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<クリスマス2012>クリスマスパーティーはパスタでも食ってろ!


 三高平にクリスマスがやって来た!
 この日ばかりは命を燃やして戦うリベリスタ達も、一晩の安息が赦される。
 ある者は馬鹿騒ぎに興じ、ある者は愛するものと安らかな夜を過ごすのだろう。
 これは赤い服の老人が、子供ならぬ戦士達に与えたプレゼント。
 さぁ、パーティーの始まりだ!
 今はこのひと時の平和を楽しもう。


 雪の三高平。アーク本部内。
 マッチを売る少女の如く、チラシを配る少年がいた。
 『運命嫌いのフォーチュナ』高城・守生(nBNE000219)である。
 マッチ売りの少女と比べ悲壮さに欠けるが、表情の必死さは負けていないのかも知れない。命がかかっているからとかではなく、単に苦手だからという訳なのだが。
「クリスマスに忘年会を兼ねてクリスマスパーティーをやることになったんだ。もし良かったら参加しないか?」
 書かれている場所は三高平市内のイタリアンレストラン。
 どうやら、ここを貸し切りにしてクリスマスパーティーを行うらしい。さすが、時村財閥は金を持っているだけのことはある。
 太っ腹!
「料理のメインはパスタだな。質も量もかなり高いみたいだな。そんな場所でお洒落なパーティーって言うのも悪くないんじゃない、か?」
 珍しくスラスラ説明出来ていた守生だったが、最後の最後で気恥ずかしさが出てきたらしい。それでも、半年前に比べれば格段の進歩だが。
 ともあれ、せっかくの美味しい食事が並んでいるのだ。パーティーを楽しむのにしくは無い。
 あるいは、今年の思い出話に華を咲かせたり、新たな年への抱負を語り合うのも悪くは無いだろう。
「そんな感じだ。気が向いたらよろしく頼む」
 チラシを渡すと守生は去って行く。
 良くも悪くも、人は変わって行くものなのだろう。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:KSK  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年01月04日(金)22:05
皆さん、こんばんは。
ピザ喰い、KSK(けー・えす・けー)です。
今回はクリスマスパーティーです!

●目的
 クリスマスパーティーを楽しむ

●場所
 三高平市内のイタリアンレストランです。時間帯は夜です。
 貸し切りなので、あまり細かいことは気にせず騒いで下さい。

●行動について
 今回はシーンを主に2つ設定しております。
 片方のみでも、両方混ぜても構いません。

1.イタリア料理
 パスタが用意されています。オイルソース・ミートソース・クリームソース・バジルソース、様々なものが用意されています。デザートとしてティラミス・パンナコッタ・ジェラートなども。
 また、大人の方にはイタリアンワインも用意されています。

2.語り合い
 今年の思い出や来年への想いを語ったりしましょう。

3.その他
 上以外の行動でも構いません。

●イベントシナリオのルール

・参加料金は50LPです。
・予約期間と参加者制限数はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・イベントシナリオでは全員のキャラクター描写が行なわれない可能性があります。←重要!
・獲得リソースは難易度VeryEasy相当(Normalの獲得ベース経験値・GPの25%)です。
・特定の誰かと絡みたい場合は『時村沙織(nBNE000500)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合(絡みたい場合)は参加者全員【グループ名】というタグをプレイングに用意するようにして下さい。(このタグでくくっている場合は個別のフルネームをIDつきで書く必要はありません)
・NPCを構いたい場合も同じですが、IDとフルネームは必要ありません。名前でOKです。
・内容は絞った方が描写が良くなると思います。

 守生も参加して、適当に食べています。
 話しかければPCの写真を撮ったりするでしょう。

参加NPC
高城・守生 (nBNE000219)
 


■メイン参加者 22人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
覇界闘士
テテロ ミーノ(BNE000011)
デュランダル
鬼蔭 虎鐵(BNE000034)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ソードミラージュ
司馬 鷲祐(BNE000288)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
ソードミラージュ
リュミエール・ノルティア・ユーティライネン(BNE000659)
クロスイージス
春津見・小梢(BNE000805)
スターサジタリー
モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)
プロアデプト
阿野 弐升(BNE001158)
クロスイージス
ツァイン・ウォーレス(BNE001520)
覇界闘士
設楽 悠里(BNE001610)
ホーリーメイガス
ルーメリア・ブラン・リュミエール(BNE001611)
覇界闘士
祭雅・疾風(BNE001656)
覇界闘士
宮部乃宮 火車(BNE001845)
ナイトクリーク
レン・カークランド(BNE002194)
ソードミラージュ
鴉魔・終(BNE002283)
ホーリーメイガス
レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)
ナイトクリーク
宮部・香夏子(BNE003035)
ホーリーメイガス
雪待 辜月(BNE003382)
レイザータクト
ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)
マグメイガス
シェリー・D・モーガン(BNE003862)


 外へ出ると、そこは一面の雪景色だった。ホワイトクリスマスと言う奴だ。
 そんな冬の三高平、団地を出た所で火車はレンを見つけると手をひらひらさせて近づく。手に持っているのは1枚のチラシ。
「レンもろくなモン食ってねぇだろ。折角だ、食い散らかそうぜ?」
「結構しっかり食べている方だが、外食は少ないな。楽しみだ」
 チラシに書いてある。アークのリベリスタであれば、参加に問題は無い。
 こうして2人はクリスマスパーティーの会場に向かっていった。


「かんぱーい!」
 快が音頭を取って、クリスマスパーティーは始まった。ぶつかり合うグラスの中で泡が躍る。
 そして、リベリスタ達の前へと様々なパスタが運ばれてきた。リベリスタの商売が決して薄給な訳ではないが、ここまで豪華に食べられる機会等、年を通じてもそんなに多い訳でも無い。
「それにしても、スパゲティだとワインって気分にならないけど、ペンネやマカロニだとワインの肴って感じで杯が進むのは不思議だな。麺類でお酒飲むことがあんまりないから、スパゲティだと違和感あるからかな」
 店で扱っているのは日本酒だが、どうやら酒には一家言があるようだ。饒舌に語る快。もちろん、酒も舌を滑らかにしているのだろう。
 その横で弐升は幸せそうにペペロンチーノを口に運んでいる。ニンニクたっぷりで唐辛子を多めに入れた奴だ。強めの香りがたまらない。
「パスタならいくらでも食べられる気がする。好物ですしねー。あ、ワインおかわりしよ」
 あっと言う間に一皿平らげると、二皿目とワインのお代わりを注文。おかわりがやって来るまでの間、酒の肴代わりに1年を振り返ってみる。
「あー……今年一年色々なことがあったなぁ。戦ったり戦ったり戦ったり」
 弐升の動きが止まる。リベリスタの生き様と言うのは因果なもんだ。
「よく考えなくてもそんなに色々なかったわ。とりあえず、メリクリって言っときゃオチるんじゃね?」
 そんなことを言っていると、次の皿がやって来る。すると、弐升は嬉しそうにつつき始めた。食欲って言うのは何物にも勝るもんだ。

「火車、それ全部食べるのか? パスタ好きなんだな」
 レンは火車の前に山と積まれたパスタの群れ。ほうれん草にサーモンのクリームソース、ミートソースにペペロンチーノ、香草系に海鮮系と色とりどりだ。
「おう? 食うぞ? パスタ結構好きなんだよ! ほれレンも食え! そんでデカくなれ!」
「うん、まだまだおかわりするぞ」
 レンはせっかく身長が今年で3cmも伸びたのだ。せっかくの成長期。いつの日か、必ず火車だって追い抜いて見せる。そんなレンの気持ちを読み取ると、火車は豪快に笑ってその頭を撫でる。
「ははー! 2m越せばオレなんざ小人だよ!」

 レンの同居人、設楽悠里もまた、親友の御厨夏栖斗と一緒にパスタを食っていた。このクリスマスに恋人ほったらかしにして何をやっているのやら。
「クリスマスに野郎とパスタとか本当に何してんだろうな」
「別に遊んでもらえない訳じゃないからね! お楽しみは後でってか、兎に角会う約束はしてるから!」
 叫んだ後でため息をつくと、パスタを凄い勢いでかっ込む2人。息がぴったりなのが逆に悲しい。
 相手に別の予定があったりとか、色々事情がおありなんである。ここは突っ込まないでおいてあげるのが武士の情けというもの。
「どう思う? パスタ野郎」
「ぶっちゃけ気持ち悪いよね、パスタ野郎」
「だよな、パスタ野郎」
 しばらくの間、2人は黙々とパスタを口に運ぶ。
 悠里はワインも飲んでいる。大人の特権だ。
 そして、夏栖斗がポツリと唐突に呟く。
「なぁ、パスタ野郎」
「なんだい、パスタ野郎」
「お前絶対に死ぬなよ、パスタ野郎」
「そっちこそ、死なないでよ。パスタ野郎」
「あたりめーだ、そう簡単に死なねぇよ」
 2人は幾多の戦場を戦い抜いてきた。その中で、悪意と縁が結ばれてしまうこともある。
「それと、負けるなよ」
「悪意の塊になんか負けるつもりねぇよ」
 拳をぶつけ合う夏栖斗と悠里。
 悪意に負けない心の強さ、そして絆はここにある。

「うむっ! こちらはサッパリしっとりで美味!」
 ペペロンチーノを食べてベルカはすっかりご満悦の表情だ。
 好物だから自分でも作るが、やはりプロが作ると一味違う。自分が作ると油でべとべとになりがちだが、そんなことが全く無いのだ。
「これも美味しいな。どれが美味しいかは、評価に困るね」
 色々な種類のパスタに手を出しながら、疾風も舌鼓を打っている。デザートやワインもあり、食べているだけでも十分楽しめる。
「今年も色々あったなあ。もうこんな時期か、早いものだな」
 一息ついた所で、何となく外を眺める。外には雪が降り積もり、ライトアップされて鮮やかな景色が映っている。これも自分達が厳しい戦いを乗り越えてきたからこそ見られる、平和な光景だ。
 来年の今頃、自分はどうしているのだろうか?
 ヒーローを目指して、必死に駆け抜いてきたのだ。リベリスタとしても、スーツアクターとしても、この道を進み続けたい。
 過去に戻る事は出来ない、けれど明日の希望を護る事が出来る。疾風はそう信じている。


「で? 何の集まりだったっけか?」
 クリスマスの夜に女の子とテーブルを囲んでいる割に、いつものように不機嫌そうな表情の守生。もっとも、普段のそれと比べると「苦笑交じりの」とか「やれやれといった顔の」と言った雰囲気であるが。
「と言うか、パスタって何なのでしょう? 香夏子はカレーを食べに来たのです」
 【なのはな荘】の面々の前に置いてあるのはカレーライス。
 しかもわざわざ持参したものだ。
「あははは、ごめんなさいなの。多分こうなるよねって思ってたの」
 ルーメリアが済まなそうに笑っている。まぁ、彼女らが参加すると聞いた段階で、天の声もうっすらと分かっていたことではある。ツッコミが遅れた守生はご愁傷様と言うことで。
「ハッ!?」
「今度は何だ?」
 香夏子が何かに気付いた所に、守生は律儀に反応してしまう。
「コレを見ながらカレーを食べるのもコレはコレでいけるのじゃないでしょうか? どう思います、パスタ野郎さん!」
「知るか! あと、誰がパスタ野郎だ!」
「ダメですか? やっぱりカレーが一番ってことですかね?」
 ツッコミ疲れた顔の守生を気にも留めず、香夏子はいつものように無表情にカレーを口に運ぶ。何処となく幸せそうなのは見間違いではないだろう。カレーを食べていれば幸せなのである。
「そもそもダリィーズにテンション維持とか無理だから。あと、ほら周りがやたらとテンション高いと逆に冷める時ってあるじゃん? あれあれ」
 フォローになっているのかなっていないのかよく分からないフォローを入れる小梢。
「言わんとすることは分かるが、クリスマスの女子が言う台詞としてはどうなんだ、それ?」
「まぁ、そう言わずにカレーでも一口、欲しい?」
 小梢がカレーをすくってスプーンを差し出すと、守生は引っ手繰るようにして食べる。カレーは嫌いじゃないし。そこへルーメリアが真っ当にフォローを入れる。
「モリゾーさん、パスタおいしいの、ほら、これとか、あーんして、あーん!」
 なんかヤケっぽい様子でカレーとパスタを食べる守生を見て、ルーメリアはなんとなしに思った。
「なんか最近笑顔が柔らかくなってない?」
「んなことない。気のせいだ、気のせい」
「え、あ、気のせい? そっかなー、そっかー……」
 でも、答えた守生の表情は明らかに以前よりも優しげなものだった。

「2012年……まあ、退屈はしないで済んだ年でした」
「俺は、そうだな、努力の必要な頃だったと思う。あれこれ考える機会が多かったな」
 山と積まれたパスタを喰らいながら、モニカと鷲祐は何やら激論を交わしていた。せっかくのクリスマスだというのに、色気の無い話だ。
「ここ最近は宣伝行為の信頼性とでも言うんですか、それ自体が失墜している感もあるんですよね。ほらステマとか色々あったじゃないですか」
「……だから、紙面を埋めるためにはまず営業努力というかな。何を提供でき、どれだけの価値かを伝えるための研鑽が……あ、ワインを。赤で」
 とまぁ、そんな話をしていたかと思うと、10分後には会話が明後日の方向にぶっ飛んでいた。
「光学兵器の何が一番現実的じゃないかって単純に扱い辛いんですよ。神秘的技術を流用すれば一応は可能になりますけど、それなら既存の実弾兵器に神秘適用した方が余程楽だし効率的なんですよ」
「やはり光学兵器は難しいのか? 実体武装は大いに魅力的なんだが接近戦用として、例えばレーザー刃のようなものは……」
 話がどう発展すれば、ここまで話の内容が変わるのか。
 鷲祐の背中にモニカがこっそり張り付けた張り紙が、おそらくその答えと言えるだろう。
『↑こいつ最速にアホ』

 ミーノはいつもの調子でポーズを決めながら、本人談の「かんぺきないたりあご」を披露し、リュミエールはそんな彼女の様子を無表情に眺めていた。
「ぼーの! どみのぴざ! ごるごんぞーら! なぽりたん! ぴざはっと! ぺぺろんちーの! ミラノふうどりあ! ぴざーら! らざにあ! かんぺきないたりあごをべんきょうしたの!」
 明らかに間違っているものも紛れているが、リュミエールは突っ込まない。代わりに、ミーノもたしか欧州出身だったんだよなーと思っているだけだ。もっとも、具体的に何処かは答えが返ってこなかったが。
「ぱすたおかわりっ! こなちーずおかわりっ! ぴざっ! ぴざぴざぴざぴざぴざぴざぴざ! ここはっ?」
「ピザはパスタじゃねーダロ。ほら、そんなことより、食べさせ合いするカ?」
「あーんっ!」
 大きく開けたミーノの口へと自分の皿のパスタを差し出すリュミエール。こんなことをして、自分が食べさせてもらったことは無いが、まぁ、そういうものなんだろう。そんなことよりも、べとべとに汚れてしまったミーノの口元の方が大変だ。
「あー、また頬よごしやがって……」
 ティッシュを探すリュミエール。しかし、見つからない。しかも、当のミーノは騒ぎ疲れたのか眠ってしまっていた。
「ティッシュもうネーシ、舐め取るか」

 パスタと言うものをしっかり並べてみると、かなりの種類があるものだ。言われてみれば、あちらでの主食であり、専門店ともなれば当然それが網羅される。レイチェルならずとも、迷ってしまうだろう。そこで彼女が取った作戦は、端っこから地味に制覇していく作戦。色々な味が楽しめるし、その中でお気に入りに出会うことが出来れば重畳だ。
「あたしクリームソース系が好きなのよね。まぁでも、こういう機会があればさ、好きなもの以外も結構口に出来るわけだし」
「ふぅん、ウィンウィンは白いのが好きなのか。白い液体っぽいのが……」
「白い液……バカじゃないの、もうっ!」
 竜一の言わんとするところに気付いて、顔を赤らめるウィンウィンことレイチェル。
 セクハラまがい、というかセクハラそのものな発言。それでもガチに怒られないのは、彼の人徳か。一番正しい理由は「そういう奴で通っているから」なんじゃないかと言う気もするが。
「女子力高い子は体重とか気にするもんだったと、俺の美少女ゲー脳は言ってるんだが……さらに言うなら、あーん、してくれるルートだと俺の脳は言っている!」
「え、何? 食べさせて欲しいの? じゃあ……」
 レイチェルはミートソースパスタを取って持ち上げる。
 竜一はレイチェルごと食べようとしているんじゃないかと言う勢いで口を開ける。
「はい、あーん……とか絶対やらないから安心して」
 そして、レイチェルはパスタを自分の口に運び、竜一は盛大につんのめる。
「って、やらねえのかよ! ……もう、口元にミートソースついてるゾ」
「じ、自分で拭くってば」
 しっしと竜一を手で追い払うレイチェル。
 とは言え、傍から見ると何となく楽しそうなんであった。

 そんな割といつも通りなリベリスタ達の中で、一際目を引くのがドレス姿のシェリーだった。マナーも完璧で所作も美しい。中身を知らない人であれば、確実に勘違いしてしまうだろう。一緒にいる辜月もついついドキドキしてしまう。
「シェリーさん、パスタだけじゃなくて、こちらのデザートとか美味しいですよ?」
「そうか、いただくとしよう。それより雪待、あまり食べてないようだが大丈夫か?」
「大丈夫です、元々小食なので」
 差し出されたパンナコッタを口へ運ぶシェリー。よくよく見ると、かなりの皿を彼女は食している。「伸縮自在の胃を持つ女」の名は伊達じゃない。そんな彼女を辜月は幸せそうに微笑み、見守っている。
 その視線に気付きシェリーは、少し顔を赤らめる。
「独り身となった妾が、こういった日を寂しさを感じることなく過ごせるのはおぬしのおかげだ」
 普段だったら素直に言えない言葉。こういう機会だからこそ、口にしてみる。
「ありがとう。……これからも宜しく頼めるか?」
「何時もシェリーさんに支えられて感謝しています。こうして素敵な時間が過ごせることも」
 シェリーのペースに合わせて、辜月は訥々と語る。
「ですから、私からこそ宜しくお願いします。穏やかで優しい日々をシェリーさんが過ごせますように」
 願わくはこのような日が永遠に続かんことを。

 そろそろ宴も終わりの時が近づいてきた。
 あちらこちらで食べるのを止めて、歓談するものが出ている。残っているものも、ワインやデザートへ集中する時間帯だ。
 終も一通り食べ終えて、ご満悦の表情だ。
「スパゲッティーがメインとはいえ、前菜とスープも中々だったな。カプレーゼにミネストローネ、どちらも絶品!」
「イタリアンワインも中々でござったな」
 頷く虎鐵。
 普段は禁酒だが、今日という日ならちょっと位はアリだろう。今だってまだまだ飲んでいる。問題はそろそろちょっとで済まなくなりそうなところではあるが。
「ほうれん草とベーコンのクリームスパ、冬の定番だよね~」
「うむ、やはりベーシックなのが一番いいでござるな! おおっと、まだティラミスを食べていなかったでござる!」
 虎鐵は慌てて注文に走る。あの甘さと苦さの絶妙なコラボレーション、ここで逃すには惜しい。
 そんな彼を見て、終はくすっと笑うと、現在アークを危険に晒している敵、『楽団』のことを思い出す。そう言えば、彼らもイタリア人だった。今日の自分達と同じものを食べているのだろう。そして、彼らは何を感じているのだろうか。
(楽団の人は細い人が多い印象だよね……。神秘界隈の人だもの、胃袋はきっと四次元仕様……)
 直接相対したことはまだない。
 だから、同じものを食べて、同じように美味しいと思っているのなら、やっぱり同じ人間なのではないかと思ってしまう。
「広がりつつあるパスタ野郎の輪☆ パスタを食べれば皆兄弟☆ な~んてね☆」


「今日もずいぶんと喰わされたな……」
 パーティーが終わり、参加者は三々五々と散って行く。
 守生も雪の三高平で帰路に着く。
 元々食は細い方だ。そして、こういう機会には周りから食べさせられるが、不思議と辛いと思ったことは無い。三高平に来る前は、そんなこと思いもしなかったのに。
「モリゾー! メリークリスマス! チラシ配りとパーティー、お疲れ!」
「こちらこそ、だ。あんたらには今年一年、世話になりっぱなしだったからな」
 守生はツァインにもパーティーの間中、パスタを盛られ続けていた。食い切られたら負け、という勢いで。一方のツァインは怪我が治って来たのもあってか、元気よくスープスパを食っていた。
 そして、同じ帰り道を歩く中、サンタクロースに扮してケーキを売るコンビニの店員を見かけて、ツァインが神妙な顔をする。
「しかしモリゾー、俺の見立てだとお前は一つ勘違いしている事があるな!」
「なんだよ、唐突に」
「まぁ去年アークにいなかったんだから無理もない。よーく聞くんだ……実はな……」
 ツァインの真剣な様子に、守生も聞き入る。
 去年、何かあったのだろうか?
「サンタは可愛い女の子なんだよ! 爺さんじゃねぇんだコレが! カルチャーショックだったわー」
 力説するツァインを胡乱げな表情で見返す守生。噂に聞く『百虎真剣』は人の正気をも切り裂いてしまうのか。
「なんだよ、マジだぞ! 信じてないのか! 運が良かったらお前も見れるかもな、スニッカちゃん!」
「可愛い女の子とかだったら、リベリスタの誰かに捕まるんじゃないのか?」
「あ、ちなみに時間止めてる間に配るらしいぜ? 捕まえられる訳ねぇよな! アッハッハッ!」
 気の無いツッコミをしたら、それ以上の設定を語られて、口をつぐむ守生。「ダメだこいつ、早く何とかしないと」、そんな表情をしている。
 そして、ツァインの言葉が本当だということを守生が知るのは、その日の深夜のことだった。

 クリスマスの夜は更けて行く。
 三高平のあちこちで、様々な物語を紡ぎながら。
 また来年も、平和なクリスマスを迎えられることを祈りながら。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
『<クリスマス2012>クリスマスパーティーはパスタでも食ってろ!』にご参加いただき、ありがとうございました。
クリスマスの一幕、お楽しみいただけたでしょうか?
パスタ野郎との戦いは続きますが、それを喰らう勢いで頑張って下さいませ。

どうでも良いのですが、「パーティーの始まりだ!」という152歳の老人、このゲームには別にいましたね。ジャックって人が。

それでは、今後もご縁がありましたら、よろしくお願いします。
お疲れ様でした!