●たこたこ上がれ リベリスタ達は『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)に呼び出され、いつものように会議室に集められていた。 テーブルには人数分の凧。こんなもので何をすればいいのだろうか。 「集まったわね。早速だけど、凧の上げ方はわかる?」 凧を上げる方法は簡単だ。紐を握ってほどよく紐を緩め、風に乗せて、後は紐の長さを調節するだけ。 大雑把にならわかるリベリスタの方が多い。それ以前に上げ方を知らなくても、形状から察する事ができる代物だ。 「今回のエリューションは凧なの。E・ゴーレム、フェーズ2、通称『カイトウ』。名前の通り怪盗らしく『盗む』能力を持ち、飛行能力を持つわ」 「カイトと怪盗か……。その盗むっていうのは?」 「確認できる中でも、こちらの使える技を盗んだり、装備品を盗んだり。逆言えばカイトウ本来の戦闘能力は低いから、強力なスキルや武器を持ち込まなければ有利に戦えるはずよ」 「つまり最小限の装備でいけって事か……。空中戦の用意だけは必要そうだが」 「カイトウを空から引きずり下ろして、地上で戦えばなんとでもなるはずよ。逆に空中での機動性では相手の方が上、注意が必要ね」 配られた資料によると、カイトウは凧の絵から怪盗が飛び出してくるという。凧と怪盗は分離して行動が可能だが、凧部分には大した戦闘能力はないと推測される。 「あぁそれと、私へのおとしだまは、作戦の成功報告でいいわ」 イヴはそういうと、成人しているリベリスタ達にジト目で微笑むのだった。 ●庭先で 青空の下で凧が揺れる。風に煽られるままに天高く舞う様を、人々は地上から眺めていた。 「ねぇ見てみて! ボクの凧、あんなに高くあがったよ!」 「はっはっはっ、信照は凧揚げが上手じゃのぉ~……」 庭先で凧を上げる父と子。信照少年の凧はふらふらだが、父親以上に高く飛んでいる。 「流石は若。お父様に劣らぬ凧捌き」 『流石は若』 黒いサングラスに黒服の男達。数十人にもなる彼らは野太い声で相槌を打つ。 信照の父『剛道 信勝(ごうどう のぶかつ)』は笑う。複数の鉛玉を手の中で転がしたような、ザリザリとした笑い声だ。 そんな時だ、信照の凧が急に激しく動き回り、紐が信照の手から離れる。それだけではない、なんと凧は独りでに宙を舞い始めた。 エリューション・ゴーレム、フェーズ2、通称『カイトウ』が革醒したのだ。 「あっ?! ボクの凧が!!」 「はっはっはっ、風に煽られたか信照?」 「違うやい……。あっ、ねぇ見て!」 信照が凧を指差すと、凧の骨組みに怪しい人影が見えた。遠くてよくは見えないが、信勝にもその影は人影に見える。 信勝の顔色がみるみる内に険しくなった。その様子に黒服の男たちは戦々恐々とする。 「せがれの凧に何してくれとんのじゃわれぇ!!! おい御前ら、あの舐めた野郎に鉛玉ぶち込んで来い!」 黒服の男達は猟銃を手にカイトウを追いかける。これはとある親子の、ありふれた正月風景だ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:コント | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年01月09日(水)23:29 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●怪盗ルビラン 一点の曇りもない青空の下、風に乗って鳥が舞う。 この時期はまだ肌寒く、時々河川敷を通り過ぎていく人達も厚着をしている。 ただ子供達はそんな寒さの中でも、元気に走り回って――。 「……いません?」 『空泳ぐ金魚』水無瀬 流(BNE003780)は幻視によって渡り鳥を装い、人もまばらな地上を偵察する。幻視は本来、異形をごまかす術だ。像は酷くぼやけておぼろげ、それでも地上を離れて飛ぶには十分だ。 『どうした同志よ』 AFから聴こえる声の主は『リング・ア・ベル』ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)だ。 彼女の顔には口裂け女を思わせる痛々しい傷跡が目立つ。しかし対峙した者が顔から視線を逸らすのは、そのキツめの軍服が主な原因だろう。 「子供達がいないんです! てっきり凧揚げしてる子達がいっぱいいると思ったのに……」 『……なんだそんな事か。人が少ないのはいいことだぞ、人払いが楽で助かる』 「今の子達はお外で遊びたがらないんですね……。寒いからでしょうか?」 『寒い? 我が祖国では、バナナで釘を打てるようになったら寒いというのだ。これしきならば幼子でも全裸で寒風摩擦できるというものだ!』 「……あははっ」 流の漏らした苦笑の吐息も、真っ白に染まった。 しかし人払いの手間は省けた。結界を展開し、エリューションとの接触を待つ。 『吐く吐息を白く染める寒空の下――風の子も言の葉を失う。そこに笑い声はなし――』 『カゲキに、イタい』街多米 生佐目(BNE004013)は露出した両肩を軽く擦る。敵との接触に備え重槍ヘビースピアを握り締めるが、その手はかじかむ。 『それにしても、カイトウ……だっけ? 今回のエリューションのコードネーム。カイトだか怪盗だか知らないけど、さっさと片づけちまおうぜ。盗まれた休日は帰ってこないんだ、即効で蹴り倒してやる』 無論リベリスタ達もそんな正月をのんびり過ごしたかったはずだ。不機嫌そうにする『デンジャラス・ラビット』ヘキサ・ティリテス(BNE003891)も、貴重な休日を潰されて苛立っている様子。 彼がつけたうさみみの飾りも、心なしかへんにょりとしている。 『同志諸君! 間もなく標的との接敵時刻である! 敵の能力にはまだ不明瞭な点が多いが、それに合わせて我々も限られた装備で望んでいる! 日頃の成果を示すのだ!』 戦闘において司令塔の役割を果たすレイザータクト、彼女が発する言葉は自然に一同の気を引き締めた。 『思い出せ! 北オホーツク海での氷河寒中水泳特訓を! 白熊と踊る北極での舞踏会の夜を!』 『思い出せません!!』 「ぐんぬるわぁぁっ!」 黒服の男が鬼気迫るでダッシュしている。 上空には、当然ヤツ。 「皆さん来ましたよ! 追ってくる黒服さんは……一人!」 流は追走しつつ、AF越しにベルカを呼ぶ。 『一人か! 同志エルヴィンの活躍に応えるぞ! 作戦開始!』 凧は姿を変質させ、エイのように鋭い尾を撓らせていた。凧に描かれた絵の中からは正月には場違いな白いタキシードの怪盗が姿を現す。 E・ゴーレム、フェーズ2、通称『カイトウ』は、『エアローン』と『ルビラン』という二つの固体に分離した。 『ゴキゲンよう皆様。ワタしの華麗なルショーにこれダけの観客が集まっテクレた事に感謝の意を込メ……』 ルビランは内側の赤いマントで自らを覆い隠す。するとマントの影からルビランは姿を消し、消えてしまった。 『コチらでス』 一同は振り返る。そこには確かにルビランの姿があり、その手にはなんと生佐目のヘビースピアが握られていた。 「それは私の……?!」 『少々、お借りしマス』 ルビランは軽く会釈をすると、頭に乗せたシルクハットを手に取る。槍をステッキのように握ると、矛先で帽子を叩いた。 『さぁ始めマショう。イッツ・ショータイム!』 シルクハットの中から無尽蔵に鳩が飛び立つ。羽ばたく音はけたたましく、戦いの始まりを告げた。 ●恐怖! 白仮面! 時を同じくして、剛道 信勝の自宅は大変なことになっていた。 カイトウが飛び去って、信勝が黒服達にカイトウを追えと命令して直ぐの事だ。 黒服達にカイトウを追わせないために動く『あるかも知れなかった可能性』エルヴィン・シュレディンガー(BNE003922)は、黒ずくめに白いマスクという明らかに異様な姿をしていた。 「なっなんだてめぇは!?」 「会長!! これが噂に聞く『変質者』では?!」 エルヴィンの姿は一般人に不審者と勘違いされてもおかしくない格好だ。彼が仮面の下にどれだけ優しさを秘めていようと、無機質な仮面はそれすらも覆い隠す。 だがそれでいい。自分が悪者扱いされる事で救える命があるのなら、彼にとってはその程度、些細な事だ。 「悪く思うな……!」 白面の下から覗く眼光が見開く。エルヴィンは魔眼を開眼し、信勝を見据える。 一方の信勝は視線を合わせはしない。エルヴィンに背を向けてしまっていたのだ。 「チッ……! ならこっちは……!」 続けてエルヴィンの視線が信照に向けられる。だが信勝が身を呈して信照を覆い隠しており、魔眼の力も親の意地には及ばなかった。 その様子にエルヴィンは思わず口元を緩ませる。仮面のおかげでその様子を見られることもないのだから、この白仮面もたまには役に立つようだ。 とはいえこのまま見逃すわけにもいかない。エルヴィンは颯爽と信勝の腕から信照を引き離すと、少年の身体を米俵を抱えるが如く肩に乗せ逃走を図る。 「うわっ?! わっ、早っ!?」 「すまないな少年、少し付き合ってもらうぞ……!」 「せがれになにしとんのじゃわれぇ!? 凧はいい! ソイツを捕まえろ!!」 黒服の男達がエルヴィンを取り囲む。だがそれは彼にとって、好都合だった。 軽々と塀を飛び越え包囲網を突破すると、彼はカイトウと逆の方へ逃げる。黒服の男達に合わせて遅く走るためか、子供一人抱えていても大した負担ではなかった。 黒服の男達を引きつけ逃げる中、信照は彼に話しかける。 「おじちゃん早いね! 実はボクもかけっこには自信があるんだ」 「……肝が据わってるな。俺が怖くないのか?」 「お父さんの雷より怖いものなんてないよ! それになんだろ……? おじちゃんからは嫌な感じがしないし、多分大丈夫だろうなって」 「曇りのないその瞳の前では、仮面など何の意味もなさない……か」 エルヴィンは黒服の男達を先導しながら、河川敷からより遠くへ離れようと走るのだった。 ●吹き抜ける息吹 「ちょっとごめんよ!」 カイトウを追ってきた黒服の男に、『破邪の魔術師』霧島 俊介(BNE000082)はスタンガンを押し付け、気絶させ、安全な場所まで運ぶ。これで人払いは完了だ。 戦況は苦闘を強いられている。『盗む』能力を警戒し、一行はルビランへ攻撃を集中させた。しかしスキル奪取対策の結果、やむなく火力不足にならざるをえなかった。 「多少決定打に欠けたとしても、その程度で負ける我々ではない……!」 ボルトアクション式小銃один/дваの照星を定め、撃つ。左肩を貫く。よろめくルビラン。その隙を突き放たれる一本の矢。ルビランの胸部が射抜かれる。 『朔ノ月』風宮 紫月(BNE003411)はカムロミの弓を構えたまま、次の矢を番う。 「貴方の動きは、既に見切りました」 『ヤリマスね、危なイ所デシた』 ルビランが矢傷をマントで覆い隠すと、その傷は一見元通りになっていた。だが確実に効いている、その証拠にルビランは胸元を強く抑えている。 「技を使えないのは、厄介ですが──それでも、研鑽して来たこの身に宿る経験までは、真似は出来ないでしょう」 『まさカ私の心(臓)を射抜クトは……。だが怪盗ノワタシがハートを盗まレルわけにはいかないのデね』 「次はハート(命)を射抜かせてもらいます。覚悟なさい」 紫月は二射目を構える。だが矢を引く前に突如突風が吹き荒れた。 「きゃあ?!」 かまいたちが紫月の身体を切り刻む。破けた巫女装束の下から防護服が垣間見える中、身に纏う衣に朱が交じる。 紫月を襲ったのはエアローンの攻撃だ。すかさず負傷した紫月を仕留めようとルビランが動く。 リベリスタ達は絶え間なく攻撃を続けることで、紫月からルビランを引き離す。彼女の傷を癒そうと『プリムヴェール』二階堂 櫻子(BNE000438)は急ぎ駆け寄った。 「しっかりして風宮さん、直ぐに止血しますから……」 櫻子は静かに詠唱を始める。戦場を聖神の息吹が吹き抜け、傷ついた仲間達を癒していく。紫月の負った怪我も次第に癒え、血の気の引いていた顔色も生気を帯びる。 『ホう、ソの様な技ガ有るのですか』 だがその息吹が、この戦いをより過酷な物とする要因となった。 ルビランは詠唱を始める。再び戦場を吹き抜ける息吹に、リベリスタ達の悪寒は的中した。 『サァ、仕切り直しと行きマシょウ』 ●鮮血の紙吹雪 十分に黒服の男達を引きつけたと確信したエルヴィンは、身を翻し河川敷に向かっていた。AFから聞こえる戦況報告は思わしくない。彼の中では自分がいない間に何があったのかと不安が募る。 彼は河川敷に駆けつけると、AFで流に呼びかける。 「どうした……! なにがあった」 『少しマズイ状況です。ルビランが治癒能力を得た事で状況は振り出しに、いえ、最初の時より悪くなっています……!』 エルヴィンが一同をざっと眺めると、一番疲弊しているのは櫻子のようであった。外傷はない。しかし他のリベリスタ達と比べても、著しく神秘の力を消耗しているようだった。 エルヴィンから一足遅れで俊介も戦場に戻る。これで全員が集結した、勝負をかけるなら今だ 深い深呼吸。ヘキサは全身の力を抜き集中し、飛び出すタイミングを見定める。 「敵がどれだけ回復してきても、それを上回るペースで攻撃すればいいんだ……。速さなら、負けないっ!」 求められるのは回復の暇を与えない圧倒的スピード。変則的に動くルビランが着地し動きを止める瞬間、白兎は駆ける。 シルヴァームーンから飛び出した白銀の刃が煌めく。 「喰い千切れ、兎の牙ァッ!!」 鮮血。否、ルビランから散ったのは真っ赤な紙吹雪であった。 太刀筋が半月の残像となり、ルビランの胴を逆袈裟に引き裂く。紙から這い出たルビランの身体は、まさしく紙の如く破かれたのだ。 『グゥッ?!』 ルビランは倒れない。仰け反るのを堪え、握りしめた槍の矛先をヘキサに向けた。 「同志はやらせん!」 銃声。再びベルカの一撃がルビランの肩を撃ちぬいた。ルビランがよろめく一瞬を生佐目は見逃さない。 続けて生佐目が迫る。その手に握られていたのは、なんとバス停の標識塔だ。 「私を敵に回した貴様の罪、罰はその身を持って味わうといい――!」 生佐目は標識塔を支える重り部分、コンクリートの塊をルビランに向け、標識塔を渾身の力で投げつけた。 純粋な質量による攻撃。ルビランの手からヘビーランスが離れた。すかさず生佐目は愛用の重槍を奪い返し、ルビランを貫く。 『……ククッ。流石二ココで果てル身ノ上でハ、先程のヨウに気の利イた事は言えマセんねぇ……』 「盗人に対価を求めることほど愚かしい事はないのでしょう――首を求めぬ理屈はないがな」 『窃盗ノ罪デ斬首とは、コレは手厳しイ……』 ルビランの肉体が紙切れとなって散る。残るはカイトウの本体、エアローンのみ。 リベリスタ達はこの勢いのまま、一気に勝負をかける。 ●光の矢 空中ではすでに流がエアローンと対峙していた。 エアローンは接近する流を鞭で蹴散らそうとする。しかし流は打ち据えられながらも鞭を掴み、腕に巻きつけて急降下を始めた。 「自由に空を舞うのは、ここまでなのですよ!」 エアローンが暴れると鞭の締め付けが強くなり、腕が悲鳴を上げる。鋭利な鞭が食い込み、激痛と共に血が溢れだす。 しかし流はその痛みに耐え、自らが地面にたたきつけられる事も恐れずエアローンを道連れに降下する。自由に動くこともできない凧など、的も同然だ。 俊介は落下してくるエアローンを見据え、詠唱を始める。周囲に展開される魔法陣に光が収束し、タイミングを見定める。 「ホリメだからって攻撃できない訳じゃあないんだ!!」 光の矢がエアローンを貫いた。敵が射程に入ると同時にセイクリッドアローは放たれ、収束された光の束が矢となり敵を射抜く。 ルビランが消え無地となった紙が燃え、瞬く間にエアローンは炎に包まれる。 火の玉となって地面に落ちた凧は再び飛ぶこともない。直ぐに灰となって燃え尽き、風に流されていった――。 「あぅ~…スキル泥棒さんのお相手はもうしたくありませんですぅ~」 戦いが終わり、傷ついた仲間の手当を終えた櫻子はぐったりとしていた。ルビランが聖神の息吹を使うエネルギーは櫻子から出ていたようで、神秘の消耗は丸々二人分だ。 同じホーリーメイガスという事もあり、俊介は櫻子の様子を気にかける。 「回復なら俺がやってもよかったのに、さくらこちゃんは頑張り屋さんだな」 「あれくらいの事でへこたれてられませんから」 櫻子は笑顔で両手をぐっと握り、元気な事をアピールして見せた。彼女のおかげで流の腕も元通り、後は事後処理を残すのみだ。 このまま帰っても処理班が何とかしてくれるのだろうが、俊介は信照に同じ凧を買ってあげようと思い立つ。 まだ昼という事もあり、その日の内に同じ凧を手に入れることはできた。 「じゃあこれを剛道 信照宛で送れば、万事解決かな」 櫻子が首を傾げている。少しだけ考えた後、なぜ自分が首を傾げたのか理由がわかった様子だ。 「……えっと、差出人不明の小包がいきなり送られてきたら、きっと怖いと思うんです。黒服さん達だってきっと爆破物かなにかだと思うんじゃないかなと……」 「……じゃあどうしよう」 「拾ったことにして、直接手渡ししたらどうですか?」 ●あけまして 「これ、河川敷に落ちてたんで」 「ありがとう! お兄ちゃん!」 十数人の黒服の男達が囲む中、俊介は信照に凧を手渡していた。 目の前の少年だけ見ていれば問題ないのだが、自然と左右のソレからは視線を逸らす。 「あぁ~……、これはどうもご親切にぃ……」 少年の父親である信勝も軽く頭を下げ、信照少年の頭を撫でている。 ヘキサはその様子を陰ながら見守っていた。彼の表情は少し複雑そうで、作り物のうさみみがロップイヤーのようになっている。 「ところで少年、ホワイトアークドラゴンLv.50を求めているようだが……」 突然生佐目が話にはいってきた。ホワイトアークドラゴンLv.50とは信照少年が探しているという、ゲームに出てくるモンスターである。 「うん? そうだけど」 「勝負は仲間のレアリティで決まるものではない、私が証明してやろう。というわけで、このゲームのルールを教えて下さい、お願いします、何でもしますから……」 リベリスタ達がやたら低姿勢だなとつっこむのを堪える中、信照は寒さも吹き飛ばすような笑顔を見せる。 「いいよ! ボクもまだあんまりやってないけど。いいよねお父さん?」 「はっはっはっ、いいともいいとも。せがれと遊んでやってください」 その後1時間だけゲームを遊んだあと、結局なし崩しでリベリスタ達は凧揚げに付き合う事となった。 途中、黒服対ベルカの「持って来い」遊び。女性陣対抗羽子板三本勝負(負けた方は顔に落書きをされる)。男子対抗ベーゴマ対決(黒服参加、賞金と称したお年玉あり)などが行われたため、結局帰る頃には夕日が沈み始めていた。 「それにしても、ありふれた日常、ね……」 その中で一人だけ混ざることの許されない男、エルヴィンは物陰で苦笑いを浮かべる。 剛道親子との別れ際、紫月は見返り微笑む。その顔は墨汁による一切の汚れもなく、反してべっとりと着物に付着した墨汁。その様は返り血を連想させるものであったという。 紫月が最後に「良いお正月を」と一言だけ言い残すと、一同はその場を後にした。 新年始まって間もないエリューション事件。それもリベリスタ達の手によって無事解決し、親子の笑顔は守られた。サングラス下に隠れた黒服の男達の表情も、心なしか穏やかに見える。 後にその報告を聞く事となるイヴの表情も、きっと穏やかになってくれる事だろう。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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