●鋼鉄兵士の小隊 「E・ゴーレムが現れました」 マルガレーテ・マクスウェル(nBNE000216)の言葉は端的だった。 今まで幾度かE・ゴーレムが現れた事のある工場跡地に、再びE・ゴーレムが現れた。 いや、現れるらしい。 「六道の一部がアーティファクトの実験を行っていたみたいなんです」 E・ゴーレムを造り出す装置の実験によって造り出されたE・ゴーレムの観察や、E・ゴーレムを造り出すE・ゴーレムの研究に跡地が……そしてその地下が使用されていたらしい。 「地下の方は最近になっての事らしいんですが」 もっともその地下に配置され観察が行われていた、E・ゴーレムを造り出すE・ゴーレムの実験は失敗に終わったようだ。 「ただ……そのE・ゴーレムは自壊してしまったらしいんですが、壊れる前に造り出されたE・ゴーレムたちがいるみたいなんです」 そのE・ゴーレムたちが、地上に出て来ようとするらしい。 「みなさんには、その迎撃をお願いします」 マルガレーテはそう言って、端末を操作しスクリーンにデータを表示させた。 無骨な、どこか古めかしい……だが、だからこそ何処かリアリティも漂わせる外見をした人型の機械が表示される。 「こちらが迎撃に向かってもらうE・ゴーレムになります」 数は6機。 「フィジカル面に特に優れる他、機敏性も充分にあります」 耐久力は高く、物理的な防御能力も高い。 反面、神秘方面の攻撃能力は無く、防御能力も劣るらしい。 「ですが、精神系、麻痺系、呪い系の異常を無効化する能力を持っています」 基本的な能力は全機同じ。 だが、個々の武装に違いがあるようで、それによって個々の性能は異なるようだ。 「ゴーレムたちは3機で1個小隊というチームを組んで動きます」 6機だから2個小隊。 チーム内はもちろん、それぞれのチーム同士でも協力、連携し戦闘を行ってくる。 「第1小隊の方は、2機が前衛型、1機が後衛型という編成です」 前衛の2機はどちらも手榴弾らしき物を複数装備している。 「加えて一方は斧状の近距離攻撃武器を、もう一方は小型のマシンガンを所持しているみたいです」 後衛型の1機は長砲身のカノンを両手で持ち、脚部にミサイルポッドを装備しているようだ。 「第2小隊の方は逆に、1機が前衛型、2機が後衛型という編成みたいです」 前衛の1機は斧状の近接戦闘武器と小型マシンガンで武装。 後衛型の2機はどちらも脚部にミサイルポッドを装備。 「加えて一方はバズーカを、もう一方は……パンマガジンて言うんでしょうか? 円盤みたいなマガジンの付いた大型のマシンガンを装備してます」 大型のマガジンを装備している方は、後衛というよりは中衛みたいな感じかも知れませんとフォーチュナの少女は補足した。 前衛型は、やや攻撃力に劣るものの軽量で取り回しの良い武装を、後衛型は攻撃力は高いものの大型で重く機動性が下がるような武装をしているようである。 「ただ、斧状の武器は近距離攻撃しか行えない分、攻撃力は高めみたいです」 また、斧を含めて物理的な近距離攻撃には対象を吹き飛ばすくらいの威力があるらしい。 「急げば地下の入口が開いてゴーレムたちが地上に出てくる直前くらいには到着できると思います」 その状態なら、地上に出てくるゴーレムたちを待ち伏せて攻撃できるかもしれない。 出入口やゴーレムたちの通ってくる通路の幅は、リベリスタたちなら3人が並んでも充分に戦闘を行えるくらいの広さがある。 逆にE・ゴーレムたちはやや大型の為、2機までしか並べない。 もちろん射線さえ通れば普通に遠距離攻撃は行えるだろうが、それでも敵の戦闘行動をかなり制限できると言って良いだろう。 「もちろんE・ゴーレム達の方もそういった面での分析能力は持っていますので……」 多少の損害は気にせず、強引に突破を試みてくる可能性は充分にある。 地上、開けた場所での戦闘についても考えておく必要はあるだろう。 もちろん、最初から地上で戦っても構わない。 「周囲には一般人は近付きませんので、周辺への被害や神秘秘匿についての配慮等はせずとも問題ありません」 残骸が所々に残っている以外は何もない地形なので、戦場としても大きな問題のない場所である。 「E・ゴーレムたちに逃げる様子はありません」 なのでそれらへの配慮はせずに、ただ撃破を最優先して戦える。 「1機1機でも平均的なアークのリベリスタ以上の戦闘能力を持つ相手です。どうか、充分にお気をつけて」 マルガレーテはそう言って、リベリスタたちを見送った。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年12月25日(火)00:00 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●地下基地へ 「私が前回ここへ訪れたのはもう丸一年以上前ですか」 『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)は工場跡地を視界に収めながら呟いた。 「とっくに片付いた案件と思いきやまた最近騒がしいみたいですね」 以前の戦いを思い起こしながら言葉を紡ぐ。 「この場所でE・ゴーレムを作る実験をしていたという訳か」 『T-34』ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)は4WDを収納すると地下の出入口へと駆けだした。 「皆、急ぐぞ」 その言葉に『合縁奇縁』結城 竜一(BNE000210)は力強く頷く。 全力で駆けつけて、出る直前の相手の鼻っ柱をぶっ叩く! 「人工エリューションですか」 (技術も進んだもんだ) 「それを世のエリューション共を排除するために使ってくれればいいのに」 『クオンタムデーモン』鳩目・ラプラース・あばた(BNE004018)は皆と共に急ぎながら呟いて……少し間を置いて、付け足した。 「……ある意味正にその通りなんでしたっけ」 そのまま急いだ8人は、すぐに出入口らしき箇所を発見する。 (地下から武装した鋼鉄の兵士が二個小隊で出現ですか) 「やはり、戦力補充やら拡張等が目的ですかね?」 「作ったものの後片付けくらいはしてから帰ってもらいたいものですねー」 『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)の言葉に、『ブラックアッシュ』鳳 黎子(BNE003921)がそう応じた。 直後、一行の耳に何かが動くような音が響いてくる。 (これがただの名残に過ぎないと考えると……成果がどれだけ上がったのか?) 「……剣呑な話です」 想いを巡らせながら、アラストールは小さく呟いた。 ●敵影、確認 「何も考えずブッ叩く……シンプルでいい」 『神速』司馬 鷲祐(BNE000288)が通路の奥を眺めながら口にする。 (今回の敵は戦車のガワしてないのがちょっと残念ですね) 「まあ、戦車だろうとスーパーロボットだろうとそれが敵なら私のやる事は一つですがね」 呟きながらモニカは、九七式自動砲・改式「虎殺し」を幻想纏いから取り出した。 「以前の仲間……なのかは知りませんが、同じ様に私が来た不幸を呪ってもらいますよ」 言葉を続けながらその砲身を、通路の奥へと向ける。 「アークもやんねーかなー、エリューション兵器の開発」 (我々は主流七派なんぞの愚連隊どもとは違って国家権力みたいなもんなんだぜ?) 「軍隊や警察のように、暴力の最高峰にいて当然なはずなんだからさ」 あばたは戦闘態勢を取りながら、本気なのか冗談なのか分からない表情と口調で呟いた。 一方でウラジミールは自身の能力を活用して通路の奥を確認する。 「出来る限りの支援はさせて貰います、全力で行かれよ」 アラストールは念の為にと周囲に結界を展開した。 「任務を開始する」 いつもと変わらぬ口調でウラジミールが口し、前進する。 「実験施設ねぇ……他にもいたりしないでしょうね」 (しかしこのレトロなデザインは何とかならなかったのかしら?) 通路の奥から姿を現したE・ゴーレムたちを眺めながら、宇佐見 深雪(BNE004073)が呟いた。 (研究員が趣味に走った結果だったりとかしてね) わざわざ古めかしいデザインである辺りを見ると……そんな考えが、つい浮かんでしまう。 「ロボ……古式ゆかしいロボだ」 (数々のバリエーションが作られていそうな名機だ) E・ゴーレムを見ながら竜一は呟いた。 兵装を変える事で役回りを変えられる人型という点を利用した名機。 「それを破壊せねばならないとは、なんという切なさ……」 (だが、これだけあれば、無事なパーツを集めて一体ぐらい作れるはず!) 「ど、どうする? 動力源だけを狙って、やれるのか……?」 問いは一瞬、すぐに顔から迷いは消えた。 「……やってやる、やってやるさ!」 (俺だって、アークのリベリスタだ!) そんな台詞を口にしつつ……青年は敵へと駆けだした。 ●迎撃戦、開始 リベリスタたちは前衛・中衛・後衛の三段構えの陣形で、敵を出入口で迎撃する作戦を取った。 「……味方の射線、攻撃の筋、足場、空間、そして小隊の配置。全て捉えた」 鷲祐が暗視ゴーグルを使って敵の状況を確認する。 リベリスタたちの前衛は3人。 それに対するように、E・ゴーレムたちの2機が駆動音を響かせ前進してきた。 1機が手榴弾を放り投げる。 前衛たちを巻き込むように爆弾が炸裂した直後、斧状の白兵戦用武器を振りかぶった1機が突進してきた。 大きさに相応しい破壊力を持った攻撃を、ウラジミールは防御を重視したハンドグローブ、サルダート・ラドーニで逸らす事で威力を懺減する。 中衛のE・ゴーレムたちは、進路を妨害する者たちを確認するようにモノアイを動かした。 ウラジミールは黎子へ再生の力を授け、深雪は集音能力で敵の発する音等も参考にしながら6機全てが揃っているのかを確認する。 揃っていない場合等も想定していたものの、幸い敵は全機揃っているようだった。 敵側は結果として2機ずつ、前衛、中衛、後衛と並ぶ形になっている。 第1小隊が前中衛、第2小隊が中後衛、といった処だろうか? 範囲を巻き込む攻撃を警戒し、彼女は交代も考えつつ前衛たちから適度に離れた位置を取った。 竜一は雷切(偽)の柄に手を添え、敵前衛の1機に狙いを定める。 (出血しそうにないが、オイルでも漏らすんだろうか……) まあ、いい。狙うべきは関節部。 「落ちろ!」 高速の居合いによって生み出された真空波が、E・ゴーレムへと襲いかかった。 (持っててよかった暗視ゴーグル) その様子を確認しながら、あばたは敵の体の隙間を見出す為にと集中によって脳の伝達処理能力を向上させる。 アラストールは全身のエネルギーを防御に特化させる事で完全防御態勢を整え、黎子は自身を援護させる為に意志持つ影を創り出した。 「少しでも長く耐えられると良いのですがねえ……」 呟きつつ彼女は、双頭の大鎌をE・ゴーレムへと向ける。 後方の1機がリベリスタたちを観察するようにモノアイを動かすのを確認しながら、モニカはそのまま待機し他のゴーレムたちの動きも確認した。 中衛と後衛の1機がカノン砲とバズーカの照準を定めようと、砲身を構えモノアイを動かす。 透視と暗視を活用してそれらを視認したモニカは、味方前衛が敵を喰い止めているのを確認し、攻撃を開始した。 次々と放たれた銃弾が味方の間を縫うようにして飛び、E・ゴーレムたちに襲い掛かる。 金属同士がぶつかり合う音や弾かれる音が混ざり合って響き、鋼鉄の兵士たちの装甲が貫かれ、削られてゆく。 耳元を通り過ぎてゆく銃弾の音を聞きながら、鷲祐は自身のギアを切り換えた。 早く、もっと速く。身体を速度に特化させる。 1体でも止まれば、後がつかえる。 (邪魔なのは俺だ) それはこの環境での、被害の低下を意味する。 「悪いが、この俺は抜かせん」 刃を手に、彼は鋼鉄の兵士へと襲い掛かった。 ●それぞれの任務 中衛のE・ゴーレムが手にした小型マシンガンを前衛たちへと向ける。 放たれた銃弾がコンクリの壁や床を抉りながら、前衛たちを傷付けた。 援護射撃を受けながら、前衛の2機が突撃する。 一方は斧を振りかぶり、もう一方は体当たりするかのようにリベリスタたちに襲い掛かった。 敵の攻撃に耐えながらウラジミールは鷲祐と自身にも再生の力を施すと、全身をオーラで覆う事で防御態勢を整える。 そして、可能な限り攻撃の威力を削ぐように防御を行いつつ隙を探し、破邪の力を宿した刃を振るう。 鷲祐も圧倒的な機敏さで攻撃を回避し、或いは直撃を避ける。 深雪は中衛として前衛たちの補佐をするように立ち回った。 前衛が危なければすぐ交代できるようにと気を配り、前衛たちが攻撃によって吹き飛ばされた時は、受け止めたり前に出たりする事で対処する。 彼女が最も警戒していたのは、吹き飛ばされたスペースにすかさず他の敵が割り込んでくる事だった。 そうさせぬように彼女は特に注意を払う。 対応が必要無さそうな時は鋭い蹴りでカマイタチを放って、深雪はゴーレムたちを攻撃した。 確実に数を減らす為に味方と連携し、同じ目標へと砲火を集中させる。 竜一も真空波による攻撃を同じ目標へと向けた。 あばたの方はというと、精密な射撃で敵後方……ミサイルポッド、カノン砲の口、手榴弾、バズーカの口等を狙い撃つ。 「硬い装甲に馬鹿正直になんて撃ってやりません」 敵の射撃攻撃を出来る限り押さえ込む為に。 精密射撃であるならば、無限機関のお陰で消耗を気にせず攻撃し続ける事ができた。 エリューションである為か爆発はしなかったものの、ゴーレムたちは小なりともダメージを受け、照準を定めるのを妨害されているようである。 (攻撃は最大の防御と言いますし) まともに撃ちこまれてしまうよりは百倍マシと考え、彼女はカスタマイズを施したロングバレルのピストルでゴーレム達の武装を狙撃し続ける。 「眠れ鉄人形」 お前達には、もうこれ以上の戦は要らない。 アラストールも深雪や竜一らと共に、いつでも前衛をフォローできるように意識しながら聖なる十字光を放ってゴーレムたちを牽制していた。 中衛の任には、射線の妨害や攻撃や吹き飛ばしで前線に開いた場合の交代要員等も含まれている。 それらを意識して戦いながら、アラストールは敵の武器を誘爆させられないかと考えたが、あばたの試みを確認して難しいとの結論を出した。 その為、攻撃の合間を縫うようにして後衛や中衛達へと再生の力を施してゆく。 黎子は味方の位置に注意して位置を取りながら、軽やかなステップで舞うように大鎌を振り回した。 「硬いようですがまぁ、運が良ければあんまり硬くないところにたまたま当たったりもするでしょう」 敵後衛の射線から逃れるように、できるだけ敵前衛の陰に位置するように動く。 「削っていきますよ!」 調整が難しければ攻撃手段を斬撃から死のカードへと変更して、敵のダメージが大きいと感じれば死の刻印を刻み込んで。 流れるような鮮やかな動きで刻印を刻まれた1体が、胴体部を爆発させ崩れ落ちた。 それを気にせぬ様子で中衛の1機が残骸を踏み潰し前進する。 薙ぎ払うような重マシンガンの銃撃が避け損ねた黎子を直撃した。 照準を定める2機を牽制するように、モニカが銃弾の雨を降らせる。 味方を除いた動く物は全て攻撃対象に含めているものの、彼女が重視しているのは先陣の敵第1小隊の足止めだった。 ゴーレム達は攻撃を行いつつ突撃を繰り返すものの突破は叶わず、ついに1機が撃破される。 だが、リベリスタ達の負傷と消耗も蓄積しつつあった。 戦いは……決着へと近付いていたのである。 ●総力激突 狙いを定めた鷲祐が高速で繰り出した連続攻撃が、鋼鉄兵士の動きを止めた。 芸術の域に達した流れるような刺突を受け、光の飛沫を飛び散らせながら……1機が大破し、通路の床に転がる。 前進してきた機体から反撃とばかりに繰り出された斧の一撃を受けた黎子は、運命の加護で何とか膝に力を籠めた。 ウラジミールは能力を使用して敵の後衛に警戒し、できるだけ吹き飛ばされぬようにと姿勢を取る。 「この程度ならまだまだいける」 そのまま彼は消耗にも気を配りながら前衛として戦い続けた。 深雪は黎子と交代するように前衛に移動し、そのまま1機へと距離を詰め投げ技の姿勢に入る。 「そうそう、簡単に突破などさせてたまるかよ……!」 深雪が前進するのを確認すると、竜一は後衛への射線を塞ぐように位置を取りながら中衛から斬撃を飛ばし続けた。 アラストールは黎子に声をかけ、庇うように位置を取る。 あばたは精密射撃で敵の武装を狙撃し続け、黎子は突破を警戒して敵の動きに意識を集中させた。 動きの遅い3機が重マシンガンやカノン砲、バズーカで前衛たちを攻撃し、それを牽制するようにモニカがゴーレムたちを薙ぎ払う。 高い回避能力で前線を維持し続けた鷲祐も、運命の加護を用いて戦い続け限界に近付き……アラストールと交代した。 味方の消耗も激しいが、敵も大きな被害を受けている。 地上に出られた場合も色々と想定していたが……何とか突破は阻止できそうだ。 負傷の重くなった深雪は無理せず後退すると、特殊な呼吸法で周囲の力を取り込むことで自身を回復させた。 「なぜまた壊させる……俺に! ロボを! 戦うためだけに、お前たちは生まれたんじゃないだろうに!」 前に出た竜一が放った爆裂する一撃が更に1体を、カノン砲を構えていたゴーレムを打ち砕く。 アラストールもブロードソードへ輝きを宿すと、破邪の力を帯びた刃でE・ゴーレムの装甲を切り裂いた。 だが続く攻撃で、周囲を薙ぎ払ったマシンガンの銃撃と、放たれたミサイルの炸裂で……前衛として戦い続けたウラジミールが戦線を離脱する。 モニカの銃撃に合わせるようにして鷲祐が一撃離脱の強襲攻撃を仕掛け、深雪は森羅行によって負傷を軽減しながら再び前進した。 双方に癒し手のいない戦いは、そのまま総力を挙げての消耗戦に突入する。 「後に続くリベリスタたちのために! 俺は、負けられないんだああああ!」 竜一、アラストール、深雪の3人が前線を維持し、全員が使用可能な能力を振り絞り戦い続けた。 深雪は深い傷を負いながら、運命を手繰り寄せ耐え凌ぐ。 「――神速斬断ッ!!」 鷲祐が残った力を注ぎ込んで、最後の強襲攻撃を仕掛けた。 あばたの精密射撃がミサイルの発射孔へと命中した。 大型のマシンガンとミサイルポッドで武装していた1機が、これを受けて破壊される。 だが、続く攻撃で竜一が後方に吹き飛ばされた。 残った2機が、強引に突破を試みようとする。 それを阻止すべく黎子が無数のカードを創り出しながら立ち塞がり、モニカも突破を阻止すべく立ち塞がった。 すぐに竜一も体勢を立て直し前衛へと復帰する。 集中攻撃によって、斧と小型マシンガンで武装していた機体が限界を迎えた。 残ったバズーカを装備した機体の攻撃力は高かったが、重量によって下がった回避能力では……続く猛攻を耐え切れなかった。 数十秒間の攻防の後、地下通路が静寂を取り戻す。 最後のE・ゴーレムが、軋むような音を立てて倒れ……砕け散ったのである。 ●戦後の確認 ウラジミールは念の為、倒れたゴーレムたちに注意しつつ状態を確認した。 その体が完全に停止し、劣化し始めているのを確認すると警戒を解く。 黎子も倒したE・ゴーレムたちを調べてみたものの……エリューションたちは装備も含めて、すべてボロボロになってしまっていた。 「とりあえず地下の方も調査しておきますか」 モニカが皆を促すように口にする。 「うっかり見逃してまた後から出て来たなんてシャレになりませんからね」 その言葉に深雪が頷いた。 「また何か出てきたらたまったものじゃないし」 皆も同じ意見だった。 警戒しつつ一行は通路の奥へと進み……開けた空間へと辿り着く。 カメラだの何だのを残してデータ取り等をしていないだろうか? あばたはそう考え調査してみたものの……広い部屋に残っていたのは、ゴーレムの物と思われる残骸だけだった。 このゴーレムが暴れたのか、それとも先刻のゴーレムたちの仕業なのか、部屋内部も所々壊れ、荒れ果てた……という様子である。 「アークが真似をしろとは言いませんが……ヤクザ共の技術も知らないなんて、悔しいではありませんか」 何かの資料になるかもと考え、あばたは念の為に残骸の一部を回収した。 モニカとウラジミールも周囲を調べてみたものの……目ぼしい物は発見できなかった。 大きな物体を動かそうとした形跡等は発見したものの、残骸となったゴーレムの物だけのようである。 調査を終えた一行は、回収した残骸を手に帰途に就いた。 E・ゴーレムたちの撃破は完了し、ゴーレムたちを造り出したE・ゴーレムも自壊した。 少なくとも、この周囲にゴーレムたちが現れる事は無くなる事だろう。 ウラジミールは始まりと変わらぬ態度で、いつも通り口にした。 「任務完了だ」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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