドを向ける七花。展開された魔弾が、ワームに襲いかかる。
 魔弾に撃たれ、壁にぶつかるワーム。先ほどの深雪の攻撃による傷だろう。ワームの頭部は半ば潰れかけている。だらだらと体液を零し、床を汚す。
 ワームが動き出す、その前に……。
「終わりにしましょう」
 脚に炎を纏った深雪が迫る。しなやかに、速く。振り抜かれた彼女の脚が、ワームの頭部を撃ち抜いた……。

「終わりましたか」
「たぶん……」
 背中を合わせ、七花と深雪が床に座る。二人の傍らには、頭を潰されたワームの遺体が1つ。
 ゆっくりと、天井に空いた穴に視線を向けると、丁度その穴から下を覗きこんでいた秋火と目があった。
「や、お疲れさん。帰ってゆっくり休もうぜ?」
 なんて言って、秋火は笑う。その晴れやかな表情から察するに、デスワームは全て片付いたらしい。後は繭の中に囚われた一般人を解放するだけだ。
 そう判断し、2人はゆっくりと立ち上がる。
 巨大化した芋虫に、若干の同情を向け。
 埃を払って、階段を上がっていく……。


■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
お疲れ様でした。
デスワームと、とらわれた一般人の話、終了です。
ワームは殲滅され、一般人も開放されました。依頼は成功です。
今回は、ご参加ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか? お楽しみいただけたなら幸いです。
それでは、そろそろ失礼します。
縁がありましたら、また別の依頼でお会いしましょう。