●ネタ被ったら死刑ね! 「アーク新春かくし芸大会 2013年もアクの強さで負けないリベリスタたちなら絶対ネタ被ることなんでないよね被ったら死刑だからねスペシャァァァァァァァァァァァル!」 ナビ子が何をトチ狂ったのかタンバリンとパフパフ鳴るヤツを振り回してやたらテンションを上げていた。 「とうっ!」 タンバリンを床に叩きつけると、なんだかよく分からないシャープなポーズをとった。 「説明しよう! このアーク新春かくし芸大会(略)は、リベリスタ達による一芸披露によってその面白さや驚き、もしくは斬新さを競う大会だ! MVP受賞者にはMVPの称号が送られるゾ!」 年の初めからやったらハイテンションに説明するナビ子である。 無駄にくるくる回って見せたかと思うと、片手の人差し指を天に向けて目をきらりと光らせた。 「ただし、ネタが他人と(ひとりでも)被った人はお仕置き部屋にて地味なお仕置きを受けます。全身に洗濯バサミとか、耐久くすぐりの刑とかです」 何処からともなく取り出した扇子をずばっと開くと、紙で作った蝶々をぱたぱたと飛ばし始める。 「勿論グループ参加はOK! 歌や踊りでもいいけど版権に引っかかったらお仕置き部屋ダゾ☆」 きゅぴんとウィンクしたかと思うと扇子から水がぴょろひょろと吹き出しナビ子共々くるくると回り始めた。 「さあ皆さん、年の明けから派手な自己アピールと行きましょー! そーしましょー!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年01月17日(木)23:02 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 24人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
●見切り発射のくせに出遅れた結果がこれだよ! 「レディースエーンジェントルメーン! アケマシテオメデトウゴザイマース!」 ナビ子がアコースティックギターをかき鳴らしながらヤケクソに叫んだ。 公開日にして1月17日。もう鏡開きすら終わったこのタイミングであけおめコールをさせられるという、ちょっとした罰ゲームが巻き起こっていた。 「うっうっ、好きでやってるんじゃないんだ……仕事なんだ……仕方なくなんだ……」 膝から崩れ落ちていくナビ子。その後ろでは巨大ディスプレイに『アーク新春かくし芸大会 リベリスタたちなら絶対ネタ被ることなんでないよねスペシャル!』のロゴがぎゅうぎゅうに詰まった感じで表示された。 同時になんか不安になるイントロから始まるバロックナイトイクリプステーマソング(歌:あのひと)。 そして、誰が吹き込んだのか分からんようなナレーションが流れ始める。 『この企画はアークの精鋭たちが己の実力を行使して何を間違ったのか芸を披露しあうというものです。もし誰かと被ったり白紙だったりした人はもれなくお仕置き部屋へと連行されるでしょう。お仕置き部屋の皆さーん!』 「はーい」 カメラにドアップで映り込むリンシード。 瞳孔のかっぴらいたいっちゃってる系の表情だったが、その程度のことに突っ込みを入れてくれるほどの常識人はここにはいない。 「早速白紙になってしまった人たちからおしおきしようと思います……はい」 ぴょこんと大型ハリセンと猫じゃらしを取り出すリンシード。 カメラを引いてみると、彼女の左右には富子おばさんとツァイン君が逆さに吊るされているのがわかる。顔の所には『この者白紙』の張り紙。 「では、いきます」 セル画で言うと二十枚くらいかけて『にひゃあぁ』と笑うリンシード。 次の瞬間にはリンシードが無数の残像を作りながら二人を百叩きアント百くすぐりにし始める。びったびったもがく二人。 「うふふ、ええかー、ここがえんのんかー」 棒読みで二人を叩きまくるリンシード……の横で、翔太がナビ子のこめかみをぐりぐりしていた。 頭を両拳で挟んでぐーりぐーりするやつである。昔は人気アニメで頻繁にやられていたので知っている人も多いと思う。 「でも最近は教育なんちゃらの理由でやらなくなっちゃったんだよねっていたたたた何で私ぐりぐりされてるんでしょーねあだだだだだだ!」 「黙れ、この前俺の名前を間違えただろ。俺は翔太だ、昇太じゃないし、二人もいない!」 「え、それ私の責任じゃなくないでいだだだだだだだだっ! 頭割れる割れちゃう、ナビ子壊れちゃう! ごめんね勝田さんもう間違えないから!」 「既に間違えてんじゃねえか!」 「あぎゃあああああああ!?」 白目をむいて泡をふくナビ子に更なる追撃を加えるSHOW太。 「あからさまに間違えてんじゃねええええええ!」 「あにゃあああああああああん!?」 『以上の様に、ネタ被りさんには厳しいおしおきが待っていますので充分に気を付けましょう。では早速どうぞ!』 「(あにゅ絵師の力で)可愛いナビ子が作画崩壊レベルで歪んでいる……」 「ああはなりたくない……」 死んだ目でモニターを見つめるDT2……じゃなかった新田快と御厨夏栖斗。 「いちばん、新田快! フレアバーテンディングやります!」 「にばん、御厨夏栖斗! それによって配膳されたテーブルからクロスだけを引っこ抜きます!」 スポットライトが下り、軽快なジャズミュージックが流れ始める。 「モテるかもしれないと思って始めたバーテンテクニック、これが活かされる日が来るとはな……新田酒店の夜の顔を見せてやるぜ!」 快はウォッカの瓶を放り投げると、トマトジュースとタバスコを振ったシェイカーに背面キャッチで注いでいく。更にボトルを背面からスピンさせるように放つ快。 一番の見せ場にドラムロールが始まる。 快はくるんと一回転してからボトルをキャッチ……しそこねて床に叩きつけた。 「…………」 「…………」 顔を見合わせるDT2。 快は鞄から別のボトルを出すと、テーブルに置いたグラスへと丁寧に注いでいった。 「……ハイッ!」 「連れて行けい!」 「待ってくれカクテルは普通に作るのがいちばん美味しいんだよおおおおおお!」 悲鳴をあげながらリンシードに引きずられていく快。 一人残された夏栖斗はテーブルクロスの端っこを掴んで硬直していた。 『これミスったら次はオマエな』みたいな視線が背中に突き刺さる。 「だ、大丈夫。この日のために何本ものグラスを割って滅茶苦茶怒られたんじゃないか。そう、大丈夫大丈夫……」 いっそう音量が増すドラムロール。 夏栖斗は目をカッと開くと、叫びと共にクロスを引っ張った。 「陰ト陽へのご来店お待ちしておりまァす!」 スコーンと引っこ抜けるテーブルクロス。配膳されたグラスは中身のカクテルをこぼすことなく、ちょこっと揺らすだけに留めた。 「やった……」 やり遂げた顔で遠くを見つめる夏栖斗。 そんな彼の後ろからシビリズが優雅な調子で歩み出てきた。 「シビリズ・ジークベルト。私が行うのは……『鍋振り』だ!」 大きな中華鍋を取り出して叫ぶシビリズ。鳴り響くドラ。 説明せねばなるまい。鍋振りとはこう、チャーハン炒める時にじゃっかじゃっかお米放るやつで、それを高くアクロバティックに昇華させたものだ。 「それもとにかく高く、どこまでも、果てしなく高く振り上げる! 至高を目指して放り続けようではないか!」 シビリズはノリノリでお米をじゃっかじゃっか放りまくったが、その高さが3mを越えた段階で彼の背後へとお米が落下した。 「…………」 チーンとなった電子レンジからチャーハンを取り出すシビリズ。 テーブルに置いてぱっと腕を広げた。 「……ハイッ!」 「連れて行けぇい!」 「うわああ待って、ナビ子に、ナビ子に被せればオチも完璧だった筈なんだ!」 脚を引き摺られていくシビリズ。 ああはなるまいと思いながら、亘は壇上へと上がった。 「えーでは、早着替えをしたいと思います!」 亘は軽快な音楽と共にリズミカルに踊り、時にマントに身を隠しては一瞬でワイシャツから次々とコスチュームを変えて行く。 「さあ最後はスーツに戻りますよ!」 ぴょんとマントの裏に胴体を隠したかと思うと……ストンとズボンが落ちた。 「……オォゥ」 マントの裏から見ていたスタッフが両目を覆う。 「し、しまった、でもこういう時のために落とし穴スイッチ! これで一発離脱ができ……」 足元が抜けてストンと落ちる亘。 しかし穴が浅すぎて肩の辺りで止まっていた。 「…………」 「…………」 「これで自分の一発芸を終わります」 「連れていけぇぇい!」 「うわあああああせめてマントを、マントを付けさせてくださいいいいいいい!」 全裸のまま吊られていく亘。 「オレたちは頑張ろうな」 「あ、ああ……」 福松とSHOGOは彼を見送りつつステージに上がった。 「さーオレらはコンビでマジックを披露するよ! まずはフッ君をボックスに入れて……1、2、パニッシュ☆」 「…………」 箱を開けると、中から苦虫をかみつぶした福松(スク水)が出てきた。 「次はシルクハットマジックさ! 1、2、パニッシュ☆」 ハト、ウサギ、現金と次々に出して行き、最後は尻にスク水が食い込んでむずがゆそうな福松がぬるっと出てきた。 「よぉし会場温まってきたな、それじゃあトランプマジックだ! 君が今引いたのは……はいっそのカードだね!」 後ろを指差すSHOGO。目のハイライトを完全に消した福松がトランプ咥えてダブルピースしていた。 「フ、まだまだ行くよ! SHOGOのレパートリーは無限にあるんだ!」 その後、ジュースを凍らせてスク水の福松出したりコインをコップに通してスク松出したり、切断ロープ繋ぎ直してスク松ったりスプーン曲げてスク松の胸元に入れてもだえる様をとっくりと堪能したりした。 終始、全てを諦めきった福松の笑顔が観客の胸を締め付けたと言う。 巨大モニターが切り替わり、レポーターの綾乃がマイク片手に語り始めた。 「皆さんお楽しみ頂けてますかー? こちらは一発芸を初めとする野外会場です! それでは参加者の皆さんどうぞ! ……て、あたしの出番これだけですか!? 待って、脱ぐ、脱ぎますから! 寒空の下で29の女が脱ぎま」 容赦なく切り替わるカメラ。 すると、透明な洗面器を前にしたシェリーが神妙な顔で正座していた。 洗面器にはなみなみと水が満たされている。 「では……はじめっ!」 予告なく水に顔を突っ込むシェリー。画面右端で始まるカウント。 これは息止め芸かと固唾をのんだ一同……だが。 「ぷはっ!」 シェリーはなんと、洗面器の水を全て飲み干してから顔を上げたのだった。 普通に沸き起こる拍手。 カメラはゆっくりとパンして反対側を撮影。 そこには、振り袖姿の美虎とセラフィーナがいた。 同時にばばっと服を脱ぎ、美虎はサラシ姿に、セラフィーナは軽装にチェンジ。 「氷柱、割ります!」 「翼で瓦、割ります!」 「ぢぇりゃあああああ!」 「やぁぁぁぁああああ!」 『ぼぐしゃ』という嫌な音はしたものの、涙目をこらえて一生懸命に割り切る二人。 拳や翼を血塗れにしながら、息も荒く仁王立ちした。 「これがムエタイの力だよ!」 「これがフライエンジェの力です!」 「よし分かった、連れて行けぃ!」 「「待ってえええええええええ!?」」 縄をくくられて車で引き摺られていく美虎とセラフィーナ。 ベルカはそんな二人を悲しげに見送った。 「氷柱と瓦……視聴者にとっては同じものと判断されたか、世知辛いな……」 シニカルな顔をしてから、透明なボールに入って行くベルカ。 「ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ。一発芸……人間バレーボール!」 「「イエアアアアアアア!!」」 やとわれモブリスタの皆さんが一斉に飛び出してきて、ベルカを全力で蹴り上げた。 その後は文字通りの人間バレーボール。と言うかいつかの依頼でベルカがやられていたことそのまんまである。 「うおりゃああああああ!」 「ハラショー!」 「ひとなげ千円だぞー! きばれー!」 「なにーもう金がない!? だったらこれだ!」 「シャイニングウィザード!」 「ありゃーっとやんしたー!」 ちゅどーんとセルフ爆発するベルカ。 「とうとう、俺の出番がきちまったな……」 郷はマウンテンバイクに跨り、バランスを取りながらゆっくりと前進を始めた。 「安西郷、バイクトライアルをするぜ!」 郷は器用に平均台やポールの上をマウンテンバイクで走破していく。更にでこぼこした岩場も乗り越えて見せると、途中で飛んできたテニスボールをラケットで打ち返し始める。 「新春スポーツ特番で見た人もいるんじゃないか、俺も触発されてやってみたわけだ! でもやってみて分かったんだが……マスタードライブもってるだけで余裕だったな!」 やり切った顔の中にどこか悲しみを残しつつ、郷はすごすごと(自転車乗ったまま)退場していく。 カメラは小さくなっていく彼を、ただ寂しく見つめたのだった。 所変わってイグアスの滝。なんか世界で一番水量が多いとか、そういう場所である。 「焔優希……今からこの滝を昇る。それが俺のかくし芸である。流水のように流麗に、迅雷のように激しく、命を燃やすさまを見よ!」 ダイバースーツを着て滝へと突き進んでいく優希。 そんな中ワイプきって右下に現れる明奈。 ワイプを広げて二画面モードに。 「アイドル白石明奈……えっちな水着で熱湯に浸かりながら『恋は巡航ミサイル』歌いまーす!」 明奈は男らしいまでの覚悟で熱湯風呂へ飛び込むと、絶叫と悲鳴の中間くらいの声で歌いはじめた。 スピーカーを通し、会場内に伝わる秋茄ちゃんの歌声(断末魔)。 「ちくしょうふざけんなぁぁぁぁっ!」 途中でギブアップした明奈は熱湯風呂を飛び出し、雪の中へとダイブしたのだった。 一方では、白目をむいた優希がブラジルへ流れていったという。 もはや生き残ること自体が難しくなってきたかくし芸大会。 テテロとマリルがちょっぴり可愛らしい部屋へと入ってきた。 「かくしげいっ、ミーノは……おかしをいっしゅんで消します!」 「かくし芸ならあたしにおまかせなのですぅ! この大量のいちごを、けすのですぅ!」 まぐっとお菓子やイチゴを頬張るテテロとマリル。 そして、二人は顔を見合わせた。 もぐもぐもぐもぐもぐ……ごっくん。 「「……あ」」 くすぐりの刑はいやーと言いながらターレで運ばれていく美幼女たち。 そぱらはフッと笑って、会場の天井を見上げた。 「それじゃあそあらさんは、会場を一瞬でぴゅあなオーラで満たして見せるのです! さああたしのぴゅあを見るのです、感じ取るのです、あふれんばかりの、このそあらさんを!」 両手を掲げてほわーっとなんかアルファー派的なものを放出するそあら。 「こんなにぴゅあぴゅあしたら、きっとさおりんもあたしにめろめろなのです。今日もかわいいね、さおりんの前ではいつでもぴゅあでかわいいのです、そんなそあらがいつでも一番かわいいよなーんてやだどうしようはずかしいのです!」 「ヘイ、ベイビー!」 そんなそあらの背後にぬるっと出てくる偽さおりん。 背中には『私エーデルワイスですけど?』の張り紙がされていた。 あと微妙にキャラが間違っていた。 「はっ、さおりん!?」 「そうさ俺はさおりん。凶はかくしゲイということでDT2に手を出す!」 「やめてええええええええええ!」 「今日は返さないぜマイハニー!」 「その顔でその声出さないでええええええ!」 ずるずると引き摺られていくそあら。 殆どの参加者がお仕置き部屋や救護室へ運ばれていく。 そして最後に残されたのは、小崎史と梶原セレナだけだった。 顔を見合わせる。 「どうします? 私は『外郎売りの長台詞』をやりますけど……」 「え、オレか? オレはまあ誰かと被るネタをやって美味しく鳴ろうかと……」 「はあ、では一緒に」 「お、おう」 「拙者親方と申すはぁ……」 「一発目、セダンの音真似!」 以降、セレナがゆーっくり長台詞を語る間、史がカードシャッフラしたり鯖吹いたりしながら必死の努力を重ねる。 ひとりひとりと帰って行く観客。 徐々に消されていく照明。 帰り支度を始めるスタッフ。 はけられていくセット。 最後に警備員さんが『これ鍵だから、明日返してね』とセレナに手渡した所でそれは終わった。 「……外郎はいらっしゃりませぬか」 「……まだかぶらないか」 どこか寂しく、二人は暗い天井を見上げたのだった。 尚、この企画が収録されたDVDは売れなさ過ぎて死ねたという。 オチは無い。 だから許してほしい。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|