●(彼女はドヤ顔で書ききった) 「……なんていうか。逆凪は人材豊富ですよね」 逆凪さんちの黒覇様が末端に対してどう思っているのかはともかく。主流七派最大派閥と言われる彼の組織の行動力は、強ち侮れない点というのが多々存在する。 組織力をどう使おうが他所様の勝手ではあるのだが、それが一般市民への示威行為や犯罪行為につながるのであればそれは由々しき事態である。 だがしかし、ブリーフィングルームで資料を手に待機していた『無貌の予見士』月ヶ瀬 夜倉(nBNE000202)の表情は険しいというより、呆れが混じっていた。 ……尤も。リベリスタ達は包帯で覆われた彼の口元にマスクがあるという現実に突っ込みたくて仕方なかっただろうが。 「『ライトニングフール』字白 翼(あざしろ つばさ)。機械化した喉を持ち、同組織内では一部にカリスマ的な人気を持つと噂のフィクサードです。アーク規格の実力としては上の中。決して侮れる相手ではありませんし、何しろ彼女には『ハンドリングコイラ』なるアーティファクトがあります。言ってしまえば、彼女の電撃系スキルとキメ顔に対応して発動するというキワモノでして、周囲の鉄製品を対象に叩きつける……割と暴力的な存在です。以前、彼女の屋外ライブと言う名の暴動にアークが介入、その行為を頓挫させています」 「要するに馬鹿なんだな」 「間違ってません」 リベリスタの言葉も夜倉の返しも、そりゃ酷いものであった。周囲の鉄材を操れるということは、工業地帯や廃工場で戦闘をおっぱじめたらさぞ脅威なのだろうが、本人はアイドルなので目立ちたがり屋もいいところ。そういうところに行きたがらない有効戦力というのは扱いづらい子であることは容易に想像できた。 「で、今回ですが。年の瀬にもかかわらず彼女は既に新年ライブを計画しており、既に某所の屋外野球場の占拠にかかっているようです。で、これが大概道楽事ではないのが今回の問題点でして」 「ライブやるだけならただの不法占拠だろ。なんだいきなり」 「……簡単に言うとですね。彼女らはこの施設を爆破解体することを目的としています。神秘事件の準備行動として。それで、中央に字白が陣取り、東西南北の入り口を少数精鋭で固めた上で倒壊からの予備儀式発動に費やすつもりです。『新年ライブ』と称して」 「野球場なら天井は無いんだろ? 上空から」 「釣瓶撃ちにされたいのであれば、どうぞ。お勧めはしません」 翼を画面中央に表示していた部分が変化し、球場の簡易図面に切り替わる。東西南北、そして中央にあるマーカーがフィクサードの図式だろう。 「当然と言えば当然ですが、我々の干渉があちらに感知されれば彼女らは強硬手段に出ることでしょう。一点突破を狙えば他の三箇所を爆破、倒壊してしまう。二箇所でも、場所を選ばなければ難がある。出来れば三箇所以上を同時攻略し、中央に攻め込むことを目的とすべきです」 「肝心の、本人は?」 「中央で待機、予備儀式その他の準備行動がある以上は余り動かないでしょう。ただ、時間を賭けすぎればいずれかに加勢するか、強硬手段に打って出ます」 「タイムリミットは?」 「良くて百五十秒。それで、彼女に敗北を刷り込む必要がある」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:風見鶏 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2013年01月15日(火)22:26 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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●細かいことは気にしない主義です 『みんなーッ! 盛り上がってるーっ?』 果たしてどの『皆』に向けて放たれたのか、中途半端な音響でハウリングを起こす女性の声は野球場いっぱいに広がり、どこに居ても聞こえるほどの音圧だった。 リベリスタ達は与り知らぬところだが――この状況、ライブがてら一部の熱狂的な翼ファンの一派には配信されているとか。 どうやら、アークを相手に大立ち回りをする自分という図式により、自らの立場を確固たるものとして見せつけたいというのが本心のようだが、それにしてもこの小娘の発送はぶっ飛んでいる。 こんな正月前後にとんでも任務に駆り出されるリベリスタの不幸といったら笑えないレベルである。割とマジで。 「新年早々、少しくらいは休ませてくれても良いと思うのだが……」 ところがそうは行かないのがアークの常識である。年末だろうが年明けだろうが、フィクサードは絶えず大小様々な事件を模索することに余念がない。恋人たちのイベントなど何のその、家族サービス糞食らえ。 そんなネジがぶっ飛んだ奴でもない限り、フィクサードなんてやってないだろうとも言える。……革醒者にそもそもまともな生活がある例がどれほどかはさておき。 ここで便利な言葉はといえば、「芸能人に祝日は無い」といったところか。正義の味方も似たようなもんである。 「前のはある意味黒歴史って言うか、最後の生温い視線が痛かったって言うか……」 他方、一度翼と接敵した経験のある『魔法少女マジカル☆ふたば』羽柴 双葉(BNE003837)の脳裏を過るのは、すっかり魔法少女ライクに翼に宣戦布告叩きつけといでドン引きされたあの日のコトだ。 というか、マイナーである彼女のファンすらドン引きに巻き込んだこの小娘ときたら一体どれだけのポテンシャルを秘めているのか想像がつかない。あと大体姉のせい。 ついでに言ってしまえば。改良型とは言えアレの改良型をソレして戦いに挑んでる辺りもう……もう……。 (お父様、お母様。どうかわたしを護って) かと言って、彼らの背に付き従う様に動く『blanche』浅雛・淑子(BNE004204)はといえば、その身から漏れ出る弱々しい雰囲気とは似ても似つかぬ程度には、その芯は強かったと言えるだろう。 両親に思いを馳せ、自らの運命をも預ける心根が弱かろうはずもないが……いやしかしなんていうかごめん、得物からして何か前言全て撤回したくなった。何だこの。なんだこれ。 「まぁ……引き受けた分は働くわ……時間惜しいし」 他方、東側。実利的な言葉を吐くのは『深紅の眷狼』災原・闇紅(BNE003436)である。幾ら面倒な相手とは言え、結局のところ倒しておかねば後々が厄介だし、何より任務である以上は何とかせねばならない。 早く終わらせて正月ぐらいゆっくりしたいと思うのは誰しもが持つ当然の思考なのであった。 急ぎ向かうその足取りからも、事を急く様子が理解できるというものだろう。 「ところで、観客がいなくてもライブっていうのかね?」 「どうかしらね……言い張ってるならそうなんじゃないかしら……?」 彼女に並走する形で東側に急行する雪白 音羽(BNE000194)からすれば、色々と突っ込みたい所満載であることしか思考できなかった。 というかこのゲリラライブ(仮)、一体なんのためにやっているのだろうか。恐らくは、逆凪内でも明確な目標を知る者は少ないのかもしれない。だが、最終的には野球場ひとつ潰す見込みなのだ。仮に成功させてしまえば、何が起きるか分かりはすまい。 ……一応、であるが。フォーチュナも「儀式の準備行動」と言っていたわけだし。 「……なるほど、つまり殴って曲がった根性を叩き直せばイイって事ね!」 んでまあ、この突撃系覇界闘士の『炎髪灼眼』片霧 焔(BNE004174)さんからすれば何があっても真っすぐ行ってぶん殴るで解決するのかもしれない。しないのかもしれない。取り敢えず殴ればいいや的な流れであることは確かであった。 「もう少し他人に迷惑掛けないやり方はなかったのかしらね?」 「あってもやらないんじゃないかね? フィクサードだし」 「迷惑な話ね……」 いやはや、実に。 世に災いの種は尽きまじ、ということなのだろう。そうなんだろうなあ。 「ああいうノリって悪くないよね。……全体の空気の事さ。油断すると笑い出しちゃいそうな空気」 錆びついた鉈を携え、『SCAVENGER』茜日 暁(BNE004041)は緩く笑い、称賛とも愚弄ともつかない言葉を吐き出した。 ロマンは大事だけれど現実はもっと重要である彼にとって、目の前の現場に居るであろう少女の在り方は或いは面白みのあるものではある。だが、世界に反しているなら止める必要はどうしても出てくる。 その辺りは、バランスの問題なのだろう。勿体無いと思うくらいだ。 「なんであの子フィクサードとかやってんの?」 肩に脚立を抱え……ているのは流石に無いだろうから幻想纏いの中だろうか。『Le blanc diable』恋宮寺 ゐろは(BNE003809)は暁の言葉をよそに、素朴な疑問を吐き出した。 アイドルやりたいならまた違う道もあったろうに。革醒者であってもアイドルにはなれただろうに。アレか、実家がソレな場所だったとかそういうやつか。 彼女としては非常に惜しい逸材であると思っている。だから惜しい。だが、邪魔なら邪魔で倒してしまえ、とも思うわけで。その辺りの切り分けは、この少女非常に巧い。 で、傍らを往く梶原 セレナ(BNE004215)と『ファッジコラージュ』館伝・永遠(BNE003920)にとって、『実戦は』初めてである。故に、特殊な状況での戦闘は彼女達にとっても大いに今後の糧になる可能性がある。 尤も、ここまでぶっ飛んだ相手とそうそう戦う機会があるかというと難しい話であるが。 互いの幻想纏いから漏れ出る声が、カウントを始める。タイミングを図らねば、組織だったフィクサード相手に分散作戦は分が悪い。 何より、施設破壊を避けるには、何より優先して一気呵成と攻撃に移る必要があったのだ。 「やる事はいつもと同じ、近付いてぶん殴るか蹴り飛ばす!」 そんな彼女の声を合図にしたのかは解らないが――三方一斉に、攻撃が開始される。 ●あちゃーやっぱ覚えてるかー(棒読み 「どいてどいてー!」 応じる前に一発叩きこむ。それが双葉の方針だった。というかこの少女、突っ込んでってぶっこんで蹴散らすとか、やることが姉と大差ない。 大体戦闘なんてそんなもんだろうと言われればそれまでなのだが、にしても思い切りがいい。 「うわっ……あのアマ、この間の翼様のライブに居たフッキレた小娘だぞオイ」 「マジかー……噂に聞いてたけど実物は噂よりひでぇや」 「待って、何が酷いの!?」 「聞いている場合か!?」 いきなりであった。会って早々に過去の傷を抉られる双葉の心中いかばかりか。あと、駆け出しに等しい彼女を覚えているとはこのフィクサード共にとって彼女はどれだけのトラウマメイカーだったのか。 天井を駆け抜け、不意打ちを図る葛葉も思わず突っ込んでしまう程度にこいつらバカだった。 (お二人にもいろいろありますのね……) 待て淑子、いろいろあるのは主に一人だけだ。そこの魔法少女だけだ。 「全く……困ったモンだぜ実際」 「ああ、それはこちらの台詞だ。早々に決着を付けさせてもらおう」 一歩退き、準備態勢に入ろうとした男の手元へ向け、葛葉のクローが振るわれる。空間を圧縮し切り裂く一撃は、確実にその男の手元にあったスイッチを両断し、発動機構を無効化。 動揺した彼に間髪入れず踏み込んだ淑子は、そのまま思い切り戦斧を振り上げ、渾身の力で叩きつけ……返す手にある通信機ごと、男の腕を切り裂いた。 連携点、というよりは密閉状態に近い環境でのフレアバーストが功を奏したか、『目的は』達成したに等しい。完全制圧を考えなければ、ブロックされない分で先に向かう選択肢もあろうが、ここは確実に爆破されないためにも、全員を留め置く必要があった。 ……双葉が目指すのは最速攻略だったそうだが、そうも言ってられまい。 「お前ら、こういうとこ壊してったら字白のライブ出来る場所自体減って行くんじゃね?」 「分かってねえなあ旦那。俺らが誰かに許されてそんなことやる訳ねーだろ? 天下の逆凪がクッソつまんねえトーシロの許可なんて取るかよォ!」 「やっぱりこいつら下衆ね。ぶち抜いていいわね!」 「景気いいわね……楽できるからいいけど……」 音羽の問いに対し、術杖を振るって景気よく応じるフィクサード。だが、その言葉に被せられたのは焔による重撃であった。 焔の胸は平坦でアッハイなんでもないです。翼様も大概スレンダーです。 因みに、彼女に殴りかかろうとしたデュランダルは闇紅の構えた盾にかち上げられ体勢を崩し、そのまま小太刀に裂かれる華麗なるやられっぷりを見せてくれました。やったね目立ったよ! 「ココに長居は無用ね……悪いけどさき行くわ……」 起爆スイッチを一太刀のもとに両断し、そのまま一気呵成と攻め入る姿は、黒の突風にしか見えなかっただろう。やる気に欠ける言葉はあっても、受けたからには早々に。 そんな意気込みから発された行動が、遅々としたもののはずもなし。通信機は未だ健在だが、フィクサード三名はだらしなく倒れ伏すこととなった。 「……あ、おもてなしされてるのは僕らの方だったね?」 「招かれざる客をッテメ、もてなす訳がねーだろッコラァ!」 「はいはい、邪魔だからどいてくんない? アンタらに興味ないし」 ゐろはの閃光弾により動きを止めた愚鈍な一人へ向け、暁の鉈が闇を纏って振り下ろされる。抵抗はかなり激しい部類ではあれど、速度の観点からすれば明らかに遅くもある。 先手先手に回ることが、新人二人にとって肝要な戦場である以上、それは非常に有難いことでもあった。 「えいえんのトワ。貴方様を誘いましょう」 「手前ェに誘われたって実際嬉しくね……うォぁ!?」 「失礼なことを言う方ですね……」 永遠の言葉に対し苛立ち混じりに返した男は、しかし背後からセレナに組み付かれ、一瞬で近接格闘術(弓)により意識を刈り取られた。 これは恐い。弓で近接とかマジ恐い。 「数は数だけどこんなもんじゃねぇ」 「効率の方が大事だもんねぇ……」 行動失敗を恐れ効率的に配置したのが逆に仇となったか、浪漫を取って思い切りやったらそれはそれで失敗したのか。 定かではないとして……一応、南側の制圧も終了する。 ここまで数十秒の間にアーク間に目立った負傷者が出ていない(しかも全く回復が無い状態で)辺り、実は彼らとんでもないのではないだろうか。 ●そうね、大体そういう人だからね 「そこのアイドル――――リベリスタんなってウチの店とタイアップしようぜェ!」 真っ先に南側から飛び込んできたゐろはの構えは、プロのピッチャー顔負けの全力投球姿勢からの閃光弾投擲であった。 あと、さりげなくスカウトするのやめて差し上げろ(至言 「いきなり攻め入りながら言う言葉じゃ無いでしょ!? ちょっとぶっとび過ぎじゃないのドスロリ娘!」 翼、いきなりのアンブッシュに思わず口をついて出たのが言うに事欠いてそれである。ちょっと酷くないかそれ。 (永遠は良い子ですから……殺したくてたまらないけどここは我慢の子……) 目の前に居る翼、ひいては打倒し横たえてきた者達ですら、永遠は自らの手でとどめを刺したがった。だが、それを理性が何とか押しとどめる。 「字白ちゃんも勿体無いよね。そんな空気でうまくやれないのかい?」 「大概つまらないこと言ってんじゃないわよ――!」 暁の言葉にとうとうキレたか、はたまた邪魔された状態に苛立ちが溜まっていたのか。翼の放った電撃が、南側のメンバーを襲う……かと思ったが、何故か狙いが適当極まりなかった。 永遠やセレナですら避け得る精度は、彼女からすればやや有り得ないと言わざるを得ない。 「お久しぶりだねーマジカルハシバ、改めマジカル☆ふたば参上! っと」 「うわまた出た」 続いて西側、双葉達が雪崩れ込むが、初っ端双葉が無駄に決めポーズをやるものだから翼もややげんなりとした表情になっている。これはヤバイ。双葉の扱いがどんどん下がっている。 「この寒空の下、こんな場所で、そんな格好で、寒くないのか? 色々な意味を含めてだが」 「うるっさいわね、ほっときなさいよ! 色んな意味でほっときなさいよ!」 流石に、逆サイドから飛んできた音羽の言葉はいたいところだったのか、翼が両手を西側のメンバーに翳し、振り仰ぐ。ひどいやっつけによる八つ当たりである。 既に雷撃による磁場を形成していたのか、手首のアーティファクトが光を纏って周辺の瓦礫を持ち上げ、次々と彼らへ向けて叩きつけていく。 辺り構わず降り注ぐそれは、精度こそ低かれど当たれば尋常ではないダメージを負うのは必至。何より、神秘の力が上乗せされているだけに甘くはない。 「残念ながら、チケットを忘れてしまってな……あるのは、この拳のみ」 「かっこいいこと言ったつもりでしょうけど、旦那。ゲリラライブでチケットも何もねえモンですぜ」 「──義桜葛葉……推して参る!」 「はぐらかしたッスねぐぉァ!?」 葛葉の決め台詞が一瞬で突っ込まれ、次の瞬間、一瞬で倒されるクロスイージス。こいつ本当にかわいそうだな。庇い役ってこんな役回りばっかりかよ。 「本っ気で邪魔ね……」 自らへ目掛け降り注ぐ鉄骨を軽くいなしながら、闇紅は真っ直ぐに踏み込み、倒れたイージスの背を蹴って翼へと肉薄する。 最高速を維持した一撃が翼の胴を薙ぎ、至近で魔力の弾丸を受け止めた闇紅がきりもみしつつ後方へと飛んでいく。 至近距離でモロに食らったが、しかし彼女は後方へと敢えて飛んだ。周囲に感じられるほどのダメージは、実際の所無いに等しい。 「アイドルは顔が命! ――なら、別の場所を殴ればいいのよね」 「流石にアイドルに腹パンだなんてどこのソーシャルゲーともつかない行為はやめて貰えやせんかね、嬢ちゃん……!」 「アンタには用は無いわよ、どきなさい!」 「ごブぉ!?」 確かにそのとおりなんだけどその、タクトさんは無理に前に出るな。焔の相手は荷が重いから。マジで。 「……こ、の……好き勝手やってくれちゃってェ……!」 (それはこっちの台詞だと思うのですが……) 淑子は敢えて口にしないが、まったくもってその通りである。全部大体翼のせい。 それでも、彼女も追い詰められているからか色々とプッツンきているのだろう。でなければ周囲の鉄骨がここまでオブジェめいて配置されてはいまい。 それだけ、彼女が暴れた結果にほかならないのだが……彼女は彼女で、相当疲弊しているようにも見えた。 「ね、今度は普通にライブで歌って見せてよ。それとも、普通は嫌かい?」 「普通じゃァ楽しくないのよ! 主に私が! 主に! 私が!」 何故繰り返したのか……問いかけた暁が呆然と眺めるのをよそに、翼は通信機を片手に数歩下がり、そのまま踵を返す。 それを追うようにリベリスタが攻撃を集中させようとしたところで……北側から、爆発音が響いた。 がらがらと崩れる北側が、静かに瓦礫を撒き散らす中。 気付けば、翼の姿は何処にもなかった。逃げ足だけはとんでもない、ということなのだろうか。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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