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結婚式妨害委員会『呪運武雷怒』!


「もう6月かぁ……ジューンブライドってやつだねぇ」
 窓から外を眺め、ため息をつく1人の女。
 6月に結婚した花嫁は幸せになれる。ジューンブライドはヨーロッパに伝わる伝承として、今も伝わっていた。
 それを気にする彼女には、結婚願望でもあるのだろうか。だがため息をつく辺り、そんな相手はいないらしい。
「姉御、まずは相手見つけなきゃ」
「やかましい、簡単に見つかったら苦労しねぇよ!」
 子分の女の突っ込みにキレるところから、やはりそれは確実なようだった。
 むしろ、それは彼女の周囲にいる子分達も同じらしく――。
「「「はぁ……」」」
 ため息は、一斉に伝播した。
「……邪魔するか」
 そんな時、リーダーの女がふと、そんなことを口にする。
「邪魔、ですか?」
「そうさ、結婚式を邪魔してしまえば、あたし等の気持ちがわかる男女が増える……そう思わないかい?」
 悪戯っぽい笑みを浮かべて言うリーダーの女にとっては、幸せなカップルは敵なのだろう。
「よっしゃ、あたし等のチーム名は『呪運武雷怒』だ、結婚式をぶち壊しにいくよ!」
 結婚する者達の幸運を呪い、武と怒りの雷をもってそれを破壊する。
 そう考えれば聞こえは良いが、何やらすさまじい当て字に子分達も古臭さを感じていた事は言うまでもない。


「当て字集団、登場」
 そんな未来を覗き見ながらも、『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)はいたって冷静だった。
 それもそのはず、『呪運武雷怒』の目的は結婚式の妨害であって、人に対して危害を加えるのは二の次でしかないのだ。
 どうにか捕縛することが出来れば、更生の道もある――イヴはそう考えているようである。
「敵の拠点は、ここ。彼女達が狙う教会は、ここ」
 広げた地図の2箇所を指差し、拠点と教会の位置を知らせるイヴ。
 彼女によれば、この教会での結婚式は数日後に1回だけしか入っていないらしく、その前に結婚式の予定を入れれば教会で迎え撃つ事も可能という事らしい。
 教会には神父とシスターの2人が住んでいるため、この2人を戦闘にさえ巻き込まなければ――という条件は存在するが。
「やり方は皆に任せる……阻止さえ出来れば、それで良い」
 器物をなるべく破壊しないように注意しつつ、教会で迎え撃つか。
 それを気にしなくても良いように、拠点を急襲するか。
 その判断は、現場に向かうリベリスタ次第だ。
 フィクサード集団『呪運武雷怒』は4人で構成された集団だが、8人がかりならば阻止も難しいことではない。
「それじゃ、頑張って」
 小さくそう告げると、踵を返したリベリスタ達をイヴは静かに見送るのだった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:雪乃静流  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年06月26日(日)23:47
 1本目から相当の間が空きました、雪乃です。
 結婚式の妨害を目論む『呪運武雷怒』の阻止が、今回のシナリオの目標となります。
 OPでも示していますが、阻止の方法はとりあえず2つ。
 1:拠点急襲
  こちらの場合は、器物の損壊や一般人の目などを余り気にせず、戦闘に集中することが出来るでしょう。
 2:偽装結婚式
  神父とシスターをどうにか戦闘に巻き込まず、なるべく教会に戦闘の傷痕を残さない工夫が必要となります。
  また、神父役と新郎新婦役を用意する必要もあるでしょう。

 阻止事態はそれほど難しいものではありませんが、油断すると危ないでしょう。
 また偽装結婚式を行う場合は色々と制約がかかります。
 もし教会に戦闘の傷痕が多く残ってしまえば、少し後味が悪くなってしまうかもしれません。

●戦闘について
 拠点・教会ともにシンプルな造りのため、戦闘にはあまり支障をきたす物は存在しません。

●敵データ
 姉御(デュランダル)
 オーラクラッシュとメガクラッシュを使います。パワー重視の猪突猛進タイプ。
 部下A(覇界闘士)
 業炎撃と魔氷拳を用い、殴る攻撃が得意です。
 部下B(ナイトクリーク)
 ギャロッププレイとダンシングリッパーを扱い、素早い攻撃が得意です。
 部下C(ソードミラージュ)
 ハイスピードを使用して反応速度を高め、幻影剣で翻弄する攻撃を得意としています。

 呪運武雷怒は近接攻撃集団のため、遠距離攻撃は行いません。
 これは姉御の性格によるものでしょう。

 皆様のご参加、お待ちしてます。よろしくお願いしますね。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
★MVP
デュランダル
桜小路・静(BNE000915)
ソードミラージュ
上沢 翔太(BNE000943)
デュランダル
日野宮 ななせ(BNE001084)
ホーリーメイガス
美月・香澄(BNE001350)
インヤンマスター
桜場・モレノ(BNE001915)
デュランダル
緋袴 雅(BNE001966)
スターサジタリー
結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)
ソードミラージュ
月宮 葬(BNE002293)

●下準備は入念に
「並んでる椅子は全部壁際に片付けてくれ。……あぁ、めんどくせぇなー」
 面倒くさいと口にしつつも、てきぱきとした指示を出しながら『やる気のない男』上沢 翔太(BNE000943)は軽く頭をかいた。
 フィクサード集団『呪運武雷怒』を迎え撃つため、しばらくの間だけ借りる事が出来た教会。
「準備、頑張ってくださいね。では、また後ほど」
 出かける前に顔を見せた神父は、彼等がリベリスタである事も、教会を借りた理由が戦うためである事も知りはしない。
 演劇部の活動の一環としての撮影活動だと、信じて疑っていないのだ。
「目立つような傷、残さないようにしないとですねっ」
 だからこそ、気前良く教会を貸してくれた神父に応えるためにも、戦闘の傷痕を教会に残すわけには行かない。教会を借りるべく交渉した『シトラスヴァンピール』 日野宮 ななせ(BNE001084)は、その決意を改めて口にする。
 それは、この場にいるリベリスタの誰もが同じ。
「だね、その準備はこっちでやっとくから、ななせはドレスの準備してきてよっ」
 そんな彼女に『だんまく☆しすたぁ』結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)は同意し頷く一方で、花を飾りながらななせにドレスの着付けを促していく。
 ふと時計を見れば正午の少し前。前日に告知した結婚式の時間が、刻一刻と迫ってきていたのである。
「こっちは……終わりました……」
「後はななせさんだけですね」
 ななせと3人で新郎新婦役をする『グラス・フェザー』美月・香澄(BNE001350)と『飛刀三幻色』桜場・モレノ(BNE001915)は、既に着替えを終えて準備万端。
 後はセッティングさえ済めば良い情況を省みれば、虎美がななせに着替えを促すのも無理はなかった。
「それにしても、新郎1人に新婦2人ですか」
 慌てて着替えに走るななせの背を目で追いつつ、無表情のままそう呟いたのは『双刀華』月宮 葬(BNE002293)だ。
 どうせならやりたい役をやってしまおう。
 そう全員で決めた結果、気がつけば新婦が2人という珍妙な情況になった。
「楽しければ良いんじゃねぇの? 戦闘は真面目にこなすけどな」
 その呟きが聞こえたのだろう、『駆け出し冒険者』桜小路・静(BNE000915)が軽く笑みを浮かべながら言う。
 偽装結婚式は、いわば祭。後に続く戦闘に支障をきたさないならば、祭は全力で楽しむものだと彼は考えているらしい。

「よし、こんなもんかな」
 全てのセッティングを終え、翔太が最終チェックを済ませた頃には、時計は結婚式の開始時刻と告知した時間を指していた。
「結界も準備もOKだね、なら……そろそろ始めよう」
 もしもの時を考えた静が結界を張ったのを確認すると、『シャーマニックプリンセス』緋袴 雅(BNE001966)は周囲の仲間を見渡し、参列者の立つべき位置へと立つ。
(少し結婚式ごっこに力が入りすぎの気はするけどね)
 フィクサードを止めるという本来の目的を前に、彼の胸に過ぎる一抹の不安。だが基本方針がそうと決まった以上、反対するつもりはない。
 自分は自らの役目を果たすのみだと、『呪運武雷怒』が襲撃をかけてくるであろうドアを警戒しつつ、結婚式の始まりを静かに待つ。

 そして、偽装結婚式の幕が開いた。

●襲撃、呪運武雷怒!
 準備の喧騒とは裏腹に、偽装結婚式は静かに、粛々とその過程を進めていく。
 今のところ、『呪運武雷怒』が襲撃を仕掛けてくる気配はない。
(気取られたか?)
(それは無いと思いたいけど……)
 撮影をすでに開始しているカメラに音声を拾われぬよう、小さな声で話す翔太と虎美。
 いつ襲撃されてもいいように、警戒を怠ってはいなかった。しかし、結婚式は誓いの言葉を述べる段階へと入ってしまっている。
「桜庭モレノ。貴方は日野宮ななせ、そして美月香澄へ、永遠の愛を誓いますか」
「はい、誓います」
 華やかなウェディングドレスに身を包んだ2人の花嫁を交互に見やり、モレノは静かに言った。
 その言葉に小さく頷いた静は、次いで花嫁達へと問いかける。告げる言葉は同じ、そして、返答も――。
「……はい」
「はいっ!」
「同時に言う必要はないんですが……まぁ、良いでしょう」
 演技とは言え、内心はドキドキしている香澄と、うわずって答えるななせに、静の顔には思わず苦笑いが浮かぶ。
 だが、彼が次に言う言葉が結婚式の終わりを告げる。それは、最も襲撃をかけるのに適したタイミングでもあった。
(来るならばここ、かな)
 参列者として式の様子を眺める雅の警戒心が、一気に教会のドアへと向く。
「彼らの新しい未来へ大いなる祝福を。アーメ……」
「あいや待った、ちょーっと待った、その結婚式待ったァーーー!」
 その警戒心に彼女達は答えたのだろうか。バァンと勢い良く教会の扉を開き、つかつかと新郎新婦のもとへと歩いていく1人の女。
 チーム名である『呪運武雷怒』の字を背負い、腕には『恋人募集』『恋愛希望』と刺繍を施した特攻服に身を包んだこの女が、姉御なのだろう。
 後ろの子分達へと葬が視線を移せば、強引に着せられたのか、少し恥ずかしそうにしながらも同じような特攻服に身を包んでいる。
「ちょっと失礼しますね」
「うちの姉御がご迷惑をおかけします」
 などと子分が参列者達に謝って歩く辺り、もしかしたら姉御1人が激しく暴走しているだけなのかもしれない。
「これはご丁寧に」
 釣られてぺこりと頭を下げる葬だったが、彼女達はこれから戦うべきフィクサード達なのだ。
 こいつ等は敵だと雅に肘で小突かれ気付かされたところで、はっとビックリした参列者のフリをし始める葬。
「ハン、花嫁2人を花婿1人がねぇ……今時はそう言う結婚もありなのかい。だが、この結婚式はアタシ等『呪運武雷怒』がめちゃくちゃにしてやるよ!」
 そんなやり取りの一方では、姉御が木刀を携え、新郎新婦の値踏みでもするかのように睨みを利かせている。こっそりこの時、驚いたフリをする香澄を抱きしめたモレノは、役得を感じていたかもしれない。
「ところで、めちゃくちゃって、どんな事を……?」
 鋭い視線を感じながらも尋ねる香澄に、姉御は軽く香澄と目を合わせた後、軽い笑みを浮かべ――答えた。
「いやぁ、それが考えてなくってさぁ! とりあえず卵やらぶつけようかと思ったわけだけど……ん?」
 とりあえず妨害しにいけば何か浮かぶだろうと、行き当たりばったりで行動を起こしたと暴露する姉御に、後ろにいる子分達が深いため息をついた事は言うまでもない。

 だが、そんな姉御と香澄の間を遮るように、立ち塞がる静。

「悪いが、幸せな愛の門出の邪魔はさせはしない」
 彼の言葉にきょとんとする姉御に、静は神父服を脱ぎ去り――そして、その背を見せ付けた。
「人の幸せ邪魔する奴ぁ、神に代わってお仕置きだ!」
「何、『覇露津玖騎士』だと? まさか、敵対チームか!?」
 その背にしっかりとペイントされた当て字に、姉御は瞬時に自分達の同類かつ、敵だと判断したようである。
「引っかかったなバカめー! この結婚式はあなた達を誘いだす罠だったのですよー! 神妙にお縄について更生しなさーい!」
 続いたモレノがそう言うと同時に、扉近くに立っていた雅によって閉じられる教会の扉。
「姉御、どうします!?」
「うろたえんじゃないよ、敵のチームならやることは1つだ!」
 静のギガクラッシュを受けつつも子分を一喝すると、姉御は力強く木刀を構え、戦いにその気持ちを向ける。もちろんその目標は、格好良くセリフを決めた静だ。
「ここまでの撮影はOK、後は……やるか、めんどくせぇが」
 その瞬間までをもしっかりとカメラに収め、参列席にいた翔太も自身の反応速度を高めつつ戦闘の準備を整えていく。
 周囲を見渡せば明らかに不利だとわかる状況に、姉御はもう冷静な判断力を失っていたようだ。最初から冷静だったかどうかも、定かではないが。
「1人2殺! 自棄になりゃどうにかなるさ!」
「女の子が自棄になっちゃ行けませんよ!」
 そんな姉御を諭すように、声をかける雅。
「相手はいます。女性が高望みさえしなければ、実は結婚相手はよりどりみどりな売り手市場なんです」
「そうっすよねぇ、姉御は高望みが激しいから……」
 退路を確保しようとした部下Aの業炎撃を受けながらも、雅はさらに続けていく。彼の言葉に部下Aがうんうんと頷く辺り、姉御は相当高望みをしているようだ。
「貴女の周りにもいるでしょう。この襲撃に付いてきてくれた方々が。貴女を好いているからこそ、こうした我が儘に付き合ってくれたんじゃないんですか?」
「いえ、全員女の子ですよ?」
 だが最後に良い言葉で締めくくった雅は、ななせにそう言われてはっと周囲を見渡していく。
「確かに姉御は好きだけど……ふぎゃっ!?」
 そう言うと同時に葬のソードエアリアルを喰らった部下Bも、翔太や自身に肉薄している部下CやAも、良く見れば全員が女の子だった。
「最近は恋愛に性別の垣根って、ないですけどね」
「だがアタシゃ同性には興味ないぞ?」
 二次元ならという前置きを伏せつつ言うモレノに、姉御はやんわりと拒否の言葉で返す。そこに僅かに生まれた、姉御の隙。
「姉御、後ろ、後ろ!」
「あん?」
 部下の言葉にはっと後ろを振り返れば、そこにはスカートからハンマーを取り出すななせの姿が見えた。
「わたしたちの幸せを邪魔する人は、容赦しないですよっ」
 容赦しない。彼女が全力を注ぎ込んだオーラクラッシュには、確かに容赦などは無い。
「ぐはっ、このぉ……相手がいる余裕か!」
 この結婚式は偽装だったものの、戦闘中であるせいか姉御はそれが演技だと微塵も思っていないようだった。
「いいよね……。相手がいれば結婚できる人はいいよねー……」
 そんな時、戦闘を遮るかのように静かに、ぽつぽつと虎美が喋り始める。
「今恋人が出来るあてが無くても、将来的に出来れば結婚出来るだけましだよねー……私なんてお兄ちゃんと結婚できないんだよっ」
「いや、そりゃ出来ないと思うっすけど……はうっ!?」
 口を挟んだ部下Bは、邪魔するなと言わんばかりの1$シュートで地に伏した。
「下らない真似する暇があったら相手探してた方が良いと思うなー」
「そう、ですね……その方が、建設的、です」
 だが最後の言葉はリベリスタの誰もが思っている事でもある。同意した香澄は柔らかな笑みを姉御に向け、姉御に無言の想いをぶつけていく。
「いいさ、なら、アタシ等をまずは止めてみな!」
 続けざまの説得に対して勢い良く言い放つ姉御だが、喋っているうちに戦況は刻々と変化していたらしい。
「なら、そうさせてもらいましょうか」
「どうやら後はアンタだけらしいぞ」
 モレノがそう言った時には、部下Cが翔太に倒されていたとか。

●新たな門出!
「負けだよ、チクショウ!」
 痛む身体を投げ出し、姉御は潔く負けを認め、笑みを零す。
 その姿は煮るなり焼くなり好きにしろ、とでも言わんばかりに無防備で、そこに敵意など最早ない。
 だが、リベリスタ達もこれ以上、呪運武雷怒に対して攻撃を仕掛ける気配もない。
「どうした?」
 しばらく流れた沈黙を破り、口を開いたのは、やはり姉御だ。
「いや……邪魔しようという元気があるならさ、嘆いてないで見つける努力をしたらどうだ?」
 彼女の言葉に応えた翔太は、戦闘中に雅や虎美がしたのと同じように説得の言葉を投げかけていく。
 静かに聞き入る姉御に、その言葉はどう受け止められているのだろうか。
 戦いの最中の説得に対しての反応を考えれば、真摯に受け止めているだろう事は容易にわかる。
「そうだな、幸せ掴む為のやり方を間違えてるぜ」
 さらには静からそう言われると同時に紫陽花の花を手渡されると、姉御の頬が一気に赤く染まった。
「これは……」
「花言葉は『辛抱強い愛情』なんだそうだ、好きな奴でも見つけて辛抱強く頑張りな」
 どうやら愛の告白かと勘違いしていたようだが、静の言葉に『あぁ……そういう事か』と少しがっかりしたようだ。
 だが、静の話はコレで終わったわけではない。
「アンタらしい情熱で、実力で幸せをもぎ取るんだ。そういうの得意だろ?」
「そうですね、その情熱を彼氏さん作る方にむければ、すぐにできそうですし」
 彼の言葉に続いてななせが説得に加わると、姉御の表情が少し晴れやかになったようにも見える。
「情熱、かぁ……」
 結婚式を妨害する事へと向けた情熱を、自身の恋を見つける方向へ。
 そうすれば、いつかは姉御にだって子分達にだって恋人が見つかるかもしれない。
「姉御、やりましょうよ!」
「私等も恋人欲しいっすよ!」
 いやむしろ、子分達は相当に乗り気だった。
「よっしゃ、やるか! 呪運武雷怒は、今をもって解散だ!」
 威勢良く言い放った姉御の言葉に、子分達から湧き上がる歓喜の声。
 彼女達はこれから、それぞれの恋を求める戦いに身を投じていく事だろう。
「もしも出会いがないならアークにおいで、きっとアークでなら出会いがあるよ!」
 すかさずアークへの加入を勧めるモレノには、姉御達にリベリスタとして戦ってもらいたいという気持ちもあるようだった。
 しかし――。
「アーク? 恋愛相談所かなんかかい?」
 どうやら、姉御達にはアークが何なのかを最初に説明しなければならなかったらしい。
「戦いの後に芽生える……友情ですか。でも……恋愛って、まだ、よく……わかりません」
 そんな仲間達を遠巻きに見つめる香澄は、先程までの戦いを感じさせない雰囲気に友情を感じつつ、戦場となった教会を見渡していく。
「傷はないね、これなら大丈夫かな?」
「ええ、そうですね……」
 戦闘の傷痕が残っていない事を虎美と共に確認し、彼女は静かに胸を撫で下ろした。
 後は動かした物をちゃんと元通りにしておけば、疑う事無く教会を貸してくれた神父の気持ちには応えられるはずだ。
「じゃあ、片付けましょうか」
 そして一方では雅が楽しい会話に区切りをつけ、そろそろその神父達が帰ってくる時間だと片付けを提案する。
 もちろん誰も断るわけがなく、祭の終わりを告げる後片付けが始まるのだった。

「――そうだ。大事な事を決めないとな」
 呪運武雷怒の面々も加わって教会を片付けていく最中、何かに気付いたかのように姉御が口を開く。
「何をです?」
「アタシ等の新しいチーム名を、さ」
 いぶかしげに尋ねる子分に、『大事だろ?』と気持ちの良い笑みを浮かべ、答える姉御。
「確かに大事ではありますが……とりあえず、当て字を止めるところから始めてみませんか?」
「え、当て字はダメ?」
 だが釘を刺すように突っ込んだ葬は、姉御の頬を汗が伝っていくのを見逃しはしなかった。
 やはり、次のチーム名も当て字でやるつもりだった――という事か。
 呪運武雷怒の新たな門出は、当て字ではないチーム名を作るところから始まるのかもしれない。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
偽装結婚式、お疲れ様でした。
呪運武雷怒は男性的表記を一切しない形で女性集団だと表現してみましたが、
ほぼしっかり伝わっていたので良かったと思います。

偽装結婚式ルートでは全体的なプレイングがもう少し纏まっていれば、大成功もありえました。
拠点襲撃の場合はそのまま普通に終わっていたので、結果としては少々惜しいというところでしょうか。

またご縁があれば、ご参加お待ちしてます。
今回はありがとうございましたっ!