●要約:おこたやべえ ――あるリベリスタの記録。 俺たちは奴に対抗するためあらゆる手段を講じた。 しかしそのすべてが無となり、仲間は一人また一人と飲込まれていった。 俺たちはもう駄目だ。 もしこの記録を読む誰かがいることを信じて、この情報を託す。 奴に食いつかれたら最後だ。足の一本でも、手の先でも入ってしまったらもう抜け出すことはできない。物理的にではない、精神が侵されるのだ。 だがそれ以前に、奴が現れた時点で『飲込まれてしまいたい』という欲求と戦うことになるだろう。 そして気づけば、飲込まれているのだ。 ああ……瞼が重い。 外は、さむい……。 もう、楽になりたい。 この記録を読む誰か……。 奴の名前を。 覚えておいてくれ。 名は。 ――こたつ。 ●寒い日に設置されたおこたの吸引力やべえ 「私……もうここで暮らすわ」 アイワ・ナビ子(nBNE000228)は褞袍を着込み、両手両足をコタツに突っ込んだままテーブル面にほっぺたをくっつけていた。 「やーだー、おこたから出たくなぁ~い。仕事したくなぁ~い。さおりんさんに怒られたくなぁ~い」 そのままずるずるとコタツの中に入って行き、最後には首だけ残してこう言った。 「あ、そうだ、このまま移動すればいいんだ!」 それはそれは、満面の笑みだったという。 そんなアホ子……じゃないナビ子によると、とある空き地にコタツのエリューションゴーレムが現れたらしいのだ。 そいつは地元リベリスタをまるっと飲込み徐々に徐々~にじわじわダメージを与えてついには全滅させてしまったという。 なんでも、その一帯はやけに寒くて、人間の本能というかそれっぽい何かによってコタツに入んなきゃ死ぬみたいな衝動に駆られるのだという。ファジーだ。 「そんなゴーレムを倒せるのは君達しかいな……あっ、そうだこのコタつにキャスターつけよう! というかキャスター台の上にコタツ乗せよう! ヤッター私天才じゃないですか、ノーベル賞いーただきーい!」 コタツの中でぐるんぐるん回るナビ子。コタツの脚に小指ぶつけて悶絶するのは時間の問題であった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年12月07日(金)22:55 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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●おこたを知ったロシア人が驚愕の顔で頭だけ出してた件について 冬も深まるクリスマス前。 皆さまいかがお過ごしでしょうか? 北国は雪に埋もれ大型ストーブが本気を出し、ご近所の灯油屋さんが頼んでも居ないのに外置き大型タンクを満タンにしてから『おぅ、入れといたよ!』と言って金額を述べてくるこの季節でございます。 たとえますならば冬眠に入りかけた熊。 為に溜めた食糧と暖房資源で冬を温かく過ごすわけで、それは何も北国に限ったことではありません。 関東でも西でも、日本で暮らすからには皆冷たい冬空を潜り抜け、温かいコタツに膝を入れてゆっくりと過ごしたいもの。 それはリベリスタとて同じことなのです。 「香夏子さんはコタツの誘惑になど負けない(キリッ)!」 と言いながら『第30話:Xディズ』宮部・香夏子(BNE003035)はおこたのテーブルに顎を乗っけていた。 2コマネタどころの騒ぎじゃなかった。1コマ目で終わっていた。 「そんなことよりカレーまだですかー。カレーマーダー」 褞袍の内側から腕だけ出してカレー皿をかちかち叩く香夏子。 そこへあったかにゃんにした寸胴鍋を持った『もう本気を出す時じゃない』春津見・小梢(BNE000805)がやってくる。 布を敷いたテーブルの上に鍋を置くと、鍋つかみでもって蓋を開ける。 するとどうか。ぶわっと辺りに広がるカレーの香り。 もはやカレーライスが日本人にとって当たり前のご飯になって随分と経つ昨今。梅干し同様カレーの放つ『今日はカレーだぜ感』は尋常なものではない。 「最近はすっかり寒くなっちゃって、こんな時こそKO・TA・TUぅー」 小梢はごそごそとコタツに膝を入れると、お玉を使ってカレーを分けていく。 目の前にカレーライスを置かれ、『大食淑女』ニニギア・ドオレ(BNE001291)はうっとりと目を細めた。 「えへぇ……冬と言ったら鍋かなって思ってたけど、こういうのも良いものね」 「普通はクリスマスのチキンからの年越しの蕎麦ときてオセチはさんでーのカレーって流れって流れですけども」 「ウチの住民はチキンカレーからのカレー蕎麦ときてオセチカレーに挑戦して最後はノーマルカレーに落ち着くの。はー、しあわせー」 「あっ、あとであたしも食べるー。残しといてー」 『おこたから出ると死んじゃう』ティセ・パルミエ(BNE000151)はこたつ布団から頭だけ出すと、また内側に引っ込んだ。 「あら、大丈夫? 全身コタツに入ると身体悪くするわよ?」 「あたしは猫だからいーのー」 コタツの内側からくぐもったティセの声。 「それに一年中ノースリーブにミニスカニーソだから寒いんです!」 「じゃあスカートの中見えちゃわないようにしないとね」 こたつ布団をぽふぽふと叩いてあげるニニギア。 「あ、私カレー丼にしてもいいですか? 丼もの大好きなんですよー」 「はいはーい」 『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)はマイどんぶりにカレーをかけてもらってから、パック詰めの卵を何処からともなく取り出した。 片手で割ってどんぶりにオン。もう一個割ってオン。 「ユウさん大人のダブル卵。でもどうしよう……いや、ここは禁断の三つで!」 どんぶりに卵を三つもオンすると、箸を器用に持って思いっきり混ぜはじめた。 余談になるが、卵かけごはんには混ぜる派とブロック絡め派がいて、この二つは相反することが多い。特に白身のドロッとした感じが嫌だからって卵黄だけしか入れない流派もあるくらいで筆者はこれに当たるのだが、ユウは完全に混ぜる派だ。異国育ちの人からすればドン引きされかねないくらいの勢いで混ぜる。とにかく混ぜる。どちらかというとその混ぜてる感覚の方をメインに楽しんでいると言ってもいい。 「まーぜまぜー、まーぜまぜー」 「またマニアックな食べ方を……お、そうじゃ。おこたで寝ちゃわないように色々持ってきたぞよー」 『巻き戻りし残像』レイライン・エレアニック(BNE002137)はスカートの中(AF)をごそごそやると、カードゲームやテレビゲーム類をテーブルに並べて行った。 「過激なホントかも用意したし……バハムートンもあるし……」 「あっ、エリエリ人形だー。かわいー」 頭の上でマルを作っているエリエリ人形を掴み上げ、頭を撫でてみるティセ。「あれ、官能的な鳴き声出さないなー。違うやつなのかなー」 「それはよく知らんが、うちの孫可愛いじゃろ?」 「孫と来たか」 若干寒そうな恰好をした『抜けば玉散る氷の刃』五郎 入道 正宗(BNE001087)が、とっくりを摘み上げてお猪口に注いでいく。 「しかしべっぴんさんばかりで華やかな事じゃな。飲むか?」 「コタツに酒とは……もう大晦日のノリじゃな」 「なに、冬になればこの過ごし方がやめられなくなるもんじゃ」 「えー、お酒臭い」 「はっはっは、そう言われるところも含めて醍醐味じゃのう!」 「あ、よかったらお酌しますよー」 と、ユウがとっくり持ち上げた……その時。 「皆なにやってるの!?」 バットとグローブを担いで振り返る『なのなのお嬢様なの』ルーメリア・ブラン・リュミエール(BNE001611)。 「ちょっと、早くそのエリューション・コタツから出てなの! もう全体の3割くらいまで来てるのにまだ戦闘が始まってないの!」 そうである。 リベリスタ一同はフォーチュナの説明通りにEコタツと遭遇。そして一瞬の迷いもなくフツーにおこたに入って行ったのだった。 ご家庭によくあるサイズのコタツだったら全員入れなかった所だが、以外にも12人くらい入れる大型サイズだったので皆さん広々ご利用いただいている次第だ。 アスファルトの上に直置きだと寒いのではというご懸念もあったが、そこはEコタツ、こたつの化身。ちゃんと四畳半分の畳とセットで移動していたのだった。 「子供は風の子! コタツなんかに篭ってないで野球しようぜ、なの! へいへーい! ばっちこーい! みてよこの地獄ノック! 守備練習したくなってきただろう!?」 ストレッチマンみたいなドヤ顔でバットを振りまくるルーメリア。 「更にこの燃える魔球! どうだい、攻略したくなって来ただろう?」 「ルメさん今日も元気ですねー。カレー食べます?」 「食べないの!」 ついには地団太を踏み始めるルーメリア。 「もう、練習しようよー。動けば動くほど温かくなるよー! ほら、何か言ってやってなの!」 「え、俺が? えーっとえーっと……」 自前のコタツに入っていた『スーパーマグメイガス』ラヴィアン・リファール(BNE002787)がハッとして振り返った。 「自分のコタツ用意しとったら全然安心やなコレ。今日のためだけにヒューマンダイナモ取って来たし……ん、なんやのん?」 同じく振り返る『他力本願』御厨 麻奈(BNE003642)。 「あそこでカレー食べたりお酒飲んだりしてる人達に注意してあげてって」 「えー? 分かった、じゃあ……」 ごそごそとコタツから出てくるラヴィアン。キメポーズ的な仁王立ちで一同をびしりと指出した。 「おい皆、そのコタツは敵。倒すべき敵なんだぜ! 早く出ろって!」 「カレーおいしー」 「ええと……」 「玉子あうー」 「皆……」 「酒とカレーだと相性がのう……おっ、蜜柑があったか!」 「その……」 ちらりと後ろを見るラヴィアン。 自前コタツに入っていた麻奈が、テーブルに顎乗っけてワンセグのアンテナを伸ばしていた。 「ん、お? そう言えばなんかコタツ全然あったまらんよな。弱めになっとるんや……ろ……」 ぴたり、と麻奈の動きが停まった。 「え? うそやろ? 今日の為にうちヒューマンダイナモ取ったんやで? 今日の為にやで? なのにうち……超直観とエネミースキャンしか持っとらんのて……え、うそやん……」 しおしおとテーブルに突っ伏していく麻奈。 そしてラヴィアンと目が合い。 「……」 「……」 二人はこっくりと頷いて、Eコタツへとごそごそ入って行った。 ●寒い冬に暖房効いた部屋のコタツに入り冷えたビールを飲む贅沢 「あわわっ、熱い!」 ティセははふはふしながら苦労してカレーを飲込み、貰ったお水をぐびぐびと飲む。 「はふー、危なかった―。漫画とかならここで間違ってお酒飲んじゃう所だよねー」 バロックナイトイクリプスは未成年の飲酒喫煙を固くお断りしております。 ティセちゃん22歳だけど。 この前ビール飲んでツイッターしてたけど。 「はふ……カレーおいし。みかんもっとあるからね。プリンだってあるのよ」 ニニギアはカレーをスプーンでひとすくいし、軽くふーふーしてから口に含む。 ニニギアは割かし混ぜない派なのか、カレーのルーとご飯がきっかり二層構造になった状態のまま口に含む。 炊き立てご飯の僅かな甘みとふっくらとした舌触りが広がり、すぐにご飯へと浸透してきたカレーの味と香りが広がった。 甘すぎず辛すぎず。香りの良いスパイスを使っていながらも、冬だからか発汗は控えめになるように調節すると言うニクい気遣いが為された冬カレー。寒いとそれだけ脂分が欲しくなるということでトロトロになるまで煮込んだ牛肉が入っていて、言わずもがな脂身はルーの中に溶け込んでいる。 その肉の柔らかさたるや、舌だけで千切れる程。 かといってどの具材もトロットロなのかと言えばそうではなく、ジャガイモやニンジンといった具材は通常みられるものよりも更に細かく刻んだうえで少しばかり短めに煮込まれている。 今日食べるカレーと明日煮返して作るカレーの味に意図的に差をつけると言う技巧まで凝らされているのだ。 さすがはカレーだけでキャラを立てようとする小梢の作品。もう場合によってはこのカレー描写だけでリプレイが終わりかねないクオリティを発揮していた。もうプレイングはカレーの作り方だけでいいのにと感じる程である。 「今宵こそー、こたーつーないっとー」 イヨはまだ十八だから的なリズムで歌を口ずさむニニギア(天使の歌による回復シーンです)。 「それにしても……ティセさんだめよ。頭までコタツに入ったら。私、以前それやって命の危機を感じたもの」 「それにマナーの問題でもあるからのう」 カレーはそこそこに日本酒の瓶を出してくる正宗。 アークリベリスタ界隈では割と有名なお酒『三高平』である。これ実際に作ってくれる人はおらんだろうか。萌酒のイラストレーターと共同で。絶対買うのに。 「おっと、そろそろ時間じゃな。オートキュアーかけ直すかのう」 等と言いながら悠長にオートキュアーをかけて回る正宗。 お忘れかもしれないがEコタツは入ってると地味にHP減って行くのだ。 でもやっぱりみんな忘れてるのかもしれん。 「いやあ、やっぱり皆がいるコタツのほうが羨ましくなっちゃってさ。一人より皆だよな。一肌が温いぜ!」 「せやなぁー」 肩をぐいぐいおしくらまんじゅうし合う麻奈とラヴィアン。 「そのワンセグ三色コードさせんのかのう。スーファミ繋げられたらよかったんじゃが……」 同じくおしくらまんじゅうしながら一人でデッキ整理するレイライン。 「そういう高いの持っとらんし……」 麻奈は片手で蜜柑剥きながらチャンネルをザッピング。 ザザッ――豚撃のバハムートン新章――カードファイトセンドーシャ――ミサイルゥゥゥガールズ!――これまでの財布ライダーXは――お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄――たわし買えよ――君もエンジェルガードで世界の平和を――邪悪ロリが現実に居たら凹みます。動揺します。なので――。 「あちゃー。最近ろくな番組やってへんわ。にしてもやっぱコタツには蜜柑やわぁ。鍋とか手間かかるし」 「あー、それ分かります。待つ時間が耐えられなくなっちゃうんですよね、一人暮らしだと」 本日通算九個目の玉子をカレーに落とすユウ。 「所で、場合によってはリプレイ一本終るくらいの時間になって来たんですけど――」 「カレーおかわりーい!」 「ですよねー!」 などとカレーパーティに戻る一同。 一人で『コタツの誘惑なんて感じないもん平気だもん』みたいな顔をしているルーメリアは、小梢の寸胴鍋を以ってずりずりとコタツ範囲外(コタツの中に入ったままでは手が届かない範囲のことをいう。よくここにリモコンとかある)まで下がってくる。 「くっくっく、早く出ないとルメがこのカレー全部食べちゃうの!」 「やー! 香夏子のカレー食べちゃ嫌で……あ、ジャックED来ました」 「えーどれどれ?」 「ヤミプラスしまいなさい!」 コタツに下半身入れてうつ伏せになってた香夏子の前に、ルーメリアはカレーをひとすくい突き出してやった。 「ほらほら、カレーだよー」 「ルメ子さん。ついにカレーの良さが。この幸せを享受しながら香夏子は眠りにつくのです」 「起きてー!」 「ルメ子ちゃんメイド服着てー」 「フメはメイドじゃないの! ほら、カレーが欲しかったらこっちまで来なさ――ひゃー!」 スプーンをゆらゆらさせて誘導を図っていたルーメリアだったが、突如畳ごと移動してきたコタツにばっくりと引きずり込まれる。 「くそぅ、しっかりしろルメ、ここで負けたらダリィーズの仲間入りなの! く、悔しい、でもっ……!(ぬくんっぬくんっ)」 徐々にうとうとーっとしてくるルーメリア。 「ああ、もういいや、来年の春までこのままでも……そしてルメは考えるのをやめたまにコタツの中で回復するだけの存在に……」 そしてルメ子は、ついに重い瞼を閉じたのだった。 ●ごめんねエリューション倒さないとこの依頼終らないからごめんね 「あ、そろそろ倒しに行かないと時間がやばいのでは?」 「そうかも」 「じゃ、戦闘指揮はするからあんじょう頼んまっせ!」 ギャル雑誌捲りながらビシッと敬礼する麻奈。 「あ、あたしもちょっとおトイレ行きたくなってきたかも。どんなにおこたが大好きでもこれだけは駄目だよね。出ないわけにはいかないよね……」 何故か悲しい目をするティセ。 「そうだね。そろそろ決着をつけないといけない」 小梢もじっと空のカレー皿を見つめていた。 「私いま、デザートが食べたくて、しょうがない……」 「プリンあるよー」 「もらうー!」 そしてニニギアからプッチンするやつ貰って満足した。 「ふう、どっこいしょっと……」 一方で正宗は『鉄心』というこの手のエリューション涙目にするような技つかって普通にコタツから出てきた。 空気読まずに三行くらいで依頼終らせることもできたのにここまで付き合ってくれた所を見るに、正宗おじさんは結構いい人かもしれない。 「コタツから出ると寒いのう。外だから余計じゃ」 「ふふふ、アークリベリスタの『大抵のことは受け入れておく』の精神に恐れおののけー。愛に圧倒され愛されコタツとなるがいいのよー」 ニニギアはニニギアでプリン食べながらワンセグテレビを見ていた。ドラマだった。そらせんだった。 その足元では顔だけ出したルーメリアが世にも幸せな顔で『だいてんしのいーぶきーぃ』とか寝言いってた。 彼女達を残してごそごそと外に出ていくレイライン。 「ふむ、ではわらわもちょっとばかり勢いを出して……そぉい!」 レイラインはコタツの布団を思い切り引っ張り、テーブルクロス引きみたいに綺麗に入り枚だけ抜き取って見せた。 「にゃーははは! これでただのテーブルじゃのう! いまどんな気持ち!? ねえいまどんな気持ち!?」 と言いながらごそごそもう一回コタツに入って行くレイライン。 「意味ない!?」 「じゃあ私が……」 ていっと言って膝打ちしてみるユウ。 当たり前のようにテーブルの淵におひざぶつけた。地味に痛いのだ、あれ。 「痛ー! おひざが、ユウさんのひざが!」 「フッ、こうなったら俺の出番だぜ! 俺はこのコタツの中をさらに厚くする! 真夏の暑さでも足りないぐらいにしてやる! とう!」 ラヴィアンは頭からぴょこんと入り込むと、中で香夏子と鉢合わせした。 「お?」 「あ?」 そしてお互いに頷くと。 「いくぜフレアバースト!」 「バッドムーンフォークロアぁー」 その日、一台のコタツが宙を舞った。 テーブルに置かれたカレーやワンセグテレビ、雑誌やカードゲーム、あとティセとかルーメリアとかをまき散らし、回転するコタツ。 それはさながら冬の怠惰を責める人々の理性のようであり、どこか幻想的な光景ですらあった。 「さよなら、コタツ……」 誰かがそんなことを言って、寂しく残った四畳半分の畳の上で空を見上げる。 エリューションは潰えた。 冬空は今日も、寒い。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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