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ボクらの大冒険

●この道の先
 この道をずっとずっと先まで行くと、どこに繋がってるんだろう――最初にそう言ったのは、ボクだった。
 海に繋がっているらしいよ――そう答えたのは、カッチンだったと思う。
 それじゃ、今から行ってみようぜっ――それでケンタがそう決めた。

 それからボクたちは、ずっとずっと自転車を漕いだんだ。
 昼ご飯の時間になって、カッチンが持っていたお小遣いでパンを買って、三人で分けた。
 それでまた、ずっとずっと自転車を漕いで――そこはもう全然知らない場所だったけど、それでもずっとずっと自転車を漕ぎ続けたんだ。
 いつの間にか夕方になって、ケンタがもう帰りたいと言い出した頃に……やっとボクたちは終点に着いた。
 道の先には堤防があって、そこの下には砂浜。そして砂浜の先には、夕日が海に反射して輝いている。
「本当に、海に着いちゃったね……」
 すごく疲れているはずなんだけれど、それよりももっと体が嬉しい気持ちでいっぱいで、二人もおんなじ気持ちなのかなと思ってボクは横を見てみたんだけれど……二人はそこにいなかった。
 いなかったっていうのはちょっと違うかも。二人の体の下半分はそこにあったんだけれど、上半分はそこになかったんだ。
 ボクはやっぱり疲れていたのかも……全然頭がまわらなくて、
(二人共疲れて、上半分だけ先に帰っちゃったのかな……?)
 なんてぼーっとした頭で考えた。そしたらいつの間にかボクの前に、なんだかもやもやっとした風みたいなものが……出てきて……それで……。


●ブリーフィング
「冒険っていう言葉だけで、なんだかわくわくするような、楽しい気分になると思わない?」
 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)はそう言って、集まったリベリスタ達へと視線を向けた。
「……子供達を襲ったのはフェーズ2のE・エレメント『風鎌』。その名の通り鎌のように鋭い旋風を操るエリューションよ。それに、現場には砂で作られた四体のE・ゴーレム『サンドゴーレム』もいる」
 イヴからの説明によると、風鎌は切れ味鋭い斬撃を飛ばしてくる他にも、風を操りさまざまな攻撃を仕掛けてくる。サンドゴーレム達は人型であり、殴りつける攻撃、砂をまき散らす攻撃を行うらしい。
 また、戦場には子供達よりも先に着くことが出来る。リベリスタ達がエリューションの排除に成功すれば、子供達はなんの憂いもなく冒険の終わりを迎えられるだろうとのことだった。
「エリューションが現れなければ、子供達の冒険は大切な思い出の一つになっていたはず。それはきっと尊いものだと思うから、どうかあなた達の手で守ってあげて」
 最後にそう告げると、イヴは自身の想いをリベリスタ達に託す形でブリーフィングを締めくくった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:外河家々  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年12月23日(日)23:17
こんにちは、外河家々です。皆さんは冒険、好きですか?
私も小学生の頃に、自転車を漕いでひたすら一つの道を進んでみたことがありました。
終点までたどり着くことは出来ず、着いた先も海ではありませんでしたが、それでもそこそこに良い思い出です。

相談期間が短めとなりますが、どうぞよろしくお願いします。

●成功条件
全エリューションの撃破

●エネミーデータ
旋風のE・エレメント『鎌風』(フェーズ2)
▼攻撃手段
・真空波(物遠単 異:流血)
・魔風(神遠複 追:ブレイク 異:虚弱)
・構え太刀(自付リジェネレート 追:反)
・火炎無効
・ブロック無効

砂のE・ゴーレム『サンドゴーレム』×4(フェーズ1)
▼攻撃手段
・砂パンチ(物近単 追:ノックB)
・砂吹き(物遠単 異:ショック)
・火炎無効

●少年達
ボク、カッチン、ケンタ。
小学三年生で、仲良し三人組です。
カッチンは大人びた物知りタイプ、ケンタはお調子者タイプです。
ボクは、カッチンとケンタ曰く『とにかく良いやつ』との評価。

●その他
戦場は、とある地方の海岸です。
シーズンオフということで、海岸に人影はありません。
少年達が来るのはリベリスタ達が戦場に着いて一時間程後なので、任務の弊害になることはないでしょう。


オーソドックスな純戦シナリオとなります。
皆様からのプレイングを心よりお待ちしております。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ナイトクリーク
犬束・うさぎ(BNE000189)
デュランダル
東雲 未明(BNE000340)
覇界闘士
大御堂 彩花(BNE000609)
レイザータクト
四門 零二(BNE001044)
デュランダル
楠神 風斗(BNE001434)
ホーリーメイガス
アンナ・クロストン(BNE001816)
クロスイージス
斎藤・和人(BNE004070)
覇界闘士
宇佐見 深雪(BNE004073)

●冒険談
 太陽が、ゆっくりと海へ向かって傾いていく――。時刻は夕刻少し前といったところだろうか、堤防から海岸へと複数の足跡が伸びていた。
「うおー、海風寒みーっ。てか景色も寒々しいしよ、海はやっぱ夏に来てーな」
 両手を擦り合わせそこに白い吐息を吹きかけながら、『住所不定』斎藤・和人(BNE004070)がそう口を開いた。
「やはり安全靴を履いていても、足場の悪さを完全に払拭するには至らないようだ」
 足元の砂地を確認するように踏みしめ、『闇狩人』四門 零二(BNE001044)はその感触について自身の見解を述べる。
「なるほど……。それでは予定通り、戦闘時には翼の加護を使用しましょうか」
 それを聴いた『夜翔け鳩』犬束・うさぎ(BNE000189)は顎に手を当て、ふむふむと頷きを返した。
「……それにしても、野暮な風ですよ全く。邪魔しちゃいけない空気ってもんがあるでしょうに」
 これから一時間程後にやってくる少年達のことを思い、うさぎが不満そうにそう言って眉をしかめる。
(尤も、別の状況でも見逃しやしませんけど……)
 そして言葉の後に、心中でしっかりとそう付け加えておいた。
「懐かしいわね……。小学生の時に似たような事を考えて、友達数人と一緒に山越えしようとして、遭難しかけて叱られた事があるわ。目指す先が海だとすれば、もっとずっと素敵だったでしょうね」
 サンドゴーレムの砂吹き対策にと持参したゴーグルのベルトを調整しながら、『薄明』東雲 未明(BNE000340)が懐かしむように口を開く。
「私も、子供の頃は幼馴染とあちこち冒険やら探検に出かけたものだわ。もちろんそれなりに痛い目をみた事もあるんだけど……さすがにあの結末はあんまりよ、彼等の冒険を楽しい思い出で終わらせる為にも頑張らないとね」
 宇佐見 深雪(BNE004073)も自身の体験と少年達の行動とを重ね合わせ、自身の過去を追想すると同時に、この依頼を達成するという決意を新たにした。
「子供の頃は隣町に行くだけでも未知の世界を体験できる……よく耳にする話ですね。私は、幼少の頃から育ちが少々特殊だったせいかそうした経験を得られなかった……今でもそれが、ほんの少しの心残りです。正直に言うと彼ら三人を羨ましく思いますし、だからこそ、彼らの小さな夢を壊されるのはいい気がしません」
 体験することが出来なかったからこそ、それを眩しく、尊いものに感じることが出来る。その尊いものを守ってあげたいのだと『ライトニング・フェミニーヌ』大御堂 彩花(BNE000609)は言った。
「冒険、か。もしナイトメア・ダウンなんてものが起こらなければ、オレもそんな思い出を作れたのかな……」
 徐々に赤く染まっていく太陽へと視線を向けながら、『折れぬ剣《デュランダル》』楠神 風斗(BNE001434)は小さくそう洩らす。
「……せめてこれからやって来る子供らの冒険心、それだけはオレ達の手で護ろう」
 そして後にそう続けると、瞳の奥に強い決意の色を滲ませた。
「……見たくない未来、とはいえ。逆に言えば、私達が全部終わらせてしまえば、何も起こることはないわけよね。勝ちさえすれば万事解決なんだから、これは気持ちのいい仕事の範疇だわ。最後まで気を抜かず、しっかり仕上げちゃいましょ」
 エリューションを排除しさえすれば、悲劇も起こらず少年達も生かすことが出来る。誰も傷つかない、そんな気持ちの良い結末を迎えるためにも頑張りましょうと、『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816)は仲間達へと頷いてみせた。
「……さて、どうやらおしゃべりはここまでだ。お客さん方がおいでなさった
 敵の接近を感じ取った零二はそう言って掛けていた眼鏡を外すと、表れたエリューション達へと厳しい視線を投げつける。
「まー、寒がってる場合じゃねーな。ガキンチョ共が来る前にさっさと片付けとかねーと」
 寒さを振り切るようにそう言うと、和人も現れたエリューション達へと向け気怠げな殺意を向けた。


●鎌鼬
 対峙するリベリスタ達とエリューション。流石に疾風のE・エレメントといったところか、まずは鎌風が先手を取ることとなった。
 サンドゴーレム達の後方へ陣取ると、リベリスタ達の事前の予想通り鎌風は初手で自身の周囲に気流を纏う。
 癒しをもたらすだけでなく、攻撃してくる相手を容赦なく切り裂く――その気流は攻防一体の障壁となり鎌風を包み込んだ。
 その鎌風へ、零二が詰め寄ることを試みる。だがやはり、サンドゴーレム達がブロックするように立ちはだかろうとした。
「やはり、相応の攻め方が必要か……」
 そう言いつつも、零二に焦りの表情は見られない。
 うさぎ、未明、彩花、深雪がブロックを実行としたゴーレム達の前に立ち、彼が突破するための道を切り開く。
 零二は開いた隙間を鎌風へと向けて駆け出し、神秘の閃光弾のピンを引き抜き投げつけた。
「浅かったか……」
 その攻撃は敵の自付与を打ち消すには至らなかったものの、射程圏内へと入り込むことには成功した。
 エリューション達は、リベリスタ達の予想していた通り鎌風への接近をガードする行動に出た。
 敵が織り込み済みの挙動を取る以上、こちらは作戦通りに鎌風の懐に送り込むための行動に移るだけだ。
「少年達がやってくるまで、残り五十分といったところでしょうか。戦闘後の掃除もありますからね、さっさと片付けてしまいましょう」
 うさぎはアクセス・ファンタズムでもあるスマートフォンで時間を確認すると、仲間達へと飛行能力を伴う小さな羽を付与し、足場の不安定さを帳消しにする。
「私の実力、とくと御覧なさい!」
 彩花は四体のサンドゴーレムのうちの一体をブロックする立ち位置をキープし、雷撃を纏わせた特殊合金性の格闘用ガントレット『雷牙』を振るい、その武舞の範囲内に存在する相手を巻き込んでいった。
「時間をかけるつもりは無い。速攻で消えてもらう!」
 言葉と共に風斗によって放たれた一撃は、闘気を爆裂させ鎌風を斬りつけると同時にその体に回復を拒む【致命】の烙印を刻み込んだ。
 これで、鎌風の纏う気流の効果であるリジェネートについては打ち消すことが出来た。しかし、気流の効果はそれだけではない。
「風を起こすのは、あなただけの専売特許じゃないのよ?」
 深雪はそう言って、超高速の襲撃でかまいたちを生み出し、それを放つ。
 その斬撃は鎌風へ直撃し確かなダメージを刻んだものの、鎌風の周囲を取り巻く気流が反撃とばかりに攻撃を放った深雪の頬を切り裂いた。
「やっばり、やっかいね……」
 手の甲で切られた箇所を拭いながら、深雪は鎌風へと忌々しそうな視線を送った。


●封殺
 戦術通り零二、風斗を鎌風の懐へ送り込むことに成功したことで、戦況はリベリスタ達の有利な方向へと転回した。
 初回こそ躱されたものの、零二のフラッシュバンは鎌風の自付与『構え太刀』を剥ぎ取る。それにより仲間達は反射を受けることなく着実に攻撃を仕掛けることが出来る。
 うさぎが仲間達への翼の付与状況に常に気を配っていることで、足場の影響を最小限に抑えられていることも大きかった。
 鎌風は自付与を解除されたら後方へと下がり、再度気流を纏う。気流が無事であるときには魔風でリベリスタ達の飛行を解除させ、その動きを鈍らせると同時に【虚弱】を追加し攻撃力そのものの軽減を図ろうと試みる。
 サンドゴーレム達も鎌風へと張り付く零二、風斗をなんとか引き剥がそうと、接近し砂の拳で二人をはじき飛ばすも、ブロック担当の四人が再度サンドゴーレムへと立ちふさがり、そしてその四人のブロックによって開いた道から二人は執拗に鎌風へと張り付き攻撃を重ねていった。
「後ろから見て、治して、余裕があればざっくり灼いて、っと……。うん、いつもの私の仕事だ。普段通りやっていこう」
 アンナは後方から味方の負傷具合を把握し回復が必要なら回復、必要ない場合は意志の籠もった聖光を敵全体へと放つ。その閃光は命中精度こそ高くはないものの、着実に複数の対象を焼き払っていく。
「この寒い時期に風が強いと、堪らないのよね。私ね、寒いの嫌いなの。だから早く沈んで頂戴!」
 未明も高速で飛行し一気に接敵すると、無警戒の死角からバスタードソードで鎌風を強襲し、切り上げた勢いのまま高速飛行で戻る。
 戦局を握ったかに見えたリベリスタ達。しかしこのままではジリ貧だと感じたのか、エリューション達の動きも変化をみせた。今度は敵全員が、回復手であるアンナを狙い動き出したのだ。
 鎌風は射程圏内まで前進し威力の高い真空波をアンナ目掛けて放ち、サンドゴーレム達もブロックされても遠距離へと届く砂吐きで仕掛ける。
 しかしそれでも、リベリスタ達は態勢を崩すことなく的確に対処する。
 まずは零二がアッパーユアハートで複数対象の注意を自身へと向けさせる。
 更に比較的速度の速い深雪がアンナの前に立つととりあえずの盾となり、次いでメンバー随一の堅さを誇る和人がその後を引き継んだ。
「ったく、好き勝手うろちょろしやがって。慌ただしいったらありゃしねー!」和人は面倒くさそうに悪態をつきながらも、しっかりとアンナへの攻撃をその身に引き受けた。


●決着
「そろそろ、年貢の納め時ではないか?」
 生み出した幻影で鎌風を惑わせ、無防備となった箇所へと零二が魔力剣で斬りつけた。
 動きを変えたエリューション達の狙いを再度封じたリベリスタ達は、追い詰めるかのように攻撃を重ねていく。
 彩花の放った極寒の冷気を帯びた魔氷拳が、鎌風を【氷結】状態へと追い込む。
 間髪入れずに動いた深雪が鎌風を力任せに投げ飛ばし、雪崩の如く強烈な勢いで地面へと叩きつけた。そして――。
 決して折れない不滅の刃――自身のジョブと同じ名を冠する大剣、風斗の『デュランダル』がその激しい闘気に同調するかのように輝きを増す。
 全身の闘気を爆発させることで勢いを増した風斗の斬撃は、凄まじい破壊音と共に難敵である鎌風を一刀両断した。

「さて、それじゃ残るは季節はずれの砂人形ね」
 未明はそう言って、残りのゴーレム達を見据える。
「あと一息、気を抜かずに頑張りましょ」
 アンナもその言葉に頷き『マジェスティックコア』へと両手を掲げると、聖神の息吹で仲間達を一気に癒していった。
 最大の驚異である鎌風を排除したリベリスタ達の勢いは、もはや止まることはない。
「……良い声で啼いてみろよ?」
 破邪の輝きを帯びた『改造銃』を鈍器のように振るい、和人はその荒々しい一撃でサンドゴーレムの体を粉砕する。
「掃除の時間を考えると、そろそろリミットですかね。彼らが来た時変な物が残ってたら、そっちに気が行っちゃって自力で辿り着いた海の印象がブレちゃうかもしれません」
 ヘッドレスタンブリンのような形状をした十一枚の刃を宿した戦闘具『11人の鬼』を手にうさぎは舞い踊るかのようにサンドゴーレム達を巻き込み、うち一体を崩壊へと誘った。
 一体また一体と、残ったサンドゴーレム達は打ち崩され、砂浜の一部へと戻っていく。そして残った二体も、リベリスタ達の前に打ち倒されることとなった。
 肉体のリミットを外し戦闘力を限界にまで高めた未明が、高速で生み出した残像と共に二体のサンドゴーレムへと襲いかかり、狂暴な一閃をもってこの戦闘に終止符を打った――。


●それは、尊いもの
「本当に、海に着いちゃったね……」
 訪れた少年達のうちの一人が、興奮した面持ちで一緒にいた二人へと声をかける。
 声をかけられた友達二人もその気持ちは同じだったようで、魅入られたように水面に映る夕日を見つめていた。
 そしてどれくらいの時間が経っただろうか――。やがて少年達の一人が、
「うおおおおおおおおおおっ!!」
 と雄叫びを上げながら、海目掛けて海岸を駆け出していく。
 そのまま、着衣のままで躊躇する様子もなく、海へとダイブした。
「うお、冷てぇー!」
 そう、嬉しそうに叫ぶ。
 その様子を見ていた友達の一人も、同じように雄叫びをあげながら海へと入っていった。
 最後に残った一人は、最初こそ「なにやってるんだよ!」だとか「今一体何月だと思ってるんだよ……」などと否定的な言葉を投げかけていたが、やがて二人の輪の中に入って楽しげな声を上げ始めた――。

「あんなにビショビショに濡れてしまって、ちゃんと家まで帰れるのでしょうか……」
 堤防の上から少年達を見据え、彩花が案ずるように口を開いた。
「ああもう、なにやってるのよ……。全っ然、後先考えてないわね」
 未明も呆れたような声色でそう言うと、それでも心配そうな視線で少年達を見つめている。
「本当に、声をかけてあげなくて大丈夫なの?」
 不安げな様子の未明に、うさぎがあっけらかんと言い放つ。
「彼らの冒険にはきっと、カマイタチや砂のゴーレムは勿論、謎の大人達なんてのも余計なんです。彼らは彼らの意志で冒険に出て、彼らの力で成し遂げ相応しい思い出を得た。それで良いじゃないですか、ね」
 後先考えない行動も、それにより伴う結果も彼等のものなのだとうさぎは言う。
「私も冒険や探検で大人の世話になって、迷惑をかけてしまったこともあるわ……。でも、その経験も大切な思い出の一部分なのよね。あなたもそうなんじゃない?」
 深雪からの問いかけに、未明は、言われてみればそういうものかも知れない……と頷いてみせた。
 自分が山越えを試みて遭難しかけたときも、こっぴどく怒られた記憶がある。でも、その部分が山越えの思い出を台無しにするものだったかと問われると、全くそんなことはないようだ。
 怒られたり心底困ったりということでさえ、それは思い出を彩る大切な要素の一つであり、それは目的を達成することと同じくらいに尊いものなのかも知れない――。
「それに……彼等の帰宅については心配なさそうだ」
 そう言葉を告げる零二の視線の先には、ゆっくりと巡回するように海岸沿いを走るパトカーが見える。少年達に気づいたのかパトカーのエンジンが止まり、中から二人の警官が降りてきたのが見て取れた。
 これから少年達は、親を呼ばれてこっぴどく叱られることになるのだろう。
「冒険ってのは楽しいし、経験するのは良い事だと思うけど、何時でも暖かく迎えてくれる家があるってのはスゲー幸せな事だよな。ガキンチョ共にゃ、まだそれが当たり前過ぎてよく分からねーだろうけどさ。あんまかーちゃん達を心配させる様な事はすんなよな……」
 警察官に声をかけられ固まっている子供達の様子を眩しそうに見つめ、和人は小さく呟いた。
「……オレだってこれから作るさ。彼らに負けないくらいの思い出を」
 そう、今の自分には、少年達に負けないくらいに掛け替えのない友人達がいるのだから――。
 それなら、彼等に負けないくらいの思い出もこれから培っていけるはずだと、風斗は友人達へとちらり視線を向ける。
 親友から返ってきた、どうしたんです? という視線に、なんでもないと小さく笑った。
「……少年達、健やかにな。……良い思い出を」
 零二はそう言って薄く微笑むと、海岸に背を向け歩き出した。仲間達も、その後へと続く。
「……久々にいい気分。明日からまたがんばろっと」
 海風になびく髪をかき上げ、アンナはそう言って気持ちの良い笑顔を浮かべると、仲間達の後を追い歩き出した――。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
少年達は、無事にかけがえのない思い出を手にすることが出来ました。

全体的に、隙の少ない良いプレイングだったのではと思います。
気持ち程度ではありますが、名声にプラスさせて頂いております。

ではでは、皆様お疲れ様でした!
また機会があればどこかで。